露光ヘッド、画像形成ユニット、及び画像形成装置
【課題】発光強度の経時変化を正確に把握することができる露光ヘッドを得る。
【解決手段】透光性基板301と、透光性基板301の一方の面に配置された複数の発光素子310と、透光性基板301に配置された発光素子310から射出され透光性基板301内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段320と、を含む発光基板300を備え、発光素子310から射出され透光性基板301を透過した光を、発光素子310と透光性基板301を介して対向する像担持体21上に照射して、像担持体21に所定のパターンを形成する露光ヘッド29であって、透光性基板301内には、該透光性基板301内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点330が形成されていることを特徴とする露光ヘッド29。
【解決手段】透光性基板301と、透光性基板301の一方の面に配置された複数の発光素子310と、透光性基板301に配置された発光素子310から射出され透光性基板301内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段320と、を含む発光基板300を備え、発光素子310から射出され透光性基板301を透過した光を、発光素子310と透光性基板301を介して対向する像担持体21上に照射して、像担持体21に所定のパターンを形成する露光ヘッド29であって、透光性基板301内には、該透光性基板301内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点330が形成されていることを特徴とする露光ヘッド29。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備える露光ヘッド、該露光ヘッドを備える画像形成ユニット、及び、該露光ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムを露光して該感光体ドラムの表面に形成した潜像を、1次転写ローラ等を介して紙等の媒体に転写して画像を形成する方式の画像形成装置に用いられる露光ヘッドのひとつとして、基板上に規則的に配置した発光素子と屈折率分布型レンズとを用いる型のものがある。1つの発光素子から射出された光を複数の屈折率分布型レンズの夫々が感光体ドラムの表面の同一位置に重なるように結像することで、該表面に1つのスポットが形成される。かかるスポットが集合することで、画像(潜像)となる。
【0003】
かかる方式の露光ヘッドで起こり得る問題として、複数の発光素子間の光量のばらつきがある。発光頻度のばらつき等により、同一の電流あるいは電圧を印加した場合における各々の発光素子が射出する光の強度が経時的に変化してばらつきとなり、良好な画像(潜像)を形成する際の妨げとなる。かかる現象を抑制するために、例えば特許文献1に記載の露光ヘッドでは、発光基板上に発光素子と共に光検出手段を配置して、発光素子毎の光量を測定することが可能となっている。
【0004】
図16に、かかる方式、即ち従来の露光ヘッドが備える発光基板として、発光素子としてボトムエミッション型の有機EL素子310を用いる発光基板300を模式的に示す。(a)が上面図、(b)が側面図、(c)がB−B’線における断面図である。図示するように、透光性基板301上に千鳥状に配置された有機EL素子310の周辺に、光検出手段としてのフォトダイオード等の受光素子からなる光検出手段320が配置されている。
【0005】
有機EL素子310から射出された光の一部が、透光性基板301の表面と裏面とで反射を繰り返しながら光検出手段320に到達する構成となっており、個々の有機EL素子310を順次点灯させて光量を測定できる。そして、かかる測定結果に基づき、各々の有機EL素子310に印加する電流(又は電圧)値を補正することで、高精度の画像(潜像)を形成することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−66758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記構成の発光基板では有機EL素子310が射出する光のうち光検出手段320で測定できる光の割合が少ないという課題がある。すなわち、図16(c)に示すように、光検出手段320に到達する光は角度範囲θaの範囲内の光L1に限られており、該角度範囲外の光は光検出手段320に到達することなく発光基板300の外部に射出される。したがって、有機EL素子310の発光強度の経時変化を正確に把握することが困難であり、複雑な増幅回路あるいはノイズ低減回路等を用いない場合、上述の補正の精度が低下し得るという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に配置された複数の発光素子と、前記透光性基板に配置された、前記発光素子から射出され前記透光性基板内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段と、を含む発光基板を備え、前記発光素子から射出され前記透光性基板を透過した光を、前記発光素子と前記透光性基板を介して対向する像担持体上に照射して、前記像担持体に所定のパターンを形成する露光ヘッドであって、前記透光性基板内には、該透光性基板内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点が形成されていることを特徴とする露光ヘッド。
【0010】
このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を増加させることができる。したがって、上述の補正を高い精度で行うことができ、高精度の画像(潜像)を形成することができる。
【0011】
[適用例2]
上述の露光ヘッドであって、前記透光性基板の表面における、前記発光素子が配置されている領域と該発光素子と対向する領域と前記光検出手段が配置されている領域と、を除く領域の少なくとも一部に、前記発光素子が射出する光を反射する光反射層が配置されていることを特徴とする露光ヘッド。
【0012】
このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができる。したがって、上述の補正をより一層高い精度で行うことができ、より一層高精度の画像を形成することができる。
【0013】
[適用例3]
上述の露光ヘッドであって、前記発光素子が有機EL素子であることを特徴とする露光ヘッド。
【0014】
このような構成によれば、上記透光性基板上にTFTプロセスで形成した駆動用トランジスタと有機EL素子を組み合わせることができ、上記露光ヘッドの製造コストを低減できる。
【0015】
[適用例4]
上述の露光ヘッドであって、前記改質点はレーザ光で形成されたものであることを特徴とする露光ヘッド。
【0016】
レーザ光を用いると上記透光性基板内の任意の位置に上記改質点を形成できる。したがって、このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができ、上述の補正を効率的に行える。
【0017】
[適用例5]
上述の露光ヘッドであって、前記改質点の形成密度が、前記透光性基板内の位置により異なることを特徴とする露光ヘッド。
【0018】
このような構成によれば、例えば上記光検出手段の近傍に高い密度で上記改質点を形成することで、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができる。したがって、上記露光ヘッドの製造コストを低減しつつ、上述の補正を効率的に行うことができる。
【0019】
[適用例6]
上述の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【0020】
このような構成によれば、上記像担持体に高精度の画像(潜像)を形成できるため、紙等の媒体に形成する画像の品質を向上できる。
【0021】
[適用例7]
上述の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
【0022】
このような構成によれば、上記像担持体に高精度の画像(潜像)を形成できるため、紙等の媒体に形成する画像の品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明を具体化した電気光学装置としての液晶装置の実施形態について述べる。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、該各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜図4に、本実施形態にかかる露光ヘッド、及び該露光ヘッドを備える画像形成ユニット、及び該画像形成ユニットを備える画像形成装置1を示す。
図1は、第1実施形態にかかる露光ヘッド29を適用できる画像形成装置1を示す図である。また、図2は、図1に示す画像形成装置1の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置1である。
【0025】
なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置1では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsync及びパラメータ値とに基づき各色の露光ヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙及びOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0026】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラEC及びヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8及び給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、画像形成装置1本体に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット及び転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理又は交換を行うことが可能な構成になっている。
【0027】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MD(図3参照)に所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され、回転方向D21(図1に示す矢印の方向)の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに略直交する副走査方向SD(図4参照)に搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、露光ヘッド29、現像部25及び感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0028】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0029】
露光ヘッド29は、その長手方向が主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向が副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21に対して配置されている。したがって、露光ヘッド29の長手方向は、主走査方向MDと略平行である。そして、露光ヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して(つまり、露光して)該表面に潜像を形成する。なお、この実施形態では、各色の露光ヘッド29を制御するためにヘッドコントローラHCが設けられ、メインコントローラMCからのビデオデータVDと、エンジンコントローラECからの信号とに基づき各露光ヘッド29を制御している。すなわち、この実施形態では、画像形成指令に含まれる画像データがメインコントローラMCの画像処理部51に入力される。そして、該画像データに対して種々の画像処理が施されて各色のビデオデータVDが作成されるとともに、該ビデオデータVDがメイン側通信モジュール52を介してヘッドコントローラHCに与えられる。また、ヘッドコントローラHCでは、ビデオデータVDはヘッド側通信モジュール53を介してヘッド制御モジュール54に与えられる。このヘッド制御モジュール54には、上記したように潜像形成に関連するパラメータ値を示す信号と垂直同期信号VsyncがエンジンコントローラECから与えられている。そして、これらの信号及びビデオデータVDなどに基づきヘッドコントローラHCは各色の露光ヘッド29に対して素子駆動を制御するための信号を作成し、各露光ヘッド29に出力する。こうすることで、各露光ヘッド29において発光素子の作動が適切に制御されて画像形成指令に対応する潜像が形成される。
【0030】
そして、この実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25及び感光体クリーナ27を感光体カートリッジとしてユニット化している。また、各感光体カートリッジには、該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。
【0031】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動して露光ヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0032】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0033】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側でかつ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0034】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0035】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0036】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側でかつ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0037】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0038】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0039】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0040】
また、この装置では、従動ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介して従動ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、従動ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するように従動ローラ83が移動する場合は、従動ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0041】
図3は、本実施形態にかかる露光ヘッドの概略を示す斜視図である。また、図4は、図3に示した露光ヘッドの幅方向断面図である。上述の通り、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、露光ヘッド29は感光体ドラム21に対して配置されている。なお、長手方向LGDと幅方向LTDは、互いに略直交する。本実施形態における露光ヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、露光ヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そしてさらに、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、露光ヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0042】
ケース291は感光体ドラム21の表面に対向する位置にレンズアレイ299を保持するとともに、内部に該レンズアレイに対向するように発光基板300を備えている。レンズアレイ299は複数の屈折率分布型のレンズを千鳥状に配置して構成されており、後述する有機EL素子310が射出する光を、感光体ドラム21上に結像させている。
【0043】
発光基板300はガラス等の透光性材料からなる透光性基板301(図5参照)と、該透光性基板の裏面(レンズアレイ299と対向する面の反対側の面)に(長手方向に)千鳥状に配置された複数の、発光素子としての有機EL素子310等からなる。上記裏面に配置された図示しない駆動回路よって駆動され、レンズアレイ299の方向に向けて光を射出する。そして、かかる光がレンズアレイ299により、感光体ドラム21の表面にスポットとして結像される。
なお、レンズアレイ299は、複数の同一形状の屈折率分布型レンズを二段に俵積みして構成されている。後述する発光基板300上の有機EL素子310の配置に対応させた構成であり、光軸に垂直な断面は、円形断面が千鳥状に2列に並んだ状態である。
【0044】
図4(幅方向断面図)に示すように、固定器具2914によって、裏蓋2913が発光基板300を介してケース291に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291側に押圧する弾性力を有するとともに、かかる弾性力により裏蓋を押圧することで、ケース291の内部を光密に(つまり、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉している。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向(LGD)に複数箇所設けられている。また、有機EL素子310は、封止部材294により覆われている。
【0045】
図5は、本実施形態にかかる発光基板300を模式的に示す図である。図5(a)は上述の裏面方向から見た平面図であり、図5(b)は側面図である。そして図5(c)は図5(a)のA−A’線における断面を拡大して示す図であり、図5(d)は後述する改質点330が形成されている部分を拡大して示す図である。
【0046】
図5(a)及び図5(b)に示すように、発光基板300は、透光性基板301と、該透光性基板の裏面に千鳥状に配置された複数の有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された複数の(フォトダイオード等の受光素子からなる)光検出手段320等からなっている。なお、上記図5(a)〜図5(d)、及び、後に記載する図7から図12において、有機EL素子310は一部のみ図示している。
【0047】
透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域の厚さ方向に、光の直進性を妨げる複数の改質点330が形成されている。かかる改質点330は、透光性基板301の形成材料であるガラス等に形成された気泡、クラック、組織欠陥等であり、照射された光の直進性を妨げることができる。したがって、図5(c)に示すように、角度範囲θaの範囲外の光L2、すなわち従来の発光基板においては光検出手段320に入射することのなかった光を反射等させて、進行方向を変化させることができる。上述の反射等は一回のみでなく連続して発生する。したがって、上述の光検出手段320が配置されている領域に照射された光は、直進せずに乱反射を繰り返す。
【0048】
図5(d)は、かかる乱反射の態様を示すものである。改質点330は複数個が密集するように形成されているため、上述の領域に入射した光L2は、光検出手段320に入射して取り込まれるか、あるいは上述の領域外に達するまでは、乱反射を継続する。したがって、改質点330を形成することにより、従来の発光基板においては光検出手段320に入射することのなかった光のうちの少なくとも一部を光検出手段320に入射させることができ、有機EL素子310から射出される光のうちの光検出手段320に入射する光の割合を増加させることができる。
【0049】
上述したように、長手方向LGD(図3参照)に配置した有機EL素子310を用いて感光体ドラム21上に潜像を形成する発光基板300においては、有機EL素子310毎の発光頻度により経時劣化の程度にばらつきが生じる。そのため、高精度の画像を形成するためには定期的に有機EL素子310毎の発光強度を測定して補正する必要がある。本実施形態の発光基板300を用いる画像形成ユニット7、及び画像形成装置1は、は有機EL素子310及び光検出手段320等の配置の態様を、従来の発光基板等と同様にした場合において光検出手段に入射する光量を増加させることができる。したがって複雑な増幅回路あるいはノイズ低減回路等を用いることなく、有機EL素子310の発光強度の経時変化をより一層正確に把握してより一層正確に(各々の有機EL素子に印加する電流量等を)補正することができ、該経時変化にもかかわらず、より一層正確な画像を形成できる。
【0050】
なお、図示するように、光検出手段320は1つの発光基板300に複数個配置されている。そして、1つの有機EL素子が射出する光は、かかる複数個の光検出手段320全てに入射される。(入射する光量は、個々の光検出手段320の位置により異なる。)したがって、光検出手段320による測定値(後述するPhn)とは、全ての光検出手段320の測定値の合計量である。
【0051】
上記補正は以下のように実施される。まず、露光ヘッド29を形成した段階(画像形成装置に組み込む前の段階)で、有機EL素子310から光を射出させて感光体ドラム21の表面に相当する位置に形成されるスポットの光量を、各有機EL素子310について測定する。具体的には、露光ヘッド29を検査装置に取り付ける。検査装置には、露光ヘッド29の各有機EL素子310から射出される光の光量を、感光体ドラム21の表面に対応する像面位置で検出する光量検出器が配置されている。この光量検出器は、1個の検出器を移動させつつ各有機EL素子310から射出される光の光量を検出するものでもよいし、有機EL素子310毎に検出器を配置したものでもよい。そして、各有機EL素子310を順に発光させて、検査装置の光量検出器で検出した値Pgnと、露光ヘッド29の光検出手段320で検出した値Phn(nはn番目の発光素子を表す)とを得るとともに、各有機EL素子310について補正係数Pgn/Phnを算出する。このようにして求めた補正係数Pgn/Phnは、例えば図2に示すエンジンコントローラECに記憶しておく。そして、次に説明するように、補正係数Pgn/Phnに基づいて、画像形成装置としての補正が実施される。
【0052】
画像形成装置1としての補正は、まず有機EL素子310の光量ばらつきが検出される。かかる光量ばらつき検出は、画像形成装置1の電源投入時、画像形成動作開始前等の、通常の画像形成動作が実行されていない間に行われる。具体的には、各有機EL素子310を順番に発光させながら、光検出手段320の検出値が測定される。そして、光検出手段320の測定値に補正係数Pgn/Phnを乗じることによって、各有機EL素子310により感光体ドラム21の表面で形成されるスポットの光量が算出される。算出された光量がばらついており、所望の光量が実現されていない場合は、所望の光量が得られるように有機EL素子310の駆動を制御する。つまり、所望の光量と算出された光量とを比較して、算出された光量が所望の光量となるように、有機EL素子310に流す電流等を調整する。そして、このような調整動作を全ての有機EL素子310について実行することで、複数の有機EL素子310の間での光量ばらつきが抑制される。その結果、良好な露光が実現される。なお、所望の光量に関する情報や、駆動制御動作を実行させるプログラム等は、例えばエンジンコントローラECに予め記憶しておいてもよい。
【0053】
次に、改質点330の形成方法について述べる。図6は、改質点330の形成方法の一例を示すものであり、レーザ光355を用いて透光性基板301に改質点を形成する態様を示している。図6(a)に示すように、図示しない光源から射出される所定の径を有するレーザ光355を、集光レンズ350により透光性基板301内の一点に集光させることで、周囲の形質(透光性等)に影響を及ぼすことなくかかる一点に気泡、クラック等を形成して、改質点330とすることができる。そして図示しない光源と集光レンズ350とを備えるユニットと、透光性基板301とを相対的に移動させることにより、透光性基板301内部の任意の部分に複数個の改質点330を形成できる。
【0054】
図6(b)は、上述の光源と集光レンズ350とを備えるユニットを2組用いて改質点330を形成する態様を示す図である。2組のレーザ光355を同一の点に集光することで、より多くのエネルギーを一点に集中でき、より一層周囲の形質に影響を及ぼすことなく、また短時間で、透光性基板内の一点を改質できる。なお、上記ユニットを3組以上用いることも可能である。また、改質点330の形成は、透光性基板301上に有機EL素子を形成する前、あるいは後のいずれの時点でも可能である。
【0055】
レーザ光355は、YAGレーザの第2高調波(波長=532nm)あるいはYAGレーザの第3高調波(波長=355nm)が好ましい。長パルス幅を有するため、形成される改質点330がクラック状となり、有機EL素子から射出される光を効率よく反射できる。また、チタンサファイヤ固体フェムト秒レーザ(波長=800nm)を用いてもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の発光基板300、及び後述する第3〜第7の実施形態の発光基板300は、第1の実施形態の発光基板300と同様に、レンズアレイ299等と組み合わされて露光ヘッド29となり、さらに画像形成ユニット7、及び画像形成装置1の構成要素となる。そして、かかる場合における、レンズアレイ299等の構成要素は、発光基板300を除くと共通である。そこで、本実施形態及び第3〜第7の実施形態については、発光基板300についてのみ述べる。
【0057】
図7は、第2の実施形態の発光基板300を示す図である。図7(a)が平面図、図7(b)が側面図である。発光基板300の構成は、第1の実施形態の発光基板300と、後述する光反射層の有無を除くと共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320等からなる。そして、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域の厚さ方向に、光の直進性を妨げる複数の改質点330が形成されている。そして、透光性基板301の下面の光検出手段320と対向する領域には、光反射層315が配置されている。光反射層315はアルミニウム等の反射性の高い金属で形成されている。形成方法はスパッタ法等による成膜でもよく、また金属板を貼付してもよい。
【0058】
かかる構成によれば、改質点330によって反射された後、透光性基板301の外部に向かう光を、再度改質点330が形成されている領域に戻して乱反射させることができる。したがって、光検出手段320の寸法等を変化させることなく、該光検出手段に入射する光の割合を増加させることができる。したがって、有機EL素子310の経時劣化の程度をより一層正確に把握してより一層正確な補正(調整)を実施でき、より一層高品質の画像を形成できる。なお、光反射層315は鏡面反射層でもよく、また、乱反射層であってもよい。
【0059】
図7においては、光反射層315の形状(平面視での形状)は、光検出手段320の形状と略一致するように図示されているが、光反射層315の形状は、かかる形状に限定されるものではない。また、光反射層315の配置位置は透光性基板301の下面(有機EL素子310が形成されている面と対向する面)に限定されない。有機EL素子310が形成されている領域、及び有機EL素子310から射出されてレンズアレイ299に入射する光の経路と重なる領域を除く全域に配置することもできる。したがって、透光性基板301の側面(上面及び下面以外の面)にも配置できる。
【0060】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態の発光基板300を示す図である。図8(a)が平面図、図8(b)が側面図である。発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315等からなる。
【0061】
第2の実施形態の発光基板と異なる点は、光検出手段320及び光反射層315の位置である。透光性基板301の下面、すなわち有機EL素子310が配置されている面(上面)の反対側の面に光検出手段320が配置されており、光反射層315は上面に配置されている。
かかる構成によれば、有機EL素子310から射出され、改質点330に一回も当たらずに下面に到達する光のうちの一部を、光検出手段320に受光させることができる。また、改質点330により乱反射した後、上面に向かう光を光反射層315で反射して、再度改質点330が密集している部分に向かわせて、再度乱反射させることができる。そして、再度乱反射させた光の一部を、光検出手段320に入射させることができる。そのため、光検出手段320の寸法等を変化させることなく、該光検出手段に入射する光の割合を増加させることができる。したがって、有機EL素子310の経時劣化の程度をより一層正確に把握してより一層正確な補正(調整)を実施でき、より一層高品質の画像を形成できる。
【0062】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態の発光基板300を示す図である。図9(a)が平面図、図9(b)が側面図である。本実施形態の発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態及び第3の実施形態の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成っている。そして光検出手段320が配置される位置が、第1の実施形態の発光基板300とは異なっている。
【0063】
本実施形態の発光基板300においては、第1の実施形態の発光基板300において光検出手段320が配置されていた領域、及び該領域に対向する領域に、光反射層315が配置されている。そして上述双方の光反射層315の間(双方の光反射層315で挟持される領域)に複数の改質点330が形成されている。そして光検出手段320は、透光性基板301のかかる改質点330が形成されている部分の側面に配置されている。
【0064】
対向する光反射層の間に、改質点330が密集するように形成されているため、改質点330に当たって乱反射した後に、透光性基板301の上面あるいは下面に向かう光は、どちらかの光反射層315で反射されて再度改質点330に向かう。そして、改質点330に当たって乱反射した後に、透光性基板301の側面に向かう光は光検出手段320に入射する。したがって、光検出手段320に入射する光の割合をより一層増加させることができる。その結果、より一層正確な補正(調整)を実施することができ、より一層高品質の画像を形成できる。
【0065】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態の発光基板300を示す図である。本実施形態の発光基板300の構成は、第2の実施形態の発光基板300の構成と略一致している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成り、光検出手段320は透光性基板301の上面に配置されている。
【0066】
本実施形態の発光基板300は、改質点330の(透光性基板301における)厚さ方向の配置に特徴がある。そこで、平面図は省略して側面図のみを示す。本実施形態の発光基板300は、改質点330が、上述の厚さ方向では重ならない様に形成されていることが特徴である。改質点330で反射されて光検出手段320の方向に向かう光が他の改質点330に当たって反射することが抑制されるため、光検出手段320に入射する光の割合を増加させることができる。その結果、より一層正確な補正(調整)を実施することができ、より一層高品質の画像を形成できる。
【0067】
(第6の実施形態)
図11は、第6の実施形態の発光基板300を示す図である。本実施形態の発光基板300の構成は、第2の実施形態の発光基板300の構成と略一致している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成り、光検出手段320は透光性基板301の上面に配置されている。
【0068】
本実施形態の発光基板300は、第5の実施形態の発光基板300と同様に、改質点330の(透光性基板301における)厚さ方向の配置に特徴がある。そこで、平面図は省略して側面図のみを示す。
【0069】
本実施形態の発光基板300は、改質点330が、上述の厚さ方向で密度に差が生じるように形成されていることが特徴である。すなわち、改質点330は上面に近づくにつれて高密度となるように形成されている。かかる構成によれば光検出手段320に近い領域で乱反射が高い頻度で発生するため、有機EL素子310から射出され光検出手段320の近傍を透過する光を、高い割合で光検出手段320に入射させることができる。また、効果が薄い改質点330を形成することを抑制できるため、製造コストを低減できる。
【0070】
(第7の実施形態)
図12は、第7の実施形態の発光基板300を示す図である。図12(a)が平面図、図12(b)が側面図である。本実施形態の発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態等の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成っている。そして、光検出手段320等の数が増加している点で、第2の実施形態の発光基板300等と異なっている。
【0071】
本実施形態の発光基板300においては、透光性基板301の中央部の、有機EL素子310が千鳥状に配置されている領域の周辺を取り囲むように光検出手段320が配置されている。そして透光性基板301の下面の、平面視で光検出手段320と重なる領域には光反射層315が配置され、該光反射層と光検出手段320との間には改質点330が形成されている。
【0072】
有機EL素子310の周囲が、平面視で、光検出手段320と改質点330と光反射層315とで囲まれているため、有機EL素子310から射出される光は高い確率でいずれかの光検出手段320に入射する。したがって、光検出手段320に入射する光の割合をより一層増加させることができ、より一層正確な補正(調整)を実施して、より一層高品質の画像を形成できる。
【0073】
なお、光反射層315は完全に連続させて環状にしてもよい。また、光検出手段320も透光性基板301上にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはTFD(薄膜ダイオード)等を造りこむことで、環状に配置することもできる。
【0074】
(変形例)
次に変形例として、透光性基板301上に形成された発光素子としての有機EL素子310と該有機EL素子の近辺に配置された光検出手段320と該光検出手段の近辺に形成された改質点330を有する発光基板300を備える有機EL装置及び該有機EL装置を有する電子機器について述べる。
【0075】
図13は、上記の有機EL装置を有する電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す図である。パーソナルコンピュータ1200はキーボード1202を備えた本体部1204と、光検出手段と該光検出手段の近辺に形成された改質点とを有する発光基板を備え、表示領域1208に画像表示可能な有機EL装置1206とを備えている。
【0076】
図14は、変形例にかかる有機EL装置1206の表示領域1208における画素の配置等を示す図である。図14(a)は画素Pの配置を示し、図14(b)及び図14(c)は画素P内のサブ画素及び光検出手段の配置の一例を示している。有機EL装置1206はカラー表示可能であり、有機EL装置1206の表示領域1208には、図14(a)に示すように画素Pが規則的に配置されている。各々の画素が、(発光の)強度及び色彩等が個別に制御された光を射出することで表示領域1208にカラー画像を表示できる。なお、上記の図において画素Pはマトリクス状に配置されているが、千鳥状等の他の配置とすることもできる。
【0077】
各々画素Pは、サブ画素である、赤色光を射出する赤画素Rと緑色光を射出する緑画素Gと青色光を射出する青画素B、及び少なくとも1つの光検出手段としてのセンサTFT321を、各1つずつ備えている。各々のサブ画素は、有機EL素子310と後述する駆動用TFT620(図15参照)とを備えている。上記サブ画素等の配置は、図14(b)に示すように一列に並べて配置されてもよく、また、図14(c)に示すように、センサTFT321が各サブ画素と隣り合うように配置されてもよい。
【0078】
本実施形態の有機EL装置1206は上記の画像形成装置1と同じく、電源投入時等に表示領域に配置された全てのサブ画素を順次発光させて、各々の画素毎にセンサTFT321で光量を測定できる。そして、かかる測定値と、有機EL装置1206の製造時において同一の手法で測定して得た値とを比較することにより各々のサブ画素毎の経時劣化の程度を算出して、画像を表示する際には補正することができる。すなわち、好ましい光量が得られるように、各々の有機EL素子310に流す電流等を補正できる。
【0079】
そして、後述するように、光検出手段としてのセンサTFT321が形成されている領域に複数の改質点330(図15参照)が形成されているため、有機EL素子310から射出される光のうちのセンサTFT321に入射する光の割合を増加させることができる。その結果、上記補正をより一層高い精度で実施でき、より一層高品質の画像を表示できる。
【0080】
なお、有機EL装置1206は、画像表示時には、個々の画素毎に夫々異なる値の電流等を供給して任意の光量を得ているが、上述の光量測定時には全ての画素(サブ画素)が備える有機EL素子に同一の電流量等供給する。したがって、上記測定値は、各々の有機EL素子310に対して同一の電流を供給した場合における、各々の有機EL素子310が射出する光量の測定値である。以下、本変形例にかかる有機EL装置1206の構成について述べる。
【0081】
図15は、本変形例の有機EL装置1206が備える発光基板300における、1つの画素Pを構成する領域の模式断面図である。発光基板300は、透光性基板301、及び該透光性基板上に形成された駆動用TFT620及び有機EL素子310等からなる。そして発光基板300が後述するように接着層656により対向基板302と貼り合わされて有機EL装置1206となる。図示するように画素Pは、透光性基板301と対向基板302との間に形成された有機EL素子310等からなる。上述したように、画素Pは3種類のサブ画素と光検出手段としてのセンサTFT321とからなる。上述したように各々のサブ画素は有機EL素子310と該有機EL素子を駆動する駆動用TFT620、及び図示しない保持容量等からなる。
【0082】
図示するように、透光性基板301上には駆動用TFT620に隣り合うようにセンサTFT321が形成されている。センサTFT321は有機EL素子310が射出する光の一部を受光して、各々の有機EL素子310の発光強度を測定できる。かかる測定結果に基づいて各々の有機EL素子310に供給する電流量を補正(調整)することで高品質の画像を表示(形成)できる。
【0083】
そして、本実施形態の有機EL装置1206が備える発光基板300の、センサTFT321が形成されている領域の透光性基板301内には、複数の改質点330が密集するように形成されている。上述の露光ヘッド29と同様に、本実施形態の有機EL装置1206のセンサTFT321は、有機EL素子が射出する光を、改質点330により高い比率で受光することができ、上述の補正をより一層有効に実施できる。有機EL素子310及び駆動用TFT620の構成は、以下の通りである。
【0084】
透光性基板301上には、多結晶シリコン層を島状にパターニングして形成された半導体層610、SiO2等の絶縁材料からなるゲート絶縁膜608、及びクロム等の高融点金属からなるゲート電極612が、順に形成されている。半導体層610の平面視でゲート電極612と重なる領域がチャネル領域602であり、該領域の両側はP(燐)等の不純物が導入されてソース領域604及びドレイン領域606となっている。かかる要素により、駆動用TFT620が構成されている。なお、透光性基板301と半導体層610との間に、SiO2等からなるバッファー層を形成してもよい。
【0085】
ゲート電極612上にはSIO2等からなる第1の層間絶縁膜632が形成されている。そして、半導体層610のソース領域604及びドレイン領域606に対応する位置に第1のコンタクトホール641及び第2のコンタクトホール643が形成されている。上記双方のコンタクトホールにはアルミニウム等からなるソース電極642及びドレイン電極644が形成され、該双方の電極上にはSIO2等からなる第2の層間絶縁膜634が形成されている。そして、第2の層間絶縁膜634のドレイン電極644に対応する位置には、第3のコンタクトホール645が形成され、該第3のコンタクトホールを介してドレイン電極644と接続する画素電極(陽極)650が形成されている。画素電極650はITO(酸化インジウム・すず)等の透光性導電材料層を島状にパターニングして形成されており、後述する機能層に通電するとともに機能層内で生じた光を投下させて透光性基板301を介して発光基板300の外部に射出できる。なお、本実施形態の有機EL装置1206が備える有機EL素子310は、透光性基板301側に光を射出するボトムエミッション型である。各々の画素電極650はポリイミド等の絶縁性有機材料層、又は絶縁性無機材料層を画素電極650が露出するようにパターニングして形成された隔壁636により区画されている。
【0086】
隔壁636と画素電極650とからなる凹部には、各々のサブ画素が備える有機EL素子310が射出する光に対応する機能層が形成されている。すなわち、赤画素Rには赤色光に対応する赤色機能層652Rが、緑画素Gには緑色光に対応する緑色機能層652Gが、青画素Bには青色光に対応する青色機能層652Bが夫々形成されている。なお(図示は省略しているが)各機能層は、正孔注入輸送層と発光層と電子注入輸送層とを積層して形成されている。上記の3要素の内でサブ画素間で異なる要素は発光層のみであり、正孔注入輸送層と電子注入輸送層とはサブ画素間で共通である。
【0087】
上記各機能層及び隔壁636の上には、発光基板300上の全面にアルミニウム、マグネシウム・銀合金等からなる陰極654が形成されている。画素電極650、陰極654、及び該一対の電極間の機能層とで有機EL素子310となる。画素電極650と陰極654との間に電圧を印加して機能層(に含まれる発光層)に電流を流すことにより、画素電極650から供給される正孔と陰極から供給される電子とが発光層内で結合する。そして、結合によるエネルギーで励起された発光層(内の発光材料)が、励起状態から再び基底状態に戻る際に光を発生する。発光基板300はかかる光を透光性基板301から射出することで画像を形成する。そして、陰極654の形成により発光基板300が完成し、該発光基板が接着層656により対向基板302と貼り合わされて、有機EL装置1206となる。
【0088】
透光性基板301上には上記のサブ画素と並んで、光検出手段としてのセンサTFT321が形成されている。センサTFT321の構成は(寸法を除いて)駆動用TFT620と同様であり、用途が異なっている。したがって、別の工程を加えることなしに、駆動用TFT620と同時に形成できる。
【0089】
上述の電源投入時等における光量測定において、センサTFT321は、隣り合うサブ画素が射出する光の一部を受光して、受光した光の強度、すなわち劣化の程度に応じた電流又は電圧を出力する。そして、かかる電流値又は電圧値は、マトリクス状に配置された画素Pの周囲に配置されている制御回路に伝達され記憶される。センサTFT321はサブ画素からなる画素P毎に配置されているため、個々のサブ画素の劣化の程度を検出できる。したがって、上述の制御回路は、画像表示時に各々のサブ画素毎に(該各々のサブ画素の劣化の程度に応じた)異なる電流を供給して、該劣化による光量の低下を補正できる。その結果、本実施形態の有機EL装置1206は、有機EL素子310の経時劣化にもかかわらず、常に高品質の画像を表示できる。
【0090】
ここで上述の有機EL素子が射出する光は、図15の矢印に示すように、透光性基板301に対して垂直の方向に多くの割合で向かう。しかし、上述の第1の実施形態で述べたように、透光性基板301に所定の範囲の角度で照射される一部(透光性基板と外部との界面)は該表面で反射されて透光性基板301に向かい、その内のさらに一部はセンサTFT321の半導体層610に入射する。
【0091】
そして、センサTFT321が形成されている領域には、複数の改質点330が密集するように形成されている。したがって、上述の第1の実施形態で述べたように、透光性基板301のセンサTFT321と平面視で重なる領域に入射した光を効率よく受光できる。したがって、有機EL素子310の経時劣化をより一層正確に把握でき、より一層好ましい調整(補正)を実施することができる。したがって、有機EL装置1206を備える電子機器としてのパーソナルコンピュータ1200において、より一層高品質の画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施形態にかかる露光ヘッドを適用できる画像形成装置を示す図。
【図2】第1の実施形態にかかる画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】第1の実施形態にかかる露光ヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態にかかる露光ヘッドの幅方向断面図。
【図5】第1の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図6】改質点の形成方法の一例を示す図。
【図7】第2の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図8】第3の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図9】第4の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図10】第5の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図11】第6の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図12】第7の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図13】変形例にかかる電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す図。
【図14】変形例にかかる有機EL装置の表示領域における画素の配置等を示す図。
【図15】変形例にかかる有機EL装置が備える発光基板における、画素の模式断面図。
【図16】従来の露光ヘッドが備える発光基板を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置本体、3…ハウジング本体、4…排紙トレイ、5…電装品ボックス、7…画像形成ユニット、8…転写ベルトユニット、11…給紙ユニット、12…2次転写ユニット、13…定着ユニット、15…シート案内部材、21…像担持体としての感光体ドラム、23…帯電部、25…現像部、27…感光体クリーナ、29…露光ヘッド、51…画像処理部、52…メイン側通信モジュール、53…ヘッド側通信モジュール、54…ヘッド制御モジュール、71…クリーナ部、77…給紙カセット、79…ピックアップローラ、80…レジストローラ対、81…転写ベルト、82…駆動ローラ、83…従動ローラ、85…1次転写ローラ、86…下流ガイドローラ、121…2次転写ローラ、131…加熱ローラ、132…加圧部、251…現像ローラ、291…ケース、294…封止部材、299…レンズアレイ、300…発光基板、301…透光性基板、302…対向基板、310…発光素子としての有機EL素子、315…光反射層、320…光検出手段、321…光検出手段としてのセンサTFT、330…改質点、350…集光レンズ、355…レーザ光、602…チャネル領域、604…ソース領域、606…ドレイン領域、608…ゲート絶縁膜、610…半導体層、612…ゲート電極、620…駆動用TFT、632…第1の層間絶縁膜、634…第2の層間絶縁膜、641…第1のコンタクトホール、642…ソース電極、643…第2のコンタクトホール、644…ドレイン電極、645…第3のコンタクトホール、650…画素電極、652B…青色機能層、652G…緑色機能層、652R…赤色機能層、654…陰極、656…接着層、711…クリーナブレード、713…廃トナーボックス、1200…パーソナルコンピュータ、1202…キーボード、1204…本体部、1206…有機EL装置、1208…表示領域、1321…ローラ、1322…ローラ、1323…加圧ベルト、2911…位置決めピン、2912…ねじ挿入孔、2913…裏蓋、2914…固定器具、B…青画素、G…緑画素、R…赤画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備える露光ヘッド、該露光ヘッドを備える画像形成ユニット、及び、該露光ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムを露光して該感光体ドラムの表面に形成した潜像を、1次転写ローラ等を介して紙等の媒体に転写して画像を形成する方式の画像形成装置に用いられる露光ヘッドのひとつとして、基板上に規則的に配置した発光素子と屈折率分布型レンズとを用いる型のものがある。1つの発光素子から射出された光を複数の屈折率分布型レンズの夫々が感光体ドラムの表面の同一位置に重なるように結像することで、該表面に1つのスポットが形成される。かかるスポットが集合することで、画像(潜像)となる。
【0003】
かかる方式の露光ヘッドで起こり得る問題として、複数の発光素子間の光量のばらつきがある。発光頻度のばらつき等により、同一の電流あるいは電圧を印加した場合における各々の発光素子が射出する光の強度が経時的に変化してばらつきとなり、良好な画像(潜像)を形成する際の妨げとなる。かかる現象を抑制するために、例えば特許文献1に記載の露光ヘッドでは、発光基板上に発光素子と共に光検出手段を配置して、発光素子毎の光量を測定することが可能となっている。
【0004】
図16に、かかる方式、即ち従来の露光ヘッドが備える発光基板として、発光素子としてボトムエミッション型の有機EL素子310を用いる発光基板300を模式的に示す。(a)が上面図、(b)が側面図、(c)がB−B’線における断面図である。図示するように、透光性基板301上に千鳥状に配置された有機EL素子310の周辺に、光検出手段としてのフォトダイオード等の受光素子からなる光検出手段320が配置されている。
【0005】
有機EL素子310から射出された光の一部が、透光性基板301の表面と裏面とで反射を繰り返しながら光検出手段320に到達する構成となっており、個々の有機EL素子310を順次点灯させて光量を測定できる。そして、かかる測定結果に基づき、各々の有機EL素子310に印加する電流(又は電圧)値を補正することで、高精度の画像(潜像)を形成することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−66758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記構成の発光基板では有機EL素子310が射出する光のうち光検出手段320で測定できる光の割合が少ないという課題がある。すなわち、図16(c)に示すように、光検出手段320に到達する光は角度範囲θaの範囲内の光L1に限られており、該角度範囲外の光は光検出手段320に到達することなく発光基板300の外部に射出される。したがって、有機EL素子310の発光強度の経時変化を正確に把握することが困難であり、複雑な増幅回路あるいはノイズ低減回路等を用いない場合、上述の補正の精度が低下し得るという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に配置された複数の発光素子と、前記透光性基板に配置された、前記発光素子から射出され前記透光性基板内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段と、を含む発光基板を備え、前記発光素子から射出され前記透光性基板を透過した光を、前記発光素子と前記透光性基板を介して対向する像担持体上に照射して、前記像担持体に所定のパターンを形成する露光ヘッドであって、前記透光性基板内には、該透光性基板内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点が形成されていることを特徴とする露光ヘッド。
【0010】
このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を増加させることができる。したがって、上述の補正を高い精度で行うことができ、高精度の画像(潜像)を形成することができる。
【0011】
[適用例2]
上述の露光ヘッドであって、前記透光性基板の表面における、前記発光素子が配置されている領域と該発光素子と対向する領域と前記光検出手段が配置されている領域と、を除く領域の少なくとも一部に、前記発光素子が射出する光を反射する光反射層が配置されていることを特徴とする露光ヘッド。
【0012】
このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができる。したがって、上述の補正をより一層高い精度で行うことができ、より一層高精度の画像を形成することができる。
【0013】
[適用例3]
上述の露光ヘッドであって、前記発光素子が有機EL素子であることを特徴とする露光ヘッド。
【0014】
このような構成によれば、上記透光性基板上にTFTプロセスで形成した駆動用トランジスタと有機EL素子を組み合わせることができ、上記露光ヘッドの製造コストを低減できる。
【0015】
[適用例4]
上述の露光ヘッドであって、前記改質点はレーザ光で形成されたものであることを特徴とする露光ヘッド。
【0016】
レーザ光を用いると上記透光性基板内の任意の位置に上記改質点を形成できる。したがって、このような構成によれば、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができ、上述の補正を効率的に行える。
【0017】
[適用例5]
上述の露光ヘッドであって、前記改質点の形成密度が、前記透光性基板内の位置により異なることを特徴とする露光ヘッド。
【0018】
このような構成によれば、例えば上記光検出手段の近傍に高い密度で上記改質点を形成することで、上記光検出手段に入射する光の量を効率的に増加させることができる。したがって、上記露光ヘッドの製造コストを低減しつつ、上述の補正を効率的に行うことができる。
【0019】
[適用例6]
上述の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【0020】
このような構成によれば、上記像担持体に高精度の画像(潜像)を形成できるため、紙等の媒体に形成する画像の品質を向上できる。
【0021】
[適用例7]
上述の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
【0022】
このような構成によれば、上記像担持体に高精度の画像(潜像)を形成できるため、紙等の媒体に形成する画像の品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明を具体化した電気光学装置としての液晶装置の実施形態について述べる。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、該各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜図4に、本実施形態にかかる露光ヘッド、及び該露光ヘッドを備える画像形成ユニット、及び該画像形成ユニットを備える画像形成装置1を示す。
図1は、第1実施形態にかかる露光ヘッド29を適用できる画像形成装置1を示す図である。また、図2は、図1に示す画像形成装置1の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置1である。
【0025】
なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置1では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsync及びパラメータ値とに基づき各色の露光ヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙及びOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0026】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラEC及びヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8及び給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、画像形成装置1本体に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット及び転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理又は交換を行うことが可能な構成になっている。
【0027】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MD(図3参照)に所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され、回転方向D21(図1に示す矢印の方向)の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに略直交する副走査方向SD(図4参照)に搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、露光ヘッド29、現像部25及び感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0028】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0029】
露光ヘッド29は、その長手方向が主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向が副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21に対して配置されている。したがって、露光ヘッド29の長手方向は、主走査方向MDと略平行である。そして、露光ヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して(つまり、露光して)該表面に潜像を形成する。なお、この実施形態では、各色の露光ヘッド29を制御するためにヘッドコントローラHCが設けられ、メインコントローラMCからのビデオデータVDと、エンジンコントローラECからの信号とに基づき各露光ヘッド29を制御している。すなわち、この実施形態では、画像形成指令に含まれる画像データがメインコントローラMCの画像処理部51に入力される。そして、該画像データに対して種々の画像処理が施されて各色のビデオデータVDが作成されるとともに、該ビデオデータVDがメイン側通信モジュール52を介してヘッドコントローラHCに与えられる。また、ヘッドコントローラHCでは、ビデオデータVDはヘッド側通信モジュール53を介してヘッド制御モジュール54に与えられる。このヘッド制御モジュール54には、上記したように潜像形成に関連するパラメータ値を示す信号と垂直同期信号VsyncがエンジンコントローラECから与えられている。そして、これらの信号及びビデオデータVDなどに基づきヘッドコントローラHCは各色の露光ヘッド29に対して素子駆動を制御するための信号を作成し、各露光ヘッド29に出力する。こうすることで、各露光ヘッド29において発光素子の作動が適切に制御されて画像形成指令に対応する潜像が形成される。
【0030】
そして、この実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25及び感光体クリーナ27を感光体カートリッジとしてユニット化している。また、各感光体カートリッジには、該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。
【0031】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動して露光ヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0032】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0033】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側でかつ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0034】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0035】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0036】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側でかつ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0037】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0038】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0039】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0040】
また、この装置では、従動ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介して従動ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、従動ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するように従動ローラ83が移動する場合は、従動ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0041】
図3は、本実施形態にかかる露光ヘッドの概略を示す斜視図である。また、図4は、図3に示した露光ヘッドの幅方向断面図である。上述の通り、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、露光ヘッド29は感光体ドラム21に対して配置されている。なお、長手方向LGDと幅方向LTDは、互いに略直交する。本実施形態における露光ヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、露光ヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そしてさらに、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、露光ヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0042】
ケース291は感光体ドラム21の表面に対向する位置にレンズアレイ299を保持するとともに、内部に該レンズアレイに対向するように発光基板300を備えている。レンズアレイ299は複数の屈折率分布型のレンズを千鳥状に配置して構成されており、後述する有機EL素子310が射出する光を、感光体ドラム21上に結像させている。
【0043】
発光基板300はガラス等の透光性材料からなる透光性基板301(図5参照)と、該透光性基板の裏面(レンズアレイ299と対向する面の反対側の面)に(長手方向に)千鳥状に配置された複数の、発光素子としての有機EL素子310等からなる。上記裏面に配置された図示しない駆動回路よって駆動され、レンズアレイ299の方向に向けて光を射出する。そして、かかる光がレンズアレイ299により、感光体ドラム21の表面にスポットとして結像される。
なお、レンズアレイ299は、複数の同一形状の屈折率分布型レンズを二段に俵積みして構成されている。後述する発光基板300上の有機EL素子310の配置に対応させた構成であり、光軸に垂直な断面は、円形断面が千鳥状に2列に並んだ状態である。
【0044】
図4(幅方向断面図)に示すように、固定器具2914によって、裏蓋2913が発光基板300を介してケース291に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291側に押圧する弾性力を有するとともに、かかる弾性力により裏蓋を押圧することで、ケース291の内部を光密に(つまり、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉している。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向(LGD)に複数箇所設けられている。また、有機EL素子310は、封止部材294により覆われている。
【0045】
図5は、本実施形態にかかる発光基板300を模式的に示す図である。図5(a)は上述の裏面方向から見た平面図であり、図5(b)は側面図である。そして図5(c)は図5(a)のA−A’線における断面を拡大して示す図であり、図5(d)は後述する改質点330が形成されている部分を拡大して示す図である。
【0046】
図5(a)及び図5(b)に示すように、発光基板300は、透光性基板301と、該透光性基板の裏面に千鳥状に配置された複数の有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された複数の(フォトダイオード等の受光素子からなる)光検出手段320等からなっている。なお、上記図5(a)〜図5(d)、及び、後に記載する図7から図12において、有機EL素子310は一部のみ図示している。
【0047】
透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域の厚さ方向に、光の直進性を妨げる複数の改質点330が形成されている。かかる改質点330は、透光性基板301の形成材料であるガラス等に形成された気泡、クラック、組織欠陥等であり、照射された光の直進性を妨げることができる。したがって、図5(c)に示すように、角度範囲θaの範囲外の光L2、すなわち従来の発光基板においては光検出手段320に入射することのなかった光を反射等させて、進行方向を変化させることができる。上述の反射等は一回のみでなく連続して発生する。したがって、上述の光検出手段320が配置されている領域に照射された光は、直進せずに乱反射を繰り返す。
【0048】
図5(d)は、かかる乱反射の態様を示すものである。改質点330は複数個が密集するように形成されているため、上述の領域に入射した光L2は、光検出手段320に入射して取り込まれるか、あるいは上述の領域外に達するまでは、乱反射を継続する。したがって、改質点330を形成することにより、従来の発光基板においては光検出手段320に入射することのなかった光のうちの少なくとも一部を光検出手段320に入射させることができ、有機EL素子310から射出される光のうちの光検出手段320に入射する光の割合を増加させることができる。
【0049】
上述したように、長手方向LGD(図3参照)に配置した有機EL素子310を用いて感光体ドラム21上に潜像を形成する発光基板300においては、有機EL素子310毎の発光頻度により経時劣化の程度にばらつきが生じる。そのため、高精度の画像を形成するためには定期的に有機EL素子310毎の発光強度を測定して補正する必要がある。本実施形態の発光基板300を用いる画像形成ユニット7、及び画像形成装置1は、は有機EL素子310及び光検出手段320等の配置の態様を、従来の発光基板等と同様にした場合において光検出手段に入射する光量を増加させることができる。したがって複雑な増幅回路あるいはノイズ低減回路等を用いることなく、有機EL素子310の発光強度の経時変化をより一層正確に把握してより一層正確に(各々の有機EL素子に印加する電流量等を)補正することができ、該経時変化にもかかわらず、より一層正確な画像を形成できる。
【0050】
なお、図示するように、光検出手段320は1つの発光基板300に複数個配置されている。そして、1つの有機EL素子が射出する光は、かかる複数個の光検出手段320全てに入射される。(入射する光量は、個々の光検出手段320の位置により異なる。)したがって、光検出手段320による測定値(後述するPhn)とは、全ての光検出手段320の測定値の合計量である。
【0051】
上記補正は以下のように実施される。まず、露光ヘッド29を形成した段階(画像形成装置に組み込む前の段階)で、有機EL素子310から光を射出させて感光体ドラム21の表面に相当する位置に形成されるスポットの光量を、各有機EL素子310について測定する。具体的には、露光ヘッド29を検査装置に取り付ける。検査装置には、露光ヘッド29の各有機EL素子310から射出される光の光量を、感光体ドラム21の表面に対応する像面位置で検出する光量検出器が配置されている。この光量検出器は、1個の検出器を移動させつつ各有機EL素子310から射出される光の光量を検出するものでもよいし、有機EL素子310毎に検出器を配置したものでもよい。そして、各有機EL素子310を順に発光させて、検査装置の光量検出器で検出した値Pgnと、露光ヘッド29の光検出手段320で検出した値Phn(nはn番目の発光素子を表す)とを得るとともに、各有機EL素子310について補正係数Pgn/Phnを算出する。このようにして求めた補正係数Pgn/Phnは、例えば図2に示すエンジンコントローラECに記憶しておく。そして、次に説明するように、補正係数Pgn/Phnに基づいて、画像形成装置としての補正が実施される。
【0052】
画像形成装置1としての補正は、まず有機EL素子310の光量ばらつきが検出される。かかる光量ばらつき検出は、画像形成装置1の電源投入時、画像形成動作開始前等の、通常の画像形成動作が実行されていない間に行われる。具体的には、各有機EL素子310を順番に発光させながら、光検出手段320の検出値が測定される。そして、光検出手段320の測定値に補正係数Pgn/Phnを乗じることによって、各有機EL素子310により感光体ドラム21の表面で形成されるスポットの光量が算出される。算出された光量がばらついており、所望の光量が実現されていない場合は、所望の光量が得られるように有機EL素子310の駆動を制御する。つまり、所望の光量と算出された光量とを比較して、算出された光量が所望の光量となるように、有機EL素子310に流す電流等を調整する。そして、このような調整動作を全ての有機EL素子310について実行することで、複数の有機EL素子310の間での光量ばらつきが抑制される。その結果、良好な露光が実現される。なお、所望の光量に関する情報や、駆動制御動作を実行させるプログラム等は、例えばエンジンコントローラECに予め記憶しておいてもよい。
【0053】
次に、改質点330の形成方法について述べる。図6は、改質点330の形成方法の一例を示すものであり、レーザ光355を用いて透光性基板301に改質点を形成する態様を示している。図6(a)に示すように、図示しない光源から射出される所定の径を有するレーザ光355を、集光レンズ350により透光性基板301内の一点に集光させることで、周囲の形質(透光性等)に影響を及ぼすことなくかかる一点に気泡、クラック等を形成して、改質点330とすることができる。そして図示しない光源と集光レンズ350とを備えるユニットと、透光性基板301とを相対的に移動させることにより、透光性基板301内部の任意の部分に複数個の改質点330を形成できる。
【0054】
図6(b)は、上述の光源と集光レンズ350とを備えるユニットを2組用いて改質点330を形成する態様を示す図である。2組のレーザ光355を同一の点に集光することで、より多くのエネルギーを一点に集中でき、より一層周囲の形質に影響を及ぼすことなく、また短時間で、透光性基板内の一点を改質できる。なお、上記ユニットを3組以上用いることも可能である。また、改質点330の形成は、透光性基板301上に有機EL素子を形成する前、あるいは後のいずれの時点でも可能である。
【0055】
レーザ光355は、YAGレーザの第2高調波(波長=532nm)あるいはYAGレーザの第3高調波(波長=355nm)が好ましい。長パルス幅を有するため、形成される改質点330がクラック状となり、有機EL素子から射出される光を効率よく反射できる。また、チタンサファイヤ固体フェムト秒レーザ(波長=800nm)を用いてもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の発光基板300、及び後述する第3〜第7の実施形態の発光基板300は、第1の実施形態の発光基板300と同様に、レンズアレイ299等と組み合わされて露光ヘッド29となり、さらに画像形成ユニット7、及び画像形成装置1の構成要素となる。そして、かかる場合における、レンズアレイ299等の構成要素は、発光基板300を除くと共通である。そこで、本実施形態及び第3〜第7の実施形態については、発光基板300についてのみ述べる。
【0057】
図7は、第2の実施形態の発光基板300を示す図である。図7(a)が平面図、図7(b)が側面図である。発光基板300の構成は、第1の実施形態の発光基板300と、後述する光反射層の有無を除くと共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320等からなる。そして、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域の厚さ方向に、光の直進性を妨げる複数の改質点330が形成されている。そして、透光性基板301の下面の光検出手段320と対向する領域には、光反射層315が配置されている。光反射層315はアルミニウム等の反射性の高い金属で形成されている。形成方法はスパッタ法等による成膜でもよく、また金属板を貼付してもよい。
【0058】
かかる構成によれば、改質点330によって反射された後、透光性基板301の外部に向かう光を、再度改質点330が形成されている領域に戻して乱反射させることができる。したがって、光検出手段320の寸法等を変化させることなく、該光検出手段に入射する光の割合を増加させることができる。したがって、有機EL素子310の経時劣化の程度をより一層正確に把握してより一層正確な補正(調整)を実施でき、より一層高品質の画像を形成できる。なお、光反射層315は鏡面反射層でもよく、また、乱反射層であってもよい。
【0059】
図7においては、光反射層315の形状(平面視での形状)は、光検出手段320の形状と略一致するように図示されているが、光反射層315の形状は、かかる形状に限定されるものではない。また、光反射層315の配置位置は透光性基板301の下面(有機EL素子310が形成されている面と対向する面)に限定されない。有機EL素子310が形成されている領域、及び有機EL素子310から射出されてレンズアレイ299に入射する光の経路と重なる領域を除く全域に配置することもできる。したがって、透光性基板301の側面(上面及び下面以外の面)にも配置できる。
【0060】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態の発光基板300を示す図である。図8(a)が平面図、図8(b)が側面図である。発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315等からなる。
【0061】
第2の実施形態の発光基板と異なる点は、光検出手段320及び光反射層315の位置である。透光性基板301の下面、すなわち有機EL素子310が配置されている面(上面)の反対側の面に光検出手段320が配置されており、光反射層315は上面に配置されている。
かかる構成によれば、有機EL素子310から射出され、改質点330に一回も当たらずに下面に到達する光のうちの一部を、光検出手段320に受光させることができる。また、改質点330により乱反射した後、上面に向かう光を光反射層315で反射して、再度改質点330が密集している部分に向かわせて、再度乱反射させることができる。そして、再度乱反射させた光の一部を、光検出手段320に入射させることができる。そのため、光検出手段320の寸法等を変化させることなく、該光検出手段に入射する光の割合を増加させることができる。したがって、有機EL素子310の経時劣化の程度をより一層正確に把握してより一層正確な補正(調整)を実施でき、より一層高品質の画像を形成できる。
【0062】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態の発光基板300を示す図である。図9(a)が平面図、図9(b)が側面図である。本実施形態の発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態及び第3の実施形態の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に配置された光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成っている。そして光検出手段320が配置される位置が、第1の実施形態の発光基板300とは異なっている。
【0063】
本実施形態の発光基板300においては、第1の実施形態の発光基板300において光検出手段320が配置されていた領域、及び該領域に対向する領域に、光反射層315が配置されている。そして上述双方の光反射層315の間(双方の光反射層315で挟持される領域)に複数の改質点330が形成されている。そして光検出手段320は、透光性基板301のかかる改質点330が形成されている部分の側面に配置されている。
【0064】
対向する光反射層の間に、改質点330が密集するように形成されているため、改質点330に当たって乱反射した後に、透光性基板301の上面あるいは下面に向かう光は、どちらかの光反射層315で反射されて再度改質点330に向かう。そして、改質点330に当たって乱反射した後に、透光性基板301の側面に向かう光は光検出手段320に入射する。したがって、光検出手段320に入射する光の割合をより一層増加させることができる。その結果、より一層正確な補正(調整)を実施することができ、より一層高品質の画像を形成できる。
【0065】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態の発光基板300を示す図である。本実施形態の発光基板300の構成は、第2の実施形態の発光基板300の構成と略一致している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成り、光検出手段320は透光性基板301の上面に配置されている。
【0066】
本実施形態の発光基板300は、改質点330の(透光性基板301における)厚さ方向の配置に特徴がある。そこで、平面図は省略して側面図のみを示す。本実施形態の発光基板300は、改質点330が、上述の厚さ方向では重ならない様に形成されていることが特徴である。改質点330で反射されて光検出手段320の方向に向かう光が他の改質点330に当たって反射することが抑制されるため、光検出手段320に入射する光の割合を増加させることができる。その結果、より一層正確な補正(調整)を実施することができ、より一層高品質の画像を形成できる。
【0067】
(第6の実施形態)
図11は、第6の実施形態の発光基板300を示す図である。本実施形態の発光基板300の構成は、第2の実施形態の発光基板300の構成と略一致している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成り、光検出手段320は透光性基板301の上面に配置されている。
【0068】
本実施形態の発光基板300は、第5の実施形態の発光基板300と同様に、改質点330の(透光性基板301における)厚さ方向の配置に特徴がある。そこで、平面図は省略して側面図のみを示す。
【0069】
本実施形態の発光基板300は、改質点330が、上述の厚さ方向で密度に差が生じるように形成されていることが特徴である。すなわち、改質点330は上面に近づくにつれて高密度となるように形成されている。かかる構成によれば光検出手段320に近い領域で乱反射が高い頻度で発生するため、有機EL素子310から射出され光検出手段320の近傍を透過する光を、高い割合で光検出手段320に入射させることができる。また、効果が薄い改質点330を形成することを抑制できるため、製造コストを低減できる。
【0070】
(第7の実施形態)
図12は、第7の実施形態の発光基板300を示す図である。図12(a)が平面図、図12(b)が側面図である。本実施形態の発光基板300を構成する要素は、第2の実施形態等の発光基板300と略共通している。すなわち、発光基板300は、透光性基板301と、透光性基板301上に千鳥状に配置された発光素子としての有機EL素子310と、該有機EL素子の周囲に光検出手段320と、透光性基板301の光検出手段320が配置されている領域に形成された光の直進性を妨げる複数の改質点330と、光反射層315と、から成っている。そして、光検出手段320等の数が増加している点で、第2の実施形態の発光基板300等と異なっている。
【0071】
本実施形態の発光基板300においては、透光性基板301の中央部の、有機EL素子310が千鳥状に配置されている領域の周辺を取り囲むように光検出手段320が配置されている。そして透光性基板301の下面の、平面視で光検出手段320と重なる領域には光反射層315が配置され、該光反射層と光検出手段320との間には改質点330が形成されている。
【0072】
有機EL素子310の周囲が、平面視で、光検出手段320と改質点330と光反射層315とで囲まれているため、有機EL素子310から射出される光は高い確率でいずれかの光検出手段320に入射する。したがって、光検出手段320に入射する光の割合をより一層増加させることができ、より一層正確な補正(調整)を実施して、より一層高品質の画像を形成できる。
【0073】
なお、光反射層315は完全に連続させて環状にしてもよい。また、光検出手段320も透光性基板301上にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはTFD(薄膜ダイオード)等を造りこむことで、環状に配置することもできる。
【0074】
(変形例)
次に変形例として、透光性基板301上に形成された発光素子としての有機EL素子310と該有機EL素子の近辺に配置された光検出手段320と該光検出手段の近辺に形成された改質点330を有する発光基板300を備える有機EL装置及び該有機EL装置を有する電子機器について述べる。
【0075】
図13は、上記の有機EL装置を有する電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す図である。パーソナルコンピュータ1200はキーボード1202を備えた本体部1204と、光検出手段と該光検出手段の近辺に形成された改質点とを有する発光基板を備え、表示領域1208に画像表示可能な有機EL装置1206とを備えている。
【0076】
図14は、変形例にかかる有機EL装置1206の表示領域1208における画素の配置等を示す図である。図14(a)は画素Pの配置を示し、図14(b)及び図14(c)は画素P内のサブ画素及び光検出手段の配置の一例を示している。有機EL装置1206はカラー表示可能であり、有機EL装置1206の表示領域1208には、図14(a)に示すように画素Pが規則的に配置されている。各々の画素が、(発光の)強度及び色彩等が個別に制御された光を射出することで表示領域1208にカラー画像を表示できる。なお、上記の図において画素Pはマトリクス状に配置されているが、千鳥状等の他の配置とすることもできる。
【0077】
各々画素Pは、サブ画素である、赤色光を射出する赤画素Rと緑色光を射出する緑画素Gと青色光を射出する青画素B、及び少なくとも1つの光検出手段としてのセンサTFT321を、各1つずつ備えている。各々のサブ画素は、有機EL素子310と後述する駆動用TFT620(図15参照)とを備えている。上記サブ画素等の配置は、図14(b)に示すように一列に並べて配置されてもよく、また、図14(c)に示すように、センサTFT321が各サブ画素と隣り合うように配置されてもよい。
【0078】
本実施形態の有機EL装置1206は上記の画像形成装置1と同じく、電源投入時等に表示領域に配置された全てのサブ画素を順次発光させて、各々の画素毎にセンサTFT321で光量を測定できる。そして、かかる測定値と、有機EL装置1206の製造時において同一の手法で測定して得た値とを比較することにより各々のサブ画素毎の経時劣化の程度を算出して、画像を表示する際には補正することができる。すなわち、好ましい光量が得られるように、各々の有機EL素子310に流す電流等を補正できる。
【0079】
そして、後述するように、光検出手段としてのセンサTFT321が形成されている領域に複数の改質点330(図15参照)が形成されているため、有機EL素子310から射出される光のうちのセンサTFT321に入射する光の割合を増加させることができる。その結果、上記補正をより一層高い精度で実施でき、より一層高品質の画像を表示できる。
【0080】
なお、有機EL装置1206は、画像表示時には、個々の画素毎に夫々異なる値の電流等を供給して任意の光量を得ているが、上述の光量測定時には全ての画素(サブ画素)が備える有機EL素子に同一の電流量等供給する。したがって、上記測定値は、各々の有機EL素子310に対して同一の電流を供給した場合における、各々の有機EL素子310が射出する光量の測定値である。以下、本変形例にかかる有機EL装置1206の構成について述べる。
【0081】
図15は、本変形例の有機EL装置1206が備える発光基板300における、1つの画素Pを構成する領域の模式断面図である。発光基板300は、透光性基板301、及び該透光性基板上に形成された駆動用TFT620及び有機EL素子310等からなる。そして発光基板300が後述するように接着層656により対向基板302と貼り合わされて有機EL装置1206となる。図示するように画素Pは、透光性基板301と対向基板302との間に形成された有機EL素子310等からなる。上述したように、画素Pは3種類のサブ画素と光検出手段としてのセンサTFT321とからなる。上述したように各々のサブ画素は有機EL素子310と該有機EL素子を駆動する駆動用TFT620、及び図示しない保持容量等からなる。
【0082】
図示するように、透光性基板301上には駆動用TFT620に隣り合うようにセンサTFT321が形成されている。センサTFT321は有機EL素子310が射出する光の一部を受光して、各々の有機EL素子310の発光強度を測定できる。かかる測定結果に基づいて各々の有機EL素子310に供給する電流量を補正(調整)することで高品質の画像を表示(形成)できる。
【0083】
そして、本実施形態の有機EL装置1206が備える発光基板300の、センサTFT321が形成されている領域の透光性基板301内には、複数の改質点330が密集するように形成されている。上述の露光ヘッド29と同様に、本実施形態の有機EL装置1206のセンサTFT321は、有機EL素子が射出する光を、改質点330により高い比率で受光することができ、上述の補正をより一層有効に実施できる。有機EL素子310及び駆動用TFT620の構成は、以下の通りである。
【0084】
透光性基板301上には、多結晶シリコン層を島状にパターニングして形成された半導体層610、SiO2等の絶縁材料からなるゲート絶縁膜608、及びクロム等の高融点金属からなるゲート電極612が、順に形成されている。半導体層610の平面視でゲート電極612と重なる領域がチャネル領域602であり、該領域の両側はP(燐)等の不純物が導入されてソース領域604及びドレイン領域606となっている。かかる要素により、駆動用TFT620が構成されている。なお、透光性基板301と半導体層610との間に、SiO2等からなるバッファー層を形成してもよい。
【0085】
ゲート電極612上にはSIO2等からなる第1の層間絶縁膜632が形成されている。そして、半導体層610のソース領域604及びドレイン領域606に対応する位置に第1のコンタクトホール641及び第2のコンタクトホール643が形成されている。上記双方のコンタクトホールにはアルミニウム等からなるソース電極642及びドレイン電極644が形成され、該双方の電極上にはSIO2等からなる第2の層間絶縁膜634が形成されている。そして、第2の層間絶縁膜634のドレイン電極644に対応する位置には、第3のコンタクトホール645が形成され、該第3のコンタクトホールを介してドレイン電極644と接続する画素電極(陽極)650が形成されている。画素電極650はITO(酸化インジウム・すず)等の透光性導電材料層を島状にパターニングして形成されており、後述する機能層に通電するとともに機能層内で生じた光を投下させて透光性基板301を介して発光基板300の外部に射出できる。なお、本実施形態の有機EL装置1206が備える有機EL素子310は、透光性基板301側に光を射出するボトムエミッション型である。各々の画素電極650はポリイミド等の絶縁性有機材料層、又は絶縁性無機材料層を画素電極650が露出するようにパターニングして形成された隔壁636により区画されている。
【0086】
隔壁636と画素電極650とからなる凹部には、各々のサブ画素が備える有機EL素子310が射出する光に対応する機能層が形成されている。すなわち、赤画素Rには赤色光に対応する赤色機能層652Rが、緑画素Gには緑色光に対応する緑色機能層652Gが、青画素Bには青色光に対応する青色機能層652Bが夫々形成されている。なお(図示は省略しているが)各機能層は、正孔注入輸送層と発光層と電子注入輸送層とを積層して形成されている。上記の3要素の内でサブ画素間で異なる要素は発光層のみであり、正孔注入輸送層と電子注入輸送層とはサブ画素間で共通である。
【0087】
上記各機能層及び隔壁636の上には、発光基板300上の全面にアルミニウム、マグネシウム・銀合金等からなる陰極654が形成されている。画素電極650、陰極654、及び該一対の電極間の機能層とで有機EL素子310となる。画素電極650と陰極654との間に電圧を印加して機能層(に含まれる発光層)に電流を流すことにより、画素電極650から供給される正孔と陰極から供給される電子とが発光層内で結合する。そして、結合によるエネルギーで励起された発光層(内の発光材料)が、励起状態から再び基底状態に戻る際に光を発生する。発光基板300はかかる光を透光性基板301から射出することで画像を形成する。そして、陰極654の形成により発光基板300が完成し、該発光基板が接着層656により対向基板302と貼り合わされて、有機EL装置1206となる。
【0088】
透光性基板301上には上記のサブ画素と並んで、光検出手段としてのセンサTFT321が形成されている。センサTFT321の構成は(寸法を除いて)駆動用TFT620と同様であり、用途が異なっている。したがって、別の工程を加えることなしに、駆動用TFT620と同時に形成できる。
【0089】
上述の電源投入時等における光量測定において、センサTFT321は、隣り合うサブ画素が射出する光の一部を受光して、受光した光の強度、すなわち劣化の程度に応じた電流又は電圧を出力する。そして、かかる電流値又は電圧値は、マトリクス状に配置された画素Pの周囲に配置されている制御回路に伝達され記憶される。センサTFT321はサブ画素からなる画素P毎に配置されているため、個々のサブ画素の劣化の程度を検出できる。したがって、上述の制御回路は、画像表示時に各々のサブ画素毎に(該各々のサブ画素の劣化の程度に応じた)異なる電流を供給して、該劣化による光量の低下を補正できる。その結果、本実施形態の有機EL装置1206は、有機EL素子310の経時劣化にもかかわらず、常に高品質の画像を表示できる。
【0090】
ここで上述の有機EL素子が射出する光は、図15の矢印に示すように、透光性基板301に対して垂直の方向に多くの割合で向かう。しかし、上述の第1の実施形態で述べたように、透光性基板301に所定の範囲の角度で照射される一部(透光性基板と外部との界面)は該表面で反射されて透光性基板301に向かい、その内のさらに一部はセンサTFT321の半導体層610に入射する。
【0091】
そして、センサTFT321が形成されている領域には、複数の改質点330が密集するように形成されている。したがって、上述の第1の実施形態で述べたように、透光性基板301のセンサTFT321と平面視で重なる領域に入射した光を効率よく受光できる。したがって、有機EL素子310の経時劣化をより一層正確に把握でき、より一層好ましい調整(補正)を実施することができる。したがって、有機EL装置1206を備える電子機器としてのパーソナルコンピュータ1200において、より一層高品質の画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施形態にかかる露光ヘッドを適用できる画像形成装置を示す図。
【図2】第1の実施形態にかかる画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】第1の実施形態にかかる露光ヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態にかかる露光ヘッドの幅方向断面図。
【図5】第1の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図6】改質点の形成方法の一例を示す図。
【図7】第2の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図8】第3の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図9】第4の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図10】第5の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図11】第6の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図12】第7の実施形態にかかる発光基板を模式的に示す図。
【図13】変形例にかかる電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す図。
【図14】変形例にかかる有機EL装置の表示領域における画素の配置等を示す図。
【図15】変形例にかかる有機EL装置が備える発光基板における、画素の模式断面図。
【図16】従来の露光ヘッドが備える発光基板を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置本体、3…ハウジング本体、4…排紙トレイ、5…電装品ボックス、7…画像形成ユニット、8…転写ベルトユニット、11…給紙ユニット、12…2次転写ユニット、13…定着ユニット、15…シート案内部材、21…像担持体としての感光体ドラム、23…帯電部、25…現像部、27…感光体クリーナ、29…露光ヘッド、51…画像処理部、52…メイン側通信モジュール、53…ヘッド側通信モジュール、54…ヘッド制御モジュール、71…クリーナ部、77…給紙カセット、79…ピックアップローラ、80…レジストローラ対、81…転写ベルト、82…駆動ローラ、83…従動ローラ、85…1次転写ローラ、86…下流ガイドローラ、121…2次転写ローラ、131…加熱ローラ、132…加圧部、251…現像ローラ、291…ケース、294…封止部材、299…レンズアレイ、300…発光基板、301…透光性基板、302…対向基板、310…発光素子としての有機EL素子、315…光反射層、320…光検出手段、321…光検出手段としてのセンサTFT、330…改質点、350…集光レンズ、355…レーザ光、602…チャネル領域、604…ソース領域、606…ドレイン領域、608…ゲート絶縁膜、610…半導体層、612…ゲート電極、620…駆動用TFT、632…第1の層間絶縁膜、634…第2の層間絶縁膜、641…第1のコンタクトホール、642…ソース電極、643…第2のコンタクトホール、644…ドレイン電極、645…第3のコンタクトホール、650…画素電極、652B…青色機能層、652G…緑色機能層、652R…赤色機能層、654…陰極、656…接着層、711…クリーナブレード、713…廃トナーボックス、1200…パーソナルコンピュータ、1202…キーボード、1204…本体部、1206…有機EL装置、1208…表示領域、1321…ローラ、1322…ローラ、1323…加圧ベルト、2911…位置決めピン、2912…ねじ挿入孔、2913…裏蓋、2914…固定器具、B…青画素、G…緑画素、R…赤画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板と、
前記透光性基板の一方の面に配置された複数の発光素子と、
前記透光性基板に配置された、前記発光素子から射出され前記透光性基板内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段と、
を含む発光基板を備え、
前記発光素子から射出され前記透光性基板を透過した光を、前記発光素子と前記透光性基板を介して対向する像担持体上に照射して、前記像担持体に所定のパターンを形成する露光ヘッドであって、
前記透光性基板内には、該透光性基板内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点が形成されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の露光ヘッドであって、前記透光性基板の表面における、前記発光素子が配置されている領域と該発光素子と対向する領域と前記光検出手段が配置されている領域と、を除く領域の少なくとも一部に、前記発光素子が射出する光を反射する光反射層が配置されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の露光ヘッドであって、前記発光素子が有機EL素子であることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の露光ヘッドであって、前記改質点はレーザ光で形成されたものであることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光ヘッドであって、前記改質点の形成密度が、前記透光性基板内の位置により異なることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
透光性基板と、
前記透光性基板の一方の面に配置された複数の発光素子と、
前記透光性基板に配置された、前記発光素子から射出され前記透光性基板内を伝播する光を検出可能な1又は複数の光検出手段と、
を含む発光基板を備え、
前記発光素子から射出され前記透光性基板を透過した光を、前記発光素子と前記透光性基板を介して対向する像担持体上に照射して、前記像担持体に所定のパターンを形成する露光ヘッドであって、
前記透光性基板内には、該透光性基板内を伝播する光を乱反射させる複数の改質点が形成されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の露光ヘッドであって、前記透光性基板の表面における、前記発光素子が配置されている領域と該発光素子と対向する領域と前記光検出手段が配置されている領域と、を除く領域の少なくとも一部に、前記発光素子が射出する光を反射する光反射層が配置されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の露光ヘッドであって、前記発光素子が有機EL素子であることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の露光ヘッドであって、前記改質点はレーザ光で形成されたものであることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光ヘッドであって、前記改質点の形成密度が、前記透光性基板内の位置により異なることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−184281(P2009−184281A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28492(P2008−28492)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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