説明

電話制御装置および緊急地震速報処理方法

【課題】複数の電話制御装置間で緊急地震速報を有効利用可能とする。
【解決手段】電話制御装置10において、地震通知の通知先となる他の電話制御装置20,30を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報14Bを予め記憶部14に記憶しておき、地震速報処理部15Bが、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成し、装置間通信部15Cが、宛先アドレスに対応する他の電話制御装置20,30へ地震通知メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話制御技術に関し、特に緊急地震速報を受信して電話端末から報知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
緊急地震速報は、気象庁において、地震の発生直後に、震源に近い地震計で捉えた観測データを解析して震源や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、これら推定内容を速報として知らせるための情報である。
従来、ボタン電話装置の主装置、PBX、あるいはIP電話サーバなどの電話制御装置では、通信ネットワークを介して地震速報配信システムから緊急地震速報を受信し、電話制御装置に収容されている電話端末で可視表示あるいは可聴表示を行うことにより、地震警報を利用者へ報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−077299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、電話制御装置で地震速報配信システムからの緊急地震速報を受信して、当該電話制御装置に収容している電話端末から報知しているため、例えば同一会社において異なる地域ごとに電話制御装置を設置している場合には、これら電話制御装置ごとに地震速報配信システムに対して個別に、緊急地震速報の配信契約を行う必要がある。このため、地震速報配信システムでの配信サービスが有料の場合には、それぞれの電話制御装置に関する配信契約ごとに費用が発生するという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数の電話制御装置間で緊急地震速報を有効利用できる電話制御装置および緊急地震速報処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、収容している電話端末による通信ネットワークを介した通話を制御するとともに、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報に応じて電話端末で地震警報表示を行う電話制御装置であって、地震通知の通知先となる他の電話制御装置を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を予め記憶する記憶部と、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成する地震速報処理部と、宛先アドレスに対応する他の電話制御装置へ地震通知メッセージを送信する装置間通信部とを備えている。
【0006】
この際、地震速報処理部で、緊急地震速報から抽出した対象地域情報に自装置の設置地域が含まれている場合、電話端末で地震警報表示を行うようにしてもよい。
【0007】
また、地震速報処理部で、地震通知メッセージを生成する際、宛先アドレスに対応する対象地域情報を宛先情報から検索し、得られた1つ以上の対象地域情報に対応する地震情報を緊急地震速報から抽出して地震通知メッセージへ格納するようにしてもよい。
【0008】
また、本発明にかかる緊急地震速報処理方法は、収容している電話端末による通信ネットワークを介した通話を制御する電話制御装置により、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報に応じて電話端末で地震警報表示を行う緊急地震速報処理方法であって、地震通知の通知先となる他の電話制御装置を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を記憶部で予め記憶する記憶ステップと、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成する地震速報処理ステップと、宛先アドレスに対応する他の電話制御装置へ地震通知メッセージを送信する装置間通信ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電話制御装置で受信した緊急地震速報の内容を他の電話制御装置へ地震通知メッセージにより転送することができ、複数の電話制御装置間で緊急地震速報を有効利用できる。これにより、例えば同一会社において異なる地域ごとに電話制御装置を設置している場合でも、いずれか1つ電話制御装置で地震速報配信システムに対して緊急地震速報の配信契約を行えば、当該電話制御装置で受信した緊急地震速報の内容を他の電話制御装置で共有することができる。また、地震速報配信システムでの配信サービスが有料の場合には、それぞれの電話制御装置で個別に配信契約を行う必要がなくなり、配信契約に関する費用を削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
この電話制御装置10は、ボタン電話装置の主装置、PBX、あるいはIP電話サーバなどの制御装置からなり、インターネットなどの通信ネットワーク50に接続して、内線収容する電話端末10Tによる通信ネットワーク50を介した通話を制御するとともに、通信ネットワーク50を介して地震速報配信システム40から受信した緊急地震速報に応じて電話端末10Tで地震警報表示を行う機能を有している。
【0012】
地震速報配信システム40は、サーバなどの情報処理装置からなり、地震観測データから推定した、震源や地震規模、各地での主要動の到達時刻や震度を含む緊急地震速報を、契約者に配信する機能を有している。
電話制御装置20,30は、それぞれ電話端末20T,30Tを収容し、内線収容する電話端末10Tによる通信ネットワーク50を介した通話を制御するとともに、通信ネットワーク50を介して電話制御装置10から受信した地震通知メッセージに応じて電話端末20T,30Tで地震警報表示を行う機能を有している。
【0013】
本実施の形態は、電話制御装置10において、地震通知の通知先となる他の電話制御装置を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を予め記憶しておき、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容を含む地震通知メッセージを生成し、宛先アドレスに対応する他の電話制御装置へ地震通知メッセージを送信する。
【0014】
図1に示すように、電話制御装置10には、主な機能部として、回線インターフェース部(以下、回線I/F部という)11、スイッチ部12、端末インターフェース部(以下、端末I/F部という)13、記憶部14、および制御部15が設けられている。
【0015】
回線I/F部11は、専用の通信回路からなり、制御部15からの指示に基づいて通信ネットワーク50との間でデータ通信を行う機能を有している。
スイッチ部12は、専用のスイッチング回路からなり、回線I/F部11で送受信する音声データのパスと端末I/F部13で送受信する音声データのパスとを、制御部15の制御に基づいて交換接続する機能を有している。
端末I/F部13は、専用の通信回路からなり、制御部15からの指示に基づいて電話端末10Tとの間でデータ通信を行う機能を有している。
【0016】
記憶部14は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、制御部15での処理動作に用いる各種処理情報やプログラム14Pを記憶する機能を有している。
プログラム14Pは、制御部15に読み出されて実行されることにより、各種処理部を実現するプログラムであり、予め外部装置や記録媒体(図示せず)から読み込まれて記憶部14に保存される。
【0017】
記憶部14で記憶される主な処理情報としては、呼制御情報14Aおよび宛先情報14Bがある。呼制御情報14Aは、電話端末10Tの発信、着信、通話などの電話機能に関する制御部15での呼制御に用いる情報からなり、各電話端末10Tの状態や通信ネットワーク50の回線の状態などを示す情報からなる。
図2は、宛先情報の構成例である。宛先情報14Bは、電話制御装置10から地震通知メッセージを送信する相手となる電話制御装置20,30ごとに予め設定された、通信ネットワーク50上で当該電話制御装置に固有のアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の地域情報との組から構成されている。
【0018】
図2の例では、アドレスとしてIPアドレスが用いられ、地域情報として各地域に予め割り当てられた地域コードが用いられている。例えば、電話制御装置10のIPアドレス「aaa.bbb.ccc.1」には地域コードとして「231,241,250,251,270」が対応付けられており、これら地域コードの地域である「埼玉南部,千葉北西部,東京23区,東京多摩東部,神奈川東部」に関する地震情報が緊急地震速報に含まれている場合、これら地域に対応するIPアドレス「aaa.bbb.ccc.1」が検索されて、地震通知メッセージの宛先アドレスとして用いられる。
【0019】
また、電話制御装置30のIPアドレス「aaa.bbb.ccc.3」には地域コードとして「250,251,252,270,275,340」が対応付けられており、これら地域コードの地域である「東京23区,東京多摩東部,東京多摩西部,神奈川東部,神奈川西部,山梨東部」に関する地震情報が緊急地震速報に含まれている場合、これら地域に対応するIPアドレス「aaa.bbb.ccc.3」が検索されて、地震通知メッセージの宛先アドレスとして用いられる。
【0020】
宛先情報14Bについては、電話制御装置10の運用開始時に、各電話制御装置と地域情報との対応関係を設定しておけばよい。なお、地震通知メッセージの送信先となる電話制御装置20,30において、それぞれの電話制御装置20,30と地域情報との対応関係を設定しておき、電話制御装置10の装置間通信部15Cで、通信ネットワーク50を介してこれら電話制御装置20,30との間で装置間通信を行うことにより、電話制御装置20,30に設定されている地域情報との対応関係を取得し、宛先情報14Bへ格納するようにしてもよい。
【0021】
図1の制御部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラム14Pを読み込んで実行することにより、電話制御装置10の処理動作に必要な各種処理部を実現する機能を有している。
制御部15で実現される主な処理部としては、呼制御部15A、地震速報処理部15B、および装置間通信部15Cがある。
【0022】
呼制御部15Aは、回線I/F部11を介して通信ネットワーク50と呼制御メッセージをやり取りするとともに、端末I/F部13を介して電話端末10Tと制御メッセージをやり取りすることにより、電話端末10Tの発信、着信、通話などの電話機能に関する呼制御を行う機能を有している。
【0023】
地震速報処理部15Bは、通信ネットワーク50および回線I/F部11を介して受信した受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出する機能と、当該対象地域情報に自装置の設置地域が含まれている場合には電話端末10Tで地震警報表示を行う機能と、緊急地震速報から抽出した当該対象地域情報に対応するアドレスを記憶部14の宛先情報14Bから検索する機能と、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容を含む地震通知メッセージを生成して機能とを有している。
【0024】
装置間通信部15Cは、回線I/F部11および通信ネットワーク50を介して電話制御装置20,30と接続し、地震速報処理部15Bで生成した地震通知メッセージなどの各種メッセージをやり取りする機能を有している。この際、通信ネットワーク50上に形成されたVPNなどのセキュアな通信パスを用いて、装置間通信を行うようにしてもよい。
【0025】
図1の電話制御装置20,30は、前述した電話制御装置10のうち、地震速報配信システム40からの緊急地震速報を受信して地震通知メッセージを生成し、他の電話制御装置へ送信する機能を持たないものの、その他については電話制御装置10と同様の構成および機能を備えている。
【0026】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3および図4を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の動作について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の地震速報処理を示すフローチャートである。図4は、地震通知メッセージの構成例である。
【0027】
電話制御装置10の制御部15は、回線I/F部11および通信ネットワーク50を介して、地震速報配信システム40から緊急地震速報を受信した場合、図3に示す地震速報処理を開始する。
まず、制御部15は、地震速報処理部15Bにより、受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出する(ステップ100)。図4に示すように、緊急地震速報60には、地震の震源地や規模などの震源に関する震源情報61のほかに、当該地震の影響を受ける対象地域ごとに、観測データから予測した震度や到達時刻などの揺れに関する震度情報62が含まれている。
【0028】
続いて、地震速報処理部15Bは、記憶部14から自装置が設置されている設置地域を読み出し、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に当該設置地域が含まれているか否か確認する(ステップ101)。ここで、対象地域情報内に当該設置地域が含まれている場合(ステップ101:YES)、地震速報処理部15Bは、端末I/F部13を介して制御メッセージを電話端末10Tへ送信して、電話端末10TのLEDやLCDなどの表示装置、あるいはスピーカを制御することにより、可視/可聴出力で地震警報表示を行う(ステップ102)。地震警報表示の具体例としては、電話端末10TのLEDを点滅駆動し、スピーカから警報音を送出し、LCDで震源地や各地の震度に関する情報を表示する。
【0029】
また、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に当該設置地域が含まれていない場合(ステップ101:NO)、電話端末10Tによる地震警報表示は行わない。なお、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に当該設置地域が含まれていない場合、地震警報表示ではなく、地震発生表示を行うようにしてもよい。地震発生表示としては、電話端末10TのLED点滅駆動やスピーカからの警報音出力は行わず、LCDによる震源地や各地の震度に関する情報を表示する。
【0030】
この後、地震速報処理部15Bは、記憶部14の宛先情報14Bを参照して、緊急地震速報から抽出した対象地域情報に対応するアドレスを検索し(ステップ103)、得られた宛先アドレスと、緊急地震速報60の内容、例えば震源情報61や震度情報62を含む地震通知メッセージ70を生成する(ステップ104)。図4の例では、宛先情報14Bから検索されたアドレスが宛先アドレス71として地震通知メッセージ70へ格納され、メッセージ種別72として「地震通知」が地震通知メッセージ70へ格納され、緊急地震速報60の震源情報61や震度情報62が通知内容73として地震通知メッセージ70へ格納されている。
【0031】
装置間通信部15Cは、このようにして地震速報処理部15Bで生成された地震通知メッセージを取得し、回線I/F部11から通信ネットワーク50を介して、当該宛先アドレスに対応する他の電話制御装置20,30へ送信する(ステップ105)。これにより、地震通知メッセージを受信した電話制御装置20,30の地震速報処理部15Bにより、それぞれの電話端末20T,30Tで地震警報表示が行われる。
【0032】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、図5を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の動作例について説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の地震速報動作例を示すシーケンス図である。
この動作例では、宛先情報14Bが前述した図2のように設定されており、アドレス「aaa.bbb.ccc.1」,「aaa.bbb.ccc.2」,「aaa.bbb.ccc.3」が、それぞれ電話制御装置10,20,30に相当しているものとする。
【0033】
図5に示すように、地震発生に応じて、緊急地震速報が地震速報配信システム40から電話制御装置10へ送信された場合(ステップ200)、電話制御装置10の地震速報処理部15Bは、回線I/F部11および通信ネットワーク50を介してその緊急地震速報を受信し、前述した図3の地震速報処理を開始する。
ここで、受信した緊急地震速報に、対象地域情報として「東京23区」が含まれている場合、緊急地震速報の対象地域が電話制御装置10の設置地域に該当するため、電話制御装置10の電話端末10Tにおいて地震警報表示が行われる(ステップ201)。
【0034】
また、受信した緊急地震速報の対象地域情報「東京23区」が、宛先情報14Bのうちアドレス「aaa.bbb.ccc.3」の地域情報に含まれていることから、電話制御装置10において、当該アドレス「aaa.bbb.ccc.3」が宛先アドレスとして選択される(ステップ202)。そして、電話制御装置10において、この宛先アドレスと、緊急地震速報に含まれる震源情報や震度情報とから地震通知メッセージが生成され(ステップ203)、電話制御装置10から通信ネットワーク50へ送信される(ステップ204)。
【0035】
一方、宛先情報14Bのうちアドレス「aaa.bbb.ccc.2」の地域情報には、受信した緊急地震速報の対象地域情報「東京23区」が含まれていないため、当該アドレス「aaa.bbb.ccc.2」は、地震通知メッセージの宛先アドレスとして選択されない。このため、電話制御装置10から電話制御装置20に対して地震通知メッセージは送信されない。
【0036】
これにより、地震通知メッセージが、その宛先アドレスにしたがって通信ネットワーク50を介して電話制御装置30へ転送される。
電話制御装置30では、電話制御装置10から送信された制御メッセージが受信され、当該制御メッセージのメッセージ種別が確認される。この場合、受信した制御メッセージのメッセージ種別が地震通知であり、この地震通知メッセージの対象地域情報に自装置の設置地域が含まれていることから、電話制御装置30に収容している電話端末30Tにより地震警報表示が行われることになる(ステップ205)。
【0037】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、電話制御装置10において、地震通知の通知先となる他の電話制御装置20,30を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を予め記憶しておき、通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成し、宛先アドレスに対応する他の電話制御装置20,30へ地震通知メッセージを送信している。
【0038】
したがって、電話制御装置10で受信した緊急地震速報の内容を他の電話制御装置20,30へ地震通知メッセージにより転送することができ、複数の電話制御装置間で緊急地震速報を有効利用できる。これにより、例えば同一会社において異なる地域ごとに電話制御装置を設置している場合でも、いずれか1つ電話制御装置10で地震速報配信システム40に対して緊急地震速報の配信契約を行えば、当該電話制御装置10で受信した緊急地震速報の内容を他の電話制御装置20,30で共有することができる。また、地震速報配信システム40での配信サービスが有料の場合には、それぞれの電話制御装置で個別に配信契約を行う必要がなくなり、配信契約に関する費用を削減することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態では、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に当該設置地域が含まれている場合には、電話制御装置10の電話端末10Tで地震警報表示を行うようにしたので、利用者は電話端末10Tでの地震警報表示により、揺れが発生する前に避難行動などの対処を行うことが可能となる。さらに、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に当該設置地域が含まれていない場合には、地震警報表示ではなく地震発生表示を行うようにしたので、電話制御装置10の設置地域で揺れ発生が予想されていない場合でも、利用者が他の対象地域での揺れ発生を事前に確認でき、何らかの対処を取ることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態では、緊急地震速報から抽出した対象地域情報内に電話制御装置20,30の地域情報が含まれていない場合、当該電話制御装置20,30へ地震通知メッセージを送信しない例を説明したが、このような場合には、対象地域外の電話制御装置20,30へも、電話制御装置10から地震発生メッセージを送信してもよい。この際、例えば図4の地震通知メッセージ70のメッセージ種別72として「対象外地震通知」を格納することにより、対象地域の電話制御装置へ送信する地震発生メッセージと区別すればよい。したがって、受信した地震通知メッセージ70のメッセージ種別72が「対象外地震通知」の場合、当該電話制御装置20,30の電話端末20T,30Tで上記のような地震発生表示を行うことができ、電話制御装置20,30の設置地域で揺れ発生が予想されていない場合でも、利用者が他の対象地域での揺れ発生を事前に確認でき、何らかの対処を取ることが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態では、地震通知メッセージの送信先となる電話制御装置20,30において、それぞれの電話制御装置20,30と地域情報との対応関係を設定しておき、電話制御装置10の装置間通信部15Cで、通信ネットワーク50を介してこれら電話制御装置20,30との間で装置間通信を行うことにより、電話制御装置20,30に設定されている地域情報との対応関係を取得し、宛先情報14Bへ格納するようにしてもよい。これにより、電話制御装置10での宛先情報14Bの設定に関する作業負担を低減することが可能となる。
【0042】
なお、電話制御装置10の記憶部4に、公衆電話網(固定網)の電話回線に割り振られる市外局番や市外局番からなる局番と、緊急地震速報で用いられる地域情報(地域コード)との対応関係を、局番情報として設定しておき、電話制御装置20,30に収容している公衆電話網の電話回線の電話番号を電話制御装置10に入力することにより、当該電話番号から抽出した市外局番や市外局番からなる局番に対応する地域情報を局番情報から検索し、得られた地域情報を宛先情報14Bへ格納するようにしてもよい。これにより、電話制御装置10での宛先情報14Bの設定に関する作業負担を低減することが可能となる。
【0043】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、電話制御装置10において、受信した緊急地震速報から地震通知メッセージを生成する際、図4に示したように、受信した緊急地震速報60に含まれているすべての対象地域に関する震度情報62を地震通知メッセージ70の通知内容73に格納する場合を例として説明した。
本実施の形態では、受信した緊急地震速報60のうち、地震通知メッセージ70の宛先となる電話制御装置に関連する対象地域に関する震度情報62を選択して、地震通知メッセージ70を生成する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる電話制御装置10は、地震速報処理部15Bの処理内容が異なるものの、他の構成や処理動作については第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態にかかる電話制御装置10は、前述した図3のステップ104において、地震速報処理部15Bで地震通知メッセージ70を生成する際、記憶部14の宛先情報14Bを参照し、ステップ103で選択した宛先アドレスと対応する地域情報を検索する。そして、検索した地域情報に関する震度情報62を、受信した緊急地震速報60から抽出し、これら震度情報62と震源情報61を地震通知メッセージ70の通知内容73へ格納する。
【0045】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、地震通知メッセージを生成する際、宛先アドレスに対応する対象地域情報を宛先情報から検索し、得られた1つ以上の対象地域情報に対応する地震情報を緊急地震速報から抽出して地震通知メッセージへ格納するようにしたので、電話制御装置に関連する地域の地震情報のみを地震通知メッセージで通知することができる。
このため、地震通知メッセージの宛先となる電話制御装置で必要となる重要性の高い地震情報のみを適切に通知することができる。したがって、当該地震通知メッセージに応じた地震警報表示を確認した利用者が、重要性の低い地震情報の過多により混乱するのを回避できる。
【0046】
[実施の形態の拡張]
以上の説明では、図1に示したように、電話制御装置10から地震通知メッセージを送信する宛先として、2つの電話制御装置20,30が存在する場合を例として説明したが、宛先となる電話制御装置の数についてはこれに限定されるものではなく、3以上の電話制御装置を宛先とする場合でも、前述と同様に各実施の形態を適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、各実施の形態では、図1に示したように、電話制御装置10が通話に用いる通信ネットワークと、地震速報配信システム40から電話制御装置10へ緊急地震速報を送信するのに用いる通信ネットワークと、電話制御装置10,20,30の間で装置間通信を行う通信ネットワークとして、すべて通信ネットワーク50を共用する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、上記3つの通信ネットワークのうちのいずれか1つ以上の通信において別個の通信ネットワークを用いてもよい。
【0048】
具体的には、電話制御装置10において電話端末10Tの通話方式としてVoIP通話を利用する場合、通話用ネットワークと緊急地震速報送信用ネットワークとして、インターネットからなる通信ネットワーク50を利用し、装置間通信用ネットワークとして、通信ネットワーク50上に形成されたVPNなどのセキュアな通信パスを用いて、装置間通信を行うようにしてもよい。
【0049】
また、緊急地震速報送信用ネットワークが無線通信網、無線放送網、あるいはケーブルテレビ網などの個別通信網からなる場合には、回線I/F部11とは別個に個別通信網用の通信インターフェース部を電話制御装置10に設け、この通信インターフェース部を介して地震速報配信システム40から緊急地震速報を受信すればよい。
【0050】
また、各実施の形態では、地震速報配信システム40からの緊急地震速報を、回線I/F部11で受信する場合を例として説明したが、緊急地震速報を受信する際に専用受信装置が必要となる場合もある。このような場合には、電話制御装置10の入出力インターフェース部(図示せず)に専用受信装置を接続し、専用受信装置を介して地震速報配信システム40からの緊急地震速報を受信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】宛先情報の構成例である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の地震速報処理を示すフローチャートである。
【図4】地震通知メッセージの構成例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置の地震速報動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0052】
10,20,30…電話制御装置、11…回線I/F部、12…スイッチ部、13…端末I/F部、14…記憶部、14A…呼制御情報、14B…宛先情報、14P…プログラム、15…制御部、15A…呼制御部、15B…地震速報処理部、15C…装置間通信部、10T,20T,30T…電話端末、40…地震速報配信システム、50…通信ネットワーク、60…緊急地震速報、61…震源情報、62…震度情報、70…地震通知メッセージ、71…宛先アドレス、72…メッセージ種別、73…通知内容。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容している電話端末による通信ネットワークを介した通話を制御するとともに、前記通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報に応じて前記電話端末で地震警報表示を行う電話制御装置であって、
地震通知の通知先となる他の電話制御装置を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を予め記憶する記憶部と、
前記通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを前記宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと前記緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成する地震速報処理部と、
前記宛先アドレスに対応する他の電話制御装置へ前記地震通知メッセージを送信する装置間通信部と
を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記地震速報処理部は、
前記緊急地震速報から抽出した対象地域情報に自装置の設置地域が含まれている場合、前記電話端末で地震警報表示を行うことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記地震速報処理部は、前記地震通知メッセージを生成する際、前記宛先アドレスに対応する対象地域情報を前記宛先情報から検索し、得られた1つ以上の対象地域情報に対応する地震情報を前記緊急地震速報から抽出して前記地震通知メッセージへ格納することを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
収容している電話端末による通信ネットワークを介した通話を制御する電話制御装置により、前記通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報に応じて前記電話端末で地震警報表示を行う緊急地震速報処理方法であって、
地震通知の通知先となる他の電話制御装置を示すアドレスと、緊急地震速報で用いられる1つ以上の対象地域情報との組からなる宛先情報を記憶部で予め記憶する記憶ステップと、
前記通信ネットワークを介して受信した緊急地震速報から対象地域情報を抽出して、当該対象地域情報に対応するアドレスを前記宛先情報から検索し、得られた宛先アドレスと前記緊急地震速報の内容とを含む地震通知メッセージを生成する地震速報処理ステップと、
前記宛先アドレスに対応する他の電話制御装置へ前記地震通知メッセージを送信する装置間通信ステップと
を備えることを特徴とする緊急地震速報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−74747(P2010−74747A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242781(P2008−242781)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】