説明

電話機

【課題】 電話機において、部品点数および組立工数を削減する。
【解決手段】 表側ケース2に取り付けられるプリント基板18の中央部には、ブザー19とLED20とが実装されている。半透明の弾性材によって形成された導光体25には、ブザー19に嵌合される嵌合凹部と、LED20が収納される収納凹部と、これらの間に設けられた溝31とが形成されている。裏側ケース5と表側ケース2との互いの開口端5b,2bを接合することにより、プリント基板18の中央部が導光体25を介して裏側ケース5によって表側ケース2側に押圧される。同時に、導光体25の溝31内に規制片38が嵌入され、LED20から発光される光のブザー19側への漏洩が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤルボタンが送受話器に設けられた、いわゆるワンピース型の電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電話機においては、送受話器が本体と別体に設けられたタイプの電話機と比較して、複数枚のプリント基板を実装するスペースがないため、1枚のプリント基板にすべての部品が実装される。特に、プリント基板上にダイヤルボタンや機能ボタンのスイッチ部も実装されていることにより、これらのボタンが押圧操作されるときにプリント基板が撓んだりするとスイッチ部に動作不良が発生するため、プリント基板が撓まないように複数箇所においてねじ止めするようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−152492号公報(段落〔0003〕および図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の電話機においては、ねじだけでプリント基板を固定する構造であるため、ねじの本数が多くなり、部品点数や組立工数が増加するという問題があった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、部品点数および組立工数を削減した電話機を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、一面が開口され両端部のそれぞれに送話部および受話部が設けられこれら送話部と受話部との間にダイヤルボタンが備えられた第1のケースと、一面が開口され前記第1のケースと互いの開口端が接合される第2のケースと、前記第1のケースの開口を覆うように取り付けられLEDが実装されたプリント基板とを備えた電話機において、前記LEDから発光された光を第2のケースの外部に導出するレンズ部を一体に設けた導光体を備え、この導光体を透光性を有する弾性材によって形成し、前記第1および第2のケースが互いの開口端を接合されることにより、前記導光体が前記第2のケースによって前記第1のケース側に押圧され、当該導光体と前記第1のケースとによって前記プリント基板の中央部を挟持するものである。
【0006】
本発明は、前記発明において、前記導光体に前記レンズ部に近接した溝を設け、この溝に嵌入し前記LEDから発光された光の漏洩を規制する規制片を前記第2のケースに設けたものである。
【0007】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記プリント基板にブザーを実装し、このブザーが前記導光体を介して前記第2のケースによって前記プリント基板に押圧される。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記第1のケースに前記プリント基板を取り付けるための弾性係合片を設け、この弾性係合片に嵌合する位置決め部を前記導光体に形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、LEDから発光された光を第2のケースの外部に導出する導光体を利用してプリント基板の中央部を第1のケースとともに挟持することにより、プリント基板を保持するための専用の部材が不要になるため部品点数が削減される。同時にプリント基板の中央部をねじ止めする必要がなくなるから、ねじの本数を削減することができ、組立工数も削減することができる。また、プリント基板の中央部を導光体によって支承することができるため、プリント基板の中央部に実装されるスイッチのON、OFF動作を誤動作なく確実に行うことができ、特に押圧ストロークの相対的に短いタクトスイッチの誤動作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る電話機の正面図、図2は同じく側面図、図3(A)は同じく背面図、同図(B)は上ケースを取り外した状態を示す背面図、図4は同じく分解して示す斜視図、図5は図3におけるV-V 線断面図、図6は図3におけるVI-VI 線断面図である。
【0011】
図4に全体を符号1で示す電話機は、一面に開口部2aを有し両端部のそれぞれに送話部3および受話部4が設けられた第1のケースとしての表側ケース2と、一面に開口部5aを有し表側ケース2と互いの開口端2b,5bが接合される第2のケースとしての裏側ケース5とを備え、これら両ケース2,5とを接合することにより筺体6が形成される。
【0012】
表側ケース2の送話部3と受話部4との間には、図1に示すように第1ないし第4の機能ボタン7ないし10、ダイヤルボタン11および表示部12が設けられている。表側ケース2の開口端2bの中央部には、図4に示すように係合孔14aを有する一対の係合片14,14が互いに対向するように立設されている。15は表側ケース2の受話部4側の端部に立設された支承部であって、断面がV字状に形成された係合溝15aが設けられている。16はプリント基板18を表側ケース2に取り付けるための弾性係合片であって、表側ケース2の底部から立設され先端部に爪部が形成されている。表側ケース2の底部には、図5に示すようにプリント基板18を載置する載置リブ17が一体に立設されている。
【0013】
プリント基板18は、表側ケース2の開口部2aの略全体を覆うように細長い長方形に形成されており、一端部には2個のねじ挿通孔18a,18aが設けられ、両側部には弾性係合片16が係入される複数の切欠き18bが設けられており、中央部には円柱状のブザー19とLED20とが実装されている。また、プリント基板18のブザー19が実装された面と反対の面上には、上述した第1ないし第4の機能ボタン7ないし10、ダイヤルボタン11を押圧操作することによって動作するスイッチが実装されており、このうち、プリント基板18の中央部で後述する導光体25によって支承される部位には、第3の機能ボタン9によって動作されるタクトスイッチ(いずれも図示せず)が実装されている。プリント基板18の他端部には、アンテナ21が支持金具22を介してねじ23によって取り付けられており、プリント基板18はこのねじ23によって表側ケース2に共締めされている。
【0014】
25は乳白色の弾性材によって扁平な略直方体に形成された導光体であって、全体が半透明の透光材によって形成されており、右端部にはブザー19が嵌合する嵌合凹部26(図5参照)が設けられており、この嵌合凹部26の上面には音孔26aが形成されている。また、この導光体25の左端部には、凸部27a,27bが下方に突設されている。このうち、凸部27aには、図6に示すようにLED20を収容する収容凹部28が設けられており、凸部27bには、弾性係合片16が嵌合する位置決め部としての嵌合凹部29が設けられている。
【0015】
導光体25の上面には、図2および図6に示すように、収容凹部28に対応してLED20から発光された光を後述する透孔37から裏側ケース5の外部に導出するレンズ部30が一体に突設されている。31はレンズ部30と嵌合凹部26との間を遮断するように導光体25の上部に設けられた溝であって、裏側ケース5の後述する規制片38が嵌入される。
【0016】
裏側ケース5には、図4に示すように電池蓋35が着脱自在に取り付けられており、導光体25の音孔26aに対応して音孔36が設けられ、導光体25のレンズ部30に対応して透孔37が設けられている。また、裏側ケース5の裏面には、図5に示すように導光体25の溝31に嵌入する規制片38と、導光体25の上面を押圧する複数の押圧リブ39とが突設されている。
【0017】
次に、図3ないし図6を用いて、このように構成された電話機の組立方法について説明する。先ず、ブザー19やLED20が実装されたプリント基板18を、図4に示すように表側ケース2の開口部2aから表側ケース2内に挿入する。弾性係合片16を弾性変形させながら、弾性係合片16の爪をプリント基板18の切欠き18bの縁部に係合させることにより、プリント基板18を載置リブ17上に載置した状態で、表側ケース2に仮止めする。次いで、アンテナ21をプリント基板18に取り付けるためのねじ23を表側ケース2に立設したスタッド(図示せず)に螺合させることにより、アンテナ21と共にプリント基板18を表側ケース2に共締めする。
【0018】
次に、表側ケース2の上方から導光体25の嵌合凹部26をブザー19に嵌合させ、嵌合凹部29を弾性係合片16に嵌合させることにより、導光体25をプリント基板18上に載置する。この状態で、導光体25の凸部27a,27bの下面が、図5および図6に示すようにプリント基板18の上面に当接する。次いで、裏側ケース5に設けた係合部(図示せず)を表側ケース2の支承部15の係合溝15aに係合させ、支承部15を回動中心として図4中反時計方向に回動させる。裏側ケース5の開口部5aと表側ケース2の開口部2aとを互いに閉じることにより、裏側ケース5の開口端5bに設けた係合突起(図示せず)が表側ケース2の係合部14の係合孔14aに係合し、裏側ケース5と表側ケース2との互いの開口端5b,2bとが接合され、筺体6が形成される。
【0019】
次いで、電池蓋35を裏側ケース5から取り外し、ねじ40,40(図3(B)参照)をプリント基板18のねじ挿通孔18a,18aに挿通させ、表側ケース2に立設したスタッド(図示せず)に螺合させることにより、プリント基板18が表側ケース2に取り付けられる。電池収納部(図示せず)に電池を収納し、電池蓋35をアッパケース5に取り付ける。
【0020】
この状態で、裏側ケース5の押圧リブ39の先端が、図5に示すように導光体25の上面に当接し、導光体25を図中下方に押圧するとともに、導光体25の凸部27a,27bがプリント基板18を下方に押圧する。したがって、導光体25の弾性によって、プリント基板18は、凸部27a,27bおよびブザー19と表側ケース2の載置リブ17とによって挟持される。
【0021】
このように、プリント基板18は、中央部が導光体25によって表側ケース2の載置リブ17側に押圧され、導光体25の凸部27a,27bおよびブザー19と載置リブ17とによって挟持されるため、プリント基板18は両端部を締め付ける3本のねじ23,40,40によって表側ケース2に取り付けられる。したがって、従来8本必要とされていたねじの本数を3本までに削減することができ、組立工数も削減することができる。また、LED20から発光された光を裏側ケース5の外部に導出する導光体25を利用してプリント基板18の中央部を表側ケース2とともに挟持するようにしたことにより、プリント基板18を挟持するための専用の部材が不要になるため部品点数が削減される。
【0022】
また、プリント基板18を表側ケース2に取り付けるための弾性係合片16を導光体25の位置決め部材としても兼用したことにより、位置決め部材を新たに設ける必要がなくなるから、その位置決め部材によってプリント基板18における部品を実装するためのスペースを狭めるようなことがない。また、導光体25の溝31内に規制片38を嵌入させたことにより、LED20から発光される光がブザー19側に漏洩するのを規制することができるため、LED20から発光される光をレンズ部30に効率よく導光することができる。さらに、プリント基板18の中央部の裏面が導光体25によって支承されるため、プリント基板18の中央部に実装される押圧ストロークが相対的に短いタクトスイッチのON、OFF動作を第3の機能ボタン9によって誤動作なく確実に行うことができる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、導光体25によってブザー19を押圧するようにしたが、例えばマイクロホンでもよく、要は導光体25によってプリント基板18の中央部に実装される部品を押圧するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電話機の正面図である。
【図2】本発明に係る電話機の側面図である。
【図3】同図(A)は本発明に係る電話機の背面図、同図(B)は上ケースを取り外した状態を示す背面図である。
【図4】本発明に係る電話機を分解して示す斜視図である。
【図5】図3におけるV-V 線断面図である。
【図6】図3におけるVI-VI 線断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…電話機、2…表側ケース(第1のケース)、3…送話部、4…受話部、5…裏側ケース(第2のケース)、6…筺体、11…ダイヤルボタン、16…弾性係合片、18…プリント基板、19…ブザー、20…LED、25…導光体、26…嵌合凹部、28…収容凹部、29…嵌合凹部、30…レンズ部、31…溝、38…規制片、39…押圧リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開口され両端部のそれぞれに送話部および受話部が設けられこれら送話部と受話部との間にダイヤルボタンが備えられた第1のケースと、一面が開口され前記第1のケースと互いの開口端が接合される第2のケースと、前記第1のケースの開口を覆うように取り付けられLEDが実装されたプリント基板とを備えた電話機において、
前記LEDから発光された光を第2のケースの外部に導出するレンズ部を一体に設けた導光体を備え、この導光体を透光性を有する弾性材によって形成し、前記第1および第2のケースが互いの開口端を接合されることにより、前記導光体が前記第2のケースによって前記第1のケース側に押圧され、当該導光体と前記第1のケースとによって前記プリント基板の中央部を挟持することを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記導光体に前記レンズ部に近接した溝を設け、この溝に嵌入し前記LEDから発光された光の漏洩を規制する規制片を前記第2のケースに設けたことを特徴とする請求項1記載の電話機。
【請求項3】
前記プリント基板にブザーを実装し、このブザーが前記導光体を介して前記第2のケースによって前記プリント基板に押圧されることを特徴とする請求項1または2記載の電話機。
【請求項4】
前記第1のケースに前記プリント基板を取り付けるための弾性係合片を設け、この弾性係合片に嵌合する位置決め部を前記導光体に形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−109682(P2010−109682A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279556(P2008−279556)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】