説明

電源装置

【課題】回路が複雑でなく、スイッチング素子の保護機能を向上することができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置10は、一端が電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された主スイッチング素子15と、カソード端子が主スイッチング素子の他端に接続され、アノード端子が接地された整流素子と、主スイッチング素子を制御する制御信号を電圧レベル変換して出力するレベルシフト回路と、ドライバ回路と、レベルシフト回路とドライバ回路に電源供給するブートストラップ回路と、電源からの電圧を所定の電圧に変換してブートストラップ回路に電源供給するレギュレータとを備えた電源装置であって、主スイッチング素子をオンする制御信号が入力されている期間中は、レギュレータからブートストラップ回路への電源供給を遮断するレギュレータ電源供給遮断手段23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に、スイッチング素子の保護機能を向上させた電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET等のスイッチング素子をPWM駆動し所定のデューティ比の矩形波電圧を出力する電源装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。そのような電源装置において、NチャネルMOSFETをハイサイドスイッチとして用いる場合には、ゲート電極を電源電圧以上に昇圧する必要がある。このため従来の電源装置では、コンデンサをソース電極とゲート制御回路の制御電源端子との間に接続したブートストラップ回路が用いられている。
【0003】
特許文献1においては、ハイサイドMOSFETのソース電極が接地電位になったとき充電されるコンデンサを設けて昇圧回路とし、ハイサイドMOSFETのゲート・ソース間電圧Vgsをモニターする電位検出回路を設け、Vgsが所定値以下に低下したとき電位検出回路からの信号により、ゲート制御回路がゲート電極の電位を下げて、ハイサイドMOSFETをオフさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−38134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、スイッチング素子であるハイサイドMOSFETのゲート・ソース間電圧Vgsというフローティングの電圧を監視しなければならないため、回路が複雑になるという問題点があった。また、ハイサイドMOSFETのゲート・ソース間電圧Vgsの低下を検知してから、ハイサイドMOSFETの駆動を止めるため、ハイサイドMOSFETのゲート・ソース間電圧Vgsの低下を検知してからハイサイドMOSFETの駆動を止めるまでに遅延時間が必ず発生し、その遅延時間の間にハイサイドMOSFETがオンしてしまうという誤動作の可能性があるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、回路が複雑でなく、スイッチング素子の誤動作を防止し、保護機能を向上することができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電源装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の電源装置(請求項1に対応)は、一端が電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された主スイッチング素子と、カソード端子が主スイッチング素子の他端に接続され、アノード端子が接地された整流素子と、主スイッチング素子を制御する制御信号を電圧レベル変換して出力するレベルシフト回路と、レベルシフト回路から出力された制御信号を主スイッチング素子に供給するドライバ回路と、レベルシフト回路とドライバ回路に電源供給するブートストラップ回路と、電源からの電圧を所定の電圧に変換してブートストラップ回路に電源供給するレギュレータとを備えた電源装置であって、主スイッチング素子をオンする制御信号が入力されている期間中は、レギュレータからブートストラップ回路への電源供給を遮断するレギュレータ電源供給遮断手段を設けたことを特徴とする。
第2の電源装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、レギュレータは、トランジスタとトランジスタを駆動する電流源などからなる駆動素子で構成され、レギュレータ電源供給遮断手段は、一端が電流源に接続され他端が接地され、主スイッチング素子をオンする制御信号を受けてオンして電流源の電流を接地側に引き抜く第2のスイッチング素子で構成されることを特徴とする。
第3の電源装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、レギュレータ電源供給遮断手段は、レギュレータとブートストラップ回路との接続間に設けられ、主スイッチング素子をオンする制御信号を受けてオフする第3のスイッチング素子であることを特徴とする。
第4の電源装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、カソード端子が主スイッチング素子の他端に接続され、アノード端子が接地された整流素子は、第4のスイッチング素子にて構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路が複雑でなく、スイッチング素子の誤動作を防止し、保護機能を向上することができる電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源装置を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電源装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電源装置の各部の波形を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電源装置を示す概念図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電源装置の各部の波形を示す図である。
【図6】同期整流DC−DCコンバータの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置を示す概念図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置を示す回路図である。電源装置10は、端子M1から所望のデューティ比を有する矩形波電圧を出力する。電源装置10は、端子M1に負荷としてモータ等を接続することによりモータ駆動用の電源装置として利用することができる。また、図1と図2に示すように、電源装置10は、端子M1に、インダクタLとコンデンサCにより構成される平滑回路40を接続し、インダクタLとコンデンサCの接続点J1を出力端子VOUT30とし、DC−DCコンバータ10cを構成することができる。本実施例ではDC−DCコンバータ10cの負荷として出力端子VOUT30に負荷R30が接続されている。以下では、DC−DCコンバータ10cを例にして説明する。
【0012】
この電源装置10は、ドレイン端子11が電源(入力電源電圧PVDD)端子12に接続され、ソース端子13が端子14に接続された主スイッチング素子15と、カソード端子16が端子14に接続され、アノード端子17が接地された整流素子18とを備えている。また、電源装置10は、図示しない制御部から端子SINを介して入力される主スイッチング素子15をオンオフ制御する制御信号を電圧レベル変換して出力するレベルシフト回路19と、レベルシフト回路19から出力された制御信号を主スイッチング素子15のゲート15gに供給するドライバ回路部20とを備えている。さらに、電源装置10は、レベルシフト回路19とドライバ回路部20に電源供給するブートストラップ回路21と、電源端子12からの電圧を所定の電圧に変換してブートストラップ回路21に電源供給するレギュレータ22とを備えている。また、電源装置10は、図示しない制御部から端子SINに主スイッチング素子15をオンする制御信号(ハイサイドON信号)が入力されている期間中は、レギュレータ22からブートストラップ回路21への電源供給を遮断するレギュレータ電源供給遮断部23を設けている。
【0013】
主スイッチング素子15には、例えば、NチャネルのMOSFET(金属酸化膜半導体による電界効果トランジスタ、以下、単にNMOSという。)が用いられている。
【0014】
レギュレータ22は、図2に示すように、例えば、バイポーラトランジスタを駆動するための電流源22aと抵抗R1と、定電圧素子ZDと、バイポーラトランジスタ22bより構成されている。
【0015】
図1と図2において、レギュレータ22からの電源電圧VDDは、ブートストラップ回路21に入力電源電圧(PVDD)とは異なる大きさで供給されるものであって、DC−DCコンバータ10cは、入力電源電圧(PVDD)を変換し、平滑回路部40を介して所望の出力電圧を出力端子VOUT30から出力するように構成されている。
【0016】
ドライバ回路部20は、主スイッチング素子15を駆動するためのドライバ回路20a(以下、ハイサイドドライバという。)から構成されている。ハイサイドドライバ20aの出力端子20bは、主スイッチング素子15のゲート端子15gに接続され、主スイッチング素子15のオンオフ制御を行う。その結果、主スイッチング素子15と整流素子18の接続点(端子)14を介して端子M1には所望のデューティ比を有する矩形波電圧が現れる。
【0017】
平滑回路部40は、インダクタLとコンデンサCの直列回路により構成され、それらの接続点J1が出力端子VOUT30に接続されている。ここで、インダクタLの一端は電源装置10の端子M1に接続され、インダクタLの他端とコンデンサCの一端が接続点J1で接続され、コンデンサCの他端は接地される。この平滑回路部40では、電源装置10の端子M1から入力された矩形波電圧がインダクタLとコンデンサCにより平滑化され、出力端子VOUT30から直流出力電圧が出力される。ここで、直流出力電圧を所望の電圧とするため、図示しない制御回路にて出力電圧と所定の基準電圧と比較し、その誤差電圧をハイサイドON信号へフィードバック制御する。これにより、ハイサイドON信号のデューティ比が変化して出力電圧は所望の電圧に制御される。
【0018】
ブートストラップ回路21は、コンデンサCbstおよびダイオードDbstにより、入力電源電圧(PVDD)よりも高い電圧(Vbst)を生成する。このブートストラップ回路を設けているのは、この電源装置10においては、主スイッチング素子15がNMOSであるので、主スイッチング素子15を駆動するゲート電圧を、入力電源電圧(PVDD)よりも高い電圧にする必要があるためである。
【0019】
ブートストラップ回路21において、主スイッチング素子15がオフ状態のとき、かつ、平滑回路部40のインダクタLの回生電流が整流素子18、インダクタL、コンデンサCを介して流れているとき、コンデンサCbstの端子14側の電位は接地電位(整流器18の順方向電圧は無視する。)となるので、そのコンデンサCbstにはダイオードDbstを介してレギュレータ22の出力端子から充電電流が流れ込み、コンデンサCbstは電圧値(VDD)まで充電される(ダイオードDbstの順方向電圧は無視している)。次に、主スイッチング素子15がオンすると、主スイッチング素子15の端子13に接続された端子14の電圧値(Vm)が入力電源電圧(PVDD)まで上昇する。したがって、コンデンサCbstとダイオードDbstとの接続点M2(ハイサイドドライバ20aの電源端子)の電圧値(Vbst)は、入力電源電圧(PVDD)とコンデンサCbstの充電電圧値(VDD)との和、すなわち(PVDD+VDD)となって、ハイサイドドライバ20aの電源端子には入力電源電圧(PVDD)より高い電圧値が供給される。
【0020】
このようにして、ハイサイドドライバ20aは、ブートストラップ回路21のコンデンサCbstによって生成された端子間電圧(Vbst−Vm)で動作して、主スイッチング素子15のゲート15gを入力電源電圧(PVDD)より高い電圧で駆動できる。
【0021】
レベルシフト回路19は、端子SINから入力された信号の電圧レベルを主スイッチング素子15のゲート15gへ供給される制御信号の電圧レベルに変換する。ハイサイドドライバ20aは、Vbst−Vmの電圧間で動作するので、レベルシフト回路19をハイサイドドライバ20aの前段に設けて、制御信号の電圧レベルを変換する必要があるためである。
【0022】
レギュレータ電源供給遮断部23は、図示しない制御部から端子SINに主スイッチング素子15をオンする制御信号が入力されている期間中は、レギュレータ22からの電源供給を遮断する。レギュレータ電源供給遮断部23は、図2に示すように、ドレイン端子23dがレギュレータ22のバイアス電流源22aに接続され、ソース端子23sが接地され、端子SINからの制御信号が端子M4からゲート23gに供給されるNチャンネルMOSFETからなる第2のスイッチング素子23bにより構成される。第2のスイッチング素子23bは、主スイッチング素子15をオンする制御信号を受けてオンする。
【0023】
このレギュレータ電源供給遮断部23により、本実施形態では、「異常を検知してから対応する、すなわち、コンデンサCbstになんらかの異常が生じハイサイドドライバ20aの電源端子M2の電圧値の低下という異常を検知し、主スイッチング素子15を止める」のではなく、「異常が起きても問題ない回路動作にする」ように構成することができる。すなわち、このレギュレータ電源供給遮断部23により、ハイサイドドライバ20aの電源端子M2の電圧の高低に関わらず、主スイッチング素子15をオンする制御信号が端子SINから入力されている期間中は必ずレギュレータ(REG)22の出力電圧VDDをオフする回路動作を導入している。
【0024】
次に、本発明の本実施形態に係る電源装置10の動作を、図3の動作タイミングチャートを参照して説明する。図3(a)は、図示しない制御部から端子SINに入力される主スイッチング素子15をオンオフするための制御信号(ハイサイドON信号)を示し、図3(b)は、端子14の電圧波形、図3(c)は、レギュレータ出力電圧VDDを示している。
【0025】
通常時の動作は、次のようになる。ハイサイドON信号がLOWレベルのときは、第2のスイッチング素子23bがオフのため、電流源22aからの電流は、トランジスタ22bのベース・エミッタ間と、定電圧素子ZDとに流れるので、トランジスタ22bは、定電圧素子ZDの電圧値から、ベース・エミッタ間電圧を引いた電圧VDDを出力する。
【0026】
ハイサイドON信号がHighレベル(矢印A)になると、上述の第2のスイッチング素子23bがONし、レギュレータ22の電流源22aからのバイアス電流を第2のスイッチング素子23bが引き抜くため、端子22fの電位はGND電位となり、トランジスタ22bはオフし、レギュレータ出力電圧VDDは、GND電位まで下がる(矢印B)。その結果、図示しない制御部から端子SINに主スイッチング素子15をオンする制御信号が入力されている期間中はレギュレータ22からブートストラップ回路21への電圧供給が遮断される。
【0027】
ハイサイドON信号がLOWレベル(矢印C)になると、第2のスイッチング素子23bがOFFするため、再びレギュレータ出力トランジスタ22bにバイアス電流が供給され、レギュレータ出力電圧VDDは、定電圧素子ZDの電圧値からトランジスタ22bのベース・エミッタ間電圧を引いた電圧まで急速に上昇し(矢印D)、コンデンサCbstを充電する。
【0028】
以上のように、ハイサイドON信号を受けてONする第2のスイッチング素子23bを設け、そのドレイン端子23dをレギュレータ22のトランジスタ22b(図2のバイポーラトランジスタ)のベース端子とバイアス電流源23aとが接続された端子22fに接続した、簡単な構成で目的の機能を実現している。
【0029】
従来技術では、なんらかの異常でコンデンサCbstの接続がはずれた状態においても端子SINからハイサイドON信号が入力されると、レギュレータ22の出力端子から強制的に主スイッチング素子15が駆動される。そのため、主スイッチング素子15のゲート・ソース間電圧Vgsをモニターする電位検出回路が設けられた従来の装置でそのゲート・ソース間電圧Vgsの低下を検知してもその電圧値Vgsの低下を検知した時点から主スイッチング素子をオフするまでに生じる遅延時間の間は、主スイッチング素子が、充分なゲート電圧で駆動されずオン抵抗の高い状態で瞬間ONしてしまい、製品の劣化・破壊につながる恐れがあった。
【0030】
これに対し本実施形態では、なんらかの異常でコンデンサCbstの接続がはずれた状態において、端子SINからハイサイドON信号が入力されても、レギュレータ22の出力電圧がオフしているので、主スイッチング素子15のゲート15gを充電するバイアス源がない。そのため、主スイッチング素子15がONせず確実に主スイッチング素子15を保護できる。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電源装置50を示す概念図である。第2実施形態による、レギュレータ電源供給遮断部51は、レギュレータ22とブートストラップ回路21の間に設けられ、図示しない制御部から端子SINに入力される制御信号(ハイサイドON信号)を端子M5から受けて制御される第3のスイッチング素子52で構成している。この第3のスイッチング素子52は、主スイッチング素子15をオンする制御信号が端子SINから入力されたときは、オフとなり、主スイッチング素子15をオフする制御信号が端子SINから入力されたときは、オンとなる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付し説明を省略する。
【0032】
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、「異常を検知してから対応する、すなわち、コンデンサCbstになんらかの異常が生じハイサイドドライバ20aの電源端子M2の電圧値の低下という異常を検知し、主スイッチング素子15を止める」のではなく、「異常が生じても問題ない回路動作にする」ように構成することができる。すなわち、このレギュレータ電源供給遮断部23により、ハイサイドドライバ20aの電源端子M2の電圧の高低に関わらず、主スイッチング素子15をオンする制御信号が端子SINから入力されている期間中は必ずレギュレータ22の接続を切り離す回路動作を導入している。
【0033】
次に、本発明の本実施形態に係る電源装置50の動作を、図5の動作タイミングチャートを参照して説明する。図5(a)は、図示しない制御部から端子SINに入力される主スイッチング素子15をオンオフするための制御信号(ハイサイドON信号)を示し、図5(b)は、端子14の電圧波形、図5(c)は、ブートストラップ回路21に入力される電圧を示している。
【0034】
通常時の動作は、次のようになる。ハイサイドON信号がLOWレベルのときは、第3のスイッチング素子52がオンするため、レギュレータ22からの電圧がブートストラップ回路21に供給され、コンデンサCbstを充電する。
【0035】
ハイサイドON信号がHighレベル(矢印E)になると、上述の第3のスイッチング素子52がオフし、レギュレータ22からのブートストラップ回路21への電圧供給は、遮断される。その結果、主スイッチング素子15のON期間中はレギュレータ22からの電圧供給が遮断される(矢印F)。
【0036】
再び、ハイサイドON信号がLOWレベル(矢印G)になると、スイッチ52がオンするため、再びREGからの出力がブートストラップ回路21に電圧が供給され(矢印H)、コンデンサCbstを充電する。
【0037】
以上のように、ハイサイドON信号を受けてオフする第3のスイッチング素子52を設けた簡単な構成で目的の機能を実現している。
【0038】
従来技術では、なんらかの異常でコンデンサCbstの接続がはずれた状態においても端子SINからハイサイドON信号が入力されると、レギュレータ22の出力端子から強制的に主スイッチング素子15が駆動される。そのため、主スイッチング素子15のゲート・ソース間電圧Vgsをモニターする電位検出回路が設けられた従来の装置でそのゲート・ソース間電圧Vgsの低下を検知してもその電圧値Vgsの低下を検知した時点から主スイッチング素子をオフするまでに生じる遅延時間の間は、主スイッチング素子が、充分なゲート電圧で駆動されずオン抵抗の高い状態で瞬間ONしてしまい、製品の劣化・破壊につながる恐れがあった。
【0039】
これに対し本実施形態では、なんらかの異常でコンデンサCbstの接続がはずれた状態において、端子SINからハイサイドON信号が入力されても、レギュレータ22からの電圧供給がされないので、主スイッチング素子15のゲート15gを充電できない。そのため、主スイッチング素子15がONせず確実に主スイッチング素子15を保護できる。
【0040】
なお、本実施形態では、レギュレータ出力トランジスタはバイポーラとして説明したが、レギュレータ22の出力トランジスタはバイポーラでなくても良い。出力トランジスタをMOSFETにして、そのゲート端子をスイッチでGNDとショートしても同じ効果が得られる。その他、スイッチとレギュレータの出力トランジスタの組み合わせでなくても、結果としてハイサイドON期間中にレギュレータの出力を遮断することができれば、同じ効果を得ることができる。
【0041】
また、整流素子18をNチャンネルMOSFETに置き換えて同期整流DC−DCコンバータとしてもよい。図6に同期整流DC−DCコンバータの実施例を示す。
【0042】
さらに、本実施形態では、出力部に平滑回路を設けたDC−DCコンバータを例にして説明したが、電源装置の出力端子M1に直接、モータ等の負荷を接続して用いることもできる。
【0043】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る電源装置は、DC−DCコンバータやモータ等を駆動する電源装置として利用される。
【符号の説明】
【0045】
10 電源装置
10c DC−DCコンバータ
11 ドレイン端子
12 電源(入力電源電圧)端子
13 ソース端子
14 端子
15 主スイッチング素子
16 カソード端子
17 アノード端子
18 整流素子
19 レベルシフト回路
20 ドライバ回路部
21 ブートストラップ回路
22 レギュレータ
23 レギュレータ電源供給遮断部
L インダクタ
C コンデンサ
Cbst コンデンサ
Dbst ダイオード
M1 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された主スイッチング素子と、
カソード端子が前記主スイッチング素子の前記他端に接続され、アノード端子が接地された整流素子と、
前記主スイッチング素子を制御する制御信号を電圧レベル変換して出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト回路から出力された前記制御信号を前記主スイッチング素子に供給するドライバ回路と、
前記レベルシフト回路と前記ドライバ回路に電源供給するブートストラップ回路と、
電源からの電圧を所定の電圧に変換して前記ブートストラップ回路に電源供給するレギュレータとを備えた電源装置であって、
前記主スイッチング素子をオンする前記制御信号が入力されている期間中は、前記レギュレータから前記ブートストラップ回路への電源供給を遮断するレギュレータ電源供給遮断手段を設けたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記レギュレータは、トランジスタとトランジスタを駆動する電流源などからなる駆動素子で構成され、
前記レギュレータ電源供給遮断手段は、一端が前記電流源に接続され他端が接地され、前記主スイッチング素子をオンする前記制御信号を受けてオンして前記電流源の電流を接地側に引き抜く第2のスイッチング素子で構成されることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記レギュレータ電源供給遮断手段は、前記レギュレータと前記ブートストラップ回路との接続間に設けられ、前記主スイッチング素子をオンする前記制御信号を受けてオフする第3のスイッチング素子であることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
前記カソード端子が前記主スイッチング素子の前記他端に接続され、アノード端子が接地された整流素子は、第4のスイッチング素子にて構成することを特徴とする請求項1記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10512(P2012−10512A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145193(P2010−145193)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】