説明

電源回路

【課題】交流電源及び直流電源のいずれが供給された場合においても所要の直流電源を出力することが可能な電源回路を提供する。
【解決手段】入力端子11には、交流電源及び直流電源の一方が入力される。整流回路13は、入力端子に接続されている。力率改善回路K11には、整流回路の出力電圧が供給される。DC/DCコンバータK12は、力率改善回路から出力される直流電圧のレベルを変換する。判定部C14は、整流回路の出力電圧に応じて入力端子に供給された入力電源が交流か直流かを判定する。第1の制御部C11は、判定部により前記入力電源が交流であると判定された場合、前記力率改善回路を力率改善モードで動作させる。第2の制御部C12は、判定部により入力電源が直流であると判定された場合、DC/DCコンバータの入力電圧に基づき力率改善回路を停止モード、又は昇圧モードで動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばパーソナルコンピュータ等の電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータ等の電子機器は、直流電源で動作する。このため、例えば電源アダプタを用いて、商用交流電源を直流電源に変換し、電子機器に供給されている。
【0003】
現在、電子機器の省エネルギー化を図るため、電源アダプタによる電子機器への給電が再検討されている。
【0004】
また、近時、太陽光発電や風力発電等により発生された電力は、一旦二次電池に蓄えられ、この二次電池に蓄えられた直流電源を例えばインバータにより交流電源に変換して配電系統に供給される。インバータの変換効率は改善されているが、十分ではなく変換損失が生じている。また、交流電源に変換された電力は、電子機器に供給するため、電源アダプタにより直流電源に変換される。しかし、ここでも変換損失が生じている。したがって、自然エネルギーを利用して発生された電力は、直流電源として電子機器に供給されることが望ましい。
【0005】
さらに、電子機器を例えば自動車内で使用する場合、自動車内で生成された直流電源を交流電源に変換することなく使用できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−183110号公報
【特許文献2】特開2009−60683号公報
【特許文献3】特開2004−357408号公報
【特許文献4】特開平9−55882号公報
【特許文献5】特開2009−284646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、現在の電子機器に使用される電源回路としての電源アダプタは、交流電源を直流電源に変換する機能しか有していない。このため、電源アダプタは、直流電源を扱うことが困難であった。
【0008】
本発明は、交流電源及び直流電源のいずれが供給された場合においても所要の直流電源を出力することが可能な電源回路を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の電源回路の態様は、交流電源及び直流電源の一方が入力される入力端子と、前記入力端子に接続された整流回路と、前記整流回路の出力電圧が供給される力率改善回路と、前記力率改善回路から出力される直流電圧のレベルを変換するDC/DCコンバータと、前記整流回路の出力電圧に応じて前記入力端子に供給された入力電源が交流か直流かを判定する判定部と、前記判定部により前記入力電源が交流であると判定された場合、前記力率改善回路を力率改善モードで動作させる第1の制御部と、前記判定部により前記入力電源が直流であると判定された場合、前記DC/DCコンバータの入力電圧に基づき前記力率改善回路を停止モード、又は昇圧モードで動作させる第2の制御部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る電源回路の一例を示す回路構成図。
【図2】図1に示す各回路の電源供給方法の概念を示す図。
【図3】図1に示す各回路のバイパス方法の概念を示す図。
【図4】図1に示す電源回路の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る電源回路を示している。この電源回路は、例えばパーソナルコンピュータの電子機器に接続される電源アダプタの例を示しているが、電源アダプタに限定されるものではなく、電子機器に内蔵されていてもよい。また、電子機器は、パーソナルコンピュータに限定されるものではない。
【0013】
図1において、電源アダプタA11は、交流電源(AC)又は直流電源(DC)が入力される入力端子11、及び直流電源を出力する出力端子12を有している。入力端子11には、AC入力用フィルタF11が接続されている。このAC入力用フィルタF11は、入力端子11に供給された交流電源のノイズを除去する。AC入力用フィルタF11の出力端には、整流回路13としての例えばブリッジダイオードBD11が接続されている。この整流回路13は、入力端子11に交流電源が入力された場合、それを整流する。
【0014】
整流回路13の出力端には、力率改善(Power Factor Correction : PFC)回路K11が接続されている。PFC回路K11は、入力電圧を分割するための抵抗Rp11、Rp12と、チョークコイルLp11と、チョークコイルLp11の一次巻線に接続されたスイッチングトランジスタQp11及び電流検出用抵抗Rp13と、整流回路を構成するダイオードDp11及びコンデンサCp11により構成されている。
【0015】
PFC回路K11の出力端には、DC/DCコンバータ回路K12が接続されている。このDC/DCコンバータ回路K12は、DC/DCコンバータ回路K12の入力側の電圧を分割する抵抗Rd11、Rd12と、トランスTd11と、トランスTd11の一次巻線に挿入接続されたスイッチングトランジスタQd11と、トランスTd11の二次巻線に接続され、整流回路を構成するダイオードDd11及びコンデンサCd1と、DC/DCコンバータ回路K12の出力側の電圧を分割する抵抗Rd13、Rd14により構成されている。
【0016】
PFC回路K11には、PFC制御回路C11、第1PWM(Pulse Width Modulation)制御回路C12が接続されている。PFC制御回路C11の第1の入力端は抵抗Rp11、Rp12の接続ノードに接続され、第2の入力端はスイッチングトランジスタQp11と電流検出用抵抗Rp13の接続ノードに接続され、第3の入力端はチョークコイルLp11の補助巻線に接続されている。PFC制御回路C11の出力端は、スイッチングトランジスタQp11のゲートに接続されている。
【0017】
第1PWM制御回路C12の入力端は、DC/DCコンバータ回路K12の抵抗Rd11とRd12の接続ノードに接続され、出力端はスイッチングトランジスタQp11のゲートに接続されている。
【0018】
PFC回路K11は、PFC制御回路C11、第1PWM制御回路C12により、PFC機能モード、昇圧機能モード、停止モードの3つの動作モードで制御される。
【0019】
(PFC機能モード)
PFC機能モードは、PFC回路K11をPFC回路として動作(自励制御)させるためのモードである。PFC制御回路K11は、PFC回路K11の入力電圧、チョークコイルLp11の電流、スイッチングトランジスタQp11の電流により、PFC回路K11の自励制御を行う。すなわち、PFC回路K11は、次のような動作を行う。
【0020】
(i) スイッチングトランジスタQp11をオンさせる。
【0021】
(ii) 抵抗Rp11、Rp12の接続ノードから入力された脈流電圧のデータを取り込み、電流検出用抵抗Rs13からスイッチングトランジスタQp11に流れる電流のデータを取り込み、これらデータに基づきスイッチングトランジスタQp11をオフさせる。
【0022】
(iii) チョークコイルLp11の補助巻線からチョークコイルLp11に流れる電流のデータを取り込み、このデータに基づきスイッチングトランジスタQp11をオンさせる。
【0023】
上記(ii) (iii)の動作が繰り返され、PFC機能モードが実行される。
【0024】
(昇圧機能モード)
昇圧機能モードは、PFC回路K11を昇圧回路として動作(他励制御)させるためのモードである。この昇圧機能モードにおいて、第1PWM制御回路C12は、DC/DCコンバータ回路K12の抵抗Rd11、Rd12からDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧のデータを取り込み、このデータに基づき、PFC回路K11を他励制御(PWM制御)する。
【0025】
(停止モード)
停止モードは、PFC回路K11の動作を停止させる。
【0026】
上記3つの動作モードは、スイッチSc11、Sc12によりPFC制御回路C11、第1PWM制御回路C12の電源を、選択的にオン/オフ(供給/遮断)することにより切換えられる。
【0027】
一方、DC/DCコンバータ回路K12は、第2PWM制御回路C13により、降圧機能モード、停止モードの2つのモードで動作される。
【0028】
(降圧機能モード)
降圧機能モードにおいて、第2PWM制御回路C13は、出力側の抵抗Rd13、Rd14からDC/DCコンバータ回路K12の出力電圧のデータを取得し、このデータに基づきDC/DCコンバータ回路K12を降圧回路として動作させる。
【0029】
(停止モード)
停止モードは、DC/DCコンバータ回路K12を停止させる。
【0030】
降圧機能モード、停止モードは、スイッチSc13により第2PWM制御回路C13の電源をオン/オフ(供給/遮断)することにより切り換えられる。
【0031】
また、直交判定部C14の入力端は、PFC回路K11の抵抗Rp11、Rp12の接続ノードに接続されている。直交判定部C14は、抵抗Rp11、Rp12の接続ノードの電圧に基づき、入力端子11に供給された電源が交流であるか直流であるかを判別する。この判別結果に基づき、後述するように、上記各回路への電源供給、及び電源供給が停止された回路や、入力電源の種類に応じて不要な回路をバイパスさせる制御を行う。
【0032】
上記直交判定部C14、PFC制御回路C11、第1PWM制御回路C12、第2PWM制御回路C13への電源供給は、スイッチSs11、Ss12、Ss13を選択的に切り換えることにより行われる。
【0033】
図1、図2を参照して、電源供給方法の概念について説明する。
【0034】
(第1電源供給21)
図2に示す第1電源供給21は、ブリッジダイオードBD11の出力端に接続された抵抗Rs11及びスイッチSs11を介して電源供給を行うものであり、初期状態の電源供給である。
【0035】
(第2電源供給22)
第2電源供給22は、PFC回路K11の出力端より、抵抗Rs12、スイッチSs12を介して電源供給を行う。
【0036】
(第3電源供給23)
第3電源供給23は、トランスTd1のバイアス巻線に発生された電圧をダイオードDb11、コンデンサCb11により整流して直流電源を生成する。
【0037】
上記第1乃至第3電源供給21、22、23は、直交判定部C14の判定結果に基づき、スイッチSs11、Ss12、Ss13が切り換えられることにより選択される。
【0038】
(回路のバイパスについて)
また、上記AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11、DC/DCコンバータ回路K12は、入力電源が交流であるか、直流であるかにより選択的に動作され、動作が停止される場合のように、動作させる必要の無い回路は、バイパスされる。
【0039】
このため、AC入力用フィルタF11の入力端にスイッチSb11が接続され、ブリッジダイオードBD11の出力端にスイッチSb12が接続され、PFC回路K11の出力端にスイッチSb14が接続され、DC/DCコンバータ回路K12の出力端にスイッチSb15が接続されている。さらに、スイッチSb12とスイッチSb14の間にスイッチSb13が接続されている。
【0040】
スイッチSb11〜Sb15は、次に示す4通りに制御され、直交判定部C14の判定結果に基づき切り換えられ、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11、DC/DCコンバータ回路K12がバイパスされる。
【0041】
図3は、スイッチSb11〜Sb15の動作状態に基づくバイパス方法の概念を示している。
【0042】
第1バイパス31は、バイパス無しの状態である。このため、スイッチSb11〜Sb15は全てオフ状態に設定される。
【0043】
第2バイパス32は、AC入力用フィルタF11、整流用ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11をバイパスする。このため、スイッチSb11はオン状態、スイッチSb12はオフ状態、スイッチSb13はオン状態、スイッチSb14はオン状態、スイッチSb15はオフ状態に設定される。
【0044】
第3バイパス33は、AC入力用フィルタF11、整流用ブリッジダイオードBD11をバイパスする。このため、スイッチSb11はオン状態、スイッチSb12はオン状態、スイッチSb13はオフ状態、スイッチSb14はオフ状態、スイッチSb15はオフ状態に設定される。
【0045】
第4バイパス34は、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、DC/DCコンバータ回路K12をバイパスする。このため、スイッチSb11はオン状態、スイッチSb12はオン状態、スイッチSb13はオフ状態、スイッチSb14はオン状態、スイッチSb15はオン状態に設定される。
【0046】
(動作説明)
図4を参照して、図1に示す電源回路の動作について説明する。
【0047】
初期状態において、スイッチSs11〜Ss12、Sc11〜Sc13、Sb11〜Sb15は、スイッチSs11のみがオン状態に設定され、スイッチSs12、Sc11〜Sc13、Sb11〜Sb15はオフ状態に設定されている。このため、第1電源供給21としての、抵抗Rs11、スイッチSs11を介して直流判定部C14のみが動作可能とされる。
【0048】
この状態において、入力端子11に交流電源又は直流電源が供給された場合、入力された交流電源又は直流電源は、AC入力用フィルタF11を介してブリッジダイオードBD11に供給される。このブリッジダイオードBD11の出力電圧は、抵抗Rs11、スイッチSs11を介して直流判定部C14に供給される。
【0049】
直流判定部C14は、PFC回路K11の抵抗Rp11、Rp12の接続ノードの電圧に基づき、入力端子11に供給された電源が交流電源であるか直流電源であるかを判別する(S11)。
【0050】
具体的には、直交判定部C14は、一定時間の間、入力電圧のレベルの変化を検出し、この検出結果に基づき、入力端子11に供給された電源が交流電源であるか直流電源であるかを判別する。この検出時間は、例えば5msとする。この時間5msは、交流電源の周波数が50Hzの場合、1/4周期分の時間となる。入力電源が直流である場合、抵抗Rp11、Rp12の接続ノードの電圧は、検出時間の間、一定である。また、入力電源が交流である場合、抵抗Rp11、Rp12の接続ノードの電圧は、脈流成分を含むため、検出時間の間、変化する。この検出結果に基づき入力電源が交流電源であるか、直流電源であるかが判別される。
【0051】
(入力電源が交流電源の場合)
上記判別の結果、入力電源が交流電源であると判別された場合、電源アダプタA11は、第1バイパス41、すなわち、バイパスが無い状態に設定され、第3電源供給23により各回路に電源が供給される。つまり、各スイッチの状態は、次のように設定される。
【0052】
スイッチSs11:オフ、スイッチSs12:オフ、
スイッチSc11:オン、スイッチSc12:オフ、スイッチSc13:オン、
スイッチSb11〜スイッチSb15:全てオフ。
【0053】
このため、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11、DC/DCコンバータ回路K12、PFC制御回路C11、第1PWM制御回路C12、第2PWM制御回路C13が動作される。この状態において、PFC回路K11は前述したPFC機能モードで動作され、DC/DCコンバータ回路K12は前述した降圧機能モードで動作される。すなわち、入力端子11に供給された交流電源は、AC入力用フィルタF11を介してブリッジダイオードBD11により整流され、この整流出力はPFC回路K11で力率が制御される。PFC回路K11の出力電圧は、DC/DCコンバータ回路K12により降圧されて出力端子12より直流電源として出力される。
【0054】
(入力電源が直流電源の場合(1))
一方、前記ステップS11において、入力電源が直流電源であると判別された場合、直交判定部C11は、予め設定されているDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値データと、電源アダプタA11の出力電圧の基準値データに基づき、各回路の動作を制御する。
【0055】
具体的には、入力端子11に供給された直流電圧(直流入力電圧)とDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値データとが比較される(S13)。この結果、直流入力電圧がDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値データ以上である場合、PFC回路K11が停止モードとされ、DC/DCコンバータ回路K12が降圧機能モードに設定される。この場合、第2電源供給22により、抵抗Rs12、スイッチSs12を介して動作すべき回路に直流電源が供給される。また、バイパスは前述した第2バイパス42に設定される(S14)。
【0056】
すなわち、直流入力電圧とDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値の関係が、(直流入力電圧 ≧ DC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値)である場合、各スイッチは次のように設定される。
【0057】
スイッチSs11:オフ、Ss12:オン、
スイッチSc11:オフ、Sc12:オフ、Sc13:オン、
スイッチSb11:オン、Sb12:オフ、Sb13:オン、Sb14:オン、Sb15:オフ。
【0058】
このため、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11がバイパスされ、入力直流電源は、DC/DCコンバータ回路K12により降圧されて出力端子12から出力される。
【0059】
(入力電源が直流電源の場合(2))
前記ステップS13の判別において、直流入力電圧とDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値の関係が、(直流入力電圧 ≧ DC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値)でないと判別された場合、電源アダプタA11の出力電圧の基準値が直流入力電圧以下であるかどうか(出力電圧の基準値 ≦ 直流入力電圧)が判別される(S15)。
【0060】
この結果、電源アダプタA11の出力電圧の基準値が直流入力電圧以下(出力電圧の基準値 ≦直流入力電圧 < DC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値)である場合、PFC回路K11が昇圧機能モードに設定され、DC/DCコンバータ回路K12が降圧機能モードに設定されて動作される(S16)。この場合、第1電源供給21により動作すべき回路に電源が供給され、バイパスは、第3バイパス43に設定される。
【0061】
すなわち、(出力電圧の基準値 ≦直流入力電圧 < DC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値)である場合、各スイッチは次のように設定される。
【0062】
スイッチSs11:オン、Ss12:オフ、
スイッチSc11:オフ、Sc12:オン、Sc13:オン、
スイッチSb11:オン、Sb12:オン、Sb13:オフ、Sb14:オフ、Sb15:オフ。
【0063】
このため、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11がバイパスされ、上述したように、第1PWM制御回路C12によりPFC回路K11が他励制御(PWM制御)され、PFC回路K11が昇圧回路として動作する。PFC回路K11により昇圧された直流電圧はDC/DCコンバータ回路K12により降圧され、出力端子12から出力される。
【0064】
(入力電源が直流電源の場合(3))
前記ステップS15の判別において、出力電圧の基準値が直流入力電圧より大きいと判別された場合、PFC回路K11が昇圧機能モードに設定され、DC/DCコンバータ回路K12が停止モードに設定される(S17)。この場合、第1電源供給21により動作すべき回路に電源が供給され、バイパスは、第4バイパス34に設定される。
【0065】
すなわち、(出力電圧の基準値 > 直流入力電圧)である場合、各スイッチは次のように設定される。
【0066】
スイッチSs11:オン、Ss12:オフ、
スイッチSc11:オフ、Sc12:オン、Sc13:オフ、
スイッチSb11:オン、Sb12:オン、Sb13:オフ、Sb14:オン、Sb15:オン。
【0067】
このため、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、DC/DCコンバータ回路K12がバイパスされ、上述したように、第1PWM制御回路C12によりPFC回路K11が他励制御(PWM制御)され、PFC回路K11が昇圧回路として動作する。PFC回路K11により昇圧された直流電圧は、出力端子12から出力される。
【0068】
尚、上記説明では、先ず、ステップ13の判別を行い、この後、ステップ15の判別を行った。しかし、これに限定されるものではなく、ステップ15の判別を行い、この後、ステップ13の判別を行うことも可能である。
【0069】
上記実施形態によれば、直交判定部C14により入力端子11に供給された電源が交流電源であるか直流電源であるかを判別し、入力電源が交流電源である場合、PFC回路K11をPFC機能モードに設定し、DC/DCコンバータ回路K12を降圧機能モードに設定して交流電源を直流電源に変換して出力端子12に出力し、入力電源が直流電源である場合、直流入力電圧とDC/DCコンバータ回路K12の入力電圧の下限値の関係、直流入力電圧と出力電圧の基準値との関係に応じて、PFC回路K11を停止モードや昇圧機能モードに設定し、DC/DCコンバータ回路K12を降圧機能モードや停止モードに設定して入力直流電源を所要の直流電源に変換して出力端子12に出力している。このため、電源アダプタA11に供給される電源が交流電源であっても直流電源であっても、電子機器に所要の直流電源を供給することができる。したがって、自然エネルギーを利用して発生された直流電源や自動車内で生成された直流電源を交流電源に変換することなく、所要の直流電源を生成することが可能であるため、変換損失を低減して、電子機器の直流電源を生成することが可能である。
【0070】
また、本実施形態の電源アダプタA11は、昇圧回路方式によるPFC回路K11を内蔵し、入力端子11に交流電源と直流電源のどちらが供給されても電子機器の動作に必要な直流電源を生成することができる。このため、交流入力、及び様々な直流入力に対応した複数の電源アダプタを用意する必要がない。したがって、1つの電源アダプタA11により、交流電源と直流電源を入力とすることができるため、電源アダプタや電子機器の小型化を測ることが可能であり、使い勝っても向上することができる。
【0071】
さらに、入力端子11に直流電源が供給された場合、PFC回路K11を昇圧機能モードで使用することにより、DC/DCコンバータK12の入力下限値未満の電圧でも動作させることが可能である。
【0072】
また、入力端子11に直流電源が供給された場合、入出力条件によって、AC入力用フィルタF11、ブリッジダイオードBD11、PFC回路K11、DC/DCコンバータ回路K12を選択的にバイパスすることにより、直流電源の変換効率を向上させることができ、省エネルギー効果を向上できる。
【0073】
さらに、入力端子11に供給される交流電源、直流電源の入出力条件によって、PFC回路K11、DC/DCコンバータ回路K12を、交流電源、直流電源の両方で使用しているため、部品点数を削減でき、装置形状を小型化でき、コストを低減することが可能である。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
A11…電源アダプタ、11…入力端子、12…出力端子、13…整流回路、BD11…ブリッジダイオード、K11…PFC回路、K12…DC/DCコンバータ回路、C11…PFC制御回路、C12…第1PWM制御回路、C14…直交判定部、Sb11〜Sb15…スイッチ、21,22,23…第1、第2、第3電源供給、31〜34…第1乃至第4バイパス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源及び直流電源の一方が入力される入力端子と、
前記入力端子に接続された整流回路と、
前記整流回路の出力電圧が供給される力率改善回路と、
前記力率改善回路から出力される直流電圧のレベルを変換するDC/DCコンバータと、
前記整流回路の出力電圧に応じて前記入力端子に供給された入力電源が交流か直流かを判定する判定部と、
前記判定部により前記入力電源が交流であると判定された場合、前記力率改善回路を力率改善モードで動作させる第1の制御部と、
前記判定部により前記入力電源が直流であると判定された場合、前記DC/DCコンバータの入力電圧に基づき前記力率改善回路を停止モード、又は昇圧モードで動作させる第2の制御部と
を具備する電源回路。
【請求項2】
前記判定部は、前記入力電源が交流であると判定された場合、前記第2の制御部を停止させて、前記第1の制御部を動作させ、前記入力電源が直流であると判定された場合、前記第1の制御部を停止させ、前記第2の制御部を動作させる請求項1記載の電源回路。
【請求項3】
前記判定部は、前記入力電源が交流であると判定された場合、前記DC/DCコンバータを動作させ、前記DC/DCコンバータは、降圧モードで動作される請求項1記載の電源回路。
【請求項4】
前記判定部は、前記入力電源が直流である場合において、入力された直流電源の電圧が前記DC/DCコンバータの入力電圧の下限値以上である場合、前記第1の制御部により前記力率改善回路を停止モードとし、前記DC/DCコンバータは降圧モードで動作される請求項1記載の電源回路。
【請求項5】
前記判定部は、前記入力電源が直流である場合において、入力された直流電源の電圧が前記DC/DCコンバータの入力電圧の下限値以上でなく、電源回路の出力電圧の基準値以上である場合、前記第1の制御部により前記力率改善回路を昇圧モードで動作させ、前記DC/DCコンバータを降圧モードで動作させる請求項1記載の電源回路。
【請求項6】
前記判定部は、前記入力電源が直流である場合において、入力された直流電源の電圧が前記DC/DCコンバータの入力電圧の下限値以上でなく、電源回路の出力電圧の基準値より小さい場合、前記第1の制御部により前記力率改善回路を昇圧モードで動作させ、前記DC/DCコンバータを停止モードとする請求項1記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152105(P2012−152105A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113317(P2012−113317)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2010−150453(P2010−150453)の分割
【原出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】