説明

電磁振動型ダイヤフラムポンプ

【課題】水分の流入を防ぐ別部材を設けずに、簡単な構造で、流入してしまった水分を容易に排水することができる排水構造を備えた電磁振動型ダイヤフラムポンプの提供を目的とする。
【解決手段】第1連通路P1が、吸入室62と圧縮室61との間の隔壁W1の下端に形成され、吸入室62内の底部62aが、第1連通路P1に向かって、第1連通路P1側が低くなるように傾斜し、第1連通路P1の底部が、圧縮室61側が低くなるように傾斜し、第2連通路P2が、圧縮室61と吐出室63との間の隔壁W2の下端に形成され、圧縮室61の底部61aが、第2連通路P2に向かって、第2連通路P2側が低くなるように傾斜し、第2連通路P2の底部が、吐出室63側が低くなるように傾斜し、吐出室63内の底部が吐出口に向かって、吐出口が低くなるように傾斜し、吐出口が、吐出口の出口側が低くなるように傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。さらに詳しくは、排水構造を備えた電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁振動型ポンプとして、永久磁石を備えた振動子を往復運動させることによりポンプ作用を得る電磁振動型ダイヤフラムポンプが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。これらの電磁式ダイヤフラムポンプは、図4(a)および(b)に示すように、吸入口107から吸入した空気は、吸入された空気が最初に入る吸入室102から、吸入弁100を介してダイヤフラム(図示せず)により内部の空気が圧縮される圧縮室104を経由し、さらに圧縮室104に圧力が加わると、吐出弁101を介して吐出口108が設けられた吐出室103に空気が移動し、吐出室103の吐出口108から空気が出され、ポンプ作用を得るものである。このような従来から公知の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、図4(a)および(b)に示されるように、吸入弁100および吐出弁101は、通常、吸入室102、吐出室103、圧縮室104を仕切る隔壁105(図4(b)参照)のほぼ中央に取り付けられ、それぞれの部屋を流体接続する連通路106も、隔壁105のほぼ中央に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−273477号公報
【特許文献2】特開2008−280970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の従来の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、浄化槽用等、屋外に設置されることが多く、また、養魚水槽用など水分が存在する環境で用いられることが多い。また、これらの用途に限らず、水分がダイヤフラムポンプの吸入口107から吸入室102、圧縮室104、吐出室103内に入ってくることがあり、従来の電磁振動型ダイヤフラムポンプの構成であると、図4(a)および(b)に示すように、水分Wが吸入室102、吐出室103、圧縮室104内に残留してしまう。このように水分Wが装置内部に残留すると、ダイヤフラムポンプに用いられるケーシングやダイヤフラム、吸入弁100、吐出弁101等の部材の劣化や各部材を取り付けるためのネジ等の固定部材に錆が発生してしまうという問題がある。
【0005】
また、一度内部に水分Wが入ってしまったとしても、外部からは吸入室102、吐出室103、圧縮室104の内部は視認できないため、このような従来の構造であると、メンテナンスが非常に煩雑となる。さらに、水分Wが入っていることがわかったとしても、ダイヤフラムポンプ自体を分解したうえで、水分Wを除去しなければならない。
【0006】
したがって、従来の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、水分に対する対策が充分であるとはいえず、水分が入ってしまった場合のメンテナンスが非常に面倒であった。
【0007】
また、水分が入らないように、電磁振動型ダイヤフラムポンプの吸入側に水分の流入を防ぐフィルターを設けることも考えられるが、部材点数が増えてしまい、コスト面、寸法面においても問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて、水分の流入を防ぐ別部材を設けずに、簡単な構造で、流入してしまった水分を容易に排水することができる排水構造を備えた電磁振動型ダイヤフラムポンプの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、交流電源が接続される電磁コイル部と、該電磁コイル部への交流電源電圧の印加により、往復駆動される、永久磁石が設けられた振動子と、該振動子の両端に連結されたダイヤフラムと、流体の吸入口および流体の吐出口を備えたポンプケーシングとを有する電磁振動型ダイヤフラムポンプであって、前記ポンプケーシングが、前記ポンプケーシングの上部側に設けられ、前記吸入口と連通する吸入室と、前記ポンプケーシングの下部側に設けられ、前記吐出口と連通する吐出室と、前記吸入室と吸入弁を介して連通し、かつ、前記吐出口と吐出弁を介して連通し、前記振動子の往復駆動に伴うダイヤフラムの変形により、内部の圧力が上下する圧縮室とを備え、前記吸入弁が設けられ、前記吸入室と前記圧縮室とを連通する第1連通路が、前記吸入室と前記圧縮室との間の隔壁の下端に形成され、前記吸入室内の底部が、前記第1連通路に向かって、前記第1連通路側が低くなるように傾斜し、前記第1連通路の底部が、前記圧縮室側が低くなるように傾斜し、前記吐出弁が設けられ、前記圧縮室と前記吐出室とを連通する第2連通路が、前記圧縮室と前記吐出室との間の隔壁の下端に形成され、前記圧縮室の底部が、前記第2連通路に向かって、前記第2連通路側が低くなるように傾斜し、前記第2連通路の底部が、前記吐出室側が低くなるように傾斜し、前記吐出室内の底部が前記吐出口に向かって、前記吐出口が低くなるように傾斜し、前記吐出口が、該吐出口の出口側が低くなるように傾斜していることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1連通路と隣接する、前記吸入室内の下部に排水用窪みを形成することが好ましい。
【0011】
また、前記吸入弁および/または吐出弁が、該吸入弁および/または吐出弁の弁座となる隔壁に対してクリアランスを設けて配設することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吸入弁が設けられ、前記吸入室と前記圧縮室とを連通する第1連通路が、吸入室と圧縮室との間の隔壁の下端に形成され、吸入室内の底部が、第1連通路に向かって、第1連通路側が低くなるように傾斜し、第1連通路の底部が、圧縮室側が低くなるように傾斜し、吐出弁が設けられ、圧縮室と吐出室とを連通する第2連通路が、圧縮室と吐出室との間の隔壁の下端に形成され、圧縮室の底部が、第2連通路に向かって、第2連通路側が低くなるように傾斜し、第2連通路の底部が、吐出室側が低くなるように傾斜し、吐出室内の底部が吐出口に向かって、吐出口が低くなるように傾斜し、吐出口が、吐出口の出口側が低くなるように傾斜しているので、たとえ吸入口から水分が流入したとしても、ポンプ流路に高低差が形成され、吸入室から圧縮室に水分が移動し、圧縮室から吐出室に水分が移動し、さらに吐出室内に入った水分は、吐出口から自然に排出されるので、ダイヤフラムポンプ内部に水分が残留することがない。したがって、水分残留による部材の劣化や、錆の発生を防止することができ、ポンプ内部のメンテナンスが不要となる。また、水分流入を防ぐためのフィルター等の別部材が不要となる。
【0013】
また、前記第1連通路と隣接する、前記吸入室内の下部に排水用窪みを形成することにより、排水用窪みで吸入室内に入った水分を集め、効率よく吐出口まで排水をすることができる。
【0014】
また、吸入弁および/または吐出弁の弁座となる隔壁に対してクリアランスを設けることにより、ポンプの駆動が停止しているときにも弁と弁座の間のクリアランスから水分を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプの縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明に用いられる弁の構造を説明するための部分断面図である。
【図4】(a)および(b)は、従来の電磁振動型ポンプを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照し、本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプを詳細に説明する。図1は、本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプの縦断面図である。図1に示されるように、本発明の電磁振動型ポンプ1(以下、単にポンプ1という)は、ケーシングC内に、一対の電磁コイル部2が設けられ、当該一対の電磁コイル部2の間に、永久磁石3が設けられた振動子4が設けられている。ケーシングCの両端には、一対のポンプケーシング6が設けられており、ケーシングCの内部と、ポンプケーシング6とは、図1中左右に一対設けられたダイヤフラム5により仕切られている。
【0017】
電磁コイル部2は、交流電源に接続されており、電磁コイル部2に交流電源電圧を印加すると、永久磁石3が設けられた振動子4が往復駆動される。振動子4の両端には、ダイヤフラム5が連結され、その外周がケーシングCに支持され、図1中振動子4が左右に移動するに伴い、一対のダイヤフラム5も左右に撓み、ポンプケーシング6内の圧縮室61の内部の圧力を昇降させることにより、ポンプ作用を得ている。ここで、電磁コイル部2、永久磁石3、振動子4、ダイヤフラム5の構成は、特に限定されるものではなく、従来からダイヤフラムポンプに用いられている構成をそのまま採用することもできるし、当業者に自明な従来の改良も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0018】
ポンプケーシング6は、図1および図2に示されるように、空気等の外部からの流体を吸入する吸入口7が設けられた吸入室62と、吸入室62から第1連通路P1を介して流体が流れ込む圧縮室61と、圧縮室61から第2連通路P2を介して流体が流れ込み、外部に流体を送り込む吐出口8が設けられた吐出室63とから構成されている。
【0019】
図1および図2に示されるように、第1連通路P1には、吸入弁V1が設けられ、圧縮室61から吸入室62への流体の逆流を防止し、第2連通路P2には、吐出弁V2が設けられ、吐出室63から圧縮室61への流体の逆流を防止している。吸入弁V1、吐出弁V2は、流体の逆流を防止することができるものであれば、特にその材質や構造は限定されるものではないが、たとえば、弾性材料からなるアンブレラバルブを用いることができる。
【0020】
図1および図2に示すように、吸入室62は、ポンプケーシング6の上部側に設けられている。吸入室62と圧縮室61との間を連通する第1連通路P1は、吸入室62と圧縮室61とを仕切る、ほぼ垂直な隔壁W1の下端に設けられている。また、吸入室62の内部の底部62aは、第1連通路P1に向かって、第1連通路P1側が低くなるように傾斜している。また、第1連通路P1の内部の底面は、圧縮室61側が低くなるように傾斜している。このように、吸入室62および第1連通路P1を傾斜させることにより、吸入口7から流入した吸入室62内に流入した水分を、第1連通路P1に集め、さらに第1連通路P1に集められた水分を圧縮室61に向かって排出させることができる。
【0021】
吐出弁V2が設けられる圧縮室61と吐出室63との間を連通する第2連通路P2は、圧縮室61と吐出室63とを仕切る、ほぼ垂直な隔壁W2の下端に設けられている。圧縮室61の底部61aは、第1連通路P1の底部よりも低い位置に配置され、底部61aは、第2連通路P2に向かって、第2連通路P2側が低くなるように傾斜している。このように、圧縮室61と第2連通路P2を傾斜させることにより、吸入室62から圧縮室61内に流入した水分を、第2連通路P2に集め、さらに第2連通路P2に集められた水分を吐出室63に向かって排出させることができる。
【0022】
吐出室63の室内の底部63aは、図2に示すように、吐出口8に向かって、吐出口8が低くなるように傾斜している。また、吐出口8も、吐出口8の出口側が低くなるように傾斜している。したがって、吐出室63と吐出口8を傾斜させることにより、圧縮室61から吐出室63に流入した水分を吐出口8から排出することができる。
【0023】
上記のように、吸入室62の底部62a、第1連通路P1、圧縮室61の底部61a、第2連通路P2、吐出室63の底部63a、吐出口8を傾斜させることにより、吸入口7から流入した水分を、高低差を設けることにより、重力で吐出口まで導くことができるので、内部に水分が滞留しない。したがって、ポンプケーシング6内に水分が溜まることによる、ポンプケーシング6内部に設けられる部材の劣化や、ポンプケーシング6内のネジ等の金属製の固着手段等の錆の発生を抑制することができる。
【0024】
図3に示すように、吸入室62の底部62aおよび第1連通路P1の底部の水平面に対する傾斜角θは、流入した水分が排出される角度であれば特に限定されないが、たとえば、傾斜角θを3°以上にすることにより、流入した水分を排出することが可能である。また、吸入室62の底部62aだけでなく、圧縮室61の底部61a、第2連通路P2、吐出室63の底部63a、吐出口8についても同様の傾斜角であればよい。また、吸入室62の底部62aだけでなく、圧縮室61の底部61a、第2連通路P2、吐出室63の底部63a、吐出口8を疎水性材料により成型したり、疎水性のコーティングを底面に施すことにより、排水効果を促進させることもできる。その結果として、傾斜角θをさらに小さくすることもできる。図1〜3において、吸入室62、圧縮室61、吐出室63のそれぞれの底部の傾斜した部位は、図中は平面状を呈しているが、平面状の底部にする必要はなく、曲面状でもよいし、複数の傾斜した部分が段状に設けられてもよい。
【0025】
なお、吸入口7については、吸入室62側が低くなるように傾斜させてもよいが、吸入口7から水分が流入しにくくするために、吸入口7の入口側が低くなるように傾斜させることもできる。
【0026】
吸入室62、圧縮室61、吐出室63の3つの部屋の位置関係は、吸入室62の底部62aが、一番高い位置にあり、そのつぎに圧縮室61の底部61aが、吸入室62の底部62aの位置よりも低く、吐出室63の底部63aが、圧縮室63の底部63aよりも低い位置にあれば、内部に流入した水分が重力により吐出口から排出される。したがって、このそれぞれの部屋の高低における位置関係を満たすものであれば、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0027】
図2に示すように、さらに水分の排出を効率よくするために、吸入室62の底面62aの、第1連通路P1に隣接する部分において、一層傾斜をきつくする集水用窪み62bを設けることもできる。図2では、吸入室62のみに、集水用窪み62bが設けられているが、当然、圧縮室61、吐出室63に集水用窪み62bと同様の窪みを設けてもよいことはいうまでもない。
【0028】
つぎに、本発明の排水作用を説明する。電磁コイル部2に交流電源電圧が印加されると、電磁コイル部2による磁気的作用により、永久磁石3が設けられた振動子4が、図1中左右方向に往復振動する。振動子4の往復振動に伴い、振動子4の両端に連結されたダイヤフラム5も左右方向に撓み、圧縮室61の内部の容積が変わり、圧縮室61内部の圧力が昇降する。たとえば、図1中右側のダイヤフラム5が左側に撓み、圧縮室61内の圧力が低くなると、吸入弁V1が第1連通路P1を開放し、吐出弁V2には、第2連通路P2を閉じる方向の力が加わり、第2連通路P2は閉鎖される。逆に、図1中右側のダイヤフラム5が右側に撓むと、圧縮室61内の圧力が高まり、吸入弁V1が第1連通路P1を閉鎖し、吐出弁V2が第2連通路P2を開放する。
【0029】
したがって、吸入口7から水分が流入すると、吸入室62に入った水分は、吸入室62の底部62aの傾斜により、第1連通路P1に向かい、振動子4が駆動され、吸入弁V1が開放したときに、第1連通路P1に浸入した水分は、開放された吸入弁V1と隔壁W1との間の隙間から、圧縮室61内に移動する。同様に、圧縮室61の底部61aの傾斜により、圧縮室61に入った水分は、第2連通路P2に向かい、振動子4の駆動により吐出弁V2が開放したときに、吐出弁V2と隔壁W2との間の隙間から、吐出室63内に移動する。さらに、吐出室63に入った水分は、吐出室63の底部63aおよび吐出口8の傾斜により、吐出口8から外部により排出される。したがって、ポンプ1を駆動することにより、吸入口7から流入した水分を吐出口8から排出することができ、ポンプケーシング6内部に水分が残留することがない。
【0030】
上記態様は、ポンプ1を駆動した場合に、流入した水分を排出することができる態様であるが、図3に示すように、吸入弁V1、吐出弁V2と、それらの弁座となる隔壁W1、W2との間に、クリアランスを設けることにより、ポンプ1が駆動されていない停止状態の場合にも水分を排出させることができる。すなわち、吸入弁V1を例にあげると、図3に示されるように、吸入弁V1と、吸入弁V1の弁座となる隔壁W1との間には、クリアランスClが形成されている。吸入弁V1は弾性材料から構成され、ポンプ1が駆動されておらず、圧縮室61に圧力が加わらない場合は、吸入弁V1のスカート部Sは、図3の状態で静止している。したがって、ポンプ1の駆動停止状態であっても、内部に水分が流入した場合に、クリアランスClから吸入室62内に流入した水分を、圧縮室61に排出させることができる。
【0031】
吸入弁V1と同様に、吐出弁V2にも、吐出弁V2と隔壁W2との間に、クリアランスを設けることにより、圧縮室61から吐出室63に水分を排出させることができ、ポンプ1の駆動停止時にも、吸入口7から流入した水分を、吐出口8から排出させることができる。したがって、ポンプケーシング6内の部材の劣化や、ポンプケーシング6内のネジ等の金属製の固着手段等の錆の発生をさらに抑制することができる
【0032】
ポンプ1の駆動時、吸入室62から圧縮室61に流体が吸入される場合には、圧縮室61の圧力低下により、吸入弁V1が開き、吐出弁V2は、吐出弁V2のスカート部Sが、隔壁W2側に引き寄せられて吐出弁V2が閉じる。また、圧縮室61から吐出室63に流体が吐出される場合は、圧縮室61の圧力低下により、吐出弁V2が開き、吸入弁V1のスカート部Sが、隔壁W1側に押し付けられて吸入弁V1を閉じる。したがって、ポンプ1の駆動停止時には、流入した水分を排出することができるだけでなく、ポンプ1の駆動時には、クリアランスClを閉じて、ポンプ1が吐出する流量を維持することができる。
【0033】
クリアランスClは、流入した水分を排出させることができ、かつポンプ1の性能を落とさないようにするために、吸入弁V1のスカート部Sから弁座となる隔壁W1までのクリアランスClの寸法Dは、特に限定されるものではないが、たとえば0.2〜1.0mmであることが好ましい。0.2mmよりも小さいと、水分を有効に排出することができず、1.0mmより大きいとポンプ1の性能が低下してしまう。
【符号の説明】
【0034】
1 ポンプ
2 電磁コイル部
3 永久磁石
4 振動子
5 ダイヤフラム
6 ポンプケーシング
61 圧縮室
62 吸入室
63 吐出室
61a、62a、63a 底部
62b 集水用窪み
7 吸入口
8 吐出口
C ケーシング
Cl クリアランス
P1 第1連通路
P2 第2連通路
S スカート部
V1 吸入弁
V2 吐出弁
W1、W2 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源が接続される電磁コイル部と、
該電磁コイル部への交流電源電圧の印加により、往復駆動される、永久磁石が設けられた振動子と、
該振動子の両端に連結されたダイヤフラムと、
流体の吸入口および流体の吐出口を備えたポンプケーシングと
を有する電磁振動型ダイヤフラムポンプであって、
前記ポンプケーシングが、
前記ポンプケーシングの上部側に設けられ、前記吸入口と連通する吸入室と、
前記ポンプケーシングの下部側に設けられ、前記吐出口と連通する吐出室と、
前記吸入室と吸入弁を介して連通し、かつ、前記吐出口と吐出弁を介して連通し、前記振動子の往復駆動に伴うダイヤフラムの変形により、内部の圧力が上下する圧縮室とを備え、
前記吸入弁が設けられ、前記吸入室と前記圧縮室とを連通する第1連通路が、前記吸入室と前記圧縮室との間の隔壁の下端に形成され、
前記吸入室内の底部が、前記第1連通路に向かって、前記第1連通路側が低くなるように傾斜し、
前記第1連通路の底部が、前記圧縮室側が低くなるように傾斜し、
前記吐出弁が設けられ、前記圧縮室と前記吐出室とを連通する第2連通路が、前記圧縮室と前記吐出室との間の隔壁の下端に形成され、
前記圧縮室の底部が、前記第2連通路に向かって、前記第2連通路側が低くなるように傾斜し、
前記第2連通路の底部が、前記吐出室側が低くなるように傾斜し、
前記吐出室内の底部が前記吐出口に向かって、前記吐出口が低くなるように傾斜し、前記吐出口が、該吐出口の出口側が低くなるように傾斜していることを特徴とする電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記第1連通路と隣接する、前記吸入室および/または圧縮室内の底部に排水用窪みが形成されてなることを特徴とする請求項1記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記吸入弁および/または吐出弁が、該吸入弁および/または吐出弁の弁座となる隔壁に対してクリアランスを設けて配設されてなることを特徴とする請求項1または2記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−197717(P2012−197717A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62187(P2011−62187)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・新エネルギーベンチャー技術革新事業/安全性と耐久性に優れた燃料電池用水素循環ブロワの技術開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390006286)株式会社テクノ高槻 (17)
【Fターム(参考)】