説明

電源制御装置及び故障検知方法

【課題】複数のスイッチング素子を並列に用い、いずれかにおける故障を検知することが可能な電源制御装置及び該電源制御装置におけるスイッチング素子の故障検知方法を提供する。
【解決手段】複数のスイッチング素子(FET)を並列に接続し、それらを各別にオフにしている期間(t1、t3)及び同時にオフにしている期間(t2)夫々にスイッチング素子の負荷側の端子の電圧値を測定し、測定によって得られた電圧値に基づいて各スイッチング素子の故障を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続される負荷への給電をスイッチング素子を用いて制御する電源制御装置に関し、スイッチング素子を複数、並列に用いて更に、複数のスイッチング素子のいずれかの故障を検知することが可能な電源制御装置及び該電源制御装置における故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器(負荷)への給電を制御するためのデバイスとして、半導体を利用したスイッチング素子が用いられる。このとき、スイッチング素子及び負荷への過電流を防止するための対策が必要である。スイッチング素子周辺の温度、又は電流量に基づいて異常を検出し、異常が検出されたときに自動的にスイッチング素子をオフにする保護機能が備えられる場合がある。例えば、FET(Field Effect Transistor)と保護機能とを内蔵したIPS(Intelligent Power Switch)なるデバイスが利用される場合がある。
【0003】
保護素子として例えば特許文献1には、半導体スイッチから負荷へ流れる負荷電流を検出し、検出した電流値と、電流値から算出する温度相当値とを用いて異常か否かを判定する機能を有した電源供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている装置でも示されているように、給電により負荷へ流れる電流値によってスイッチング素子での異常を検出する方法が一般的である。
【0006】
しかしながら、負荷へ流れる電流量が比較的大電流である場合に、複数のスイッチング素子を並列に用いて夫々における発熱量を低減する構成としたとき、一方のスイッチング素子が故障したとしても、他方のスイッチング素子が正常であれば、負荷へ流れる電流量は故障前と同様であるから異常を検出できない。
【0007】
複数のスイッチング素子を並列に用いる構成とした場合に、上述のように一方のみが故障し、他方が正常であるとき、正常なスイッチング素子に電流が集中して電源供給装置自体が発火に到る可能性がある。したがって、並列に用いる構成とした場合には、一方のみが故障したとしてもこれを検知する必要がある。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数のスイッチング素子を並列に用い、いずれかにおける故障を検知することが可能な電源制御装置及び故障検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る電源制御装置は、直流電源及び負荷間に介装され、前記負荷への給電を制御する電源制御装置において、前記電源の一端子及び前記負荷間に並列に接続される複数のスイッチング素子と、該複数のスイッチング素子のオン/オフを各制御する制御手段と、前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定する測定手段と、前記制御手段により前記複数のスイッチング素子を異なる時点で各別にオン又はオフさせたとき、及び同時にオフさせたときに夫々、前記測定手段により電圧値を測定し、測定して得られた各時点での電圧値に基づき、前記複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知する検知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る電源制御装置は、前記スイッチング素子はFETであることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る電源制御装置は、前記検知手段が前記複数のスイッチング素子を各別にオフさせる期間及び同時にオフさせる期間は、前記負荷の許容瞬断時間よりも短くしてあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る故障検出方法は、直流電源及び負荷間に介装され、前記負荷への給電を制御する電源制御装置で、前記電源の一端子及び前記負荷間に複数のスイッチング素子が並列に接続されている場合に該複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知する方法であって、前記複数のスイッチング素子を異なる時点で各別にオン又はオフさせ、前記異なる時点で夫々、前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定し、前記複数のスイッチング素子を同時にオフさせ、同時にオフである間に前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定し、各時点での電圧値に基づき、前記複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知することを特徴とする。
【0013】
本発明では、直流電源と負荷との間に介装されて負荷への給電のオン/オフを制御する電源制御装置にて、複数のスイッチング素子を並列に接続して用い、各スイッチング素子を異なるタイミングで各別にオフさせている間と、全てオフ同時にオフさせている間との夫々の時点にて、並列に接続されたスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値に基づいてスイッチング素子夫々について故障を検知する。
複数のスイッチング素子を各別にオフにさせる間でも、それらは並列に接続されているためにオンのスイッチング素子によって電圧値は直流電源からの電圧値が維持されるはずであり、各別の故障を検知できる。なお、電圧値を測定して故障を検知するから、負荷への電力に影響を与えずに故障を検知することができる。
なお、本発明では、スイッチング素子として例えばFETを用いる。そして、FETの容量は夫々、単独でも負荷への電流量に十分に耐えうるだけのものとすることが好ましい。
【0014】
本発明では、スイッチング素子を各別にオフさせる期間、及び同時にオフにさせる期間は、負荷の許容瞬断時間よりも短くされる。これにより、電源制御装置にて負荷へ給電中であっても負荷へ影響を与えることなく、故障の検知を実行することが可能となる。故障の検知のために各負荷をオフとする必要もない。
【発明の効果】
【0015】
本発明による場合、並列にスイッチング素子を接続して用いて各スイッチング素子での電流量を低減させて発熱量を低減させた上で更に、夫々をオフにさせた時点での負荷側の端子における電圧値を測定し用い、各スイッチング素子の故障を個別に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1における電源制御システムの構成及び電源制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における制御部からの制御に基づきスイッチ制御回路にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。
【図3】実施の形態1における制御部による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【図4】実施の形態2における制御部からの制御に基づきスイッチ制御回路にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。
【図5】実施の形態2における制御部による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【図6】実施の形態3における制御部からの制御に基づきスイッチ制御回路にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。
【図7】実施の形態3における制御部による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
なお、以下の実施の形態では、車両に搭載される車載負荷の給電制御を行なう電源制御システムに本発明に係る電源制御装置を用いる例を挙げて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電源制御システムの構成及び電源制御装置の内部構成を示すブロック図である。電源制御システムは、バッテリ1と、バッテリ1に接続されるヒューズ(ヒューズボックス)2と、電源制御対象の負荷4へのバッテリ1からの給電を制御する電源制御装置3とを含む。バッテリ1の正電圧側(+B)がヒューズ2を介して電源制御装置3に接続され、電源制御装置3に接続される電力線に負荷4が接続される。なお負荷4は、電源からの電力供給を受ける複数のECU(Electronic Controller Unit)である。各ECUは電力線にバス型に接続され、電源制御装置3により全体として給電が制御される。
【0019】
電源制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)を用いた制御部30と、2つのFET31及びFET32が並列に接続されているスイッチ部33と、FET31及びFET32のゲート電圧を制御するスイッチ制御回路34と、スイッチ部33からの出力電圧を測定する電圧測定回路35とを備える。
【0020】
制御部30は、CPUを用い、内蔵ROMに記憶してある制御プログラムを読み出して実行することにより、FET31及びFET32のオン/オフを制御する。なお制御部30はCPUを単独に用いる構成には限らず、マイクロコンピュータでもよい。
【0021】
制御部30には、図示しないアクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチからのACC信号及びIGON/IGOFF信号が入力される。制御部30には更に、バッテリ1の残量を測定するバッテリセンサからの信号が入力される。制御部30は、これらのスイッチ及びセンサからの信号に基づいてスイッチ制御処理を実行し、FET31及びFET32のオン/オフを制御する制御信号をスイッチ制御回路34へ出力する。基本的に制御部30は、負荷4への給電を開始するときにはFET31及びFET32の両方をオン、給電を停止するときには両方をオフとする。また、制御部30には、電圧測定回路35からの信号が入力され、信号が示す電圧測定結果に基づき、後述の故障検知処理を実行する。
【0022】
スイッチ部33は、並列に接続されるFET31及びFET32を有する。実施の形態1では2つのFET31及びFET32はいずれもドレインがバッテリ1の正極側(ヒューズ2)に接続され、ソースが負荷4へ接続されるようにしてある。ドレインが負荷4、ソースのバッテリ1へ接続される構成としてもよい。
【0023】
スイッチ制御回路34は、制御部30からの制御信号に基づき、スイッチ部33のFET31及びFET32のゲート電圧を制御する。
【0024】
電圧測定回路35は、スイッチ部33と負荷との間における電圧値、即ちFET31及びFET32のソース電圧を測定し、制御部30へ通知する。
【0025】
このように構成される電源制御装置3にて、制御部30はスイッチ部33の故障検知処理を実行する。制御部30は、電源制御装置3によって負荷4へ給電中、周期的(例えば1分間に一度の周期)に、スイッチ部33のFET31及びFET32のいずれか又は両方が故障していないかを判断する。制御部30は、スイッチ制御回路34によって後述する具体的な方法でFET31及びFET32を夫々異なるタイミング及び同一のタイミングで瞬断し、夫々のタイミングでの電圧を電圧測定回路35により測定して故障を検知する。
【0026】
そして故障検知処理を実行する制御部30は、FET31及びFET32のいずれか又は両方の故障を検知した場合、警報を発せさせる。具体的には、制御部30は、図示しないスピーカ及びランプを含む警報手段へ指示信号を出力し、スピーカにより運転者へ警告音を発し、ランプにより運転者へ短絡発生の警告を通知するように構成する。
【0027】
制御部30によるスイッチ制御回路34及び電圧測定回路35を用いた故障検知方法の詳細について説明する。
【0028】
図2は、実施の形態1における制御部30からの制御に基づきスイッチ制御回路34にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。図2は、横軸に時間軸、縦軸にゲート電圧のH(High)/L(Low)を示す。
【0029】
制御部30は、周期が到来するとFET31及びFET32のゲート電圧をごく短い時間だけLowに落として夫々オフにし、その間に電圧測定回路35により測定される電圧値がHighか、あるいはLowかであるかを判断する。
【0030】
図2に示すように、制御部30はスイッチ制御回路34により、FET31のゲート電圧をtw1の期間だけLowとしてオフにし、tw1の期間中、重複するようにFET32のゲート電圧を同様にtw1の期間だけLowとする。なおFET31のゲート電圧をLowとする期間と、FET21のゲート電圧をLowとする期間との長さは、tw1で同一でなくともよい。ただし、期間tw1、即ちFET31又はFET32のゲート電圧をLowとする期間の長さは、いずれも負荷4の瞬断許容時間よりも短くするため、本実施の形態では2ミリ秒以内としてある。そして負荷4は、逆接ダイオード等を用いて瞬断が許容されるように構成されていなければならない。
【0031】
制御部30は、FET31のゲート電圧のみをLowとした期間中のt1の時点、FET31及びFET32両者のゲート電圧をLowとした期間tw1の重複期間中のt2の時点、並びにFET32のゲート電圧のみをLowとした期間中のt3の時点夫々にて、電圧測定回路35により電圧値を測定する。測定により得られた結果と検知結果との対応は以下である。
【0032】
図3は、実施の形態1における制御部30による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【0033】
図3に示すように、FET31のゲート電圧のみがLowとされた期間中のt1の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、正常と判断される。t1の時点では、FET31がオフ状態であるが、FET32がオンであるために、FET32が正常であれば出力電圧はHighで維持されるはずだからである。一方、t1の時点で測定された電圧値がLowである場合は、FET32がオフとなったまま故障していると判断される。
【0034】
FET31及びFET32の両者のゲート電圧がLowとされた期間中のt2の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、いずれか一方がオンとなったまま故障していると判断される。t2の時点では、FET31及びFET32の両者がオフ状態となるべきであるから、出力電圧はLowとなるはずだからである。勿論、t2の時点で測定された電圧値がLowである場合は、なるべき状態となっているので正常と判断される。
【0035】
FET32のゲート電圧のみがLowとされた期間中のt3の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合はFET31のときと同様に正常と判断される。一方で、t3の時点で測定された電圧値がLowである場合は、FET31がオフとなったまま故障していると判断される。
【0036】
このように、電源制御装置3が構成されることにより、FET31及びFET32夫々の故障を検知できる。しかも、並列に接続し、許容瞬断時間よりも短い時間だけオフさせてその間に電圧値を測定することで故障を検知するので、電源制御装置3から負荷4へ給電中であっても負荷に影響を与えることなく故障を検知することができる。
本発明により、各FET31及びFET32での発熱量を検知する素子を用いなくとも故障を検知できるが、これらの温度に基づく故障予測を併せて用いてもよい。
【0037】
(実施の形態2)
実施の形態2では、制御部30による故障検知方法の詳細が実施の形態1における方法と異なる。つまり、FET31及びFET32をオフにする期間が異なる。以下、実施の形態1と共有する構成部には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
図4は、実施の形態2における制御部30からの制御に基づきスイッチ制御回路34にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。図4は、実施の形態1の図2同様、横軸に時間軸、縦軸にゲート電圧のH/Lを示す。
【0039】
図4に示すように、制御部30はスイッチ制御回路34により、FET31及びFET32のゲート電圧を夫々、tw2の期間だけLowとしてオフにすることを2回繰り返す。このとき制御部30は、FET31のゲート電圧をLowとする2回目の期間tw2と、FET32のゲート電圧をLowとする1回目の期間tw2とは一致するように制御させる。これにより、一方のみがオン(又はオフ)状態及び両方がオフ状態となるようにすることができる。
【0040】
実施の形態2でも、FET31のゲート電圧をLowとする期間と、FET21のゲート電圧をLowとする期間との長さは、tw2で同一でなくともよい。ただし、FET31又はFET32のゲート電圧をLowとする期間tw2の長さは、いずれも負荷4の瞬断許容時間よりも短くするため、本実施の形態では2ミリ秒以内としてある。負荷4は、逆接ダイオード等を用いて瞬断が許容されるように構成されていなければならない。
【0041】
制御部30は、FET31のゲート電圧のみをLowとした期間tw2中のt4の時点、FET31及びFET32両者のゲート電圧をLowとした重複期間tw2中のt5の時点、並びにFET32のゲート電圧のみをLowとした期間tw2中のt6の時点夫々にて、電圧測定回路35により電圧値を測定する。測定により得られた結果と検知結果との対応は以下である。
【0042】
図5は、実施の形態2における制御部30による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【0043】
図5に示すように、FET31のゲート電圧のみがLowとされた期間中のt4の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、正常と判断される。t4の時点では、FET31がオフ状態であるが、FET32がオンであるために、FET32が正常であれば出力電圧はHighで維持されるはずだからである。一方、t4の時点で測定された電圧値がLowである場合は、FET32がオフとなったまま故障していると判断される。
【0044】
FET31及びFET32の両者のゲート電圧がLowとされた期間中のt5の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、いずれか一方がオンとなったまま故障していると判断される。t5の時点では、FET31及びFET32の両者がオフ状態となるべきであるから、出力電圧はLowとなるはずだからである。勿論、t5の時点で測定された電圧値がLowである場合は、なるべき状態となっているので正常と判断される。
【0045】
FET32のゲート電圧のみがLowとされた期間中のt6の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合はFET31のときと同様に正常と判断される。一方で、t6の時点で測定された電圧値がLowである場合は、FET31がオフとなったまま故障していると判断される。
【0046】
このように、電源制御装置3が構成されることにより、FET31及びFET32夫々の故障を検知できる。しかも、並列に接続し、許容瞬断時間よりも短い時間だけオフさせてその間に電圧値を測定することで故障を検知するので、電源制御装置3から負荷4へ給電中であっても負荷に影響を与えることなく実際の故障を検知することができる。
【0047】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、2つのFET31及びFET32を並列に接続して夫々の故障を検知することが可能な構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、3つ以上のFETを用いる構成としてもよい。実施の形態3では、3つのFETを並列に接続して用いる場合の故障検知方法の例を示す。
【0048】
実施の形態3では、3つのFETを用いるスイッチ部の内部構造が3つのFETの並列接続である点、及びそれに伴う制御部30による故障検知方法の詳細が実施の形態1における方法と異なる。したがって、電源制御装置の内部構成については図示及び詳細な説明を省略し、実施の形態1と共有する構成部には同一の符号を付して以下、実施の形態3について説明する。
【0049】
図6は、実施の形態3における制御部30からの制御に基づきスイッチ制御回路34にて制御されるゲート電圧のタイムチャートである。図6は、実施の形態1の図2同様、横軸に時間軸、縦軸にゲート電圧のH/Lを示す。
【0050】
図6に示すように、制御部30はスイッチ制御回路34により、3つのFET(FET31、FET32及び3つ目のFET)のゲート電圧を夫々制御し、tw3の期間だけLowとしてオフにすることを3回繰り返し、FET31のみがオン状態の期間、FET32のみがオン状態となる期間、3つ目のFETのみがオン状態の期間及び全てがオフ状態となる期間をつくる。
【0051】
実施の形態3でも、3つのFETのゲート電圧を夫々Lowとする期間の長さは、tw3で同一でなくともよく、夫々の長さを負荷4の瞬断許容時間よりも短くする。
【0052】
制御部30は、FET31のみがオン状態(ゲート電圧がHigh)の期間tw3中のt7の時点、FET32のみがオン状態(ゲート電圧がHigh)の期間tw3中のt8の時点、及び3つめのFETのみがオン状態(ゲート電圧がHigh)の期間tw3中のt9の時点、及び3つのFET全てがオフ状態(ゲート電圧がLow)の期間tw3中のt10の時点夫々にて、電圧測定回路35により電圧値を測定する。測定により得られた結果と検知結果との対応は以下である。
【0053】
図7は、実施の形態3における制御部30による故障検知の規準の内容例を示す説明図である。
【0054】
図7に示すように、FET31のゲート電圧のみがHighとされた期間中のt7の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、3つのFETはいずれもこの段階では正常と判断される。一方、t7の時点で測定された電圧値がLowである場合は、FET31がオフとなったまま故障していると判断される。
【0055】
FET32及び3つ目のFETについても同様に、t8の時点及びt9の時点での電圧値により、正常であるか又はオフ故障であるかを判断することが可能である。
【0056】
3つ全てのFETのゲート電圧がLowとされた期間中のt10の時点で、電圧測定回路35により測定された電圧値がHighである場合は、いずれかがオンとなったまま故障していると判断される。t10の時点では、3つのFETがいずれもオフ状態となるべきであり、出力電圧はLowとなるはずだからである。勿論、t10の時点で測定された電圧値がLowである場合は、なるべき状態となっているので正常と判断される。
【0057】
このように、3つ以上のFETを用いる構成であっても、制御部30がいずれか1つのみをオン状態(又はオフ状態)としたときの電圧値を測定することにより、いずれかの故障を検知することが可能である。
【0058】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 バッテリ(電源)
3 電源制御装置
30 制御部(制御手段、検知手段)
31,32 FET(スイッチング素子)
33 スイッチ部
35 電圧測定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源及び負荷間に介装され、前記負荷への給電を制御する電源制御装置において、
前記電源の一端子及び前記負荷間に並列に接続される複数のスイッチング素子と、
該複数のスイッチング素子のオン/オフを各制御する制御手段と、
前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定する測定手段と、
前記制御手段により前記複数のスイッチング素子を異なる時点で各別にオン又はオフさせたとき、及び同時にオフさせたときに夫々、前記測定手段により電圧値を測定し、測定して得られた各時点での電圧値に基づき、前記複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知する検知手段と
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子はFETであること
を特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記検知手段が前記複数のスイッチング素子を各別にオフさせる期間及び同時にオフさせる期間は、前記負荷の許容瞬断時間よりも短くしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
直流電源及び負荷間に介装され、前記負荷への給電を制御する電源制御装置で、前記電源の一端子及び前記負荷間に複数のスイッチング素子が並列に接続されている場合に該複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知する方法であって、
前記複数のスイッチング素子を異なる時点で各別にオン又はオフさせ、
前記異なる時点で夫々、前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定し、
前記複数のスイッチング素子を同時にオフさせ、
同時にオフである間に前記複数のスイッチング素子の負荷側の端子における電圧値を測定し、
各時点での電圧値に基づき、前記複数のスイッチング素子の内のいずれかの故障を検知する
ことを特徴とする故障検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−229216(P2011−229216A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94400(P2010−94400)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】