説明

電磁弁

【課題】大径化を招くことなく、通流路の拡大を図ることができる電磁弁を提供する。
【解決手段】プランジャ32の内部空間51にゴムバルブ52を移動自在に収容し、ゴムバルブ52に先端突出部61を形成する。プランジャ32の開口部45より突出した先端突出部61の先端に弁部材71を取り付け、弁部材71先端の弁部72を先端突出部61の端面より大径に形成する。この弁部72を弁室83の入力部91の端面に離着座して、入力部91に開口した入力ポート92を開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば流体の制御を行う電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気流路を切り替える際には、図2に示すような電磁弁801が用いられていた。
【0003】
この電磁弁801のカバー811内には、ソレノイド812が内嵌されており、該ソレノイド812には、コア813の先端部が内嵌されている。該コア813の先端側には、プランジャ収容室814が形成されており、該プランジャ収容室814には、プランジャ815が移動自在に収容されている。該プランジャ815と前記コア813との間には、コイルスプリング816が配設されており、当該プランジャ815は、前記プランジャ収容室814の内側へ突出形成されたノズル側突出部817に着座するように付勢されている。
【0004】
前記カバー811より延出したノズル821には、前記ノズル側突出部817を介して前記プランジャ収容室814に連通する入力ポート822と、前記プランジャ収容室814に連通した出力ポート823とが形成されており、前記コア813に突出形成されたコア側突出部824には、前記プランジャ収容室814に連通するドレンポート825が形成されている。
【0005】
これにより、ソレノイド通電時には、前記プランジャ815を前記コア813側に吸引することで、前記入力ポート822から入力した空気を前記出力ポート823から出力する一方、ソレノイド非通電磁には、前記コイルスプリング816で付勢された前記プランジャ815が前記入力ポート822を閉鎖するとともに前記ドレンポート825を開放することで、前記出力ポート823の空気を前記ドレンポート825から排出できるように構成されている。
【0006】
前記プランジャ815は、中空状に形成されており、両端面には、第1及び第2開口部831,832が開設されている。このプランジャ815の内部空間には、弁体を構成する第1ゴムバルブ833と第2ゴムバルブ834とが移動可能に収容されており、両ゴムバルブ833,834は、コイルスプリング835によって互いに離れる方向へ付勢されている。
【0007】
これにより、前記第1開口部831側には、前記第1ゴムバルブ833が配置されており、前記第1開口部831を出入りする前記ノズル側突出部817が前記第1ゴムバルブ833端面の第1弁部841に離着座することによって前記入力ポート822を開閉できるように構成されている。また、前記第2開口部832側には、前記第2ゴムバルブ834が配置されており、前記第2開口部832を出入りする前記コア側突出部824が前記第2ゴムバルブ834端面の第2弁部842に離着座することによって前記ドレンポート825を開閉できるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような電磁弁801にあっては、前記各ゴムバルブ833,834が前記プランジャ815内に収容されているため、その寸法がプランジャ815によって規制されている。
【0009】
このため、空気通路の拡大による大流量化や切替速度向上に対応することができなかった。
【0010】
また、前記各ゴムバルブ833,834を大径化する場合、各ゴムバルブ833,834を収容した前記プランジャ815や、該プランジャ815を収容したソレノイド812や、該ソレノイド812を収容したカバー811の大径化が余儀なくされ、当該電磁弁801の大型化を招くとともに、コストアップ要因となり得る。
【0011】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、大径化を招くことなく、通流路の拡大を図ることができる電磁弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本発明の電磁弁にあっては、通流路を開閉する弁部を備えた弁体がプランジャの内部に移動可能に保持された電磁弁において、前記弁体の前記弁部を前記プランジャより突出させた。
【0013】
すなわち、通流路を開閉する弁体の弁部は、プランジャより突出しており、このプランジャから突出した前記弁部は、前記プランジャの大きさに縛られること無く、大径化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の電磁弁にあっては、前記プランジャより突出した前記弁部を、前記プランジャの大きさに関わらず、大径化することができる。
【0015】
このため、前記弁部を大径化することで、該弁部で開閉される通流路の拡大を図ることができる。これにより、制御する流体の大流量化や、切替速度の向上に対応することができる。
【0016】
このとき、前記プランジャを大径化すること無く、前記弁部の大径化を実現することができる。このため、前記弁部の大径化に伴って前記プランジャの大径化が余儀なくされる従来と比較して、電磁弁の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【0017】
したがって、大型化の防止と、通流路の拡大とを両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる電磁弁1を示す図であり、該電磁弁1の電磁弁本体2がバルブボディ3に固定された状態が示されている。
【0019】
この電磁弁1は、空気の通流を制御するものであり、該電磁弁1を構成する前記電磁弁本体2は、容器状のケーシング11を備えている。該ケーシング11の内部には、ボビン12にコイル13が巻回されてなるソレノイド14が内嵌されており、前記ボビン12の鍔部15より延出した延出片16が前記ケーシング11の切欠部17から延出するように構成されている。このボビン12の下部には、リング状のヨーク18が配設されており、該ヨーク18は、前記ケーシング11に内嵌した状態で前記ボビン12と前記バルブボディ3との間に配設されている。
【0020】
前記ボビン12の基端側には、前記ソレノイド14で励磁されるコア21が内嵌しており、該コア21側面の溝部22には、Oリング23が装着されている。前記コア21の基端には、凸部24が形成されており、該凸部24は、前記ケーシング11端面の位置決め穴25に内嵌された状態で位置決めされている。前記コア21の先端部には、一般部26より小径の小径部27が形成されており、該小径部27には、戻し用コイルスプリング28が外嵌されている。
【0021】
前記コア21の先端側には、プランジャ収容室31が形成されており、該プランジャ収容室31には、前記戻し用コイルスプリング28によって先端側へ付勢されるとともに、前記コア21に吸引されるプランジャ32が長さ方向へ移動自在に収容されている。
【0022】
このプランジャ32は、円筒状に形成されており、その基端が基端面41によって閉鎖されている。該基端面41の中央部には、小穴42が形成されており、流体の通流を許容できるように構成されている。前記プランジャ32先端の縁部は、中心方向へ向けてカシメられており、当該プランジャ32の先端部には、中心線43側へ向けて延出したリング状の内方折曲部44が全周に渡って形成されている。これにより、前記プランジャ32の先端には、前記内方折曲部44で包囲された開口部45が開口している。
【0023】
前記プランジャ32の内部空間51には、弁体を構成するゴムバルブ52が長さ方向へ移動自在に収容されており、該ゴムバルブ52の基端面には、基端突出部53が中央部に形成されている。この基端突出部53には、コイルスプリング54の先端部が外嵌しており、該コイルスプリング54の基端は、当該プランジャ32の前記基端面41に当接している。
【0024】
これにより、前記ゴムバルブ52は、前記コイルスプリング54によって先端へ向けて付勢されるとともに、当該ゴムバルブ52に生じた外力によって前記プランジャ32の前記内部空間51へ後退できるように構成されている。
【0025】
前記ゴムバルブ52の先端面には、先端側へ突出した先端突出部61が中央部に一体形成されており、該先端突出部61の外周部には、前記先端面によって段差部62が形成されている。これにより、当該ゴムバルブ52は、前記コイルスプリング54によって先端側へ付勢された状態で、前記段差部62が前記内方折曲部44に当接することで抜け止めされており、この状態において、前記先端突出部61が前記内方折曲部44内側の前記開口部45を挿通するように構成されている。
【0026】
この開口部45を挿通した前記先端突出部61の先端には、弁部材71が一体的に取り付けられている。該弁部材71は、前記先端突出部61の端面に沿って延在する弁部72と、該弁部72より基端側に延出した円筒状の延出部73と、該延出部73の先端部が折曲形成されてなる係止爪74,74とによって構成されており、該係止爪74は、前記先端突出部61側面の係止溝75,75に係止されている。前記弁部72は、平坦面で構成されており、当該弁部72は、前記先端突出部61の端面より大径に形成されている。
【0027】
一方、前記電磁弁本体2が固定される前記バルブボディ3の取付面81には、前記ケーシング11を固定するための固定溝82がリング状に形成されており、該固定溝82の中心部には、前記電磁弁本体2より延出した前記プランジャ32の先端部が挿入される弁室83が凹設されている。該弁室83には、図中奥側に出力ポートが連通しており、前記弁室83内に入力された空気を前記出力ポートを介して出力できるように構成されている。
【0028】
また、前記弁室83には、前記プランジャ32側へ向けて突出した円錐台形状の入力部91が突設されており、該入力部91の端面には、前記弁室83に連通する通流路としての入力ポート92が開口している。前記入力部91の端面は、前記プランジャ32より延出した前記ゴムバルブ52先端の前記弁部72が離着座する弁座部93を構成しており、該弁座部93に前記弁部72が離着座することで、前記入力ポート92を開閉できるように構成されている。
【0029】
これにより、ソレノイド非通電磁には、前記戻し用コイルスプリング28で付勢された前記プランジャ32の前記弁部72が前記弁座部93に着座して前記入力ポート92を閉鎖する一方、ソレノイド通電時には、前記プランジャ32を前記コア21で吸引し前記弁部72を前記弁座部93から離座して前記入力ポート92を開放することで、該入力ポート92からの空気を前記出力ポートから出力できるように構成されている。
【0030】
以上の構成にかかる本実施の形態において、通流路としての前記入力ポート92を開閉する弁体としての前記ゴムバルブ52先端の先端突出部61は、前記プランジャ32の前記開口部45より先端側へ突出しており、当該先端突出部61に一体的に設けられた前記弁部72は前記プランジャ32から突出した位置に設けられている。このため、前記プランジャ32から突出した前記先端突出部61先端の前記弁部72は、前記プランジャ32や前記開口部45の大きさに縛られることなく、大径化することができる。
【0031】
このため、前記弁部72を大径化することで、該弁部72で開閉する前記入力ポート92の開口面積を拡大することができる。これにより、制御する流体の大流量化や、切替速度の向上に対応することができる。
【0032】
このとき、前記プランジャ32を大径化すること無く、前記弁部72の大径化を実現することができる。このため、前記弁部72の大径化に伴って前記プランジャ32の大径化が余儀なくされる従来と比較して、電磁弁1の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【0033】
したがって、大型化の防止と、通流路の拡大とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態を示す断面図ある。
【図2】従来の電磁弁を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 電磁弁
32 プランジャ
51 内部空間
52 ゴムバルブ
61 先端突出部
72 弁部
92 入力ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通流路を開閉する弁部を備えた弁体がプランジャの内部に移動可能に保持された電磁弁において、
前記弁体の前記弁部を前記プランジャより突出させたことを特徴とする電磁弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−215571(P2008−215571A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57328(P2007−57328)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】