説明

非接触充電インタフェースを提供する電池パック蓋及び該電池パック蓋を備えた携帯電話機

【課題】電池パックを備えた携帯電話に対して、該携帯電話を電力伝送装置の上に置くだけで充電ができる電池パックインタフェースを提供する。
【解決手段】保護回路5と2次電池4とが格納された電池パック3と充電制御回路6とを有する携帯電話機1に対して、電力伝送インタフェース8および整流回路7を内蔵した電池パック蓋2が、接触端子9及び10を介して電力を伝送するように構成したことにより、従来の電池パック蓋の取り付けと同じ要領で、容易に非接触電力伝送用インタフェースを提供可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の非接触充電を実現するインタフェースを備えた電池パック蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の機器の電源として使用される2次電池を充電する充電器と当該2次電池との間に存在する電気的接点等に起因する問題(例えば、接点を有していることから接点が汚損した場合には、接触不良となって充電ができなくなるという問題)を解決して、充電器と接点なしで充電可能な非接触充電方式に基づく携帯電子機器用電源システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、上記非接触充電方式に基づく携帯電子機器用電源システムの回路図であり、携帯電子機器用電源システム9は、携帯電子機器本体91と充電器92とを備えている。
【0004】
携帯電子機器本体91は降圧チョッパ93と2次電池94とを有し、充電器92は整流回路95と、励磁コイル96と、スイッチング素子98とを有する。また、降圧チョッパ93はチョークコイル97を有する。
【0005】
そして、充電器92は、整流回路95から出力される直流電力をスイッチング素子98でスイッチングして励磁コイル96から電磁エネルギを放出する。充電時、チョークコイル97は励磁コイル96と電磁的に結合しているので、チョークコイル97に交流電力が誘起され、この交流電力を整流した直流電力により2次電池94が充電される。
【0006】
前述の携帯電子機器用電源システムでは、2次電池としてニッケルカドミウム電池を使用しているが、近年では2次電池としてニッケルカドミウム電池に比較して小型軽量かつ蓄電容量が大きいリチウムイオン電池が主に使用されている。
【特許文献1】特開2003−244855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の非接触充電方式に基づく携帯電子機器用電源システムは、前述の特許文献1記載の発明も含め、主として携帯電子機器本体と充電器とがワンセットとして取り扱われるものであった。すなわち、1台の携帯電子機器を所有するユーザは、当該電子機器用の充電器を1台所有する状況にあり、例えば、長期外出の際にこの携帯電子機器本体を携行する場合には対応する充電器をも携行する必要があり、ユーザへの負担が大きいという第1の課題があった。
【0008】
さらに、近年必須の携帯電子機器となっている携帯電話機においては、充電方式の主流が充電用コード端子付の接触充電方式という状況であった。したがって、従来の携帯電話機に上記非接触充電方式に基づく電源システムを適用しようとすると、従来の携帯電話機には適当な充電インタフェースが備わっていないために、非接触充電方式への移行が困難であるという第2の課題があった。
【0009】
あるいは、例えば、1台の携帯機器において、高速充電が可能な従来の接触充電方式と携行性に優れた非接触充電方式との併用を考えたときに、より利便性の高い充電インタフェースの必要性が第3の課題ともなり得た。
【0010】
したがって、本発明は、主としてこれらの課題を解決するためになされたものであって、携行性に優れ、かつ、接触充電方式から非接触充電方式への移行あるいは両方式の併用を容易に実現可能な非接触充電インタフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電池パックを有する携帯電話機における非接触充電インタフェースであって、前記電池パックに対する蓋部を構成し、前記蓋部は、外部から供給される電力を前記携帯電話機側へ伝送する電力伝送インタフェース部と前記電力伝送インタフェース部から供給される電力を整流する整流回路部とからなることを特徴とする非接触充電インタフェースを提供する電池パック蓋である。
【0012】
この構成により、当該電池パック蓋を装着した携帯電話機の電池パック蓋面側を、例えば電力伝送装置上の一定の領域に置くだけで、該置いた位置に特に制限されることなく非接触による電池パックの充電が可能となる。
【0013】
また、本発明は、非接触充電インタフェースを備え、電池パックを有してなる携帯電話機において、前記電池パックに対する蓋部を有し、前記非接触充電インタフェースは、少なくとも前記電池パックと充電制御回路部と整流回路部と電力伝送インタフェース部とからなり、前記蓋部は、前記非接触充電インタフェースを構成する前記構成要素のうち、前記整流回路部と前記電力伝送インタフェース部とを有してなることを特徴とする携帯電話機である。
【0014】
この構成により、例えば、電力伝送装置上の一定の領域に置くだけで、該置いた位置に特に制限されることなく非接触による電池パックの充電が可能な携帯電話機を提供することができる。
【0015】
さらに、本発明の電池パック蓋は、前記整流回路部と前記充電制御回路部とを接続する接触端子部を介して着脱可能であることを特徴とする。
【0016】
この構成により、電池パック蓋を通常の蓋と同様に携帯電話機に装着することができるので、従来の接触充電方式から非接触充電方式への移行が簡便になり、かつ、両方式の併用も可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の非接触充電インタフェースを提供する電池パック蓋及び該電池パック蓋を備えた携帯電話機によれば、携行性に優れ、かつ、接触充電方式から非接触充電方式への移行あるいは両方式の併用を容易に実現可能な非接触充電インタフェースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態にかかる非接触充電インタフェースを提供する電池パック蓋及び該電池パック蓋を備えた携帯電話機を、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における携帯電話機及び電池パック蓋のブロック構成図である。図1に示すように、本発明の実施の形態における携帯電話機1は、充電制御回路6を内蔵しており、併せて、2次電池4と保護回路5とからなる電池パック3を、例えば、図示しない携帯電話機1の裏面等に設けられた凹部等に装着するような格好で装備している。そうして、充電制御回路6を介して電池パック3に充電することが可能となっている。さらに、この携帯電話機1に対しては、電力伝送インタフェース8及び整流回路7を設けた電池パック蓋2を装着することが可能となっており、ちょうど、この電池パック蓋2が、前記携帯電話1の裏面等の凹部等に装着された電池パック2を覆うような格好で装着される。そして、この電池パック蓋2には携帯電話機1に電力を供給するための接触端子9A及び10Aが設けられており、携帯電話機1側の充電制御回路6との電気的な接点を構成する。
【0020】
以上のような携帯電話機に電力を供給するための電池パック蓋2の詳細について、図2を用いてその構造を詳述する。
【0021】
まず、電池パック蓋21の内側には電力伝送インタフェース8と整流回路7とを有した基盤(以下、「整流回路基板」という。)が装着され、この整流回路基板には携帯電話機1に電力を供給するための接触端子9A及び10Aが備わっている。この接触端子9A及び10Aは、前述したように、携帯電話機1側の充電制御回路6との電気的な接点となるものである。
【0022】
充電時には、図示しない充電器から電磁エネルギとして供給された充電電力を、電力伝送インタフェース8(例えばコイルで構成されている)が電磁的結合による交流電力誘起により整流回路7へ伝え、この整流回路7が交流電力を直流電力に変換して前記接触端子9A及び10Aを介して充電制御回路6へ供給する。そして、充電制御回路6から供給された直流電力は、保護回路5を介して2次電池4へ充電されることとなる。
【0023】
このような本発明の実施の形態の電池パック蓋によれば、例えば、図3に示すように携帯電話機1側に接触端子9B及び10Bを設けることにより、これら接触端子9B及び10Bを充電制御回路6側の接触端子とすることができる。この場合、電池パック蓋2を携帯電話機1へ装着した場合には、電磁エネルギによって電力を供給する充電器からの電力供給を受けることができ、他の電池パック蓋(本発明にかかる電池パック蓋の構成でない従来の電池パック蓋)を携帯電話機1へ装着した場合には、従来通り、例えば一般の家庭用電源(交流電力)から供給された電力を直流電力に変換することのできる別の充電器によって電力供給を受けることができる。このときの電池パック蓋の交換は、従前知られている図示しない係止部を用いた簡便な取り外し方法によるものである。
【0024】
そして、従来と同様の取り付け手順で携帯電話機1に装着された電池パック蓋2の様子は、ちょうど図4のような形態となり、外観上は従来の携帯電話機とまったく見分けが付かないが、電池パック蓋2には、前述の通りコイル等からなる電力伝送インタフェース9と交流電力を直流電力へ整流する整流回路7とを備えているので、図示しない電磁エネルギにより電力を供給する充電器からの電力供給を受けることが可能となる。
【0025】
このように、本発明にかかる非接触充電インタフェースは、電磁エネルギを媒体とする電力供給を受けることができるものであるので、具体的な使用シーンとしては、例えば次のようなものが想定される。
【0026】
まず、本発明にかかる電池パック蓋を備えた携帯電話機を携行して長期外出した場合にも特に充電器を携行する必要はなくなる。つまり、外出先のあらゆる場所(例えば、喫茶店のテーブルや外出先のオフィスデスク、移動中の飛行機や電車等、公私に関わらない所定の場所、位置)に前述した図示しない電磁エネルギを供給する充電器が備えられているので、接触端子のタイプ(型式)をまったく気にすることなく電力供給を受けることが可能となる。一方で、本発明にかかる電池パック蓋を、電力伝送インタフェースや整流回路を備えていない通常の蓋に交換すれば、これまで通りの接触充電を行うこともできる。すなわち、携帯性と高速性のいずれのニーズに対しても適宜柔軟に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における携帯電話機及び電池パック蓋のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態における電池パック蓋部分の斜視図
【図3】本発明の実施の形態における携帯電話機側接触端子部の図
【図4】本発明の実施の形態における電池パック蓋の装着方法を説明する説明図
【図5】従来の非接触充電方式のブロック構成図
【符号の説明】
【0028】
1,31 携帯電話機
2,21 電池パック蓋
3 電池パック
6 充電制御回路
7 整流回路
8 電力伝送インタフェース
9,10 接触端子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックを有する携帯電話機における非接触充電インタフェースであって、
前記電池パックに対する蓋部を構成し、
前記蓋部は、外部から供給される電力を前記携帯電話機側へ伝送する電力伝送インタフェース部と前記電力伝送インタフェース部から供給される電力を整流する整流回路部とからなることを特徴とする非接触充電インタフェースを提供する電池パック蓋。
【請求項2】
非接触充電インタフェースを備え、電池パックを有してなる携帯電話機において、
前記電池パックに対する蓋部を有し、
前記非接触充電インタフェースは、少なくとも前記電池パックと充電制御回路部と整流回路部と電力伝送インタフェース部とからなり、
前記蓋部は、前記非接触充電インタフェースを構成する前記構成要素のうち、前記整流回路部と前記電力伝送インタフェース部とを有してなることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
前記請求項1記載の電池パック蓋を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記蓋部は、前記整流回路部と前記充電制御回路部とを接続する接触端子部を介して着脱可能であることを特徴とする前記請求項2記載の携帯電話機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−311712(P2006−311712A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131612(P2005−131612)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000187725)パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社 (38)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】