説明

静電容量型タッチパネルつき加熱装置

【課題】静電容量式のタッチパネルを有する加熱装置において、キー操作ごとに異なった音色を発する機能を設けることにより、操作性を向上する。
【解決手段】タッチパネルを触っただけで音色を頼りにキーの位置がわかり、手探りでも目的のキー操作ができ、また操作手順の工夫により通常操作での操作を邪魔することなく、一方手探り操作の場合に順序でキー入力したときは、音色を発することなく加熱装置を操作でき、誤ったキー操作などキー操作に迷いがある場合には音色を発することでキーの位置を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体を隔てて電極とのあいだの静電容量結合で機器を操作させる入力装置を用いた加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタッチキーは操作部に凹凸が無く、耐久性や掃除のしやすさに特徴がある。操作面はガラスやアクリル板など硬質材の裏面に電極を配置し、電極がある操作面を触ったことを検出する回路がキー操作の有無を判定して加熱装置を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−213114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のタッチキーでは、操作面を触ってもキーの位置がわからないため、暗やみで手探りでの操作や弱視力の方の操作に支障があり、そのため誤って別の目的のキーを操作したり、使いたいキーを探せないといった課題があった。これを解決するために操作面に突起物を設けたり、表面処理を工夫するなどの方法があるが、本来の特徴を損ねてしまう。また一般の使用者と目の不自由な使用者を切り替えボタンを使い分ける方法もある。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、静電容量式のタッチパネルを有する加熱装置における操作性を向上することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の静電容量型タッチパネルつき加熱装置は、キー操作ごとに異なった音色を発する機能を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の静電容量型タッチパネルつき加熱装置によると、タッチパネルを触っただけで音色を頼りにキーの位置がわかり、手探りでも目的のキー操作ができ、また操作手順の工夫により通常操作での操作を邪魔することなく、一方手探り操作の場合に順序でキー入力したときは音色を発することなく加熱装置を操作でき、誤ったキー操作などキー操作に迷いがある場合には音色を発すことでキーの位置を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、静電容量検出方式のタッチパネルと制御部を備え、前記タッチパネルには複数のキーが配置され、キーごとに操作に応じた異なった音色の音を発することを特徴としたもので、静電容量検出方式のタッチパネルにはガラスやアクリルなどの硬質板の裏面に電極を配置し制御部へと接続してある。タッチパネルには複数のキーが配置されており、各キーを操作しているか否かは制御部が判断し、それぞれのキーの操作でキーごとに異なった音色の音を発するようになっている。異なる音色は周波数の違いや複数の周波数の音の合成でつくることができ、ワンチップマイコンでも実現できるものである。
【0008】
第2の発明は、特に第1の発明において、1回目の操作ではあらかじめキーごとに設定した音を発するが機器の操作をするために入力として処理されず、再度同じキーを指定時間以内に操作したとき、機器の操作をするための入力として処理する構成としたもので、キー操作ごとに操作状態を把握するためのタイマーが設定されている。このタイマーはキ
ーが操作されるごとにあらかじめ設定してある時間を減算し、別のキーが操作されるとリセットされるようになっている。これにより同じキーをつづけて2回押したときに有効なキー入力として加熱装置を制御する情報として処理する。つまり最初のキー操作では単に音色のみ発すが、続けて押されたときにそのキーを押したということを認識するわけである。これによりキーを操作してそれにより機器の動作に影響を与える前に音でキーの種類を確認し、そのあと2回目のキー操作で機器を操作することができる。
【0009】
第3の発明は、特に第1の発明において、キーごとに操作時に発する音の回数を変えたもので、キーごとに設定した音色に加えその音色を断続するように制御部が設定されている。キーの数が多い場合やキーの機能などに応じて選択的に断続回数を設定するとキーを判別しやすい。
【0010】
第4の発明は、正しい操作順序でキー入力があったときにはキー操作で音色を変えずに、誤ったキー操作をしたときまたはそれ以降キーを操作するときに異なった音色を発することを特徴とするもので、通常の正しいキー操作では1回のキー操作がキー入力として機器を制御できるようにしてあり、通常の軽快なキー操作を妨げないようにしたある。一方、キーの位置がわからずにあちこちキーを触っているようなときは誤ったキー操作として、キーごとの操作で異なった音色を発生させキーの種類を認識できるようにし、ひきつづきて2回目のキー操作で機器を操作するようにしてある。
【0011】
第5の発明は、正しい操作順序でキー入力があったときにはキー操作で音色を変えずに、誤ったキー操作をしたときまたはそれ以降キーを操作するときに異なった音色を発し、それまでのキー入力を無効にすることを特徴とするもので、誤ったキー操作を無効にして連続した正しいキー操作のみを有効にするものである。通常操作では発生しない順序でキー入力があったとき、それまでのキー入力は無効にし、誤ったキー操作として、それまでにキー入力及び機器の操作を取り消し、以降のキーごとの操作で異なった音色を発生させキーの種類を認識できるようにし、ひきつづきて2回目のキー操作で機器を操作するようにしてある。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの操作に関係する制御ダイヤグラム、図2はタッチパネルの模式図を示すもので、タッチパネル上のキーの配置と、それぞれのキーの操作時の音色の対応(a)とキーを操作してからキーを受け付けるまでを示すタイムチャート(b)を示している。
【0014】
以下、図1および図2を用いて説明する。タッチパネル1はガラスやアクリル樹脂などでつくられた凹凸の少ない板で、キー2はその位置を示すよう意匠が施されているが、指で触ってその位置がわかるようにはなっていない。電子レンジを例にするとキーには電子レンジ出力600W、300W、100W、時間設定で10分、1分、10秒の各キー、さらに停止とスタートのキーがタッチパネル上に設けられている。指でタッチパネルを触ると裏面にあるタッチキー電極と制御部7とのあいだでキーを触る前に基準としていた容量変化による変動をキー入力回路6が検出し、制御部7へ伝える。制御部7は触ったキーに応じた音色を音色発生部8から取り出し、スピーカ4から発するようになっている。音色はキーの配列の左からド、レ、ミ、と音階をふむようにしてあり(図1(a))、最初の操作では各音階とキーとの関係を覚える必要があるが、そのあとは今どのキーを触ったかをキーの音色、周波数で判別することができるようになる。
【0015】
キーを操作するとき、キーの位置を確かめるのに触って音を確認することと、そのキーを選択したということ、つまりキーを受け付けることとを区別する方法として、音色を頼りにキーの位置を確認できたらそのキーを押し続けることで「ピッ」という周波数の高い短い音を発してキーを受けつけたことを知らせるようにしている(図1(b))。
【0016】
(実施の形態2)
図3は第2の実施の形態における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの操作に関係する制御ダイヤグラム、図4はタッチパネルの模式図を示すもので、タッチパネル上のキーの配置と、それぞれのキーの操作時の音色の対応(a)とキーを操作してからキーを受け付けるまでを示すタイムチャート(b)、(c)、’d)を示している。
【0017】
第1の実施の形態と異なるのはキーを受け付けるのにキーを押し続けるのではなく、キーを触って位置を確認したあと、一度指を離してもう一度同じキーを押したときに受け付けるようにタイマー部11を備えている(図4)ことにある。
【0018】
指でタッチパネルを触ると、それぞれのキー入力に対応した音色の音を発する(図3(a))が、それだけではキーを受けつけず、キーから指を離してから作動するタイマーの設定時間以内で再び同じキーを操作したときにキーを受け付けるようにしている。(図3(b))キーから指を離してからタイマーの設定時間を超え手いる場合(図3(c))や、キーから指を離したあと別のキーを押したときにはキーの受付は無効になり、次に触ったキーで指を離してから再度タイマーが動作するようにしてある(図3(d))。
たとえば電子レンジの場合、600Wで2分加熱する場合に電子レンジ出力600Wや300W、100Wあたりのキーをタッチすると、「ド」や「レ」「ミ」の音がなる、このあたりをゆびでなぞると、「ドレミ」や「ミレド」にようになる。これで各キーの位置がわかり、再び「ド」の音がなったキーをタッチすると600Wが入力される。同様に1分のキーは「ファ」の音がするキーを探してもう一度タッチすると1分が入力され、続いてもう一度タッチするともう1分入力され都合2分、最後に1オクターブ高い「度ド」の音がするスタートキーをさがしてもう一度そのキーをタッチすることで電子レンジ加熱がスタートする。
【0019】
これにより不用意にキー入力され予期しない動作の発生を抑えることが期待できる。
【0020】
(実施の形態3)
図5は第3の実施の形態における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図とキー操作のタイムチャートを示す。
【0021】
第1の実施の形態と異なるのはタッチパネルを触ったときの音色を断続させてキーの区別をしやすくしたところにある。
【0022】
たとえば電子レンジの場合、電子レンジ出力600W,300W、100Wはそれぞれ「ド ド」、「レ レ」、「ミ ミ」というように2回ずつ音がなり、時間を入力するキーは「ファ」、「ソ」、「ラ」というように1回、停止は「シ シ シ」で3回、スタートは「ド」が1回というようにキーの機能によって音がなる回数を変えることでキーを判別しやすくしている。
【0023】
これにより単にキーの位置だけでなく種類や数値を推測できるようになり軽快な操作が期待できる。
【0024】
(実施の形態4)
図6は第4の実施の形態における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネル
の模式図と、キー操作におけるタイムチャート(a)、(b)を示す。
【0025】
図6に示すように、通常の正しいキー操作をした場合は異なる音色の音を発することはないが、間違えた順序で操作したときにキーごとに異なる音色で音を発するようにしている。通常のキー操作ではキー操作ごとに短い「ピッ」というキー入力音がして受け付けられたことがわかる(図6(a))。操作手順に沿わないキーをタッチしたときはキーそれぞれに設定した音色、たとえば100Wは「ミ」の音がなって、キーの位置がわかるようになっている。引き続いて同じキーをタッチすると「ピッ」というキー入力音にかわり受け付けられたことがわかる(図6(b))。加熱がスタートし終了するか、取り消しされれば再び通常の操作では短い「ピッ」という受付音の状態にもどるようにしてある。
【0026】
これによりタッチパネルの操作に慣れた場合でもそうでない場合でも違和感無く操作することが期待できる。
【0027】
(実施の形態5)
図7は第5の実施の形態における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図とキー操作のタイムチャートを示す。図7に示すように、間違えた順序でキー操作した場合にそれまでの操作は取り消され、その後の操作はキーごとに異なった音色で音を発し、正しいキー位置を認識できるようにしている。
【0028】
実施の形態5では誤ったキー操作より以前の操作は有効であるのに対し、実施の形態5では誤操作による加熱装置の不安全な動作を防止する効果を期待している。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる静電容量型タッチパネルつき加熱装置は凹凸の少ない操作面に配置されたキー操作を異なる音色の発生で補助することで手探り操作や視力の弱い方でもできるため、掃除のしやすさで広く用いられている電磁誘導加熱装置や高周波加熱装置などの加熱装置も操作パネルなどの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における静電容量型タッチパネルつき加熱装置の制御ダイヤグラムを示す図
【図2】本発明の実施の形態1における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図
【図3】本発明の実施の形態2における静電容量型タッチパネルつき加熱装置の制御ダイヤグラムを示す図
【図4】本発明の実施の形態2における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図
【図5】本発明の実施の形態3における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図
【図6】本発明の実施の形態4における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図
【図7】本発明の実施の形態5における静電容量型タッチパネルつき加熱装置のタッチパネルの模式図
【図8】本発明の実施の形態1〜5に共通する加熱装置の斜視図
【図9】本発明の実施の形態1〜5に共通するタッチパネルの構造図
【図10】従来の静電容量型タッチパネルを用いた加熱装置の操作のタイムチャート
【符号の説明】
【0031】
1 タッチパネル
2 キー
7 制御部
8 音色発生部
11 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量検出方式のタッチパネルと制御部を備え、前記タッチパネルには複数のキーが配置され、キーごとに操作に応じた異なった音色の音を発することを特徴とした静電容量型タッチパネルつき加熱装置。
【請求項2】
1回目の操作ではあらかじめキーごとに設定した音を発するが機器の操作をするために入力として処理されず、再度同じキーを指定時間以内に操作したとき、機器の操作をするための入力として処理する構成とした請求項1記載の静電容量型タッチパネルつき加熱装置。
【請求項3】
キーごとに操作時に発する音の回数を変えた構成とした請求項1記載の静電容量型タッチパネルつき加熱装置。
【請求項4】
正しい操作順序でキー入力があったときにはキー操作で音色を変えずに、誤ったキー操作をしたときまたはそれ以降キーを操作するときに異なった音色を発することを特徴とする請求項1記載の静電容量型タッチパネルつき加熱装置。
【請求項5】
正しい操作順序でキー入力があったときにはキー操作で音色を変えずに、誤ったキー操作をしたときまたはそれ以降キーを操作するときに異なった音色を発し、それまでのキー入力を無効にすることを特徴とする請求項1記載の静電容量型タッチパネルつき加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−100995(P2007−100995A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288087(P2005−288087)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】