露光装置、発光装置および画像形成装置
【課題】複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出する。
【解決手段】発光チップCは、副走査方向長さに比べて主走査方向長さが長い矩形状を有するチップ基板70と、このチップ基板70の表面に主走査方向に一列に番号順に並べられた256個の発光サイリスタL1〜L256とを備える。この発光チップCでは、発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光し、また、発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光する。発光サイリスタL1と隣接する位置には第1発光検出センサLR1が設けられ、発光サイリスタL256と隣接する位置には第2発光検出センサLR2が設けられ、発光サイリスタL128および発光サイリスタL129の両者と隣接する位置には第3発光検出センサLR3が設けられる。
【解決手段】発光チップCは、副走査方向長さに比べて主走査方向長さが長い矩形状を有するチップ基板70と、このチップ基板70の表面に主走査方向に一列に番号順に並べられた256個の発光サイリスタL1〜L256とを備える。この発光チップCでは、発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光し、また、発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光する。発光サイリスタL1と隣接する位置には第1発光検出センサLR1が設けられ、発光サイリスタL256と隣接する位置には第2発光検出センサLR2が設けられ、発光サイリスタL128および発光サイリスタL129の両者と隣接する位置には第3発光検出センサLR3が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備えた露光装置、発光装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンタや複写機等の画像形成装置において、感光体ドラム等の像保持体上を露光する露光装置として、近年、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイを用いたものが採用されている。
【0003】
公報記載の従来技術として、自己走査型発光素子アレイと呼ばれるものが存在する(特許文献1、2参照)。この自己走査型発光素子アレイでは、発光チップ内の各LEDを点灯させるためのスイッチ素子としてサイリスタ(転送サイリスタ)を用いている。なお、自己走査型発光素子アレイでは、LED自身もサイリスタ(発光サイリスタ)で構成される。そして、自己走査型発光素子アレイでは、入力される2本の転送信号によって各転送サイリスタを順次ターンオンさせ、ターンオンした転送サイリスタに対応する発光サイリスタを順次発光可能な状態に設定する。一方、各発光サイリスタのアノード端子(あるいはカソード端子)に接続される一方の共通配線を一定電位に設定するとともに、各発光サイリスタのカソード端子(あるいはアノード端子)に接続される他方の共通配線には発光信号を供給することで、発光可能な状態に設定された発光サイリスタの発光/非発光を指示する。
【0004】
ここで、特許文献1には、発光チップ内において最後にターンオンする転送サイリスタの状態を出力するためのエンド端子を設けることが記載されている。
また、特許文献2には、発光チップ内において最後にターンオンする転送サイリスタがターンオンしているタイミングで、電源電流を検出することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−99581号公報
【特許文献2】特開2006−150598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の発光素子アレイでは、複数のスイッチ素子を順次オン状態に設定する転送動作が正常に行われていたとしても、複数のスイッチ素子に接続された複数の発光素子の発光動作が正常に行われないことがある。これは、例えば発光素子自身が故障していたり、あるいは、発光素子に接続される配線が断線していたりする場合に生じ得る。
【0007】
従来にあっては、このような発光不良が生じた場合であっても、複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送動作自体は正常に行われることになるため、発光素子の発光動作不良を検出することが非常に困難となっていた。
【0008】
本発明は、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子とを有し、帯電された像保持体を露光するための光を出力する光出力手段と、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、前記複数のスイッチ素子を用いて前記複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための前記発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、前記実行手段にて実行される前記故障検出動作において、前記検出素子による検出結果に基づいて前記複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを含む露光装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミング以外で発光したことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置である。
請求項3記載の発明は、前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1または2記載の露光装置である。
請求項4記載の発明は、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含み、前記故障検出手段は、前記他の検出素子による検出結果に基づいて前記複数のスイッチ素子における故障をさらに検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の露光装置である。
請求項5記載の発明は、前記故障検出手段は、前記他の検出素子にて前記最後の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数のスイッチ素子における故障を検出することを特徴とする請求項4記載の露光装置である。
請求項6記載の発明は、前記複数の発光素子と前記複数のスイッチ素子と前記検出素子とを搭載した発光装置を複数備え、複数の前記発光装置のうち少なくとも2つの発光装置のそれぞれに設けられた前記検出素子からの出力を、1本の共通配線に接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の露光装置である。
請求項7記載の発明は、複数の前記発光装置のそれぞれは、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに搭載し、各々の前記発光装置において、前記検出素子からの出力と前記他の検出素子からの出力とを共通の配線に接続することを特徴とする請求項6記載の露光装置である。
請求項8記載の発明は、前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の露光装置である。
【0011】
請求項9記載の発明は、一列に並べて配置され、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子とを含む発光装置である。
【0012】
請求項10記載の発明は、前記複数の発光素子、前記複数のスイッチ素子および前記検出素子が、同一の基板上に同一のプロセスによって形成されていることを特徴とする請求項9記載の発光装置である。
請求項11記載の発明は、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の発光装置である。
請求項12記載の発明は、前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の発光装置である。
【0013】
請求項13記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、当該複数のスイッチ素子によって当該複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、当該複数のスイッチ素子を用いて当該複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための当該発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、当該実行手段にて実行される当該故障検出動作において、当該検出素子による検出結果に基づいて当該複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを有し、前記帯電装置にて帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像して画像を形成する現像装置と、前記像保持体に形成された画像を記録材に転写する転写装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、最初の発光素子以外の発光素子における発光不良をより容易に検出することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、最初の発光素子における発光不良をより容易に検出することができる。
請求項4記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、さらに複数のスイッチ素子における転送不良を検出することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、複数のスイッチ素子における転送不良をより容易に検出することができる。
請求項6記載の発明によれば、複数の発光装置における転送不良の検出端子を個別に設ける場合と比較して、基板上の配線数の増加を抑えて構成することができる。
請求項7記載の発明によれば、各発光装置において検出素子および他の検出素子の出力を個別に設ける場合と比較して、基板上の配線数の増加を抑えて構成することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易に、所謂自己走査型の発光素子アレイを構成することができる。
請求項9記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた発光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易な製造手順にて発光装置を得ることができる。
請求項11記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた発光装置において、さらに複数のスイッチ素子における転送不良を検出することができる。
請求項12記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易に、所謂自己走査型の発光素子アレイを構成することができる。
請求項13記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置を有する画像形成装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される所謂タンデム型の画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)、画像読取装置、あるいはFAXモデム等に接続され、これらから入力される画像データに画像処理を施し、さらには画像形成部10の動作を制御する制御部20とを備えている。
【0016】
画像形成部10は、4つの画像形成ユニット11(具体的には11Y、11M、11C、11K)を備える。各画像形成ユニット11は、像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12を帯電する帯電装置の一例としての帯電器13、帯電された感光体ドラム12を制御部20から送られてくる画像データに基づいて露光する露光装置の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置の一例としての現像器15を備えている。また、画像形成部10は、画像形成ユニット11の各感光体ドラム12にて画像形成された各色のトナー像を多重転写させるための用紙を搬送する搬送ベルト16、搬送ベルト16を駆動する駆動ロール17、感光体ドラム12のトナー像を用紙に転写させる転写装置の一例としての転写ロール18、転写後の用紙上の未定着トナー像を加熱・加圧して定着する定着器19を備えている。
【0017】
図2は、LPH14の構成を示した断面図である。このLPH14は、複数の発光素子を備えた光出力手段の一例としての発光部63、発光部63や発光部63の駆動等に用いられる信号処理回路100(後段の図3参照)等を搭載する回路基板62、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させるロッドレンズアレイ64、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持するとともに発光部63を外部から遮蔽するホルダ65を備えている。
【0018】
図3(a)はLPH14における回路基板62、発光部63および信号処理回路100の上面図であり、図3(b)はLPH14におけるロッドレンズアレイ64およびホルダ65の上面図である。図3(a)に示すように、発光部63は、配線が形成された回路基板62上に、57個の発光チップC(C1〜C57)を、副走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。ここで、発光チップC1〜C57は、後述するようにすべて同一の構成を有している。なお、回路基板62上の発光部63よりも端部側には、信号処理回路100が搭載される。この信号処理回路100は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路にて構成されている。
【0019】
また、図3(b)に示すように、ロッドレンズアレイ64は、複数のロッドレンズ64aを、互い違いとなるように副走査方向に二列に整列配置した状態で、ホルダ65に保持させることによって構成されている。各ロッドレンズ64aは例えば円柱状の形状を有しており、その半径方向に屈折率分布を有し正立等倍実像を形成する屈折率分布型レンズにて構成される。このような屈折率分布型レンズとしては、例えばセルフォック(日本板硝子株式会社の登録商標)レンズが挙げられる。
【0020】
図4は、回路基板62に搭載される信号処理回路100の構成および回路基板62の配線構成を示した図である。
信号処理回路100には、図1に示す制御部20より、ライン同期信号、ビデオデータ、クロック信号、およびリセット信号等の各種制御信号が入力されるようになっている。そして、信号処理回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づいて、例えばビデオデータの並べ替えや出力値の補正等を行い、各発光チップC(C1〜C57)に対して発光信号φI(φI1〜φI114)を出力する発光信号発生部110を備えている。なお、各発光チップCでは、後述するように、それぞれに搭載される256個の発光サイリスタを128個ずつ2組に分け、各組(128個の発光サイリスタ)を1スレッドとして発光制御を行っている。このため、各発光チップC1〜C57には、2本の発光信号φI(例えば発光チップC1ではφI1およびφI2)が供給されるようになっている。
【0021】
また、信号処理回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づき、各発光チップC1〜C57に対して共通の第1転送信号φ1および第2転送信号φ2を出力する転送信号発生部120をさらに備えている。なお、本実施の形態では、制御部20、発光信号発生部110および転送信号発生部120によって、実行手段が構成されている。
【0022】
さらに、信号処理回路100は、各発光チップC1〜C57から出力される第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3に基づいて、各発光チップC1〜C57における転送不良および発光不良を検出する故障検出手段の一例としての故障検出部130をさらに備えている。ここで、故障検出部130で検出された故障情報は、制御部20に出力されるようになっている。なお、第3発光検出信号ξ3は単独で故障検出部130に入力されるが、第1発光検出信号ξ1および第2発光検出信号ξ2は、共通の第1・第2発光検出信号ξ1−2として故障検出部130に入力されるようになっている。なお、これら第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3の詳細については後述する。
【0023】
回路基板62には、各発光チップC1〜C57に接続される電力供給用のVcc=−5.0Vの電源ライン101および接地用の電源ライン102が設けられている。また、回路基板62には、信号処理回路100の転送信号発生部120から各発光チップC1〜C57に第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を出力する第1転送信号ライン103、第2転送信号ライン104も設けられている。さらに、回路基板62には、信号処理回路100の発光信号発生部110から各発光チップC1〜C57に対して発光信号φI(φI1〜φI114)を出力する114本の発光信号ライン105(105_1〜105_114)も設けられている。なお、回路基板62には、114本の発光信号ライン105(105_1〜105_114)のそれぞれに過剰な電流が流れるのを防止するための114個の発光電流制限抵抗RIDが設けられている。また、回路基板62には、各発光チップC(C1〜C57)から信号処理回路100の故障検出部130に対し、第1発光検出信号ξ1および第2発光検出信号ξ2を第1・第2発光検出信号ξ1−2として出力する第1・第2発光検出信号ライン106、および第3発光検出信号ξ3を出力する第3発光検出信号ライン107がさらに設けられている。なお、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、発光信号φI1〜φI114、第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2、および第3発光検出信号ξ3は、それぞれ、後述するようにハイレベル(H)およりローレベル(L)の2状態を取りうる。そして、ローレベルは−5.0Vの電位、ハイレベルは±0.0Vの電位となっている。
【0024】
図5は、発光装置の一例としての発光チップC(C1〜C57)の上面図を示している。
発光チップCは、副走査方向長さに比べて主走査方向長さが長い矩形状を有するチップ基板70と、このチップ基板70の表面に長手方向に沿って一列に配置された発光素子アレイLAとを備えている。この発光素子アレイLAは、主走査方向に一列に並べられた256個の発光サイリスタL1〜L256にて構成されている。なお、複数の発光素子の一例としての発光サイリスタL1〜L256は番号順に配列されている。
【0025】
また、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの一方の端部側に配置される最初の発光素子の一例としての発光サイリスタL1と隣接する位置には、検出素子の一例としての第1発光検出センサLR1が設けられている。さらに、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの他方の端部側に配置される最初の発光素子の一例としての発光サイリスタL256と隣接する位置には、検出素子の一例としての第2発光検出センサLR2が設けられている。さらにまた、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの中央部側に配置される最後の発光素子の一例としての発光サイリスタL128および発光サイリスタL129の両者と隣接する位置には、他の検出素子の一例としての第3発光検出センサLR3が設けられている。ここで、第1発光検出センサLR1および第2発光検出センサLR2は、発光サイリスタL1〜L256を通る軸線上に配置されている。これに対し、第3発光検出センサLR3は、この軸線と平行な位置に配置されている。そして、第1発光検出センサLR1は、発光サイリスタL1の発光/非発光を検出する機能を備えている。また、第2発光検出センサLR2は、発光サイリスタL256の発光/非発光を検出する機能を備えている。さらに、第3発光検出センサLR3は、発光サイリスタL128、発光サイリスタL129の発光/非発光を検出する機能を備えている。
【0026】
また、チップ基板70の、第1発光検出センサLR1が配置される側の端部には、第1転送信号φ1を入力するための第1転送信号用パッド71、第2転送信号φ2を入力するための第2転送信号用パッド72、奇数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI1)を入力するための第1発光信号用パッド73、および第1発光検出信号ξ1を出力するための第1発光検出信号用パッド74が形成されている。一方、チップ基板70の、第2発光検出センサLR2が配置される側の端部には、第2発光検出信号ξ2を出力するための第2発光検出信号用パッド75、第3発光検出信号ξ3を出力するための第3発光検出信号用パッド76、偶数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI2)を入力するための第2発光信号用パッド77、および電源電圧Vccを入力するための電源電圧用パッド78が形成されている。そして、チップ基板70の裏面側には、接地を行うための接地用電極79が形成されている。ここで、本実施の形態では、発光チップCに、第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75とを設けているが、発光チップC内において両者を接続し、一つのパッドとしても差し支えない。
【0027】
なお、本実施の形態では、57個の発光チップCを千鳥状に並べて図3に示す発光部63を構成する際に、各発光チップC1〜C57のそれぞれに設けられた発光素子アレイLAの端部境界において、各発光素子アレイLAが主走査方向に連続するように配列されるようになっている。
【0028】
図6は、発光チップC(C1〜C60)の回路構成を説明するための図である。
発光チップCは、256個の転送サイリスタS1〜S256と、上述した256個の発光サイリスタL1〜L256とを備えている。なお、発光サイリスタL1〜L256は、転送サイリスタS1〜S256と同じpnpn接続を有しており、その中のpn接続を利用することで発光ダイオード(LED)としても機能するようになっている。また、発光チップCは、256個のダイオードD1〜D256と、256個の抵抗R1〜R256とをさらに備えている。さらに、発光チップCは、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2が供給される信号線に、過剰な電流が流れるのを防止するための転送電流制限抵抗R1A、R2Aを有している。なお、発光素子アレイLAを構成する発光サイリスタL1〜L256は、図中左側からL1、L2、…、L255、L256の順で配列されている。また、転送サイリスタS1〜S256も、図中左側からS1、S2、…、S255、S256の順で配列されている。さらに、ダイオードD1〜D256も、図中左からD1、D2、…、D255、D256の順で配列されている。さらにまた、抵抗R1〜R256も、図中左からR1、R2、…R255、R256の順で配列されている。
【0029】
また、発光チップCは、第1ブロックB1および第2ブロックB2を有している。ここで、第1ブロックB1は、128個の転送サイリスタS1〜S128、128個の発光サイリスタL1〜L128、128個のダイオードD1〜D128、および128個の抵抗R1〜R128にて構成される。一方、第2ブロックB2は、128個の転送サイリスタS129〜S256、128個の発光サイリスタL129〜L256、128個のダイオードD129〜D256、および128個の抵抗R129〜R256にて構成される。
【0030】
では次に、発光チップCにおける各素子の電気的な接続について説明する。
まず、各転送サイリスタS1〜S256のアノード端子は接地用電極79に接続されている。この接地用電極79には、電源ライン102(図4参照)が接続され、接地される。
【0031】
また、第1ブロックB1における奇数番目の転送サイリスタS1、C3、…、S127および第2ブロックB2における偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のカソード端子は、転送電流制限抵抗R1Aを介して第1転送信号用パッド71に接続されている。この第1転送信号用パッド71には、第1転送信号ライン103(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1が供給される。
【0032】
一方、第1ブロックB1における偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128および第2ブロックB2における奇数番目の転送サイリスタS129、…、S255のカソード端子は、転送電流制限抵抗R2Aを介して第2転送信号用パッド72に接続されている。この第2転送信号用パッド72には、第2転送信号ライン104(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
【0033】
また、各転送サイリスタS1〜S256のゲート端子G1〜G256は、各転送サイリスタS1〜S256に対応して設けられた抵抗R1〜R256をそれぞれ介して電源電圧用パッド78に接続されている。この電源電圧用パッド78には、電源ライン101(図4参照)が接続され、電源電圧Vcc(−5.0V)が供給される。
【0034】
さらに、各転送サイリスタS1〜S256のゲート端子G1〜G256は、対応する同番号の発光サイリスタL1〜L256のゲート端子に、1対1でそれぞれ接続されている。
【0035】
さらに、第1ブロックB1において、各転送サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128には、ダイオードD1〜D128のカソード端子が接続されている。そして、転送サイリスタS1〜S127のゲート端子G1〜G127には、次段のダイオードD2〜D128のアノード端子が各々接続されている。すなわち、各ダイオードD1〜D128はゲート端子G1〜G127を挟んで直列接続されている。
【0036】
他方、第2ブロックB2において、各転送サイリスタS256〜S129のゲート端子G256〜G129には、ダイオードD256〜D129のカソード端子が接続されている。そして、転送サイリスタS256〜S130のゲート端子G256〜G130には、次段のダイオードD255〜D129のアノード端子が各々接続されている。すなわち、各ダイオードD256〜D129はゲート端子G256〜G130を挟んで直列接続されている。
【0037】
そして、第1ブロックB1におけるダイオードD1のアノード端子および第2ブロックB2におけるダイオードD256のアノード端子は、転送電流制限抵抗R2Aを介して第2転送信号用パッド72に接続されている。
【0038】
また、発光サイリスタL1〜L256のアノード端子は接地用電極79に接続されている。
これに対し、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128のカソード端子は、第1発光信号用パッド73に接続されている。この第1発光信号用パッド73には、奇数番目の発光信号ライン105(例えば発光チップC1では発光信号ライン105_1)が接続され、奇数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI1)が供給される。一方、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129〜L256のカソード端子は、第2発光信号用パッド77に接続されている。この第2発光信号用パッド77には、偶数番目の発光信号ライン105(例えば発光チップC1では発光信号ライン105_2)が接続され、偶数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI2)が供給される。
【0039】
本実施の形態において、第1発光検出センサLR1、第2発光検出センサLR2および第3発光検出センサLR3は、上述したダイオードD1〜D256と同じpn接続を有するフォトダイオードで構成されている。なお、これら第1発光検出センサLR1、第2発光検出センサLR2および第3発光検出センサLR3と、転送サイリスタS1〜S256と、発光サイリスタL1〜L256と、ダイオードD1〜D256とは、例えばGaAsで構成されたチップ基板70上に同一のプロセスで形成されている。なお、抵抗R1〜R256および転送電流制限抵抗R1A、R2Aについても、これらと同一のプロセスで製造されている。
【0040】
そして、第1発光検出センサLR1のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第1発光検出信号用パッド74に接続されている。また、第2発光検出センサLR2のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第2発光検出信号用パッド75に接続されている。さらに、第3発光検出センサLR3のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第3発光検出信号用パッド76に接続されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、転送サイリスタS1〜S256およびダイオードD1〜D256によって、複数のスイッチ素子が構成されている。より具体的に説明すると、転送サイリスタS1〜S128とダイオードD1〜D128とによって、第1ブロックB1における複数のスイッチ素子が構成され、転送サイリスタS129〜S256とダイオードD129〜D256とによって、第2ブロックB2における複数のスイッチ素子が構成される。
【0042】
次に、上述した図3ないし図6、そして図7に示すタイミングチャートを参照しながら、画像形成動作におけるLPH14の発光部63の動作例について説明を行う。ここで、図7に示すタイミングチャートは、発光部63を構成する各発光チップC1〜C57において、すべての発光サイリスタL1〜L256を発光させる場合について表記している。ただし、図7には、発光チップC1、C2、C3、C55、C56、C57を例として示している。また、図7には、発光の対象となる発光サイリスタの番号を数字で示している。なお、画像形成動作が開始される前の状態において、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、ともにハイレベル(H)に設定されている。また、画像形成動作が開始される前の状態において、各発光信号φI1〜φI114は、すべてハイレベルに設定されている。
【0043】
画像形成動作が開始される前の状態において、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1のダイオードD1のアノード端子および第2ブロックB2のダイオードD256のアノード端子には、ハイレベルの第2転送信号φ2が供給されている。すると、第1ブロックB1では、ダイオードD1、D2、D3、…を介してゲート端子G1、G2、G3、…にそれぞれゲート電圧が発生する。ただし、ダイオードD1、D2、D3、…でそれぞれ電圧降下が生じるため、第1ブロックB1においては、転送サイリスタS1のゲート端子G1にかかるゲート電圧が最も高くなる。一方、第2ブロックB2では、ダイオードD256、D255、D254、…を介してゲート端子G256、G255、G254、…にそれぞれゲート電圧が発生する。ただし、ダイオードD256、D255、D254、…でそれぞれ電圧降下が生じるため、第2ブロックB2においては、転送サイリスタS256にかかるゲート電圧が最も高くなる。
【0044】
次に、各発光チップC1〜C57に対して動作の開始を指示する場合、転送信号発生部120は、第1転送信号φ1をハイレベルからローレベル(L)に変更する。
【0045】
このように、第2転送信号φ2がハイレベルとなっている状態において、ローレベルの第1転送信号φ1が供給されると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される奇数番目の転送サイリスタS1、S3、…、S127のうち、ゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS1がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のうち、ゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS256がターンオンする。また、このとき、第2転送信号φ2はハイレベルとなっているので、第1ブロックB1における偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128のカソード端子の電圧は高いままとなり、ターンオフの状態が維持される。一方、第2ブロックB2における奇数番目の転送サイリスタS129、…、S255のカソード端子の電圧も高いままとなり、ターンオフの状態が維持される。さらにこのとき、発光信号φI1〜φI114はハイレベルに維持されているため、各発光サイリスタL1〜L256のカソード端子の電圧は高いままとなり、各発光サイリスタL1〜L256は発光しない。
【0046】
そして、発光チップC1〜C57の第1ブロックB1の転送サイリスタS1および第2ブロックB2の転送サイリスタS256がターンオンしている状態において、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をハイレベルからローレベルに変更する。これに伴い、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、入力される奇数番目の発光信号φIにより、奇数番目の発光サイリスタL1、L3、…、L127のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL1が発光する。一方、第2ブロックB2では、入力される偶数番目の発光信号φIにより、偶数番目の発光サイリスタL2、L4、…、L256のうち、ゲート端子の電位が最も高い発光サイリスタL256が発光する。なお、例えば発光サイリスタL1を発光させない場合には、転送サイリスタS1がターンオンしている間、奇数番目の発光信号φIをハイレベルの状態に維持すればよい。同様に、例えば発光サイリスタL256を発光させない場合には、転送サイリスタS256がターンオンしている間、偶数番目の発光信号φIをハイレベルの状態に維持すればよい。
【0047】
次に、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1において転送サイリスタS1がターンオンし、且つ、第2ブロックB2において転送サイリスタS256がターンオンしているときに、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をハイレベルからローレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第2転送信号φ2が供給される偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128のうち、ターンオンしている転送サイリスタS1のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS2がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第2転送信号φ2が供給される奇数番目の転送サイリスタS129、…、S253、S255のうち、ターンオンしている転送サイリスタS256のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS255がターンオンする。このとき、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、隣接する2個の転送サイリスタS1、S2が共にターンオンし、第2ブロックB2では、隣接する2個の転送サイリスタS255、S256が共にターンオンしていることになる。
【0048】
また、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をハイレベルからローレベルに変更するのと同時に、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をローレベルからハイレベルに変更する。これに伴い、それまで発光していた第1ブロックB1の発光サイリスタL1および第2ブロックB2の発光サイリスタL256が共に消灯する。そして、転送信号発生部120は、第2転送信号φ2をローレベルとしてから第1の期間taが経過した後、第1転送信号φ1をローレベルからハイレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では転送サイリスタS1がターンオフし、第2ブロックB2では転送サイリスタS256がターンオフする。各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、転送サイリスタS1のターンオフに伴って、転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位が抵抗R1によって徐々に低下し、ダイオードD1を介して順方向に隣接する転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位が上昇する。一方、第2ブロックB2では、転送サイリスタS256のターンオフに伴って、転送サイリスタS256のゲート端子G256の電位が抵抗R256によって徐々に低下し、ダイオードD255を介して順方向に隣接する転送サイリスタS255のゲート端子G255の電位が上昇する。
【0049】
そして、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1の転送サイリスタS2および第2ブロックB2の転送サイリスタS255がターンオンしている状態において、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルに変更してから第2の期間tbが経過した後、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をハイレベルからローレベルに変更する。これに伴い、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、入力される奇数番目の発光信号φIにより、偶数番目の発光サイリスタL2、…、L128のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL2が発光する。一方、第2ブロックB2では、入力される偶数番目の発光信号φIにより、奇数番目の発光サイリスタL129、…、L255のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL255が発光する。
【0050】
次に、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1において転送サイリスタS2がターンオンし、且つ、第2ブロックB2において転送サイリスタS255がターンオンしているときに、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルからローレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される奇数番目の転送サイリスタS1、S3、…S127のうち、ターンオンしている転送サイリスタS2のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS3がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のうち、ターンオンしている転送サイリスタS255のゲート端子電圧の影響でゲート電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS254がターンオンする。このとき、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、隣接する2個の転送サイリスタS2、S3が共にターンオンし、第2ブロックB2では、隣接する2個の転送サイリスタS254、S255が共にターンオンしていることになる。
【0051】
また、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルからローレベルに変更するのと同時に、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をローレベルからハイレベルに変更する。これに伴い、それまで発光していた第1ブロックB1の発光サイリスタL2および第2ブロックB2の発光サイリスタL255が共に消灯する。その後、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をローレベルからハイレベルに変更すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では転送サイリスタS2がターンオフし、第2ブロックB2では転送サイリスタS255がターンオフする。各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、転送サイリスタS2のターンオフに伴って、転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位が抵抗R2によって徐々に低下し、ダイオードD2を介して順方向に隣接する転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位が上昇する。一方、第2ブロックB2では、転送サイリスタS255のターンオフに伴って、転送サイリスタS255のゲート端子G255の電位が抵抗R255によって徐々に低下し、ダイオードD254を介して順方向に隣接する転送サイリスタS254のゲート端子G254の電位が上昇する。なお、第1転送信号φ1がローレベルとなってから第2転送信号φ2がローレベルとなるまでの期間、あるいは、第2転送信号φ2がローレベルとなってから第1転送信号φ1がローレベルとなるまでの期間を、サイリスタ転送周期Pという。
【0052】
このように、画像形成動作において、発光部63では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間(図7に示す第1の期間ta)を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1においては転送サイリスタS1〜S128が番号順に順次ターンオンし、また、第2ブロックB2においては転送サイリスタS129〜S256が番号とは逆順に順次ターンオンする。これにより、第1ブロックB1では、発光サイリスタL1〜L128が番号順に順次発光可能な状態に設定され、また、第2ブロックB2では、発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に順次発光可能な状態に設定される。したがって、各発光チップCでは、図5に破線矢印で示すように、主走査方向の両端側から中央部に向かって、発光サイリスタL1〜L256が発光していくことになる。
【0053】
では次に、発光部63を構成する各発光チップC1〜C57の故障検出動作について説明する。この故障検出動作は、例えば画像形成装置1のスイッチが投入されたときなど、画像形成動作を行っていないタイミングで実行される。なお、ここでいう故障とは、転送サイリスタS1〜S128および転送サイリスタS256〜S129にてオン状態を転送する際に生じる不具合(転送不良と呼ぶ)、および、発光サイリスタL1〜L256のいずれかが発光できなくなることに起因する不具合(発光不良と呼ぶ)である。
【0054】
図8は、故障検出動作における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
故障検出動作の開始指示があると、制御部20は、信号処理回路100に指示を送り、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128をすべて発光させるための発光動作を実行させる(ステップ101)。このとき、信号処理回路100の故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出センサLR1から出力される第1発光検出信号ξ1を、第1・第2発光検出信号ライン106を介して取得する。また、故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第3発光検出センサLR3から出力される第3発光検出信号ξ3を、第3発光検出信号ライン107を介して取得する。
【0055】
続いて、故障検出部130は、ステップ101で取得された第1発光検出信号ξ1に基づき、1番目すなわち最初に発光すべき発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ102)。ここで、正規のタイミングとは、第1ブロックB1に故障が生じておらず、各発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光しうる状態とされる場合において、1番目の発光サイリスタL1が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0056】
ステップ102において発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光したと判断した場合、故障検出部130は、ステップ101で取得された第1発光検出信号ξ1に基づき、1番目に発光すべき発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ103)。ここで、非正規のタイミングとは、発光サイリスタL1が発光すべきタイミングすなわち上記ステップ102の判断基準である正規のタイミング以外で発光することをいう。
【0057】
ステップ103において発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光してないと判断した場合、故障検出部130は、ステップ101で取得された第3発光検出信号ξ3に基づき、128番目すなわち最後に発光すべき発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ104)。ここで、正規のタイミングとは、第1ブロックB1に故障が生じておらず、各発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光しうる状態とされる場合において、128番目の発光サイリスタL128が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0058】
そして、ステップ102において発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、ステップ103において発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光したと判断した場合、およびステップ104において発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、故障検出部130は、このような状況が発生した発光チップCに転送不良あるいは発光不良等の故障が生じたことを検出し、この検出結果を、制御部20に出力する(ステップ105)。なお、制御部20は、必要に応じて、故障の情報を、画像形成装置1に設けられたユーザインタフェース、電話回線あるいはLAN等を介して接続される外部機器等に出力する。
【0059】
次に、制御部20は、信号処理回路100に指示を送り、各発光チップC1〜C57の第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129〜L256をすべて発光させるための発光動作を実行させる(ステップ106)。このとき、信号処理回路100の故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出センサLR2から出力される第2発光検出信号ξ2を、第1・第2発光検出信号ライン106を介して取得する。また、故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第3発光検出センサLR3から出力される第3発光検出信号ξ3を、第3発光検出信号ライン107を介して取得する。
【0060】
続いて、故障検出部130は、ステップ106で取得された第2発光検出信号ξ2に基づき、1番目すなわち最初に発光すべき発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ107)。ここで、正規のタイミングとは、第2ブロックB2に故障が生じておらず、各発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光しうる状態とされる場合において、1番目の発光サイリスタL256が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0061】
ステップ107において発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光したと判断した場合、故障検出部130は、ステップ106で取得された第2発光検出信号ξ2に基づき、1番目に発光すべき発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ108)。ここで、非正規のタイミングとは、発光サイリスタL256が発光すべきタイミングすなわち上記ステップ107の判断基準である正規のタイミング以外で発光することをいう。
【0062】
ステップ108において発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光してないと判断した場合、故障検出部130は、ステップ106で取得された第3発光検出信号ξ3に基づき、128番目すなわち最後に発光すべき発光サイリスタL129が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ109)。ここで、正規のタイミングとは、第2ブロックB2に故障が生じておらず、各発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光しうる状態とされる場合において、128番目の発光サイリスタL129が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0063】
そして、ステップ107において発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、ステップ108において発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光したと判断した場合、およびステップ109において発光サイリスタL129が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、故障検出部130は、このような状況が発生した発光チップCに転送不良あるいは発光不良等の故障が生じたことを検出し、この検出結果を、制御部20に出力する(ステップ110)。なお、制御部20は、必要に応じて、故障の情報を、画像形成装置1に設けられたユーザインタフェース、電話回線あるいはLAN等を介して接続される外部機器等に出力する。
【0064】
続いて、図9に示すタイミングチャートを参照しながら、故障検出動作における発光部63の動作例について説明を行う。なお、故障検出動作は、すべての発光チップC1〜C57に対して並列に実行されるが、図9には、発光チップC1、C2のみを表記している。また、図9には、図7と同様、発光の対象となる発光サイリスタの番号を数字で示している。なお、故障検出動作が開始される前の状態において、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、ともにハイレベル(H)に設定されている。また、故障検出動作が開始される前の状態において、各発光信号φI1〜φI114は、すべてハイレベルに設定されている。さらに、第1・第2発光検出信号ξ1−2および第3発光検出信号ξ3は、すべてローレベルとなっている。
【0065】
なお、ここでは、発光チップC1は正常であるものの、発光チップC2に異常が生じている場合を例として説明を行う。具体的に説明すると、発光チップC1では、第1ブロックB1および第2ブロックB2ともに転送不良および発光不良が生じていないものとする。これに対し、発光チップC2では、第1ブロックB1において発光不良が生じており、第2ブロックB2において転送不良が生じているものとする。
【0066】
故障検出動作において、発光部63では、画像形成動作の場合と同様、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1においては転送サイリスタS1〜S128を番号順に順次ターンオンさせるようにし、また、第2ブロックB2においては転送サイリスタS129〜S256を番号とは逆順に順次ターンオンさせるようにする。これにより、各転送周期において、第1ブロックB1では、発光サイリスタL1〜L128を番号順に順次発光可能な状態に設定させるようにし、また、第2ブロックB2では、発光サイリスタL129〜L256を番号とは逆順に順次発光可能な状態に設定させるようにする。
【0067】
ただし、第1の転送周期すなわち第1の期間T1においては、奇数番目の発光信号φI(φI1、φI3、…、φI113)をハイレベルとローレベルとの間で複数回切り替える一方、偶数番目の発光信号φI(φI2、φI4、…、φI114)をハイレベルに維持する。したがって、第1の期間T1においては、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128を発光させるように、且つ、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL256〜L129を発光させないように、発光信号φIの供給を行う。これにより、図8に示すステップ101における第1ブロックB1の発光動作が実行されることになる。
【0068】
これに対し、第2の転送周期すなわち次の第2の期間T2においては、偶数番目の転送信号φI(φI2、φI4、…、φI114)をハイレベルとローレベルとの間で複数回切り替える一方、奇数番目の転送信号φI(φI1、φI3、…、φI113)をハイレベルに維持する。したがって、第2の期間T2においては、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL256〜L129を発光させるように、且つ、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128を発光させないように、発光信号φIの供給を行う。これにより、図8に示すステップ106における第2ブロックB2の発光動作が実行されることになる。
【0069】
発光チップC1では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の最初の発光サイリスタL1を発光させるための第1発光信号φI1(1)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第1ブロックB1の場合は第1発光検出信号ξ1)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI1(1)の供給に伴って発光サイリスタL1が発光し、その光が第1発光検出センサLR1で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ102において、肯定の判断がなされることになる。
【0070】
また、発光チップC1では、第1の期間T1において、上記期間以外では第1・第2発光検出信号ξ1−2がローレベルに維持されている。これは、第1発光信号φI1(2)〜φI1(128)の供給に伴って、発光サイリスタL1が発光しないことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ103において、否定の判断がなされることになる。
【0071】
さらに、発光チップC1では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の最後の発光サイリスタL128を発光させるための第1発光信号φI1(128)の供給タイミングに合わせて、第3発光検出信号ξ3がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI1(128)の供給に伴って発光サイリスタL128が発光し、その光が第3発光検出センサLR3で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ104において、肯定の判断がなされることになる。
【0072】
次に、発光チップC1では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最初の発光サイリスタL256を発光させるための第2発光信号φI2(256)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第2ブロックB2の場合は第2発光検出信号ξ2)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第2発光信号φI2(25)の供給に伴って発光サイリスタL256が発光し、その光が第2発光検出センサLR2で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ107において、肯定の判断がなされることになる。
【0073】
また、発光チップC1では、第2の期間T2において、上記期間以外では第1・第2発光検出信号ξ1−2がローレベルに維持されている。これは、第2発光信号φI2(255)〜φI2(129)の供給に伴って、発光サイリスタL256が発光しないことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ108において、否定の判断がなされることになる。
【0074】
さらに、発光チップC1では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最後の発光サイリスタL129を発光させるための第2発光信号φI2(129)の供給タイミングに合わせて、第3発光検出信号ξ3がローレベルからハイレベルになっている。これは、第2発光信号φI2(129)の供給に伴って発光サイリスタL129が発光し、その光が第3発光検出センサLR3で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ109において、肯定の判断がなされることになる。
【0075】
これに対し、発光チップC2では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の127番目の発光サイリスタL127を発光させるための第1発光信号φI3(127)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第1ブロックB1の場合は第1発光検出信号ξ1)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI3(127)の供給に伴って、本来発光すべき発光サイリスタL127の代わりに発光サイリスタL1が発光し、その光が第1発光検出センサLR1で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ103において、肯定の判断がなされることになる。なお、これは、発光サイリスタL127の発光不良に起因するものと考えられる。
【0076】
また、発光チップC2では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最後の発光サイリスタL129を発光させるための第2発光信号φI4(129)が供給されても、第3発光検出信号ξ3がローレベルのままとなっている。これは、第2発光信号φI4(129)が供給されても、発光サイリスタL129が発光しなかったことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ109において、否定の判断がなされることになる。なお、これは、発光チップC2の第2ブロックB2を構成する転送サイリスタS256〜S129における転送不良に起因するものと考えられる。
【0077】
本実施の形態では、第1ブロックB1における最後の発光サイリスタL128の発光と第2ブロックB2における最後の発光サイリスタL129の発光とを、共通の第3発光検出センサLR3で検出する構成を採用し、センサ数の削減を図っている。そして、故障検出動作において、発光チップCを構成する第1ブロックB1の発光動作を実行させた後に第2ブロックB2の発光動作を実行させることで、第3発光検出センサLR3で検出された光が、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL128によるものか、あるいは、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129によるものかを、時系列的に区別するようにしている。
【0078】
ではここで、第1ブロックB1において発光順番が2番目以降となる発光サイリスタL2〜L128に発光不良が生じた場合に、発光順番が1番目となる発光サイリスタL1が発光する理由について説明する。なお、第2ブロックB2において発光順番が2番目以降となるL255〜L129に発光不良が生じた場合に、発光順番が1番目となる発光サイリスタL256が発光する理由もこれと同じである。
ここで、発光不良の原因としては、例えば発光サイリスタ自身の故障に起因するもの、例えば発光サイリスタのアノード端子、カソード端子あるいはゲート端子に接続された配線の断線等に起因するもの、などが挙げられる。
【0079】
図10は、画像形成動作(あるいは故障検出動作)における、発光チップCの第1ブロックB1のダイオードD1のアノード端子の電位P0、ダイオードD1のカソード端子およびダイオードD2のアノード端子すなわち転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1、ダイオードD2のカソード端子およびダイオードD3のアノード端子すなわち転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2、ダイオードD3のカソード端子およびダイオードD4のアノード端子すなわち転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3、およびダイオードD4のカソード端子およびダイオードD5のアノード端子すなわち転送サイリスタS4のゲート端子G2の電位P4の変遷を示す図である。
【0080】
また、図11は、転送サイリスタSの構成および動作を説明するための図である。ここで、図11(a)は転送サイリスタSの構成を示す図であり、図11(b)はその等価回路の構成を示す図である。
【0081】
転送サイリスタSは、pnpトランジスタTr1のコレクタとnpnトランジスタTr2のゲートとを接続し、且つ、pnpトランジスタTr1のゲートとnpnトランジスタTr2のエミッタとを接続したもので表現される。このとき、pnpトランジスタTr1のエミッタが転送サイリスタSのアノード端子Aとなり、pnpトランジスタTr1のコレクタとnpnトランジスタTr2のゲートとの接続部が転送サイリスタSのゲート端子Gとなり、npnトランジスタTr2のコレクタが転送サイリスタSのカソード端子Kとなる。
【0082】
図10に示すように、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、まず、最初に転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が最も高くなる状態となり、次いで転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2が最も高くなる状態へと移行し、次に転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3が最も高くなる状態へと移行し、さらに転送サイリスタS4のゲート端子G4の電位P4が最も高くなる状態へと移行する。
【0083】
ただし、1番目の転送サイリスタS1のゲート電圧である電位P1は、ダイオードD1による順方向立ち上がり電圧Vfのみの影響を受けるのに対し、後段の2番目の転送サイリスタS2、3番目の転送サイリスタS3、…は、これに加えてさらに転送サイリスタにおけるコレクタ−エミッタ間の飽和電圧であるコレクタエミッタ飽和電圧Vce(sat)の影響も受ける。このため、1番目の転送サイリスタS1がターンオンするゲート電圧に比べ、2番目から128番目の転送サイリスタS2〜S128がターンオンするゲート電圧は、Vceだけ低くなる。
【0084】
したがって、例えば2番目の転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2が最も高くなっている状態において、1番目の転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が次に高い状態となる。また、例えば3番目の転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3が最も高くなっている状態において、1番目の転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が次に高くなる。すなわち、いつでも、2番目に高いゲート電圧をもつのは、1番目の転送サイリスタS1となる。
【0085】
このため、2番目の転送サイリスタS2〜128番目の転送サイリスタS128がターンオンしている状態において、それぞれ対応する2番目の発光サイリスタL2〜128番目の発光サイリスタL128が発光できない状態となっていると、これに代わって1番目の発光サイリスタL1が発光することになる。したがって、1番目の発光サイリスタL1が正規のタイミング以外で発光するのを検出することにより、発光サイリスタL2〜L128における発光異常がわかることになる。また、1番目の発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光しないことを検出することにより、発光サイリスタL1における発光異常がわかることになる。
さらに、最後の発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光しないことを検出することにより、転送サイリスタS1〜S128における転送異常がわかることになる。
【0086】
なお、本実施の形態では、発光チップCに第1ブロックB1および第2ブロックB2を設け、各発光チップC内でブロックを単位として発光を制御する例について説明を行ったが、これに限られるものではない。
【0087】
図12は、発光チップCの他の構成例を示している。
図12に示す発光チップCは、256個の発光サイリスタL1〜L256を有している点で本実施の形態と共通するが、これら発光サイリスタL1〜L256を1つのブロックとして構成し、発光サイリスタL1〜L256を番号順に発光可能と設定している点で本実施の形態とは異なっている。また、この例では、発光サイリスタL1〜L256のうち、最初に発光可能に設定される発光サイリスタL1に隣接して検出素子の一例としての始端発光検出センサLRAが設けられ、最後に発光可能に設定される発光サイリスタL256に隣接して他の検出素子の一例としての終端発光検出センサLRBが設けられている。
【0088】
このような構成を採用した場合においても、本実施の形態と同様、各発光チップCにおいて上述したような故障検出動作を行うことで、転送サイリスタS1〜S256における転送不良および発光サイリスタL1〜L256における発光不良を検出することが可能になる。ただし、この場合は、各発光チップC1〜C57がそれぞれ1つのブロックにて構成されることとなるため、例えば図8に示すステップ101〜ステップ105までの処理を行わせるようにすればよいことになる。
【0089】
また、本実施の形態では、各発光チップCのチップ基板70に、第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75と第3発光検出信号用パッド76とを形成し、第1発光検出信号用パッド74からの出力と第2発光検出信号用パッド75からの出力とを共通の第1・第2発光検出信号ライン106に接続するようにしていたが、これに限られるものではない。
【0090】
すなわち、例えば図5に示す発光チップCのチップ基板70において、第1発光検出センサLR1からの出力と第2発光検出センサLR2からの出力とを共通の配線に接続し、この配線を1つの共通のパッドを介して出力するように構成してもよい。この場合には、各発光チップCと信号処理回路100とを接続するためにチップ基板70に設けられるパッドおよび配線の数を、共通化した分だけ減らすことができる。
そして、各発光チップCにおいて、第1発光検出センサLR1からの出力と第2発光検出センサLR2からの出力とを共通のパッドを介して出力する場合においても、図8に示したように、第1ブロックB1と第2ブロックB2とで故障の検出タイミングがずらされていることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。
【0091】
さらに、本実施の形態では、各発光チップCに形成される第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75とを、第1・第2発光検出信号ライン106を介して信号処理回路100に接続し、また、各発光チップCに形成される第3発光検出信号用パッド76を、第3発光検出信号ライン107を介して信号処理回路100に接続するようにしていたが、これに限られるものではない。
【0092】
図13は、回路基板62に搭載される信号処理回路100の構成および回路基板62の他の配線構成例を示した図である。
図13に示す例において、回路基板62には、各発光チップC1〜C57から信号処理回路100の故障検出部130に対し、第1・第2発光検出信号ライン106および第3発光検出信号ライン107に代えて、第1発光検出信号ξ1を出力する第1発光検出信号ライン108と、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3を第2・第3発光検出信号ξ2−3として出力する第2・第3発光検出信号ライン109とが設けられている。なお、第1発光検出信号ライン108は各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74に接続され、第2・第3発光検出信号ライン109は各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出信号用パッド75および第3発光検出信号用パッド76に接続される。
【0093】
このような接続手法を採用した場合においても、上述した図8に示したように、ステップ107〜ステップ109の処理が時系列的に異なるタイミングで行われることになるため、第2発光検出信号ξ2と第3発光検出信号ξ3とを時間的に分離することができることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。また、配線を共通化することにより、回路基板62における配線の数を減らすことができる。この場合に、各発光チップC1〜C57において、第2発光検出センサLR2からの出力と第3発光検出センサLR3からの出力とを共通の配線に接続し、この配線を1つの共通のパッドを介して出力するように構成すれば、チップ基板70における配線の数を減らすことができる。
【0094】
なお、図13に示した例とは逆に、各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出信号用パッド75を共通の配線に接続すると共に、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74と第3発光検出信号用パッド76とを他の共通の配線に接続するように構成してもよい。さらに、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75と第3発光検出信号用パッド76とを、すべて共通の配線に接続した場合にも、第1発光検出信号ξ1と第2発光検出信号ξ2と第3発光検出信号ξ3とを、時間的に分離することができることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。そして、このような構成を採用した場合には、回路基板62における配線の数をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【図2】LPHの構成を示した断面図である。
【図3】(a)はLPHにおける回路基板、発光部および信号処理回路の上面図であり、(b)はLPHにおけるロッドレンズアレイおよびホルダの上面図である。
【図4】回路基板に搭載される信号処理回路の構成および回路基板の配線構成を示した図である。
【図5】発光チップの上面図である。
【図6】発光チップの回路構成を説明するための図である。
【図7】画像形成動作における発光チップの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】故障検出動作における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】故障検出動作における発光チップの動作例を説明するためのタイミングチャーである。
【図10】発光チップにおける各部位の電位の変遷を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】一般的なサイリスタの構成を説明するための図である。
【図12】発光チップの他の構成例を説明するための図である。
【図13】回路基板に搭載される信号処理回路の構成および回路基板の配線構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0096】
14…LEDプリントヘッド(LPH)、20…制御部、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、70…チップ基板、100…信号処理回路、110…発光信号発生部、120…転送信号発生部、130…故障検出部、C(C1〜C57)…発光チップ、B1…第1ブロック、B2…第2ブロック、LA…発光素子アレイ、LR1…第1発光検出センサ、LR2…第2発光検出センサ、LR3…第3発光検出センサ、S1〜S256…転送サイリスタ、L1〜L256…発光サイリスタ、D1〜D256…ダイオード、R1〜R256…抵抗、G1〜G256…転送サイリスタのゲート端子、φI(φI1〜φI114)…発光信号、φ1…第1転送信号、φ2…第2転送信号、ξ1…第1発光検出信号、ξ2…第2発光検出信号、ξ3…第3発光検出信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備えた露光装置、発光装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンタや複写機等の画像形成装置において、感光体ドラム等の像保持体上を露光する露光装置として、近年、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイを用いたものが採用されている。
【0003】
公報記載の従来技術として、自己走査型発光素子アレイと呼ばれるものが存在する(特許文献1、2参照)。この自己走査型発光素子アレイでは、発光チップ内の各LEDを点灯させるためのスイッチ素子としてサイリスタ(転送サイリスタ)を用いている。なお、自己走査型発光素子アレイでは、LED自身もサイリスタ(発光サイリスタ)で構成される。そして、自己走査型発光素子アレイでは、入力される2本の転送信号によって各転送サイリスタを順次ターンオンさせ、ターンオンした転送サイリスタに対応する発光サイリスタを順次発光可能な状態に設定する。一方、各発光サイリスタのアノード端子(あるいはカソード端子)に接続される一方の共通配線を一定電位に設定するとともに、各発光サイリスタのカソード端子(あるいはアノード端子)に接続される他方の共通配線には発光信号を供給することで、発光可能な状態に設定された発光サイリスタの発光/非発光を指示する。
【0004】
ここで、特許文献1には、発光チップ内において最後にターンオンする転送サイリスタの状態を出力するためのエンド端子を設けることが記載されている。
また、特許文献2には、発光チップ内において最後にターンオンする転送サイリスタがターンオンしているタイミングで、電源電流を検出することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−99581号公報
【特許文献2】特開2006−150598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の発光素子アレイでは、複数のスイッチ素子を順次オン状態に設定する転送動作が正常に行われていたとしても、複数のスイッチ素子に接続された複数の発光素子の発光動作が正常に行われないことがある。これは、例えば発光素子自身が故障していたり、あるいは、発光素子に接続される配線が断線していたりする場合に生じ得る。
【0007】
従来にあっては、このような発光不良が生じた場合であっても、複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送動作自体は正常に行われることになるため、発光素子の発光動作不良を検出することが非常に困難となっていた。
【0008】
本発明は、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子とを有し、帯電された像保持体を露光するための光を出力する光出力手段と、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、前記複数のスイッチ素子を用いて前記複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための前記発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、前記実行手段にて実行される前記故障検出動作において、前記検出素子による検出結果に基づいて前記複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを含む露光装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミング以外で発光したことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置である。
請求項3記載の発明は、前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1または2記載の露光装置である。
請求項4記載の発明は、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含み、前記故障検出手段は、前記他の検出素子による検出結果に基づいて前記複数のスイッチ素子における故障をさらに検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の露光装置である。
請求項5記載の発明は、前記故障検出手段は、前記他の検出素子にて前記最後の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数のスイッチ素子における故障を検出することを特徴とする請求項4記載の露光装置である。
請求項6記載の発明は、前記複数の発光素子と前記複数のスイッチ素子と前記検出素子とを搭載した発光装置を複数備え、複数の前記発光装置のうち少なくとも2つの発光装置のそれぞれに設けられた前記検出素子からの出力を、1本の共通配線に接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の露光装置である。
請求項7記載の発明は、複数の前記発光装置のそれぞれは、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに搭載し、各々の前記発光装置において、前記検出素子からの出力と前記他の検出素子からの出力とを共通の配線に接続することを特徴とする請求項6記載の露光装置である。
請求項8記載の発明は、前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の露光装置である。
【0011】
請求項9記載の発明は、一列に並べて配置され、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子とを含む発光装置である。
【0012】
請求項10記載の発明は、前記複数の発光素子、前記複数のスイッチ素子および前記検出素子が、同一の基板上に同一のプロセスによって形成されていることを特徴とする請求項9記載の発光装置である。
請求項11記載の発明は、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の発光装置である。
請求項12記載の発明は、前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の発光装置である。
【0013】
請求項13記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、当該複数のスイッチ素子によって当該複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、当該複数のスイッチ素子を用いて当該複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための当該発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、当該実行手段にて実行される当該故障検出動作において、当該検出素子による検出結果に基づいて当該複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを有し、前記帯電装置にて帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像して画像を形成する現像装置と、前記像保持体に形成された画像を記録材に転写する転写装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、最初の発光素子以外の発光素子における発光不良をより容易に検出することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、最初の発光素子における発光不良をより容易に検出することができる。
請求項4記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置において、さらに複数のスイッチ素子における転送不良を検出することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、複数のスイッチ素子における転送不良をより容易に検出することができる。
請求項6記載の発明によれば、複数の発光装置における転送不良の検出端子を個別に設ける場合と比較して、基板上の配線数の増加を抑えて構成することができる。
請求項7記載の発明によれば、各発光装置において検出素子および他の検出素子の出力を個別に設ける場合と比較して、基板上の配線数の増加を抑えて構成することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易に、所謂自己走査型の発光素子アレイを構成することができる。
請求項9記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた発光装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易な製造手順にて発光装置を得ることができる。
請求項11記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた発光装置において、さらに複数のスイッチ素子における転送不良を検出することができる。
請求項12記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、より簡易に、所謂自己走査型の発光素子アレイを構成することができる。
請求項13記載の発明によれば、複数のスイッチ素子および複数の発光素子を用いた露光装置を有する画像形成装置において、複数の発光素子における発光不良を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される所謂タンデム型の画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)、画像読取装置、あるいはFAXモデム等に接続され、これらから入力される画像データに画像処理を施し、さらには画像形成部10の動作を制御する制御部20とを備えている。
【0016】
画像形成部10は、4つの画像形成ユニット11(具体的には11Y、11M、11C、11K)を備える。各画像形成ユニット11は、像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12を帯電する帯電装置の一例としての帯電器13、帯電された感光体ドラム12を制御部20から送られてくる画像データに基づいて露光する露光装置の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置の一例としての現像器15を備えている。また、画像形成部10は、画像形成ユニット11の各感光体ドラム12にて画像形成された各色のトナー像を多重転写させるための用紙を搬送する搬送ベルト16、搬送ベルト16を駆動する駆動ロール17、感光体ドラム12のトナー像を用紙に転写させる転写装置の一例としての転写ロール18、転写後の用紙上の未定着トナー像を加熱・加圧して定着する定着器19を備えている。
【0017】
図2は、LPH14の構成を示した断面図である。このLPH14は、複数の発光素子を備えた光出力手段の一例としての発光部63、発光部63や発光部63の駆動等に用いられる信号処理回路100(後段の図3参照)等を搭載する回路基板62、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させるロッドレンズアレイ64、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持するとともに発光部63を外部から遮蔽するホルダ65を備えている。
【0018】
図3(a)はLPH14における回路基板62、発光部63および信号処理回路100の上面図であり、図3(b)はLPH14におけるロッドレンズアレイ64およびホルダ65の上面図である。図3(a)に示すように、発光部63は、配線が形成された回路基板62上に、57個の発光チップC(C1〜C57)を、副走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。ここで、発光チップC1〜C57は、後述するようにすべて同一の構成を有している。なお、回路基板62上の発光部63よりも端部側には、信号処理回路100が搭載される。この信号処理回路100は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路にて構成されている。
【0019】
また、図3(b)に示すように、ロッドレンズアレイ64は、複数のロッドレンズ64aを、互い違いとなるように副走査方向に二列に整列配置した状態で、ホルダ65に保持させることによって構成されている。各ロッドレンズ64aは例えば円柱状の形状を有しており、その半径方向に屈折率分布を有し正立等倍実像を形成する屈折率分布型レンズにて構成される。このような屈折率分布型レンズとしては、例えばセルフォック(日本板硝子株式会社の登録商標)レンズが挙げられる。
【0020】
図4は、回路基板62に搭載される信号処理回路100の構成および回路基板62の配線構成を示した図である。
信号処理回路100には、図1に示す制御部20より、ライン同期信号、ビデオデータ、クロック信号、およびリセット信号等の各種制御信号が入力されるようになっている。そして、信号処理回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づいて、例えばビデオデータの並べ替えや出力値の補正等を行い、各発光チップC(C1〜C57)に対して発光信号φI(φI1〜φI114)を出力する発光信号発生部110を備えている。なお、各発光チップCでは、後述するように、それぞれに搭載される256個の発光サイリスタを128個ずつ2組に分け、各組(128個の発光サイリスタ)を1スレッドとして発光制御を行っている。このため、各発光チップC1〜C57には、2本の発光信号φI(例えば発光チップC1ではφI1およびφI2)が供給されるようになっている。
【0021】
また、信号処理回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づき、各発光チップC1〜C57に対して共通の第1転送信号φ1および第2転送信号φ2を出力する転送信号発生部120をさらに備えている。なお、本実施の形態では、制御部20、発光信号発生部110および転送信号発生部120によって、実行手段が構成されている。
【0022】
さらに、信号処理回路100は、各発光チップC1〜C57から出力される第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3に基づいて、各発光チップC1〜C57における転送不良および発光不良を検出する故障検出手段の一例としての故障検出部130をさらに備えている。ここで、故障検出部130で検出された故障情報は、制御部20に出力されるようになっている。なお、第3発光検出信号ξ3は単独で故障検出部130に入力されるが、第1発光検出信号ξ1および第2発光検出信号ξ2は、共通の第1・第2発光検出信号ξ1−2として故障検出部130に入力されるようになっている。なお、これら第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3の詳細については後述する。
【0023】
回路基板62には、各発光チップC1〜C57に接続される電力供給用のVcc=−5.0Vの電源ライン101および接地用の電源ライン102が設けられている。また、回路基板62には、信号処理回路100の転送信号発生部120から各発光チップC1〜C57に第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を出力する第1転送信号ライン103、第2転送信号ライン104も設けられている。さらに、回路基板62には、信号処理回路100の発光信号発生部110から各発光チップC1〜C57に対して発光信号φI(φI1〜φI114)を出力する114本の発光信号ライン105(105_1〜105_114)も設けられている。なお、回路基板62には、114本の発光信号ライン105(105_1〜105_114)のそれぞれに過剰な電流が流れるのを防止するための114個の発光電流制限抵抗RIDが設けられている。また、回路基板62には、各発光チップC(C1〜C57)から信号処理回路100の故障検出部130に対し、第1発光検出信号ξ1および第2発光検出信号ξ2を第1・第2発光検出信号ξ1−2として出力する第1・第2発光検出信号ライン106、および第3発光検出信号ξ3を出力する第3発光検出信号ライン107がさらに設けられている。なお、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、発光信号φI1〜φI114、第1発光検出信号ξ1、第2発光検出信号ξ2、および第3発光検出信号ξ3は、それぞれ、後述するようにハイレベル(H)およりローレベル(L)の2状態を取りうる。そして、ローレベルは−5.0Vの電位、ハイレベルは±0.0Vの電位となっている。
【0024】
図5は、発光装置の一例としての発光チップC(C1〜C57)の上面図を示している。
発光チップCは、副走査方向長さに比べて主走査方向長さが長い矩形状を有するチップ基板70と、このチップ基板70の表面に長手方向に沿って一列に配置された発光素子アレイLAとを備えている。この発光素子アレイLAは、主走査方向に一列に並べられた256個の発光サイリスタL1〜L256にて構成されている。なお、複数の発光素子の一例としての発光サイリスタL1〜L256は番号順に配列されている。
【0025】
また、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの一方の端部側に配置される最初の発光素子の一例としての発光サイリスタL1と隣接する位置には、検出素子の一例としての第1発光検出センサLR1が設けられている。さらに、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの他方の端部側に配置される最初の発光素子の一例としての発光サイリスタL256と隣接する位置には、検出素子の一例としての第2発光検出センサLR2が設けられている。さらにまた、発光チップCにおいて、発光素子アレイLAの中央部側に配置される最後の発光素子の一例としての発光サイリスタL128および発光サイリスタL129の両者と隣接する位置には、他の検出素子の一例としての第3発光検出センサLR3が設けられている。ここで、第1発光検出センサLR1および第2発光検出センサLR2は、発光サイリスタL1〜L256を通る軸線上に配置されている。これに対し、第3発光検出センサLR3は、この軸線と平行な位置に配置されている。そして、第1発光検出センサLR1は、発光サイリスタL1の発光/非発光を検出する機能を備えている。また、第2発光検出センサLR2は、発光サイリスタL256の発光/非発光を検出する機能を備えている。さらに、第3発光検出センサLR3は、発光サイリスタL128、発光サイリスタL129の発光/非発光を検出する機能を備えている。
【0026】
また、チップ基板70の、第1発光検出センサLR1が配置される側の端部には、第1転送信号φ1を入力するための第1転送信号用パッド71、第2転送信号φ2を入力するための第2転送信号用パッド72、奇数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI1)を入力するための第1発光信号用パッド73、および第1発光検出信号ξ1を出力するための第1発光検出信号用パッド74が形成されている。一方、チップ基板70の、第2発光検出センサLR2が配置される側の端部には、第2発光検出信号ξ2を出力するための第2発光検出信号用パッド75、第3発光検出信号ξ3を出力するための第3発光検出信号用パッド76、偶数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI2)を入力するための第2発光信号用パッド77、および電源電圧Vccを入力するための電源電圧用パッド78が形成されている。そして、チップ基板70の裏面側には、接地を行うための接地用電極79が形成されている。ここで、本実施の形態では、発光チップCに、第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75とを設けているが、発光チップC内において両者を接続し、一つのパッドとしても差し支えない。
【0027】
なお、本実施の形態では、57個の発光チップCを千鳥状に並べて図3に示す発光部63を構成する際に、各発光チップC1〜C57のそれぞれに設けられた発光素子アレイLAの端部境界において、各発光素子アレイLAが主走査方向に連続するように配列されるようになっている。
【0028】
図6は、発光チップC(C1〜C60)の回路構成を説明するための図である。
発光チップCは、256個の転送サイリスタS1〜S256と、上述した256個の発光サイリスタL1〜L256とを備えている。なお、発光サイリスタL1〜L256は、転送サイリスタS1〜S256と同じpnpn接続を有しており、その中のpn接続を利用することで発光ダイオード(LED)としても機能するようになっている。また、発光チップCは、256個のダイオードD1〜D256と、256個の抵抗R1〜R256とをさらに備えている。さらに、発光チップCは、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2が供給される信号線に、過剰な電流が流れるのを防止するための転送電流制限抵抗R1A、R2Aを有している。なお、発光素子アレイLAを構成する発光サイリスタL1〜L256は、図中左側からL1、L2、…、L255、L256の順で配列されている。また、転送サイリスタS1〜S256も、図中左側からS1、S2、…、S255、S256の順で配列されている。さらに、ダイオードD1〜D256も、図中左からD1、D2、…、D255、D256の順で配列されている。さらにまた、抵抗R1〜R256も、図中左からR1、R2、…R255、R256の順で配列されている。
【0029】
また、発光チップCは、第1ブロックB1および第2ブロックB2を有している。ここで、第1ブロックB1は、128個の転送サイリスタS1〜S128、128個の発光サイリスタL1〜L128、128個のダイオードD1〜D128、および128個の抵抗R1〜R128にて構成される。一方、第2ブロックB2は、128個の転送サイリスタS129〜S256、128個の発光サイリスタL129〜L256、128個のダイオードD129〜D256、および128個の抵抗R129〜R256にて構成される。
【0030】
では次に、発光チップCにおける各素子の電気的な接続について説明する。
まず、各転送サイリスタS1〜S256のアノード端子は接地用電極79に接続されている。この接地用電極79には、電源ライン102(図4参照)が接続され、接地される。
【0031】
また、第1ブロックB1における奇数番目の転送サイリスタS1、C3、…、S127および第2ブロックB2における偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のカソード端子は、転送電流制限抵抗R1Aを介して第1転送信号用パッド71に接続されている。この第1転送信号用パッド71には、第1転送信号ライン103(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1が供給される。
【0032】
一方、第1ブロックB1における偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128および第2ブロックB2における奇数番目の転送サイリスタS129、…、S255のカソード端子は、転送電流制限抵抗R2Aを介して第2転送信号用パッド72に接続されている。この第2転送信号用パッド72には、第2転送信号ライン104(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
【0033】
また、各転送サイリスタS1〜S256のゲート端子G1〜G256は、各転送サイリスタS1〜S256に対応して設けられた抵抗R1〜R256をそれぞれ介して電源電圧用パッド78に接続されている。この電源電圧用パッド78には、電源ライン101(図4参照)が接続され、電源電圧Vcc(−5.0V)が供給される。
【0034】
さらに、各転送サイリスタS1〜S256のゲート端子G1〜G256は、対応する同番号の発光サイリスタL1〜L256のゲート端子に、1対1でそれぞれ接続されている。
【0035】
さらに、第1ブロックB1において、各転送サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128には、ダイオードD1〜D128のカソード端子が接続されている。そして、転送サイリスタS1〜S127のゲート端子G1〜G127には、次段のダイオードD2〜D128のアノード端子が各々接続されている。すなわち、各ダイオードD1〜D128はゲート端子G1〜G127を挟んで直列接続されている。
【0036】
他方、第2ブロックB2において、各転送サイリスタS256〜S129のゲート端子G256〜G129には、ダイオードD256〜D129のカソード端子が接続されている。そして、転送サイリスタS256〜S130のゲート端子G256〜G130には、次段のダイオードD255〜D129のアノード端子が各々接続されている。すなわち、各ダイオードD256〜D129はゲート端子G256〜G130を挟んで直列接続されている。
【0037】
そして、第1ブロックB1におけるダイオードD1のアノード端子および第2ブロックB2におけるダイオードD256のアノード端子は、転送電流制限抵抗R2Aを介して第2転送信号用パッド72に接続されている。
【0038】
また、発光サイリスタL1〜L256のアノード端子は接地用電極79に接続されている。
これに対し、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128のカソード端子は、第1発光信号用パッド73に接続されている。この第1発光信号用パッド73には、奇数番目の発光信号ライン105(例えば発光チップC1では発光信号ライン105_1)が接続され、奇数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI1)が供給される。一方、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129〜L256のカソード端子は、第2発光信号用パッド77に接続されている。この第2発光信号用パッド77には、偶数番目の発光信号ライン105(例えば発光チップC1では発光信号ライン105_2)が接続され、偶数番目の発光信号φI(例えば発光チップC1では発光信号φI2)が供給される。
【0039】
本実施の形態において、第1発光検出センサLR1、第2発光検出センサLR2および第3発光検出センサLR3は、上述したダイオードD1〜D256と同じpn接続を有するフォトダイオードで構成されている。なお、これら第1発光検出センサLR1、第2発光検出センサLR2および第3発光検出センサLR3と、転送サイリスタS1〜S256と、発光サイリスタL1〜L256と、ダイオードD1〜D256とは、例えばGaAsで構成されたチップ基板70上に同一のプロセスで形成されている。なお、抵抗R1〜R256および転送電流制限抵抗R1A、R2Aについても、これらと同一のプロセスで製造されている。
【0040】
そして、第1発光検出センサLR1のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第1発光検出信号用パッド74に接続されている。また、第2発光検出センサLR2のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第2発光検出信号用パッド75に接続されている。さらに、第3発光検出センサLR3のアノード端子は接地用電極79に接続され、そのカソード端子は第3発光検出信号用パッド76に接続されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、転送サイリスタS1〜S256およびダイオードD1〜D256によって、複数のスイッチ素子が構成されている。より具体的に説明すると、転送サイリスタS1〜S128とダイオードD1〜D128とによって、第1ブロックB1における複数のスイッチ素子が構成され、転送サイリスタS129〜S256とダイオードD129〜D256とによって、第2ブロックB2における複数のスイッチ素子が構成される。
【0042】
次に、上述した図3ないし図6、そして図7に示すタイミングチャートを参照しながら、画像形成動作におけるLPH14の発光部63の動作例について説明を行う。ここで、図7に示すタイミングチャートは、発光部63を構成する各発光チップC1〜C57において、すべての発光サイリスタL1〜L256を発光させる場合について表記している。ただし、図7には、発光チップC1、C2、C3、C55、C56、C57を例として示している。また、図7には、発光の対象となる発光サイリスタの番号を数字で示している。なお、画像形成動作が開始される前の状態において、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、ともにハイレベル(H)に設定されている。また、画像形成動作が開始される前の状態において、各発光信号φI1〜φI114は、すべてハイレベルに設定されている。
【0043】
画像形成動作が開始される前の状態において、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1のダイオードD1のアノード端子および第2ブロックB2のダイオードD256のアノード端子には、ハイレベルの第2転送信号φ2が供給されている。すると、第1ブロックB1では、ダイオードD1、D2、D3、…を介してゲート端子G1、G2、G3、…にそれぞれゲート電圧が発生する。ただし、ダイオードD1、D2、D3、…でそれぞれ電圧降下が生じるため、第1ブロックB1においては、転送サイリスタS1のゲート端子G1にかかるゲート電圧が最も高くなる。一方、第2ブロックB2では、ダイオードD256、D255、D254、…を介してゲート端子G256、G255、G254、…にそれぞれゲート電圧が発生する。ただし、ダイオードD256、D255、D254、…でそれぞれ電圧降下が生じるため、第2ブロックB2においては、転送サイリスタS256にかかるゲート電圧が最も高くなる。
【0044】
次に、各発光チップC1〜C57に対して動作の開始を指示する場合、転送信号発生部120は、第1転送信号φ1をハイレベルからローレベル(L)に変更する。
【0045】
このように、第2転送信号φ2がハイレベルとなっている状態において、ローレベルの第1転送信号φ1が供給されると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される奇数番目の転送サイリスタS1、S3、…、S127のうち、ゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS1がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のうち、ゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS256がターンオンする。また、このとき、第2転送信号φ2はハイレベルとなっているので、第1ブロックB1における偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128のカソード端子の電圧は高いままとなり、ターンオフの状態が維持される。一方、第2ブロックB2における奇数番目の転送サイリスタS129、…、S255のカソード端子の電圧も高いままとなり、ターンオフの状態が維持される。さらにこのとき、発光信号φI1〜φI114はハイレベルに維持されているため、各発光サイリスタL1〜L256のカソード端子の電圧は高いままとなり、各発光サイリスタL1〜L256は発光しない。
【0046】
そして、発光チップC1〜C57の第1ブロックB1の転送サイリスタS1および第2ブロックB2の転送サイリスタS256がターンオンしている状態において、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をハイレベルからローレベルに変更する。これに伴い、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、入力される奇数番目の発光信号φIにより、奇数番目の発光サイリスタL1、L3、…、L127のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL1が発光する。一方、第2ブロックB2では、入力される偶数番目の発光信号φIにより、偶数番目の発光サイリスタL2、L4、…、L256のうち、ゲート端子の電位が最も高い発光サイリスタL256が発光する。なお、例えば発光サイリスタL1を発光させない場合には、転送サイリスタS1がターンオンしている間、奇数番目の発光信号φIをハイレベルの状態に維持すればよい。同様に、例えば発光サイリスタL256を発光させない場合には、転送サイリスタS256がターンオンしている間、偶数番目の発光信号φIをハイレベルの状態に維持すればよい。
【0047】
次に、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1において転送サイリスタS1がターンオンし、且つ、第2ブロックB2において転送サイリスタS256がターンオンしているときに、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をハイレベルからローレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第2転送信号φ2が供給される偶数番目の転送サイリスタS2、…、S128のうち、ターンオンしている転送サイリスタS1のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS2がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第2転送信号φ2が供給される奇数番目の転送サイリスタS129、…、S253、S255のうち、ターンオンしている転送サイリスタS256のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS255がターンオンする。このとき、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、隣接する2個の転送サイリスタS1、S2が共にターンオンし、第2ブロックB2では、隣接する2個の転送サイリスタS255、S256が共にターンオンしていることになる。
【0048】
また、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をハイレベルからローレベルに変更するのと同時に、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をローレベルからハイレベルに変更する。これに伴い、それまで発光していた第1ブロックB1の発光サイリスタL1および第2ブロックB2の発光サイリスタL256が共に消灯する。そして、転送信号発生部120は、第2転送信号φ2をローレベルとしてから第1の期間taが経過した後、第1転送信号φ1をローレベルからハイレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では転送サイリスタS1がターンオフし、第2ブロックB2では転送サイリスタS256がターンオフする。各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、転送サイリスタS1のターンオフに伴って、転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位が抵抗R1によって徐々に低下し、ダイオードD1を介して順方向に隣接する転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位が上昇する。一方、第2ブロックB2では、転送サイリスタS256のターンオフに伴って、転送サイリスタS256のゲート端子G256の電位が抵抗R256によって徐々に低下し、ダイオードD255を介して順方向に隣接する転送サイリスタS255のゲート端子G255の電位が上昇する。
【0049】
そして、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1の転送サイリスタS2および第2ブロックB2の転送サイリスタS255がターンオンしている状態において、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルに変更してから第2の期間tbが経過した後、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をハイレベルからローレベルに変更する。これに伴い、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、入力される奇数番目の発光信号φIにより、偶数番目の発光サイリスタL2、…、L128のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL2が発光する。一方、第2ブロックB2では、入力される偶数番目の発光信号φIにより、奇数番目の発光サイリスタL129、…、L255のうち、ゲート端子の電圧が最も高い発光サイリスタL255が発光する。
【0050】
次に、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1において転送サイリスタS2がターンオンし、且つ、第2ブロックB2において転送サイリスタS255がターンオンしているときに、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルからローレベルに変更する。すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される奇数番目の転送サイリスタS1、S3、…S127のうち、ターンオンしている転送サイリスタS2のゲート端子電圧の影響でゲート端子の電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS3がターンオンする。一方、第2ブロックB2では、ローレベルの第1転送信号φ1が供給される偶数番目の転送サイリスタS130、…、S254、S256のうち、ターンオンしている転送サイリスタS255のゲート端子電圧の影響でゲート電圧が最も高く、閾値以上のゲート電圧となる転送サイリスタS254がターンオンする。このとき、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、隣接する2個の転送サイリスタS2、S3が共にターンオンし、第2ブロックB2では、隣接する2個の転送サイリスタS254、S255が共にターンオンしていることになる。
【0051】
また、転送信号発生部120が第1転送信号φ1をハイレベルからローレベルに変更するのと同時に、発光信号発生部110が発光信号φI1〜φI114をローレベルからハイレベルに変更する。これに伴い、それまで発光していた第1ブロックB1の発光サイリスタL2および第2ブロックB2の発光サイリスタL255が共に消灯する。その後、転送信号発生部120が第2転送信号φ2をローレベルからハイレベルに変更すると、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では転送サイリスタS2がターンオフし、第2ブロックB2では転送サイリスタS255がターンオフする。各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1では、転送サイリスタS2のターンオフに伴って、転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位が抵抗R2によって徐々に低下し、ダイオードD2を介して順方向に隣接する転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位が上昇する。一方、第2ブロックB2では、転送サイリスタS255のターンオフに伴って、転送サイリスタS255のゲート端子G255の電位が抵抗R255によって徐々に低下し、ダイオードD254を介して順方向に隣接する転送サイリスタS254のゲート端子G254の電位が上昇する。なお、第1転送信号φ1がローレベルとなってから第2転送信号φ2がローレベルとなるまでの期間、あるいは、第2転送信号φ2がローレベルとなってから第1転送信号φ1がローレベルとなるまでの期間を、サイリスタ転送周期Pという。
【0052】
このように、画像形成動作において、発光部63では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間(図7に示す第1の期間ta)を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1においては転送サイリスタS1〜S128が番号順に順次ターンオンし、また、第2ブロックB2においては転送サイリスタS129〜S256が番号とは逆順に順次ターンオンする。これにより、第1ブロックB1では、発光サイリスタL1〜L128が番号順に順次発光可能な状態に設定され、また、第2ブロックB2では、発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に順次発光可能な状態に設定される。したがって、各発光チップCでは、図5に破線矢印で示すように、主走査方向の両端側から中央部に向かって、発光サイリスタL1〜L256が発光していくことになる。
【0053】
では次に、発光部63を構成する各発光チップC1〜C57の故障検出動作について説明する。この故障検出動作は、例えば画像形成装置1のスイッチが投入されたときなど、画像形成動作を行っていないタイミングで実行される。なお、ここでいう故障とは、転送サイリスタS1〜S128および転送サイリスタS256〜S129にてオン状態を転送する際に生じる不具合(転送不良と呼ぶ)、および、発光サイリスタL1〜L256のいずれかが発光できなくなることに起因する不具合(発光不良と呼ぶ)である。
【0054】
図8は、故障検出動作における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
故障検出動作の開始指示があると、制御部20は、信号処理回路100に指示を送り、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128をすべて発光させるための発光動作を実行させる(ステップ101)。このとき、信号処理回路100の故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出センサLR1から出力される第1発光検出信号ξ1を、第1・第2発光検出信号ライン106を介して取得する。また、故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第3発光検出センサLR3から出力される第3発光検出信号ξ3を、第3発光検出信号ライン107を介して取得する。
【0055】
続いて、故障検出部130は、ステップ101で取得された第1発光検出信号ξ1に基づき、1番目すなわち最初に発光すべき発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ102)。ここで、正規のタイミングとは、第1ブロックB1に故障が生じておらず、各発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光しうる状態とされる場合において、1番目の発光サイリスタL1が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0056】
ステップ102において発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光したと判断した場合、故障検出部130は、ステップ101で取得された第1発光検出信号ξ1に基づき、1番目に発光すべき発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ103)。ここで、非正規のタイミングとは、発光サイリスタL1が発光すべきタイミングすなわち上記ステップ102の判断基準である正規のタイミング以外で発光することをいう。
【0057】
ステップ103において発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光してないと判断した場合、故障検出部130は、ステップ101で取得された第3発光検出信号ξ3に基づき、128番目すなわち最後に発光すべき発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ104)。ここで、正規のタイミングとは、第1ブロックB1に故障が生じておらず、各発光サイリスタL1〜L128が番号順に発光しうる状態とされる場合において、128番目の発光サイリスタL128が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0058】
そして、ステップ102において発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、ステップ103において発光サイリスタL1が非正規のタイミングで発光したと判断した場合、およびステップ104において発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、故障検出部130は、このような状況が発生した発光チップCに転送不良あるいは発光不良等の故障が生じたことを検出し、この検出結果を、制御部20に出力する(ステップ105)。なお、制御部20は、必要に応じて、故障の情報を、画像形成装置1に設けられたユーザインタフェース、電話回線あるいはLAN等を介して接続される外部機器等に出力する。
【0059】
次に、制御部20は、信号処理回路100に指示を送り、各発光チップC1〜C57の第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129〜L256をすべて発光させるための発光動作を実行させる(ステップ106)。このとき、信号処理回路100の故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出センサLR2から出力される第2発光検出信号ξ2を、第1・第2発光検出信号ライン106を介して取得する。また、故障検出部130は、各発光チップC1〜C57に設けられた第3発光検出センサLR3から出力される第3発光検出信号ξ3を、第3発光検出信号ライン107を介して取得する。
【0060】
続いて、故障検出部130は、ステップ106で取得された第2発光検出信号ξ2に基づき、1番目すなわち最初に発光すべき発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ107)。ここで、正規のタイミングとは、第2ブロックB2に故障が生じておらず、各発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光しうる状態とされる場合において、1番目の発光サイリスタL256が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0061】
ステップ107において発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光したと判断した場合、故障検出部130は、ステップ106で取得された第2発光検出信号ξ2に基づき、1番目に発光すべき発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ108)。ここで、非正規のタイミングとは、発光サイリスタL256が発光すべきタイミングすなわち上記ステップ107の判断基準である正規のタイミング以外で発光することをいう。
【0062】
ステップ108において発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光してないと判断した場合、故障検出部130は、ステップ106で取得された第3発光検出信号ξ3に基づき、128番目すなわち最後に発光すべき発光サイリスタL129が正規のタイミングで発光したか否かを判断する(ステップ109)。ここで、正規のタイミングとは、第2ブロックB2に故障が生じておらず、各発光サイリスタL129〜L256が番号とは逆順に発光しうる状態とされる場合において、128番目の発光サイリスタL129が発光可能な状態に設定されるタイミングで発光することをいう。
【0063】
そして、ステップ107において発光サイリスタL256が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、ステップ108において発光サイリスタL256が非正規のタイミングで発光したと判断した場合、およびステップ109において発光サイリスタL129が正規のタイミングで発光していないと判断した場合、故障検出部130は、このような状況が発生した発光チップCに転送不良あるいは発光不良等の故障が生じたことを検出し、この検出結果を、制御部20に出力する(ステップ110)。なお、制御部20は、必要に応じて、故障の情報を、画像形成装置1に設けられたユーザインタフェース、電話回線あるいはLAN等を介して接続される外部機器等に出力する。
【0064】
続いて、図9に示すタイミングチャートを参照しながら、故障検出動作における発光部63の動作例について説明を行う。なお、故障検出動作は、すべての発光チップC1〜C57に対して並列に実行されるが、図9には、発光チップC1、C2のみを表記している。また、図9には、図7と同様、発光の対象となる発光サイリスタの番号を数字で示している。なお、故障検出動作が開始される前の状態において、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、ともにハイレベル(H)に設定されている。また、故障検出動作が開始される前の状態において、各発光信号φI1〜φI114は、すべてハイレベルに設定されている。さらに、第1・第2発光検出信号ξ1−2および第3発光検出信号ξ3は、すべてローレベルとなっている。
【0065】
なお、ここでは、発光チップC1は正常であるものの、発光チップC2に異常が生じている場合を例として説明を行う。具体的に説明すると、発光チップC1では、第1ブロックB1および第2ブロックB2ともに転送不良および発光不良が生じていないものとする。これに対し、発光チップC2では、第1ブロックB1において発光不良が生じており、第2ブロックB2において転送不良が生じているものとする。
【0066】
故障検出動作において、発光部63では、画像形成動作の場合と同様、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、各発光チップC1〜C57の第1ブロックB1においては転送サイリスタS1〜S128を番号順に順次ターンオンさせるようにし、また、第2ブロックB2においては転送サイリスタS129〜S256を番号とは逆順に順次ターンオンさせるようにする。これにより、各転送周期において、第1ブロックB1では、発光サイリスタL1〜L128を番号順に順次発光可能な状態に設定させるようにし、また、第2ブロックB2では、発光サイリスタL129〜L256を番号とは逆順に順次発光可能な状態に設定させるようにする。
【0067】
ただし、第1の転送周期すなわち第1の期間T1においては、奇数番目の発光信号φI(φI1、φI3、…、φI113)をハイレベルとローレベルとの間で複数回切り替える一方、偶数番目の発光信号φI(φI2、φI4、…、φI114)をハイレベルに維持する。したがって、第1の期間T1においては、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128を発光させるように、且つ、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL256〜L129を発光させないように、発光信号φIの供給を行う。これにより、図8に示すステップ101における第1ブロックB1の発光動作が実行されることになる。
【0068】
これに対し、第2の転送周期すなわち次の第2の期間T2においては、偶数番目の転送信号φI(φI2、φI4、…、φI114)をハイレベルとローレベルとの間で複数回切り替える一方、奇数番目の転送信号φI(φI1、φI3、…、φI113)をハイレベルに維持する。したがって、第2の期間T2においては、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL256〜L129を発光させるように、且つ、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL1〜L128を発光させないように、発光信号φIの供給を行う。これにより、図8に示すステップ106における第2ブロックB2の発光動作が実行されることになる。
【0069】
発光チップC1では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の最初の発光サイリスタL1を発光させるための第1発光信号φI1(1)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第1ブロックB1の場合は第1発光検出信号ξ1)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI1(1)の供給に伴って発光サイリスタL1が発光し、その光が第1発光検出センサLR1で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ102において、肯定の判断がなされることになる。
【0070】
また、発光チップC1では、第1の期間T1において、上記期間以外では第1・第2発光検出信号ξ1−2がローレベルに維持されている。これは、第1発光信号φI1(2)〜φI1(128)の供給に伴って、発光サイリスタL1が発光しないことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ103において、否定の判断がなされることになる。
【0071】
さらに、発光チップC1では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の最後の発光サイリスタL128を発光させるための第1発光信号φI1(128)の供給タイミングに合わせて、第3発光検出信号ξ3がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI1(128)の供給に伴って発光サイリスタL128が発光し、その光が第3発光検出センサLR3で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ104において、肯定の判断がなされることになる。
【0072】
次に、発光チップC1では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最初の発光サイリスタL256を発光させるための第2発光信号φI2(256)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第2ブロックB2の場合は第2発光検出信号ξ2)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第2発光信号φI2(25)の供給に伴って発光サイリスタL256が発光し、その光が第2発光検出センサLR2で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ107において、肯定の判断がなされることになる。
【0073】
また、発光チップC1では、第2の期間T2において、上記期間以外では第1・第2発光検出信号ξ1−2がローレベルに維持されている。これは、第2発光信号φI2(255)〜φI2(129)の供給に伴って、発光サイリスタL256が発光しないことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ108において、否定の判断がなされることになる。
【0074】
さらに、発光チップC1では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最後の発光サイリスタL129を発光させるための第2発光信号φI2(129)の供給タイミングに合わせて、第3発光検出信号ξ3がローレベルからハイレベルになっている。これは、第2発光信号φI2(129)の供給に伴って発光サイリスタL129が発光し、その光が第3発光検出センサLR3で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ109において、肯定の判断がなされることになる。
【0075】
これに対し、発光チップC2では、第1の期間T1において、第1ブロックB1の127番目の発光サイリスタL127を発光させるための第1発光信号φI3(127)の供給タイミングに合わせて、第1・第2発光検出信号ξ1−2(第1ブロックB1の場合は第1発光検出信号ξ1)がローレベルからハイレベルになっている。これは、第1発光信号φI3(127)の供給に伴って、本来発光すべき発光サイリスタL127の代わりに発光サイリスタL1が発光し、その光が第1発光検出センサLR1で検出されたことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ103において、肯定の判断がなされることになる。なお、これは、発光サイリスタL127の発光不良に起因するものと考えられる。
【0076】
また、発光チップC2では、第2の期間T2において、第2ブロックB2の最後の発光サイリスタL129を発光させるための第2発光信号φI4(129)が供給されても、第3発光検出信号ξ3がローレベルのままとなっている。これは、第2発光信号φI4(129)が供給されても、発光サイリスタL129が発光しなかったことを意味する。したがって、この場合は、図8に示すステップ109において、否定の判断がなされることになる。なお、これは、発光チップC2の第2ブロックB2を構成する転送サイリスタS256〜S129における転送不良に起因するものと考えられる。
【0077】
本実施の形態では、第1ブロックB1における最後の発光サイリスタL128の発光と第2ブロックB2における最後の発光サイリスタL129の発光とを、共通の第3発光検出センサLR3で検出する構成を採用し、センサ数の削減を図っている。そして、故障検出動作において、発光チップCを構成する第1ブロックB1の発光動作を実行させた後に第2ブロックB2の発光動作を実行させることで、第3発光検出センサLR3で検出された光が、第1ブロックB1を構成する発光サイリスタL128によるものか、あるいは、第2ブロックB2を構成する発光サイリスタL129によるものかを、時系列的に区別するようにしている。
【0078】
ではここで、第1ブロックB1において発光順番が2番目以降となる発光サイリスタL2〜L128に発光不良が生じた場合に、発光順番が1番目となる発光サイリスタL1が発光する理由について説明する。なお、第2ブロックB2において発光順番が2番目以降となるL255〜L129に発光不良が生じた場合に、発光順番が1番目となる発光サイリスタL256が発光する理由もこれと同じである。
ここで、発光不良の原因としては、例えば発光サイリスタ自身の故障に起因するもの、例えば発光サイリスタのアノード端子、カソード端子あるいはゲート端子に接続された配線の断線等に起因するもの、などが挙げられる。
【0079】
図10は、画像形成動作(あるいは故障検出動作)における、発光チップCの第1ブロックB1のダイオードD1のアノード端子の電位P0、ダイオードD1のカソード端子およびダイオードD2のアノード端子すなわち転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1、ダイオードD2のカソード端子およびダイオードD3のアノード端子すなわち転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2、ダイオードD3のカソード端子およびダイオードD4のアノード端子すなわち転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3、およびダイオードD4のカソード端子およびダイオードD5のアノード端子すなわち転送サイリスタS4のゲート端子G2の電位P4の変遷を示す図である。
【0080】
また、図11は、転送サイリスタSの構成および動作を説明するための図である。ここで、図11(a)は転送サイリスタSの構成を示す図であり、図11(b)はその等価回路の構成を示す図である。
【0081】
転送サイリスタSは、pnpトランジスタTr1のコレクタとnpnトランジスタTr2のゲートとを接続し、且つ、pnpトランジスタTr1のゲートとnpnトランジスタTr2のエミッタとを接続したもので表現される。このとき、pnpトランジスタTr1のエミッタが転送サイリスタSのアノード端子Aとなり、pnpトランジスタTr1のコレクタとnpnトランジスタTr2のゲートとの接続部が転送サイリスタSのゲート端子Gとなり、npnトランジスタTr2のコレクタが転送サイリスタSのカソード端子Kとなる。
【0082】
図10に示すように、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2がともにローレベルに設定される重なり期間を設けつつ、交互にハイレベル、ローレベルを切り換えることにより、まず、最初に転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が最も高くなる状態となり、次いで転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2が最も高くなる状態へと移行し、次に転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3が最も高くなる状態へと移行し、さらに転送サイリスタS4のゲート端子G4の電位P4が最も高くなる状態へと移行する。
【0083】
ただし、1番目の転送サイリスタS1のゲート電圧である電位P1は、ダイオードD1による順方向立ち上がり電圧Vfのみの影響を受けるのに対し、後段の2番目の転送サイリスタS2、3番目の転送サイリスタS3、…は、これに加えてさらに転送サイリスタにおけるコレクタ−エミッタ間の飽和電圧であるコレクタエミッタ飽和電圧Vce(sat)の影響も受ける。このため、1番目の転送サイリスタS1がターンオンするゲート電圧に比べ、2番目から128番目の転送サイリスタS2〜S128がターンオンするゲート電圧は、Vceだけ低くなる。
【0084】
したがって、例えば2番目の転送サイリスタS2のゲート端子G2の電位P2が最も高くなっている状態において、1番目の転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が次に高い状態となる。また、例えば3番目の転送サイリスタS3のゲート端子G3の電位P3が最も高くなっている状態において、1番目の転送サイリスタS1のゲート端子G1の電位P1が次に高くなる。すなわち、いつでも、2番目に高いゲート電圧をもつのは、1番目の転送サイリスタS1となる。
【0085】
このため、2番目の転送サイリスタS2〜128番目の転送サイリスタS128がターンオンしている状態において、それぞれ対応する2番目の発光サイリスタL2〜128番目の発光サイリスタL128が発光できない状態となっていると、これに代わって1番目の発光サイリスタL1が発光することになる。したがって、1番目の発光サイリスタL1が正規のタイミング以外で発光するのを検出することにより、発光サイリスタL2〜L128における発光異常がわかることになる。また、1番目の発光サイリスタL1が正規のタイミングで発光しないことを検出することにより、発光サイリスタL1における発光異常がわかることになる。
さらに、最後の発光サイリスタL128が正規のタイミングで発光しないことを検出することにより、転送サイリスタS1〜S128における転送異常がわかることになる。
【0086】
なお、本実施の形態では、発光チップCに第1ブロックB1および第2ブロックB2を設け、各発光チップC内でブロックを単位として発光を制御する例について説明を行ったが、これに限られるものではない。
【0087】
図12は、発光チップCの他の構成例を示している。
図12に示す発光チップCは、256個の発光サイリスタL1〜L256を有している点で本実施の形態と共通するが、これら発光サイリスタL1〜L256を1つのブロックとして構成し、発光サイリスタL1〜L256を番号順に発光可能と設定している点で本実施の形態とは異なっている。また、この例では、発光サイリスタL1〜L256のうち、最初に発光可能に設定される発光サイリスタL1に隣接して検出素子の一例としての始端発光検出センサLRAが設けられ、最後に発光可能に設定される発光サイリスタL256に隣接して他の検出素子の一例としての終端発光検出センサLRBが設けられている。
【0088】
このような構成を採用した場合においても、本実施の形態と同様、各発光チップCにおいて上述したような故障検出動作を行うことで、転送サイリスタS1〜S256における転送不良および発光サイリスタL1〜L256における発光不良を検出することが可能になる。ただし、この場合は、各発光チップC1〜C57がそれぞれ1つのブロックにて構成されることとなるため、例えば図8に示すステップ101〜ステップ105までの処理を行わせるようにすればよいことになる。
【0089】
また、本実施の形態では、各発光チップCのチップ基板70に、第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75と第3発光検出信号用パッド76とを形成し、第1発光検出信号用パッド74からの出力と第2発光検出信号用パッド75からの出力とを共通の第1・第2発光検出信号ライン106に接続するようにしていたが、これに限られるものではない。
【0090】
すなわち、例えば図5に示す発光チップCのチップ基板70において、第1発光検出センサLR1からの出力と第2発光検出センサLR2からの出力とを共通の配線に接続し、この配線を1つの共通のパッドを介して出力するように構成してもよい。この場合には、各発光チップCと信号処理回路100とを接続するためにチップ基板70に設けられるパッドおよび配線の数を、共通化した分だけ減らすことができる。
そして、各発光チップCにおいて、第1発光検出センサLR1からの出力と第2発光検出センサLR2からの出力とを共通のパッドを介して出力する場合においても、図8に示したように、第1ブロックB1と第2ブロックB2とで故障の検出タイミングがずらされていることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。
【0091】
さらに、本実施の形態では、各発光チップCに形成される第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75とを、第1・第2発光検出信号ライン106を介して信号処理回路100に接続し、また、各発光チップCに形成される第3発光検出信号用パッド76を、第3発光検出信号ライン107を介して信号処理回路100に接続するようにしていたが、これに限られるものではない。
【0092】
図13は、回路基板62に搭載される信号処理回路100の構成および回路基板62の他の配線構成例を示した図である。
図13に示す例において、回路基板62には、各発光チップC1〜C57から信号処理回路100の故障検出部130に対し、第1・第2発光検出信号ライン106および第3発光検出信号ライン107に代えて、第1発光検出信号ξ1を出力する第1発光検出信号ライン108と、第2発光検出信号ξ2および第3発光検出信号ξ3を第2・第3発光検出信号ξ2−3として出力する第2・第3発光検出信号ライン109とが設けられている。なお、第1発光検出信号ライン108は各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74に接続され、第2・第3発光検出信号ライン109は各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出信号用パッド75および第3発光検出信号用パッド76に接続される。
【0093】
このような接続手法を採用した場合においても、上述した図8に示したように、ステップ107〜ステップ109の処理が時系列的に異なるタイミングで行われることになるため、第2発光検出信号ξ2と第3発光検出信号ξ3とを時間的に分離することができることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。また、配線を共通化することにより、回路基板62における配線の数を減らすことができる。この場合に、各発光チップC1〜C57において、第2発光検出センサLR2からの出力と第3発光検出センサLR3からの出力とを共通の配線に接続し、この配線を1つの共通のパッドを介して出力するように構成すれば、チップ基板70における配線の数を減らすことができる。
【0094】
なお、図13に示した例とは逆に、各発光チップC1〜C57に設けられた第2発光検出信号用パッド75を共通の配線に接続すると共に、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74と第3発光検出信号用パッド76とを他の共通の配線に接続するように構成してもよい。さらに、各発光チップC1〜C57に設けられた第1発光検出信号用パッド74と第2発光検出信号用パッド75と第3発光検出信号用パッド76とを、すべて共通の配線に接続した場合にも、第1発光検出信号ξ1と第2発光検出信号ξ2と第3発光検出信号ξ3とを、時間的に分離することができることから、第1ブロックB1における転送不良および発光不良と、第2ブロックB2における転送不良および発光不良とを、分離して検出することができる。そして、このような構成を採用した場合には、回路基板62における配線の数をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【図2】LPHの構成を示した断面図である。
【図3】(a)はLPHにおける回路基板、発光部および信号処理回路の上面図であり、(b)はLPHにおけるロッドレンズアレイおよびホルダの上面図である。
【図4】回路基板に搭載される信号処理回路の構成および回路基板の配線構成を示した図である。
【図5】発光チップの上面図である。
【図6】発光チップの回路構成を説明するための図である。
【図7】画像形成動作における発光チップの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】故障検出動作における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】故障検出動作における発光チップの動作例を説明するためのタイミングチャーである。
【図10】発光チップにおける各部位の電位の変遷を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】一般的なサイリスタの構成を説明するための図である。
【図12】発光チップの他の構成例を説明するための図である。
【図13】回路基板に搭載される信号処理回路の構成および回路基板の配線構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0096】
14…LEDプリントヘッド(LPH)、20…制御部、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、70…チップ基板、100…信号処理回路、110…発光信号発生部、120…転送信号発生部、130…故障検出部、C(C1〜C57)…発光チップ、B1…第1ブロック、B2…第2ブロック、LA…発光素子アレイ、LR1…第1発光検出センサ、LR2…第2発光検出センサ、LR3…第3発光検出センサ、S1〜S256…転送サイリスタ、L1〜L256…発光サイリスタ、D1〜D256…ダイオード、R1〜R256…抵抗、G1〜G256…転送サイリスタのゲート端子、φI(φI1〜φI114)…発光信号、φ1…第1転送信号、φ2…第2転送信号、ξ1…第1発光検出信号、ξ2…第2発光検出信号、ξ3…第3発光検出信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子とを有し、帯電された像保持体を露光するための光を出力する光出力手段と、
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、
前記複数のスイッチ素子を用いて前記複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための前記発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、
前記実行手段にて実行される前記故障検出動作において、前記検出素子による検出結果に基づいて前記複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段と
を含む露光装置。
【請求項2】
前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミング以外で発光したことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1または2記載の露光装置。
【請求項4】
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含み、
前記故障検出手段は、前記他の検出素子による検出結果に基づいて前記複数のスイッチ素子における故障をさらに検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項5】
前記故障検出手段は、前記他の検出素子にて前記最後の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数のスイッチ素子における故障を検出することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子と前記複数のスイッチ素子と前記検出素子とを搭載した発光装置を複数備え、
複数の前記発光装置のうち少なくとも2つの発光装置のそれぞれに設けられた前記検出素子からの出力を、1本の共通配線に接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項7】
複数の前記発光装置のそれぞれは、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに搭載し、
各々の前記発光装置において、前記検出素子からの出力と前記他の検出素子からの出力とを共通の配線に接続することを特徴とする請求項6記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、
前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項9】
一列に並べて配置され、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と
を含む発光装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子、前記複数のスイッチ素子および前記検出素子が、同一の基板上に同一のプロセスによって形成されていることを特徴とする請求項9記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の発光装置。
【請求項12】
前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、
前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の発光装置。
【請求項13】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、当該複数のスイッチ素子によって当該複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、当該複数のスイッチ素子を用いて当該複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための当該発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、当該実行手段にて実行される当該故障検出動作において、当該検出素子による検出結果に基づいて当該複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを有し、前記帯電装置にて帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像して画像を形成する現像装置と、
前記像保持体に形成された画像を記録材に転写する転写装置と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子とを有し、帯電された像保持体を露光するための光を出力する光出力手段と、
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、
前記複数のスイッチ素子を用いて前記複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための前記発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、
前記実行手段にて実行される前記故障検出動作において、前記検出素子による検出結果に基づいて前記複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段と
を含む露光装置。
【請求項2】
前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミング以外で発光したことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記故障検出手段は、前記検出素子にて前記最初の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数の発光素子における故障を検出することを特徴とする請求項1または2記載の露光装置。
【請求項4】
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含み、
前記故障検出手段は、前記他の検出素子による検出結果に基づいて前記複数のスイッチ素子における故障をさらに検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項5】
前記故障検出手段は、前記他の検出素子にて前記最後の発光素子が正規のタイミングで発光しなかったことを検出した場合に、前記複数のスイッチ素子における故障を検出することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子と前記複数のスイッチ素子と前記検出素子とを搭載した発光装置を複数備え、
複数の前記発光装置のうち少なくとも2つの発光装置のそれぞれに設けられた前記検出素子からの出力を、1本の共通配線に接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項7】
複数の前記発光装置のそれぞれは、前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに搭載し、
各々の前記発光装置において、前記検出素子からの出力と前記他の検出素子からの出力とを共通の配線に接続することを特徴とする請求項6記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、
前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項9】
一列に並べて配置され、発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と
を含む発光装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子、前記複数のスイッチ素子および前記検出素子が、同一の基板上に同一のプロセスによって形成されていることを特徴とする請求項9記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数のスイッチ素子によって前記複数の発光素子の中で最後に発光可能な状態に設定される最後の発光素子から出射される光を検出する他の検出素子をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の発光装置。
【請求項12】
前記複数のスイッチ素子は、複数の転送サイリスタを1次元に配列し、隣接する当該転送サイリスタのゲート間をそれぞれダイオードで結合し、複数の当該転送サイリスタのゲートを共通の配線に接続し、複数の当該転送サイリスタのアノードまたはカソードを、第1転送信号を供給する配線と第2転送信号を供給する配線とに対して配列方向に交互に接続して構成され、
前記複数の発光素子は、複数の発光サイリスタを1次元に配列し、各々の当該発光サイリスタのゲートと対応する前記転送サイリスタのゲートとを接続し、各々の当該発光サイリスタのアノードまたはカソードを、前記発光信号を供給する配線に接続して構成されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の発光装置。
【請求項13】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
発光信号により発光/非発光が制御される複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、順次オン状態に設定されることにより対応する発光素子を発光可能な状態に設定する複数のスイッチ素子と、当該複数のスイッチ素子によって当該複数の発光素子の中で最初に発光可能な状態に設定される最初の発光素子から出射される光を検出する検出素子と、当該複数のスイッチ素子を用いて当該複数の発光素子を順番に発光可能な状態に設定するとともに、発光可能な状態に設定された発光素子を発光させるための当該発光信号を供給する故障検出動作を実行する実行手段と、当該実行手段にて実行される当該故障検出動作において、当該検出素子による検出結果に基づいて当該複数の発光素子における故障を検出する故障検出手段とを有し、前記帯電装置にて帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像して画像を形成する現像装置と、
前記像保持体に形成された画像を記録材に転写する転写装置と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−120261(P2010−120261A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296003(P2008−296003)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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