説明

青果物載置部材

【課題】青果物が互いに触れないように載置して箱詰する載置部材において、生産地から消費地への流通過程でトルマリンパウダーの作用により追熟させること。
【解決手段】載置部材1が、断面ほぼ台形の成形体であり、上面には青果物の一部外周を受容する凹部2が縦横に複数個形成されている。少なくとも各凹部2はトルマリンパウダーを含有した物質3として、イオンコートパウダー塗料で塗工され、或いはイオンコートパウダー液を浸み込ませている。トルマリンパウダーを含有した物質3が発生する電磁波で青果物の細胞分子を活性化しかつマイナスイオンによる微弱電流により青果物内に軽い電気分解を誘発し短期間で追熟させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デコポン、洋ナシ等の果実類やトマト等の果菜類野菜など収穫した青果物を消費地へ輸送する際に鮮度を保ちながら追熟させるための箱詰用の青果物載置部材に関する。
【背景技術】
【0002】
果実の成熟期は収穫によって終わるが、果実の種類によって成熟期において樹上で完熟させるものと、収穫後の追熟によって完熟させるものがある。果実は可食状態に達した適熟期から完熟期に達すると、果実本来の最高の食味になる。一般に、樹上で完熟する果実は完熟期に収穫すると最も品質がよいが、日持ちが低下することが多いため、一般に適熟期の比較的早い時期に収穫されている。また、西洋ナシやアボガトなどの果実は収穫後でなければ完熟しない。このように果実類は樹上、或いは収穫後において様々な完熟過程を経るため、夫々の果実の特異性に合わせて消費地で最も食味のよい状態、つまり食べ頃になるように生産地から出荷されている。
【0003】
追熟により完熟させる果実類等においては、呼吸作用に密接に関連する炭酸ガスおよびエチレンガスの吐出量が最も大きな追熟因子である。この点に着目して、従来、追熟のための装置や方法は多数提案されている。この種の追熟処理設備は大型の気密室が使用され、そこに供給するガスの制御装置を必要とするために大掛かりになるという問題がある。
また流通過程で追熟させるための追熟シートも知られている。例えば、引用文献1に提案されているパッケージ材は電磁波を生ずるシート材で形成されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭62−186683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、青果物が互いに触れないように載置して箱詰する載置部材において、生産地から消費地への流通過程でトルマリンパウダーの作用により短期間に追熟させる青果物載置部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る青果物載置部材は、青果物の一部外周を受容する凹部が複数連設された成形体から成り、少なくとも前記各凹部がトルマリンパウダーで処理されていることを特徴としている。
請求項2の発明に係る青果物載置部材は、青果物の一部外周を受容する凹部が複数連設された成形体から成り、少なくとも前記各凹部がトルマリンパウダーを含有した物質で処理されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2において、トルマリンパウダーまたはトルマリンパウダーを含有した物質が凹部の内面に塗工処理されていることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1または2において、トルマリンパウダーまたはトルマリンパウダーを含有した物質が凹部に含浸処理されていることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1または2において、青果物の一部外周を受容する凹部が行列に複数連設され、前記行又は列間に折り目加工が施され、該折り目で折り曲げて階段状の陳列台に利用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収穫後の青果物を上下から載置部材で挟み込むようにして箱詰する。消費地へ輸送する流通過程において、トルマリンパウダーの作用により、その機能電磁波が青果物内の細胞の分子活動を活性化させるとともに、マイナスイオンによる微弱電流は軽い電気分解を誘発し、青果物内のクエン酸がリンゴ酸を経て糖に短期間で転換させる。更にマイナスイオンの作用として、追熟後の完熟状態が長く維持され、青果物の品質低下を抑えることができる。この載置部材を出荷作業で使用することで青果物を所定の追熟効果が得られるので、経済的かつ出荷作業の効率化が図れると共に、使用後の回収により、載置部材は簡単な処理を施すことで、本来の性能に戻して再利用可能になり、環境汚染の防止にも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、青果物の一部外周を受容する凹部を複数連設した青果物載置部材であって、少なくとも凹部に処理されているトルマリンパウダーを含有した物質が発生する電磁波で青果物の細胞分子を活性化しかつマイナスイオンによる微弱電流により青果物内に軽い電気分解を誘発させ、糖を短期間で生成し追熟させることで実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に係る青果物載置部材の1実施例の斜視図、図2は断面図である。輸送時に青果物が互いにぶつかり合って傷つけない為に載置部材1を使用して箱詰される。載置部材1は断面ほぼ台形の成形体であり、上面には青果物の一部外周を受容する凹部2が縦横に複数個形成されていると共に、その周縁には台座となるすそ部が設けられている。
【0011】
図3は、本発明に係る青果物載置部材の変形例の斜視図、図4は断面図である。本例は消費地の青果物店において、載置部材を陳列台に利用するため、すそ部のない平板状の載置部材に凹部2が行列に複数連設され、この行又は列間に折り目加工8が施されている。
【0012】
載置部材1の各凹部2はトルマリンパウダーを含有した物質3で処理されている。この処理の態様として、図5(a)に示す載置部材1はトルマリンパウダーに電導物質、例えば水を添加したイオンコートパウダー塗料4が、少なくとも凹部2の内面を含む載置部材上面に塗工されている。或いは図5(b)に示す載置部材1はトルマリンパウダーを液化したイオンコートパウダー液に浸し、凹部2を含む全体に含浸されており、イオンコートパウダー5を載置部材1の材料に浸み込ませている。
【0013】
イオンコートパウダーは遠赤外線およびマイナスイオンを発生する。遠赤外線による機能電磁波は青果物内の細胞の分子活動を活性化させる。またマイナスイオンによる微弱電流は軽い電気分解を誘発し、青果物内のクエン酸がリンゴ酸を経て糖に転換される。更にマイナスイオンの還元効果により青果物の鮮度が保たれ、色のくすみが軽減される。
【0014】
次に本実施例の作用を説明する。青果物として、デコポンの追熟について説明する。図6および図7はデコポンの出荷を示すもので、適熟期に収穫されたデコポン1は生産地から消費地へ輸送する際にダンボール箱6などに箱詰される。デコポン10を箱詰する場合、図示の如く通気性を有する包装紙11に包まれたデコポン10を上下から載置部材1で挟んで保持し、これを箱内に仕切り板7を介在させて2段積みして梱包し、出荷される。
【0015】
出荷後の流通過程において、デコポン10は尻部分が凹部内面に接触しているため、デコポン10の表皮部分の水分が凹部内面のトルマリンに積極的に作用し、多量のマイナスイオンの発生を促す。そのため、機能電磁波が青果物の細胞分子を活性化しかつマイナスイオンによる微弱電流により青果物内に軽い電気分解を誘発させ、短期間で追熟させることが可能になる。
【0016】
青果物店では、図1に示す載置部材にデコポン10を載せ、それを陳列台に並べる。又は図3に示す載置部材の場合は、図8に示すように折り目8を階段状に折り曲げて階段状の陳列台にセットする。このように青果物店で載置部材を利用することで、トルマリンパウダーが発生するマイナスイオンにより追熟を更に進めるとともに、マイナスイオンの還元作用により鮮度を保って品質低下を抑制することができる。
【0017】
光センサで選別された品低糖13以上、酸度1.21以上を1個づつポリ袋に入れて箱詰し保管したデコポンと本発明の載置部材でデコポンを図6の如くサンドイッチ状で保管したものを10日間ごとに糖度、酸度を実測した。糖度グラフ(図9参照)、酸度グラフ(図10参照)、甘味比グラフ(図11参照)を作成した。この実験によれば、本発明品はポリ袋の50日目の糖度を僅か12日程度で達成することができ、従来と比べて短期間に追熟させることができる。また、糖度値も5%アップ、酸抜きで65〜70%、甘味比150%の効果が確認できた。
【0018】
トルマリンパウダーを含有した物質で載置部材を処理する態様として、上記実施例の他に載置部材の上面に、トルマリンパウダーを含有した物質を含浸させたシートを貼り付けても同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る青果物載置部材の1実施例の斜視図である。
【図2】図1のI−I線に沿った断面図である。
【図3】本発明に係る青果物載置部材の変形例の平面図である。
【図4】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図5】トルマリンパウダーを含有した物質で処理された載置部材を示すもので、(a)はイオンコートパウダー塗料を塗工した青果物載置部材の部分拡大断面図、(b)はイオンコートパウダー液を浸み込ませた青果物載置部材の部分拡大断面図である。
【図6】図1に示す青果物載置部材によるデコポンの出荷時の箱詰を示す図である。
【図7】図3に示す青果物載置部材によるデコポンの出荷時の箱詰を示す図である。
【図8】図3に示す青果物載置部材の陳列状態を示す図である。
【図9】デコポン糖度経時変化を示す図である。
【図10】デコポン酸度経時変化を示す図である。
【図11】デコポン甘味比経時変化を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 青果物載置部材
2 凹部
3 トルマリンパウダーを含有した物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の一部外周を受容する凹部が複数連設された成形体から成り、少なくとも前記各凹部がトルマリンパウダーで処理されていることを特徴とする青果物載置部材。
【請求項2】
青果物の一部外周を受容する凹部が複数連設された成形体から成り、少なくとも前記各凹部がトルマリンパウダーを含有した物質で処理されていることを特徴とする青果物載置部材。
【請求項3】
請求項1または2において、トルマリンパウダーまたはトルマリンパウダーを含有した物質が凹部の内面に塗工処理されていることを特徴とする青果物載置部材。
【請求項4】
請求項1または2において、トルマリンパウダーまたはトルマリンパウダーを含有した物質が凹部に含浸処理されていることを特徴とする青果物載置部材。
【請求項5】
請求項1または2において、青果物の一部外周を受容する凹部が行列に複数連設され、前記行又は列間に折り目加工が施され、該折り目で折り曲げて階段状の陳列台に利用することを特徴とする青果物載置部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−76578(P2006−76578A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259822(P2004−259822)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(502321881)株式会社東京俊光社 (3)
【Fターム(参考)】