説明

電磁力及び伝導熱伝達を利用する硬化システム及び方法

複合材構造(106)を形成するシステムは、上型(26)と、下型(28)と、電磁石(42)とを含む電磁プレス(12)を備える。下型を上型に間隔を置いて取り付けることにより、複合材積層部材をこれらの金型の間に収容することができる。電磁石を励磁できることにより、上型及び下型から圧縮力を複合材積層部材に加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、複合材部品の製造に関するものであり、特に複合材構造を形成する電磁プレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合材構造は、極めて多種多様な用途に使用される。例えば、航空機組み立てにおいては、胴体、翼、尾翼部分、及び他の航空機部品を形成するために複合材料を使用する量がますます増えている。複合材部品の製造では普通、複合材料を治具又は金型に積層し、複合材料を高温及び高圧で硬化させて、高剛性の複合材構造を形成する。残念なことに、複合材料を積層し、硬化させる従来の方式は通常、所望の機械特性を有する最終複合材構造を製造するために多数の追加工程を含む。
【0003】
例えば、複合材積層部材を硬化させる前に、及び/又は複合材積層部材の硬化させているときに、複合材積層部材を圧縮する、及び/又は減量する、及び/又は固化することにより、硬化済み複合材構造にボイドが発生するのを防止し、複合材積層部材の厚さを薄くして、硬化済み複合材構造が寸法設計要求を満たすようにすることが必要である。固化の結果として複合材積層部材の厚さを薄くすることはまた、硬化済み複合材構造の所望の繊維容積割合を達成するために必要である。この点に関して、固化によって、複合材料を構成する耐荷重繊維の容積、及び/又は重量に対する複合材構造内の樹脂の全容積及び/又は全重量を小さくすることができる。
【0004】
1の先行技術による硬化方法、及び/又は固化方法では、複合材積層部材を治具に真空バッグで真空引き接着する、及び/又は密封接着することができる。真空バッグの真空引きを行なって、未硬化樹脂の分散を複合材積層部材全体に亘って促進し、空気及び揮発性物質(すなわち、硬化副生成物)を複合材積層部材から排出することができ、空気及び揮発性物質は、排出されない場合には、複合材積層部材内に硬化中に捕捉される虞がある。
【0005】
複合材積層部材に作用する十分な大きさの外部圧力を発生させるために、従来の方式では、複合材積層部材アセンブリの真空引きを真空バッグで行ない、複合材積層部材をオートクレーブに搬送する。次に、オートクレーブ内の圧力及び温度を、複合材積層部材が硬化圧力及び硬化温度に達するまで上昇させる。複合材積層部材は通常、外部圧力を真空バッグの外側に加え、かつ真空圧を真空バッグの内側に加えている状態で、硬化温度に所定期間に亘って保持する必要がある。硬化サイクルでは更に、外部圧力及び真空圧を保持しながら、複合材積層部材の温度を階段状に又は徐々に上昇及び/又は低下させる必要がある。
【0006】
硬化後、硬化済み複合材構造の圧力及び温度を低下させて、バッグに収容した複合材積層部材アセンブリをオートクレーブから取り出し、続いて、硬化済み複合材構造を真空バッグ及び治具から取り出すことができる。理解できることであるが、対応して大きくなる複合材積層部材をハンドリングするために十分大きいサイズのオートクレーブは、多額の設備投資支出を占めており、この設備投資支出が、複合材構造を形成するための全コスト及び複雑さに加わってくる。更に、複合材積層部材を用意してオートクレーブ処理を施し、硬化プロセス又は固化プロセスを、オートクレーブを使用して完了させるために要する時間の長さは、複合材構造の合計製造サイクル時間の大きな部分を占める。この点に関して、オートクレーブは通常、対流加熱を利用して、複合材積層部材の温度を上昇させるので、治具の熱量が、複合材積層部材の熱量と比べて非常に大きくなって、硬化温度に達し、次に複合材積層部材及び治具を冷却するために要する時間の長さが長くなってしまう。
【0007】
オートクレーブの利用を減らして、十分な固化温度及び固化圧力を実現しようとする試みでは、油圧プレスを使用する。比較的小さいサイズの複合材構造を形成するためにほぼ十分ではあるが、油圧プレスは、変化させることができる圧力の大きさに限界がある。その結果、複合材積層部材を固化し、硬化するために油圧プレスを使用するのには限界がある。更に、特定の複合材積層部材に関する硬化サイクルでは、従来の油圧プレスを使用して達成することができない正確な値の温度及び圧力を加えることを必要とする。更に、油圧プレスは、油圧オイルを作動流体として使用することを考慮に入れ、かつ普通、油圧プレスに関連するアキュムレータ、ポンプ、シール機構、及び他のハードウェアのような種々の部品を使用することを考慮に入れると、清浄度を維持し、かつメンテナンスを実施するという非常に困難な解決課題を投げかける。
【0008】
以上の説明から分かるように、この技術分野では、複合材積層部材を、オートクレーブを必要とすることなく硬化させるシステム及び方法が必要である。この点に関して、この技術分野では、複合材積層部材を硬化させ、かつ硬化させるために必要かつ十分な温度及び圧力を迅速に達成することができるシステム及び方法が必要である。更に、この技術分野では、複合材積層部材を硬化させ、かつ比較的大きいサイズの複合材積層部材を成形するために必要な硬化圧力を加えることができるシステム及び方法が必要である。最後に、この技術分野では、複合材積層部材を硬化させる低コストのシステム及び方法を、時間を短縮して実行できることが必要である。
【発明の概要】
【0009】
複合材積層部材に硬化圧力及び硬化温度を加えることに関連する上述の必要性は詳細には、複合材構造を、電磁プレスを使用して形成するシステム及び方法を含む本明細書において開示される実施形態によって満たされる。
【0010】
1つの実施形態では、前記システムは、上型と、該上型に間隔を置いて取り付けられて、複合材積層部材を収容する下型とを有する電磁プレスを備えることができる。該電磁プレスは、前記上型及び前記下型の一方に接続することができる少なくとも1つの電磁石を含むことができる。該電磁石を励磁することにより、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。前記電磁プレスは更に、加熱機構を含むことができ、該加熱機構は、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方に取り付けることができ、前記加熱機構は、例えば前記上型及び前記下型を伝導加熱することにより、前記複合材積層部材を加熱するように構成することができる。
【0011】
更に開示されるのは、前記複合材構造を前記複合材積層部材から形成する前記電磁プレスの1つの実施形態を備えることができるシステムであり、前記電磁プレスは、前記上型と、該上型に間隔を置いて取り付けられて、前記複合材積層部材を収容する下型とを含み、前記上型及び前記下型は移動させることができるので、前記複合材積層部材に接触させることができる。前記電磁プレスは、磁気コイルを有する前記電磁石を含むことができる。前記電磁石は、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続することができ、電流を前記磁気コイルに流すことにより励磁することができるので、前記上型及び前記下型を引き付けて合体させることにより、圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。前記システムは更に、前記複合材積層部材を加熱するように構成される加熱機構を備えることができる。1つの実施形態では、前記加熱機構は、磁気コイルと、該磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含むことができる。該伝導性枠は、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続することができ、前記磁気コイルを励磁すると、前記上型及び前記下型の一方の金型が誘導加熱されて、前記複合材積層部材を伝導加熱するように構成することができる。
【0012】
別の実施形態では、開示されるのは、複合材構造を形成するシステムであり、該システムは、上型及び下型と、第1及び第2電磁機構とを含むことができる電磁プレスを有する。前記上型は、該上型に接続される前記第1電磁機構を有することができ、前記第1電磁機構は移動することができる。前記下型は、前記上型に間隔を置いて取り付けることができる。前記第2電磁機構は、前記下型とは反対側の前記第1電磁機構の側面に固定して取り付けることができる。更に、前記第2電磁機構を励磁することができるので、前記第1電磁機構に対する吸引力を発生させて、複合材積層部材を前記上型と前記下型との間に収容することができる。前記第2電磁機構は更に、極性反転可能に構成することができるので、反発力を前記第1電磁機構に対して発生させることができる。前記第1電磁機構を励磁することができるので、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。
【0013】
更に別の実施形態では、複合材構造を形成する前記システムは、上型と、下型と、第1及び第2電磁機構とを含むことができる電磁プレスを備えることができる。前記上型は、該上型に接続される前記第1電磁機構を有することができ、前記第1電磁機構は移動することができる。前記下型は、前記上型に間隔を置いて取り付けることができる。前記下型は前記第2電磁機構に接続することができる。前記第2電磁機構を励磁して前記第1電磁機構に対する反発力を発生させることにより、前記第1金型と前記第2金型との間に複合材積層部材を収容することができる。更に、前記第1電磁機構を励磁して前記第1電磁機構から前記第2電磁機構に対する反発力を発生させるときに前記第2電磁機構を励磁解除することにより、前記上型及び前記下型から前記複合材積層部材に圧縮力を加えることができる。
【0014】
本開示は更に、複合材構造を形成するシステムを含み、該システムは、内金型と、該内金型に間隔を置いて取り付けることができることにより複合材積層部材を収容することができる外金型とを含む電磁プレスを備える。前記システムは、前記内金型及び前記外金型の一方の金型に接続される電磁石を含むことができる。該電磁石を励磁することができるので、前記内金型及び前記外金型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。前記電磁プレスは、前記複合材積層部材の長さ部分に沿って移動できることにより、前記複合材構造を漸進的に形成するように構成することができる。
【0015】
1つの実施形態では、前記電磁プレスは、複合材構造を複合材積層部材から形成する方法に使用することができる。前記複合材積層部材は、繊維強化材料及び未硬化樹脂を含むことができる。前記方法は、前記複合材積層部材内の前記繊維強化材料を固化させる工程を含むことができる。前記方法は更に、前記複合材積層部材を、前記繊維強化材料を固化させている間に電磁力で圧縮する工程を含むことができる。
【0016】
更に開示されるのは、複数の固化ゾーンを複合材積層部材内に、該複合材積層部材の長さ部分に沿った離間位置に形成する方法である。前記方法では、上型及び下型と、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続される電磁石とを有する電磁プレスを使用することができる。前記電磁石は、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠を含むことができる。前記電磁石は前記上型に接続することができる。前記方法は、前記上型及び前記下型を予備加熱して、前記複合材積層部材を収容する準備をする工程を含むことができる。前記方法は更に、前記複合材積層部材の長さ部分の一部を、前記上型と前記下型との間の間隔に挿入する工程を含むことができる。離型フィルムを前記複合材積層部材と、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方との間に供給して、前記上型及び前記下型からの前記複合材積層部材の剥離を容易にすることができる。
【0017】
前記方法は、前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と、該工程の後に、前記電磁石を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えて、固化ゾーンのうちの1つの固化ゾーンを前記複合材積層部材内に形成する工程とを含むことができる。前記方法は更に、前記伝導性枠及び前記上型を、前記電磁石を励磁して誘導加熱する工程を含むことができる。このようにして、誘導加熱された上型で、前記複合材積層部材を伝導加熱して、前記複合材積層部材を伝導加熱することができる。前記上型及び前記下型は分離することができ、前記複合材積層部材の長さ部分を材料供給方向に沿って、前記電磁プレスを通過するように進めて、前記固化ゾーンのうちの別の1つの固化ゾーンを前記複合材積層部材の長さ部分に沿って形成することができる。
【0018】
更に開示されるのは、複合材構造を複合材積層部材から、電磁プレスを使用して形成する方法である。該電磁プレスは、上型及び下型と、第1及び第2電磁機構とを含むことができる。前記上型は、前記第1電磁機構に接続することができる。前記第2電磁機構は、前記下型とは反対側の前記第1電磁機構の側面に取り付けることができ、反転可能な極性を有することができる。前記方法は、前記第2電磁機構を励磁して、吸引力を前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に発生させて、間隔が前記上型と前記下型との間に生じるようにする工程を含むことができる。前記複合材積層部材は、前記間隔に挿入することができる。前記第2電磁機構の極性を反転させて、反発力を前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に発生させることができる。前記方法は更に、前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程を含むことができる。前記第1電磁機構を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。
【0019】
本開示は更に、複合材構造を複合材積層部材から、第1電磁機構及び第2電磁機構にそれぞれ接続される上型及び下型を含む電磁プレスを使用して形成する方法を含む。前記方法は、前記第2電磁機構を励磁して、前記第1電磁機構に対する反発力を発生させることにより、前記上型と前記下型との間に間隔を生じさせる工程を含むことができる。前記方法は、更に、前記複合材積層部材を前記間隔に挿入する工程を含むことができる。次に、前記第2電磁機構を励磁解除し、次に前記第1電磁機構を励磁して、前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に吸引力を発生させる工程を含むことができる。前記方法は更に、前記上型と前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させ、圧縮力を前記複合材積層部材に加える工程を含むことができる。
【0020】
複合材構造を複合材積層部材から形成する方法では、電磁プレスを使用することができ、前記電磁プレスは、電磁石と、前記複合材積層部材に嵌合可能に形成される内金型及び外金型とを有することができる。前記内金型及び前記外金型の一方の金型は、前記電磁石に接続することができる。前記方法は、前記電磁プレスを前記複合材積層部材に取り付けて、前記内金型及び前記外金型が、前記複合材積層部材の両側に配置されるようにする工程を含むことができる。前記内金型及び前記外金型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させることができる。前記電磁石を励磁して、前記内金型及び前記外金型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる。前記電磁プレスを前記複合材積層部材の長さ部分に沿って進めることにより、前記複合材構造を漸進的に形成することができる。
【0021】
8.複合材構造を複合材積層部材から形成するシステムであって:
電磁プレスを備え、該電磁プレスは:
上型と;
該上型に間隔を置いて取り付けられて、前記複合材積層部材を収容する下型であって、前記上型及び前記下型を移動させることができることにより、前記複合材積層部材に接触させることができる、前記下型と;
磁気コイルを有する少なくとも1つの電磁石であって、該電磁石が、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続され、かつ前記電磁石を、電流を前記磁気コイルに流すことにより励磁することができるので、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる、前記少なくとも1つの電磁石と;
前記複合材積層部材を加熱するように構成される加熱機構とを備え、該加熱機構は、前記磁気コイルと、前記磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含み、該伝導性枠は、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続され、更に前記伝導性枠は、前記電磁石を励磁すると、前記上型及び前記下型の一方の金型が誘導加熱されて、前記複合材積層部材を伝導加熱するように構成される、システム。
【0022】
9.複合材構造を形成するシステムであって:
電磁プレスを備え、該電磁プレスは:
上型に接続される第1電磁機構を有する上型と;
該上型に間隔を置いて取り付けられる下型と;
該下型とは反対側の前記第1電磁機構の側面に取り付けられる第2電磁機構とを備え、該第2電磁機構を励磁できることにより、前記第1電磁機構に対する吸引力を発生させて、複合材積層部材を前記上型と前記下型との間に収容することができ、前記第2電磁機構は、反転可能な極性を有することにより、反発力を前記第1電磁機構に対して発生させ、前記第1電磁機構を励磁できることにより、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができる、
システム。
【0023】
10.前記第1電磁機構は、前記第2電磁機構が励磁されると励磁解除されるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【0024】
11.前記第1電磁機構は、磁気コイルと、該磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含むことにより、前記磁気コイルを励磁すると、前記上型が誘導加熱される、請求項9に記載のシステム。
【0025】
12.更に:
前記電磁プレスに取り付けられる加熱機構及び冷却機構のうちの少なくとも1つの機構を備えることにより、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方をそれぞれ加熱し、冷却する、請求項9に記載のシステム。
【0026】
13.複合材構造を形成するシステムであって:
電磁プレスを備え、該電磁プレスは:
上型に接続される第1電磁機構を有する上型と;
該上型に間隔を置いて取り付けられ、かつ下型に接続される第2電磁機構を有する下型とを含み、前記第2電磁機構を励磁して前記第1電磁機構に対する反発力を発生させることにより、複合材積層部材を前記上型と前記下型との間に収容することができ、前記第1電磁機構を励磁して前記第1電磁機構から前記第2電磁機構に対する反発力を発生させるときに前記第2電磁機構を励磁解除することにより、前記上型及び前記下型から前記複合材積層部材に圧縮力を加えることができる、
システム。
【0027】
14.前記第1電磁機構及び前記第2電磁機構のうちの少なくとも1つの機構は、磁気コイルと、該磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含み;
前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方は、前記伝導性枠に接続されて、前記磁気コイルを励磁すると、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方が誘導加熱される、
請求項13に記載のシステム。
【0028】
15.更に:
前記電磁プレスに取り付けられる加熱機構及び冷却機構のうちの少なくとも1つの機構を備えることにより、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方をそれぞれ加熱し、冷却する、請求項13に記載のシステム。
【0029】
16.複合材構造を形成するシステムであって:
電磁プレスを備え、該電磁プレスは:
内金型と;
該内金型に間隔を置いて取り付けることができることにより複合材積層部材を収容することができる外金型と;
前記内金型及び前記外金型の一方の金型に接続される電磁石とを備え、該電磁石を励磁できることにより、前記内金型及び前記外金型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることができ、前記電磁プレスは、前記複合材積層部材の長さ部分に沿って移動することができる、
システム。
【0030】
17.更に:
前記内金型及び前記外金型のうちの少なくとも一方を加熱して、前記複合材構造を伝導加熱する加熱機構を備える、
請求項16に記載のシステム。
【0031】
18.前記電磁石は、磁気コイルと、該磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含み;
前記内金型及び前記外金型のうちの少なくとも一方は、前記伝導性枠に接続されて、前記磁気コイルを励磁すると、前記伝導性枠、及び前記伝導性枠に接続される前記内金型及び前記外金型の一方の金型が誘導加熱される、
請求項17に記載のシステム。
【0032】
19.前記複合材積層部材は、内側表面及び外側表面を有するバレルセクションとして構成され;
前記内金型及び前記外金型のうちの少なくとも一方は、前記内側表面及び前記外側表面のうちの該当する1つの表面に嵌合可能に構成される、
請求項16に記載のシステム。
【0033】
20.更に:
予備加熱部分、硬化部分、冷却部分、検査部分のうちの少なくとも1つを備える、
請求項16に記載のシステム。
【0034】
29.前記電磁石は、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠を含み、該伝導性枠は、該伝導性枠に接続される前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方を有し、前記複合材積層部材を加熱する前記工程は:
前記伝導性枠、及び前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方を、前記電磁石を励磁するときに誘導加熱する工程と;
前記複合材積層部材を、誘導加熱された前記上型及び前記下型の一方の金型で伝導加熱する工程と、
を含む、請求項25に記載の方法。
【0035】
30.更に:
前記複合材積層部材の温度を、初期温度から第1温度に上昇させる工程と;
前記複合材積層部材を前記第1温度に第1期間に亘って保持する工程と;
を含む、請求項21に記載の方法。
【0036】
31.前記電磁プレスは、固定磁性部材と、可動磁性部材とを含み、前記固定磁性部材は、前記下型に間隔を置いて取り付けられ、かつ前記固定磁性部材に取り付けられる前記電磁石を有し、前記可動磁性部材は、前記上型に接続され、かつ前記上型とは反対側の前記固定磁性部材の側面に配置され、前記方法は更に:
前記電磁石を励磁すると、前記可動磁性部材を前記固定磁性部材に向かって引き付けて、前記上型及び前記下型から前記圧縮力が前記複合材積層部材に加わるようにする工程を含む、
請求項21に記載の方法。
【0037】
32.複数の固化ゾーンを複合材積層部材内に、該複合材積層部材に沿った離間位置に、上型と、下型と、前記上型及び前記下型の一方の金型に接続される電磁石とを有する電磁プレスを使用して形成する方法であって、前記電磁石は、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲み、かつ前記上型に接続される伝導性枠を含み、前記方法は:
前記上型及び前記下型を予備加熱する工程と;
前記複合材積層部材の長さ部分の一部を、前記上型と前記下型との間の間隔に挿入する工程と;
前記複合材積層部材を加熱する工程と;
離型フィルムを、前記複合材積層部材と、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方との間に供給する工程と;
前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と;
前記電磁石を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加えることにより、前記固化ゾーンのうちの1つの固化ゾーンを前記複合材積層部材内に形成する工程と;
前記伝導性枠及び前記上型を、前記電磁石を励磁するときに誘導加熱して、前記複合材積層部材を伝導加熱する工程と;
前記上型及び前記下型を分離する工程と;
前記複合材積層部材の長さ部分を、材料供給方向に沿って進めることにより、前記固化ゾーンのうちの別の1つの固化ゾーンを前記複合材積層部材内に形成する工程と、
を含む、方法。
【0038】
33.複合材構造を複合材積層部材から、上型及び下型と、第1及び第2電磁機構とを含む電磁プレスを使用して形成する方法であって、前記上型は前記第1電磁機構に接続され、前記第2電磁機構は、前記下型とは反対側の前記第1電磁機構の側面に取り付けられ、かつ反転可能な極性を有し、前記方法は:
前記第2電磁機構を励磁して吸引力を、前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に発生させて、間隔が前記上型と前記下型との間に生じるようにする工程と;
前記複合材積層部材を前記間隔に挿入する工程と;
前記第2電磁機構の極性を反転させて反発力を、前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に発生させる工程と;
前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と;
前記第1電磁機構を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加える工程と、
を含む、方法。
【0039】
34.前記第1電磁機構を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加える前記工程の後に:
前記第1電磁機構を励磁解除する工程と;
前記第2電磁機構の極性を反転させて吸引力を、前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に発生させる工程と;
前記上型及び前記下型を分離する工程と;
前記複合材積層部材を前記電磁プレスから取り出す工程と、
が続く、請求項33に記載の方法。
【0040】
35.更に:
前記複合材積層部材を加熱する工程を含む、
請求項33に記載の方法。
【0041】
36.前記第1電磁機構は、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠を含み、該伝導性枠は、該伝導性枠に接続される前記上型を有し、前記複合材積層部材を加熱する前記工程は:
前記伝導性枠及び前記上型を、前記磁気コイルを励磁するときに誘導加熱する工程と;
前記複合材積層部材を、誘導加熱された前記上型で伝導加熱する工程と、
を含む、請求項35に記載の方法。
【0042】
37.第1及び第2電磁機構にそれぞれ接続される上型及び下型を含む電磁プレスを使用して複合材積層部材から複合材構造を形成する方法であって、前記方法は:
前記第2電磁機構を励磁して前記第1電磁機構に対する反発力を発生させることにより、前記上型と前記下型との間に間隔を生じさせる工程と;
前記複合材積層部材を前記間隔に挿入する工程と;
前記第2電磁機構を励磁解除し、前記第1電磁機構を励磁して、前記第1電磁機構と前記第2電磁機構との間に吸引力を発生させる工程と;
前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と;
圧縮力を前記複合材積層部材に加える工程と、
を含む、方法。
【0043】
38.更に:
前記複合材積層部材を加熱する工程を含む、
請求項37に記載の方法。
【0044】
39.前記第1及び第2電磁機構のうちの少なくとも1つの機構は、磁気コイルと、該磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含み;
前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方は、前記伝導性枠に接続されて、前記磁気コイルを励磁すると、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方が誘導加熱される、
請求項37に記載の方法。
【0045】
40.複合材構造を複合材積層部材から、電磁石と、前記複合材積層部材に嵌合可能に形成される内金型及び外金型とを有する電磁プレスを使用して形成する方法であって、前記内金型及び前記外金型の一方の金型は前記電磁石に接続され、前記方法は:
前記電磁プレスを前記複合材積層部材に取り付けて、前記内金型及び前記外金型が、前記複合材積層部材の両側に配置されるようにする工程と;
前記内金型及び前記外金型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と;
前記電磁石を励磁して、前記内金型及び前記外金型から圧縮力を前記複合材積層部材に加える工程と;
前記電磁プレスを前記複合材積層部材の長さ部分に沿って進める工程と、
を含む、方法。
【0046】
41.前記複合材積層部材を加熱する前記工程は:
前記複合材積層部材を、前記内金型及び前記外金型のうちの少なくとも一方を使用して伝導加熱する工程を含む、
請求項40に記載の方法。
【0047】
42.前記電磁石は、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠を含み、前記内金型及び前記外金型のうちの少なくとも一方は、前記伝導性枠に接続され、前記複合材積層部材を加熱する前記工程は:
前記伝導性枠、及び該伝導性枠に接続される前記内金型及び前記外金型の一方の金型を、前記電磁石を励磁するときに誘導加熱する工程と;
前記複合材積層部材を、誘導加熱された前記内金型及び前記外金型の前記一方の金型で伝導加熱する工程と、
を含む、請求項41に記載の方法。
【0048】
43.更に:
前記複合材積層部材を冷却する工程を含む、請求項40に記載の方法。
【0049】
上記に説明した特徴、機能、及び利点は、本開示の種々の実施形態において個別に実現することができる、及び/又は更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態に関する更なる詳細は、以下の説明及び以下の図面を参照しながら理解することができる。
【0050】
本開示のこれらの特徴、及び他の特徴は、これらの図面を参照することにより一層明確になると考えられ、これらの図面では、同様の参照番号はこれらの図面全体を通じて、同様の構成要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、複合材構造を形成するシステムの機能ブロック図を示し、当該システムは、上型及び下型と、少なくとも1つの電磁石とを有する電磁プレスを備えることができる。
【図2】図2は、電磁プレスの正面図であり、複合材構造に成形される前に、互いに間隔を置いて配置されて複合材積層部材を収容する上型及び下型を示し、更に、複合材積層部材の上に配置される離型フィルムを有する複合材積層部材を示している。
【図3】図3は、電磁プレスの正面図であり、複合材構造が、複合材積層部材を成形した後に上型及び下型の形状を呈する様子を示している。
【図4】図4は、図2の直線4−4に沿って切断したときの電磁プレスの側面図であり、複合材構造を、上型と下型との間の間隔に挿入される複合材積層部材の長さ部分から連続的に形成する実施形態を示し、更に、第1及び第2コイルと、可変の圧力及び熱を複合材積層部材に加える第1、第2、及び第3加熱ゾーンを示している。
【図5】図5は、電磁プレスの側面図であり、可動磁性部材と、上型及び下型を互いに引き付けて合体させる電磁石を含む固定磁性部材とを有する実施形態を示している。
【図6】図6は、電磁プレスの側面図であり、第2電磁機構の下方に配置される第1電磁機構を有する実施形態を示し、第1電磁機構と第2電磁機構との間の吸引力で上型と下型との間の間隔を保持する様子を示している。
【図7】図7は、図6の実施形態における電磁プレスの側面図であり、第1電磁機構と第2電磁機構との間の反発力を示している。
【図8】図8は、電磁プレスの側面図であり、第1及び第2電磁機構を有する実施形態を示し、更に第1電磁機構と第2電磁機構との間に発生する反発力で上型と下型との間の間隔を保持する様子を示している。
【図9】図9は、図8の実施形態における電磁プレスの側面図であり、第1電磁機構と第2電磁機構との間の吸引力によって、上型及び下型から圧縮力が複合材積層部材に加わる様子を示している。
【図10A】図10Aは、複合材積層部材を、第1期間に亘って複合材積層部材の固化サイクル中、及び/又は硬化サイクル中に保持される第1温度に、電磁プレスを使用して加熱するときの温度プロファイルを示すグラフである。
【図10B】図10Bは、電磁プレスを使用して複合材積層部材を第1温度に加熱し、当該第1温度を、対応する第2及び第3期間に亘って保持される第2及び第3温度に漸進的に低下させるときの温度プロファイルを示すグラフである。
【図11】図11は、バレルセクション構成の複合材積層部材に沿って漸進的に移動することができるように構成される実施形態における電磁プレスの斜視図であり、電磁プレスは、圧縮力を複合材積層部材に加えるように構成される。
【図12】図12は、図11の直線12−12に沿って切断したときの電磁プレスの上面図であり、上型及び下型を移動させることができることにより、複合材積層部材に接触させて圧縮力を加える様子を示している。
【図13】図13は、航空機の斜視図であり、航空機は、電磁プレスの1つの実施形態を使用して形成されるような複合材構造を導入することができる。
【図14】図14は、複合材構造を複合材積層部材から電磁プレスを使用して形成する方法を示すフロー図である。
【図15】図15は、複数の固化ゾーンを複合材積層部材の長さ部分に沿って、電磁プレスの1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。
【図16】図16は、複合材積層部材の長さ部分に沿って移動することができる電磁プレスを使用して複合材積層部材を成形して複合材構造を形成する方法を示すフロー図である。
【図17】図17は、複合材構造を複合材積層部材から電磁プレスの1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。
【図18】図18は、複合材構造を複合材積層部材から、第1及び第2電磁機構を有する電磁プレスの1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。
【図19】図19は、複合材構造を複合材積層部材から、第1及び第2電磁機構にそれぞれ接続される上型及び下型を有する電磁プレスの1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。
【図20】図20は、航空機製造及び整備方法のフロー図である。
【図21】図21は、航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
後述では、図示は、本開示の好適な種々の実施形態を示すためにのみ行なわれているのであって、これらの実施形態を限定するために行なわれるのではない。これらの図面のうち、図1は、図2に示される複合材積層部材106から図2に示すように複合材構造104を形成するシステム10を示している。複合材積層部材106は、図2に示すように、繊維強化材料109及び未硬化樹脂110により形成することができるが、いずれの材料を使用してもよい。図1に示すシステム10は、上型26及び下型24と、少なくとも1つの電磁石42とを有する電磁プレス12を備えることができる。電磁石42は、上型26及び下型24のうちの少なくとも1つの金型に接続することができる。任意であるが、上型26及び下型24の一方の金型は、図2に示す上型及び下型のうちの残りの1つの金型とは反対側の複合材積層部材106の側面に配置される加圧メンブレン48として構成することができる。上型26及び下型24は、互いの金型に間隔を置いて取り付けられることにより、複合材積層部材106を図2に示すように収容することができる。上型26及び下型24を移動させることができることにより、複合材積層部材106に接触させることができる。
【0053】
上型26及び下型24が複合材積層部材106に接触すると、電磁石42を、電流を電磁石42の1つ以上の磁気コイル44に印加する、及び/又は流すことにより励磁することができる。磁気コイル44が励磁される結果、反発力Frが作用している状態で、上型26から圧力が下型24に加わって、上型26を電磁石42に対して図2に示すように、押し下げることにより、圧縮力が複合材積層部材106に加わって、複合材積層部材106を固化させる、及び/又は硬化させることができる。有利な点として、電磁プレス12によって、複合材積層部材106に加わる圧縮力の大きさに対する正確な制御が、磁気コイル44に流すことができる電流の量を制御することにより容易になる。このようにして、圧縮力の大きさの変化を正確に制御することができる。
【0054】
図1に示すように、電磁プレス12は、上型26及び/又は下型24を加熱することにより複合材積層部材106を伝導加熱する加熱機構70を含むことができる。複合材積層部材106を加熱することは、複合材積層部材106の硬化又は固化を促進する、及び/又は容易にするので望ましい。1つの実施形態では、加熱機構70を上型26及び/又は下型24に、及び/又は電磁プレス12の他の部品に取り付けることにより、複合材積層部材106を伝導加熱することができる。しかしながら、加熱機構70は、複合材積層部材106を、これらには限定されないが、誘導熱伝達、伝導熱伝達、対流熱伝達、及び/又は放射熱伝達を含むいずれかの適切な熱伝達手段又はこれらの手段の組み合わせを使用して加熱することができる。
【0055】
複合材積層部材106を加熱することにより、図2に示すように、複合材積層部材106内の未硬化樹脂110の粘度を容易に低下させることができる。更に、複合材積層部材106を加熱することにより、複合材積層部材106の繊維強化材料109の固化を促進し、かつ未硬化樹脂110の硬化を促進することができる。この目的のために、加熱機構70は、1つ以上の加熱素子72を備えることができ、これらの加熱素子72は、図1に示すように、上型26及び/又は下型24に組み込むか、及び/又は取り付けることができる。
【0056】
例えば、加熱機構70は、1つ以上の電気加熱素子72として構成することができ、これらの電気加熱素子72は、上型26及び/又は下型24の少なくとも一部を少なくとも部分的に貫通して延在することができる。しかしながら、加熱機構70は、多種多様な異なる構成に形成することができる。例えば、加熱機構70は、加熱オイルのような加熱流体を循環させる複数の導管(図示せず)として形成することができる。更に、加熱機構70の設置は、上型26及び/又は下型24への取り付け、及び/又は組み込みに限定されず、電磁プレス12のいずれかの適切な部品への加熱機構70の組み込み、及び/又は取り付けを含むことができ、これらには限定されないが、固定治具14及び/又は可動治具16への組み込み、及び/又は取り付けを含むことができる。
【0057】
加熱機構70の構成に関して、電磁石42は、図1に示すように、伝導性枠46を含むことができ、この伝導性枠46は、磁気コイル44を少なくとも部分的に取り囲むことができる。上に説明したように、電磁プレス12は、上型26、及び/又は下型24を伝導性枠46に接続することができるように構成することができる。磁気コイル44を、電流を流して励磁することにより、上型26及び下型24のいずれの金型が伝導性枠46に接続されるかによって変わるが、伝導性枠46及び上型26、及び/又は下型24を誘導加熱することができる。
【0058】
例えば、図2に示すように、上型26を伝導性枠46に接続することができる。伝導性枠46及び上型26の誘導加熱は、この技術分野で公知の如く、磁気コイル44を励磁することにより行なうことができる。電流を磁気コイル44に流し、その結果、コイル電流66が磁気コイル44を流れることによって、誘導電流68が伝導性枠46及び上型26を、コイル電流66の方向とは反対の方向に流れるようになる。伝導性枠46及び上型26の誘導加熱は、渦電流が伝導性枠46及び上型26に発生することにより行なうことができる。
【0059】
有利な点として、上型26、及び/又は下型24の誘導加熱は、対流加熱のような従来手段による加熱に比べると、非常に迅速に行なうことができる。その結果、上型26に接触する複合材積層部材106も、上型26からの熱の伝導伝達によって非常に迅速に加熱される。下型24からの複合材積層部材106の加熱は、上述の加熱素子72によって容易に行なうことができ、これらの加熱素子72は、下型24及び/又は固定治具14を貫通して延在することができる、及び/又はこれらの加熱素子72は、下型24及び/又は固定治具14に取り付けることができる。しかしながら、加熱は、熱放射手段、及び/又は熱対流手段、或いはこれらの手段の組み合わせのような非伝導性枠手段によって行なうことができる。
【0060】
図1に示すように、電磁プレス12は、少なくとも1つの冷却機構80を含むことができ、少なくとも1つの冷却機構80を電磁プレス12に取り付けることにより、上型26及び下型24のうちの少なくとも1つの金型を冷却することができる。冷却機構80を電磁プレス12に適宜組み込むことにより、複合材積層部材106を、従来の機器を用いる受動冷却に必要な時間の長さに比べて、迅速かつ能動的に冷却することができる。
【0061】
図2は、上に概述した電磁プレス12の1つの実施形態を示している。電磁プレス12は、複合材構造104を形成するために使用することができ、可動治具16の下方に取り付けられる固定治具14を含むことができる。固定治具14は、適切な支持構造18の上に取り付けることができるか、及び/又は適切な支持構造18によって支持することができる。可動治具16は、固定治具14に対していずれかの適切な手段により移動させて、可動治具16と固定治具14との間に、複合材積層部材106のような被加工部材100を挿入する間隔28を形成し、電磁プレス12からの複合材積層部材106、及び/又は硬化済み複合材構造104の取り出しを容易にすることができる。可動治具16は、図2に示すように、固定治具14から上方に延在する一連のシャフト20に移動可能に取り付けられる、及び/又は支持される。1つ以上の作動機構22を電磁プレス12に組み込むことにより、固定治具14に対する可動治具16の移動を容易にすることができる。これらのシャフト20は、可動治具16が固定治具14に対して位置合わせされた状態を保持するように構成することができる。作動機構22は、可動治具を固定治具14に対して移動させるいずれかの適切な構造になるように構成することができる。例えば、作動機構22は、これらには限定されないが、いずれかの適切な機械機構、電気機械機構、油圧機構、及び/又は空気圧機構、或いは相対移動を可能にするこれらの機構の組み合わせを含むいずれかの駆動機構構造を含むことができる。
【0062】
図2から分かるように、上型26は可動治具16に接続することができ、上側成形面30を含むことができ、この上側成形面30を複合材積層部材106に接触させることにより、上側成形面30の凹凸、及び/又は形状を複合材積層部材106に硬化プロセス中に転写することができる。この点に関して、上型26を可動治具16に着脱可能に取り付けることにより、異なる凹凸の上側成形面30を有する別の上型26構造物との取り替えを容易にすることができる。1つの実施形態では、上型26には、下型24の下側成形面32の形状又は凹凸にぴったりと嵌合可能になる上側成形面30の形状又は凹凸を設けることができる。上型26及び下型24は任意であるが、図3に示すように、被制御凹凸を複合材構造104の両側に形成するための略剛性構造物として形成することができる。
【0063】
任意であるが、上型26は、図2に示すように、可動治具16に接続することができる加圧メンブレン48として構成することができる。別の構成として、下型24を加圧メンブレン48として構成してもよい。加圧メンブレン48は、複合材構造104の両側の一方の側の凹凸を正確に制御しなくても済むような構成の複合材構造104を製造するように適合させることができる。下型24が加圧メンブレン48として構成される実施形態では、上型26は、下型24/加圧メンブレン48の反対側に配置することができる。下側成形面32、上側成形面30、及び/又は加圧メンブレン48は任意であるが、図2に示すように、離型フィルム40を含むことができる。離型フィルム40によって、複合材積層部材106の硬化後のような時点における下側成形面32、上側成形面30、及び/又は加圧メンブレン48からの複合材積層部材106の剥離を容易にすることができる。
【0064】
図2を参照し続けると、上型26は、図2に示すように、伝導性枠46に取り付けることができる。伝導性枠46は、磁気コイル44を少なくとも部分的に取り囲むことができる。磁気コイル44は、伝導性枠46からギャップ82を介して、及び/又は適切な電気絶縁材料によって、或いは他のいずれかの適切な電気絶縁取り付け構造を使用することにより、電気的に分離するか、及び/又は電気的に絶縁することができる。磁気コイル44は、空気コア43aを含むか、及び/又はいずれかの適切な幾何学形状から成り、かついずれかの適切な材料により形成される磁気コア43bを含むことができる。
【0065】
下型24は、固定治具14に組み込むか、及び/又は取り付けることができる。この点に関して、下型24は、固定治具14に脱着可能に接続することにより、別の下型24構造物との取り替えを容易にするように構成することができる。図2に示す実施形態では、下型24は、下側成形面32を含むことができ、下側成形面32は、上型26の上側成形面30にぴったりと嵌合可能に構成することができる。この点に関して、上型26及び下型24は、硬化済み複合材構造104の外側成形面を正確に制御するために使用することができるような雄雌嵌合金型セット(matched die set)を構成することができる。図2〜3から分かるように、下型24は凹部38を含むことができ、凹部38は、上型26の上側成形面30にぴったりと嵌合可能なサイズに形成し、かつ嵌合可能に構成することができる。複合材積層部材106は、下型24の凹部38のサイズ及び幾何学形状にぴったり合うサイズに予め形成しておくことができる。この凹部38によって、上型26を下型24に接触させるときの下型24に対する複合材積層部材106の相対的な位置決め状態、及び/又は相対的な収納位置を保持することができる。例えば、複合材積層部材106は、未硬化樹脂110を予め含浸させた繊維材料の積層体として、及び/又は凹部38の幾何学形状、及び/又はサイズにぴったり合う幾何学形状に形成されるプリプレグ複合材108の積層体として形成することができる。
【0066】
図2はさらに離型フィルム40を示しており、この離型フィルム40は、上型26と複合材積層部材106との間に、及び/又は下型24と複合材積層部材106との間に挿入することができる。上型26及び/又は下型24に施すことができる任意の離型コーティングに関して上述したように、離型フィルム40によって、複合材積層部材106の硬化後のような時点における上型26及び/又は下型24からの複合材積層部材106の剥離を容易にすることができる。離型フィルム40は、いずれかの適切なサイズ及び形状で供給することができる。例えば、離型フィルム40は、複合材積層部材106のサイズ、及び/又は上型26及び/又は下型24のサイズとほぼ同じサイズに形成し、かつ当該サイズとほぼ同じになるように構成することができる。離型フィルム40は、上側成形面30及び下側成形面32に忠実に追従し、かつ複合材積層部材106に加わる可能性がある温度及び圧力に耐えることができるいずれかの適切な材料により形成することができる。例えば、離型フィルム40は、非金属フィルム及び/又は金属シートにより形成することができる。1つの実施形態では、離型フィルム40は、E.I. du Pont de Nemours & Co(イ−アイデュポン ドゥヌムールアンドカンパニー)から市販されているカプトンフィルムのようなポリイミドフィルムにより形成することができる。例えば、しかしながら、離型フィルム40は、適切な強度及び耐熱性(すなわち、高融点)を有する多種多様な市販フィルムのうちのいずれか1つのフィルムにより形成することができる。
【0067】
図3は、単一の予備成形複合材積層部材106を1度に1つの割合で成形することができる定常動作中の電磁プレス12を使用して図2の複合材積層部材106から形成される複合材構造104を示している。図から分かるように、複合材構造104は、対応する上型26及び下型24の上側成形面30及び下側成形面32の該当する成形面により形成される両側の上側成形線34及び下側成形線36を含む。上に説明したように、複合材構造104は、図2に示すように、プリプレグ複合材108のようないずれかの適切な材料により製造される複合材積層部材106として供給することができる。複合材積層部材106は、好適には、かつ任意であるが、上型26及び下型24のサイズ及び形状にぴったり合うように予備成形することができる。
【0068】
図2の複合材積層部材106を硬化させて図3の複合材構造104にする工程は、上型26及び下型24を移動させて複合材積層部材106に接触させた後に、圧縮力を、電磁プレス12を使用して加えることにより容易に行なうことができる。上に説明したように、電流を電磁石42の磁気コイル44に流すことにより、上型26及び下型24を互いに引き付けて合体させることにより、圧縮力を図2の複合材積層部材106に加える。圧縮力の大きさは、磁気コイル44に流す電流の量を制御することにより調整することができる。熱は、硬化プロセス前の、及び/又は硬化プロセス中のいずれの時点においても、複合材積層部材106を置くことができる加熱環境73を作り出すことにより加えることができる。加熱環境73によって、複合材積層部材内の未硬化樹脂110の粘度を容易に低下させることができるので、当該樹脂が繊維強化材料109全体に分散するのを促進することができる。
【0069】
複合材積層部材106は、上型26及び/又は下型24の凹凸に複合材積層部材106が忠実に追従するのを容易にする温度に予備加熱することができる。熱は、図2及び3に示す加熱素子72として構成することができる加熱機構70から供給することができる。熱は、上に説明したように、磁気コイル44が励磁される結果として行なわれる伝導性枠46及び上型26の誘導加熱を利用して供給することもできる。同様に、サイクル時間は、電磁プレス12に適宜含めることができる冷却機構80を使用して短くすることにより、複合材構造104の温度を、電磁プレス12からの複合材構造104の取り出しを可能にする温度にまで下げるために要する時間の長さを短くすることができる。1つの実施形態では、冷却機構80は、上型26及び下型24内に、及び/又は固定治具14、及び/又は可動治具16のいずれかの一部に形成することができる1つ以上の導管、及び/又は流路を備えることができる。水のような冷媒は、これらの導管、及び/又は流路を通るように循環させることができるが、いずれの種類の冷媒を使用してもよい。
【0070】
図4は、図2〜3の模式正面図として示される電磁プレスと同様の電磁プレス12の側面図であるが、互いに直列に取り付けられ複数の磁気コイル44を含む1つの実施形態を示している。複数の磁気コイル44を電磁プレス12内に設けることにより、異なる大きさの圧縮力を、複合材積層部材106の異なる領域に同時に加えることができる。異なる大きさの圧縮力は、異なる大きさの電流を、並んで配置される同じ構成の磁気コイル44に流すことにより加えることができる。別の構成として、これらの磁気コイル44は、異なる巻回数、及び/又は異なる磁気コア形状及び構造を有するように異なる形態に構成することにより、等しい量の電流をこれらの磁気コイル44に流すと、異なる大きさの圧縮力が複合材積層部材106に加わるようにすることができる。
【0071】
例えば、図4は、磁気コイル44が、互いに対して直列に配置される第1コイル50及び第2コイル52を含む構成を示している。この点に関して、第1コイル50及び第2コイル52は、複合材積層部材106の材料供給方向102を基準にして直列に配置されるように図示されている。明らかなことであるが、これらの磁気コイル44は、並んで配置されるように、及び/又は互いに横方向に位置するように、或いは互いに他のいずれかの横方向に、縦方向に、及び/又はジグザグに位置するように設けることもできる。上型26及び下型24を複合材積層部材106に接触させた後、第1コイル50及び第2コイル52を、電流をこれらの磁気コイルに流すことにより励磁して、反発力Frとして図示される電磁力Feを発生させることにより、第1メンブレン54及び第2メンブレン56を、該当する第1コイル50及び第2コイル52から引き離すことができる。第1及び第2メンブレンは、略剛性部材として構成することができる。励磁されると、第1コイル50から第1圧縮力59が第1メンブレン54を介して複合材積層部材106の第1領域62に伝達される。同様に、第2コイル52が励磁されると、図4に示すように、第2圧縮力61が第2メンブレン56を介して複合材積層部材106の第2領域64に伝達される。これらの圧縮力は、電磁プレス12の該当する第1加圧ゾーン58及び第2加圧ゾーン60内で発生させることができる。明らかなことであるが、同様の構成の、及び/又は異なる構成のいずれかの数の磁気コイル44を、いずれかの相対配置になるように電磁プレス12内に設けることができる。
【0072】
同じようにして、電磁プレス12は、図4に模式的に示すように、複数の加熱ゾーンを含むことができる。例えば、電磁プレス12は、第1加熱ゾーン74と、第2加熱ゾーン76と、第3加熱ゾーン78とを含むことができる。第1加熱ゾーン74で、複合材積層部材106の一部を、第2加熱ゾーン76及び第3加熱ゾーン78で複合材積層部材106を加熱することができる温度とは異なる温度に加熱することができる。図4は、第1加熱ゾーン74、第2加熱ゾーン76、及び第3加熱ゾーン78が、複合材積層部材106の材料供給方向102を基準に直列に配置される構成を示しているが、第1加熱ゾーン74、第2加熱ゾーン76、及び第3加熱ゾーン78は、互いに対していずれの配置になってもよいように配置することができる。更に、電磁プレス12は、いずれの数の加熱ゾーンも、いずれかの配置になるように含むことができる。これらの加熱ゾーンの各1つの加熱ゾーンは、これらには限定されないが、上述の電気加熱素子72、及び/又は加熱流体を、電磁プレス12を通るように循環させる複数の導管を含むいずれかの加熱機構70構造物を含むことができる。加熱機構70は、複合材積層部材106を加熱する他のいずれかの適切な構造として設けることができる。例えば、これらの加熱ゾーンでは、伝導性枠46及び上型26の誘導加熱に関して上に説明したように、1つ以上の磁気コイル44が、電流を流すことにより励磁される結果として加熱を行なうことができる。
【0073】
図4を参照し続けると、電磁プレス12は更に、図4に示すように、1つ以上の冷却機構80を含むことにより、複合材積層部材106を硬化プロセス中に冷却する、及び/又は複合材構造104を硬化後に冷却することができる。これらの冷却機構80は、水のような冷媒を循環させる複数の導管、及び/又は流路を含むことができる。冷媒を循環させることにより、上型26及び下型24、及び複合材積層部材106の温度を下げる手段を提供することができる。これらの冷却機構80は、図2〜3を参照しながら上に説明したように、電磁プレス12のいずれかの部分に含めることができ、図4に示すような下型24に取り付ける構成に限定されない。
【0074】
離型フィルム40の長さ部分は、複合材積層部材106と上型26及び/又は下型24との間に、複合材積層部材106の硬化後のような時点における上型26及び/又は下型24からの複合材積層部材106の剥離を容易にする手段として設置することができる。離型フィルム40は、上述したようないずれかの金属材料、及び/又は非金属材料を含むいずれかの適切な材料により形成することができ、電磁プレス12を通過するように、材料供給方向102に沿って、複合材積層部材106の長さ部分に位置合わせして、連続成形プロセス中に進めることができる。
【0075】
例えば、図4に示すように、電磁プレス12によって、複数の複合材構造104の固化、及び/又は硬化を、連続成形プロセスにおいて容易に行なうことができる。更に詳細には、図4は、1つ以上の固化ゾーン84を複合材積層部材106の長さ部分に形成するように用いられる電磁プレス12の1つの実施形態を示している。これらの固化ゾーン84の各1つの固化ゾーン84は、複合材積層部材106材料の長さ部分から形成される複数の硬化済み複合材構造104のうちの1つの硬化済み複合材構造104を表わすことができる。これらの硬化済み複合材構造104の各1つの硬化済み複合材構造104は、複合材積層部材106の長さ部分から、いずれかの適切なプロセスにより、硬化後に取り出すことができる。
【0076】
固化ゾーン84を形成した後、及び/又は固化ゾーン84により表わされる複合材構造104を硬化させた後、材料を材料供給方向102に沿って、上型26と下型24との間の間隔28の内部に進めることができる。次に、上型26及び下型24を互いの金型の方に向かって、作動機構22により移動させて、上型26及び下型24が再度、複合材積層部材106に接触する位置に配置されるようにする。上型26及び下型24が複合材積層部材106に接触する位置に配置された後、電磁石42を再度、励磁することにより、上型26及び下型24から圧縮力が複合材積層部材106に加わって、これらの固化ゾーン84のうちの別の1つの固化ゾーン84を形成することができる。熱は、一又は複数の加熱素子72のような加熱機構70を使用して加えることができる、及び/又は磁気コイル44を励磁するときの伝導性枠46及び上型26の誘導加熱を利用することにより加えることができる。次に、上型26及び下型24を分離することにより、複合材積層部材106の長さ部分を、材料供給方向102に沿って進めることができる。図4から分かるように、電磁プレス12から延出する複合材積層部材106の長さ部分は、硬化済み複合材構造104を表わすことができる固化ゾーン84を含む。固化ゾーン84は、残りの複合材積層部材106の未硬化長さ部分(uncured length)、及び/又は未固化長さ部分(unconsolidated length)に比べて、薄い厚さを有することができる。これらの硬化済み複合材構造104の各1つの硬化済み複合材構造104は、複合材積層部材106材料の長さ部分から後の時点で取り出すことができる。
【0077】
図5は、電磁石42を上型26及び下型24に対して離れて位置させることができる電磁プレス12の1つの実施形態を示している。この点に関して、電磁石42は、上型26及び下型24に間隔を置いて取り付けることができる。電磁石42は、固定磁性部材116を含むことができ、固定磁性部材116は、図5に示すように、下型24を支持する固定治具14に間隔を置いて固定して取り付けることができる。固定磁性部材116は、固定治具14から上方に延出する1つ以上の支柱21によって支持することができる。別の構成として、固定磁性部材116は、固定治具14又は下型から独立して支持することができる。例えば、固定磁性部材116は、電磁プレス12に隣接して位置し、かつ電磁プレス12から独立した構造物によって支持することができる。構造的な配置に関係なく、固定磁性部材116、及び/又は電磁石42は、下型24に対して不動になるように構成される。
【0078】
図5に示す電磁プレス12は更に、上型26に接続することができる可動磁性部材118を含むことにより、可動磁性部材118及び上型26が一致した動きを示すことができる。例えば、可動磁性部材118は上型26に、固定磁性部材116内に形成することができる対応する数のボア23を貫通して延在する1つ以上のシャフト20を介して接続することができる。しかしながら、図5に示す構成以外の多種多様な別の構成のうちのいずれか1つの構成にすることにより、可動磁性部材118及び上型26を移動可能に接続することができる。図から分かるように、可動磁性部材118は、上型26とは反対側の固定磁性部材116の側面に配置される。この点に関して、上型26は、下型24と固定磁性部材116との間に配置される。可動磁性部材118は、固定磁性部材116の上方に配置することができる。可動磁性部材118は好ましくは、鉄鋼材又は他の磁性吸着材料により形成される。同様に、固定磁性部材116は、磁性吸着材料により形成することができる。
【0079】
図5から分かるように、上型26及び下型24を互いから間隔を置いて取り付けることにより、複合材積層部材106を、図2〜4を参照しながら上に説明した方法と同様の方法で収容する。この点に関して、上型26及び下型24は、可動磁性部材118を固定磁性部材116に対して位置決めする1つ以上の作動機構22を作動させることにより移動させることができるので、複合材積層部材106に接触させることができる。可動磁性部材118は、磁界45が電磁石42を励磁すると形成されるので、固定磁性部材116に向かって吸引される。吸引力Faとして図示される電磁力Feが発生することにより、可動磁性部材118を固定磁性部材116に向かって近付くように吸引することにより、上型26及び下型24から圧縮力が複合材積層部材106に加わるようになる。複合材積層部材106が固化されると、電磁石42を励磁解除し、可動磁性部材118を固定磁性部材116から離れるように移動させることができる。複合材積層部材106及び離型フィルム40を、電磁プレス12を通過するように進めることができ、当該プロセスを、以下に更に詳細に説明するように繰り返すことができる。
【0080】
電磁プレス12が図5の構成である場合、上型26及び下型24を非磁性吸着材料により形成することにより、励磁電磁石42による吸引力を最小にすることができるが、いずれの材料でも上型26及び下型24を製造するために使用することができる。電磁プレス12を図5の構成にすることにより、複合材構造104を、図2〜3に関して上に説明したように、1度に1つの割合で容易に形成することができる。更に、電磁プレス12を図5の構成にすることにより、固化ゾーン84及び/又は複合材構造104を、図4に関して説明したように、電磁プレス12を通過するように連続的に進めることができる複合材料106の長さ部分から連続成形により連続的に、かつ容易に形成することができる。
【0081】
有利な点として、図5に示すように、電磁石42を上型26及び下型24から離れた位置に取り付けることにより、図2〜4に示す上型26において利用することができる広さの面積に対して、加熱機構70及び/又は冷却機構80を収容するために上型26において利用することができる面積、及び/又は容積を大きくすることができる。例えば、図5に示すように、上型26及び下型24の各1つの金型は、複合材積層部材106を加熱するように構成される1つ以上の加熱機構70を含むことができる。このような加熱機構70は、図2〜4を参照しながら上に説明した加熱機構70の構成と同様とすることができる。例えば、これらの加熱機構70は、電気加熱素子72及び/又は加熱流体を循環させる流路のような1つ以上の加熱素子72を含むことができる。同様に、上型26及び下型24は、水のような冷媒を循環させて、上型26及び下型24を迅速に冷却し、熱を複合材積層部材106から取り去る1つ以上の冷却機構80を含むことができる。
【0082】
更に、電磁石42を離れた位置に取り付けることにより、電磁石42を収容するための比較的大きい広さの面積を確保することができ、これによって、磁気吸引力を制御することができる度合いを高めることができる。このようにして、電磁プレス12を図5の配置にすることにより、上型26及び下型24から複合材積層部材106に硬化中及び/又は固化中に加える圧縮力に対する制御性を高めることができる。更に、電磁プレス12を図5に示す配置にすることにより、上型26及び下型24を互いの金型に対して位置決めする精度を、電磁石42と可動磁性部材118との間の吸引力に対する制御性が高まるので、高めることができる。
【0083】
図6〜7は、所定の位置に固定することができる第2電磁機構99に対して移動可能に配置される第1電磁機構98を有する1つの実施形態における電磁プレスを示している。図から分かるように、上型26は第1電磁機構98に接続することができる。下型24は、固定治具14に取り付けることができる。下型24は上型26に対して、複合材積層部材106を収容するように間隔を置いて配置することができる。第2電磁機構99は、固定治具14に対して固定して取り付けることができる。例えば、第2電磁機構99は、第1電磁機構98の上方に支持することができる。1つの実施形態では、第2電磁機構99は、図2に示す電磁プレスの実施形態に関して上に説明した構成と同様に、固定治具14から上方に延出するシャフト20で支持することができる。別の構成として、第2電磁機構99は、別の手段によって支持することができ、例えば電磁プレス12から独立した構造物によって支持することができる。
【0084】
図6〜7に示すように、第2電磁機構99は、下型24とは反対側の第1電磁機構98の側面に配置することができる。例えば、第2電磁機構99は、第1電磁機構98の上方に配置することができる。第1電磁機構98及び第2電磁機構99の各1つの電磁機構は、磁気コイル44を含む少なくとも1つの電磁石42を含むことができる。第2電磁機構99の磁気コイル44は、電流を流すことにより励磁されて、図6に示すような吸引力Fa、及び/又は図7に示すような反発力Frとすることができる電磁力Feを発生させることができる。この点に関して、第2電磁機構99は、反転可能な極性を有するように構成することができる。吸引力Faは、図6に示すように、第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることができるので、第1電磁機構98が第2電磁機構99に向かって吸引されるか、及び/又は引き付けられる。反発力Frは、図7に示すように、第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることができるので、第1電磁機構98を第2電磁機構99の反発力により押し戻すことができる。第1電磁機構98は、当該電磁機構98内に形成される1つ以上のボア32を含むことができ、これらのボア32は、対応する数のシャフト20に沿って摺動することができるので、第1電磁機構98が図6〜7に示す位置の間を移動することができるようにサイズ決定され、かつ構成される。
【0085】
下型24は、複合材積層部材106を収容する凹部38を含むことができ、この複合材積層部材106は、繊維強化材料109及び未硬化樹脂110により形成することができるが、当該複合材積層部材106は、以下に更に詳細に説明するように、多種多様な異なる材料系のうちのいずれか1つの材料系により形成してもよい。離型フィルム40は、上型26と複合材積層部材106との間に、及び/又は下型24と複合材積層部材106との間に挿入することができる。別の構成として、複合材積層部材106は、図5に示す電磁プレス12の実施形態を参照して上に説明した方法と同様の方法で複合材料の長さ部分を収容するように構成することができる。更に、上に説明したように、上型26及び下型24のうちのいずれか一方の金型は、加圧メンブレン48として構成することができる。加圧メンブレン48によって、複合材構造104の形成が容易になって、複合材構造104の両側面のうちの1つの側面の凹凸に対する正確な制御を行なわなくても済む。上型26及び下型24の一方の金型は、加圧メンブレン48とは反対側の複合材積層部材106の側面に配置される略剛性構造として設けることができる。略剛性上型26又は下型24によって、硬化済み複合材構造104の上側成形面30及び下側成形面32のうちの対応する1つの成形面に対する正確な制御が容易になる。
【0086】
図6に示すように、複合材積層部材106は、上型26と下型24との間に、第2電磁機構99を励磁して吸引力Faを発生させ、この吸引力Faで、第1電磁機構98及び上型26を下型24から上方に引き離すことができるときに収容することができる。第1電磁機構98と第2電磁機構99との間の吸引力Faで、上型26と下型24との間の間隔28を保持することにより、複合材積層部材106をこれらの金型の間に収容することができる。第1電磁機構98は、第2電磁機構99が励磁されて吸引力Faが第1電磁機構98と第2電磁機構99との間で保持されている状態で、励磁解除されたままの状態にすることができる。
【0087】
図7に示すように、反発力Frを第1電磁機構98及び第2電磁機構99に対して、第2電磁機構99の極性が反転するときに発生させることにより、第1電磁機構98を第2電磁機構99の反発力により押し戻すことができる。次に、第1電磁機構98を励磁することができるので、第1電磁機構98を固定治具14又は下型24に吸引することにより、上型26及び下型24を移動させて複合材積層部材106に接触させ、これらの金型で複合材積層部材106を圧縮することができる。複合材積層部材106に加わる圧縮力の大きさは、第1電磁機構98の電磁石42に流す電流の量を変えることにより変化させることができる。
【0088】
第1電磁機構98は、磁気コイル44を少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠46を含むことにより、磁気コイル44を励磁して上型26を、図2〜3に示す電磁プレス12の実施形態に関して上に説明した方法で誘導加熱することができる。更に、図6〜7に示す電磁プレス12の実施形態は、1つ以上の加熱機構70及び/又は冷却機構80を含むことができ、これらの機構を電磁プレス12に取り付けることにより、上型26及び下型24のうちの少なくとも1つの金型を加熱して、複合材積層部材106内の未硬化樹脂110の粘度を低下させる、及び/又は未硬化樹脂110の硬化を促進することができる。
【0089】
図8〜9は、所定の位置に固定することができる第2電磁機構99に対して移動可能に配置される第1電磁機構98を有する実施形態における電磁プレス12を示している。第1電磁機構98は、当該第1電磁機構98に接続される上型26を有することができる。第2電磁機構99は、当該第2電磁機構99に接続される下型24を有することができる。第1電磁機構98は、図2に示す電磁プレスに関して上に説明した構成と同様に、固定治具14から上方に延出するシャフト20で支持することができる。第1電磁機構98は、1つ以上のボア32を含むことができ、これらのボア32は、対応する数のシャフト20に沿って摺動することができるので、第1電磁機構98が図8〜9に示す位置の間を移動することができるようにサイズ決定され、かつ構成される。
【0090】
第1電磁機構98及び第2電磁機構99は、第2電磁機構99の極性に応じて、図8に示す反発力Fr、及び/又は図9に示す吸引力Faとすることができる電磁力Feが発生するように構成することができる。図8の反発力Frで、第1電磁機構98が第2電磁機構99から離れて上方に移動することにより、複合材積層部材106を間隔28内に収容することができる。反発力Frは、第2電磁機構99が励磁されるときに発生させることができる。第1電磁機構98は、第2電磁機構99が励磁されると励磁解除状態に保持されるように構成することができる。
【0091】
図9は、吸引力Faが第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生する結果として互いに向かって引き寄せる第1電磁機構98及び第2電磁機構99を示している。吸引力Faは、第2電磁機構99の極性を反転させることにより発生させることができるので、上型26及び下型24が移動して複合材積層部材106に接触するようになる。第2電磁機構99を励磁解除し、第1電磁機構98を励磁することにより、上型26及び下型24で複合材積層部材106を圧縮して、複合材積層部材106の固化、及び/又は硬化を行なう。第1電磁機構98及び第2電磁機構99は、電流によって励磁することができる磁気コイル44を含む少なくとも1つの電磁石42を含むことができる。複合材積層部材106の固化、及び/又は硬化を行なって図9に示す複合材構造104が形成されると、第1電磁機構98を励磁解除し、第2電磁機構99を逆極性で励磁することにより反発力Frを、図8に示すように、第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることができる。反発力Frで、第1電磁機構98を第2電磁機構99から離れて移動させて、上型26及び下型24を分離し、複合材積層部材106を電磁プレス12から取り出すことができる。
【0092】
図10Aは、固化サイクル中、及び/又は硬化サイクル中の図2〜9に図示される複合材積層部材のような複合材積層部材106の温度プロファイルを示すグラフを示している。このような固化サイクル中では、圧縮力を複合材積層部材106に、電磁プレス12から、図2〜9に示すように、電流を磁気コイル44に制御性良く流すことにより制御性良く印加することができる。複合材積層部材106の温度は、複合材積層部材106を、加熱機構70のうちの1つ以上の加熱機構70を使用して加熱することにより上昇させることができる。前に述べたように、加熱機構70は、磁気コイル44が励磁されると誘導加熱することができる伝導性枠46及び上型26を含むことができる。加熱機構70は更に、加熱素子72のうちの1つ以上の加熱素子72を含むことができ、これらの加熱素子72に給電することができる、及び/又はこれらの加熱素子72は、加熱流体を図2〜9に示すように循環させることができる複数の導管を含むことができる。
【0093】
図10Aに示すように、かつ図2〜9も参照するに、複合材積層部材106は、圧縮力(例えば、300psi)を複合材積層部材106に作用させたままの状態で、初期温度Tから第1温度Tに加熱することができる。しかしながら、圧縮力は、複合材積層部材106を加熱している間に、変えることもできる。複合材積層部材106を第1温度Tに第1期間tに亘って保持することができ、この第1期間tは、複合材積層部材106内の未硬化樹脂110の粘度を低下させるために十分長い期間とすることができる。更に、複合材積層部材106を第1温度Tに保持することにより、繊維強化材料109の固化を促進し、未硬化樹脂110の硬化を促進することができる。この目的のために、種々のセンサ(図示せず)を電磁プレス12に設置して、多種多様な異なる環境状態、及び/又はシステム状態のうちのいずれか1つの状態を検出することができ、これらのセンサとして、これらには限定されないが、複合材積層部材106の温度、及び磁気コイル44を励磁している間に複合材積層部材106に作用する圧縮力を検出する圧力センサ及び温度センサを挙げることができる。
【0094】
図2〜9を参照する図10Bは、硬化サイクル、及び/又は固化サイクルの1つの実施形態における温度プロファイルのグラフを示している。図10Bに示すように、圧縮力を、図10Aを参照しながら上に説明した方法で加えている間に、図2〜9の複合材積層部材106を初期温度Tから第1温度Tに加熱することができる。複合材積層部材106を第1温度Tに第1期間tに亘って保持することができる。この温度は、漸進的に低下させる、及び/又は階段状に低下させることができる。例えば、この温度は、第1温度Tから第2温度Tに低下させることができる。このような温度低下は、冷媒機構80を用いることにより容易に行なうことができる。複合材積層部材106を第2温度Tに第2期間tに亘って保持し、続いて、第3温度Tに漸進的に低下させる。複合材積層部材106を第3温度Tに第3期間tに亘って保持することができる。後続の温度処理工程は、硬化サイクル又は固化サイクルが完了するまで行なうことができ、当該サイクルが完了した後に、複合材積層部材106の温度を初期温度Tに低下させることにより、複合材構造104を電磁プレス12から取り出すことができる。
【0095】
図2〜9を概括すると、電磁プレス12は、プリプレグ材料及び/又は樹脂含浸材料に関連する使用に限定されず、樹脂トランスファーモールド成形(RTM)プロセスに関連して使用することもでき、当該RTMプロセスでは、乾燥繊維材料(例えば、プリフォーム材料)を上型26と下型24との間の間隔28に挿入することができる。上型26及び下型24を移動させて複合材積層部材106に接触させることができ、樹脂を真空状態、及び/又は加圧状態で注入することにより未硬化樹脂110を、プリフォーム全体に満遍なく行き渡らせることができる。圧縮力を複合材積層部材106に、電磁プレス12を使用して、RTMプロセス中に加えて、複合材積層部材106の上側成形線34及び下側成形線36を、上型26及び下型24の上側成形面30及び下側成形面32の凹凸にそれぞれに従って形成することができる。加熱して未硬化樹脂110の粘度を低下させることにより、未硬化樹脂110の分散を、プリフォーム全体に亘って促進することができ、硬化をこの分野で公知の方法で促進することができる。
【0096】
この点に関して、本明細書に開示される電磁プレス12は、複合材構造を多種多様な異なる材料組み合わせから形成するために使用することができ、この材料組み合わせとして、これらには限定されないが、いずれかの組成の繊維性材料を使用する熱可塑性樹脂系及び熱硬化性樹脂系を挙げることができる。例えば、繊維性材料は、これらには限定されないが、炭素により形成される繊維、グラスファイバーにより形成される繊維、アラミドにより形成される繊維、及び他のいずれかの金属材料及び/又は非金属材料により形成される繊維を含むことができる。これらの繊維は、これらには限定されないが、粒子状、及び/又は短繊維、長繊維、及び/又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、いずれかのサイズ、形状、及び構成で提供することができる。電磁プレス12を使用して、いずれかのプライ積層板、及び/又は積層構成を有するいずれかの連続、及び/又は不連続繊維強化ポリマー複合材構造を形成することができる。この点に関して、複合材構造は、いずれかの適切なプリプレグカーボン/ポリマー系、及び/又はいずれかの液状熱可塑性成形樹脂系、或いは液状熱硬化性成形樹脂系から形成することができる。
【0097】
図11〜12は、例示するために部分的に切り欠いた電磁プレス12を示しており、電磁プレス12は、固定された複合材積層部材106に沿って移動できることにより、複合材構造104を形成するように構成される。例えば、電磁プレス12は、複合材積層部材106に沿って漸進的に移動することができるので、複合材積層部材106に対する硬化処理を、複合材積層部材106に必要な温度及び圧力を加えるために通常必要とされる複合材積層部材106のオートクレーブ処理を必要とすることなく、順番に実行するように構成することができる。図11〜12では、複合材積層部材106は、内側表面112及び外側表面114を有するバレルセクション(barrel section)86として図示され、このバレルセクション86は、これに限定されないが、いずれかの適切な積層プロセスを使用して形成することができる。例えば、バレルセクション86の複合材積層部材106は、オートテープレイアップシステムを使用して製造する、及び/又はハンドレイアップにより製造することができる。複合材積層部材106が図11〜12に、航空機胴体の一部を含むことができるようなバレルセクション86として図示されているが、複合材積層部材106は、多種多様な別の構成で提供されて、これらには限定されないが、多種多様な産業のうちのいずれか1つの産業において、いずれかの用途において使用することができる複合材構造104を形成することができる。例えば、複合材積層部材106は、図9に示すセクションのような、航空機120の胴体122、及び/又は翼124、或いは尾翼部分128の1つのセクションに使用することができる複合材構造104を形成することができるような構成で提供することができる。
【0098】
図11〜12に示す電磁プレス12は、1つ以上の電磁石42を含むことができる。これらの電磁石42の各1つの電磁石42は、内金型88に、及び/又は外金型89に、図2〜4に示す電磁プレス12構成の上型26、及び/又は下型24の一方の金型への電磁石42の接続と同様に、固定して接続することができる。図11〜12では、内金型88は、連続環状鉄鋼材セグメント、及び/又は磁気吸引可能な連続環状リングセグメントを含むことができ、当該セグメントは、複合材積層部材106の内側表面112の凹凸に略近似するように構成される、及び/又はサイズ決定される。しかしながら、内金型88は、内金型円弧状セグメント88aのような複数のセグメントを含むことができ、これらのセグメント88aは、図7に示すように、複合材積層部材106の内側表面112に沿って放射状に離間させることができる。これらの内金型円弧状セグメント88aの各1つのセグメント88aは、半径方向に移動させることができるので、複合材積層部材106の内側表面112に接触させることができる。
【0099】
外金型89は同様にして、連続環状内金型88、及び/又は連続環状内金型円弧状セグメント88aに離間対向して取り付けることができる複数の外金型円弧状セグメント89aを含むことができる。内金型88及び外金型89を離間する配置とすることにより、複合材積層部材106をこれらの金型の間に容易に収容することができる。内金型88及び外金型89は、互いの金型に対して半径方向に移動することができる。例えば、内金型88は、連続環状リングとして形成することができ、この連続環状リングは、下型24を支持する図2〜4の固定治具14と同様に、半径方向に略固定するか、及び/又は非可動とすることができる。図11〜12では、外金型89は、内金型88に対して半径方向に移動することができ、複合材積層部材106の外側表面114に嵌合可能に形成することができる。例えば、外金型89は、複数の外金型円弧状セグメント89aを含むことができる。1つ以上の作動機構22は、内金型円弧状セグメント88a及び外金型円弧状セグメント89aの各1つのセグメントを引き付けて移動させて、複合材積層部材106の内側表面112及び外側表面114のそれぞれの表面に接触させることができる。各外金型円弧状セグメント89aは、1つ以上の電磁石42を含むことにより、各電磁石42の磁気コイル44が励磁されると、外金型円弧状セグメント89a及び内金型円弧状セグメント88aが互いに向かって半径方向に引き付けられて、圧縮力を、複合材積層部材106のうちの、これらの金型円弧状セグメントの間に配置される、及び/又は挟み込まれる部分に加えることができる。
【0100】
電磁プレス12は、複合材積層部材106の長さ部分に沿って漸進的に移動することができるので、圧縮力を複合材積層部材106の各部分に次々と加えるように構成することができる。この点に関して、電磁プレス12は、適切な治具、及び/又は支持構造18を含むことにより、電磁プレス12の位置を、各硬化処理中に保持し、続いて、複合材積層部材106の長さ部分に沿って漸進的に移動させることができる。1つの実施形態では、電磁プレス12は、内金型88及び外金型89のうちの少なくとも一方に隣接配置される1つ以上の加熱機構70を含むことにより、複合材積層部材106を加熱することができる。例えば、これらの加熱機構70は、内金型88及び/又は外金型89の各1つの金型の内部に取り付けることができる加熱素子72を含むことにより、複合材積層部材106を、図2〜4に示す電磁プレス12に関して上に説明した方法と同様の方法で伝導加熱することができる。更に、これらの加熱機構70の各1つの加熱機構70は、磁気コイル44と、磁気コイル44を少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠46とを有する電磁石42を含むことにより、磁気コイル44が励磁されると、少なくとも外金型89が誘導加熱されるようになり、これにより、複合材積層部材106を次に、伝導加熱することができる。
【0101】
複合材積層部材106は、複合材料プリプレグ108により、いずれかの適切な方法で形成することができ、例えばマンドレルのような治具(図示せず)の上に自動的に複数層積層するオートテープレイアップ装置を使用することにより形成することができる。別の構成として、複合材積層部材106は、多種多様な適切な液状樹脂系のうちのいずれか1つの液状樹脂系を使用して形成することができる。例えば、樹脂含浸系を使用することができ、この場合、未硬化樹脂110を複合材積層部材106に、真空状態で真空バッグ(図示せず)を使用して行き渡らせることができる。カウルプレート(図示せず)を複合材積層部材106の上に配置することにより外側表面114を形成することができる。上の説明から分かるように、多種多様な材料系を使用して、複合材積層部材106を多種多様なサイズ、形状、及び幾何学構造に形成することができる。
【0102】
図11〜12を参照し続けると、電磁プレス12は、予備加熱部分90、硬化部分92、冷却部分94、及び検査部分96のうちの少なくとも1つを含むことにより、自己完結型硬化システムを形成することができる。電磁プレス12の予備加熱部分90によって、複合材積層部材106を予備加熱ゾーン91において容易に加熱することができる。予備加熱部分90は、上に説明した加熱機構70を含むことができ、これらの加熱機構70は、複合材積層部材106の予備加熱ゾーン91を加熱して、複合材積層部材106を容易に固化させ、かつ硬化させるように構成することができる。電磁プレス12の硬化部分92は、内金型88、及び/又は外金型89に接続される電磁石42を含むことができ、この場合、磁気コイル44を励磁すると、圧縮力が、上に説明したように、複合材積層部材106に加わるようになる。加熱と同時に圧縮力を加えることにより、複合材積層部材106を硬化ゾーン93内で容易に硬化させ、かつ固化させることができる。
【0103】
冷却部分94は、上に説明した冷却機構80を含むことができ、これらの冷却機構80を、内金型88及び/又は外金型89のうちの1つ以上の金型に、及び/又はこれらの金型の支持構造に含めることができる。冷却部分94は、複合材積層部材106を迅速に冷却するように構成することができる。例えば、冷却部分94によって、複合材積層部材106の温度を非常に迅速かつ段階的に容易に変化させる、及び/又は漸進的に容易に変化させることができ、この温度変化は、複合材積層部材106の冷却ゾーン95内で起こすことができる。複合材積層部材の温度を非常に迅速に変化させることにより、硬化サイクルの期間を短くすることができる。検査部分96は、この技術分野で公知の多種多様な適切な複合材検査機構のうちのいずれかの数の複合材検査機構を含むことができる。検査部分96によって、硬化済み複合材構造104の検査ゾーン97内の異常特性を、これらには限定されないが、超音波の使用を含むことができる非破壊検査(NDT)方法を含むいずれかの適切な検査方法を使用して容易に検出することができる。
【0104】
図11〜12に示す電磁プレス12は、上に説明した予備加熱工程、硬化工程、冷却工程、及び/又は検査工程を、電磁プレス12を電磁プレスの長さ部分に沿って漸進的に移動させながら順番に実行するように構成することができる。複合材積層部材106は図7に、垂直方向に向けて、重力の影響を無くす構成として示されており、このような構成ではない場合には、水平方向に向けた複合材積層部材106にたるみが発生する虞がある。しかしながら、複合材積層部材106は、適切ないずれの向きにも配置することができる。
【0105】
図13は航空機120の斜視図であり、この航空機120には、本明細書において開示される種々の実施形態において電磁プレス12を使用して形成される1つ以上の複合材構造104を導入することができる。図13から分かるように、航空機120は、一対の翼124を有し、かつ尾翼部分128を有する胴体122を備えることができ、この尾翼部分128は、垂直尾翼132及び水平尾翼130を含むことができる。航空機120は更に、操縦翼面126と、推進装置134とを含むことができる。図13に示す航空機120は普通、本明細書において説明される電磁プレス12で形成される複合材構造104を導入することができる多種多様な輸送手段を表わすことができる。例えば、胴体122は、図11〜12に示すバレルセクション86として構成され、かつこれも本明細書において説明される電磁プレス12を使用して成形される複合材積層部材106から形成することができる。同様にして、図21に示す機体318の一部、及び/又は図13に示す翼124、操縦翼面126、及び/又は尾翼部分128は、本明細書において開示される電磁プレス12の種々の実施形態のうちの1つ以上の実施形態を使用して成形されるので有利である。しかしながら、電磁プレス12を使用して、いずれかのシステム、サブシステム、アセンブリ、アプリケーション、構造、及び/又は輸送手段の一部を含むことができる複合材構造104を形成することができる。
【0106】
次に、図2〜3を参照する図14は、複合材構造104を複合材積層部材106から、電磁プレス12を使用して形成する方法を示すフロー図である。当該方法では、工程138において、電磁プレス12の上型26及び下型24を予備加熱して、複合材積層部材106を収容する準備をする。別の構成として、上型26及び下型24の一方の金型は加圧メンブレン48として構成することができ、この加圧メンブレン48は、複合材構造104の両側面の一方の側面の凹凸を、上に説明したように、正確に制御しなくても済むような種々の構成の複合材構造104を製造するように適合させることができる。上型26及び/又は下型24及び/又は加圧メンブレン48は、図2及び3に示す加熱素子72を含むことができる、及び/又は加熱流体を循環させる流路として設けられる加熱機構70により、及び/又は上に説明した他のいずれかの適切な手段により加熱することができる。工程140では、離型フィルム40を複合材積層部材と上型26及び下型24の一方の金型、及び/又は両方の金型との間に供給することができる。離型フィルム40によって、複合材積層部材106の硬化後のような時点における下側成形面32、上側成形面30、及び/又は加圧メンブレン48からの複合材積層部材106の剥離を容易に行なうことができる。
【0107】
工程142では、複合材積層部材106を上型26と下型24との間の間隔28に挿入することができる。複合材積層部材106は、これらには限定されないが、繊維強化材料109及び未硬化樹脂110を含むいずれかの適切な材料により構成される予備成形された複合材積層部材106として供給することができる。しかしながら、複合材積層部材106は、上に説明した多種多様な異なる材料系のうちのいずれか1つの材料系として構成されるようにしてもよい。工程144では、複合材積層部材106を、複合材積層部材106を置くことができる加熱環境73を作り出すことにより加熱することができる。加熱環境73では、未硬化樹脂110の温度を上昇させ、未硬化樹脂110の粘度を容易に低下させることができるので、複合材積層部材106内での流動を促進することができる。熱は、例えば予備加熱された上型26及び下型24からの伝導熱伝達により複合材積層部材106に加えることができるので、複合材積層部材106の温度を上昇させることができる。しかしながら、熱は複合材積層部材106に、誘導加熱、放射加熱、及び/又は対流加熱により加えることもできる。
【0108】
工程146では、上型26及び下型24を移動させて、複合材積層部材106に接触させることができる。例えば、図2〜3に示す作動機構22を作動させて可動治具16を、上型26が複合材積層部材106に接触するまで下降させることができる。工程148では、複合材積層部材106内の繊維強化材料109を、電磁力を利用して固化させることができる。複合材積層部材106の固化は、工程150において、電磁石42を励磁して圧縮力を上型26と下型24との間の複合材積層部材106に加えることにより行なうことができる。電磁石42は、電流を当該電磁石に流すことにより励磁することができるので、電磁力Feを加熱環境73全体に加えることができる。電磁力Feによって上型26及び下型24で複合材積層部材106を硬化プロセス中に圧縮することができる。当該方法では更に、電磁石42に流すことができる電流の量を変えて、複合材積層部材106に加わる圧縮力の大きさを変えることができる。
【0109】
熱は複合材積層部材106に、複合材積層部材106の固化中及び硬化中に加えることもできる。例えば、熱は上型26、及び/又は下型24の一方に、及び/又は両方に、加熱素子72を含む加熱機構70を使用して加えることができる。上に説明したように、加熱素子72は、多種多様な実施形態のうちのいずれか1つの実施形態として構成することができる。熱は、上型26、及び/又は下型24を、電磁石42を励磁した結果として誘導加熱することにより加えることもできる。例えば、工程152では、伝導性枠46、及び上型26及び下型24のうちの少なくとも一方を、電磁石42を励磁して誘導加熱することができる。このような誘導加熱は、電流を磁気コイル44に流している間に行なうことができ、電流を磁気コイル44に流すと、コイル電流66が磁気コイル44を流れるようになり、誘導電流68が伝導性枠46及び上型26をコイル電流66とは反対の方向に流れるようになる。上型26が結果的に誘導加熱されることにより、複合材積層部材106を伝導加熱することができる。
【0110】
図14に示す方法では更に、複合材積層部材106の温度を経時的に変化させることができる。例えば、複合材積層部材106の温度は、初期温度T(例えば、大気温度)から第1温度Tに上昇させることができる。第1温度Tは、図10Bに示すように、複合材積層部材106内で第1期間tに亘って保持することができる。例えば、第1温度によって、未硬化樹脂110の粘度を容易に低下させることができるので、複合材積層部材106内での流動を促進することができる。複合材積層部材106の温度は、第1温度Tから第2温度Tに低下させることができ、この第2温度Tは、複合材積層部材106内で第2期間tに亘って保持することができる。複合材積層部材106の温度は更に、第2温度Tから第3温度Tに低下させることができる。この第3温度Tは、図10Bに示すように、複合材積層部材106内で第3期間tに亘って保持することができる。後続の温度上昇及び温度低下が考えられるが、当該温度上昇及び温度低下は、上に説明した温度プロファイルに限定されない。複合材積層部材106の温度は、硬化が行なわれた後に、第3温度Tから初期温度Tに低下させることができる。工程154では、上型26及び下型24を複合材積層部材106から、作動機構22を作動させて可動治具16を固定治具14から離れるように移動させることにより分離することができる。離型フィルム40を剥離することができる。工程156では、複合材積層部材106を、電磁プレス12の上型26と下型24との間の間隔28から取り出すことができる。
【0111】
図4を参照する図15は、複数の固化ゾーン84を複合材積層部材106の長さ部分に沿って、電磁プレス12の1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。上に説明したように、電磁プレス12の1つの実施形態は、複合材構造104を複合材積層部材106の長さ部分から連続形成するように構成することができる。当該方法では、工程158において、図14に示す方法に関して上に説明した方法で、電磁プレス12の上型26及び下型24を予備加熱して、複合材積層部材106を収容する準備をする。例えば、上型26及び下型24を加熱して、複合材積層部材106を置くことができる加熱環境73を作り出し、この加熱環境73によって、複合材積層部材106内の未硬化樹脂110の粘度を容易に低下させることができる。
【0112】
図15では、工程160において、複合材積層部材106の長さ部分の一部を、上型26と下型24との間の間隔28に挿入することができる。工程162において上型26及び/又は下型24を加熱して、複合材積層部材106を上型26と下型24との間に収容する準備をする。この点に関して、上型26及び下型24の一方の金型、及び/又は両方の金型からの伝導熱伝達により、及び/又は複合材積層部材106の誘導加熱、対流加熱、及び/又は放射加熱を含む他のいずれかの手段により加熱して、複合材積層部材内の未硬化樹脂110の粘度を低下させることができる。工程164では、1つ以上の離型フィルム40を更に、複合材積層部材106と上型26との間に、及び/又は複合材積層部材106と下型24との間に挿入することができる。図4に示す離型フィルム40は、複合材積層部材106の長さ部分に沿って延在することができる、及び/又は上型26及び/又は下型24の寸法にぴったり合う大きさに形成される別体部分として供給することができる。工程166では、例えば作動機構22を作動させて可動治具16を固定治具14に向かって下方に移動させることにより、上型26及び下型24を移動させて複合材積層部材106に接触させることができる。
【0113】
当該方法の工程168では、電磁石42を励磁して、上型26及び下型24から圧縮力を複合材積層部材106に加えることができる。圧縮力を複合材積層部材106に加えることにより、複合材積層部材106内の余剰樹脂を容易に流出させる、及び/又は複合材積層部材106を固化させることができる。圧縮力を加えることにより、図4に示すように、これらの固化ゾーンのうちの1つの固化ゾーンを複合材積層部材内に形成することができ、当該固化ゾーンは、未固化複合材積層部材106、及び/又は未硬化複合材積層部材106の厚さよりも薄い厚さを有するものとして図示されている。複合材積層部材106の温度は、固化条件及び硬化条件によって変わるが、上昇させるか、及び/又は低下させることができる。例えば、工程170では、図2〜4に示す伝導性枠46及び上型26を誘導加熱することにより、複合材積層部材106を加熱することができる。このような誘導加熱は、複合材積層部材106を伝導加熱するために効果的である。工程172では、上型26及び下型24を分離して、複合材構造104を電磁プレス12から取り出すことができるようにする。この点に関して、固化ゾーン84は硬化済み複合材構造104を表わすことができる。工程174では、図4に示すように、複合材積層部材106の長さ部分を、例えば漸進的に材料供給方向102に沿って間隔28を通過するように進めて、これらの固化ゾーン84のうちの別の1つの固化ゾーンを複合材積層部材内に形成する。
【0114】
図11〜12を参照する図16は、複合材構造104を、図11〜12に示すように、電磁プレス12の1つの実施形態を使用して形成する場合に用いる方法を示すフロー図である。当該方法は工程180を含むことができ、工程180では、複合材積層部材106を、例えばこの技術分野で公知のオートテープレイアップ機のような多種多様な自動レイアップシステム(図示せず)のうちのいずれか1つの自動レイアップシステムを使用して自動的に積層することにより形成する。しかしながら、ハンドレイアップを用いて複合材積層部材106を形成することもできる。当該方法は、複合材積層部材106を真空乾燥で減量化して、複合材積層部材106の厚さを薄くする工程182を含むことができる。図7に示すように、工程184において複合材積層部材106の上に配置することができるカウルプレート(図示せず)を適宜配置する前に、予備加熱部分90によって複合材積層部材106を容易に加熱することができるので、複合材積層部材106の外側表面114を形成することができる。上に説明したように、複合材積層部材106は、多種多様な適切な液状成形樹脂系のうちのいずれか1つの液状成形樹脂系により形成することができる。例えば、樹脂注入システムを使用することができ、この場合、工程186において、未硬化樹脂110を複合材積層部材106に、複合材積層部材106を覆う真空バッグ(図示せず)に作用する真空力を利用して行き渡らせるか、及び/又は注入することができる。
【0115】
工程188では、複合材積層部材106を、複合材積層部材106に取り付けられる電磁プレス12を使用して予備加熱することができる。例えば、図7では、電磁プレス12を、複合材積層部材106の下側部分に、内金型88と外金型89との間に複合材積層部材106を収容した状態で取り付けることができる。複合材積層部材106に対する予備加熱は、電磁プレス12の予備加熱部分90を使用して容易に行なうことができる。この点に関して、予備加熱部分90は上述の加熱機構70を含むことができ、これらの加熱機構70は、予備加熱ゾーン91を加熱して、例えば未硬化樹脂110の粘度を低下させることにより、圧縮力を加える前の、及び/又は加えているときの余剰樹脂の流出を促進するように構成することができる。
【0116】
工程190では、電磁プレス12の硬化部分92は、複数の電磁石42を含むことができ、これらの電磁石42は、図7に示すように、複数の外金型89に接続することができる。これらの外金型89の各1つの外金型89は、複合材積層部材106を基準に反対側の位置に配置される一又は複数の内金型88に対して移動することができる。しかしながら、電磁プレス12は、内金型88が複数の内金型円弧状セグメント88aを含み、各内金型円弧状セグメント88aが外金型に対して個別に移動することができるように構成することができる。更に、これらの内金型の各1つの内金型は、当該内金型に接続される少なくとも1つの電磁石42を有することができる。磁気コイル44を励磁することにより、内金型88及び外金型89を互いの金型に向かって引き付けて、圧縮力を、上に説明したように、複合材積層部材106に加えることができる。加熱と同時に、硬化工程中に圧縮を加えることができる。
【0117】
工程192では、複合材積層部材106を冷却ゾーン95で、電磁プレス12の冷却部分94を使用して急冷する、及び/又は冷却することができる。冷却部分94は、上に説明したように、冷却機構80のうちの1つ以上の冷却機構80を含むことができ、これらの冷却機構80は、内金型88及び/又は外金型89のうちの1つ以上の金型に含めることができる、及び/又はこれらの金型の支持構造に含めることができる。冷却部分94は、複合材積層部材106を迅速に冷却するように作用するか、及び/又は冷却ゾーン95内の複合材積層部材106の温度の漸進的な変化を可能にして、硬化サイクル期間を短くするように作用することができる。工程194では、複合材積層部材106を、複合材積層部材106の固化及び/又は硬化の後に検査することができる。複合材積層部材106の検査は、図7に示すように、複合材積層部材106の検査ゾーン97に作用する検査部分96を使用することにより容易に行なうことができる。検査部分96は、この技術分野で公知の多種多様な適切な複合材検査機構のうちのいずれかの数の複合材検査機構を含むことができる。例えば、検査部分96によって、硬化済み複合材構造104内の不所望特性の検出を、非破壊検査(NDT)方法を使用して容易に行なうことができ、非破壊検査方法の使用は、これらには限定されないが、超音波法及び他の方法の使用を含む。検査後、当該方法は離型工程196を含むことができ、離型工程196では、電磁プレス12を複合材積層部材106から取り外すことができる。上に説明した方法は、電磁プレス12を複合材積層部材106の長さ部分に沿って移動させている間に順番に実行することができる。
【0118】
図11〜12を参照する図17は、複合材構造104を複合材積層部材106から形成する方法を示すフロー図である。更に具体的には、図17は、複合材積層部材106を、図11〜12に示すように、電磁プレス12の1つの実施形態を使用して固化させる、及び/又は硬化させる方法を示している。工程198では、内金型88及び外金型89を予備加熱して、複合材積層部材106をこれらの金型の間に収容する準備をする。当該方法の工程200では、電磁プレス12を複合材積層部材106に取り付けて、内金型88及び外金型89が、図11〜12に示すように、複合材積層部材106の両側に配置されるようにする。これらの外金型89の各1つの外金型89を一又は複数の内金型88に対して移動させることができるので、複合材積層部材106をこれらの金型の間に収容することができる。上に説明したように、内金型88及び外金型89の一方又は両方は、内金型円弧状セグメント88a及び外金型円弧状セグメント89aとしてそれぞれ提供することができる。工程202では、内金型88及び外金型89を移動させて、複合材積層部材106に接触させることができる。複合材積層部材106は、圧縮力を複合材積層部材106に加える前に予備加熱することにより、樹脂流れを良くすることができる。工程204では、電磁石42を励磁して、内金型88及び外金型89から圧縮力を複合材積層部材106に加えることができる。
【0119】
工程206では、図11〜12に示す内金型88及び外金型89のうちの少なくとも1つの金型を、伝導性枠46、及び伝導性枠46に接続される内金型88及び外金型89を誘導加熱することにより加熱することができる。誘導加熱は、上に説明したように、電磁石42を励磁して行なうことができる。誘導加熱された内金型88及び外金型89で、複合材積層部材106を伝導加熱することができる。熱は、複合材積層部材106に、伝導加熱により加えるか、及び/又は対流加熱及び/又は放射加熱と組み合わせた加熱により、或いは対流加熱及び/又は放射加熱に代わる加熱により加えることもできる。複合材積層部材106は、圧縮力を加える前に、及び/又は圧縮力を加えているときに加熱してもよい。当該方法の工程208では、内金型88及び外金型89を、作動機構22を使用して分離することにより、電磁プレス12を工程210において、複合材積層部材106の長さ部分に沿って漸進的に進めることができる。例えば、図11に示すように、電磁プレス12を複合材積層部材106に沿って上方に移動させて、電磁プレス12の硬化部分92を硬化ゾーン93から、前に電磁プレス12の予備加熱部分90で覆われていた予備加熱ゾーン91に移動させる。同様にして、冷却部分94及び検査部分96を予備加熱部分90及び硬化部分92の移動と一致して移動させて、冷却部分94及び検査部分96が、前に硬化部分92及び冷却部分94の該当する部分で覆われていた硬化ゾーン93及び冷却ゾーン95の該当するゾーンを覆うようにする。
【0120】
図6〜7を参照する図18は、複合材構造104を複合材積層部材から、図6〜7に示す電磁プレス12の1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。上に説明したように、図6〜7に示す電磁プレス12は、第1電磁機構98及び第2電磁機構99を含む。第1電磁機構98は、当該第1電磁機構98に接続される上型26を有し、この上型26は、固定治具14に固定して支持することができる下型24の上方に取り付けられる。第1電磁機構98は、第1電磁機構98の上方の所定の位置に固定される第2電磁機構99に対して移動可能である。第2電磁機構99は反転可能な極性を有するので、第2電磁機構99を励磁すると発生する電磁力Feを、第1電磁機構98と第2電磁機構99との間の吸引力Faとして、及び/又は反発力Frとして交互に向きを変えて作用させることができる。第1電磁機構98を励磁して、上型26及び下型24を引き付けて合体させることにより、圧縮力を複合材積層部材106に加えることができる。
【0121】
図18を参照し続けると、複合材構造104を複合材積層部材から形成する方法は工程228を含むことができ、工程228では、上に説明した方法で、電磁プレス12の上型26及び下型24の一方、及び/又は両方の金型を予備加熱して複合材積層部材106を収容する準備をする。工程230では、図6に示すように、第2電磁機構99を、電流を第2電磁機構99の電磁石42に流すことにより励磁して、吸引力Faを第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることができる。このようにして、工程232では、間隔28を上型26と下型24との間に生じさせて、複合材積層部材106を間隔28に挿入することができるようにする。工程234では、複合材積層部材106を、例えば上型26及び下型24の一方、及び/又は両方からの伝導熱伝達により、及び/又は別の加熱機構70を使用することにより、加熱することができる。
【0122】
図18に示すように、工程236では、図7に示すように、第2電磁機構99の極性を反転させて、反発力Frを第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させる。反発力Frを発生させることにより、第1電磁機構98が第2電磁機構99の反発力により押し戻される。工程238では、第1電磁機構98を励磁して、第1電磁機構98を下型24及び/又は固定治具14に吸引することにより、上型26及び下型24を工程240において、移動させて複合材積層部材106に接触させることができる。上型26及び下型24に接触するときに複合材積層部材106を加熱する手段として、工程242において伝導性枠46及び上型26を誘導加熱することにより、工程244において複合材積層部材106を伝導加熱することができる。工程246では、第1電磁機構98の磁気コイル44の励磁後に、複合材積層部材106に圧縮力を加える。図7に示すように、電流を磁気コイル44に流すとコイル電流66が磁気コイル44を流れるようになるので、誘導電流68が、伝導性枠46及び上型26をコイル電流66の方向とは反対の方向に流れる。誘導電流68によって、伝導性枠46及び上型26を誘導加熱することができる。工程244では、複合材積層部材106を、伝導加熱された上型26及び下型24のうちの少なくとも一方で伝導加熱することができる。
【0123】
圧縮力及び/又は熱を複合材積層部材106に所定の期間に亘って加えると、当該方法では、工程248において、第1電磁機構98を励磁解除し、工程250において、電流を磁気コイル44に、工程230において流した電流の方向とは反対の方向に流すことにより、第2電磁機構99の極性を反転させる。第2電磁機構99の極性を反転させた状態で発生する電磁力Feは、第1電磁機構98と第2電磁機構99との間の吸引力Faとすることができ、工程252において、第2電磁機構99を上方に引き上げることにより、上型26及び下型24を分離する。次に、工程254において、複合材積層部材106、及び/又は複合材構造104を電磁プレス12から取り出すことができ、当該プロセスは、未硬化複合材積層部材106を電磁プレス12に挿入することにより繰り返すことができる。
【0124】
図8〜9を参照する図19は、複合材構造104を複合材積層部材106から、図8〜9に示す電磁プレス12の1つの実施形態を使用して形成する方法を示すフロー図である。図8〜9に示す電磁プレス12は、第1電磁機構98及び第2電磁機構99を含み、第1電磁機構98は、所定の位置に固定することができる第2電磁機構99に対して移動することができる。更に詳細には、第1電磁機構98は、図8〜9に示す位置の間を移動することができる。図19のフロー図に示す方法は、図18に示す方法を参照しながら上に説明した工程と同様の予備加熱工程268を含むことができる。
【0125】
工程270では、極性反転可能に構成することができる第2電磁機構99を励磁することができる。第2電磁機構99を励磁することにより、第1電磁機構98に対する反発力Frを発生させることができるので、図8に示すように、間隔28が上型26と下型24との間に生じる。工程272では、複合材積層部材106を上型26と下型24との間の間隔28に挿入し、工程274では、これらには限定されないが、誘導加熱、伝導加熱、対流加熱、及び放射加熱を含むいずれかの適切な手段により加熱することができる。
【0126】
図8〜9を参照する図19に示すように、工程276では、第2電磁機構99を、例えば第2電磁機構99の電磁石42を流れる電流を引き抜くことにより励磁解除することができる。次に、第1電磁機構98を励磁して、吸引力Faを第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることができる。吸引力Faが発生する結果として、工程278では、上型26及び下型24を移動させて、複合材積層部材106に接触させることができる。伝導性枠46及び上型26を工程280において、第1電磁機構98を励磁する結果として誘導加熱することができる。工程282では、上型26を誘導加熱することにより、複合材積層部材106を容易に伝導加熱することができる。その際同時に、工程270において、第2電磁機構99を励磁することにより、第2電磁機構99の電磁石42を取り囲む伝導性枠46及び下型24を誘導加熱することができる。このような加熱により、工程274において、複合材積層部材106を容易に伝導加熱することができ、これにより、未硬化樹脂110の粘度を低下させることができ、複合材積層部材106の繊維強化材料109を流れる未硬化樹脂110の流動を促進することができる。
【0127】
工程284では、圧縮力を複合材積層部材106に、吸引力Faが第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生する結果として加えることができる。圧縮力は、第1電磁機構98の電磁石42に流すことができる電流の大きさを変えることにより経時的に変化させることができる。当該方法の工程286では、第2電磁機構99の極性を反転させて、反発力Frを第1電磁機構98と第2電磁機構99との間に発生させることにより、上型26及び下型24を工程288において、分離することができる。工程290では、複合材積層部材106、及び/又は結果として得られる複合材構造104を電磁プレス12から取り出すことができ、当該プロセスを繰り返すことができる。
【0128】
図20〜21には、本開示の種々の実施形態が、図20に示す航空機製造及び整備方法300、及び図21に示す航空機302に関連して記載される。製造前段階では、例示的な方法300において、航空機302の仕様決定及び設計304を行ない、材料調達306を行なうことができる。製造段階では、航空機302の部品及びサブアセンブリの製造308、及びシステム統合310が行なわれる。その後、航空機302は、証明書発行及び機体引き渡し312を経て、就航314される。顧客が航空機を就航している間、航空機302は、日常的なメンテナンス及び整備316(このメンテナンス及び整備316は、改修、再構成、改装などを含むことができる)を行うようにスケジューリングされる。
【0129】
方法300のプロセスの各プロセスは、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって行なうことができるか、及び/又は実行することができる。本説明を分かり易くするために、システムインテグレータとして、これらには限定されないが、いずれかの数の航空機製造業者、及び大手システムサブコントラクタを挙げることができ;サードパーティとして、これらには限定されないが、いずれかの数のベンダー、サブコントラクタ、及びサプライヤーを挙げることができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、航空機整備機関などとすることができる。
【0130】
図21に示すように、例示的な方法300により製造される航空機302は、複数のシステム320を搭載した機体318と、機内322とを含むことができる。高位システム320の例として、推進システム324、電気システム326、油圧システム328、及び環境システム330のうちの1つ以上を挙げることができる。いずれかの数の他のシステムを含めてもよい。航空宇宙用の例を示しているが、開示される実施形態の原理は、自動車産業のような他の産業に適用することができる。
【0131】
本明細書において具体化される装置及び方法は、製造及び整備方法300の種々の段階のうちのいずれか1つ以上の段階において用いることができる。例えば、製造プロセス308に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機302が就航されている間に製造される部品、及び/又はサブアセンブリと同様の方法で形成するか、及び/又は製造することができる。また、1つ以上の装置実施形態、方法実施形態、及び/又はこれらの実施形態の組み合わせは、製造段階308及び310において、例えば航空機302の組み立てを大幅に促進する、及び/又は航空機302のコストを大幅に低減することにより利用することができる。同様に、装置実施形態、方法実施形態、及び/又はこれらの実施形態の組み合わせのうちの1つ以上の実施形態は、航空機302が就航されている間に利用することができ、例えばこれらに限定されないが、メンテナンス及び整備316に利用することができる。
【0132】
本開示に変更及び改善を加えることができることは、この技術分野の当業者には明らかである。したがって、本明細書において記載され、かつ例示される構成要素の特定の組み合わせは、本開示の特定の実施形態を表わしているに過ぎず、本開示の思想及び範囲に含まれる別の実施形態、及び/又はデバイスを限定するものとして利用されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材構造を形成するシステムであって、
電磁プレスであって、
上型と、
前記上型に、複合材積層部材を収容するための間隔を置いて取り付けられる下型と、
前記上型及び前記下型から前記複合材積層部材に圧縮力が加わるように励磁することができる少なくとも1つの電磁石と
を備える電磁プレス、並びに
前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方に取り付けることができる加熱機構
を含むシステム。
【請求項2】
前記電磁石が、磁気コイルと、磁気コイルを少なくとも部分的に取り囲む伝導性枠とを含み、
前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方が前記伝導性枠に接続されて、前記磁気コイルを励磁すると、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方が誘導加熱される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電磁石が、圧縮力を前記複合材積層部材に加える複数の磁気コイルを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁気コイルが、対応する第1圧縮力及び第2圧縮力を、前記複合材積層部材の対応する第1領域及び第2領域に加える第1コイル及び第2コイルを含んでいる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記加熱機構が、前記複合材積層部材の一部を第1温度に加熱する第1加熱ゾーンと、前記複合材積層部材の一部を第2温度に加熱する第2加熱ゾーンとを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電磁プレスに取り付けられて、前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方を冷却する少なくとも1つの冷却機構を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記下型に間隔を置いて固定して取り付けられ、前記電磁石が取り付けられる固定磁性部材と、
前記上型に接続され、かつ前記上型とは反対側の前記固定磁性部材の側面に取り付けられる可動磁性部材であって、前記電磁石を励磁すると前記固定磁性部材に向かって引き付けられて、前記上型及び前記下型から前記複合材積層部材に圧縮力が加わる可動磁性部材と
を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
繊維強化材料及び未硬化樹脂を含む複合材積層部材から複合材構造を形成する方法であって、
前記複合材積層部材内の前記繊維強化材料を固化させる工程と、
前記繊維強化材料を固化させている間に前記複合材積層部材を電磁力で圧縮する工程と
を含む方法。
【請求項9】
前記繊維強化材料を固化させている間に前記複合材積層部材内の前記未硬化樹脂の粘度を低下させる工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複合材積層部材内の前記繊維強化材料を固化させる工程が、前記複合材積層部材を加熱する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維強化材料を加熱する工程が、前記複合材積層部材が置かれる加熱環境を作り出す工程を含み、前記複合材積層部材を電磁力で圧縮する工程が、電磁力を前記加熱環境全体に加える工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維強化材料を固化させる工程、及び前記複合材積層部材を電磁力で圧縮する工程が、上型、下型、及び電磁石を有する電磁プレスを使用して行なわれ、前記方法が、
前記複合材積層部材を、前記上型と前記下型の間の間隔に挿入する工程と、
前記上型及び前記下型を移動させて、前記複合材積層部材に接触させる工程と、
前記電磁石を励磁して、前記上型及び前記下型から圧縮力を前記複合材積層部材に加える工程と
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記複合材積層部材を前記間隔に挿入する前に、前記上型及び前記下型を予備加熱する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複合材積層部材を加熱する工程が、
前記上型及び前記下型のうちの少なくとも一方で前記複合材積層部材を伝導加熱する工程
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁石を励磁する工程が、前記電磁石に電流を流す工程を含み、前記方法が、
前記電磁石に流す電流の量を変化させて、前記複合材積層部材に加わる前記圧縮力の大きさを変化させる工程
を更に含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−532760(P2012−532760A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519562(P2012−519562)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/039138
【国際公開番号】WO2011/005457
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】