説明

電話装置、電話転送方法、及び電話転送プログラム

【課題】発呼端末の登録名称が被呼端末に登録されていない場合でも、発呼端末の登録名称を被呼端末のユーザに通知し、誰からの電話であるかをユーザに容易に把握させることができる電話装置、電話転送方法、及び電話転送プログラムを提供する。
【解決手段】電話機は複数の子機端末に接続されており、受信した着信呼を子機端末に転送することができる。電話機は、発呼端末の電話番号情報及び着信呼を発呼端末から受信すると、親機電話帳テーブルから、受信した電話番号情報に対応する対応登録名称を取得する(S34)。被呼端末となる子機端末に着信呼を転送して、発呼端末と子機端末との間の通話を可能とする際に、取得した対応登録名称を子機端末に送信する(S39,S42)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発呼端末の電話番号情報、及び発呼端末からの着信呼を受信して、被呼端末に着信呼を転送する電話装置、電話転送方法、及び電話転送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの留守中に発呼端末から電話がかかってきた場合に、メッセージの録音の有無と、発呼端末の登録名称とを、ユーザが携帯している被呼端末に通知する電話装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電話装置によると、発呼端末の電話番号に対応する登録名称(例えば、発呼端末のユーザ名、部署名等)が被呼端末に登録されていなくても、被呼端末のユーザは、電話装置に誰から電話がかかってきたのかを容易に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−261673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電話装置によると、被呼端末のユーザは、親機である電話装置へかかってきた電話が切れた後に、誰から着信があったのかを判断できるのみであった。すなわち、電話装置が被呼端末に電話を転送し、被呼端末と発呼端末との間で直接通話を実行させる場合には、電話装置が登録している発呼端末の登録名称を被呼端末のユーザに認識させることはできなかった。従って、発呼端末の登録名称が被呼端末に登録されていない場合には、被呼端末のユーザは、誰からの電話であるかを短時間で把握することは困難であった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、発呼端末の登録名称が被呼端末に登録されていない場合でも、発呼端末の登録名称を被呼端末のユーザに通知し、誰からの電話であるかをユーザに容易に把握させることができる電話装置、電話転送方法、及び電話転送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の電話装置は、発呼端末の電話番号情報と共に前記発呼端末からの着信呼を受信し、被呼端末に転送して、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を実行させる電話装置であって、前記発呼端末の登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶する主記憶手段から、受信した電話番号情報に対応する登録名称である対応登録名称を取得する取得手段と、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を可能とするために前記着信呼を前記被呼端末に転送する転送手段と、前記転送手段が前記着信呼を転送する場合に、前記取得手段が取得した前記対応登録名称を前記被呼端末に送信する第一送信手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の電話装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶し、且つ前記被呼端末に接続される副記憶手段の前記対応登録名称を、前記主記憶手段に記憶されている前記対応登録名称よりも優先して出力させるか否かを示す優先情報を取得する優先情報取得手段と、前記優先情報取得手段によって取得された優先情報が優先させている対応登録名称を、前記被呼端末に出力させる出力制御手段とを備えている。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の電話装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記優先情報取得手段によって取得される前記優先情報は前記被呼端末毎に設定され、前記出力制御手段は、前記転送手段が同一の前記着信呼を複数の前記被呼端末に転送する場合、前記被呼端末毎に設定された前記優先情報に応じて、前記被呼端末毎に前記対応登録名称の出力を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の電話装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記主記憶手段に記憶された前記対応登録名称の前記被呼端末への出力を許可するか否かを示す許可情報を取得する許可情報取得手段と、前記許可情報取得手段によって取得された許可情報が、前記対応登録名称の出力を許可しないことを示す許可情報である場合に、前記第一送信手段による前記被呼端末への前記対応登録名称の送信を禁止する禁止手段とを備えている。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の電話装置は、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記許可情報取得手段によって取得される前記許可情報は、出力を許可するか否かを前記被呼端末毎に示し、前記禁止手段は、前記転送手段が同一の前記着信呼を複数の前記被呼端末に転送する場合、前記許可情報取得手段によって取得された前記許可情報に応じて、前記対応登録名称の送信を禁止するか否かを前記被呼端末毎に制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の電話装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記発呼端末から受信した電話番号情報に対応する前記対応登録名称が、前記取得手段によって前記主記憶手段の前記登録名称から取得されなかった場合、前記受信した電話番号情報を前記被呼端末に送信する第二送信手段を備えている。
【0012】
また、本発明の請求項7に記載の電話転送方法は、発呼端末の電話番号情報と共に前記発呼端末からの着信呼を受信し、被呼端末に転送して、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を実行させる電話転送方法であって、前記発呼端末の登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶する主記憶手段から、受信した電話番号情報に対応する登録名称である対応登録名称を取得する取得ステップと、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を可能とするために前記着信呼を前記被呼端末に転送する転送ステップと、前記転送ステップによって前記着信呼が転送される場合に、前記取得ステップによって取得された前記対応登録名称を前記被呼端末に送信する第一送信ステップとを備えている。
【0013】
また、本発明の請求項8に記載の電話転送プログラムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の電話装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の電話装置は、電話番号情報及び着信呼を発呼端末から受信すると、受信した電話番号情報に対応する発呼端末の登録名称を主記憶手段から取得する。そして、着信呼を被呼端末に転送して、発呼端末と被呼端末との間で通話を可能とする場合に、取得した対応登録名称を被呼端末に送信することができる。従って、発呼端末の登録名称が被呼端末に記憶されていなくても、被呼端末のユーザは、どの発呼端末からの着信であるかを、発呼端末の登録名称に基づいて容易に認識することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の電話装置によると、請求項1に記載の発明の効果に加え、ユーザは、電話装置に取得させる優先情報を適宜設定することで、電話装置側の主記憶手段に記憶された対応登録名称、及び被呼端末側の副記憶手段に記憶された対応登録名称のいずれを優先させるかを選択することができる。よって、同じ電話番号情報に対して、電話装置側と被呼端末側とで異なる登録名称が設定されている場合に、ユーザは、所望する登録名称に基づいて、電話をかけてきた相手を認識することができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の電話装置によると、請求項2に記載の発明の効果に加え、ユーザは、電話装置側の主記憶手段に記憶された対応登録名称、及び被呼端末側の副記憶手段に記憶された対応登録名称のいずれを優先させるかを、被呼端末毎に設定することができる。よって、電話装置は、同一の着信呼を複数の被呼端末に転送する場合であっても、ユーザが所望する登録名称を、被呼端末に応じて適切に出力することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の電話装置は、対応登録名称の出力を許可しないことを示す許可情報が取得された場合、被呼端末への対応登録名称の出力を禁止する。従って、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、ユーザは、許可情報を適宜設定することで、電話装置側の主記憶手段に記憶された登録名称を開示するか否かを自由に設定することができる。よって、例えば対応登録名称中に機密性の高い情報が含まれている場合等でも、機密性を保護することができる。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載の電話装置は、複数の被呼端末に同一の着信呼を転送する場合、登録名称を出力するか否かを被呼端末毎に示す許可情報に応じて、対応登録名称の送信を禁止するか否かを被呼端末毎に制御する。従って、請求項4に記載の発明の効果に加え、ユーザは、許可情報を適宜設定することで、電話装置側の主記憶手段に記憶された対応登録名称を、特定の被呼端末にのみ出力させることができる。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載の電話装置は、発呼端末から受信した電話番号情報に対応する対応登録名称が、親機側の主記憶手段に記憶されていない場合、受信した電話番号情報を被呼端末に送信する。従って、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、電話装置は、対応登録名称が主記憶手段に記憶されていない場合でも、発呼端末を特定するための電話番号を被呼端末のユーザに通知することができる。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載の電話転送方法によると、着信呼と共に発呼端末から送信された電話番号情報に対応する発呼端末の登録名称が、主記憶手段から取得される。そして、着信呼が被呼端末に転送されて、発呼端末と被呼端末との間で通話が可能とされる場合に、取得された対応登録名称が被呼端末に送信される。従って、発呼端末の登録名称が被呼端末に記憶されていなくても、被呼端末のユーザは、どの発呼端末からの着信であるかを、発呼端末の登録名称に基づいて容易に認識することができる。
【0021】
また、本発明の請求項8に記載の電話転送プログラムは、コンピュータに実行させることにより、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電話転送システム100のシステム構成を示す模式図である。
【図2】電話機1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】記憶装置14の構成を示す模式図である。
【図4】記憶装置14が記憶する親機電話帳テーブルを示す模式図である。
【図5】記憶装置14が記憶する転送モードテーブルを示す模式図である。
【図6】記憶装置14が記憶する内線番号テーブルを示す模式図である。
【図7】記憶装置14が記憶する開示設定テーブルを示す模式図である。
【図8】通信機器3の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】記憶装置34が記憶する子機電話帳テーブルを示す模式図である。
【図10】電話機1が行う転送処理のフローチャートである。
【図11】転送処理中に実行される選択転送処理のフローチャートである。
【図12】転送処理中に実行される自動転送処理のフローチャートである。
【図13】通信機器3が行う着信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の電話装置を具現化した一実施の形態である電話機1を含む電話転送システム100について、図面を参照して説明する。尚、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0024】
まず、図1を参照して、本発明に係る電話転送システム100のシステム構成について説明する。図1に示すように、電話転送システム100は、親機として機能する電話機1と、子機端末(通信機器3及びパーソナルコンピュータ5)とを備えている。
【0025】
電話機1は、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network、以下「PSTN網」という。)7、及びインターネット網8に接続されており、PSTN網7及びインターネット網8を介して通信を行うことができる。電話機1は、接続している子機端末のいずれかと、システム外の端末との間でデータの転送処理を行い、両端末間で通話を実行させる。また、電話機1は、システム内の端末同士で通話を実行させることもできる。
【0026】
例えば、システム外の端末(以下、「発呼端末」という。)のユーザが、電話機1の電話番号を発呼端末に入力すると、電話機1は、PSTN網7を介して発呼端末からの着信呼を受信する。着信呼を受信した電話機1は、被呼端末となる子機端末のいずれかに、インターネット網8を介して着信呼を転送する。着信呼を転送された子機端末のユーザが、通話許可の指示を子機端末に入力すると、電話機1は、PSTN網7及びインターネット網8を介して、子機端末と発呼端末との間の通話データの通信を開始させる。
【0027】
通信機器3及びパーソナルコンピュータ5は、インターネット網8に接続される通話端末であり、親機である電話機1の子機端末として使用される。インターネット網8への接続方法は特に限定はされず、有線ケーブルによって接続されてもよいし、無線電波によってアクセスポイント(図示外)と通信を行うことで接続されてもよい。通信機器3及びパーソナルコンピュータ5は、インターネット網8を介して、電話機1及びシステム外の端末との間で通話データ等の通信を行うことができる。通信機器3としては、周知の携帯電話及びPHS等を使用できる。また、子機端末として使用できる機器は通信機器3及びパーソナルコンピュータ5に限られず、所定箇所に固定された状態で使用されるインターホン等を用いることも可能である。
【0028】
尚、電話転送システム100では、電話機1と、子機端末である通信機器3及びパーソナルコンピュータ5との間の接続が、インターネット網8を介して行われている。しかし、インターネット網8に代えて、PSTN網及び無線内線網等の他の通信網を用いてもよい。また、システム外の端末と電話機1との間を接続する通信網についても同様に、PSTN網7以外の他の通信網を用いてもよい。
【0029】
次に、電話機1から子機端末への着信呼の転送方法について、概略的に説明する。電話機1は、システム外の発呼端末から着信呼を受信すると、発呼端末の電話番号を示す情報(以下、「電話番号情報」という。)を取得する。電話機1の記憶装置14には、発呼端末の名称が電話番号情報に対応付けられて登録されている。電話機1は、電話番号情報を取得すると、記憶装置14が記憶している1又は複数の登録名称から、取得した電話番号情報に対応する登録名称(以下、「対応登録名称」という。)を検索する。対応登録名称が記憶されていれば、着信呼を子機端末へ転送する際に、あらかじめユーザが行っている設定に応じて、対応登録名称の情報を子機端末へ送信する。従って、電話転送システム100によれば、発呼端末の登録名称が子機端末に記憶されていなくても、子機端末のユーザは、どの発呼端末からの着信であるかを登録名称によって容易に認識することができる。また、ユーザは、電話機1に記憶されている登録名称を子機端末のユーザに通知するか否かを、子機端末毎に自由に設定することができる。また、ユーザは、電話機1が記憶している登録名称の各子機端末への通知態様を自由に設定できるため、電話転送システム100はユーザに様々な効果をもたらす。これらの詳細についてはフローチャート用いて後述する。
【0030】
次に、図2乃至図7を参照して、電話機1の電気的構成、及び記憶装置14に記憶されるテーブル等のデータについて説明する。図2に示すように、電話機1は、電話機1の制御を司るCPU11を備えている。CPU11には、ROM12、RAM13、記憶装置14、入出力部16、FXO/FXS22、及びイーサネット(登録商標)インタフェース(I/F)23がバス25を介して接続されている。
【0031】
ROM12は、電話機1を動作させるためのプログラム及び初期値等を記憶している。RAM13は、各種のデータを一時的に記憶する。記憶装置14は、後述する各種テーブル等のデータを記憶する不揮発性のメモリであり、記憶装置14としてはHDD及びメモリカード等を用いればよい。入出力部16は、操作部17、マイク18、スピーカ19、及び表示部20に接続しており、これらの機器のCPU11による制御を可能としている。操作部17はユーザからの指示を入力し、マイク18は音声を入力する。スピーカ19は音声を出力し、表示部20は画像を表示する。
【0032】
FXO/FXS22は、電話機1をPSTN網7に接続してデータの送受信を実行させるためのアナログ電話回線用インタフェース(Foreign Exchange Office/Foreign Exchange Station)である。イーサネット(登録商標)I/F23はLANポート(図示外)に接続されており、LANポートはインターネット網8に接続されている。
【0033】
図3に示すように、電話機1の記憶装置14には、親機電話帳テーブル記憶エリア141、転送モードテーブル記憶エリア142、内線番号テーブル記憶エリア143、及び開示設定テーブル記憶エリア144等の記憶エリアが設けられている。以下、記憶装置14が記憶する各種テーブルについて詳述する。
【0034】
親機電話帳テーブル記憶エリア141には、図4に示す親機電話帳テーブルが記憶されている。親機電話帳テーブルでは、各端末の登録名称が端末の電話番号に対応付けられている。詳細には、親機電話帳テーブルで管理されている情報には、「電話ID」、「電話番号」、及び「登録名称」がある。電話IDは、端末を特定するために各端末に付されるIDであり、「電話番号」は各端末の電話番号である。「登録名称」は、各端末のユーザ、設置場所、設置部署等を容易に把握するために、ユーザがあらかじめ各端末に登録した名称である。電話機1は、発呼端末の電話番号に対応する登録名称である対応登録名称を検索し、対応登録名称が登録されていれば、ユーザの設定に応じて対応登録名称を子機端末に送信する。
【0035】
登録名称の登録は、ユーザが電話番号を特定して登録名称を入力することで行われる。ユーザは、電話機1の操作部17を操作して登録名称の登録を行うことができる。また、子機端末である通信機器3及びパーソナルコンピュータ5を操作し、電話機1へ情報を送信することで登録を行うこともできる。さらに、メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体を記憶装置14として用いている場合には、あらかじめ親機電話帳テーブルを記憶させた記憶装置14を電話機1に取り付けて使用してもよい。
【0036】
転送モードテーブル記憶エリア142には、図5に示す転送モードテーブルが記憶されている。電話転送システム100における転送モードには、自動転送モード(モードID「T001」)、及び選択転送モード(モードID「T002」)の2つのモードがある。自動転送モードとは、電話機1が発呼端末から着信呼を受信した場合に、電話機1にインターネット網8を介して接続されている全ての子機端末に着信呼を転送するモードである。選択転送モードとは、発呼端末のユーザに、通話を希望する相手方の子機端末を選択させるモードである。選択転送モードでは、電話機1が発呼端末から着信呼を受信すると、内線番号の指定を促す音声の情報をIVR(音声自動応答装置)によって発呼端末に送信する。電話機1は、指定された内線番号の子機端末に着信呼を転送し、通話を実行させる。
【0037】
電話転送システム100のユーザは、自動転送モード及び選択転送モードのいずれかをあらかじめ設定する。転送モードの設定については、電話機1の操作部17を操作することで行うこともでき、子機端末である通信機器3及びパーソナルコンピュータ5から電話機1に情報を送信することで行うこともできる。ユーザが選択モードの設定を行うと、電話機1は、設定された選択モードの「転送フラグ」を「1(有効)」とし、設定されなかった選択モードの「転送フラグ」を「0(無効)」とする。電話機1は、着信呼を受信すると転送フラグを参照し、設定されている転送モードに応じて着信呼の転送処理を行う。
【0038】
内線番号テーブル記憶エリア143には、図6に示す内線番号テーブルが記憶されている。内線番号テーブルでは、子機端末を特定する「内線ID」に、子機端末の「内線番号」と「優先フラグ」とが対応付けられている。電話機1は、内線番号テーブルによって子機端末のそれぞれを特定し、各子機端末での登録名称の出力を制御する。
【0039】
ここで、優先フラグについて説明する。電話転送システム100では、端末の登録名称を電話機1及び各子機端末の双方で記憶することができる。これにより、子機端末で登録名称が登録されていない場合でも、電話機1で登録されている登録名称を子機端末のユーザに通知することができる。さらに、同一の端末に対し、電話機1と子機端末とで異なる登録名称が登録されている場合もある。この場合、ユーザは、電話機1側の登録名称、及び子機端末側の登録名称のいずれを優先して子機端末で出力させるかを設定することができる。これにより、各子機端末のユーザは、所望する登録名称に基づいて発呼端末を特定することができる。
【0040】
内線番号テーブルの優先フラグは、親機である電話機1、及び子機端末のいずれの登録名称を優先して子機端末で出力させるかを子機端末毎に示すフラグである。優先フラグの値は、子機端末側の登録名称を優先する場合には「1」、電話機1側の登録名称を優先させる場合には「0」となっている。優先フラグの設定についても、電話機1の操作部17を操作することで行うこともでき、子機端末である通信機器3及びパーソナルコンピュータ5から電話機1に情報を送信することで行うこともできる。
【0041】
開示設定テーブル記憶エリア144には、図7に示す開示設定テーブルが記憶されている。開示設定テーブルは、発呼端末の登録名称を子機端末のユーザに開示するか否かを、着信呼を転送する子機端末毎に制御するために用いられる。開示設定テーブルでは、登録名称の開示を許可する子機端末の内線ID(以下、「開示許可内線ID」という。)が、端末を特定する電話IDに対応付けて記憶されている。
【0042】
電話機1は、発呼端末からの着信呼を子機端末に転送する場合、発呼端末の電話IDに対応する開示許可内線IDを開示設定テーブルから取得する。電話機1は、取得された開示許可内線IDが示す子機端末にのみ登録名称を送信し、開示許可内線IDが取得されなかった子機端末には送信しない。従って、電話転送システム100のユーザは、開示設定テーブルの開示許可内線IDの登録及び削除を行うことで、登録名称を開示するか否かを自由に設定することができる。よって、例えば登録名称中に機密性の高い情報が含まれている場合でも、機密性を保護することができる。開示設定テーブルの開示許可内線IDの登録及び削除については、電話機1の操作部17を操作することで行うことができる。また、子機端末である通信機器3及びパーソナルコンピュータ5から電話機1に情報を送信することで、登録及び削除行うこともできる。開示許可内線IDの登録及び削除を行うためのパスワード等を設定し、特定のユーザにのみ登録及び削除を許可すれば、機密性を確実に保護することができる。
【0043】
次に、図8及び図9を参照して、通信機器3の電気的構成、及び記憶装置34に記憶される子機電話帳テーブルについて説明する。尚、パーソナルコンピュータ5の電気的構成のうち、本実施の形態を説明するために必要な構成については、通信機器3の電気的構成と同じである。よって、パーソナルコンピュータ5の電気的構成の説明は省略する。
【0044】
図8に示すように、通信機器3は、機器全体の制御を司るCPU31を備えている。CPU31には、ROM32、RAM33、記憶装置34、入出力部36、FXO/FXS42、及び無線通信モジュール43がバス45を介して接続されている。
【0045】
ROM32は、通信機器3を動作させるためのプログラム及び初期値等を記憶している。RAM33は、各種のデータを一時的に記憶する。記憶装置34は不揮発性のメモリであり、EEPROM、メモリカード等のいずれかを用いればよい。入出力部36は、操作部37、マイク38、スピーカ39、及び表示部40に接続しており、これらの機器のCPU31による制御を可能としている。操作部37はユーザからの指示を入力し、マイク38は音声を入力する。スピーカ39は音声を出力し、表示部40は画像を表示する。
【0046】
FXO/FXS42は、通信機器3をPSTN網7に接続するために用いられるインタフェースであり、電話機1を介さずにシステム外の端末との間で通話が行われる場合に必要となる。無線通信モジュール43は、WLAN(Wireless Local Area Network)通信手段によって通信機器3をインターネット網8に接続する。
【0047】
図9に示すように、記憶装置34の子機電話帳テーブル記憶エリア341には、子機電話帳テーブルが記憶されている。子機電話帳テーブルでは、親機電話帳テーブル(図4参照)と同様に、各端末の登録名称が端末の電話番号に対応付けられている。しかし、登録されている内容は、親機電話帳テーブルの登録内容と同じとは限らない。例えば、図4に示す親機電話帳テーブルでは、電話ID「D001」の端末に登録されている登録名称は、端末のユーザの氏名である「山田太郎」である。一方、図9に示す子機電話帳テーブルでは、同一の端末に対して、「山田太郎」のニックネームである「やまちゃん」が登録されている。また、ある端末の登録名称が一方の電話帳テーブルで登録されていても、他方の電話帳テーブルでも登録されているとは限らない。電話転送システム100によると、子機端末側で登録名称が登録されていない場合でも、電話機1側で登録されている登録名称を子機端末に出力させることができる。さらに、各子機端末のユーザが所望する登録名称を、設定に応じてそれぞれの子機端末で出力させることもできる。
【0048】
以下、本実施の形態に係る電話機1が行う転送処理について、図面を参照して説明する。転送処理は、電話機1が発呼端末から着信呼を受信すると、ROM12に記憶されたプログラムに従ってCPU11が実行する。
【0049】
図10に示す転送処理が開始されると、その時点でユーザによって設定されている転送モードが取得される(S1)。先述したように、電話転送システム100では、自動転送モード及び選択転送モードの2つの転送モードがある。設定されている転送モードを示す転送フラグは、記憶装置14に記憶されている(図5参照)。CPU11は、転送フラグが「1(有効)」となっている転送モードを取得する。
【0050】
設定されている転送モードが自動転送モードでなく、選択転送モードであれば(S2:NO)、選択転送処理が行われて(S3)、転送処理が終了する。選択転送処理とは、発呼端末のユーザが選択した子機端末にのみ着信呼を転送する処理である。一方、設定されている転送モードが自動転送モードであれば(S2:YES)、自動転送処理が行われて(S4)、転送処理が終了する。自動転送処理とは、電話機1にインターネット網8を介して接続されている全ての子機端末に着信呼を転送する処理である。以下、選択転送処理及び自動転送処理について詳述する。
【0051】
図11を参照して、選択転送処理について説明する。選択転送処理が開始されると、まず、発呼端末のユーザに内線番号の指定を促す音声の情報が、周知のIVR(音声自動応答装置)によって発呼端末に送信される(S11)。発呼端末のユーザは、音声に従って端末の操作部を操作し、通話を希望する相手方の子機端末の内線番号(以下、「指定内線番号」という。)を入力する。すると、CPU11は、発呼端末から送信される指定内線番号を取得する(S12)。
【0052】
次いで、発呼端末の電話番号情報を着信呼と共に受信したか否か、すなわち、番号通知があるか否かが判断される(S13)。番号通知がなければ(S13:NO)、指定内線番号に対応する子機端末にそのまま着信呼が転送されて(S22)、処理が終了する。
【0053】
番号通知がある場合には(S13:YES)、着信呼と共に子機端末へ送信する転送電文に、受信した電話番号情報が付与される(S14)。受信した電話番号情報に対応する対応登録名称が、親機電話帳テーブル(図4参照)から検索される(S15)。対応登録名称が存在しなかった場合には(S16:NO)、指定された子機端末に、着信呼及び電話番号情報のみが送信されて(S22)、処理が終了する。
【0054】
対応登録名称が存在した場合には(S16:YES)、指定された子機端末に対する発呼端末の登録名称の開示設定が、開示設定テーブル(図7参照)から取得される(S17)。例えば、図7に示す開示設定テーブルが記憶されている場合、発呼端末の電話IDが「D002」であれば、対応する開示許可内線IDである「N001」及び「N003」が取得される。発呼端末のユーザが指定した子機端末に、対応登録名称の開示が許可されているか否かが判断される(S18)。開示が許可されていない場合、すなわち、指定された子機端末の内線IDが開示許可内線IDに含まれていない場合には(S18:NO)、指定された子機端末に、着信呼及び電話番号情報のみが送信されて(S22)、処理が終了する。
【0055】
対応登録名称の開示が許可されている場合、すなわち、指定された子機端末の内線IDが開示許可内線IDに含まれている場合には(S18:YES)、対応登録名称が転送電文に付与される(S19)。指定された子機端末に付与されている優先フラグが、内線番号テーブル(図6参照)から取得される(S20)。取得された優先フラグの情報が、転送電文に付与される(S21)。そして、電話番号情報、対応登録名称、及び優先フラグの情報が付与された転送電文と共に、指定された子機端末へ着信呼が送信されて(S22)、処理が終了する。電話機1は、優先フラグの情報を子機端末に送信することで、電話機1及び子機端末のいずれの対応登録名称を優先して出力するかを子機端末に指示する。
【0056】
次に、図12を参照して、自動転送処理について説明する。自動転送処理が開始されると、まず、番号通知があるか否かが判断される(S31)。発呼端末の電話番号情報を受信していない場合には(S31:NO)、インターネット網8を介して電話機1に接続された全ての子機端末に着信呼のみが転送されて(S32)、処理が終了する。
【0057】
着信呼と共に電話番号情報を受信した場合には(S31:YES)、着信呼と共に子機端末へ送信する転送電文に、受信した電話番号情報が付与される(S33)。受信した電話番号情報に対応する対応登録名称が、親機電話帳テーブル(図4参照)から検索される(S34)。対応登録名称が存在しなかった場合には(S35:NO)、着信呼及び電話番号情報のみが全ての子機端末に送信されて(S32)、処理が終了する。
【0058】
対応登録名称が存在した場合には(S35:YES)、インターネット網8を介して接続された子機端末から、対応登録名称の送信処理の処理対象とする子機端末が1つ選択される(S36)。選択された子機端末に対する発呼端末の登録名称の開示設定が、開示設定テーブル(図7参照)から取得される(S37)。選択された子機端末に開示が許可されているか否かが判断され(S38)、許可されていなければ(S38:NO)、選択された子機端末に、着信呼及び電話番号情報のみが送信される(S42)。
【0059】
選択された子機端末への対応登録名称の開示が許可されていれば(S38:YES)、対応登録名称が転送電文に付与される(S39)。選択された子機端末に付与されている優先フラグが、内線番号テーブル(図6参照)から取得される(S40)。取得された優先フラグの情報が転送電文に付与される(S41)。そして、電話番号情報、対応登録名称、及び優先フラグの情報が付与された転送電文と、発呼端末から受信した着信呼とが、処理対象として選択された子機端末へ送信される(S42)。
【0060】
次いで、接続されている全ての子機端末への着信呼の転送が完了したか否かが判断される(S43)。全ての子機端末への転送が完了していなければ(S43:NO)、処理はS36へ戻り、次の子機端末への対応登録名称の送信処理が行われる(S36〜S42)。全ての子機端末への転送が完了すると(S43:YES)、処理は終了する。尚、転送処理が終了すると、発呼端末と子機端末との間で通話データを送受信して会話を実行させる処理が行われる。
【0061】
次に、図13を参照して、本実施の形態に係る通信機器3が行う着信処理について説明する。尚、子機端末として機能するパーソナルコンピュータ5においても着信処理が行われるが、通信機器3における着信処理と同様の処理であるため、この説明は省略する。着信処理は、電話機1から通信機器3へ着信呼が転送されると、ROM32に記憶されたプログラムに従ってCPU31が実行する。
【0062】
図13に示す着信処理が開始されると、まず、着信呼と共に送信された転送電文に電話番号情報が含まれているか否かが判断される(S51)。電話番号情報が含まれていない場合には(S51:NO)、「非通知設定」のメッセージを表示部40に表示させる処理が行われる(S52)。そして、着信音の出力、LEDの点灯等の着信通知動作が実行されて(S60)、着信処理が終了する。
【0063】
転送電文に電話番号情報が含まれている場合には(S51:YES)、優先フラグの情報が、親機である電話機1側の対応登録名称を優先させることを示しているか否かが判断される(S53)。電話機1側の登録名称を優先させることを示す「0」が優先フラグとして記憶されていた場合には(S53:YES)、電話機1で記憶されていた対応登録名称が転送電文から取得される(S54)。一方、子機端末側の登録名称を優先させることを示す「1」が優先フラグとして記憶されていた場合には(S53:NO)、記憶装置34に記憶された子機電話帳テーブル(図9参照)から、転送電文中の電話番号情報に対応する対応登録名称が検索される(S55)。
【0064】
具体的に、図4に示す親機電話帳テーブルが電話機1に記憶されており、図9に示す子機電話帳テーブルが子機端末に記憶されているときに、電話ID「D001」の端末から着信呼を受信した場合を例に挙げる。この場合、電話機1側の登録名称を優先させる設定が行われていれば、親機電話帳テーブルに記憶されている「山田太郎」が対応登録名称として取得される。一方、子機端末側の登録名称を優先させる設定が行われていれば、検索の結果、山田太郎のニックネームである「やまちゃん」が対応登録名称として取得される。
【0065】
次いで、対応登録名称が取得されたか否かが判断される(S56)。詳細には、電話機1側の登録名称を優先させる設定が行われていれば、転送電文に対応登録名称が含まれていたか否かが判断される。子機端末側の登録名称を優先させる設定が行われていれば、子機電話帳テーブルから対応登録名称が検索されたか否かが判断される。対応登録名称が取得されていれば(S56:YES)、発呼端末の電話番号が表示部40に表示され(S57)、取得された対応登録名称が表示部40に表示される(S58)。一方、対応登録名称が取得されていなければ(S56:NO)、発呼端末の電話番号のみが表示部40に表示される(S59)。そして、着信通知動作が実行されて(S60)、着信処理が終了する。尚、着信処理が終了すると、ユーザによる操作部37の操作に応じて、発呼端末との間で通話データを送受信して会話を実行させるための処理が行われる。通信機器3による対応登録名称の出力は、表示部40に限られず、音声による出力等でもよいことは勿論である。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態に係る電話機1は、電話番号情報及び着信呼を発呼端末から受信すると、親機電話帳テーブルから、受信した電話番号情報に対応する対応登録名称を取得する。そして、被呼端末となる子機端末に着信呼を転送して、発呼端末と子機端末との間での通話を可能とする際に、取得した対応登録名称を子機端末に送信することができる。従って、発呼端末の登録名称が子機端末に登録されていなくても、子機端末のユーザは、どの発呼端末からの着信であるかを対応登録名称に基づいて容易に認識することができる。
【0067】
また、ユーザは、内線番号テーブルの優先フラグの設定を行うことで、電話機1側の対応登録名称、及び子機端末側の対応登録名称のいずれを優先して子機端末に出力させるかを選択することができる。電話機1は、ユーザが優先させている対応登録名称を子機端末に出力させることができる。よって、同じ電話番号情報に対して、電話機1と子機端末とで異なる登録名称が登録されている場合に、ユーザは、所望する登録名称に基づいて、電話をかけてきた相手を認識することができる。
【0068】
さらに、ユーザは、いずれの対応登録名称を優先させるかを子機端末毎に設定することができる。電話機1は、複数の子機端末に同一の着信呼を転送する場合、子機端末毎の設定に応じて対応登録名称の出力を制御することができる。よって、電話機1は、自動転送モードによって複数の子機端末に着信呼を転送する場合でも、ユーザが所望する登録名称を、子機端末に応じて適切に出力させることができる。
【0069】
また、電話機1は、対応登録名称の出力を許可しないことが設定されている場合、被呼端末への対応登録名称の出力を禁止する。従って、ユーザは、電話機1の親機電話帳テーブルに記憶された対応登録名称を開示するか否かを設定することができる。例えば、親機電話帳テーブルに記憶された登録名称中に機密性の高い情報が含まれている場合等でも、機密性を保護することができる。
【0070】
さらに、電話機1は、開示設定テーブルの設定に基づいて、対応登録名称の送信を禁止するか否かを子機端末毎に制御することができる。従って、ユーザは、開示設定テーブルの設定を適宜行うことで、親機電話帳テーブルに記憶された対応登録名称を特定の子機端末にのみ出力させることができる。
【0071】
また、電話機1は、発呼端末から受信した電話番号情報に対応する対応登録名称が親機電話帳テーブルに記憶されていない場合でも、受信した電話番号情報を子機端末に送信することができる。従って、電話機1は、対応登録名称が登録されていない場合でも、発呼端末を特定するための電話番号を子機端末のユーザに通知することができる。
【0072】
尚、上記実施の形態において、電話機1の記憶装置14が本発明の「主記憶手段」に相当する。図11のS15、及び図12のS34で対応登録名称を取得する処理を行うCPU11が「取得手段」として機能する。図11のS22、及び図12のS32,S42で着信呼を子機端末に転送する処理を行うCPU11が「転送手段」として機能する。図11のS22、及び図12のS42で、対応登録名称が付加された転送電文を子機端末に送信する処理を行うCPU11が「第一送信手段」として機能する。
【0073】
通信機器3の記憶装置34が「副記憶手段」に相当する。優先フラグが本発明の「優先情報」に相当し、図11のS20、及びS12のS40で優先フラグを取得するCPU11が「優先情報取得手段」として機能する。図11のS21,S22、及び図12の36〜S43で、優先フラグの情報を子機端末に送信して、電話機1及び子機端末のいずれかに記憶されている対応登録名称を優先して子機端末に出力させるCPU11が「出力制御手段」として機能する。
【0074】
開示設定テーブルに記憶されている開示許可内線IDが「許可情報」に相当し、図11のS17、及び図12のS37で開示許可内線IDを取得するCPU11が「許可情報取得手段」として機能する。図11のS18、及び図12のS36,S38,S43で対応登録名称の送信を禁止するCPU11が「禁止手段」として機能する。図11のS16,S22、及び図12のS35,S32で電話番号情報を子機端末へ送信する処理を行うCPU11が「第二送信手段」として機能する。
【0075】
また、図11のS15、及び図12のS34で対応登録名称を取得する処理が「取得ステップ」に相当する。図11のS22、及び図12のS32、S42で着信呼を子機端末に転送する処理が「転送ステップ」に相当する。図11のS22、及び図12のS42で、対応登録名称が付加された転送電文を子機端末に送信する処理が「第一送信ステップ」に相当する。
【0076】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。まず、本実施の形態では、発呼端末から着信呼を受信して被呼端末である子機端末に転送する処理を、親機として機能する電話機1が行っている。しかし、上記実施の形態で説明した処理を行うことができるのは電話機1に限定されない。例えば、システム外の端末から着信呼を受信する受信端末と、受信端末に接続した処理端末とを設け、処理端末で上記の処理を行ってもよい。また、電話機でなく、複合機、サーバ等で上記の処理を行ってもよい。
【0077】
上記実施の形態の電話転送システム100では、パーソナルコンピュータ5等がインターネット網8を介して電話機1に接続されている。すなわち、電話転送システム100は、インターネットプロトコル(以下、「IP」という。)を利用している。しかし、本発明が適用できる電話転送システムにはIPが用いられている必要はない。例えば、無線内線網によって電話機1と子機端末とを接続してもよいし、PSTN網等の他の通信網を用いてもよい。
【0078】
電話機1が記憶する対応登録名称、及び子機端末が記憶する対応登録名称のいずれかを設定に応じて優先させる処理は、他の処理を行う機器にも適用できる。すなわち、発呼端末と被呼端末との通話を可能とするために着信呼を転送する機器に限られず、着信があった旨を子機端末に通知する機器や、ユーザの不在時に録音されたメッセージを子機端末に送信する機器にも上記の処理を適用できる。また、電話機1が記憶する対応登録名称の開示を許可するか否かを設定に応じて制御する処理についても、同様に他の処理を行う機器にも適用できる。
【0079】
上記実施の形態では、子機端末が記憶する対応登録名称を、電話機1が記憶する対応登録名称よりも優先して出力させる場合には、優先フラグを子機端末に送信し、優先フラグに応じた処理を子機端末に実行させることで、子機端末が記憶する対応登録名称を子機端末に出力させている。しかし、電話機1が記憶する対応登録名称の子機端末への送信を禁止することで、子機端末が記憶する対応登録名称を優先して出力させてもよい。
【0080】
電話機1の記憶装置14は、電話機1に設けられている必要はない。例えば、電話機1に接続されたサーバの記憶装置に同様の情報を記憶させておき、サーバから情報を受信して、上記実施の形態と同じ処理を行えばよい。
【符号の説明】
【0081】
1 電話機
3 通信機器
5 パーソナルコンピュータ
11 CPU
14 記憶装置
31 CPU
34 記憶装置
40 表示部
100 電話転送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発呼端末の電話番号情報と共に前記発呼端末からの着信呼を受信し、被呼端末に転送して、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を実行させる電話装置であって、
前記発呼端末の登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶する主記憶手段から、受信した電話番号情報に対応する登録名称である対応登録名称を取得する取得手段と、
前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を可能とするために前記着信呼を前記被呼端末に転送する転送手段と、
前記転送手段が前記着信呼を転送する場合に、前記取得手段が取得した前記対応登録名称を前記被呼端末に送信する第一送信手段と
を備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶し、且つ前記被呼端末に接続される副記憶手段の前記対応登録名称を、前記主記憶手段に記憶されている前記対応登録名称よりも優先して前記被呼端末に出力させるか否かを示す優先情報を取得する優先情報取得手段と、
前記優先情報取得手段によって取得された優先情報が優先させている対応登録名称を前記被呼端末に出力させる出力制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項3】
前記優先情報取得手段によって取得される前記優先情報は前記被呼端末毎に設定され、
前記出力制御手段は、前記転送手段が同一の前記着信呼を複数の前記被呼端末に転送する場合、前記被呼端末毎に設定された前記優先情報に応じて、前記被呼端末毎に前記対応登録名称の出力を制御することを特徴とする請求項2に記載の電話装置。
【請求項4】
前記主記憶手段に記憶された前記対応登録名称の前記被呼端末への出力を許可するか否かを示す許可情報を取得する許可情報取得手段と、
前記許可情報取得手段によって取得された許可情報が、前記対応登録名称の出力を許可しないことを示す許可情報である場合に、前記第一送信手段による前記被呼端末への前記対応登録名称の送信を禁止する禁止手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電話装置。
【請求項5】
前記許可情報取得手段によって取得される前記許可情報は、出力を許可するか否かを前記被呼端末毎に示し、
前記禁止手段は、前記転送手段が同一の前記着信呼を複数の前記被呼端末に転送する場合、前記許可情報取得手段によって取得された前記許可情報に応じて、前記対応登録名称の送信を禁止するか否かを前記被呼端末毎に制御することを特徴とする請求項4に記載の電話装置。
【請求項6】
前記発呼端末から受信した電話番号情報に対応する前記対応登録名称が、前記取得手段によって前記主記憶手段の前記登録名称から取得されなかった場合、前記受信した電話番号情報を前記被呼端末に送信する第二送信手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電話装置。
【請求項7】
発呼端末の電話番号情報と共に前記発呼端末からの着信呼を受信し、被呼端末に転送して、前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を実行させる電話転送方法であって、
前記発呼端末の登録名称を前記電話番号情報に対応させてそれぞれ記憶する主記憶手段から、受信した電話番号情報に対応する登録名称である対応登録名称を取得する取得ステップと、
前記発呼端末と前記被呼端末との間の通話を可能とするために前記着信呼を前記被呼端末に転送する転送ステップと、
前記転送ステップによって前記着信呼が転送される場合に、前記取得ステップによって取得された前記対応登録名称を前記被呼端末に送信する第一送信ステップと
を備えたことを特徴とする電話転送方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の電話装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための電話転送プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−193269(P2010−193269A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36524(P2009−36524)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】