説明

電源装置および熱源機

【課題】多出力の電源装置において、定電圧制御回路を増設することなく、許容される出力電圧の範囲内で可及的に消費電力の少ない省電力モードを実行できる電源装置を提供する。
【解決手段】電源トランス2の出力側に定電圧制御回路18を備えた出力端子5と、定電圧制御回路を備えていない出力端子4を有する電源装置において、通常の動作モードと、各出力端子4,5の出力電圧を降下させる省電力モードとが設けられ、省電力モード時に定電圧制御回路18を備えていない出力端子4の出力電圧をマイコン1で監視しながら、この出力電圧が許容電圧を下回らない範囲で電源トランス2の入力側を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電源装置および熱源機に関し、より詳細には、温水暖房端末に温水を供給する温水暖房機能付きの熱源機に使用される多出力電源装置であって1の出力のみが定電圧制御される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置などの熱源機に搭載される電源装置として、従来より多出力(マルチ出力)のスイッチング電源装置が一般的に用いられている。
【0003】
図4は、風呂追い焚き機能を備えた給湯装置の電源に用いられている電源装置の回路構成の一例を示している。周知のとおり、図示の電源装置は、商用電源aから供給される交流電力をダイオードブリッジ回路bで整流するとともに平滑コンデンサcで平滑して得た直流電力を、電源トランスdに直列に接続されたスイッチング素子を高速でスイッチング(オン/オフ)することによって電源トランスdの出力側(二次側)に生ずる交流電力をダイオードfで整流して直流電力として出力するように構成されている。
【0004】
そして、この図4に示す電源装置では、このようにして電源トランスdの出力側に生じる直流電力を、電源トランスdの出力側の巻数比に応じて設けられる複数の出力端子(図示例では、15V出力と25V出力の2端子)によって取り出すように構成されており、15V出力の出力端子が設けられる電源ライン(15Vライン)には15V出力の定電圧化を図る定電圧制御回路(たとえば、シャントレギュレータ)gが備えられている。なお、図において、符号hはスイッチング素子eをスイッチングするスイッチングICを示しており、また、符号iはスイッチングIChに与えるフィードバック信号を縁切りするフォトカプラを示している。
【0005】
ところで、このような電源装置が用いられる給湯装置においては、たとえば、リモコンの運転スイッチがオンの状態で、給湯栓が閉じられるなどして燃焼が停止している待機状態が一定時間(たとえば、15分)継続するなどの一定条件が満たされた場合に、給湯装置での電力消費を抑制することを目的として、電源装置の出力電圧を降下させる制御を行う省電力モードを備えたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
図4の電源装置では、この省電力モード時に、マイコンjで15V出力の電圧を監視しながら上記シャントレギュレータgの基準端子の電圧を変動させて上記15Vラインの電圧を低下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−101643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の電源装置には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0009】
すなわち、この種の電源装置が使用される給湯装置のなかには、温水暖房端末との通信回路用の電源に25V出力を使用するものがあるため、かかる通信回路を備えた給湯装置において省電力モードを備えた電源装置の提供が望まれるが、図4に示す電源装置の25V出力側には定電圧制御回路が設けられていないため、省電力モード時に15V出力側の出力電圧を低くしすぎると25V出力側の出力電圧が許容電圧を下回ってしまうおそれがある。
【0010】
なお、この点については、25V出力側にも定電圧制御回路を設けることが考えられるが、そのように構成したのでは部品点数が増加するため、基板サイズが拡張し電源装置小型化の妨げとなるとともに、製造コストの上昇も招くといった問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、多出力の電源装置において、定電圧制御回路を増設することなく、許容される出力電圧の範囲内で可及的に消費電力の少ない省電力モードを実行できる電源装置を提供することを主たる目的とする。また、かかる電源装置を用いることにより、省電力モード時においても温水暖房端末との通信を適切に行うことができる熱源機を提供することを従たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る電源装置は、電源トランスの出力側に複数の出力端子を備えるとともに、これら出力端子のうちの1の出力端子に定電圧制御回路が備えられている電源装置において、通常の動作モードと、上記各出力端子の出力電圧を降下させる省電力モードとが設けられるとともに、上記省電力モード時に上記定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を監視可能に構成された制御手段を備えてなり、上記省電力モード時に、上記制御手段は、上記定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を監視しながら、この出力電圧が許容電圧を下回らない範囲で上記電源トランスの入力側を制御することを特徴とする。
【0013】
すなわち、この請求項1に係る発明では、省電力モード時に、制御手段が、定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を監視しながら、その出力電圧が許容電圧を下回らない範囲で電源トランスの入力側を制御するので、定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を許容電圧まで降下させることができる。そのため、定電圧制御回路が備えられていない出力端子が出力電圧不足に陥ることなく省電力モードを実行することができ、省電力モード時に定電圧制御回路が備えられていない出力端子を有効に利用しつつ、高い省電力効果を得ることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の電源装置は、請求項1に記載の電源装置において、上記定電圧制御回路が備えられている出力端子に平滑用のコンデンサが備えられ、上記制御手段は、上記省電力モード時に、上記定電圧制御回路の制御目標電圧を、通常モード時用に設定された第1の制御目標電圧と省電力モード時用に設定された第2の制御目標電圧とを交互に切り替えることにより得られる出力を、上記平滑用のコンデンサで平滑して出力電圧として出力させることを特徴とする。
【0015】
すなわち、この請求項2に係る発明では、省電力モード時に、定電圧制御回路の制御目標電圧として、通常モード時用に設定された第1の制御目標電圧と省電力モード時用に設定された第2の制御目標電圧の2つの制御目標電圧を交互に切り替えることによって得られるパルス波形状の電圧を平滑して定電圧制御回路が備えられた出力端子の出力電圧としているので、第1の制御目標電圧と第2の制御目標電圧を切り替えるタイミングを制御手段で調節することで、省電力モード時に定電圧制御回路が備えられた出力端子から出力される電圧を任意に設定することができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の電源装置は、請求項1または2に記載の電源装置において、上記定電圧制御回路を備えていない出力端子が三端子レギュレータを介して上記電源トランスの出力側に接続され、上記省電力モード時には、上記三端子レギュレータの入出力端子間を短絡させるスイッチ手段が備えられていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、この請求項3に係る発明では、省電力モード時には、スイッチ手段によって三端子レギュレータの入出力端子間が短絡されるので、省電力モード時に三端子レギュレータで電力が消費されるのが回避されるとともに、電源トランスの出力側の電圧を下げることができるので、電力消費をより少なく抑制することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の電源装置は、上記制御手段は、上記省電力モード時において、上記定電圧制御回路が備えられた出力端子の出力電圧も監視可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、この請求項4に係る発明では、制御手段が、省電力モード時における定電圧制御回路が備えられた出力端子の出力電圧も監視できるので、当該出力端子の出力電圧が、当該出力端子の許容電圧を下回らないかを監視することができる。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載の熱源機は、請求項1から4のいずれかに記載の電源装置を備えた温水暖房機能付きの熱源機であって、上記定電圧制御回路を備えた出力端子が上記熱源機の制御回路用の電源端子とされ、上記定電圧制御回路を備えていない出力端子が上記熱源機の温水暖房端末との通信回路用の電源端子として用いていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、本発明の請求項5に係る発明では、温水暖房機能付きの熱源機の電源装置に本発明の電源装置が用いられ、当該電源装置において定電圧制御回路を備えていない出力端子が温水暖房端末との通信回路用の電源端子として用いられるので、省電力モード時においても温水暖房端末との通信回路を正常に動作させ、熱源機と温水暖房端末との通信を適切に行わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、省電力モード時に、定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧をその許容電圧を下回らない範囲で下限値まで降下させることができるので、省電力モード時においても定電圧制御回路が備えられていない出力端子を有効に利用でき、かつ、高い省電力効果を得ることができる。
【0023】
そして、これれにより、省電力モード時においても温水暖房端末との通信回路を正常に動作させることができ、温水暖房端末との通信を適切に行うことができる熱源機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電源装置の一例を示す回路構成図である。
【図2】同電源装置の省電力効果を示す説明図である。
【図3】同電源装置の他の実施形態の一例を示す回路構成図である。
【図4】従来の電源装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係る電源装置は、温水暖房機能を有する給湯装置などの熱源機の電源に用いられるスイッチング電源装置であって、給湯装置の通常の動作モードと省電力モードとに対応できるように、マイコン1による制御によって、通常動作で出力端子から電圧を出力する通常の動作モードと、出力端子の出力電圧を通常動作時より降下させて出力する省電力モードとを切り替えて使用できるように構成されている。
【0026】
図1は、このような構成を有するスイッチング電源装置の電源トランス2の出力側(二次側)を図示している。
【0027】
ここで、スイッチング電源装置における電源トランス2の入力側(一次側)の構成は周知であるので詳細な説明は省略するが、この電源トランス2の入力側には、商用電源から供給される交流電力を整流する整流回路と、整流された電力を平滑する平滑回路と、平滑された直流電力が入力される電源トランス2の入力側のコイルと、このコイルに直列に接続されて入力側のコイルの電力を高速でスイッチングするスイッチング素子と、このスイッチング素子でのスイッチングを制御するスイッチング制御回路とが主要部として備えられている。
【0028】
スイッチング制御回路は、トランジスタやFETなどのスイッチング素子をPWM制御(Pulse Width Modulation)する制御回路であって、電源トランス2の出力側のコイルに所望の電圧が得られるように、スイッチング素子をオン/オフさせる制御パルスのデューティー比を設定するようになっている。そして、このスイッチング制御回路は、電源トランス2の出力側から与えられる帰還電圧に基づいて電源トランス2の出力側の電圧が所望の電圧となるようにフィードバック制御を行うようになっている。なお、このフィードバック用の帰還電圧は、フォトカプラ3を介して電源トランス2の出力側とは絶縁されており、図1には同フォトカプラ3のフォトダイオードが図示されている。
【0029】
次に、電源トランス2の出力側について説明する。図1に示すように、このスイッチング電源装置は、電源トランス2の出力側に、公称出力が直流25Vの出力端子(以下、「25V出力端子」と称する)4と、公称出力が直流15Vの出力端子(以下、「15V出力端子」と称する)5の二つの出力端子を備える多出力の電源装置を構成している。
【0030】
25V出力端子4は、ダイオード6、電解コンデンサ7,8および三端子レギュレータ9を主要部とする出力回路に設けられており、電源トランス2の出力側のコイルに発生した電力がこの出力回路を介して25V出力端子4から出力できるようになっている。ここで、この25V出力端子4は公称出力が直流25Vとされているが、電源トランス2などの部品にばらつきがあることなどから、通常の動作モード(非省電力モード)時における実際の出力電圧(実出力電圧)は、たとえば、直流29Vのように公称出力よりも少し高めに設定されている(図2の非省電力モードの実出力電圧を参照)。
【0031】
そして、本実施形態では、この25V出力端子4は、たとえば、温水暖房装置のような温水暖房端末に温水を供給する機能を備えた給湯装置(温水暖房機能付きの熱源機)において、当該給湯装置が上記温水暖房端末との通信のために備えている通信回路用の電源端子として用いられる。
【0032】
一方、15V出力端子5は、ダイオード10、電解コンデンサ11,12を主要部とする出力回路に設けられており、電源トランス2の出力側のコイルに発生した電力がこの出力回路を介して15V出力端子5から出力できるようになっている。そして、この15V出力端子5には、定電圧制御を行う定電圧制御回路18が備えられている。そのため、この15V出力端子5については、通常の動作モード(非省電力モード)時における実出力電圧は公称出力と同じ直流15Vに設定されている(図2の非省電力モードの実出力電圧を参照)。
【0033】
上記定電圧制御回路18は、シャントレギュレータ13と、このシャントレギュレータ13の基準端子に入力する電圧を設定する分圧抵抗14〜17を主要部として構成されている。この分圧抵抗14〜17は、15V出力端子5の電源ラインとグランドとの間に直列に配設されており、抵抗14,15と抵抗16,17とで分圧された電圧がシャントレギュレータ13の基準端子に入力されるようになっている。
【0034】
そして、本実施形態では、グランド側の抵抗17の両端にFET20が接続されており、このFET20をオンさせることで、上記抵抗17を短絡できるように構成されている。すなわち、抵抗17を短絡させることでシャントレギュレータ13の分圧抵抗の分圧比を変更できるようになっており、これによってシャントレギュレータ13の制御目標電圧を切り替える(換言すれば、第1の制御目標電圧と第2の制御目標電圧を切り替える)ことができるように構成されている。なお、このFET20の制御端子には上記マイコン1によって制御されるトランジスタ21が接続されており、このトランジスタ21をオフさせることでFET20がオンするように構成されている。
【0035】
そして、本実施形態では、上記抵抗17を短絡させたときの制御目標電圧は、15V出力端子5の公称出力(つまり、通常の動作モード時の出力電圧)と同じに設定される一方、上記抵抗17を短絡させないときの制御目標電圧は、省電力モード時において15V出力端子5の出力電圧として許容される電圧の下限値(または下限値を下回らない近傍値)に設定される。具体的には、この電圧の下限値は、たとえば、後述する図2に示す具体例に従えば直流9.3Vに設定され、上記分圧抵抗14〜17の各抵抗値はこの条件を満たすように決定される。なお、この下限値に併せて設定される制御目標電圧は、後述するように、省電力モード時に使用される。
【0036】
このほか、上記15V出力端子5の電源ラインには、上述したフォトカプラ3のフォトダイオードが接続されており、当該電源ラインの電圧が上記スイッチング制御回路にフィードバックされるように構成されている。
【0037】
なお、この15V出力端子5は、給湯装置の制御回路用の電源(たとえば、リレーを駆動するための電源)や、給湯装置に接続される給湯装置の遠隔操作用のリモコンに供給する電源、さらには、給湯装置に搭載されるマイコン用電源を生成する回路用の電源の電源端子として用いられる。
【0038】
上記マイコン1は、給湯装置の動作モード(通常の動作モードと省電力モード)に対応して上記各出力端子4,5の出力電圧を切り替える制御手段であって、本実施形態では、このマイコン1は、図1に示すように、15V出力端子4および25V出力端子5と接続され、各出力端子4,5の出力電圧を監視できるように構成されている。
【0039】
そして、このマイコン1は、上記トランジスタ21のベース端子とも接続されており、該トランジスタ21のオン/オフを制御できるように構成されている。具体的には、マイコン1は上記トランジスタ21にパルス信号を与えることができるようになっており、このパルス信号によって上記トランジスタ21を制御するように構成されている。
【0040】
次に、このように構成された電源装置の動作について図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明に係る電源装置の省電力効果について具体例を挙げて示した説明図である。この図2では、省電力モード時において、15V出力端子5の出力電圧として許容される電圧(許容電圧)が直流9.3V〜15.7Vの範囲とされており、25V出力端子4の出力電圧の許容電圧が直流20V〜35Vの範囲であると仮定する。また、負荷電流は15V出力端子5については70mA、25V出力端子4については40mAであるものとする。
【0041】
このような条件のもとで、マイコン1が通常の動作モードを選択すると、上述したように、15V出力端子5の実出力電圧は15Vであり、25V出力端子4の実出力電圧は29Vであるので、このときの消費電力は2.21Wとなる。なお、この通常の動作モードにあるときは、上記マイコン1はトランジスタ21には後述するパルス信号は与えずにトランジスタ21をオフにして、上記シャントレギュレータ13の制御目標電圧を直流15Vに設定している。
【0042】
そして、従来の省電力モードでは、マイコン1は25V出力端子4の出力電圧を制御できないので、25V出力端子4の出力電圧が許容電圧の下限値(DC20V)を下回らないように、15V出力端子5の実出力電圧は余裕をもってたとえば13Vに設定されるので、その結果、図2(b)に示すように、消費電力は1.87Wになる。つまり、通常の動作モード時に対して消費電力を15%削減するにすぎない。
【0043】
これに対して、本実施形態に示す電源装置では、マイコン1は、25V出力端子4と接続されており、省電力モード時において、当該出力端子4の出力電圧を監視できるので、25V出力端子4の出力電圧をマイコン1で監視しながら、当該出力電圧が25V出力端子4の許容電圧の下限値(DC20V)を下回らない範囲で(好ましくは、下限値であるDC20Vになるように)電源トランス2の入力側を制御する。
【0044】
具体的には、この制御は、上記シャントレギュレータ13の制御目標電圧(DC15VとDC9.3V)を交互に切り替えることによって行う。より詳細には、マイコン1は、上記トランジスタ21に対してパルス信号を与えて、このパルス信号に応じてトランジスタ21、FET20をオン/オフさせる。これにより、15V出力端子5の電源ラインには直流15Vと9.3Vの間の電圧が電解コンデンサ11,12で平滑されて15V出力端子5から出力される。したがって、このときにトランジスタ21に与えるパルス信号のデューティー比を可変することで、定電圧制御回路18が備えられている15V出力端子5の出力電圧を制御することができ、15V出力端子5の出力の変化に伴って25V出力端子4の出力電圧も追随して低下することになる。
【0045】
このようにして、25V出力端子4の出力電圧をマイコン1で監視しながら当該出力端子4の出力電圧をその許容電圧の下限値(DC20V)まで降下させた場合、その時の15V出力端子5の電圧は11.5Vとなるので、消費電力は1.605Wになり、通常の動作モード時に比して消費電力を27%削減することができる(図2(c)参照)。
【0046】
このように、本発明によれば、省電力モード時に、定電圧制御回路が備えられていない25V出力端子4の出力電圧をその許容電圧を下回らない範囲で下限値まで降下させることができるので、省電力モード時においても25V出力端子4を有効に利用でき、かつ、高い省電力効果を得ることができる。そのため、省電力モード時においても、この出力端子4に接続される暖房端末との通信回路を正常に動作させ、熱源機と温水暖房端末との通信を適切に行わせることができる。
【0047】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。
この図3に示す電源装置は、上述した実施形態1に示す電源装置の改変例を示すものであって、具体的には、実施形態1に示す電源装置に、三端子レギュレータ9の入出力端子間を短絡させることができるスイッチ手段25を付加している。なお、その他の構成は、実施形態1と同様であるので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
このスイッチ手段25は、マイコン1と接続され、省電力モード時に上記マイコン1の制御によって三端子レギュレータ9の入出力端子間を短絡させるように構成されている。具体的には、このスイッチ手段25としては、たとえば、マイコン1によって制御されるトランジスタやリレー接点などが用いられる。
【0049】
ここで、このようなスイッチ手段25を設けているのは、上述した実施形態1に示す電源装置では、省電力モード時に、25V出力端子4の出力電圧を許容電圧の下限値(またはその近傍値)まで降下させるように構成しているので、三端子レギュレータ9の入力端子の電圧が低くなって三端子レギュレータ9が目標電圧を出力できなくなることがある。そして、その場合、三端子レギュレータ9には入出力電圧差分の電圧降下があるので、その分、電源トランス2の出力側の電圧を高めに設定しなければならなくなり、その結果、15V出力端子側の電圧も高くなってしまい、省電力効果が損なわれるおそれがあるからである。
【0050】
図2(d)は、実施形態1に示した電源装置にこの実施形態2を適用した場合の消費電力の具体例を示しており、この場合、15V出力端子5の実出力電圧をたとえば0.5V下げることができ、消費電力は1.57Wになる。つまり、実施形態1の電源装置に比して2%、通常の動作モード時に比べれば29%消費電力を抑制することができ、省電力効果をさらに高めることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0052】
たとえば、上述した実施形態では、電源トランス2の出力側に設けられる出力端子がDC25VとDC15Vの2出力である場合を示したが、電源トランス2の出力側には2以上の出力端子が設けられていてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、マイコン1が15V出力端子5の出力電圧も監視できるようにマイコン1と15V出力端子5とを接続する構成を示したが、本発明に係る電源装置においては、省電力モード時にマイコン1は15V出力端子5の出力電圧を監視しなくてもよいので、マイコン1と15V出力端子5とが接続されていなくてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、特に示していないが、給湯装置が通常の動作モードから省電力モードに移行する場合としては、たとえば、リモコンの運転スイッチがオンの状態で、給湯栓が閉じられるなどして燃焼が停止している待機状態が一定時間継続するなどの場合が挙げられるが、通常の動作モードから省電力モードに移行する条件は適宜設定可能である。
【0055】
また、上述した実施形態では、電源装置が給湯装置などの熱源機に使用される場合について説明したが、本発明に係る電源装置は給湯装置以外の他の装置の電源としても使用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
1 マイコン(制御手段)
2 電源トランス
3 フォトカプラ
4 25V出力端子(定電圧制御回路が備えられていない出力端子)
5 15V出力端子(定電圧制御回路が備えられている出力端子)
9 三端子レギュレータ
11,12 電解コンデンサ(平滑用のコンデンサ)
13 シャントレギュレータ
14〜17 分圧抵抗
18 定電圧制御回路
25 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源トランスの出力側に複数の出力端子を備えるとともに、これら出力端子のうちの1の出力端子に定電圧制御回路が備えられている電源装置において、
通常の動作モードと、前記各出力端子の出力電圧を降下させる省電力モードとが設けられるとともに、前記省電力モード時に前記定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を監視可能に構成された制御手段を備えてなり、
前記省電力モード時に、前記制御手段は、前記定電圧制御回路が備えられていない出力端子の出力電圧を監視しながら、この出力電圧が許容電圧を下回らない範囲で前記電源トランスの入力側を制御することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記定電圧制御回路が備えられている出力端子に平滑用のコンデンサが備えられ、
前記制御手段は、前記省電力モード時に、前記定電圧制御回路の制御目標電圧を、通常モード時用に設定された第1の制御目標電圧と省電力モード時用に設定された第2の制御目標電圧とを交互に切り替えることにより得られる出力を、前記平滑用のコンデンサで平滑して出力電圧として出力させることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記定電圧制御回路を備えていない出力端子が三端子レギュレータを介して前記電源トランスの出力側に接続され、
前記省電力モード時には、前記三端子レギュレータの入出力端子間を短絡させるスイッチ手段が備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記省電力モード時において、前記定電圧制御回路が備えられた出力端子の出力電圧も監視可能に構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電源装置を備えた温水暖房機能付きの熱源機であって、
前記定電圧制御回路を備えた出力端子が前記熱源機の制御回路用の電源端子とされ、前記定電圧制御回路を備えていない出力端子が前記熱源機の温水暖房端末との通信回路用の電源端子として用いていることを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−161121(P2012−161121A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17441(P2011−17441)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】