説明

電源装置および画像形成装置

【課題】蓄電手段から充電手段への逆流の発生を防止することができ、かつ充電効率を高めることができる電源装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】負荷を駆動する充放電可能な補助電源202と、補助電源202を充電する充電回路401と、補助電源202と充電回路401とを導通/非導通するスイッチ407と、スイッチ407を導通制御するトランジスタオン信号(H)の出力を充電回路401の出力電圧が補助電源202の電圧を超えるまで遅延させる遅延制御回路402と、遅延制御回路402により遅延されたトランジスタオン信号(H)をnMOSトランジスタ505に出力して補助電源202を充電回路401により充電するスイッチングドライバ403と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電機能がある電源装置および画像形成装置に関し、特に、充電電力を補助電源に給電する主電源から補助電源までの、逆流阻止回路を含む電源装置および画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
補助電源としては、2次電池およびキャパシタが知られている。主電源には、一般的に、ソーラセル,風力発電機および燃料電池などが用いられているが、商用交流,エンジン発電機などが用いられることもある。例えば、電子写真方式のプリンタでは、用紙上に形成したトナー画像を熱定着する定着器の定着温度立ち上げを早くするために、主電源のみならず、補助電源からも定着器に給電することが行われている。
【0003】
ところで、主電源と補助電源との間には、主電源の電力を、補助電源の仕様に合う電圧,電流で給電する充電回路(充電器)がある。また、補助電源の蓄電電力が飽和すると過充電を回避するために充電を停止する充電制御回路もある。
【0004】
さらに、充電回路が充電を停止している間の、補助電源から充電回路方向への放電を防止するために、充電回路から補助電源への充電ルート(PFf,PFb)には逆流阻止ダイオードが介挿されている。充電中にはこのダイオードを順方向に充電電流が流れるが、ダイオードには順方向電圧降下があり、これによる電力損失がある。具体的には、今までの逆流防止手段としてダイオードを用いる方法は最も簡単であるが、通常のpn接合ダイオードでは順方向電圧降下が約0.7Vあり、これによる電力損失が大きい。そこで、より順方向電圧降下の小さいショットキィダイオードが用いる方法があるが、それでも、順方向電圧降下は0.3〜0.4Vあり、発電能力の小さな太陽光発電器,風力発電機や高効率補助電源装置では、この順方向電圧降下による電力損失は無視できない。これを防止するために、ダイオードと並列にリレースイッチ,半導体スイッチなどのスイッチ手段を接続し、充電中は、このスイッチ手段をオン(閉:導通)に付勢し、充電停止中は、補助電源から充電回路への逆流を逆流阻止ダイオードで阻止するために、スイッチ手段をオフ(開:非導通)に切り換える方法がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、ショットキィダイオードよりも更に電力損失の低い逆流防止手段として、ダイオードと、並列接続されたスイッチから成り、スイッチとしてダイオードよりも順方向電圧降下の低いトランジスタやリレーを用いることにより、充電回路側の主電源が瞬断されたときにスイッチをオフして逆流を防止する方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−168819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、充電回路側の主電源が瞬断された時に限るものであって、充電開始後、負荷側の補助電源の電圧が充電回路側の出力電圧よりも高い場合に生じる逆流を防止することができない、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蓄電手段から充電手段への逆流の発生を防止することができ、かつ充電効率を高めることができる電源装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、負荷を駆動する充放電可能な蓄電手段と、前記蓄電手段を充電する充電手段と、前記蓄電手段と前記充電手段とを導通/非導通する導通手段と、前記導通手段を導通制御する導通制御信号の出力を前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで遅延させる遅延制御手段と、前記導通制御手段により遅延された前記導通制御信号を前記導通手段に出力して前記蓄電手段を前記充電手段により充電する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、出力された前記導通制御信号を更に遅延させるCR時定数回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記充電手段は、さらに、前記蓄電手段を充電中か否かを判別する制御電圧を出力し、前記遅延制御手段は、前記導通手段の導通制御を前記制御電圧により前記蓄電手段が充電中であると判別してから前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで前記導通制御信号の出力を遅延させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれか一にかかる発明において、前記遅延制御手段は、前記導通制御信号の出力を前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで遅延させるRC時定数回路、および前記導通手段の導通制御後、前記RC時定数回路のキャパシタに蓄電された電力を放電するダイオードを含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記遅延制御手段は、前記充電手段の出力電圧と前記蓄電手段の電圧との差に基づいて、前記充電手段の出力電圧と前記蓄電手段の電圧が同等となる充電時間を算出し、前記導通制御信号の出力を算出した充電時間遅延させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1から5のいずれか一にかかる発明において、前記蓄電手段の電圧と基準電圧とを比較する比較手段をさらに備え、前記充電手段は、前記蓄電手段の電圧が基準電圧に達した場合、前記蓄電手段の充電を停止することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1から6のいずれか一にかかる発明において、外部機器の動作モードを検出し、検出した前記動作モードに応じて前記充電手段による前記蓄電手段の充電を実行するインタフェース手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1から7のいずれか一にかかる発明において、前記導通手段は、MOSトランジスタであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9にかかる発明は、請求項1から8のいずれか一に記載の電源装置が備える蓄電手段から自装置が備える負荷に給電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、充電手段側の出力電圧が蓄電手段の電圧を超えるまで蓄電手段と充電手段とが導通しないので、蓄電手段から充電手段への逆流の発生を防止することができる、という効果を奏する。また、蓄電手段から充電手段側への逆流が生じないので、充電効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の他の目的および特徴は、以下の、図面を参照した実施例の説明より明らかにする。本実施形態では、電源装置を備える画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施形態の画像形成装置をMFP(Multi Function Peripheral)に適用した例を示す。但しMFPに限られず、デジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ機能やコピー、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成処理を行うものであれば、本実施形態の画像形成装置を適用することができる。
【0020】
図1は、MFPの縦断面図である。MFP1は、複写機能と、これ以外の機能、例えば、プリンタ機能、ファクシミリ機能とを備えていて、図示しない操作部のアプリケーション切り替えキーの操作により、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能である。これにより、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリントモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0021】
次に、MFP1の概略構成および複写モードの際の動作について説明する。図1において、自動原稿送り装置(以下、ADFという)101において、原稿台102に画像面を上にして置かれた原稿は、図示しない操作部上のスタートキーが押下されると、給紙ローラ103、給送ベルト104によってコンタクトガラス105上の所定の位置に給送される。ADF101は、一枚の原稿の給送完了毎に原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有する。コンタクトガラス105上の原稿は、画像読取装置106によって画像情報が読み取られた後に、給送ベルト104、排送ローラ107によって排紙台108上に排出される。
【0022】
原稿セット検知器109で原稿台102上に次の原稿が存在することが検知された場合には、同様に原稿台102上の一番下の原稿が給紙ローラ103、給送ベルト104によってコンタクトガラス105上の所定の位置に給送される。このコンタクトガラス105上の原稿は、画像読取装置106によって画像情報が読み取られた後に、給送ベルト104、排送ローラ107によって排紙台108上に排出される。ここに、給紙ローラ103、給送ベルト104および排送ローラ107は搬送モータによって駆動される。
【0023】
第1給紙装置110、第2給紙装置111および第3給紙装置112は、それぞれ選択されたときに、その積載された転写紙を給紙し、この転写紙は縦搬送ユニット116によって感光体ドラム117に当接する位置まで搬送される。感光体117は、例えば感光体ドラムが用いられていて、図示しないメインモータにより回転駆動される。
【0024】
画像読取装置106で原稿から読み取られた画像データは、図示しない画像処理装置で所定の画像処理が施された後、書き込みユニット118によって光情報に変換され、感光体ドラム117には図示しない帯電器により一様に帯電された後に書き込みユニット118からの光情報で露光されて静電潜像が形成される。この感光体ドラム117上の静電潜像は、現像装置119により現像されてトナー像となる。書き込みユニット118、感光体ドラム117、現像装置119や、その他の図示しない感光体ドラム117の周りの周知の装置などにより、プリンタエンジンを構成している。
【0025】
搬送ベルト120は、用紙搬送の手段および転写の手段を兼ねていて電源から転写バイアスが印加され、縦搬送ユニット116からの転写紙を感光体ドラム117と等速で搬送しながら感光体ドラム117上のトナー像を転写紙に転写する。この転写紙は、定着装置121によりトナー像が定着され、排紙ユニット122により排紙トレイ123に排出される。感光体ドラム117は、トナー像転写後に図示しないクリーニング装置により残存トナーのクリーニングがなされる。
【0026】
以上の動作は、通常のモードで用紙の片面に画像を複写するときの動作であるが、両面モードで転写紙の両面に画像を複写する場合には、各給紙トレイ113〜115のいずれかより給紙されて表面に上述のように画像が形成された転写紙は、排紙ユニット122により排紙トレイ123側ではなく、両面入紙搬送路124側に切り替えられ、反転ユニット125によりスイッチバックされて表裏が反転され、両面搬送ユニット126へ搬送される。
【0027】
この両面搬送ユニット126へ搬送された転写紙は、両面搬送ユニット126により縦搬送ユニット116へ搬送され、縦搬送ユニット116により感光体ドラム117に当接する位置まで搬送され、感光体ドラム117上に上述と同様に形成されたトナー像が裏面に転写されて、定着装置121でトナー像が定着されることにより両面コピーとなる。この両面コピーは排紙ユニット122により排紙トレイ123に排出される。
【0028】
また、転写紙を反転して排出する場合には、反転ユニット125によりスイッチバックされて表裏が反転された転写紙は、両面搬送ユニット126に搬送されずに反転排紙搬送路127を経て排紙ユニット122により排紙トレイ123に排出される。
【0029】
プリントモードでは、前述の画像処理装置からの画像データの代りに、外部からの画像データが書き込みユニット118に入力されて、前述と同様に転写紙上に画像が形成される。
【0030】
さらに、ファクシミリモードでは、画像読取装置106からの画像データが図示しないファクシミリ送受信部により相手に送信され、相手からの画像データがファクシミリ送受信部で受信されて前述の画像処理装置からの画像データの代りに書き込みユニット118に入力されることにより、前述と同様に転写紙上に画像が形成される。
【0031】
また、このデジタル複写機1には、図示しない大量用紙供給装置(以下、LCTという)と、およびソート、穴あけ、ステイプルなどを行うフィニッシャーと、原稿読み取りのためのモード、複写倍率の設定、給紙段の設定、フィニッシャーで後処理の設定、オペレータに対する表示などを行う操作部とを備えている。
【0032】
ここで、本実施形態のMFPが備える電源装置による電源制御処理の概略について図2および図3を用いて説明する。図2は、電源装置による電源制御処理の一例を示す説明図である。図3は、主電源および補助電源から負荷への電力供給レベルの一例を示す説明図である。
【0033】
商用交流201は、画像読取装置106、定着装置121、プリンタエンジンや各種モータ等のその他の負荷を駆動する主電源である。補助電源202は、商用交流201からの電力供給を受けて充電され、充電された電力により負荷を駆動する充放電可能な蓄電手段である。図2上では、補助電源202は、キャパシタであるが蓄電池である場合もある。キャパシタの具体例としては比較的に静電容量が大きいアルミ電解コンデンサや電気二重層コンデンサが挙げられる。スイッチ203は、商用電源201から補助電源202への充電のオン/オフと、補助電源202からの給電のオン/オフと、を切り替えるものである。スイッチ203は、例えば、補助電源202側の共通接点と、商用電源202側の接点、画像読取装置106側の接点およびどちらにも繋がっていない接点のいずれかと、を接続するスイッチである。また、2つ以上のリレーやFETを組み合わせてスイッチ203の機能を実現しても良い。本実施形態では、電源装置は、立ち上げ時などの通常時、スイッチ203をオフして、商用交流201から画像読取装置106を含むシステム系、その他の負荷、および定着装置121に給電する。また、商用電源201から供給される電力に余裕があるときには、スイッチ203を商用電源201側の接点に接続して補助電源202の充電を行う。一方、電源装置は、画像読取装置106と定着装置121とを同時に動かす場合などの補助電源使用時、スイッチ203を画像読取装置106側の接点に接続して、補助電源202からの給電により画像読取装置106を駆動し、商用交流201から定着装置121へ給電する電力量を増やしている。なお、図2に示す例では、補助電源202の給電先が画像読取装置106のみとなっているが、これに限定するものではない。例えば、補助電源202から定着装置121やその他の負荷へ給電することも可能である。以下、本実施形態のMFPが備える電源装置の構成および動作について説明する。
【0034】
図4は、本実施形態のMFPが備える電源装置の概要を示すブロック図である。負荷405は、定着装置121、画像読取装置106、プリンタエンジンや各種モータ等のその他の負荷である。商用交流201と補助電源202との間には、補助電源202を充電する充電回路401がある。充電回路401は、本例では、商用交流201の電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ、および該コンバータの直流出力を、補助電源202を充電する電力に変換するDC/DCコンバータを含むものである。該DC/DCコンバータは、直流電圧をチョッピング回路によりチョッピングしてトランスの一次巻線に印加し、二次巻線に誘起する電圧をダイオードで整流しキャパシタで平滑化する。
【0035】
なお、巻線型のトランスに代えて圧電トランスが用いられることもある。いずれにしても、充電回路401の給電出力端の直前には平滑用(蓄圧用)のキャパシタがあるので、補助電源202への充電を開始するとき、すなわち主電源から充電回路401へ充電電圧が加わったとき、充電回路401の出力電圧は、微視的にみると漸増し、充電開始と同時に後述する逆流阻止回路404のスイッチ407をオンにすると、該スイッチ(例えばリレースイッチ)を通して逆流を生じるか、或いはスイッチ(半導体スイッチ)に過大な逆極性電圧が加わってスイッチが故障する可能性がある。そこで、本実施形態の電源装置は、以下に説明する構成により逆流およびスイッチの故障を防止している。
【0036】
該DC/DCコンバータは、図示しない外部機器からの充電/停止指示信号に応じて、チョッピング回路により直流電圧をチョッピングすることにより、高周波数でオン/オフを繰り返すスイッチング素子に対して動作/不動作指示信号を与える。また、外部機器が充電/停止指示信号を「充電」指示レベルに切り換えると、充電回路401は充電用の出力電圧を発生して充電ラインPFfに出力する。外部機器が充電/停止指示信号を「停止」指示レベルに切り換えると、充電回路401は充電用の出力電圧の出力を停止する。本例では、充電用電流の帰還ラインPFbに、後述する逆流阻止回路404を介挿している。図4上では、主電源は商用交流201であるが、直流電源の場合もある。この場合には、充電回路401は、AC/DCコンバータを持たないものとなる。
【0037】
逆流阻止回路404には、逆流阻止用のダイオード406、および補助電源202と充電回路401とを導通/非導通する導通手段であるスイッチ407がある。スイッチ407は、機械スイッチ(例えばリレースイッチ)で示しているが、この表記は、スイッチ手段を表現するもので、実際には、ダイオード406の順方向電圧降下よりも、オン時の電圧降下が小さい(電導抵抗が非常に小さい)、バイポーラトランジスタ,MOSトランジスタ,絶縁ゲート型トランジスタ,水銀リレー又は電磁リレーである。
【0038】
遅延制御回路402およびスイッチングドライバ403は、充電ラインPFfの電圧(充電回路401の出力電圧)が補助電源202の電圧を超えていることを条件として、スイッチ407を導通制御して補助電源202を充電回路401により充電するものである。具体的には、遅延制御回路402は、充電回路401の充電開始から遅延時間Tdpの後に、充電中信号(高レベルH)を発生し、充電停止のときは充電中信号(H)を消去する。すなわち、低レベルLに戻す。スイッチングドライバ403は、充電中信号(H)がある間逆流阻止回路404のスイッチ407をオンにするが、充電中信号(H)が消えてLになると、スイッチ407をオフに戻す。
【実施例1】
【0039】
図5は、第1実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。この実施例では、図4に示すスイッチ407としてnMOSトランジスタ505を用いて逆流阻止回路404を構成した。また、遅延制御回路402には、nMOSトランジスタ505の導通制御する導通制御信号の出力を充電ラインPFfの電圧が補助電源202の電圧を超えるまで遅延させる既製品のパワーオンリセット回路501を用いた。このパワーオンリセット回路501は、電源出力の立ち上がりが緩やかであることを利用して、電源出力が所定電圧Tpoに達するとパワーオンリセット信号(H)を発生する。これが本実施例では充電中信号(H)である。スイッチングドライバ403は、充電中信号(H)に応答して、遅延制御回路402により遅延された導通制御信号であるトランジスタオン信号(H)をnMOSトランジスタ505に出力して補助電源202を充電回路401により充電する既製品のON/OFF機能付レギュレータIC502、およびON/OFF機能付レギュレータIC502から出力されたトランジスタオン信号(H)を更に遅延させるCR時定数回路(キャパシタ503,抵抗504)で構成した。ON/OFF機能付レギュレータIC502は、充電中信号(H)に応答してトランジスタオン指示信号(H)を出力するが、このトランジスタオン指示信号(H)の立ち上がりがキャパシタ503および抵抗504によってTdsの遅延を生ずる。このCR時定数回路(キャパシタ503,抵抗504)の遅延時間Tdsは、パワーオンリセット回路501による遅延時間Tdpでは不足する遅延を補うと共に、ノイズなどによる異常Hパルスによって誤ってnMOSトランジスタ505をオンにしないように、ON/OFF機能付レギュレータIC502がnMOSトランジスタ505に与えるトランジスタオン指示信号(H)に遅延を加えるものである。このように、本実施の形態では、遅延制御回路402として既製品のパワーオンリセット回路501、スイッチングドライバ403としてON/OFF機能付レギュレータIC502等を用いることにより、電源装置を低コストで小型化することができる。
【0040】
図6は、充電ラインPFfの電圧変化と、遅延制御回路の出力である充電中信号(H)(パワーオンリセット信号)と、スイッチングドライバの出力電圧(抵抗の駆動出力)と、nMOSトランジスタのオン/オフと、の関係を示す図である。
【0041】
パワーオンリセット回路501は、充電回路401の出力電圧が低い場合LOWレベルL(充電中信号(L))を出力しており、その信号によりON/OFF機能付レギュレータIC502はOFFしており、nMOSトランジスタ505がオフしている。補助電源202の充電開始により充電回路401の出力電圧が上昇し、所定電圧Tpo以上となると、その電圧を基に一定期間(遅延時間Tdp)後にHighレベルHすなわち充電中信号(H)を出力し、その信号を基にON/OFF機能付レギュレータIC502がトランジスタオン指示信号(H)を出力し、nMOSトランジスタ505がオンする。充電回路401が補助電源202への充電を停止すると、充電ラインPFfの電圧が補助電源202の電圧に低下し、それが所定電圧Tpo未満になると、パワーオンリセット回路501の出力(充電中信号)は電源オフを表すLに低下する。すなわち充電中信号(H)を消去する。これによりON/OFF機能付レギュレータIC502の出力がトランジスタオフ指示信号(L)に低下し、キャパシタ503がON/OFF機能付レギュレータIC502の出力端(L)に放電し、抵抗504の出力電圧がトランジスタオンレベルTtoより低下してnMOSトランジスタ505がオフに切換る。すなわちスイッチ開となる。
【0042】
本実施例では、遅延制御回路402にパワーオンリセット回路501を用いたが、充電ラインPFfの電圧が所定電圧Tpoに達すると計時を開始して計時値が設定値に達するとタイムオーバ信号H(充電中信号(H))を発生するタイマーIC等を使用し、図示しない外部機器から充電回路401に与えられる充電/停止指示信号が、「停止」指示レベルLに切換ると、このLによってタイマーIC等をクリア又はリセットして、タイムオーバ信号H(充電中信号(H))を消去する(Lに戻す)ようにしてもよい。また、スイッチングドライバ403として、ON/OFF機能付レギュレータIC502を用いているが、例えば、信号のH,L論理を合わせるための制御回路とトーテムポール型の駆動回路の組合せなど、他の駆動回路を用いても良い。さらに、nMOSトランジスタ505のドレイン/基板間のダイオードを逆流阻止用のダイオードに兼用すれば、ダイオード406は省略することも出来る。
【実施例2】
【0043】
図7は、第2実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。本実施例では、充電回路701は、補助電源202が充電中か否かを判別する制御電圧を出力する。本実施の形態では、充電回路701のDC/DCコンバータが制御出力用の第2系統の2次巻線と整流平滑回路を持ち、遅延制御回路402のパワーオンリセット回路501は該第2系統の整流平滑回路の出力端に接続されている。パワーオンリセット回路501は、nMOSトランジスタ505の導通制御を充電回路701の制御電圧により補助電源202が充電中であると判別してから充電回路401の出力電圧が補助電源202の電圧を超えるまで遅延させる。本実施の形態では、パワーオンリセット回路501は、所定の制御電圧が出力された場合、遅延時間Tdpの後に充電中信号(H)を出力し、電圧0が出力された場合、充電中信号(L)を出力するものとする。その他の構成は、上述の第1実施例(図5に示す)と同様である。第2系統の該出力端は、充電ラインPFf(補助電源202の電圧)に接続されていないので、充電中は所定の制御電圧、充電停止中は電圧0(機器アースレベル)であるので、電源オン/オフ(充電中/停止中)の判別をラフ(簡易)な基準電圧設定で正確に行う事が出来、しかも、パワーオンリセット回路501の、電気素子の電気値のばらつきによる誤動作或いは充電中信号(電源オン信号)の立ち上り/立下り検知エラーを生じない。
【実施例3】
【0044】
図8は、第3実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。本実施例では、逆流阻止回路801を充電ラインPFfに介挿し、充電回路701は第2実施例(図7に示す)と同様に、制御出力用の第2系統の2次巻線と整流平滑回路を備えるものとしたが、第2系統の整流平滑回路の出力端には、トランジスタオン信号(H)の出力を充電ラインPFfの電圧が補助電源202の電圧を超えるまで遅延させるRC時定数回路(抵抗802,キャパシタ803)を接続し、しかも、充電停止と同時に、nMOSトランジスタ505をオフにするために、nMOSトランジスタ505の導通制御後、RC時定数回路のキャパシタ803に蓄電された電力を放電するキャパシタ放電用のダイオード804を抵抗802に並列に接続した。この第3実施例では、シンプルな抵抗802およびキャパシタ803を含むRC時定数回路により遅延した充電中信号を基に、スイッチングドライバ403の抵抗805を介してnMOSトランジスタ505をオン/オフ付勢する。充電開始と同時に、抵抗802を通してキャパシタ803の充電が開始され、所定時間後にキャパシタ803の充電電圧がnMOSトランジスタ505をオン付勢するレベルとなってnMOSトランジスタ505がオンする。充電が停止した時には、キャパシタ803がダイオード804を通して放電するので、早期にキャパシタ803の電圧がトランジスタオフレベルに低下してnMOSトランジスタ505がオフになる。なお、ダイオード804は、キャパシタ803の電圧の立ち下がり時間の遅れが問題にならない場合は不要である。これにより、遅延制御回路402を簡易かつ低コストで実現することができる。また、充電が停止した際に、RC時定数回路が備えるキャパシタ803に蓄電された電力がダイオード804を介して放電されるため、補助電源202と充電回路701とを早期に非導通にすることができるので、補助電源202から充電回路701への逆流を防止することができる。
【実施例4】
【0045】
図9は、第4実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。本実施例は、第1実施例(図5に示す)に補助電源202の電圧と基準電圧とを比較する比較回路901を加え、充電回路401は、外部機器から与えられる充電/停止指示信号に応答して充電/停止を行うのに加えて、比較回路901の充電完了信号(L)にも応答して充電動作の停止(出力停止)を行うものである。比較回路901の比較器904は、抵抗902,903によって分圧された補助電源202の電圧(充電ラインPFfの電圧)を、基準電圧発生器905が発生する基準電圧と比較している。該基準電圧は、補助電源202の飽和電圧又は過充電に対応する電圧である。補助電源202の電圧が基準電圧に達すると、比較器904の出力レベルがLとなり、これに応答して充電回路401が補助電源202の充電をオフ(停止)する。従って、この第4実施例によって補助電源202の過充電を防ぐことができる。なお、比較器904の出力は、抵抗902,903による分圧電圧が基準電圧に達すると、充電完了信号をHからLに切換える。
【実施例5】
【0046】
図10は、第5実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。本実施例は、充電回路401に充電/停止指示信号を与えて充電/停止を切換え制御するマイコン1002によって、充電開始時の遅延時間を制御するものである。遅延制御回路1001を、マイコン1002およびI/O(入出力インタフェース)1003で構成し、逆流阻止回路404よりも充電回路401側に、充電回路401の出力電圧検出用の分圧抵抗1004,1005を加え、逆流阻止回路404よりも補助電源202側に、補助電源202の充電電圧検出用の分圧抵抗1006,1007を加え、他は第1実施例(図5に示す)と略同様の構成としている。しかし、後述するようにマイコン1002がnMOSトランジスタ505をオンするまでの遅延時間(Tdp+Tds)を定めるので、スイッチングドライバ403は、トランジスタオン指示信号を遅延する第1実施例のキャパシタ503は、省略したものとしている。
【0047】
マイコン1002が充電回路401に「充電」を指示するときは、ON/OFF機能付レギュレータIC502の出力(トランジスタオン指示信号)は、トランジスタオフレベル(L)であり、nMOSトランジスタ505はオフである。マイコン1002は、充電回路401に「充電」を指示し(充電/停止指示信号を「充電」指示レベルに切り替え)、そして、分圧抵抗1004,1005による充電側分圧電圧と、分圧抵抗1006,1007による受電側分圧電圧と、をI/O1003を介してA/D変換して読み込み、これを所定周期で繰り返して、両電圧の差にもとづいて、「充電側分圧電圧−受電側分圧電圧」が負の間は、ON/OFF機能付レギュレータIC502への制御信号(充電中信号)はLに維持する。すなわちnMOSトランジスタ505はオフに維持する。「充電側分圧電圧−受電側分圧電圧」が正になり充電側分圧電圧が安定すると、マイコン1002は、そのときの「充電側分圧電圧−受電側分圧電圧」に基づいて充電回路401から補助電源202への充電電流或いは充電電力を判定し、その値と充電回路401の出力容量より、受電側分圧電圧が充電側分圧電圧と同等となる充電時間を算出する。そして、マイコン1002は、その算出結果を基に遅延時間を定めて、該遅延時間後にON/OFF機能付レギュレータIC502への制御信号をH(充電中信号(H))に切り換える。これにより、ON/OFF機能付レギュレータIC502がトランジスタオン指示信号(H)を出力し、nMOSトランジスタ505がオンする。
【0048】
その後、補助電源202の充電完了などにより充電停止条件が成立するとマイコン1002は、ON/OFF機能付レギュレータIC502への制御信号(充電中信号(H))をLに切り換える。すなわち充電中信号(H)を消去する。これによりnMOSトランジスタ505がオフする。
【0049】
なお、本例の動作説明として、上記では、算出された充電時間を基に遅延時間を定めて該遅延時間の経過後にnMOSトランジスタ505をオンとしているが、充電側分圧電圧が受電側分圧電圧に達したときに、nMOSトランジスタ505をオンとしても良い。この場合には、遅延時間は、充電開始時点から、充電側分圧電圧が受電側分圧電圧に達するまでの時間となる。
【実施例6】
【0050】
図11は、第6実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。本実施例は、外部機器1102からの制御信号(充電/停止指示信号),状態信号の送受信を行うI/O1101によって、外部機器1102から受信する信号に基づいて外部機器1102の動作モードを検出し、検出した動作モードに応じた充電/停止指示信号を充電回路401に与えるようにしたものである。その他の構成は第1実施例(図5に示す)と同様である。
【0051】
以上の実施例では、逆流阻止回路のスイッチとして、nMOSトランジスタを用いているが、これをリレーバイポーラトランジスタと置き換えられることは明らかである。また、スイッチとしてnMOSトランジスタを用いているが、これは、制御,駆動回路の論理を反転することでpMOSトランジスタと置き換えられることは明らかである。スイッチングドライバは、スイッチにnMOSトランジスタを用いれば極めて低消費電力とすることができる。
【0052】
本実施形態によれば、これまでのシリコンダイオードやショットキィダイオードよりも低消費電力で確実に動作する逆流阻止回路を具現でき、主電源が商用交流やバッテリ或いはエンジン発電機の場合に適用できる。加えて、主電源が、低電力直流電源,発電電力の小さな太陽光発電装置,風力発電装置機など、電力容量が小さい場合に、補助電源装置を高効率とし低コストとし、小型化するに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】MFPの縦断面図である。
【図2】電源装置による電源制御処理の一例を示す説明図である。
【図3】主電源および補助電源から負荷への電力供給レベルの一例を示す説明図である。
【図4】本実施形態の電源装置の概要を示すブロック図である。
【図5】第1実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図6】充電ラインPFfの電圧変化と、遅延制御回路の出力である充電中信号(H)(パワーオンリセット信号)と、スイッチングドライバの出力電圧(抵抗の駆動出力)と、nMOSトランジスタのオン/オフと、の関係を示す図である。
【図7】第2実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第4実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第5実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第6実施例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 デジタル複写機
101 ADF
102 原稿台
103 給紙ローラ
104 給送ベルト
105 コンタクトガラス
106 画像読取装置
107 排送ローラ
108 排紙台
109 原稿セット検知器
110 第1給紙装置
111 第2給紙装置
112 第3給紙装置
113〜115 給紙トレイ
116 縦搬送ユニット
117 感光体ドラム
118 書き込みユニット
119 現像装置
120 搬送ベルト
121 定着装置
122 排紙ユニット
123 排紙トレイ
124 両面入紙搬送路
125 反転ユニット
126 両面搬送ユニット
127 反転排紙搬送路
201 商用交流
202 補助電源
203,407 スイッチ
401,701 充電回路
402,1001 遅延制御回路
403 スイッチングドライバ
404 逆流阻止回路
405 負荷
406,804 ダイオード
501 パワーオンリセット回路
502 ON/OFF機能付レギュレータIC
503,803 キャパシタ
504,802,805,902,903 抵抗
1004〜1007 分圧抵抗
505 nMOSトランジスタ
901 比較回路
904 比較器
905 基準電圧発生器
1002 マイコン
1003,1101 I/O
1102 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動する充放電可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段を充電する充電手段と、
前記蓄電手段と前記充電手段とを導通/非導通する導通手段と、
前記導通手段を導通制御する導通制御信号の出力を前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで遅延させる遅延制御手段と、
前記導通制御手段により遅延された前記導通制御信号を前記導通手段に出力して前記蓄電手段を前記充電手段により充電する出力手段と、
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
出力された前記導通制御信号を更に遅延させるCR時定数回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記充電手段は、さらに、前記蓄電手段を充電中か否かを判別する制御電圧を出力し、
前記遅延制御手段は、前記導通手段の導通制御を前記制御電圧により前記蓄電手段が充電中であると判別してから前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで前記導通制御信号の出力を遅延させることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記遅延制御手段は、前記導通制御信号の出力を前記充電手段の出力電圧が前記蓄電手段の電圧を超えるまで遅延させるRC時定数回路、および前記導通手段の導通制御後、前記RC時定数回路のキャパシタに蓄電された電力を放電するダイオードを含むことを特徴とする請求項1からの3のいずれか一に記載の電源装置。
【請求項5】
前記遅延制御手段は、前記充電手段の出力電圧と前記蓄電手段の電圧との差に基づいて、前記充電手段の出力電圧と前記蓄電手段の電圧が同等となる充電時間を算出し、前記導通制御信号の出力を算出した充電時間遅延させることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記蓄電手段の電圧と基準電圧とを比較する比較手段をさらに備え、
前記充電手段は、前記蓄電手段の電圧が基準電圧に達した場合、前記蓄電手段の充電を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の電源装置。
【請求項7】
外部機器の動作モードを検出し、検出した前記動作モードに応じて前記充電手段による前記蓄電手段の充電を実行するインタフェース手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の電源装置。
【請求項8】
前記導通手段は、MOSトランジスタであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一に記載の電源装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の電源装置が備える蓄電手段から自装置が備える負荷に給電することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−60778(P2009−60778A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160351(P2008−160351)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】