説明

電源回路

【課題】 特殊なスイッチを用いず、手動による動作停止およびコントロール回路からの制御による動作停止が可能であり、無駄な電力消費が少ない電源回路を提供する。
【解決手段】 トランスTおよび整流・電源回路210は、給電線101および103間の交流電圧に基づいて負荷400に直流電圧を出力する。第1の整流回路110は、給電線101および102間の交流電圧を整流して直流電圧VRを発生する。スイッチ制御回路130は、直流電圧VRが立ち上がったとき、およびLED221からの電源ON指示信号が与えられる間、給電線102および103間のNチャネルトランジスタQ1をONさせる。コントロール回路220は、整流・電源回路210の出力する直流電圧が立ち上がったとき、LED221による電源ON指示信号の出力を開始し、負荷400への電圧供給の停止を指令するイベントが発生したとき電源ON指示信号の出力を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家電製品等に設けられる電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の節約等の観点から家電製品のための電源回路には、電源スイッチの手動操作に応じてON/OFFする他、家電製品の制御部からの制御によりOFF状態に切り換わる機能が求められている。図6はこの種の電源回路の構成例を示す回路図である。図6に示すように、この電源回路は、メイントランスMTとサブトランスSTとを備えている。ここで、メイントランスMTの1次側コイルと交流電源1との間にはリレースイッチ17が介挿されている。また、メイントランスMTの2次側コイルには、2次側コイルに発生する交流電圧を整流し、かつ、安定化することにより負荷19に供給する直流電圧を発生する整流・電源回路18が接続されている。負荷19は、この電源回路から電力の供給を受ける家電製品の各部の回路である。一方、サブトランスSTの1次側コイルと交流電源1との間には手動操作によりON/OFF切り換えがなされるスイッチ11が介挿されている。また、サブトランスSTの2次側コイルには、ダイオード12および電解コンデンサ13からなる半波整流回路が接続されている。この半波整流回路は、サブトランスSTの2次側コイルに発生する交流電圧を半波整流し、かつ、平滑化することにより、直流電圧を給電線21および22間に出力する。コントロール回路14は、この電源回路を制御するための回路であり、給電線21および22間に発生する直流電圧を電源電圧として動作する。給電線21および22間には、このコントロール回路14の他、リレースイッチ17をONさせる磁力を発生する電磁コイル15と、NPNトランジスタ16が直列に介挿されている。コントロール回路14は、このNPNトランジスタ16のON/OFF制御を行う。
【0003】
このような構成において、スイッチ11がOFFからONに切り換えられると、サブトランスSTに交流電源1からの交流電圧が供給され、給電線21および22間の直流電圧が立ち上がる。そして、給電線21および22間の直流電圧が立ち上がると、コントロール回路14は、動作を開始し、NPNトランジスタ16に対するベース電流の供給を開始する。これによりNPNトランジスタ16がONとなって電磁コイル15に電流が流れ、リレースイッチ17がONとなる。この結果、交流電源1からの交流電圧がメイントランスMTに供給され、整流・電源回路18から負荷19への電源電圧の供給が開始される。
【0004】
例えば現在時刻が予め設定された動作停止時刻になった場合等、家電製品への電力供給を停止すべきイベントが発生した場合、コントロール回路14は、NPNトランジスタ16に対するベース電流の供給を停止し、電磁コイル15による磁力の発生を停止させる。これによりリレースイッチ17がOFFとなって、負荷19への電源電圧の供給が断たれる。
【0005】
また、スイッチ11およびリレースイッチ17の両方がONの状態において、スイッチ11がONからOFFに切り換えられた場合、交流電源1からサブトランスSTへの交流電圧の供給が断たれ、給電線21および22間の直流電圧が立ち下がる。この結果、電磁コイル15に電流が流れなくなって、リレースイッチ17がOFFとなり、負荷19への電源電圧の供給が断たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−92743号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“J8型スイッチ(パワーロッカーPRシリーズ)リセット機能付き リフレッシュタイプ”、[平成23年3月22日検索]、インターネット<URL: http://panasonic-denko.co.jp/ac/j/control/switch/operation/j8-re/index.jsp>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の電源回路は、コントロール回路14からの制御によりリレースイッチ17をOFFに切り換えて交流電源1からメイントランスMTへの電力供給を断つことができるが、その後、ユーザがスイッチ11をOFFにしない限り、交流電源1からの交流電圧がサブトランスSTに供給されるため、無駄な電力消費が発生する。
【0009】
この問題を解決するために、例えば特許文献1に開示されているように、スイッチ11として、手動によりON/OFF切り換えが可能であるとともに、通電によりONからOFFへの切り換えが可能な構成のものを使用することも考えられる。なお、この種のスイッチは、例えば非特許文献1にも開示されている。このようなスイッチ11を採用した場合、コントロール回路14は、リレースイッチ17をOFFに切り換えるときに同時にスイッチ11もOFFにすることにより、メイントランスMTおよびサブトランスSTの両方への電力供給を断つことができる。
【0010】
しかしながら、このように手動によりON/OFF切り換えが可能であり、かつ、通電によりONからOFFへの切り換えが可能なスイッチは、一般的に高価であり、このようなスイッチを用いると、家電製品のコストが嵩むという問題がある。
【0011】
本発明は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、上記のような特殊なスイッチを用いることなく、手動による動作停止およびコントロール回路からの制御による動作停止が可能であり、無駄な電力消費が少ない電源回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、線間に交流電圧が与えられる第1および第2の給電線と、第3の給電線と、前記第1および第3の給電線間に発生する交流電圧に基づいて負荷に供給する直流電圧を出力する直流電圧発生手段と、前記第2および第3の給電線間に介挿された給電線間スイッチと、前記第1および第2の給電線間に発生する交流電圧を整流して直流電圧を発生する第1の整流回路と、前記第1の整流回路の出力する直流電圧が立ち上がったとき、および電源ON指示信号が与えられる期間、前記給電線間スイッチをONさせるスイッチ制御回路と、前記直流電圧発生手段の出力する直流電圧が立ち上がったとき、前記電源ON指示信号の出力を開始し、前記負荷への電圧供給の停止を指令するイベントが発生したとき前記電源ON指示信号の出力を停止するコントロール回路とを具備することを特徴とする電源回路を提供する。
【0013】
かかる発明によれば、第1および第2の給電線間の交流電圧が立ち上がると、第1の整流回路の出力する直流電圧が立ち上がり、スイッチ制御回路は、給電線間スイッチをONにして、第3の給電線を第2の給電線に接続する。この結果、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がり、直流電圧発生手段は、負荷に供給する直流電圧を立ち上げる。直流電圧発生手段の出力する直流電圧が立ち上がると、コントロール回路は、電源ON指示信号の出力を開始する。これにより給電線間スイッチは、ON状態を継続する。負荷への電圧供給の停止を指令するイベントが発生すると、コントロール回路は、電源ON指示信号の出力を停止する。これにより給電線間スイッチはOFFとなり、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち下がり、直流電圧発生手段から負荷への直流電圧の供給が停止される。この状態では、第1の整流回路のみが電力を消費する。この第1の整流回路は、給電線間スイッチをONにする程度の電力を発生可能なものであればよいので、消費電力を低く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】同実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図3】この発明の第2実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図4】この発明の第3実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図5】この発明の第4実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図6】従来の電源回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である電源回路300の構成を示す回路図である。この電源回路300は、トランスTと、トランスTの1次側コイルL1に接続された1次側回路100と、トランスTの2次側コイルL2に接続された2次側回路200とを有する。
【0016】
まず、1次側回路100の構成を説明する。1次側回路100において、第1の給電線101は、電源スイッチSW1を介して交流電源1の一方の出力端子に接続され、第2の給電線102は交流電源1の他方の出力端子に接続されている。これらの第1の給電線101および第2の給電線102の線間には、電源スイッチSW1がONとなることにより、交流電源1からの交流電圧が与えられる。第1の給電線101は、トランスTの一次側コイルL1の一端に接続されている。そして、1次側コイルL1の他端には第3の給電線103が接続されている。
【0017】
第1の給電線101と第2の給電線102との間には第1の整流回路110が介挿されている。この第1の整流回路110は、第1の給電線101と第2の給電線102との間に発生する交流電圧を整流して直流電圧VRを発生する回路である。第3の給電線103と第2の給電線102との間には第2の整流回路120が介挿されている。この第2の整流回路120は、第3の給電線103と第2の給電線102との間の接続/非接続を切り換えるための給電線間スイッチとして、NチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造の電界効果トランジスタ。以下、単にトランジスタという。)Q1を含む。さらに1次側回路100は、給電線間スイッチたるNチャネルトランジスタQ1のON/OFFを制御するスイッチ制御回路130を含む。
【0018】
第1の整流回路110は、コンデンサC1と、抵抗R1およびR3と、ダイオードD1、D2およびD6と、ツェナーダイオードD3と、電解コンデンサC2とにより構成されている。ここで、コンデンサC1は、一方の電極が第1の給電線101に接続され、他方の電極がダイオードD2のカソードに接続されている。そして、ダイオードD2のアノードは第2の給電線102に接続されている。抵抗R1は、一端がダイオードD2のカソードとコンデンサC1の電極との接続点に接続され、他端がダイオードD1のアノードに接続されている。このダイオードD1のカソードは、電解コンデンサC2の正極、ツェナーダイオードD3のカソードおよび抵抗R3の一端に接続されている。そして、電解コンデンサC2の負極、ツェナーダイオードD3のアノードおよび抵抗R3の他端は、ダイオードD6のアノードに接続され、このダイオードD6のカソードは第2の給電線102に接続されている。
【0019】
この構成において、第1の給電線101および第2の給電線102の線間に正の半波(第1の給電線101側が正極、第2の給電線102側が負極となる半波)が出力される期間は、コンデンサC1、抵抗R1、ダイオードD1およびD6を介して電解コンデンサC2および抵抗R3に電流が流れ、電解コンデンサC2の充電が行われるとともに、正の半波によるコンデンサC1の充電が行われる(矢印Y1)。その際、ツェナーダイオードD3は、電解コンデンサC2の充電電圧を所定のツェナー電圧以内に制限する役割を果たす。一方、第1の給電線101および第2の給電線102の線間に負の半波(第1の給電線101側が負極、第2の給電線102側が正極となる半波)が出力される期間は、ダイオードD2を介して負の半波によるコンデンサC1の充電が行われる。このような整流が行われることによりダイオードD1のカソードにツェナーダイオードD3のツェナー電圧に応じた直流電圧VRが発生する。
【0020】
第2の整流回路120は、ダイオードD4、D5、D6およびD7と、NチャネルトランジスタQ1とにより構成されている。この第2の整流回路120と上述した第1の整流回路110は、ダイオードD6を共有している。ダイオードD4のカソードおよびダイオードD5のアノードは、第3の給電線103に接続されている。ダイオードD6のカソードおよびダイオードD7のアノードは、第2の給電線102に接続されている。ダイオードD5のカソードとダイオードD7のカソードは、NチャネルトランジスタQ1のドレインに接続されている。このNチャネルトランジスタQ1が形成されたP型半導体基板とこのNチャネルトランジスタQのソースは共通接続されており、この共通接続点にはダイオードD4のアノードとダイオードD6のアノードが接続されている。
【0021】
この第2の整流回路120では、NチャネルトランジスタQ1がONとなることにより、第3の給電線103から第2の給電線102へと電流を流す第1の電流路と、第2の給電線102から第3の給電線102へと電流を流す第2の電流路とが形成される。ここで、第1の電流路は、第3の給電線103→ダイオードD5→NチャネルトランジスタQ1→ダイオードD6→第2の給電線102という経路(矢印RT1)である。第2の電流路は、第2の給電線102→ダイオードD7→NチャネルトランジスタQ1→ダイオードD4→第3の給電線103という経路(矢印RT2)である。第1の給電線101および第2の給電線102間に正の半波が出力される間は、第3の給電線103から第1の電流路(矢印RT1)を経由して第2の給電線102に電流が流れる。第1の給電線101および第2の給電線102間に負の半波が出力される間は、第2の給電線102から第2の電流路(矢印RT2)を経由して第3の給電線103に電流が流れる。
【0022】
スイッチ制御回路130は、コンデンサC3と、抵抗R2およびR4と、フォトトランジスタQ2と、ダイオードD8とにより構成されている。コンデンサC3は、一方の電極がダイオードD1のカソードに接続され、他方の電極が抵抗R2の一端に接続されている。この抵抗R2の他端はNチャネルトランジスタQ1のソースに接続されている。コンデンサC3と抵抗R2との接続点は、抵抗R4を介してNチャネルトランジスタQ1のゲートに接続されている。そして、コンデンサC3および抵抗R2は、第1の整流回路110のダイオードD1のカソードから出力される直流電圧VRが立ち上がるとき、微分パルスDPをNチャネルトランジスタQ1のゲートに供給してNチャネルトランジスタQ1をONさせる微分回路を構成している。
【0023】
フォトトランジスタQ2は、コレクタがダイオードD1のカソードに接続され、エミッタがコンデンサC3、抵抗R2およびR4の共通接続点に接続されている。このフォトトランジスタQ2は、2次側回路200に設けられたLED221とともにフォトカプラを構成している。さらに詳述すると、フォトトランジスタQ2は、LED221から電源ON指示信号たる出力光が与えられることによりONとなり、第1の整流回路110が出力する直流電圧VRをNチャネルトランジスタQ1のゲートに供給してNチャネルトランジスタQ1をONさせるスイッチとして機能する。
【0024】
ダイオードD8は、アノードがNチャネルトランジスタQ1のソースに接続され、カソードが抵抗R2、R4、コンデンサC3およびフォトトランジスタQ2のエミッタの共通接続点に接続されている。このダイオードD8は、NチャネルトランジスタQ1のゲートに負のサージ電圧が加わるのを防止する役割を果たす。
以上が1次側回路100の構成である。
【0025】
次に2次側回路200の構成を説明する。2次側回路200において、整流・電源回路210は、2次側コイルL2の両端間に発生する交流電圧を整流し、かつ、安定化することにより、第4の給電線201および第5の給電線202間に直流電圧を発生する。そして、第4の給電線201および第5の給電線202間には、平滑用の電解コンデンサC4が介挿されるとともに、本実施形態による電源回路300の負荷400が介挿されている。本実施形態では、トランスTと、整流・電源回路210と、電解コンデンサC4が、第1の給電線101および第3の給電線103の線間の交流電圧に基づいて負荷400に供給する直流電圧を発生する直流電圧発生手段を構成している。
【0026】
第4の給電線201にはLED221のアノードが接続されており、このLED221のカソードはコントロール回路220に接続されている。コントロール回路220は、この電源回路300の全体を制御する回路であり、第4の給電線201および第5の給電線202間に発生する直流電圧を電源電圧として動作する。このコントロール回路220は、次の制御機能を有している。
【0027】
a.第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がって動作を開始した後、LED221に電源ON指示信号(光)を継続的に出力させ、給電線間スイッチたるNチャネルトランジスタQ1を継続的にONさせる。
b.第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がっており、NPNトランジスタQ1をONさせている期間内に、例えばタイマの計時終了等、電源回路300を停止させるべきイベントが発生したことを検知した場合に、LED221による電源ON指示信号(光)の出力を停止させ、給電線間スイッチたるNPNトランジスタQ1をOFFさせる。
以上が2次側回路200の構成である。
【0028】
次に図2に示すタイムチャートを参照し、本実施形態の動作を説明する。電源スイッチSW1がOFFからONに切り換わると、第1の給電線101および第2の給電線102間に交流電源1からの交流電圧が出力される。そして、第1の整流回路110によりこの交流電圧の整流が開始され、ダイオードD1のカソードから出力される直流電圧VRが立ち上がる。
【0029】
この直流電圧VRの立ち上がりにより抵抗R2の両端から微分パルスDPが発生してNチャネルトランジスタQ1のゲートに与えられ、NチャネルトランジスタQ1がONとなる。これにより第2の整流回路120内に第3の給電線103から第2の給電線102へと電流を流す第1の電流路(図1の矢印RT1)と第2の給電線102から第3の給電線103へと電流を流す第2の電流路(図1の矢印RT2)とが形成され、これらの各電流路を介すことにより第1の給電線101および第2の給電線102間の交流電圧がトランスTの1次側コイルL1に供給される。この結果、トランスTの2次側コイルL2に交流電圧が発生し、第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧V2が立ち上がる。
【0030】
この直流電圧V2が立ち上がることによりコントロール回路220は動作を開始し、LED221を発光させる。このLED221の出力光は電源ON指示信号としてフォトトランジスタQ2に与えられ、フォトトランジスタQ2がONとなる。この結果、フォトトランジスタQ2を介して電圧VRがNチャネルトランジスタQ1のゲートに与えられ、NチャネルトランジスタQ1はON状態を維持する。以後、コントロール回路220は、継続的にLED221を発光させる。このため、1次側回路100では、NチャネルトランジスタQ1がON状態を継続し、交流電源1の交流電圧が継続的にトランスTの1次側コイルL1に供給される。
【0031】
その後、例えばタイマの計時終了等、電源回路300を停止させるべきイベントが発生したことを検知した場合、コントロール回路220は、LED221を消灯させる。この結果、フォトトランジスタQ2がOFFとなり、NチャネルトランジスタQ1に対するゲート電圧が低下し、NチャネルトランジスタQ1がOFFになる。NチャネルトランジスタQ1がOFFになると、第2の整流回路120では上述した第1および第2の電流路が切断される。この結果、トランスTの1次側コイルL1に対する交流電圧の供給が断たれ、2次側回路200では第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧V2が立ち下がる。以後発生する消費電力は、1次側回路100の第1の整流回路110の消費電力が主なものであり、極僅かである。
【0032】
そして、電源スイッチSW1がOFFに切り換えられると、第1の整流回路110の動作も停止し、直流電圧VRが立ち下がる。この状態では消費電力は0となる。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、上述した特許文献1、非特許文献1に開示されているような特殊なスイッチを用いることなく、手動による動作停止およびコントロール回路からの制御による動作停止が可能であり、無駄な電力消費が少ない電源回路を実現することができる。
【0034】
<第2実施形態>
図3はこの発明の第2実施形態である電源回路300Aの構成を示す回路図である。なお、この図において、上記第1実施形態(図1)のものと対応する部分には共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
上記第1実施形態における電源回路300は、トランスTを有していた。これに対し、本実施形態における電源回路300は、トランスTを有しておらず、第1の給電線101および第3の給電線103が整流・電源回路210に接続されている。本実施形態では、この整流・電源回路210および電解コンデンサC4が第1の給電線101および第3の給電線103間に発生する交流電圧に基づいて負荷400に供給する直流電圧を発生する直流電圧発生手段として機能する。他の点は上記第1実施形態と同様である。
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0036】
<第3実施形態>
図4はこの発明の第3実施形態である電源回路300Bの構成を示す回路図である。なお、この図において、上記第1実施形態(図1)のものと対応する部分には共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、上記第1実施形態における1次側回路100が1次側回路100Bに置き換えられている。上記第1実施形態では、第2の給電線としての給電線102が給電線間スイッチたるNチャネルトランジスタQ1を介して第3の給電線103に接続されていた。これに対し、本実施形態では、上記第1実施形態における給電線102および103に相当するものが短絡されて給電線102となっており、トランスTの1次側コイルL1の一端に直接接続され、本発明における第1の給電線として機能する。そして、電解コンデンサC2の一方の電極、ツェナーダイオードD3のアノード、抵抗R3の一端、NチャネルトランジスタQ1のソース、ダイオードD8のアノードおよび抵抗R2の一端は、この給電線102に接続されている。また、本実施形態では、給電線101が第2の給電線として機能し、この給電線101は給電線間スイッチとして機能するリレースイッチ122と第3の給電線103’を直列に介して1次側コイルL1の他端に接続されている。
【0038】
そして、この1次側回路100Bでは、上記第1実施形態における第2の整流回路120がリレー回路120Bに置き換えられている。このリレー回路120Bは、上記第1実施形態と同様にスイッチ制御回路130からゲート電圧の供給を受けるNチャネルトランジスタQ1と、ダイオードD11と、電解コンデンサC11と、電磁コイル121と、ダイオードD12とを有する。ここで、ダイオードD11のアノードは給電線101に接続され、電解コンデンサC11はこのダイオードD11のカソードと給電線102との間に介挿されている。電磁コイル121は、通電によりリレースイッチ122をONさせる磁力を発生するコイルであり、ダイオードD11のカソードとNチャネルトランジスタQ1のドレインとの間に介挿されている。ダイオードD12は、カソードがダイオードD11のカソードに接続され、アノードがNチャネルトランジスタQ1のドレインに接続されている。このダイオードD12は、NチャネルトランジスタQ1がONからOFFに切り換わったときに、電磁コイル121に蓄積された電気エネルギーを放出させるフライバックダイオードである。
【0039】
以上の構成において、ダイオードD11および電解コンデンサC11は、電源スイッチSW1がONである期間、給電線101および102間の交流電圧を整流し、電磁コイル121およびNチャネルトランジスタQ1からなる回路に電源電圧となる直流電圧を供給する。NチャネルトランジスタQ1は、上記第1実施形態と同様、電源スイッチSW1がONとなって微分パルスDPがゲートに与えられた場合にONになる。そして、NチャネルトランジスタQ1がONになると、電解コンデンサC11に蓄積された電荷が電磁コイル121およびNチャネルトランジスタQ1を介して放電し、電磁コイル121がリレースイッチ122をONさせる磁力を発生する。これにより給電線101および103’が接続され、交流電源1からの交流電圧が1次側コイルL1に供給され、2次側回路200の給電線201および202間の直流電圧が立ち上がる。このようにして給電線201および202間の直流電圧が立ち上がると、コントロール回路220は、動作を開始し、LED221を発光させる。このLED221の出力光は、電源ON指示信号としてフォトトランジスタQ2に与えられ、フォトトランジスタQ2がONになる。これによりNチャネルトランジスタQ1がONとなり、リレースイッチ122が継続的にONとなる。以上が本実施形態の動作である。
【0040】
上記第1実施形態では、NチャネルトランジスタQ1自体が給電線間スイッチとして機能したが、本実施形態では、リレースイッチ122が給電線間スイッチとして機能し、NチャネルトランジスタQ1はこの給電線間スイッチのON/OFF制御を行う。この点が上記第1実施形態との相違点である。
【0041】
上記第1実施形態では、1次側コイルL1に対する入力交流電圧に第2の整流回路120のダイオードD4〜D7やNチャネルトランジスタQ1の電圧降下損が生じるが、本実施形態では、給電線間スイッチとしてメカニカルな給電線間スイッチ122を使用するので、この電圧降下損を減らすことができるという利点がある。
【0042】
<第4実施形態>
図5はこの発明の第4実施形態である電源回路300Cの構成を示す回路図である。本実施形態では、上記第1実施形態における1次側回路100が1次側回路100Cに置き換えられている。上記第1実施形態では、第2の給電線としての給電線102が給電線間スイッチたるNチャネルトランジスタQ1を介して第3の給電線103に接続されていた。これに対し、本実施形態では、給電線102がトランスTの1次側コイルL1の一端に直接接続され、本発明における第1の給電線として機能する。そして、電解コンデンサC2の一方の電極、ツェナーダイオードD3のアノード、抵抗R3の一端、NチャネルトランジスタQ1のソース、ダイオードD8のアノードおよび抵抗R2の一端は、ダイオードD6のアノードに共通接続され、このダイオードD6のカソードが給電線102に接続されている。また、上記第1実施形態では、交流電源1は電源スイッチSW1を介して給電線101に接続されていたが、本実施形態では交流電源1は給電線101に直接接続されている。そして、電源スイッチSW1は、交流電源1と第1の整流回路110との間に介挿されている。また、本実施形態において、給電線101は本発明における第2の給電線として機能し、この給電線101は給電線間スイッチとして機能するリレースイッチ122と第3の給電線103’を直列に介して1次側コイルL1の他端に接続されている。
【0043】
そして、この1次側回路100Cでは、上記第1実施形態における第2の整流回路120がリレー回路120Cに置き換えられている。このリレー回路120Cは、上記第1実施形態と同様にスイッチ制御回路130からゲート電圧の供給を受けるNチャネルトランジスタQ1と、ダイオードD4〜D7と、電磁コイル121とを有している。ここで、ダイオードD4〜D7およびNチャネルトランジスタQ1の接続関係は、上記第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、ダイオードD4のカソードおよびダイオードD5のアノードの共通接続点と給電線101との間に電磁コイル121が介挿されている。この電磁コイル121は、交流電流が通電されることによりリレースイッチ122をONさせる磁力を発生するコイルである。
【0044】
本実施形態では、給電線101および102間に交流電源1からの交流電圧が常時出力されているが、リレースイッチ122がOFFの状態では、1次側コイルL1に交流電圧は印加されない。また、電源スイッチSW1がOFFの状態では、第1の整流回路110に交流電圧は印加されない。
【0045】
電源スイッチSW1がONになると、第1の整流回路110に交流電源1からの交流電圧が印加され、微分パルスDPがNチャネルトランジスタQ1のゲートに供給される。上記第1実施形態と同様、NチャネルトランジスタQ1は、この微分パルスDPがゲートに与えられた場合にONになる。このNチャネルトランジスタQ1がONになると、リレー回路120Cは、全波整流回路としての動作を開始する。さらに詳述すると、給電線101側が正極、給電線102側が負極となる正の半波が給電線101および102間に出力される期間は、給電線101→電磁コイル121→ダイオードD5→NチャネルトランジスタQ1→ダイオードD6→給電線102という第1の電流路を介して電流が流れる。また、給電線101側が負極、給電線102側が正極となる負の半波が給電線101および102間に出力される期間は、給電線102→ダイオードD7→NチャネルトランジスタQ1→ダイオードD4→電磁コイル121→給電線101という第2の電流路を介して電流が流れる。
【0046】
このようにして電磁コイル121に電流が流れると、電磁コイル121が発生する磁力によりリレースイッチ122がONとなる。これにより給電線101および103’が接続され、交流電源1からの交流電圧が1次側コイルL1に供給され、2次側回路200の給電線201および202間の直流電圧が立ち上がる。このようにして給電線201および202間の直流電圧が立ち上がると、コントロール回路220は、動作を開始し、LED221を発光させる。このLED221の出力光は、電源ON指示信号としてフォトトランジスタQ2に与えられ、フォトトランジスタQ2がONになる。これによりNチャネルトランジスタQ1がONとなり、リレースイッチ122が継続的にONとなる。以上が本実施形態の動作である。
【0047】
本実施形態においても上記第3実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、交流電源1と1次側コイルL1との間にリレースイッチ122しか介挿されていないので、上記第3実施形態よりも、さらに1次側回路100Cの電圧降下損を減らすことができるという利点がある。
【0048】
<他の実施形態>
以上、この発明の各実施形態について説明したが、これ以外にも、この発明には他の実施形態が考えられる。例えば上記第1および第2実施形態では、MOSFETを給電線間スイッチとして使用したが、接合型の電界効果トランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の他の種類の半導体スイッチを使用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
300,300A,300B,300C……電源回路、110……第1の整流回路、120……第2の整流回路、120B,120C……リレー回路、Q1……Nチャネルトランジスタ、130……スイッチ制御回路、T……トランス、210……電源・整流回路、221……LED、Q2……フォトトランジスタ、220……コントロール回路、400……負荷、1……電源、SW1……電源スイッチ、101,102,103,103’,201,202……給電線、121……電磁コイル、122……リレースイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線間に交流電圧が与えられる第1および第2の給電線と、
第3の給電線と、
前記第1および第3の給電線間に発生する交流電圧に基づいて負荷に供給する直流電圧を出力する直流電圧発生手段と、
前記第2および第3の給電線間に介挿された給電線間スイッチと、
前記第1および第2の給電線間に発生する交流電圧を整流して直流電圧を発生する第1の整流回路と、
前記第1の整流回路の出力する直流電圧が立ち上がったとき、および電源ON指示信号が与えられる期間、前記給電線間スイッチをONさせるスイッチ制御回路と、
前記直流電圧発生手段の出力する直流電圧が立ち上がったとき、前記電源ON指示信号の出力を開始し、前記負荷への電圧供給の停止を指令するイベントが発生したとき前記電源ON指示信号の出力を停止するコントロール回路と
を具備することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記第2および第3の給電線間に介挿された整流回路であって、前記給電線間スイッチとして、前記第2および第3の給電線間の接続/遮断の切り換えを行うトランジスタを含む第2の整流回路を具備することを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記直流電圧発生手段は、1次側コイルと2次側コイルとを有し、前記第1および第3の給電線間の交流電圧が前記1次側コイルに与えられるトランスと、前記トランスの2次側コイルに発生する交流電圧に基づいて前記負荷に供給する直流電圧を発生する整流・電源回路とを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210123(P2012−210123A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75394(P2011−75394)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】