電源装置、及び画像形成装置
【課題】本構成を有しない場合と比較して、電源装置内の異常状態をより正確に判定(検出)する。
【解決手段】入力部16に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出するゼロクロス検出部16dと、入力部16と配線を介して接続され、かつ入力部16から配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力するダイオードブリッジ18b、及び出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給するDC/DCコンバータ18cを備えた直流電源生成部18と、ゼロクロス検出部16dで領域が検出された際にダイオードブリッジ18bの前の部位の交流電圧を検出する電圧検出部20と、電圧検出部20で検出された電圧の電圧値が、配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、配線に接触不良の異常が発生していると判定するコントローラ22とを備える。
【解決手段】入力部16に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出するゼロクロス検出部16dと、入力部16と配線を介して接続され、かつ入力部16から配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力するダイオードブリッジ18b、及び出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給するDC/DCコンバータ18cを備えた直流電源生成部18と、ゼロクロス検出部16dで領域が検出された際にダイオードブリッジ18bの前の部位の交流電圧を検出する電圧検出部20と、電圧検出部20で検出された電圧の電圧値が、配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、配線に接触不良の異常が発生していると判定するコントローラ22とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着器の温度を検出するサーミスタ、機内の温度を検出するサーミスタ、機外の温度を検出するサーミスタ、AC入力電源の入力電圧検出手段、装置内のDC電圧検出手段等により事故解析に必要な情報を検知し、この情報を記憶制御手段を介して記憶装置に格納する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−254309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、本構成を有しない場合と比較して、電源装置内の異常状態をより正確に判定(検出)することができる電源装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0006】
また、上記目的を達成するために、請求項2記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項3記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0008】
また、上記目的を達成するために、請求項4記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0009】
請求項5記載の発明の電源装置は、前記異常判定手段で前記異常が発生していると判定された場合の前記電圧値の時系列情報を記憶するように制御する記憶制御手段を更に備えるようにしたものである。
【0010】
請求項6記載の発明の電源装置は、前記異常判定手段で判定された異常の内容を報知するように制御する報知制御手段を更に備えるようにしたものである。
【0011】
請求項7記載の発明の画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の電源回路を含むように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、及び請求項7に記載の各発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、電源装置内の異常状態をより正確に判定(検出)することができる、という効果を有する。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、時系列情報からどのように電圧値が変化していったかを把握することができ、ひいては、異常状態を解析することができる、という効果を有する。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、異常状態であることをユーザ等が把握することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態における電源装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態のゼロクロス信号を示す図である。
【図3】接触不良の異常が発生した場合を示す図である。
【図4】接触不良の異常が発生した場合の電圧を示す図である。
【図5】断線の異常が発生した場合を示す図である。
【図6】断線の異常が発生した場合の電圧を示す図である。
【図7】本実施の形態における電源装置のコントローラの概略構成図である。
【図8】本実施の形態における電源装置のコントローラが実行する異常判定処理のフローチャートである。
【図9】異常判定処理を説明するための図である。
【図10】異常判定処理を説明するための図である。
【図11】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を画像形成装置に備えられた電源装置に適用した場合の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態における画像形成装置の電源装置10の概略構成図である。図1に示すように、電源装置10は、商用電源(例えばAC100V)の電力を供給するためのコンセント12に電源コード14のプラグ14aを差し込むと共に、電源コード14のプラグ14bをインレット16aに接続することで、電源装置10に商用電源から電力が供給される。すなわち、詳細を以下で説明する入力部10に交流電源から交流電圧が印加されることで、交流電源から交流電圧が電源装置10に入力される。
【0018】
電源装置10は、入力部16、直流電源生成回路(LVPS)18、及びコントローラ22を備えている。
【0019】
入力部16は、インレット16a、GFI16b、ノイズフィルタ(N/F)16c、及びゼロクロス検出部16dを備えている。なお、以下「ゼロクロス」を「零交差点」と称する場合がある。
【0020】
インレット16aには、電源コード14を介して交流電力が供給される。すなわち、インレット16aに交流電源から交流電圧が印加される(インレット16aに交流電圧が入力される)。GFI16bは、いわゆるブレーカとしての機能を有しており、ノイズフィルタ16cはノイズを除去する機能を有する。
【0021】
また、ゼロクロス検出部16dは、入力部16の電源供給ラインと電気的に接続されており、交流電源から入力部16dに印加されている交流電圧が電圧0(零交差点)を通過するタイミングを検出し、図2に示すように、この零交差点を含む予め定められた領域をオン(例えば、HIGH)信号のゼロクロス信号として、詳細を以下で説明する電圧検出部20及びコントローラ22に出力する。すなわち、ゼロクロス検出部16dから出力される信号の状態がオンの状態を示している場合には、交流電源から入力部16dに印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域が検出されたタイミングであると考えることができる。図1に示すように、商用電源ライン(ホットライン/ニュートラルライン)70の部位72a、部位72bで分岐した配線がゼロクロス検出部16dに接続されている。
【0022】
このようにしてインレット16aに入力された交流電力は、GFI16b、ノイズフィルタ16cを経由して、配線(商用電源ライン(ホットライン/ニュートラルライン))90を介して直流電源生成回路18に出力される。すなわち、本実施の形態の入力部16は、交流電源から交流電圧を入力するためのものであり、ゼロクロス検出部16dは、入力部16に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する。なお、ゼロクロス検出部16dは、本発明の零交差点検出手段に対応する。
【0023】
直流電源生成回路18は、入力部16と配線90を介して電気的に接続されている。直流電源生成回路18は、電圧検出部20、及び整流平滑回路18aを含んで構成されている。
【0024】
電圧検出部20は、整流平滑回路18aのダイオードブリッジ18bより電力供給方向に対して前側に設けられており、これにより、電圧検出部20によって、ダイオードブリッジ18bより前の部位の交流電圧が検出される。電圧検出部20は、入力部16と配線90を介して電気的に接続されており、また、ゼロクロス検出部16dと接続されている。
【0025】
電圧検出部20は、スイッチ20a及び分圧抵抗20bを含んで構成されている。スイッチ20aは、ゼロクロス検出部16dからのオン状態のゼロクロス信号が入力された場合に、オンされて、スイッチ20aに直列に接続された分圧抵抗20bを介して配線90のホットライン90aとニュートラルライン90bとを接続する。なお、スイッチ20aには、例えば、FETやTRIAC等を用いることができる。ここで、分圧抵抗20bの抵抗値の値は、上記の各部を接続する配線(例えば、配線90)に接触不良や断線等の異常が発生していない通常の状態である場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときに、スイッチ20aと分圧抵抗20bとの間の部位20cの電圧の電圧値(本実施の形態では、ゼロクロス信号がオンの間のピーク電圧)が予め定められた値(例えば、5V)となるように定められている。分圧抵抗20の抵抗値の値として、例えば、10Ωが用いられる。
【0026】
また、配線90には、整流平滑回路18aが接続されている。また、上記部位20cには、コントローラ22が接続されている。なお、分圧抵抗20に、可変抵抗を用いて、適切な抵抗値を設定可能なようにしてもよい。
【0027】
ここで、例えば、図3に示すように、配線90に接触不良が発生して、その部分の抵抗値が高くなった場合(図3の例では略1Ω)に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときには、図4に示すように、部位20cの電圧の電圧値が5Vより小さくなり、例えば、4.5Vとなる。
【0028】
また、例えば、図5に示すように、配線90が断線した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときには、図6に示すように、部位20cの電圧の電圧値が5Vより著しく小さくなり、例えば、0Vとなる。
【0029】
整流平滑回路18aは、ダイオードブリッジ18b、及びDC/DCコンバータ18cを備えている。
【0030】
ダイオードブリッジ18bは、入力部16から入力された交流電力を全波整流してDC/DCコンバータ18cに出力する。DC/DCコンバータ18cは全波整流された電力を平滑化して直流電力に変換して負荷92に供給する。これにより、負荷92に直流電力が供給される。ここで、負荷は、例えば、画像形成を行う際に用いられるモータやソレノイドなどである。すなわち、ダイオードブリッジ18bは、入力部16から入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を配線70を介してDC/DCコンバータ18cに出力する。また、DC/DCコンバータ18cは、ダイオードブリッジ18bから出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷92に供給する。なお、ダイオードブリッジ18bは本発明の整流部に対応し、DC/DCコンバータ18cは本発明の直流電圧供給部に対応し、直流電源生成回路18は本発明の直流電源生成部に対応する。
【0031】
コントローラ22は、図7に示すように、ROM(Read Only Memory)22a、RAM(Random Access Memory)22b、CPU(Central Processing Unit)22c、A/D変換部22d、及びI/O(入出力)ポート22eを含んで構成されており、画像形成装置全体の制御を司る。これら、ROM22a、RAM22b、CPU22c、A/D変換部22d、及びI/Oポート22eは、互いにバス22fを介して接続されている。
【0032】
記憶媒体としてのROM22aには、OS等の基本プログラムが記憶されている。また、ROM22aには、詳細を以下で説明する異常判定処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0033】
CPU22cは、各プログラムをROM22aから読み出して処理を実行する。RAM22bには、各種データが一時的に記憶される。
【0034】
A/D変換部22dには、スイッチ20の部位20cが配線を介して接続されている。A/D変換部22dは、部位20cから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU22cに出力する。なお、本実施の形態では、A/D変換部22dからCPU22cに出力されるデジタル信号は、上記部位20cの電圧の電圧値を示す。
【0035】
I/Oポート22eには、ゼロクロス検出部16dが配線を介して接続されている。
【0036】
次に、コントローラ22のCPU22cが実行する異常判定処理の処理ルーチンについて図8を用いて説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置に電源を供給するためのスイッチ(図示せず)がオンされると、予め定められた時間間隔で(例えば、1秒毎に)CPU22cによって、図8に示す異常判定処理が実行される。
【0037】
まず、ステップ100では、ゼロクロス検出部16dからの信号、及びA/D変換部22dからのデジタル信号の状態の監視を開始し、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号が入力されている間のA/D変換部22dから入力されたデジタル信号が示す最大の電圧値(ピーク電圧)を検出する。
【0038】
次のステップ102では、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値(例えば、0.1V)以下であるか否かを判定する。ここで、第1の閾値は、配線72a〜90a間及び配線72b〜90b間の何れかが断線した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときの電圧値の最大値であり、予め実験によって定められた値である。このように、ステップ102で、検出された電圧値が第1の閾値以下であるか否かを判定することにより、検出された電圧値が第1の閾値以下であり、かつ、0V以上であるか否かを判断することができる。なお、第1の閾値以下かつ0V以上の電圧値の範囲は、72a〜90a間の配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値であると共に、72b〜90b間の配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である。
【0039】
ステップ102で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値以下であると判定された場合には、検出された電圧値が第1の閾値以下であり、かつ、0V以上であると判断して次のステップ104へ進む。
【0040】
ステップ104では、配線に断線の異常が発生していると判定する。例えば、ステップ104では、RAM22bの1ビットの断線異常フラグをオンにすることにより、配線に断線の異常が発生していると判定する。なお、ステップ104は、本発明の異常判定手段に対応する。
【0041】
次のステップ106では、上記ステップ100で検出された電圧値を時刻と対応付けて記憶するようにRAM22を制御する。これにより、RAM22には、電圧値と時刻とが対応付けられて記憶される。なお、上述したように、異常判定処理は、予め定められた時間間隔で実行されるので、ステップ106の処理を当該時間間隔で行うことによって、異常が発生していると判定された場合の部位20cの電圧値の時系列情報を記憶するように制御することとなる。なお、ステップ106は、本発明の記憶制御手段に対応する。
【0042】
次のステップ108では、上記ステップ104で判定された異常の内容(この場合には断線)を報知するように制御する。例えば、ステップ108では、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「断線が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御する。なお、ステップ108で、上記ステップ104で配線に断線の異常が発生していると複数回判定された場合に、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「断線が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御するようにしてもよい。そして、異常判定処理を終了する。
【0043】
一方、ステップ102で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値以下でないと判定された場合には、次のステップ110へ進む。
【0044】
ステップ110では、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値(例えば、4.8V)以下であるか否かを判定する。ここで、第2の閾値は、配線72a〜90a間及び配線72b〜90b間の何れかで接触不良が発生した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときの電圧値の最大値であり、予め実験によって定められた値である。このように、ステップ110で、検出された電圧値が第2の閾値以下であるか否かを判定することにより、検出された電圧値が第2の閾値以下であり、かつ、第1の閾値より大きいか否かを判断することができる。なお、第2の閾値以下かつ第1の閾値より大きい電圧値の範囲は、72a〜90a間の配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値であると共に、72b〜90b間の配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である。
【0045】
ステップ110で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値以下であると判定された場合には、検出された電圧値が第2の閾値以下であり、かつ、第1の閾値より大きいと判断して次のステップ112へ進む。
【0046】
ステップ112では、配線に接触不良の異常が発生していると判定する。例えば、ステップ112では、RAM22bの1ビットの接触不良異常フラグをオンにすることにより、配線に接触不良の異常が発生していると判定する。なお、ステップ112は、本発明の異常判定手段に対応する。
【0047】
次のステップ114では、上記ステップ100で検出された電圧値を時刻と対応付けて記憶するようにRAM22を制御する。これにより、RAM22には、電圧値と時刻とが対応付けられて記憶される。なお、上述したように、異常判定処理は、予め定められた時間間隔で実行されるので、ステップ114の処理を当該時間間隔で行うことによって、異常が発生していると判定された場合の部位20cの電圧値の時系列情報を記憶するように制御することとなる。なお、ステップ114は、本発明の記憶制御手段に対応する。
【0048】
次のステップ116では、上記ステップ112で判定された異常の内容(この場合には接触不良)を報知するように制御する。例えば、ステップ116では、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「接触不良が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御する。なお、ステップ116で、上記ステップ112で配線に接触不良の異常が発生していると複数回判定された場合に、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「接触不良が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御するようにしてもよい。そして、異常判定処理を終了する。
【0049】
なお、ステップ110で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値以下でないと判定された場合にも、異常判定処理を終了する。
【0050】
異常判定処理によって、図3に示すように配線に接触不良が発生した場合には、図9に示すように、第2の閾値(図9の例では4.8V)より小さい電圧値が検出されて、配線に接触不良の異常が発生していると判定される。
【0051】
また、異常判定処理によって、図5に示すように配線が断線した場合には、図10に示すように、第1の閾値(図10の例では0.1V)より小さい電圧値が検出されて、配線に断線の異常が発生していると判定される。
【0052】
なお、本実施の形態では、図1に示すように、電圧検出部20に分圧抵抗20bを用いた例について説明したが、図11に示すように、電圧検出部20にトランス(絶縁トランス)20dを用いると共に、ダイオードブリッジ71より電力供給方向に対して後ろ側に、分圧抵抗20eを設け、図11に示す部位20fを配線によってコントローラ22に接続するようにしてもよい。これにより、ダイオードブリッジ71より後ろの部位の脈流電圧の電圧値がコントローラ22による上記と同様の異常判定処理によって検出され、断線及び接触不良の異常を判定することが可能となる。ここで、分圧抵抗20eの抵抗値の値は、上記の各部を接続する配線(例えば、配線90)に接触不良や断線等の異常が発生していない通常の状態である場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときに、部位20fの電圧の電圧値(本実施の形態では、ゼロクロス信号がオンの間のピーク電圧)が予め定められた値(例えば、5V)となるように定められており、また、第1の閾値、及び第2の閾値は、それぞれ、断線、接触不良が判定可能な値に定められている。
【0053】
また、上記では、1つの直流電源生成回路18に対応させて1つの電圧検出部20が画像形成装置に設けられた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、複数の直流電源生成回路18が画像形成装置に設けられている場合には、この複数組の直流電源生成回路18に対応させて、複数の電圧検出部20を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 電源装置
16 入力部
16d ゼロクロス検出部
18 直流電源生成回路
18b ダイオードブリッジ
20 電圧検出部
22 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着器の温度を検出するサーミスタ、機内の温度を検出するサーミスタ、機外の温度を検出するサーミスタ、AC入力電源の入力電圧検出手段、装置内のDC電圧検出手段等により事故解析に必要な情報を検知し、この情報を記憶制御手段を介して記憶装置に格納する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−254309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、本構成を有しない場合と比較して、電源装置内の異常状態をより正確に判定(検出)することができる電源装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0006】
また、上記目的を達成するために、請求項2記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項3記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0008】
また、上記目的を達成するために、請求項4記載の発明の電源装置は、交流電源から交流電圧が印加される入力部と、前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段とを含んで構成されている。
【0009】
請求項5記載の発明の電源装置は、前記異常判定手段で前記異常が発生していると判定された場合の前記電圧値の時系列情報を記憶するように制御する記憶制御手段を更に備えるようにしたものである。
【0010】
請求項6記載の発明の電源装置は、前記異常判定手段で判定された異常の内容を報知するように制御する報知制御手段を更に備えるようにしたものである。
【0011】
請求項7記載の発明の画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の電源回路を含むように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、及び請求項7に記載の各発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、電源装置内の異常状態をより正確に判定(検出)することができる、という効果を有する。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、時系列情報からどのように電圧値が変化していったかを把握することができ、ひいては、異常状態を解析することができる、という効果を有する。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、異常状態であることをユーザ等が把握することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態における電源装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態のゼロクロス信号を示す図である。
【図3】接触不良の異常が発生した場合を示す図である。
【図4】接触不良の異常が発生した場合の電圧を示す図である。
【図5】断線の異常が発生した場合を示す図である。
【図6】断線の異常が発生した場合の電圧を示す図である。
【図7】本実施の形態における電源装置のコントローラの概略構成図である。
【図8】本実施の形態における電源装置のコントローラが実行する異常判定処理のフローチャートである。
【図9】異常判定処理を説明するための図である。
【図10】異常判定処理を説明するための図である。
【図11】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を画像形成装置に備えられた電源装置に適用した場合の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態における画像形成装置の電源装置10の概略構成図である。図1に示すように、電源装置10は、商用電源(例えばAC100V)の電力を供給するためのコンセント12に電源コード14のプラグ14aを差し込むと共に、電源コード14のプラグ14bをインレット16aに接続することで、電源装置10に商用電源から電力が供給される。すなわち、詳細を以下で説明する入力部10に交流電源から交流電圧が印加されることで、交流電源から交流電圧が電源装置10に入力される。
【0018】
電源装置10は、入力部16、直流電源生成回路(LVPS)18、及びコントローラ22を備えている。
【0019】
入力部16は、インレット16a、GFI16b、ノイズフィルタ(N/F)16c、及びゼロクロス検出部16dを備えている。なお、以下「ゼロクロス」を「零交差点」と称する場合がある。
【0020】
インレット16aには、電源コード14を介して交流電力が供給される。すなわち、インレット16aに交流電源から交流電圧が印加される(インレット16aに交流電圧が入力される)。GFI16bは、いわゆるブレーカとしての機能を有しており、ノイズフィルタ16cはノイズを除去する機能を有する。
【0021】
また、ゼロクロス検出部16dは、入力部16の電源供給ラインと電気的に接続されており、交流電源から入力部16dに印加されている交流電圧が電圧0(零交差点)を通過するタイミングを検出し、図2に示すように、この零交差点を含む予め定められた領域をオン(例えば、HIGH)信号のゼロクロス信号として、詳細を以下で説明する電圧検出部20及びコントローラ22に出力する。すなわち、ゼロクロス検出部16dから出力される信号の状態がオンの状態を示している場合には、交流電源から入力部16dに印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域が検出されたタイミングであると考えることができる。図1に示すように、商用電源ライン(ホットライン/ニュートラルライン)70の部位72a、部位72bで分岐した配線がゼロクロス検出部16dに接続されている。
【0022】
このようにしてインレット16aに入力された交流電力は、GFI16b、ノイズフィルタ16cを経由して、配線(商用電源ライン(ホットライン/ニュートラルライン))90を介して直流電源生成回路18に出力される。すなわち、本実施の形態の入力部16は、交流電源から交流電圧を入力するためのものであり、ゼロクロス検出部16dは、入力部16に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する。なお、ゼロクロス検出部16dは、本発明の零交差点検出手段に対応する。
【0023】
直流電源生成回路18は、入力部16と配線90を介して電気的に接続されている。直流電源生成回路18は、電圧検出部20、及び整流平滑回路18aを含んで構成されている。
【0024】
電圧検出部20は、整流平滑回路18aのダイオードブリッジ18bより電力供給方向に対して前側に設けられており、これにより、電圧検出部20によって、ダイオードブリッジ18bより前の部位の交流電圧が検出される。電圧検出部20は、入力部16と配線90を介して電気的に接続されており、また、ゼロクロス検出部16dと接続されている。
【0025】
電圧検出部20は、スイッチ20a及び分圧抵抗20bを含んで構成されている。スイッチ20aは、ゼロクロス検出部16dからのオン状態のゼロクロス信号が入力された場合に、オンされて、スイッチ20aに直列に接続された分圧抵抗20bを介して配線90のホットライン90aとニュートラルライン90bとを接続する。なお、スイッチ20aには、例えば、FETやTRIAC等を用いることができる。ここで、分圧抵抗20bの抵抗値の値は、上記の各部を接続する配線(例えば、配線90)に接触不良や断線等の異常が発生していない通常の状態である場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときに、スイッチ20aと分圧抵抗20bとの間の部位20cの電圧の電圧値(本実施の形態では、ゼロクロス信号がオンの間のピーク電圧)が予め定められた値(例えば、5V)となるように定められている。分圧抵抗20の抵抗値の値として、例えば、10Ωが用いられる。
【0026】
また、配線90には、整流平滑回路18aが接続されている。また、上記部位20cには、コントローラ22が接続されている。なお、分圧抵抗20に、可変抵抗を用いて、適切な抵抗値を設定可能なようにしてもよい。
【0027】
ここで、例えば、図3に示すように、配線90に接触不良が発生して、その部分の抵抗値が高くなった場合(図3の例では略1Ω)に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときには、図4に示すように、部位20cの電圧の電圧値が5Vより小さくなり、例えば、4.5Vとなる。
【0028】
また、例えば、図5に示すように、配線90が断線した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときには、図6に示すように、部位20cの電圧の電圧値が5Vより著しく小さくなり、例えば、0Vとなる。
【0029】
整流平滑回路18aは、ダイオードブリッジ18b、及びDC/DCコンバータ18cを備えている。
【0030】
ダイオードブリッジ18bは、入力部16から入力された交流電力を全波整流してDC/DCコンバータ18cに出力する。DC/DCコンバータ18cは全波整流された電力を平滑化して直流電力に変換して負荷92に供給する。これにより、負荷92に直流電力が供給される。ここで、負荷は、例えば、画像形成を行う際に用いられるモータやソレノイドなどである。すなわち、ダイオードブリッジ18bは、入力部16から入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を配線70を介してDC/DCコンバータ18cに出力する。また、DC/DCコンバータ18cは、ダイオードブリッジ18bから出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷92に供給する。なお、ダイオードブリッジ18bは本発明の整流部に対応し、DC/DCコンバータ18cは本発明の直流電圧供給部に対応し、直流電源生成回路18は本発明の直流電源生成部に対応する。
【0031】
コントローラ22は、図7に示すように、ROM(Read Only Memory)22a、RAM(Random Access Memory)22b、CPU(Central Processing Unit)22c、A/D変換部22d、及びI/O(入出力)ポート22eを含んで構成されており、画像形成装置全体の制御を司る。これら、ROM22a、RAM22b、CPU22c、A/D変換部22d、及びI/Oポート22eは、互いにバス22fを介して接続されている。
【0032】
記憶媒体としてのROM22aには、OS等の基本プログラムが記憶されている。また、ROM22aには、詳細を以下で説明する異常判定処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0033】
CPU22cは、各プログラムをROM22aから読み出して処理を実行する。RAM22bには、各種データが一時的に記憶される。
【0034】
A/D変換部22dには、スイッチ20の部位20cが配線を介して接続されている。A/D変換部22dは、部位20cから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU22cに出力する。なお、本実施の形態では、A/D変換部22dからCPU22cに出力されるデジタル信号は、上記部位20cの電圧の電圧値を示す。
【0035】
I/Oポート22eには、ゼロクロス検出部16dが配線を介して接続されている。
【0036】
次に、コントローラ22のCPU22cが実行する異常判定処理の処理ルーチンについて図8を用いて説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置に電源を供給するためのスイッチ(図示せず)がオンされると、予め定められた時間間隔で(例えば、1秒毎に)CPU22cによって、図8に示す異常判定処理が実行される。
【0037】
まず、ステップ100では、ゼロクロス検出部16dからの信号、及びA/D変換部22dからのデジタル信号の状態の監視を開始し、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号が入力されている間のA/D変換部22dから入力されたデジタル信号が示す最大の電圧値(ピーク電圧)を検出する。
【0038】
次のステップ102では、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値(例えば、0.1V)以下であるか否かを判定する。ここで、第1の閾値は、配線72a〜90a間及び配線72b〜90b間の何れかが断線した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときの電圧値の最大値であり、予め実験によって定められた値である。このように、ステップ102で、検出された電圧値が第1の閾値以下であるか否かを判定することにより、検出された電圧値が第1の閾値以下であり、かつ、0V以上であるか否かを判断することができる。なお、第1の閾値以下かつ0V以上の電圧値の範囲は、72a〜90a間の配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値であると共に、72b〜90b間の配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である。
【0039】
ステップ102で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値以下であると判定された場合には、検出された電圧値が第1の閾値以下であり、かつ、0V以上であると判断して次のステップ104へ進む。
【0040】
ステップ104では、配線に断線の異常が発生していると判定する。例えば、ステップ104では、RAM22bの1ビットの断線異常フラグをオンにすることにより、配線に断線の異常が発生していると判定する。なお、ステップ104は、本発明の異常判定手段に対応する。
【0041】
次のステップ106では、上記ステップ100で検出された電圧値を時刻と対応付けて記憶するようにRAM22を制御する。これにより、RAM22には、電圧値と時刻とが対応付けられて記憶される。なお、上述したように、異常判定処理は、予め定められた時間間隔で実行されるので、ステップ106の処理を当該時間間隔で行うことによって、異常が発生していると判定された場合の部位20cの電圧値の時系列情報を記憶するように制御することとなる。なお、ステップ106は、本発明の記憶制御手段に対応する。
【0042】
次のステップ108では、上記ステップ104で判定された異常の内容(この場合には断線)を報知するように制御する。例えば、ステップ108では、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「断線が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御する。なお、ステップ108で、上記ステップ104で配線に断線の異常が発生していると複数回判定された場合に、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「断線が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御するようにしてもよい。そして、異常判定処理を終了する。
【0043】
一方、ステップ102で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第1の閾値以下でないと判定された場合には、次のステップ110へ進む。
【0044】
ステップ110では、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値(例えば、4.8V)以下であるか否かを判定する。ここで、第2の閾値は、配線72a〜90a間及び配線72b〜90b間の何れかで接触不良が発生した場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときの電圧値の最大値であり、予め実験によって定められた値である。このように、ステップ110で、検出された電圧値が第2の閾値以下であるか否かを判定することにより、検出された電圧値が第2の閾値以下であり、かつ、第1の閾値より大きいか否かを判断することができる。なお、第2の閾値以下かつ第1の閾値より大きい電圧値の範囲は、72a〜90a間の配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値であると共に、72b〜90b間の配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である。
【0045】
ステップ110で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値以下であると判定された場合には、検出された電圧値が第2の閾値以下であり、かつ、第1の閾値より大きいと判断して次のステップ112へ進む。
【0046】
ステップ112では、配線に接触不良の異常が発生していると判定する。例えば、ステップ112では、RAM22bの1ビットの接触不良異常フラグをオンにすることにより、配線に接触不良の異常が発生していると判定する。なお、ステップ112は、本発明の異常判定手段に対応する。
【0047】
次のステップ114では、上記ステップ100で検出された電圧値を時刻と対応付けて記憶するようにRAM22を制御する。これにより、RAM22には、電圧値と時刻とが対応付けられて記憶される。なお、上述したように、異常判定処理は、予め定められた時間間隔で実行されるので、ステップ114の処理を当該時間間隔で行うことによって、異常が発生していると判定された場合の部位20cの電圧値の時系列情報を記憶するように制御することとなる。なお、ステップ114は、本発明の記憶制御手段に対応する。
【0048】
次のステップ116では、上記ステップ112で判定された異常の内容(この場合には接触不良)を報知するように制御する。例えば、ステップ116では、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「接触不良が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御する。なお、ステップ116で、上記ステップ112で配線に接触不良の異常が発生していると複数回判定された場合に、図示しない表示装置の画面に、メッセージ「接触不良が発生しました」が表示されるように、表示装置を制御するようにしてもよい。そして、異常判定処理を終了する。
【0049】
なお、ステップ110で、上記ステップ100で検出された電圧値が、第2の閾値以下でないと判定された場合にも、異常判定処理を終了する。
【0050】
異常判定処理によって、図3に示すように配線に接触不良が発生した場合には、図9に示すように、第2の閾値(図9の例では4.8V)より小さい電圧値が検出されて、配線に接触不良の異常が発生していると判定される。
【0051】
また、異常判定処理によって、図5に示すように配線が断線した場合には、図10に示すように、第1の閾値(図10の例では0.1V)より小さい電圧値が検出されて、配線に断線の異常が発生していると判定される。
【0052】
なお、本実施の形態では、図1に示すように、電圧検出部20に分圧抵抗20bを用いた例について説明したが、図11に示すように、電圧検出部20にトランス(絶縁トランス)20dを用いると共に、ダイオードブリッジ71より電力供給方向に対して後ろ側に、分圧抵抗20eを設け、図11に示す部位20fを配線によってコントローラ22に接続するようにしてもよい。これにより、ダイオードブリッジ71より後ろの部位の脈流電圧の電圧値がコントローラ22による上記と同様の異常判定処理によって検出され、断線及び接触不良の異常を判定することが可能となる。ここで、分圧抵抗20eの抵抗値の値は、上記の各部を接続する配線(例えば、配線90)に接触不良や断線等の異常が発生していない通常の状態である場合に、交流電源から交流電圧が入力部16に印加されて、ゼロクロス検出部16dからオン状態のゼロクロス信号がスイッチ20aに入力されてスイッチ20aがオンされたときに、部位20fの電圧の電圧値(本実施の形態では、ゼロクロス信号がオンの間のピーク電圧)が予め定められた値(例えば、5V)となるように定められており、また、第1の閾値、及び第2の閾値は、それぞれ、断線、接触不良が判定可能な値に定められている。
【0053】
また、上記では、1つの直流電源生成回路18に対応させて1つの電圧検出部20が画像形成装置に設けられた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、複数の直流電源生成回路18が画像形成装置に設けられている場合には、この複数組の直流電源生成回路18に対応させて、複数の電圧検出部20を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 電源装置
16 入力部
16d ゼロクロス検出部
18 直流電源生成回路
18b ダイオードブリッジ
20 電圧検出部
22 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項2】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項3】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項4】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項5】
前記異常判定手段で前記異常が発生していると判定された場合の前記電圧値の時系列情報を記憶するように制御する記憶制御手段を更に備えた請求項1〜4のいずれか1項記載の電源回路。
【請求項6】
前記異常判定手段で判定された異常の内容を報知するように制御する報知制御手段を更に備えた請求項1〜5のいずれか1項記載の電源回路。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の電源回路を含む画像形成装置。
【請求項1】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項2】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の前の部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項3】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線に接触不良が発生した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に接触不良の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項4】
交流電源から交流電圧が印加される入力部と、
前記入力部に印加されている交流電圧の零交差点を含む予め定められた領域を検出する零交差点検出手段と、
前記入力部と配線を介して電気的に接続され、かつ前記入力部から前記配線を介して入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を出力する整流部、及び前記整流部から出力された脈流電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する直流電圧供給部を備えた直流電源生成部と、
前記零交差点検出手段で前記領域が検出された際に前記整流部の後ろの部位の交流電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された電圧の電圧値が、前記配線が断線した場合に生ずる電圧値を含む予め定められた範囲内の電圧値である場合には、前記配線に断線の異常が発生していると判定する異常判定手段と、
を備えた電源回路。
【請求項5】
前記異常判定手段で前記異常が発生していると判定された場合の前記電圧値の時系列情報を記憶するように制御する記憶制御手段を更に備えた請求項1〜4のいずれか1項記載の電源回路。
【請求項6】
前記異常判定手段で判定された異常の内容を報知するように制御する報知制御手段を更に備えた請求項1〜5のいずれか1項記載の電源回路。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の電源回路を含む画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−213449(P2010−213449A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56478(P2009−56478)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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