説明

電源制御装置

【課題】スリープモードにおいてメイン電源の駆動を停止させることによって、より電力消費の少ないスリープモードへの移行を行い、電力浪費を防止するものである。
【解決手段】印刷装置に使用される電源制御装置であって、予め設定された日時にスリープモードへ移行させる信号を出力する制御手段と、この制御手段に電源を供給するサブ電源供給手段と、上記制御手段を除く全てに電源供給を行うメイン電源供給手段と、上記制御手段からのスリープモード移行信号の出力に基づいて、上記メイン電源供給手段の駆動を停止させるメイン電源停止制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードの設定制御を行う電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、地球温暖化防止会議を中心として温室効果ガスの排出規制が実現化に向かっている。このような状況において、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が要求されている。
【0003】
このため、印刷装置において、例えば消費電力を削減するため非稼動時の定着器の温度を下げ、スリープモードに設定することが行われている。例えば、一定時間印刷データが入力しない場合や、印刷装置の操作が行われない時間が一定時間継続する場合、タイマーによって自動的にスリープモードに移行する制御を行っている。また、上記一定時間は、例えば10分、20分・・・と設定され、この間印刷データの入力がなく、また印刷装置の操作が行われない場合、スリープモードに移行させていた。
一方、特許文献1はファイルオープン通知を受信すると、履歴情報に基づいて印刷処理にかかる時間を推定し、当該印刷推定時間に従って印刷装置の電源部を駆動し、印刷推定時間の終了によって電源部の駆動を停止し、節電モードに移行する発明である。
【0004】
また、特許文献2は複数のホスト機器が接続された印刷装置において、複数のホスト機器から通知される複数のアプリケーションの起動状況を統合的に解析し、印刷装置をスリープモード、或いはスタンバイモードに切り替える制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−062617号公報
【特許文献2】特開2004−259223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のスリープモードでは、メイン電源を停止させる制御ではないので、スリープモードとはいえ、かなりの電力を消費しており、例えばこの状態で夜間放置した場合、大きな電力浪費となる。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、スリープモードにおいてメイン電源の駆動を停止させることによって、より電力消費の少ないスリープモード(ディープスリープモード)への移行を行い、電力浪費を防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は第1の発明によれば、予め設定された日時にスリープモードへ移行させる信号を出力する制御手段と、該制御手段に電源を供給するサブ電源供給手段と、前記制御手段を除く全てに電源供給を行うメイン電源供給手段と、前記制御手段からのスリープモード移行信号の出力に基づいて、前記メイン電源供給手段の駆動を停止させるメイン電源停止制御手段とを有する電源制御装置を提供することによって達成できる。
また、上記課題は第2の発明によれば、予め設定された他の日時に前記制御手段からスリープモードを復帰させる信号が出力され、該スリープモード復帰信号に基づいて、前記メイン電源供給手段の駆動が復帰される電源制御装置を提供することによって達成できる。
【0009】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記制御手段からのスリープモード移行信号、及びスリープモード復帰信号の出力は、時計回路からの計時信号に基づいて行われ、前記時計回路も前記サブ電源供給手段から電源供給される電源制御装置を提供することによって達成できる。
【0010】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記スリープモード移行信号は、節電キーを操作することによっても出力され、前記メイン電源供給手段の駆動を停止させる電源制御装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は第5の発明によれば、前記スリープモード復帰信号は、節電キーを操作することによっても出力され、前記メイン電源供給手段の駆動を復帰させる電源制御装置を提供することによって達成できる。
また、上記課題は第6の発明によれば、前記予め設定された日時は装置を使用するスケジュールに基づいて設定される電源制御装置を提供することによって達成できる。
さらに、上記課題は第7の発明によれば、前記スケジュールはネットワークを介して装置に登録される電源制御装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スリープモードにおいてメイン電源の駆動を停止させ、より電力消費の少ないディープスリープモードへの移行を行い、電力浪費を防止し、地球環境の保持に懇献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】プリンタ装置の内部構成を説明する図である。
【図2】本実施形態のプリンタ装置がネットワークを介してホスト機器に接続されたシステム構成図である。
【図3】I/Fコントローラ5の回路ブロック図である。
【図4】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】スケジュール設定の一例を示す図である。
【図7】本実施形態の他の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本実施形態のプリンタ装置がネットワークを介してホスト機器に接続されたシステム構成図である。本システムは2台のパーソナルコンピュータ(PC1、PC2)と、1台のプリンタ装置1、及びプリンタサーバ2が、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続された構成である。パーソナルコンピュータ(PC1、PC2)は、キーボード等の入力部や、表示部、及びプリンタドライバ等で構成され、アプリケーションプログラムに従って作成した印刷データをプリンタサーバ2を介してプリンタ装置1に出力する。
【0015】
一方、図1はプリンタ装置1の内部構成を説明する図である。プリンタ装置1はオペレーションパネル4、インターフェイスコントローラ(以下、I/Fコントローラで示す)5、プリンタコントローラ6、MDコントローラ7、高圧電源ユニット(HVU)8、印字ヘッド9、及び電源装置10で構成されている。
I/Fコントローラ5はホスト機器であるパーソナルコンピュータ(PC1、又はPC2)から送信された印刷データの解析処理を行い、プリンタコントローラ6を介して印字ヘッド9に送信し、不図示の記録媒体への印字を行う。また、高圧電源ユニット(HVU)8は不図示の現像器や転写器に高圧電圧を供給し、オペレーションパネル4はI/Fコントローラ5へ各種操作信号を送り、I/Fコントローラ5から表示データを受信する。また、オペレーションパネル4には後述する節電キー4aも配設されている。
【0016】
I/Fコントローラ5はCPU12を含むメイン回路部13と、制御部14及びリアルタイムクロック(RTC)15を含むサブ回路部16で構成されている。図3は上記I/Fコントローラ5の回路ブロック図である。
【0017】
I/Fコントローラ5は前述のCPU12、及びSDRAM18、フラッシュメモリ19、ハードディスク20が接続されるHDDコネクタ21、USBドライブ22、LANインターフェース23、前述のオペレーションパネル4が接続されるオペハネインターフェース(OPEインターフェース)24、インターフェース制御部25、更に前述の制御部14とRTC15で構成されている。
尚、前述のように制御部14とRTC15はサブ回路部16に配設され、CPU12等の他の回路はメイン回路部13に配設されている。
【0018】
一方、電源装置10はメイン電源27とサブでサブ電源28で構成され、メイン電源27とサブ電源28の切り替えはリレー29によって行われる。また、メイン電源27には5V系の出力端子27a1、27a2、及び3.3V系の出力端子27bが備えられている。尚、メイン電源27の入力端子27cにはリレー29及び電源スイッチ30を介してAC100Vの商用電源が供給される。
【0019】
出力端子27a1から出力される5V系の出力電圧はプリンタドライバ5のCPU12等に供給され、端子27a2から出力される5V系の出力電圧はプリンタコントローラ6やMDコントローラ7に供給される。また、出力端子27bから出力される3.3V系の出力電圧もプリンタコントローラ6やMDコントローラ7に供給される。
【0020】
一方、サブ電源28は上記リレー29と共に、AC−DCコンバータ31と5V系の出力端子28aを備える。電源スイッチ30を介して供給されるAC100Vの商用電源はAC−DCコンバータ31によってDC5Vの電圧に変換され、出力端子28aから前述のプリンタドライバ5のサブ回路部16に供給される。
【0021】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図4は本例の処理動作を説明するフローチャートである。先ず、プリンタ装置1の電源を投入し(電源スイッチ30をオンし)、SUB電源28に電源供給を行い、AC−DCコンバータ31から5Vの出力電圧を出力端子28aを介してプリンタドライバ5のサブ回路部16に供給する。この電源供給により、SUB回路部16に配設された制御部14が駆動し、リレーオン信号をアクティブとし、メイン電源27に電源供給を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。具体的には、リレーオン信号がリレー29を駆動し、メイン電源27に電源スイッチ30を介してAC100Vの商用電源を供給する。
【0022】
この処理によって、メイン電源27が駆動し、図5に示すフローチャートに従って、先ず初期設定処理を行う(ステップ(以下、図5においてSTで示す)1)。この処理によってAC100Vの商用電源は、不図示のコンバータによって5V系の直流出力電圧、及び3.3V系の直流出力電圧に変換され、前述のようにプリンタドライバ5のCPU12や、プリンタコントローラ6やMDコントローラ7に供給される。
【0023】
プリンタドライバ5や、プリンタコントローラ6、MDコントローラ7に電源供給が行われると、通常の回路処理が行われ(ST2)、以後パーソナルコンピュータ(PC1)等から印刷データが供給されると、プリンタドライバ5及びプリンタコントローラ6が駆動し、印字ヘッド9によって記録媒体に印刷を行うことが可能となる。
次に、ユーザはオペレーションパネル4を操作し、スケジュール設定を行う(ST3)。この設定によって作成されたスケジュールは、例えばファラッシュメモリ19に登録され、以後RTC15から出力される日時情報との比較処理が行われる。
【0024】
図6は上記ユーザによって設定されたスケジュールの一例である。同図の例では、例えば10月1日(水曜日)8:00〜12:00までプリンタ装置1を駆動し、12:00にスリープモードに移行し、13:00に再度プリンタ装置1を駆動し、17:30にプリンタ装置1の電源をオフするスケジュールである。尚、他の日についても同図に示す通りである。
【0025】
したがって、以後プリンタ装置1はユーザによって設定されたスケジュールに従って駆動し、スリープモードの時刻になるまで駆動を継続する(ST4がNO、ST5がNO)。
尚、節電キー4aは前述のようにオペレーションパネル4に設けられており、節電キー4aが操作された場合には、図1に示すキー信号がCPU12、及び制御部14に供給され、スリープモードの解除、又はスリープモードへの移行指示が行われる。したがって、節電キー4aの操作も行われず、設定されたスケジュールが未だスリープモードの時刻に達していない場合には、上記処理を繰り返す。
【0026】
その後、設定されたスケジュールがスリープモードの時刻に達すると(ST4がYES)、CPU12から制御部14を介して電源オフ信号が出力され(ST6)、メイン電源27の駆動を停止させる。
【0027】
以上のように、本例によればプリンタ装置1を使用しない時間、スケジュールに従ってディープスリープモードに設定し、電力消費が極めて少ない省エネルギー状態にプリンタ装置1を設定することができる。
【0028】
次に、ディープスリープモードからの復帰は、上記スケジュール設定に基づいて行われ、例えば前述の10月1日(水曜日)の13:00になると(図4に示すS4がNO、S5がYES、INTあり)、制御部14からリレーオン信号が出力され、リレー29を切り替え、メイン電源が立ち上がりディープスリープモードから復帰する(S1)。
【0029】
この処理によって、前述と同様初期設定処理が行われ(ST1)、プリンタドライバ5のCPU12や、プリンタコントローラ6、MDコントローラ7が駆動を開始する。
【0030】
上記説明は、スケジュール情報に基づく処理であるが、スリープモード時においても、緊急で印刷処理が必要な場合もあり、かかる場合には前述の節電キー4aを操作して行う。例えば、ディープスリープモード時、節電キー4aを操作することによって(S4がYES)、制御部14からリレーオン信号を出力し、メイン電源を立ち上げてディープスリープモードから復帰させることができる。
【0031】
尚、プリンタ装置1を使用しない場合には、ユーザは節電キー4aを操作して(ST5がYES)、電源オフ信号をアクティブにし(ST6)、メイン電源27の駆動を停止させ、ディープスリープモードに移行させることもできる。このように制御することにより、更に省エネルギーに懇献することができる。
【0032】
一方、図7に示すフローチャートはスケジュール情報を、例えば図1及び図3に示すハードディスク20に登録しておく場合であり、ハードディスク20からこのスケジュール情報を読み出してスリープモードの制御を行う。また、ハードディスク20に登録するスケジュール情報は前述のプリンタサーバ2上に、例えば図6に示すカレンダー情報として読み出して登録する。
【0033】
すなわち、各ユーザ(各会社)毎に休日、祭日等が異なる場合や、曜日によって設定時刻を変えたい場合があり、プリンタ装置1はこのスケジュール表を常に更新できるようにし、スケジュール表をダウンロードしてハードディスク20に登録する。
【0034】
この場合も、前述の処理と同様、メイン電源27に電源供給が行われると、先ず初期設定処理が行われ(ステップ(以下、図7においてSTPで示す)1)、プリンタドライバ5のCPU12や、プリンタコントローラ6、MDコントローラ7に電源供給が行われ、プリンタドライバ5等による通常の回路処理が行われる(STP2)。
【0035】
次に、ユーザはプリンタサーバ2からスケジュール表を読み込み(STP3)、当該スケジュール表をハードディスク20に保存する(STP4)。そして、スケジュール表に従って自動的にスケジュール設定を行い(STP5)、例えば10月1日(水曜日)8:00〜12:00までプリンタ装置1を駆動し、12:00にスリープモードに移行し、13:00に再度プリンタ装置1を駆動し、17:30にプリンタ装置1の電源をオフする(STP6〜STP8)。
【0036】
また、この間、スリープモードにおいて節電キー4aを操作することによって(S4がYES)、リレーオン信号を出力し、リレー29を切り替え、メイン電源を立ち上げてディープスリープモードから復帰させることができる。また、駆動期間であってもプリンタ装置1を使用しない場合には、ユーザは節電キー4aを操作して(ST5がYES)、電源オフ信号をアクティブにし(ST6)、メイン電源27の駆動を停止させ、省エネルギーに懇献することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・印刷装置
2・・・サーバコンピュータ
4・・・オペレーションパネル
4a・・節電キー
5・・・I/Fコントローラ
6・・・プリンタコントローラ
7・・・MDコントローラ
8・・・高圧電源ユニット
9・・・印字ヘッド
10・・電源装置
12・・CPU
13・・メイン回路部
14・・制御部
15・・RTC
16・・サブ回路部
18・・SDRAM
19・・フラッシュメモリ
20・・ハードディスク
21・・HDDコネクタ
22・・USBドライブ
23・・LANインターフェース
24・・OPEインターフェース
25・・インターフェース制御部
27・・メイン電源
27a1、27a2・・5V系の端子
27b・・3.3V系の端子
28・・サブ電源
28a・・出力端子
29・・リレー
30・・電源スイッチ
31・・AC−DCコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された日時にスリープモードへ移行させる信号を出力する制御手段と、
該制御手段に電源を供給するサブ電源供給手段と、
前記制御手段を除く全てに電源供給を行うメイン電源供給手段と、
前記制御手段からのスリープモード移行信号の出力に基づいて、前記メイン電源供給手段の駆動を停止させるメイン電源停止制御手段と、
を有することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
予め設定された他の日時に前記制御手段からスリープモードを復帰させる信号が出力され、該スリープモード復帰信号に基づいて、前記メイン電源供給手段の駆動が復帰されることを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記制御手段からのスリープモード移行信号、及びスリープモード復帰信号の出力は、時計回路からの計時信号に基づいて行われ、前記時計回路も前記サブ電源供給手段から電源供給されることを特徴とする請求項1、又は2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記スリープモード移行信号は、節電キーを操作することによっても出力され、前記メイン電源供給手段の駆動を停止させることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記スリープモード復帰信号は、節電キーを操作することによっても出力され、前記メイン電源供給手段の駆動を復帰させることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記予め設定された日時は装置を使用するスケジュールに基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記スケジュールはネットワークを介して装置に登録されることを特徴とする請求項6に記載の電源制御装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−182099(P2010−182099A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25092(P2009−25092)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】