説明

露光装置収容機構及び画像形成装置

【課題】露光装置によって露光される位置のずれを抑制することを目的とする。
【解決手段】1枚の支持板100は、フレームに溶接で固定される際、熱の伸長・収縮によって発生する応力が段差103に集中して、(b)のような折れ曲がりが発生する。(c)に示す支持板80は、第1板状部材81と第2板状部材90とに分けている。溶接の熱によって、第1板状部材81,第2板状部材90にX軸方向への伸長・収縮が発生してとしても、折り曲げ部81A,90Aは互いに連結されていないため、段差に発生していた応力の発生をなくす。これにより、支持板80によって固定される露光装置の筐体を変形させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置収容機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー機などの画像形成装置は、感光体の表面に潜像を形成するための光走査手段を備えている。この光走査手段は、光源及び駆動回路が含まれる光源ユニット、偏向器前光学系、偏向器(例えば、ポリゴンミラー)、走査レンズ、及び折り曲げミラー等を備えている。
この光走査手段を画像形成装置の内部に装着する手段としては、特許文献1記載されたものがある。具体的には、光学素子等を収納する光学箱の主走査方向の長さを副走査方向の長さよりも大きく形成するとともに、この光学箱の画像形成装置への固定点を4点とし、この4点を副走査方向に相対するように2点ずつ配置する。そして、その副走査方向に相対する固定点の中間が光学箱の底部となるようにし、さらにその副走査方向に相対する固定部の高さが異なるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、露光装置によって露光される位置のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1記載の露光装置収容機構は、画像データに応じた露光を行う露光装置と、開口部を有し、当該開口部から挿入された前記露光装置を収容する空間を形成する筐体と、を備え、前記露光装置は、前記筐体に設けられた支持部によって支持される第1被支持部と、前記空間に対する挿入方向において前記第1被支持部よりも手前側の位置であって、前記第1被支持部よりも重力方向において低い位置に設けられ、前記支持部によって支持される第2被支持部と、を備え、前記筐体は、前記支持部を有し、前記支持部は、前記空間において前記露光装置を支持し、前記挿入方向において奥側に設けられ、前記第1被支持部を支持する第1支持部を有する第1板状部材と、前記挿入方向において前記第1板状部材よりも手間側の位置であって、前記第1板状部材よりも重力方向において低い位置に設けられ、前記第2被支持部を支持する第2支持部を有する第2板状部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の露光装置収容機構は、請求項1記載の露光装置収容機構において、前記露光装置の、前記支持部と対向する面には、重力方向下方に向かう成分を有する方向に延びる突起が形成され、前記第1板状部材には、前記挿入方向の手前側に向けて開口し、前記露光装置が挿入されるときに前記突起が挿入される挿入溝が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の露光装置収容機構は、請求項1または2記載の露光装置収容機構において、前記第1被支持部および前記第2被支持部は、前記露光装置の挿入方向に対する左方向および右方向に突出するピンであり、前記第1支持部および前記第2支持部は、前記ピンを支持して固定する機構であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の露光装置収容機構は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の露光装置収容機構において、前記露光装置の、前記支持部と対向する面は、前記挿入方向の奥側と手前側とで折り曲げ部を介して隣り合う2つの面からなり、前記挿入方向の奥側の面が、当該露光装置が前記空間に挿入されるときに前記第2板状部材に接して、当該露光装置の挿入方向を案内する案内面となることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1〜4に記載の露光装置収容機構と、前記露光装置収容機構によって収容された前記露光装置の露光に応じた潜像を現像し、その現像像を媒体に転写して定着させる像形成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、支持部が1枚の板体で形成されている場合に比べて、露光装置によって露光される位置のずれを抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、露光装置を筐体に形成された空間に挿入するときに、その挿入方向に対する左右の位置決めを行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、露光装置を支持部に対して固定することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、露光装置を筐体に形成された空間に挿入するときに、その露光装置の前端が重力方向上方に浮くのを規制することができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、支持部を1枚の板体で形成している場合に比べて、露光装置によって露光される位置のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】露光装置の外形を示す図である。
【図3】支持板を示す斜視図である。
【図4】露光装置を支持板に固定した状態の要部を示す図である。
【図5】装置本体に支持板を固定する際において、1枚の支持板と2枚の支持板との相違を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.実施形態>
例えば、プリンタやコピー機などの画像形成装置は、構成部品のメンテナンスや交換、或いは記録用紙の詰まりなどの不具合を解消する作業を行うために、その筐体の側面などに開閉カバーが設けられている。以下の実施形態では、このような画像形成装置を例に挙げて説明する。図1は画像形成装置の装置本体内の構成を模式的に示す図である。
以下では、利用者が画像形成装置1を正面から見たときの左右方向の右方向をX(+)・左方向をX(−)、奥行き方向の奥方向をY(+)・手前方向をY(−)、高さ方向の上方向をZ(+)・下方向をZ(−)として説明する。
【0017】
<画像形成装置の構成>
まず、画像形成装置1の内部構成および動作の一例について説明する。画像形成装置1はフルカラープリンターを構成するものであり、この内部には、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、或いは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行う画像処理装置(図示せず)が設けられている。この画像形成装置1の内部には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成部)2Y,2M,2C,2Kが設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態である間隔を隔てて並列的に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、水平方向に対して傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、その水平方向の全幅が短くなる。
【0018】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同様に構成されており、ある速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール4と、後述する露光装置5による画像露光によって感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器6と、感光体ドラム3の表面を清掃するクリーニング装置7と、を具備している。感光体ドラム3は、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、表面にオーバーコート層を有する有機感光体であり、駆動手段としての駆動モーター(図示せず)によって回転駆動される。帯電ロール4は、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器であり、この帯電ロール4の芯金には、帯電バイアスが印加される。さらに、この帯電ロール4の表面には、この帯電ロール4の表面に付着したトナー等の異物を除去するためのクリーニングロールが接触するように配置されている。
以下、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを特に識別して説明する必要のない場合には、画像形成ユニット2と称する。
【0019】
画像形成ユニット2の下部には、画像データに応じた露光を行う露光装置5が設けられる。露光装置5は、画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向走査されるとともに、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、各画像形成ユニット2の感光体ドラム3上に照射される。この露光装置5は、4つの画像形成ユニット2の下部に沿って配設されており、また、これら4つの画像形成ユニット2は前述したように水平方向に対して傾斜した状態で設けられている。このため、画像形成ユニット2の感光体ドラム3上に照射される各レーザービームの光路長は、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kにおいていずれも等しい。
【0020】
画像処理装置からは、各画像形成ユニット2に共通して設けられた露光装置5に、各色の画像データが順次出力される。露光装置5から画像データに応じて射出されたレーザービームは、対応する感光体ドラム3の表面に照射され、静電潜像を形成させる。上記各色の感光体ドラム3上にそれぞれ形成された静電潜像は、現像器6Y,6M,6C,6Kによって、各色のトナー像として現像される。上記画像形成ユニット2の感光体ドラム3上に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2の上方にわたって傾斜した状態で配置された中間転写体としての中間転写ベルト10上に、一次転写ロール11によって多重に転写される。
【0021】
中間転写ベルト10は、複数のロールによって張架されたベルト状部材であって、このベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が低く、且つ上流側が高くなるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。中間転写ベルト10は、ドライブロール12と、バックアップロール13と、テンションロール14と、アイドラーロール15間にテンションで掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール12により、矢印方向に循環駆動されるようになっている。中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。中間転写ベルト10は、その下辺走行領域において、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kに接触するように配置されている。
なお、中間転写ベルト10、各一次転写ロール11、ドライブロール12、バックアップロール13、テンションロール14およびアイドラーロール15等は、1つの中間転写ユニット9として構成される。
【0022】
中間転写ベルト10を挟んでバックアップロール13と対向する位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触するように二次転写ロール17が配置される。二次転写ロール17は、中間転写ベルト10上に一次転写されたトナー像を記録用紙18上に二次転写する。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、バックアップロール13に圧接する二次転写ロール17によって、圧接力および静電気力で記録媒体としての記録用紙18上に二次転写される。これらの各色のトナー像が転写された記録用紙18は、上方に位置する定着器19へと搬送される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱および圧力で定着処理を受けた後、定着器19の出口ロール20および用紙排出経路21を介して排出ロール22によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙受部23上に排出される。
【0023】
記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収容部24から規定のサイズおよび材質のものが、給紙ローラ25および用紙分離搬送用のローラ対26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで搬送される。上記用紙収容部24から給紙された記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。
【0024】
用紙受部23と中間転写ベルト10との間には、トナーを収容する手段としてのトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられ、このトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kは、現像器6Y,6M,6C,6Kにトナーを供給する。黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ29Kは、使用頻度が多いため、他のカラーのトナーカートリッジと比較して大型に形成されている。
【0025】
画像形成装置1においては、フレームとなるボックス状の筐体40によって、露光装置を収容する空間が形成され、この空間は開口部を介して外部に開口する。この筐体40においては、露光装置5を収容するために、この露光装置5の上側(Z(+)側)には上側規制板45が、下側(Z(−)側)にはフレームの一部をなす支持板80が、当該筐体40のフレーム(図示せず)に溶着等の手段によって固定されている。そして、この上側規制板45と支持板80との間が、露光装置5が収容される空間となる。また、筐体40の右側、つまりX(+)方向を法線として持つ面には、側面カバー41が回転自在に設けられる。この側面カバー41を開いた状態にあっては、外部に開口する開口部を介して空間が外部に露出して露光装置5が着脱自在となる。つまり、露光装置5が、矢印a方向(X(−)方向)から筐体40内に挿入され、また、矢印a方向の逆方向(X(+)方向)に筐体40から離脱させられることになる。
【0026】
<露光装置の外形>
ここで、図2を参照しつつ、露光装置5の外形をなす装置本体50について説明する。
装置本体50は樹脂材料によって形成されており、図2に示すように、X軸方向に離間してY軸方向に延びる矩形状の4つの光通過部52を有する蓋部51と、蓋部51によって施蓋される開口部を有する箱体60と、を具備する。各光通過部52には、ガラスやプラスチック等の透明部材53が嵌め込まれる。
【0027】
箱体60は、X(−)側が前面部61となり、X(+)側が高さ寸法において前面部61よりも長くなる後面部62となり、Y(−)側,Y(+)側が台形状の2つの側面部63となり、Z(−)側が底面部64となる。
底面部64は、Y軸方向に延びる折曲線64A,64Bを介して隣り合う面、つまり、挿入方向の手前側(X(−)側)から挿入面65、挿入時の基準面となる案内面66、離間面67の3つの面を有する。挿入面65のY軸方向の中央には、位置決めのために突出した位置決め突起68が形成される。この位置決め突起68は、支持板80と対向する挿入面65において、重力方向下方に向かう成分を有する方向に延びて形成される。露光装置5は、底面部64の案内面66を支持板80に置くことにより水平に保った状態において、位置決め突起68の先端が支持板80に接触しないように、挿入面65は案内面66に対してある角度をもって折曲線64Aを介して折り曲げられている。
【0028】
また、この状態において、蓋部51のX軸に対する傾きは、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの傾斜と等しい、例えば10度となる。これにより、露光装置5から画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3に照射される各レーザービームの光路長は、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kにおいていずれも等しくなる。装置本体50内に収容される半導体レーザー、ポリゴンミラー、レンズ、ミラー等の光学素子のうち、比較的重いポリゴンミラーおよびこの駆動モーターは、後面部62側に配置されるが、他の光学素子の大半は傾斜した状態の蓋部51に沿って配置される。そのため、露光装置5の容積をなるべく小さくする観点から、離間面67は案内面66に対してある角度をもって折曲線64Bを介して折り曲げられている。
【0029】
前面部61には、3つのピン支持具72によって、第1被支持部となる第1支持ピン71がX(−)側に突出するように支持されている。第1支持ピン71の長手方向の両端はY軸方向において側面部63からY(−)・Y(+)方向に突出している。底面部64の後面部62側、つまり露光装置5の挿入方向(X(−)方向)において第1支持ピン71よりも手前側の位置であって、第1支持ピン71よりも重力方向において低い位置には、ピン支持舌片76を介して第2被支持部となる第2支持ピン75がY軸方向において側面部63からY(−)・Y(+)方向に突出するように設けられている。
【0030】
<支持板の形状>
次に、図3を参照しつつ、露光装置5を筐体40に固定するための支持板80について説明する。
支持板80は、露光装置5を収容する空間において第1板状部材81および第2板状部材90を有しており、露光装置5の挿入方向(X(−)方向)において手前側が第1板状部材81、奥側が第2板状部材90となって、第2板状部材90が第1板状部材81よりも重力方向に低い位置に設けられている。
また、支持板80は、その両端(Y(−)・Y(+)側)が、筐体40のフレーム(図示せず)にレーザー溶接等の手段によって固定されている。前述したように、斜めに配置した画像形成ユニット2および中間転写ユニット9が傾斜した状態で配置されており、さらに中間転写ユニット9にレーザービームを照射するための露光装置5において、蓋部51が傾斜した状態となる。
【0031】
第1板状部材81は、挿入方向の奥側(X(−)側)に位置し、Y軸方向に離間した位置に形成された2つの冶具孔82と、挿入方向の手前側(X(+)側)に向けて開口し、露光装置5が挿入される際に、位置決め突起68が挿入されるU字状の挿入溝83と、冶具孔82よりもさらに挿入方向の奥側(X(−)側)の位置からZ(+)方向に延びる平面状の立脚部84と、を具備する。第2板状部材90は、挿入方向の手前側に位置し、X軸方向に離間した2つの冶具孔91を有する板体である。第1板状部材81および第2板状部材90の各端部には折り曲げたリブが形成されて、当該第1板状部材81および当該第2板状部材90の強度を増している。
【0032】
第1板状部材81上でY軸方向に離間した2つの位置には、第1支持具87と板バネ88(図4に図示)とを有する第1ブラケット86が、第1支持ピン71の両端を固定するためにそれぞれ形成される。各第1支持具87は板体を折り曲げて形成され、X軸に沿ってZ(+)側に延びる立脚部87Aと、上側(Z(+)側)の挿入方向の手前側(X(+)側)が切り取られた下側受け部87Bを有する。下側受け部87Bは、第1支持ピン71を下側(Z(−)側)で受けるように形成される。第1支持ピン71および第1ブラケット86は、第1支持部85を構成する。
【0033】
一方、第2板状部材90のうち挿入方向手前側(X(+)側)でY軸方向に離間した位置には、第2支持具97と板バネ98(図4に図示)、および板バネ台99を有する第2ブラケット96が、第2支持ピン75の両端を固定するために形成される。各第2支持具97は、板体を折り曲げて形成され、X軸に沿ってZ(+)側に延びる立脚部97Aと、上側(Z(+)側)の挿入方向の手前側(X(+)側)が切り取られた下側受け部97Bと、板バネ台99をボルトによって取り付ける支持面97Cとを有する。下側受け部97Bは、第2支持ピン75を下側(Z(−)側)で受けるように形成される。第2支持ピン75および第2ブラケット96は、第2支持部95を構成する。
【0034】
<露光装置の支持板への取付状態>
次に、図4を参照しつつ、露光装置5の支持板80への取り付け状態について説明する。
図1の矢印aに示すように、露光装置5が、筐体40の右側面(X(+))から前面部61を先頭にして挿入される。
露光装置5の案内面66が第2板状部材90の表面に接触しながら挿入方向(X(−)側)に挿入され、さらに、位置決め突起68を挿入溝83に挿入されることで、当該露光装置5がY軸方向へ位置決めされる。さらに、露光装置5が挿入されると、挿入側に位置する第1支持ピン71が第1支持具87の下側受け部87Bに乗り上げ、後側に位置する第2支持ピン75が第2支持具97の下側受け部97Bに乗り上げて立脚部87Aの端部にあたって止まる。
【0035】
第1ブラケット86には板バネ88が設けられているから、この板バネ88によって第1支持ピン71は下側(Z(−)側)に押し付けられる。一方、第2ブラケット96には板バネ98が設けられているから、この板バネ98によって第2支持ピン75は挿入側(X(−)側)および下側(Z(−)側)に押し付けられる。
このように、露光装置5は、上側規制板45と支持板80との間の空間に挿入するだけで、位置決めした状態で筐体40内の空間に固定されることになる。そして、露光装置5は、前述したように比較的重い光学素子を後面部62側に配置させているため、例えば、折曲線64Bを支点として前面部61が浮き上がってしまう可能性が高い。しかし、上述した通り、板バネ88によって、第1支持ピン71は上側(Z(+)側)に上昇しないように押さえつけられているので、これにより、露光装置5は、蓋部51を上側規制板45に接触させることなく画像形成装置1に挿入されることになる。
【0036】
露光装置5においては、各感光体ドラム3に照射するレーザービームの方向や感光体ドラム3までの距離を等しくするために、光学素子を精度良く配置することが必要となる。一方、装置本体50(箱体60)がフレームから力を受けて変形した場合には、この変形が光学素子の配置にズレを発生させ、各レーザービームの照射方向や距離が異なることがある。例えば画像形成装置を平面でない場所や水平でない場に設置した場合に、フレームや支持板が歪んで露光装置5の装置本体50に外力を与え、その結果、装置本体50も歪んでその内部にある光学素子の配置にズレを発生させるようなケースである。このような場合には、記録用紙18に形成される画像に色ズレ等が発生することがある。
この不具合を緩和するために、露光装置5は、支持板80を第1板状部材81と第2板状部材90から構成して、支持板80の歪みを抑制している。つまり、露光装置5を支持する支持板が1枚の板体で形成されている場合には、フレームから受ける力で支持板に歪みが発生し、この歪みが、その支持板に接触している装置本体50を変形させ、感光体ドラム5における露光位置がずれてしまうことがある。これに対し、上記のように支持板80を第1板状部材81と第2板状部材90との2枚構成とすると、仮に第1板状部材81が歪んでしまったとしても、その第1板状部材81とは分離している第2板状部材90には歪みが生じない、或いはその逆の現象が起きるので、支持板が1枚で構成されている場合と比べて、露光装置5の歪みの量は小さくなり、各レーザービームの照射方向や距離が異なってしまうという不具合が抑制される。
【0037】
ここで、図5を参照しつつ、1枚の支持板を用いたときの作用と本実施形態のように2枚で支持板80を構成したときの作用との違いについて説明する。
図5は、支持板を筐体40のフレーム(図示せず)に溶接等の手段で固定する場合の例を示した図である。図5(a)(b)は1枚の板体で支持板100を構成した場合の例であり、図5(c)は2枚の板体で支持板を構成した場合の例である。
図5(a)に示す1枚の支持板100は、挿入方向奥側(X(−)側)が短尺な平面部101となり、挿入方向手前側(X(+)側)が長尺な平面部102となって、平面部101と平面部102との間には段差103が形成される。また、この支持板100には、本実施形態における支持板80と同様に、冶具孔およびリブが形成されるが、図示は省略する。
【0038】
この支持板100を筐体40のフレームに固定する際には、高さ方向(Z軸)を固定するための冶具を冶具孔に挿入して、当該支持板100の高さ方向の位置を規制した上で、支持板100のY(+)(−)に位置する端部をフレームにレーザー溶接で固定する。この際、図5(b)に示すように、支持板100のうち、段差103の位置で平面部101と平面部102が折れ曲がってしまう。
【0039】
そこで、本実施形態による支持板80は、第1板状部材81と第2板状部材90とに分けて構成し、第1板状部材81,第2板状部材90毎にフレームに溶接して固定する。これにより、折り曲げ部81A,90Aは互いに接合されていないため、段差に発生していた応力をなくす。この支持板80では、図5(b)に示すような折れ曲がりが生じないので、露光装置5の装置本体50の変形量は小さくなる。かくして、支持板80の変形によって発生していた装置本体50の変形を小さくし、露光装置5における不具合を解消して形成される画像に色ズレ等を抑制する。
【0040】
<2.変形例>
上記実施形態を次のように変形してもよい。
<2−1>
実施形態では、第1支持部85および第2支持部95を、支持ピン71,75とブラケット86,96とによって構成するようにしたが、支持板側にピンを形成し、装置本体50側にブラケットを形成するようにしてよいし、他の固定機構で支持板80に対して露光装置5を固定するようにしてもよい。また、第1板状部材81および第2板状部材90からなる支持板80によって画像露光装置5を画像形成装置1の筐体40に支持する構成としたが、筐体40のフレーム自体に、支持板80(第1板状部材81および第2板状部材90)を形成するようにしてもよい。
【0041】
<2−2>
実施形態では、支持板80の第1板状部材81と第2板状部材90とが重なる部分を、折り曲げ部81A,90Aとして形成したが、この重なる部分を「コ」字状に形成して互いに挟み合うように形成しても、或いは全く重なり合わないようにしてもよい。要は、支持板を構成する第1板部と第2板部とがX軸・Y軸方向に離間した状態であればよい。
【符号の説明】
【0042】
1…画像形成装置、5…露光装置、40…筐体、50…装置本体、64…底面部、66…案内面、68…位置決め突起、71…第1支持ピン(第1被支持部)、75…第2支持ピン(第2被支持部)、支持板…80、81…第1板状部材、82,91…冶具孔、83…挿入溝、85…第1支持部、86…第1ブラケット、87…第1支持具、88,98…板バネ、90…第2板状部材、95…第2支持部、96…第2ブラケット、97…第2支持具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じた露光を行う露光装置と、
開口部を有し、当該開口部から挿入された前記露光装置を収容する空間を形成する筐体と、を備え、
前記露光装置は、
前記筐体に設けられた支持部によって支持される第1被支持部と、
前記空間に対する挿入方向において前記第1被支持部よりも手前側の位置であって、前記第1被支持部よりも重力方向において低い位置に設けられ、前記支持部によって支持される第2被支持部と、を備え、
前記筐体は、前記支持部を有し、
前記支持部は、前記空間において前記露光装置を支持し、前記挿入方向において奥側に設けられ、前記第1被支持部を支持する第1支持部を有する第1板状部材と、前記挿入方向において前記第1板状部材よりも手間側の位置であって、前記第1板状部材よりも重力方向において低い位置に設けられ、前記第2被支持部を支持する第2支持部を有する第2板状部材と、を備える
ことを特徴とする露光装置収容機構。
【請求項2】
請求項1記載の露光装置収容機構において、
前記露光装置の、前記支持部と対向する面には、重力方向下方に向かう成分を有する方向に延びる突起が形成され、
前記第1板状部材には、前記挿入方向の手前側に向けて開口し、前記露光装置が挿入されるときに前記突起が挿入される挿入溝が形成されている
ことを特徴とする露光装置収容機構。
【請求項3】
請求項1または2記載の露光装置収容機構において、
前記第1被支持部および前記第2被支持部は、前記露光装置の挿入方向に対する左方向および右方向に突出するピンであり、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記ピンを支持して固定する機構である
ことを特徴とする露光装置収容機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の露光装置収容機構において、
前記露光装置の、前記支持部と対向する面は、前記挿入方向の奥側と手前側とで折り曲げ部を介して隣り合う2つの面からなり、前記挿入方向の奥側の面が、当該露光装置が前記空間に挿入されるときに前記第2板状部材に接して、当該露光装置の挿入方向を案内する案内面となる
ことを特徴とする露光装置収容機構。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の露光装置収容機構と、
前記露光装置収容機構によって収容された前記露光装置の露光に応じた潜像を現像し、その現像像を媒体に転写して定着させる像形成手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−107177(P2011−107177A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258855(P2009−258855)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】