電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器
【課題】 任意に選択された容器内に収容する食品のみを加熱保温できるとともに、食品の加熱殺菌も充分に行うことができ、しかも、何度でも繰り返し使用ができる電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器を提供すること。
【解決手段】 非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室を備えた外側容器と;この外側容器内の選択される収容室の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器と;前記外側容器内の選択される収容室の底部に配置される電磁誘導発熱体とを含んで構成し、
前記外側容器における電磁誘導発熱体が配置された収容室に所定量の水を注入して前記電磁誘導発熱体を電磁調理器により誘導加熱したとき、外側容器1に装着された全ての内側容器の中、電磁誘導発熱体で加熱された内側容器に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とした。
【解決手段】 非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室を備えた外側容器と;この外側容器内の選択される収容室の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器と;前記外側容器内の選択される収容室の底部に配置される電磁誘導発熱体とを含んで構成し、
前記外側容器における電磁誘導発熱体が配置された収容室に所定量の水を注入して前記電磁誘導発熱体を電磁調理器により誘導加熱したとき、外側容器1に装着された全ての内側容器の中、電磁誘導発熱体で加熱された内側容器に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加熱保温容器の改良、詳しくは、選択される容器内に収容した一部の食品のみを加熱保温することができ、また食品の加熱殺菌も充分に行うことが可能で、しかも、加熱作業時に火傷等を負う心配もなく、何度でも繰り返し使用することができる電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、弁当などを温める際には電子レンジが用いられることが多いが、電子レンジは、食品中の水分をマイクロ波によって急激に加熱する原理を採用しているため、食品を所定の温度まで加熱したり、一定の温度で保温したりする用途には適してしない。
【0003】
また、上記のような食品の加熱や保温には湯煎による加熱法が好適であると考えられるが、通常の燃焼式のガスコンロを用いて湯煎を行う場合には、直接火にかける外側容器に耐熱性に優れた金属製やセラミック製(陶磁器等)の容器を使用する必要があるため、プラスチック製や木製の容器から成る弁当容器等の保温に応用することは難しい。
【0004】
ところで最近では、ガスコンロよりも熱効率が良く、掃除も簡単で環境にも優しい電磁調理器(IH調理器)の普及も進んでおり、このような電磁調理器を利用した技術として、非導電性の外側容器内に電磁誘導発熱体を配置し、この発熱体を電磁調理器により水中で加熱して食品の湯煎を行う加熱方法が<特許文献1>に開示されている。
【0005】
そして、このような加熱方法を用いれば、プラスチック製等の容器でも使用することができるため、内側容器と外側容器とが二重構造になった弁当容器を作製して、容器に入れた惣菜などを電磁調理器により温めることが可能となるものの、仕切り等を設けた内側容器に食品を収容しただけでは加熱時に収容した食品全てが温まってしまうことから、加熱されると風味が落ちる冷菜やデザート等を収容することができず、実用性に欠けていた。
【0006】
一方、従来においては、<特許文献2>にあるような弁当箱の底部に蓄熱体を配置して一部の食品のみを加熱保温する技術も提案されていたが、電子レンジで加熱した蓄熱体を弁当箱に差し込む作業に火傷の危険が伴う上に、底部のみからの加熱ではどうしても加熱ムラが生じて食品の加熱殺菌を充分に行えないという問題があった。
【0007】
しかも、加熱源として使用する蓄熱体は使用回数に制限があり定期的に買い替える必要があったため、大量の弁当を取り扱う病院食や学校給食などの調理現場では、コスト負担が大きくなって不経済になり易かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−176650号公報(第2−4頁、第1−2図)
【特許文献2】特開2008−18027号公報(第2−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、任意に選択された容器内に収容する食品のみを加熱保温できると共に、食品の加熱殺菌も充分に行うことができ、また加熱作業時における火傷等の危険もなく、しかも、何度でも繰り返し使用ができて経済性にも優れた電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11…を備えた外側容器1と;同じく非導電性材料にて作製され、内部に食品Fを収容可能であって、かつ、前記外側容器1内の選択される収容室11の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器2・2…と;前記外側容器1内の選択される収容室11の底部に配置される電磁誘導発熱体3とを含んで構成し、
前記外側容器1における電磁誘導発熱体3が配置された収容室11に所定量の水Wを注入して前記電磁誘導発熱体3を電磁調理器Eにより誘導加熱したとき、発熱した電磁誘導発熱体3により加熱された熱水或いは水蒸気が当該内装された内側容器2’を間接的に加熱して、外側容器1に装着された全ての内側容器2・2…の中、電磁誘導発熱体3で加熱された内側容器2’に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とした点に特徴がある。
【0012】
また本発明は、外側容器1に抜差し自在に仕切り板13を取り付けることによって複数の収容室11・11…をするという技術的手段を採用することができる。
【0013】
また本発明は、外側容器1の仕切り板13によって形成される収容室11の形態に対応した形状が異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…を備えるという技術的手段を採用することができる。
【0014】
また本発明は、電磁誘導発熱体3に気抜き孔31・31…を設けて、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を前記気抜き孔31・31…から上方に逃がして電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきを防止するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
また本発明は、外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3…を配置すると共に、これらの電磁誘導発熱体3・3…を複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器E或いは複数の電磁調理器E・E…によって加熱するという技術的手段を採用することができる。
【0016】
また本発明は、外側容器1における電磁誘導発熱体3を配置しない収容室11に蓄冷材4を配置して非加熱食品Qが収容された内側容器2を保冷できるようにするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、外側容器に形成した収容室の開空部に内側容器を装着すると共に、外側容器の複数の収容室の内、加熱食品が入った内側容器を挿入する収容室には、予め電磁誘導発熱体を配置して水を注入しておくことにより、喫食する前に外側容器を電磁調理器にかけて電磁誘導発熱体を水中で加熱させれば、発熱した電磁誘導発熱体によって加熱された熱水或いは水蒸気で加熱食品が入った内側容器を間接的に温めることが可能となる。
【0018】
そしてこれにより、煮物や揚げ物などの加熱食品と冷菜やデザートなどの非加熱食品とを同じ弁当容器内に収容しつつ、加熱食品のみを簡単に温めることが可能となるため、加熱食品については温かい状態で、かつ、非加熱食品については冷たい状態のままで美味しく喫食することができる。
【0019】
なお、電磁調理器による電磁誘導発熱体の誘導加熱を停止した後も、水蒸気及び熱水の放熱によって一定時間、加熱食品の温度を保つことができるため、食品の加熱から喫食までに多少時間が空いても温かい状態を保つことができる。
【0020】
また、上記の湯煎加熱法によれば、内側容器の内周面全体から食品に対して100℃近くの加熱を行うことができるため、食品の内部までしっかりと熱を通して加熱殺菌を充分に行うことも可能となる。
【0021】
そしてまた、電磁誘導発熱体と水を外側容器の収容室に入れておけば、加熱時には外側容器を電磁調理器に載せて調理器を作動させるだけでよいため、加熱作業に火傷等の危険が伴うこともなく安全である。
【0022】
他方また、電磁誘導発熱体に使用回数の制限はなく何度でも繰り返して使用することができるため、本発明品を大量の弁当を扱う病院食や学校給食などの調理現場で使用した場合であっても経済面で問題は生じることはない。
【0023】
したがって、本発明により、容器に収容した食品を選択的に加熱保温することが可能となるだけでなく、使用上での安全性や経済性、そして食品衛生面についても改善が図れる実用性に優れた食品容器を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす全体断面図である。
【図3】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例1における内側容器の装着状態を表わす状態説明図である。
【図5】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の加熱状態を表わす状態説明図である。
【図6】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の保温状態を表わす状態説明図である。
【図7】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の他の使用例を表わす全体断面図である。
【図8】本発明の実施例2における食品加熱保温容器を表わす全体上面図である。
【図9】本発明の実施例2における食品加熱保温容器の内部構造を表わす全体上面図である。
【図10】本発明の実施例2における食品加熱保温容器の他の使用例を表わす全体上面図である。
【図11】本発明の変形例における電磁誘導発熱体を表わす全体斜視図である。
【図12】本発明の変形例における食品加熱保温容器の加熱状態を表わす状態説明図である。
【図13】本発明の変形例における食品加熱保温容器を表わす全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
『実施例1』
本発明の実施例1を、図1から図7に基いて以下に説明する。ちなみに同図において、符号1で指示するものは、外側容器であり、符号2で指示するものは、内側容器である。また、符号3で指示するものは、電磁誘導発熱体であり、符号4で指示するものは、蓄冷材である。
【0026】
次に、実施例1の構成を以下から説明する。まず実施例1では、非導電性の材料である木材を使用して、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11を有する外側容器1を作製している(図1、図2参照)。
【0027】
なお実施例1においては、外側容器1内に複数の収容室11・11…を形成するために、適宜な厚さの木板材を用いて作製した仕切り板13を、外側容器1の内壁に設けたガイド溝12に抜差し自在に装着して前記収容室11・11を作出している(図3参照)。
【0028】
また、外側容器1に仕切り板13を入れた後は、複数の窓孔14a・14a…を備える上板14を段縁部15に載置して各収容室11・11に開空部を開口させている。
【0029】
そして、このように形成した外側容器1の各収容室11・11の開空部には、非導電性材料である合成樹脂材料(本実施例では、「ポリプロピレン(PP)」)から作製され、内部に加熱食品P或いは非加熱食品Qが収容された複数の内側容器2・2…を落し込んでテーパ周面21で嵌装させている(図4参照)。
【0030】
なお、内側容器2或いは外側容器1を合成樹脂材料から作製する場合には、耐熱温度が100℃よりも大きい材料を選択する必要があり、できれば耐熱温度が140℃以上の材料を選択するのが望ましい。
【0031】
また上記の内側容器2を嵌装する際、加熱食品Pを収容した内側容器2’に、食品を密閉するためのフィルム蓋22がヒートシールされている場合には、熱膨張による破裂を防止するためにフィルム蓋22を剥がして封を開けておくものとする。
【0032】
また、加熱食品Pが収容された内側容器2’を装着する外側容器1の収容室11には、導電性を有し、かつ、電気抵抗が比較的大きい鉄材料から成る電磁誘導発熱体3を予め配置し、更にその収容室11内には所定量の水を注入しておく。
【0033】
これにより、喫食する前に外側容器1を電磁調理器Eにかけて電磁誘導発熱体3を水中で誘導加熱させれば、電磁誘導発熱体3によって加熱された水Wが高温の熱水や水蒸気となって加熱食品Pを収容した内側容器2’を間接的に加熱することとなるため、加熱食品Pのみを温めることが可能になる(図5参照)。
【0034】
なお、上記加熱時においては、電磁誘導発熱体3の気抜き孔31・31…により、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を上方に逃がすことができるため、電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきが生じることはない。
【0035】
また、電磁調理器Eによる電磁誘導発熱体3の誘導加熱を停止した後は、図6(a)及び(b)に示すように外側容器1の上部に蓋体16を装着しておけば、水蒸気及び熱水の放熱により一定時間、温めた加熱食品Pを保温しておくことができる。
【0036】
そしてまた、加熱食品Pに対しては、熱水や水蒸気により加熱した内側容器2’の内周面から100℃近くの加熱処理を行うことが可能であるため、食品の内部までしっかりと熱を通して充分な加熱殺菌を行うこともできる。
【0037】
他方また、上記加熱時には外側容器1を電磁調理器Eに載せて調理器を作動させるだけでよいため、火傷等の危険はなく、また、電磁誘導発熱体3に使用回数についても制限がないため、何度でも繰り返し使用できる。
【0038】
一方、外側容器1の収容室11に関しては、図7に示すように仕切り板13の数を増やして他のガイド溝12にも装着することによって収容室11の数や形態を変更することができるため、収容室11の形態に対応した形状の異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…を準備しておく。
【0039】
また同図に示すように、外側容器1における非加熱食品Qが収容された内側容器2を挿入する電磁誘導発熱体3が配置されない収容室11に蓄冷材4を配置すれば、非加熱食品Qを保冷することもできる。
【0040】
ちなみに、励磁コイルCが一つだけ内蔵された電磁調理器Eに対して複数の電磁誘導発熱体3・3を配置しても電磁誘導発熱体3が適当に発熱しないことが実際に確認されているため、励磁コイルCを一つ内蔵する一般的な電磁調理器Eを使用する場合には、使用する電磁誘導発熱体3の数を一枚に抑える必要がある。
【0041】
『実施例2』
本発明の実施例2を、図8から図10に基いて以下に説明する。実施例2では、外側容器1に合計9つ(縦横3×3)の窓孔14a・14a…が配置された上板14を使用して収容室11の開空部を設けている(図8参照)。
【0042】
そして、外側容器1の内部には、L型の仕切り板13・13…をガイド溝14・14…に沿って四隅に差し込んだ後、それによって形成された十字状の収容室11に同じく十字状の電磁誘導発熱体3を配置して構成している(図9参照)。
【0043】
これにより、外側容器1の9つの開空部における中心とその上下左右には加熱食品Pが収容された内側容器2’を装着することができ、また4隅の開空部には非加熱食品Qが収容された内側容器2を装着することができる。
【0044】
また、実施例2の外側容器1に関しては、使用する仕切り板13及び電磁誘導発熱体3の形状や配置を変えることによって、内側容器2’を図10(a)に示すようなT字型の配置にしたり、また図10(b)に示すようなH型の配置や図10(c)に示すようなO字型の配置にしたりして、当該内側容器2’に収容された加熱食品Pだけを加熱・保温することも可能である。
【0045】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、外側容器1や内側容器2の材質には、木材料や合成樹脂材料だけでなく非導電性材料であるセラミック材料なども使用することができる。
【0046】
また、電磁誘導発熱体3に関しても、導電性を有しつつ電気抵抗が比較的大きい材料であれば、ステンレス材等であっても同様の効果が得ることができ、また、電磁誘導発熱体3に設ける気抜き孔31に関しても、図10(a)に示すようにスリット状としたり、図10(b)に示すように気抜き孔31の代わりに切欠部32・32…を設けたり、また図10(c)に示すように電磁誘導発熱体3を円錐筒状に形成して頂点部に気抜き孔31を設けたりした場合であっても同様の効果が得られる。
【0047】
また更に、電磁誘導発熱体3として図10(d)に示すような連続気孔を有する発泡金属材を使用する場合には、電磁誘導発熱体3のがたつきだけでなく、突沸現象の問題も同時に解消することが可能である。
【0048】
他方また、図12(a)に示すような複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器Eを使用する場合や図12(b)に示すような複数の電磁調理器E・E…を使用する場合には、外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3を配置することも可能である。
【0049】
また、外側容器1に複数の収容室11・11を形成する構造に関しても、必ずしも仕切り板13を用いる必要はなく、図13に示すように外側容器1に複数の凹部を設けてその凹部を収容室11・11として使用してもよい。
【0050】
また同図にあるように、内側容器2にキャップ蓋23を使用すれば、外側容器1に蓋体16がなくても温めた加熱食品Pを保温することができ、上記何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
近年では、食事を作る時間が確保できない共働きの家庭が増えたことにより既に調理された弁当や惣菜などを買って家で食べる消費者が増えており、そのような消費者からは食品の風味が落ち易い電子レンジ以外の方法で美味しく簡単に弁当等を温められる方法が望まれている。また、学校給食や病院食の調理現場では、合理化によるコスト削減が求められる一方で調理場には多くの人件費が必要となるために、結果的に低価格の品質の落ちる食材を仕入れざるをえない状況が続いている。
【0052】
そのような中で、本発明の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器は、一般家庭において弁当内の加熱食品を適度な温度に簡単に加熱保温することが可能となるだけでなく、加熱殺菌等の衛生面の効果にも優れているため、工場等で製造した調理食品を学校給食や病院食等の弁当に利用することも容易となり、それによって人件費を削減して食材の品質向上を図ることができる有用な技術であることから、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0053】
1 外側容器
11 収容室
12 ガイド溝
13 仕切り板
14 上板
14a 窓孔
15 段縁部
16 蓋体
2 内側容器
21 テーパ周面
22 フィルム蓋
23 キャップ蓋
3 電磁誘導発熱体
31 気抜き孔
32 切欠部
4 蓄冷材
P 加熱食品
Q 非加熱食品
W 水
E 電磁調理器
C 励磁コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加熱保温容器の改良、詳しくは、選択される容器内に収容した一部の食品のみを加熱保温することができ、また食品の加熱殺菌も充分に行うことが可能で、しかも、加熱作業時に火傷等を負う心配もなく、何度でも繰り返し使用することができる電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、弁当などを温める際には電子レンジが用いられることが多いが、電子レンジは、食品中の水分をマイクロ波によって急激に加熱する原理を採用しているため、食品を所定の温度まで加熱したり、一定の温度で保温したりする用途には適してしない。
【0003】
また、上記のような食品の加熱や保温には湯煎による加熱法が好適であると考えられるが、通常の燃焼式のガスコンロを用いて湯煎を行う場合には、直接火にかける外側容器に耐熱性に優れた金属製やセラミック製(陶磁器等)の容器を使用する必要があるため、プラスチック製や木製の容器から成る弁当容器等の保温に応用することは難しい。
【0004】
ところで最近では、ガスコンロよりも熱効率が良く、掃除も簡単で環境にも優しい電磁調理器(IH調理器)の普及も進んでおり、このような電磁調理器を利用した技術として、非導電性の外側容器内に電磁誘導発熱体を配置し、この発熱体を電磁調理器により水中で加熱して食品の湯煎を行う加熱方法が<特許文献1>に開示されている。
【0005】
そして、このような加熱方法を用いれば、プラスチック製等の容器でも使用することができるため、内側容器と外側容器とが二重構造になった弁当容器を作製して、容器に入れた惣菜などを電磁調理器により温めることが可能となるものの、仕切り等を設けた内側容器に食品を収容しただけでは加熱時に収容した食品全てが温まってしまうことから、加熱されると風味が落ちる冷菜やデザート等を収容することができず、実用性に欠けていた。
【0006】
一方、従来においては、<特許文献2>にあるような弁当箱の底部に蓄熱体を配置して一部の食品のみを加熱保温する技術も提案されていたが、電子レンジで加熱した蓄熱体を弁当箱に差し込む作業に火傷の危険が伴う上に、底部のみからの加熱ではどうしても加熱ムラが生じて食品の加熱殺菌を充分に行えないという問題があった。
【0007】
しかも、加熱源として使用する蓄熱体は使用回数に制限があり定期的に買い替える必要があったため、大量の弁当を取り扱う病院食や学校給食などの調理現場では、コスト負担が大きくなって不経済になり易かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−176650号公報(第2−4頁、第1−2図)
【特許文献2】特開2008−18027号公報(第2−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、任意に選択された容器内に収容する食品のみを加熱保温できると共に、食品の加熱殺菌も充分に行うことができ、また加熱作業時における火傷等の危険もなく、しかも、何度でも繰り返し使用ができて経済性にも優れた電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11…を備えた外側容器1と;同じく非導電性材料にて作製され、内部に食品Fを収容可能であって、かつ、前記外側容器1内の選択される収容室11の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器2・2…と;前記外側容器1内の選択される収容室11の底部に配置される電磁誘導発熱体3とを含んで構成し、
前記外側容器1における電磁誘導発熱体3が配置された収容室11に所定量の水Wを注入して前記電磁誘導発熱体3を電磁調理器Eにより誘導加熱したとき、発熱した電磁誘導発熱体3により加熱された熱水或いは水蒸気が当該内装された内側容器2’を間接的に加熱して、外側容器1に装着された全ての内側容器2・2…の中、電磁誘導発熱体3で加熱された内側容器2’に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とした点に特徴がある。
【0012】
また本発明は、外側容器1に抜差し自在に仕切り板13を取り付けることによって複数の収容室11・11…をするという技術的手段を採用することができる。
【0013】
また本発明は、外側容器1の仕切り板13によって形成される収容室11の形態に対応した形状が異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…を備えるという技術的手段を採用することができる。
【0014】
また本発明は、電磁誘導発熱体3に気抜き孔31・31…を設けて、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を前記気抜き孔31・31…から上方に逃がして電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきを防止するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
また本発明は、外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3…を配置すると共に、これらの電磁誘導発熱体3・3…を複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器E或いは複数の電磁調理器E・E…によって加熱するという技術的手段を採用することができる。
【0016】
また本発明は、外側容器1における電磁誘導発熱体3を配置しない収容室11に蓄冷材4を配置して非加熱食品Qが収容された内側容器2を保冷できるようにするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、外側容器に形成した収容室の開空部に内側容器を装着すると共に、外側容器の複数の収容室の内、加熱食品が入った内側容器を挿入する収容室には、予め電磁誘導発熱体を配置して水を注入しておくことにより、喫食する前に外側容器を電磁調理器にかけて電磁誘導発熱体を水中で加熱させれば、発熱した電磁誘導発熱体によって加熱された熱水或いは水蒸気で加熱食品が入った内側容器を間接的に温めることが可能となる。
【0018】
そしてこれにより、煮物や揚げ物などの加熱食品と冷菜やデザートなどの非加熱食品とを同じ弁当容器内に収容しつつ、加熱食品のみを簡単に温めることが可能となるため、加熱食品については温かい状態で、かつ、非加熱食品については冷たい状態のままで美味しく喫食することができる。
【0019】
なお、電磁調理器による電磁誘導発熱体の誘導加熱を停止した後も、水蒸気及び熱水の放熱によって一定時間、加熱食品の温度を保つことができるため、食品の加熱から喫食までに多少時間が空いても温かい状態を保つことができる。
【0020】
また、上記の湯煎加熱法によれば、内側容器の内周面全体から食品に対して100℃近くの加熱を行うことができるため、食品の内部までしっかりと熱を通して加熱殺菌を充分に行うことも可能となる。
【0021】
そしてまた、電磁誘導発熱体と水を外側容器の収容室に入れておけば、加熱時には外側容器を電磁調理器に載せて調理器を作動させるだけでよいため、加熱作業に火傷等の危険が伴うこともなく安全である。
【0022】
他方また、電磁誘導発熱体に使用回数の制限はなく何度でも繰り返して使用することができるため、本発明品を大量の弁当を扱う病院食や学校給食などの調理現場で使用した場合であっても経済面で問題は生じることはない。
【0023】
したがって、本発明により、容器に収容した食品を選択的に加熱保温することが可能となるだけでなく、使用上での安全性や経済性、そして食品衛生面についても改善が図れる実用性に優れた食品容器を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす全体断面図である。
【図3】本発明の実施例1における食品加熱保温容器を表わす分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例1における内側容器の装着状態を表わす状態説明図である。
【図5】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の加熱状態を表わす状態説明図である。
【図6】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の保温状態を表わす状態説明図である。
【図7】本発明の実施例1における食品加熱保温容器の他の使用例を表わす全体断面図である。
【図8】本発明の実施例2における食品加熱保温容器を表わす全体上面図である。
【図9】本発明の実施例2における食品加熱保温容器の内部構造を表わす全体上面図である。
【図10】本発明の実施例2における食品加熱保温容器の他の使用例を表わす全体上面図である。
【図11】本発明の変形例における電磁誘導発熱体を表わす全体斜視図である。
【図12】本発明の変形例における食品加熱保温容器の加熱状態を表わす状態説明図である。
【図13】本発明の変形例における食品加熱保温容器を表わす全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
『実施例1』
本発明の実施例1を、図1から図7に基いて以下に説明する。ちなみに同図において、符号1で指示するものは、外側容器であり、符号2で指示するものは、内側容器である。また、符号3で指示するものは、電磁誘導発熱体であり、符号4で指示するものは、蓄冷材である。
【0026】
次に、実施例1の構成を以下から説明する。まず実施例1では、非導電性の材料である木材を使用して、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11を有する外側容器1を作製している(図1、図2参照)。
【0027】
なお実施例1においては、外側容器1内に複数の収容室11・11…を形成するために、適宜な厚さの木板材を用いて作製した仕切り板13を、外側容器1の内壁に設けたガイド溝12に抜差し自在に装着して前記収容室11・11を作出している(図3参照)。
【0028】
また、外側容器1に仕切り板13を入れた後は、複数の窓孔14a・14a…を備える上板14を段縁部15に載置して各収容室11・11に開空部を開口させている。
【0029】
そして、このように形成した外側容器1の各収容室11・11の開空部には、非導電性材料である合成樹脂材料(本実施例では、「ポリプロピレン(PP)」)から作製され、内部に加熱食品P或いは非加熱食品Qが収容された複数の内側容器2・2…を落し込んでテーパ周面21で嵌装させている(図4参照)。
【0030】
なお、内側容器2或いは外側容器1を合成樹脂材料から作製する場合には、耐熱温度が100℃よりも大きい材料を選択する必要があり、できれば耐熱温度が140℃以上の材料を選択するのが望ましい。
【0031】
また上記の内側容器2を嵌装する際、加熱食品Pを収容した内側容器2’に、食品を密閉するためのフィルム蓋22がヒートシールされている場合には、熱膨張による破裂を防止するためにフィルム蓋22を剥がして封を開けておくものとする。
【0032】
また、加熱食品Pが収容された内側容器2’を装着する外側容器1の収容室11には、導電性を有し、かつ、電気抵抗が比較的大きい鉄材料から成る電磁誘導発熱体3を予め配置し、更にその収容室11内には所定量の水を注入しておく。
【0033】
これにより、喫食する前に外側容器1を電磁調理器Eにかけて電磁誘導発熱体3を水中で誘導加熱させれば、電磁誘導発熱体3によって加熱された水Wが高温の熱水や水蒸気となって加熱食品Pを収容した内側容器2’を間接的に加熱することとなるため、加熱食品Pのみを温めることが可能になる(図5参照)。
【0034】
なお、上記加熱時においては、電磁誘導発熱体3の気抜き孔31・31…により、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を上方に逃がすことができるため、電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきが生じることはない。
【0035】
また、電磁調理器Eによる電磁誘導発熱体3の誘導加熱を停止した後は、図6(a)及び(b)に示すように外側容器1の上部に蓋体16を装着しておけば、水蒸気及び熱水の放熱により一定時間、温めた加熱食品Pを保温しておくことができる。
【0036】
そしてまた、加熱食品Pに対しては、熱水や水蒸気により加熱した内側容器2’の内周面から100℃近くの加熱処理を行うことが可能であるため、食品の内部までしっかりと熱を通して充分な加熱殺菌を行うこともできる。
【0037】
他方また、上記加熱時には外側容器1を電磁調理器Eに載せて調理器を作動させるだけでよいため、火傷等の危険はなく、また、電磁誘導発熱体3に使用回数についても制限がないため、何度でも繰り返し使用できる。
【0038】
一方、外側容器1の収容室11に関しては、図7に示すように仕切り板13の数を増やして他のガイド溝12にも装着することによって収容室11の数や形態を変更することができるため、収容室11の形態に対応した形状の異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…を準備しておく。
【0039】
また同図に示すように、外側容器1における非加熱食品Qが収容された内側容器2を挿入する電磁誘導発熱体3が配置されない収容室11に蓄冷材4を配置すれば、非加熱食品Qを保冷することもできる。
【0040】
ちなみに、励磁コイルCが一つだけ内蔵された電磁調理器Eに対して複数の電磁誘導発熱体3・3を配置しても電磁誘導発熱体3が適当に発熱しないことが実際に確認されているため、励磁コイルCを一つ内蔵する一般的な電磁調理器Eを使用する場合には、使用する電磁誘導発熱体3の数を一枚に抑える必要がある。
【0041】
『実施例2』
本発明の実施例2を、図8から図10に基いて以下に説明する。実施例2では、外側容器1に合計9つ(縦横3×3)の窓孔14a・14a…が配置された上板14を使用して収容室11の開空部を設けている(図8参照)。
【0042】
そして、外側容器1の内部には、L型の仕切り板13・13…をガイド溝14・14…に沿って四隅に差し込んだ後、それによって形成された十字状の収容室11に同じく十字状の電磁誘導発熱体3を配置して構成している(図9参照)。
【0043】
これにより、外側容器1の9つの開空部における中心とその上下左右には加熱食品Pが収容された内側容器2’を装着することができ、また4隅の開空部には非加熱食品Qが収容された内側容器2を装着することができる。
【0044】
また、実施例2の外側容器1に関しては、使用する仕切り板13及び電磁誘導発熱体3の形状や配置を変えることによって、内側容器2’を図10(a)に示すようなT字型の配置にしたり、また図10(b)に示すようなH型の配置や図10(c)に示すようなO字型の配置にしたりして、当該内側容器2’に収容された加熱食品Pだけを加熱・保温することも可能である。
【0045】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、外側容器1や内側容器2の材質には、木材料や合成樹脂材料だけでなく非導電性材料であるセラミック材料なども使用することができる。
【0046】
また、電磁誘導発熱体3に関しても、導電性を有しつつ電気抵抗が比較的大きい材料であれば、ステンレス材等であっても同様の効果が得ることができ、また、電磁誘導発熱体3に設ける気抜き孔31に関しても、図10(a)に示すようにスリット状としたり、図10(b)に示すように気抜き孔31の代わりに切欠部32・32…を設けたり、また図10(c)に示すように電磁誘導発熱体3を円錐筒状に形成して頂点部に気抜き孔31を設けたりした場合であっても同様の効果が得られる。
【0047】
また更に、電磁誘導発熱体3として図10(d)に示すような連続気孔を有する発泡金属材を使用する場合には、電磁誘導発熱体3のがたつきだけでなく、突沸現象の問題も同時に解消することが可能である。
【0048】
他方また、図12(a)に示すような複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器Eを使用する場合や図12(b)に示すような複数の電磁調理器E・E…を使用する場合には、外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3を配置することも可能である。
【0049】
また、外側容器1に複数の収容室11・11を形成する構造に関しても、必ずしも仕切り板13を用いる必要はなく、図13に示すように外側容器1に複数の凹部を設けてその凹部を収容室11・11として使用してもよい。
【0050】
また同図にあるように、内側容器2にキャップ蓋23を使用すれば、外側容器1に蓋体16がなくても温めた加熱食品Pを保温することができ、上記何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
近年では、食事を作る時間が確保できない共働きの家庭が増えたことにより既に調理された弁当や惣菜などを買って家で食べる消費者が増えており、そのような消費者からは食品の風味が落ち易い電子レンジ以外の方法で美味しく簡単に弁当等を温められる方法が望まれている。また、学校給食や病院食の調理現場では、合理化によるコスト削減が求められる一方で調理場には多くの人件費が必要となるために、結果的に低価格の品質の落ちる食材を仕入れざるをえない状況が続いている。
【0052】
そのような中で、本発明の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器は、一般家庭において弁当内の加熱食品を適度な温度に簡単に加熱保温することが可能となるだけでなく、加熱殺菌等の衛生面の効果にも優れているため、工場等で製造した調理食品を学校給食や病院食等の弁当に利用することも容易となり、それによって人件費を削減して食材の品質向上を図ることができる有用な技術であることから、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0053】
1 外側容器
11 収容室
12 ガイド溝
13 仕切り板
14 上板
14a 窓孔
15 段縁部
16 蓋体
2 内側容器
21 テーパ周面
22 フィルム蓋
23 キャップ蓋
3 電磁誘導発熱体
31 気抜き孔
32 切欠部
4 蓄冷材
P 加熱食品
Q 非加熱食品
W 水
E 電磁調理器
C 励磁コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11…を備えた外側容器1と;同じく非導電性材料にて作製され、内部に食品Fを収容可能であって、かつ、前記外側容器1内の選択される収容室11の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器2・2…と;前記外側容器1内の選択される収容室11の底部に配置される電磁誘導発熱体3とを含んで構成され、
前記外側容器1における電磁誘導発熱体3が配置された収容室11に所定量の水Wを注入して前記電磁誘導発熱体3を電磁調理器Eにより誘導加熱したとき、発熱した電磁誘導発熱体3により加熱された熱水或いは水蒸気が当該内装された内側容器2’を間接的に加熱して、外側容器1に装着された全ての内側容器2・2…の中、電磁誘導発熱体3で加熱された内側容器2’に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とすることを特徴とする電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項2】
外側容器1に抜差し自在な仕切り板13を取り付けることにより複数の収容室11・11…を形成可能としたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項3】
外側容器1の仕切り板13によって形成される収容室11の形態に対応した形状が異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…が備えられていることを特徴とする請求項2記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項4】
電磁誘導発熱体3に気抜き孔31・31…を設けて、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を前記気抜き孔31・31…から上方に逃がして電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきを防止可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項5】
外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3…を配置して、これらの電磁誘導発熱体3・3…を複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器E或いは複数の電磁調理器E・E…により加熱可能としたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項6】
外側容器1における電磁誘導発熱体3を配置しない収容室11に蓄冷材4を配置して非加熱食品Qが収容された内側容器2を保冷可能としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項1】
非導電性の材料により作製され、かつ、各室内空間が断熱状態に隔てられた複数の収容室11・11…を備えた外側容器1と;同じく非導電性材料にて作製され、内部に食品Fを収容可能であって、かつ、前記外側容器1内の選択される収容室11の開空部に落し込んで装着される複数の内側容器2・2…と;前記外側容器1内の選択される収容室11の底部に配置される電磁誘導発熱体3とを含んで構成され、
前記外側容器1における電磁誘導発熱体3が配置された収容室11に所定量の水Wを注入して前記電磁誘導発熱体3を電磁調理器Eにより誘導加熱したとき、発熱した電磁誘導発熱体3により加熱された熱水或いは水蒸気が当該内装された内側容器2’を間接的に加熱して、外側容器1に装着された全ての内側容器2・2…の中、電磁誘導発熱体3で加熱された内側容器2’に収容された食品だけを選択的に加熱・保温可能とすることを特徴とする電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項2】
外側容器1に抜差し自在な仕切り板13を取り付けることにより複数の収容室11・11…を形成可能としたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項3】
外側容器1の仕切り板13によって形成される収容室11の形態に対応した形状が異なる複数の電磁誘導発熱体3・3…が備えられていることを特徴とする請求項2記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項4】
電磁誘導発熱体3に気抜き孔31・31…を設けて、発熱した電磁誘導発熱体3の下面近傍の水中から発生する気泡を前記気抜き孔31・31…から上方に逃がして電磁誘導発熱体3の浮き上がりやがたつきを防止可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項5】
外側容器1の収容室11・11…に複数の電磁誘導発熱体3・3…を配置して、これらの電磁誘導発熱体3・3…を複数の励磁コイルC・C…が内蔵された電磁調理器E或いは複数の電磁調理器E・E…により加熱可能としたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【請求項6】
外側容器1における電磁誘導発熱体3を配置しない収容室11に蓄冷材4を配置して非加熱食品Qが収容された内側容器2を保冷可能としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の電磁誘導加熱式の食品加熱保温容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−183933(P2010−183933A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28020(P2009−28020)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(502344318)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(502344318)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]