説明

非アミド性ノナン

式I:
【化1】


(式中、Q、EおよびDは明細書中で定義されている)
の化合物およびその製薬的に受容可能な塩、鏡像異性体、インビボ加水分解可能な前駆体、ならびに、ノナン誘導体の製薬的に受容可能な塩、それらを含む医薬組成物および製剤、それらを単独または他の治療的に有効な化合物または物質と組み合わせて用いて疾患および症状を治療する方法、それらを製造するために用いられる方法および中間体、医薬としてのそれらの使用、医薬の製造におけるそれらの使用、ならびに、診断および分析目的のためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアザビシクロノナン化合物またはその製薬的に受容可能な塩、その製造方法、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの治療における使用に関している。本発明は、より特定すればニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであるそうした化合物に関している。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する化合物を、コリン作用性機能の減少が関与する一連の疾患、例えば、アルツハイマー病、認識または注意障害、不安症、鬱病、喫煙の中止、神経保護、統合失調症、無痛覚症、ツーレット症候群、およびパーキンソン病の治療のために使用することは、以下の文献で論じられている: McDonald等, (1995) “Nicotinic Acetylcholine Receptors: Molecular Biology, Chemistry and Pharmacology”, Chapter 5 in Annual Reports in Medicinal Chemistry, vol. 30, pp. 41-50, Academic Press Inc., San Diego, CA; Williams等, (1994) “Neuronal Nicotinic Acetylcholine Receptors,”Drug News & Perspectives, vol. 7, pp. 205-223; Holladay等 (1997) J. Med. Chem. 40(26), 4169-4194; Arneric and Brioni (Eds.) (1998) “Neuronal Nicotinic Receptors: Pharmacology and Therapeutic Opportunities”, John Wiley & Sons, New York; Levin (Ed.) (2001) “Nicotinic Receptors in the Nervous System”CRC Press。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一つの実施態様において、本発明はニコチン性アセチルコリン受容体(「nAChRs」)における活性を有するノナン誘導体を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のノナン誘導体は式I:
【化1】

を有しており、
式中、
Qは式II:
【化2】

で示される基であり、
Eは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノキサリル、フラニル、チオフェニル、フェニル、ナフチル、ピリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたは結合から選ばれ、そして
Dは、水素、C1-C6アルキル、フェニル、フェニルスルファニルまたはピリジルから選ばれ、ここでDは、ハロゲン、アルコキシまたはトリフルオロメチルから選ばれる1、2または3個の置換基を有することができる。
【0005】
他の実施態様において、本発明は、該ノナン誘導体の鏡像異性体、インビボで加水分解可能な前駆体および製薬的に受容可能な塩、それらを含有する医薬組成物および製剤、それらを疾患および症状の治療のための単独でまたは他の治療上有効な化合物もしくは物質と組み合わせての使用方法、それらを製造するための方法および中間体、それらの医薬としての使用、それらの医薬の製造における使用、ならびに、それらの診断および分析目的のための使用を包含する。
【0006】
本発明の化合物は式I:
【化3】

のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)のリガンド、その鏡像異性体および製薬的に受容可能な塩であり、
式中、
Qは式II :
【化4】

で示される基であり、
Eは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル、フラニル、チオフェニル、フェニル、ナフチル、ピリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたは結合から選ばれ、そして
Dは、水素、C1-C6アルキル、フェニル、フェニルスルファニルまたはピリジルから選ばれ、ここでDは、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選ばれる1、2または3個の置換基を有することができる。
【0007】
本発明の特定の化合物は式Iの化合物であって、
式中、
Eは、結合、CH2-CH2、CH=CH、C≡C、メトキシメチル、フラン−2−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、フェニル、ナフチル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、ベンゾチオフェン−3−イル、キノリン−2−イルまたはキノリン−3−イルから選ばれ、そして
Dは、水素、n−ペンチル、フェニル、フェニルスルファニルまたはピリド−2−イルから選ばれ、ここでDは、ハロゲン、アルコキシまたはトリフルオロメチルから選ばれる1、2または3個の置換基を有することができる。
本発明の最も特定の化合物は本願に記載されたものである。
【0008】
他の局面において、本発明は式Iの化合物およびその治療における使用およびそれらを含有する組成物に関している。
【0009】
さらなる局面において、本発明は、1またはそれ以上の原子が同じ元素の放射性同位体である、式Iの化合物に関している。本発明のこの局面の特定の形態で、式Iの化合物はトリチウムで標識されている。そうした放射性標識化合物は、放射性標識された出発物質を組み込むことによって、または、トリチウムの場合は、公知の方法で水素をトリチウムと交換することによって、合成される。公知の方法には(1)求電子的ハロゲン化、それに続くトリチウム源の存在下でのハロゲンの還元、例えば、それに続くパラジウム触媒の存在下でのハロゲンの還元、または(2)トリチウムガスおよび適切な有機金属(例えば、パラジウム)触媒の存在下で行われる水素とハロゲンの交換が含まれる。
【0010】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、アゴニズム、部分的アゴニズム、またはアンタゴニズムにより、α7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合しそしてその活性を調節する、新規な医薬用化合物の発見のために有用である。そうしたトリチウム化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するリガンドの結合性を評価するために、そうした化合物の置換を測定するアッセイ法において使用できる。
【0011】
特定の局面で、本発明は式Iの化合物の、ニコチン性アセチルコリン受容体の作用を通して仲介される疾患の治療への使用に関している。より特定の局面において、本発明は式Iの化合物の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作用を通して仲介される疾患の治療への使用に関している。
【0012】
本発明の他の局面は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が有益な、ヒトの病気、疾患または症状の治療または予防の方法に関し、この方法には本発明の化合物の治療上有効量を投与することが含まれる。
【0013】
本発明の他の局面は、疾患が不安症、統合失調症または躁病もしくは躁鬱病である、治療または予防の方法に関している。
【0014】
本発明の他の局面は、神経疾患、精神疾患、知的障害疾患の治療または予防の方法に関し、この方法には本発明の化合物の治療上有効量を投与することが含まれる。
【0015】
本発明の他の局面は、疾患がアルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、または注意欠陥活動過剰障害である、治療または予防の方法に関している。
【0016】
本発明の他の局面は、疾患がパーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、または、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害である、治療または予防の方法に関している。
【0017】
本発明の他の局面は、時差ぼけ、喫煙の中止、ニコチン中毒、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎の治療または予防の方法に関し、この方法には本発明の化合物の治療上有効量を投与することが含まれる。
【0018】
本発明の他の局面は、本発明の化合物および製薬的に受容可能な希釈剤または担体を含有する医薬組成物に関している。
【0019】
本発明のさらなる局面は、哺乳類、好ましくはヒトにおいて、ニコチン性アセチルコリン受容体の神経伝達の機能不全に起因する、本願で記載された症状または疾患の治療または予防のための医薬組成物に関しており、この医薬組成物は、そうした疾患または症状の治療または予防において有効な、式Iの化合物、その鏡像異性体またはその製薬的に受容可能な塩、および、製薬的に受容可能な担体を含んでいる。
【0020】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が有益な、ヒトの病気、疾患または症状の治療または予防のための使用に関している。
【0021】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、神経疾患、精神疾患または知的障害疾患の治療または予防のための使用に関している。
【0022】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、注意欠陥多動性障害、不安症、統合失調症、躁病または躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害、時差ぼけ、喫煙の中止、ニコチンを含有する製品への曝露に起因することを含むニコチン中毒、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎の治療または予防のための使用に関している。
【0023】
本発明のさらなる局面は、本願で述べた疾患または症状の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物、その鏡像異性体またはその製薬的に受容可能な塩の使用である。
【0024】
本発明の他の局面は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が有益な、ヒトの病気、疾患または症状の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0025】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、神経疾患、精神疾患または知的障害疾患の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0026】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損または注意欠陥多動性障害の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0027】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、不安症、統合失調症または躁病もしくは躁鬱病の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0028】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、または、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0029】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、時差ぼけ、疼痛、または潰瘍性大腸炎の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0030】
本発明の他の局面は、本発明の医薬組成物の、喫煙の中止、または、ニコチンを含有する製品への曝露から起因するものを含むニコチン中毒もしくは渇望の治療を促進する医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関している。
【0031】
本願で述べた使用、方法および組成物に関して、投与する用量は、当然、使用する化合物、投与の方式および所望の治療によって変化しうる。しかしながら、一般的に、本発明の化合物を一日用量で動物の体重kg当り約0.1mg〜約20mgの投与の場合に、満足する結果が得られる。そうした投与量は一日に1〜4回の分割投与、または、持続放出形態で投与できる。ヒトについて、一日の総投与量は、5mg〜1,400mg、より好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、そして経口投与に適した単位投与形態は該化合物の2mg〜1,400mgを固体または液体の製薬的に受容可能な担体または希釈剤と混合して含有している。
【0032】
式Iの化合物、その鏡像異性体、およびその製薬的に受容可能な塩は、それ自身で、または、経腸または非経口投与のための適切な医薬処方物の形態で用いることができる。本発明のさらなる局面では、本発明の化合物を好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満と、不活性の製薬的に受容可能な希釈剤または担体とを併せて含有する医薬組成物が提供される。
【0033】
希釈剤および担体の例には以下のものが挙げられる:
−錠剤および糖衣錠用には:乳糖、澱粉、タルク、ステアリン酸;
−カプセル用には:酒石酸または乳糖;
−注射用溶液用には:水、アルコール、グリセリン、植物油;
−坐薬用には:天然もしくは硬化油またはワックス。
【0034】
また、そうした医薬組成物を製造するための、成分を混合することを含む方法もまた提供される。
【0035】
本発明の化合物はニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニストである。理論に拘束されるものではないが、α7nAChR(ニコチン性アセチルコリン受容体)サブタイプのアゴニストは、神経疾患、精神疾患および知的障害疾患の治療または予防において有用であり、α4nAChRサブタイプのアゴニストであるか、または、α4nAChRサブタイプのアゴニストでもある化合物と比べて利点を有すると信じられている。それゆえに、α7nAChRサブタイプに選択性のある化合物が好ましい。本発明の化合物は、特に、神経疾患、精神疾患または知的障害疾患の治療において医薬として適用される。精神疾患の例には、統合失調症、躁病および躁鬱病、ならびに不安症が挙げられる。知的障害疾患の例には、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、および注意欠陥多動性障害が挙げられる。本発明の化合物はまた鎮痛剤として疼痛(慢性的疼痛を含む)の治療に有用であり、ならびに、パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、および、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害の治療または予防において有用である。該化合物はさらに、時差ぼけの治療および予防のために、渇望、喫煙の抑制を誘導する場合の使用のために、ならびに、ニコチン中毒(ニコチンを含有する製品への曝露に起因するものを含む)の治療または抑制のために、適用することができる。
【0036】
本発明の化合物はまた、潰瘍性大腸炎の治療または予防における使用のために有用であると信じられている。
【0037】
本願では、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニルおよびC1-C6アルキニルという表現は、そうした基の直鎖、分枝鎖または環状の形態を意味している。
【0038】
本願では、「ハロゲン」という表現は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0039】
製造方法
式Iの化合物の合成のために使用される方法は、以下に記載している方法を含んでいる。
【0040】
反応スキームおよびそれに続くテキストにおいて、EおよびDは式Iの化合物に関して定義された通りであり、およびYは本願で定義された通りである。
【化5】

【0041】
式Iの化合物は、式IIIの化合物から、ジボランまたはアルミニウム水素化物リチウムのような適切な還元剤と、適切な不活性溶媒中で、適切な温度、一般には−20℃から溶媒の沸点の間で、反応させることにより製造できる。適切な溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、ヘプタン、またはベンゼンが挙げられる。反応時間は、殊に、用いた溶媒と温度に依存し、一般には24時間まででありうる。
【0042】
式IIIの化合物は、式Vの化合物から、式IVの化合物(式中、Yは適切な脱離基を表す)と、適切なアシル化方法を用いて反応させることにより、製造することができる。適切な脱離基Yには、OH、ハロゲン、Oアルキル、Oアリール、OCOアルキル、OCOアリールまたはアジドが挙げられる。適切なアシル化方法は、式Vの化合物を式IVの化合物と0〜120℃で、適切な溶媒中で処理することを含んでいる。塩基、または、Y=OHの場合はカップリング剤も、反応を引き起こすために必要である可能性がある。反応のための適切な塩基には、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが含まれる。好ましい塩基はN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。Y=OHの場合に適切なカップリング剤には、カルボジイミド、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;ホスホニウム試薬、例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェートまたはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート;およびウロニウム試薬、例えば、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレートが挙げられる。好ましいカップリング剤はO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレートである。反応のための適切な溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムが挙げられる。好ましい溶媒はN,N−ジメチルホルムアミドである。反応は、好ましくは、0〜50℃の温度で、そして最も好ましくは20〜30℃の温度で行われる。
【0043】
式Iの化合物は、式Vの化合物から、Yが水素である場合、式IVの化合物と、当業者に周知の還元アミノ化方法を用いて反応させることによって製造できる。例えば、Bhattacharyya, S.; Rana, S.; Gooding, O. W.; Labadie, J. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 4957、およびそこでの参考文献を参照されたい。
【0044】
本発明の化合物中または本発明の化合物の合成に用いられる中間体の芳香族置換基は、芳香族置換反応、既存の置換基を修飾するための官能基変換、またはそれらの組合せを使用することで導入できることは、当業者には理解できるだろう。そうした反応は、上記の方法の前にまたは直後のいずれかで行うことができる。そうした方法のための試薬および反応条件は、当該技術分野で公知である。使用できる方法の特定の例には、それには限定されないが、芳香環の求電子的機能化、例えば、ニトロ化、ハロゲン化またはアシル化によって;ニトロ基のアミノ基への変換、例えば、触媒的水素化のような還元;アミノまたはヒドロキシル基のアシル化、アルキル化、スルホニル化;中間体ジアゾニウム塩への変換に続いて該ジアゾニウム塩の求核または遊離基置換を用いた、他の官能基によるアミノ基の置換;または、他の官能基によるハロゲンの置換、例えば、求核または有機金属触媒置換反応によるもの、が挙げられる。
【0045】
場合によっては、ヒドロキシ、アミノ、または他の反応基を、標準法により保護基で保護することができる。
【0046】
上記の反応は、別に記載がなければ、通常、約1〜約3気圧、好ましくは周囲気圧(約1気圧)で行われる。
【0047】
他に記載がなければ、上記の反応は、不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で行われる。
【0048】
本発明の化合物および中間体は、それらの反応混合物から、標準的な方法により単離することができる。
【0049】
記述することができる式Iの化合物の酸付加塩には、鉱酸の塩、例えば、塩酸塩および臭化水素酸塩;ならびに、有機酸の塩、例えば、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、酒石酸、およびフマル酸により形成した塩が含まれる。
【0050】
式Iの化合物の酸付加塩は、その遊離塩基もしくは塩、鏡像異性体または保護誘導体と、適切な酸の1またはそれ以上の等量とを反応させて形成させることができる。反応は、該塩が不溶性の溶媒もしくは媒体、または、該塩が溶解性の溶媒(例えば、水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル、または溶媒の混合物)中で行うことができ、それらの溶媒は減圧下または凍結乾燥により除去することができる。反応はメタセチカル(metathetical)な方法でもよく、またはイオン交換樹脂上で行われても良い。
【0051】
式Iの化合物が互変異性体または鏡像異性体で存在している場合は、全てのそうした形態は本発明の範囲に包含される。本発明の化合物の光学異性体は、定法、例えば、分画的結晶化またはキラルHPLCにより該化合物のラセミ体混合物の分離によって単離することができる。代わりに、個々の鏡像異性体は、ラセミ化反応を生じさせない反応条件下で、適切な光学的に活性な出発物質の反応により製造することができる。
【0052】
市販されている試薬をそれ以上の精製なしに使用した。質量分析は、HP-1100 HPLCを用いたHPLC-MSシステム、および、イオン化技術としてAPCIを使用したマイクロマスLCZ質量分析計を使用して記録し、そして、親分子イオンに関するm/zとして報告する。室温または周囲温度は20〜25℃を意味している。
【0053】
本発明は、本願で記載された方法と類似の方法を用いて、当業者により製造できる、以下の化合物およびその製薬的に受容可能な塩で説明するが、それには限定されない。
【実施例1】
【0054】
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−フェニルプロピン
【化6】

周囲温度で攪拌されている、乾燥DMF(0.5mL)中の、1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン二塩酸塩(20mg, 0.10mmol)、MP−トリアセトキシホウ化水素樹脂(170.mg, 0.34mmol)の混合物に、フェニルプロパルギルアルデヒド(40mg, 0.3mmol)を加えた。周囲温度で16時間攪拌した後、樹脂を濾過し、DMFで洗浄した。合せた濾過液をMP-TsOH樹脂(360.mg, 0.5mmol)と共に1時間攪拌し、濾過し、そして連続してTHF (2×0.5mL) およびMeOH (2×0.5mL)で洗浄した。アミン生成物を次にMP-TsOH樹脂からMeOH中の2Mアンモニアで洗浄し(3×0.5mL)て得、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム(アンモニア処理)から5%メタノール/クロロホルム勾配で溶出し、有機塩基シロップとして精製された表記の化合物を得た(12.0mg)。MS (ES+) 241 (MH+)。
【実施例2】
【0055】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルフラン−2−イル)メタン
【化7】

上記の式の表記の化合物は、5−フェニル−2−フルアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 283 (MH+)。
【実施例3】
【0056】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ビフェニルフラン−4−イル)メタン
【化8】

上記の式の表記の化合物は、4−ビフェニルカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 293 (MH+)。
【実施例4】
【0057】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルチオフェン−2−イル)メタン
【化9】

上記の式の表記の化合物は、5−フェニル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 299 (MH+)。
【実施例5】
【0058】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ベンゾフラン−2−イル)メタン
【化10】

上記の式の表記の化合物は、2−ベンゾフランカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 257 (MH+)。
【実施例6】
【0059】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ナフタレン−2−イル)メタン
【化11】

上記の式の表記の化合物は、2−ナフトアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 267 (MH+)。
【実施例7】
【0060】
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−フェニルプロペン
【化12】

上記の式の表記の化合物は、trans−シンナムアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 243 (MH+)。
【実施例8】
【0061】
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−フェニルプロペン
【化13】

上記の式の表記の化合物は、ベンゾチオフェン−3−カルボアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 273 (MH+)。
【実施例9】
【0062】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(2−ピリジル)フェニル)メタン
【化14】

上記の式の表記の化合物は、4−(2−ピリジル)ベンゾアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 294 (MH+)。
【実施例10】
【0063】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(6−ブロモピリジン−2−イル)メタン
【化15】

上記の式の表記の化合物は、6−ブロモピリジン−2−カルボアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 297 (MH+)。
【実施例11】
【0064】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(キノリン−3−イル)メタン
【化16】

上記の式の表記の化合物は、3−キノリンカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 268 (MH+)。
【実施例12】
【0065】
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(キノリン−2−イル)メタン
【化16】

上記の式の表記の化合物は、2−キノリンカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 268 (MH+)。
【実施例13】
【0066】
4−(4−フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン
【化17】

上記の式の表記の化合物は、4−フェニル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 299 (MH+)。
【実施例14】
【0067】
4−(5−(ピリジン−2−イル)チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン
【化18】

上記の式の表記の化合物は、5−ピリジン−2−イルチオフェン−2−カルボアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 300 (MH+)。
【実施例15】
【0068】
4−ビフェニル−3−イルメチル−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン
【化19】

上記の式の表記の化合物は、3−ビフェニルカルボキシアルデヒドを用いて、実施例1の方法に従って製造した。MS (ES+) 293 (MH+)。
【実施例16】
【0069】
4−(ピリジン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン
【化20】

周囲温度で、乾燥DMF(2mL)中の1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン二塩酸塩(120mg, 0.60mmol)、ピコリン酸(85mg, 0.69mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(.45mL, 2.6mmol)の攪拌溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(85mg, 0.63mmol)およびTBTU(200mg, 0.62mmol)を続けて加えた。得られた沈殿性の混合物を12時間攪拌し、水とクロロホルムの間で分配し、そしてクロロホルムで抽出した(3×)。有機相を合わせ、水、ブラインで洗浄し、そして乾燥した。有機相を濃縮して得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム(アンモニア処理)から15%メタノール/クロロホルム勾配で溶出し、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ピリジン−2−イル)メタノンを得た。MS (ES+) 232 (MH+)。
【0070】
周囲温度で攪拌しているアルミニウム水素化リチウム(1M THF溶液を0.33mL)の溶液に、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ピリジン−2−イル)メタノン(120mg, 0.52mmol)の乾燥THF(2mL)中の溶液を滴下して加えた。得られた黄色溶液を12時間攪拌し、水とNaOH水溶液でクエンチし、そして珪藻土を通して濾過した。濾液を濃縮し、得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、アンモニア処理クロロホルムから15%メタノール/クロロホルム勾配で溶出し、表記の化合物を遊離塩基シロップとして得た(28.0mg)。MS (ES+) 218 (MH+)。
【実施例17】
【0071】
4−(6−フェニル−ピリジン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン
【化22】

4−(6−ブロモ−ピリジン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン(17.0mg, 0.06mmol)のTHF、エタノール、および水の混合溶媒(1:1:1の6.0mL)を攪拌しながら、フェニルボロン酸(18.mg, 0.15mmol)、炭酸カリウム(70mg)および触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加えた。混合物を還流温度で3時間加熱し、冷却し、そして濃縮してほとんど乾燥させた。残留物をクロロホルム(3×)で磨砕し、そしてクロロホルム中の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム(アンモニア処理)から5%メタノール/クロロホルム勾配で溶出し、表記化合物をオフホワイトの固形物として得た(4.8mg)。MS (ES+) 294 (MH+)。
【0072】
本願に記載の方法で製造できる本発明の他の化合物には以下のものを含む:
下記の式を有する、4−(3−フェニル−プロピル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化23】

【0073】
下記の式を有する、4−オクタ−2−イニル−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化24】

【0074】
下記の式を有する、4−(2−ベンジルオキシ−エチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化25】

【0075】
下記の式を有する、4−(4−ブロモ−フラン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化26】

【0076】
下記の式を有する、4−[4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化27】

【0077】
下記の式を有する、4−(4'−クロロ−ビフェニル−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化28】

【0078】
下記の式を有する、4−(3'−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化29】

【0079】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン:
【化30】

【0080】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−(4−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン:
【化31】

【0081】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(2−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン:
【化32】

【0082】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン:
【化33】

【0083】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(4−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン:
【化34】

【0084】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(イソキノリン−3−イル)メタン:
【化35】

【0085】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−フェニルピリジン−2−イル)メタン:
【化36】

【0086】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルピリジン−2−イル)メタン:
【化37】

【0087】
下記の式を有する、(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(6−フェニルピリジン−2−イル)メタン:
【化38】

【0088】
下記の式を有する、4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化39】

【0089】
下記の式を有する、4−(5−ブロモ−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化40】

【0090】
下記の式を有する、4−(4−(4−メトキシ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化41】

【0091】
下記の式を有する、4−(4−(4−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化42】

【0092】
下記の式を有する、4−(5−(4−メトキシ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化43】

【0093】
下記の式を有する、4−(5−(4−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化44】

【0094】
下記の式を有する、4−(5−(3−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化45】

【0095】
下記の式を有する、4−(2−キノキサリン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化46】

【0096】
下記の式を有する、4−(2−ブロモ−チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化47】

【0097】
下記の式を有する、4−(チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化48】

【0098】
下記の式を有する、4−(2−フェニル−チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化49】

【0099】
下記の式を有する、4−(2−フェニル−イミダゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化50】

【0100】
下記の式を有する、4−(チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化51】

【0101】
下記の式を有する、4−(ベンゾチアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化52】

【0102】
下記の式を有する、4−(1−メチル−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化53】

【0103】
下記の式を有する、4−(3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化54】

【0104】
下記の式を有する、4−(2−フェニル−チアゾール−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化55】

【0105】
下記の式を有する、4−(4−(3−ブロモ−フェニル)チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化56】

【0106】
下記の式を有する、4−(4−フェニル−チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化57】

【0107】
下記の式を有する、4−(4−(ビフェン−3−イル)チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン:
【化58】

【0108】
薬理学
本発明の化合物の薬理学的活性は以下に記載した試験を用いて測定できる。
【0109】
A試験−α7nAChRサブタイプでの親和性のアッセイ法
ラット海馬膜への[125I]−α−ブンガロトキシン(BTX)結合
ラット海馬を、冷却ホモジナイズ用緩衝液(HB:成分の濃度(mM):トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 50;MgCl2 1;NaCl 120;KCl 5;pH7.4)の20容量中でホモジナイズした。ホモジネートを1000gで5分間遠心分離し、上清を回収し、そしてペレットを再抽出した。合わせた上清を12000gで20分間遠心分離し、洗浄し、そしてHB中に再懸濁した。膜(30〜80μg)を5nM [125I]α-BTX、1mg/mL BSA(ウシ血清アルブミン)、被験薬物、および、2mM CaCl2または0.5mM EGTA[エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)]と共に、21℃で2時間インキュベートし、次に、濾過し、ワットマンガラス繊維フィルター(厚さC)上で、ブランデルセルハーベスタを用いて、4回洗浄した。フィルターを水中の1%BSA/0.01% PEI(ポリエチレンイミン)で3時間前処理することが、低いフィルターブランク(分当り総カウントの0.07%)のために重要である。非特異的結合は100μM(−)−ニコチンにより記載され、そして特異的結合は典型的には75%であった。
【0110】
B試験−α4nAChRサブタイプへの親和性のアッセイ法
[3H]−(−)−ニコチン結合
Martino-BarrowsおよびKellar (Mol Pharm (1987) 31:169-174)の変法を用いて、ラット脳(皮質および海馬)を、[125I]α−BTX結合アッセイ法のようにホモジナイズし、12,000×gで20分間遠心分離し、2回洗浄し、そして100μMジイソプロピルフルオロホスフェートを含有するHB中で再懸濁した。4℃で20分後、膜(約0.5mg)を3nM[3H]−(−)−ニコチン、被験薬物、1μMアトロピン、および、2mM CaCl2または0.5mM EGTAのいずれかと共に、4℃で1時間インキュベートし、そして次に、ワットマンガラス繊維フィルター(厚さC)(0.5%PEIで1時間前処理した)上で、ブランデルセルハーベスタを用いて、濾過した。非特異的結合は100μMカルバコールにより記載され、そして特異的結合は典型的には84%であった。
【0111】
A試験およびB試験の結合データ解析
IC50値および擬似ヒル係数(nH)を非線形曲線適合プログラムALLFIT (DeLean A, Munson P J and Rodbard D (1977) Am. J. Physiol., 235:E97-E102) を用いて計算した。飽和曲線を、非線形回帰プログラムENZFITTER (Leatherbarrow, R.J. (1987))を用いて、ワンサイトモデルに適合させ、[125I]−α−BTXおよび[3H]−(−)−ニコチンリガンドについて、それぞれ、1.67および1.70nMのKD値を得た。Ki値はCheng-Prusoff一般方程式:
Ki−[IC50]/((2+([リガンド]/[KD])n)l/n−1)
(式中、nH<1.5の場合は常にn=1の値、nH≧1.5の場合は常にn=2の値を用いた)
を用いて算出した。検体は3回アッセイし、典型的には±5%であった。Ki値は6またはそれ以上薬物濃度で決定した。本発明の化合物は、A試験またはB試験のいずれかで1000nM未満の結合親和性(Ki)を有する化合物であって、これらの化合物は有用な治療効果を有することが期待される。
【0112】
本発明の化合物は、毒性がより少なく、効果がより効率的で、活性が持続し、広範囲で活性を有し、より効果があり、副作用がより少なく、より容易に吸収され、または他の有用な薬理学的性質を有するという利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
Qは式II:
【化2】

で示される基であり、
Eは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノキサリル、フラニル、チオフェニル、フェニル、ナフチル、ピリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたは結合から選ばれ、そして
Dは、水素、C1-C6アルキル、フェニル、フェニルスルファニルまたはピリジルから選ばれ、ここでDは、ハロゲン、アルコキシまたはトリフルオロメチルから選ばれる1、2または3個の置換基を有してよい)
の化合物、その鏡像異性体および製薬的に受容可能な塩。
【請求項2】
式中:
Eは、結合、CH2-CH2、CH=CH、C≡C、メトキシメチル、フラン−2−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、フェニル、ナフチル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、ベンゾチオフェン−3−イル、キノリン−2−イルまたはキノリン−3−イルから選ばれ、そして
Dは、水素、n−ペンチル、フェニル、フェニルスルファニルまたはピリド−2−イルから選ばれ、ここでDは、ハロゲン、アルコキシまたはトリフルオロメチルから選ばれる1、2または3個の置換基を有してよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−フェニルプロピン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルフラン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ビフェニル−4−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルチオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ベンゾフラン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ナフタレン−2−イル)メタン;
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−フェニルプロペン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(ベンゾチオフェン−3−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(2−ピリジル)フェニル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(6−ブロモピリジン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(キノリン−3−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(キノリン−2−イル)メタン;
4−(4−フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−(ピリジン−2−イル)チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−ビフェニル−3−イルメチル−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(ピリジン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−フェニル−ピリジン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(3−フェニル−プロピル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−オクタ−2−イニル−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−ベンジルオキシ−エチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−ブロモ−フラン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4'−クロロ−ビフェニル−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(3'−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−(4−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(2−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−(4−ピリジル)チオフェン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(イソキノリン−3−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(4−フェニルピリジン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(5−フェニルピリジン−2−イル)メタン;
(1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)(6−フェニルピリジン−2−イル)メタン;
4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−ブロモ−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−(4−メトキシ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−(4−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−(4−メトキシ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−(4−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−(3−クロロ)フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−キノキサリン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−ブロモ−チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−フェニル−チアゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−フェニル−イミダゾール−5−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(ベンゾチアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(1−メチル−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(2−フェニル−チアゾール−4−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−(3−ブロモ−フェニル)チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−フェニル−チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン、および
4−(4−(ビフェン−3−イル)チアゾール−2−イルメチル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン、
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1の化合物の治療的に有効量を投与することを含む、α7ニコチン性受容体の活性化が効果をもたらす、ヒトの病気、疾患または症状の治療または予防の方法。
【請求項5】
不安症、統合失調症または躁病もしくは躁鬱病から選択される疾患の治療を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
神経疾患、精神疾患、知的障害疾患から選択される疾患の治療を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、または注意欠陥活動過剰障害から選択される疾患の治療を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、または、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害から選択される疾患の治療を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
本発明の化合物の治療的に有効量を投与することを含み、時差ぼけ、ニコチン中毒、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎から選択される疾患の治療を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
喫煙の中止を促進するために十分な化合物量を投与することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
請求項1の化合物および製薬的に受容可能な希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項12】
神経疾患、精神疾患、知的障害疾患、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、注意欠陥活動過剰障害、不安症、統合失調症、躁病または躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害、時差ぼけ、ニコチンを含有する製品への曝露に起因するニコチン中毒、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎から選択される疾患または症状の治療または予防のための、請求項11に記載の医薬組成物の治療的に有効量を投与することを含む方法。
【請求項13】
α7ニコチン性受容体の活性化が効果をもたらす、ヒトの病気、疾患または症状の治療または予防用医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
神経疾患、精神疾患、知的障害疾患、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶欠損、注意欠陥多動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツーレット症候群、コリン作用性シナプスの欠損が存在する神経変性障害、時差ぼけ、疼痛、または潰瘍性大腸炎の治療のための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
a)式III:
【化3】

(式中、EおよびDは請求項1で定義された意味を有する)
の化合物を、ジボランまたはアルミニウム水素化リチウムから選択される還元剤と、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、ヘプタンまたはベンゼンから選択される溶媒中で、−20℃から溶媒の沸点の間の温度で、反応させること;
[ここで、式IIIの化合物は、式V:
【化4】

の化合物と、
式IV:
【化5】

(式中、YはOH、ハロゲン、Oアルキル、Oアリール、OCOアルキル、OCOアリールおよびアジドから選択される脱離基である)の化合物とを反応させることによって得られるもので、式Vの化合物を式IVの化合物と、0〜120℃で、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムから選択される溶媒中で、場合によっては、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから選択される塩基の存在下に処理して製造される]、または、
b)式IVの化合物を、式Vの化合物(式中、Yは水素である)を用いて還元的アミノ化すること、
を含む、請求項1に記載の式Iの化合物の製造方法。

【公表番号】特表2007−506723(P2007−506723A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527492(P2006−527492)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004130
【国際公開番号】WO2005/030777
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】