説明

非接触受電装置

【課題】少ない部品点数で所定の電圧を得ることが可能であり、回路調整が容易な非接触受電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給電装置から給電線を介して非接触で電力の供給を受ける非接触受電装置1であって、上記給電線を流れる交流電流による電磁誘導により、上記給電線から交流電力を受電するピックアップコア11と、上記給電線から受電した交流電力を整流し、かつ、チョッパ制御することにより、所定の直流電圧を生成して負荷に供給するスイッチングユニット13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車などに搭載され、給電装置から非接触で受電する非接触受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの小型化、復合化、及び高機能化が進むにつれ、それが製造されるクリーンルームには、微細加工や多重プロセスのための高無塵度及び各工程の高効率化が要求される。この一役を担うものとして、近年では、無人搬送車が多用されている。
【0003】
図9は、従来の無人搬送システムの外観図である。同図における無人搬送システムは、非接触給電装置700と、非接触受電装置800と、走行レール900とを備える。
【0004】
非接触給電装置700は、非接触給電回路710と、非接触給電線720と、給電線ホルダ730とを備える。非接触給電回路710は、非接触受電装置800の駆動モータを駆動させるための交流電流を生成し、それを非接触給電線720に供給する。非接触給電線720は、床面上に固定された給電線ホルダ730により固定され、非接触給電回路710から供給された交流電流を流す。非接触受電装置800は、無人搬送車であり、その下部外側にコア810とピックアップコイル820とを備える。コア810は、2本の平行な非接触給電線720を囲むように配置されている。また、非接触給電線720と最接近するコア810の表面に、ピックアップコイル820が配置されている。この配置と非接触給電線720の交流電流による電磁誘導により、非接触受電装置800は、ピックアップコイル820を介して非接触給電線720から交流電力の供給を受ける。すなわち、非接触給電回路710である一次側回路と、非接触受電装置800のモータ等が接続される二次側回路とは非接触の状態に設けられており、非接触受電装置800は、一次側回路の給電線へ流される高周波交流電流を、ピックアップコイルより電磁作用を利用して電力取り出しを行って、モータ等の負荷へ定電圧の電力を供給する。
【0005】
図10(a)及び図10(b)は、それぞれ、従来の非接触受電装置の機能構成図の一例である。図10(a)に記載された非接触受電装置は、ピックアップコアで受け取った交流電力を、受動素子を介して整流回路にて整流し、最後にチョッパ回路を用いて所定の直流電圧を負荷側に供給する方式である。また、図10(b)に記載された非接触受電装置は、一次側回路から出力された交流電力を、まず、ピックアップコアで受電し、当該ピックアップコアと受動素子とを用いて所定の交流電圧を生成し、その後、当該所定の交流電圧を、整流回路にて整流して所定の直流電圧を生成して負荷側に供給する方式である。
【0006】
図11は、特許文献1に記載された従来の非接触受電装置の回路構成図である。同図に記載された非接触受電装置800は、ピックアップコア801と、コンデンサ802、803及び806と、リアクトル804と、整流回路805と、負荷807とを備える。非接触受電装置800 は、図10(b)に記載された方式に該当し、ピックアップコア801を定電圧源として利用する直列共振型の回路構成であり、一次側回路と二次側回路との電圧変換において取り出される電圧は、通常、ピックアップコア801のインダクタンスの大きさに左右される。よって、負荷807の仕様に応じて二次側回路の電圧を設定するために、ピックアップコア801 に並列に接続されるコンデンサ802を設けることで、ピックアップコア801 の巻き数を増加させること無く、ピックアップコア801 の実質的なインダクタンスを調整している。そして負荷807に対して、安定して電力を供給するために、ピックアップコア801、コンデンサ802、803及び806、リアクトル804で得られた交流電圧を、整流回路805及び平滑用のコンデンサ806にて直流電圧へと変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−194443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図10(b)に記載された方式である、特許文献1に記載された非接触受電装置800では、ピックアップコア801で受電した交流電力を負荷807の電圧仕様に対応させるため、出荷時にコンデンサ802及び803の大掛かりな容量調整が必要とされる。また、コンデンサ802、803及びリアクトル804は、比較的容積の大きい電力用素子であり、非接触受電装置、ひいては搬送車の小型化を制限してしまう。
【0009】
また、図10(a)に記載された方式の非接触受電装置では、整流回路とチョッパ回路との2回路で、それぞれ、ダイオードやスイッチ素子などの能動素子を使用する必要があり、回路の部品点数が多くなってしまう。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数で所定の電圧を得ることが可能であり、回路調整が容易な非接触受電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る非接触受電装置は、給電装置から給電線を介して非接触で電力の供給を受ける非接触受電装置であって、前記給電線を流れる交流電流による電磁誘導により、前記給電線から交流電力を受電するピックアップコアと、前記給電線から受電した交流電力を整流し、かつ、チョッパ制御することにより、所定の直流電圧を生成して負荷に供給する1つのスイッチングユニットとを備えることを特徴とする。
【0012】
この構成をとることにより、1つのスイッチングユニットが整流機能とチョッパ制御機能とを兼用するので、少ない部品点数で、負荷に対し所定の電圧を供給することが可能となる。
【0013】
また、前記スイッチングユニットは、4つのダイオード素子により構成された単相ブリッジ回路であり、前記4つのダイオード素子のそれぞれには、当該ダイオード素子の端子間を短絡するための半導体スイッチ素子が並列接続されており、前記非接触受電装置は、さらに、4つの前記半導体スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記給電線から受電した交流電力に同期して、4つの前記半導体スイッチ素子のうちの2つの半導体スイッチ素子を同時導通または同時非導通とし、当該同時導通または同時非導通とは排他的に残りの2つの半導体スイッチ素子を同時導通または同時非導通とすることにより、前記スイッチングユニットに前記給電線から受電した交流電力を整流させ、かつ、4つの前記半導体スイッチ素子を非導通にするタイミングを調整することにより、所定の電圧を負荷に供給させることが好ましい。
【0014】
これにより、スイッチングユニットは、1部品として市販されているブリッジ回路で構成されているので、非接触受電装置を構成する回路部品数を低減することが可能となる。さらに、上記ブリッジ回路に付加されている半導体スイッチ素子の導通、非導通を制御することのみにより、スイッチングユニットの整流機能及びチョッパ制御機能を実現することができる。よって、出荷時にコンデンサなどの大掛かりな容量調整が必要とされず、制御部による簡易的な操作により負荷に供給する直流電圧を調整することが可能となる。
【0015】
また、前記制御部は、さらに、前記給電線から受電した交流電力に同期して、4つの前記半導体スイッチ素子を非導通とするタイミングを調整することで、負荷側から前記スイッチングユニットを介して回生電流を前記ピックアップコアに戻すことにより、前記給電装置に前記回生電流に対応した電力を返してもよい。
【0016】
負荷側に供給される直流電圧に対し、負荷側を流れる実効電流の方向が逆方向となる場合、負荷側の電流を回生電流としてピックアップコアに戻すことが可能となる。この回生電流は、ブリッジ回路に付加された4つの半導体スイッチ素子を非導通とするタイミングを、ピックアップコアで発生した交流電圧の位相に対して所定の遅延時間をもたせることにより発生させることが可能となる。
【0017】
これにより、一次側である給電装置に電力を返すことが可能となり、省電力化が図られる。
【0018】
また、前記スイッチングユニットは、4つのダイオード素子により構成された単相ブリッジ回路であり、前記4つのダイオード素子のうち、2つのダイオード素子のそれぞれには、当該ダイオード素子の端子間を短絡するための半導体スイッチ素子が並列接続されており、前記非接触受電装置は、さらに、2つの前記半導体スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記給電線から受電した交流電力に同期して、前記半導体スイッチ素子の双方を同時導通または同時非導通とすることにより、前記スイッチングユニットに前記給電線から受電した交流電力を整流させ、かつ、前記同時導通の期間と前記同時非導通の期間との比を調整することにより、所定の電圧を負荷に供給させてもよい。
【0019】
この構成においても、スイッチングユニットは、1部品として市販されているブリッジ回路で構成されているので、非接触受電装置を構成する回路部品数を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、1つのスイッチングユニットで整流制御及びチョッパ制御を兼用できるので、少ない部品点数で所定の電圧を得ることができ、回路調整が容易な非接触受電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路動作を表すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路状態遷移図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回路構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の受電時における回路動作を表すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の受電時における回路状態遷移図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回生時における回路動作を表すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回生時における回路状態遷移図である。
【図9】従来の無人搬送システムの外観図である。
【図10】(a)は、従来の非接触受電装置の機能構成図の一例である。(b)は、従来の非接触受電装置の機能構成図の一例である。
【図11】特許文献1に記載された従来の非接触受電装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路構成図である。同図における非接触受電装置1は、ピックアップコア11と、コンデンサ12及び14と、スイッチングユニット13と、負荷15と、制御部16とを備える。
【0024】
ピックアップコア11は、非接触給電装置の有する給電線の交流電流による電磁誘導により、非接触給電装置から交流電力を受電する。すなわち、非接触給電装置である一次側回路と、非接触受電装置1のモータ等が接続される二次側回路とは非接触の状態に設けられており、非接触受電装置1は、一次側回路の給電線へ流される高周波交流電流を、二次側回路であるピックアップコア11より電磁作用を利用して電力取り出しを行う。
【0025】
また、直列配置されたピックアップコア11とコンデンサ12とで、直列共振部を構成している。
【0026】
スイッチングユニット13は、上記直列共振部の後段に接続され、上記直列共振部から出力された交流電力を整流し、かつ、所定の直流電圧を生成して負荷に供給する機能を有する。スイッチングユニット13は、4つのダイオード131、132B、133及び134Bにより単相ブリッジ回路を構成し、ダイオード132B及び134Bには、それぞれ、ダイオード端子間を短絡するためのスイッチングトランジスタ132A及び134Aが並列接続されている。スイッチングトランジスタ132A及び134Aは、同時導通及び同時非導通となるように制御され、導通状態である期間と非導通状態である期間との比率が調整されることにより、負荷15及びコンデンサ14に供給する直流電圧の増幅率が決定される。
【0027】
コンデンサ14は、スイッチングユニット13にて整流された電圧を平滑化し、負荷15の両端電圧を、平滑化された直流電圧とする機能を有する。
【0028】
負荷15は、直流電圧で規定される電力を供給されることにより、当該電力を消費して動作するものであり、例えば、無人搬送車の車輪を駆動するモータである。
【0029】
制御部16は、例えば、CPUで構成され、ピックアップコア11を流れる受電側入力電流I21と同期してスイッチングトランジスタ132A及び134Aの導通及び非導通を制御する機能を有する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置1の受電動作を説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路動作を表すタイミングチャートである。同図に記載されたタイミングチャートは、上から順に、接点Cへ流れ込む受電側出力電流I221、接点C→負荷15→接点Dを流れる負荷電流I222、接点C→コンデンサ14→接点Dを流れるコンデンサ電流I223、スイッチングトランジスタ132A及び134Aの導通状態、ピックアップコア11及びコンデンサ12を流れる受電側入力電流I21、ピックアップコア11の両端電圧V21、及び給電側出力電流I1、の1周期Tにおける時間変化を表している。なお、縦軸の電圧値及び電流値は相対表示である。受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21は、正弦波である給電側出力電流I1の電磁誘導により、給電側出力電流I1に対し位相がずれた正弦波となっている。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路状態遷移図である。
【0033】
まず、時刻t01において、制御部16は、スイッチングトランジスタ132A及び134Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置1を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→ダイオード131→接点C→負荷15及びコンデンサ14→接点D→ダイオード134B→接点B→ピックアップコア11という経路に変化する。また、この瞬間、受電側出力電流I221が最大となる。時刻t01〜時刻t02における回路状態は、図3に記載されたt01〜t〜t02の状態に対応する。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷15には直流の負荷電流I222が流れる。
【0034】
時刻t01〜時刻t02の期間Toffでは、接点Cから接点Dの方向に向かって負荷15及びコンデンサ14に、整流された受電側入力電流I221が供給され、接点C−接点D間の電圧VCDは平滑化される。また、この期間では、受電側入力電流I221が徐々に減少する。
【0035】
次に、時刻t02において、制御部16は、スイッチングトランジスタ132A及び134Aを導通させる。この瞬間、非接触受電装置1を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→スイッチングトランジスタ134A→スイッチングトランジスタ132A→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。時刻t02〜時刻t03における回路状態は、図3に記載されたt02〜t〜t03の状態に対応する。また、時刻t02〜時刻t03の期間Tonでは、受電側出力電流I221は流れないが、予めコンデンサ14に充電された電荷により負荷15へ閉ループ電流が流れ、これにより負荷電流I222は時刻t02以前に流れていた直流電流が維持される。
【0036】
次に、時刻t03において、制御部16は、スイッチングトランジスタ132A及び134Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置1を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→ダイオード133→接点C→負荷15及びコンデンサ14→接点D→ダイオード132B→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。また、この瞬間、受電側出力電流I221が最大となる。時刻t03〜時刻t04における回路状態は、図3に記載されたt03〜t〜t04の状態に対応する。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷15には直流の負荷電流I222が流れる。
【0037】
時刻t03〜時刻t04の期間Toffでは、接点Cから接点Dの方向に向かって負荷15及びコンデンサ14に整流された受電側入力電流I221が供給され、接点C−接点D間の電圧VCDは平滑化される。また、この期間では、受電側入力電流I221が徐々に減少する。
【0038】
次に、時刻t04において、制御部16は、スイッチングトランジスタ132A及び134Aを導通させる。この瞬間、非接触受電装置1を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→スイッチングトランジスタ132A→スイッチングトランジスタ134A→接点B→ピックアップコア11という経路に変化する。時刻t04〜時刻T及び時刻0〜時刻t01における回路状態は、図3に記載されたt04〜t〜T及び0〜t〜時刻t01の状態に対応する。また、時刻t04〜時刻T及び時刻0〜時刻t01の期間Tonでは、受電側出力電流I221は流れないが、予めコンデンサ14に充電された電荷により負荷15へ閉ループ電流が流れ、これにより負荷電流I222は時刻t04以前に流れていた直流電流が維持される。
【0039】
なお、負荷15及びコンデンサ14に供給される電力PCDは、期間Toffにおいて接点Cから接点Dに流れる受電側入力電流I221と、平滑化された電圧VCDとの積で決定される。負荷15に供給する電圧VCDの大きさは、期間Toffと、スイッチングトランジスタ132A及び134Aが導通状態である期間Tonとの比により決定される。
【0040】
つまり、スイッチングユニット13は、その構成要素であるスイッチングトランジスタ132A及び134Aが所定のタイミングで同時導通及び同時非導通となることにより、交流電流である受電側入力電流I21を、接点Cから接点Dの1方向のみに流す整流機能と、接点C−接点D間の電圧VCDを所定電圧へと調整するチョッパ機能とを有する。
【0041】
従来の非接触受電装置、例えば図11に記載された回路構成では、回路部品としては、ピックアップコア801、コンデンサ802、コンデンサ803、コンデンサ806、リアクトル804、及び整流回路805の6点が必要である。
【0042】
これに対し、本発明の実施の形態1に係る非接触受電装置の回路構成では、回路部品としては、ピックアップコア11、コンデンサ12、コンデンサ14、及びスイッチングユニット13の4点が必要である。上述したスイッチングユニット13の整流機能及びチョッパ機能の兼用により、部品点数を低減することが可能となる。さらに、出荷時にコンデンサの大掛かりな容量調整を必要とせず、スイッチングユニット13を構成するスイッチングトランジスタの導通及び非導通のタイミングを、受電側入力電流I21に同期させて設定するだけで、負荷電圧を所定電圧へと調整することが可能となる。
【0043】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図4は、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回路構成図である。同図における非接触受電装置2は、ピックアップコア11と、コンデンサ12及び14と、スイッチングユニット23と、負荷15と、制御部26とを備える。同図に記載された非接触受電装置2は、実施の形態1に記載された非接触受電装置1と比較して、スイッチングユニットの回路構成のみが構成として異なる。以下、実施の形態1と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0045】
スイッチングユニット23は、ピックアップコア11及びコンデンサ12で構成される直列共振部の後段に接続され、当該直列共振部から出力された交流電力を整流し、かつ、所定の直流電圧を生成して負荷15に供給する機能を有する。
【0046】
スイッチングユニット23は、4つのダイオード231B、232B、233B及び234Bにより単相ブリッジ回路を構成する。さらに、4つのダイオード231B、232B、233B及び234Bには、それぞれ、それぞれ、ダイオード端子間を短絡するためのスイッチングトランジスタ231A、232A、233A及び234Aが並列接続されている。
【0047】
スイッチングトランジスタ231A及び234Aは、同時に導通及び非導通となるように制御され、また、スイッチングトランジスタ232A及び233Aは、同時に導通及び非導通となるように制御され、スイッチングトランジスタ231A及び234Aの導通状態とスイッチングトランジスタ232A及び233Aの導通状態とは排他的に実現される。これにより、スイッチングユニット23は、給電線から受電した交流電力を整流する。また、上記4つのスイッチングトランジスタを非導通にするタイミングにより、所定の直流電圧が負荷15に供給される。
【0048】
制御部26は、例えば、CPUで構成され、ピックアップコア11を流れる受電側入力電流I21と同期して上記4つのスイッチングトランジスタの導通及び非導通を制御する機能を有する。ここで、制御部26は、上記4つのスイッチングトランジスタを非導通とするタイミングを調整することにより、(1)所定の電力を負荷15に供給する場合、及び(2)負荷15側からスイッチングユニット23を介して回生電流をピックアップコア11に戻すことにより給電装置に上記回生電流に対応した電力を返す場合、とを実現することが可能である。
【0049】
以下、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置2の受電動作及び回生動作を説明する。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の受電時における回路動作を表すタイミングチャートである。同図に記載されたタイミングチャートは、上から順に、接点Cへ流れ込む受電側出力電流I221、接点C→負荷15→接点Dを流れる負荷電流I222、接点C→コンデンサ14→接点Dを流れるコンデンサ電流I223、スイッチングトランジスタ231A、232A、233A及び234Aの導通状態、ピックアップコア11及びコンデンサ12を流れる受電側入力電流I21、ピックアップコア11の両端電圧V21、及び給電側出力電流I1、の1周期Tにおける時間変化を表している。なお、縦軸の電圧値及び電流値は相対表示である。受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21は、正弦波である給電側出力電流I1の電磁誘導により、給電側出力電流I1に対し位相がずれた正弦波となっている。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の受電時における回路状態遷移図である。
【0052】
まず、時刻t11において、制御部26は、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→ダイオード231B→接点C→負荷15及びコンデンサ14→接点D→ダイオード234B→接点B→ピックアップコア11という経路に変化する。時刻t11〜時刻t121における回路状態は、図6に記載されたt11〜t〜t121の状態に対応する。
【0053】
このとき、負荷15及びコンデンサ14を流れる受電側出力電流I221が、負方向(接点D→接点C)から正方向(接点C→接点D)へ急峻に変化し、非接触受電装置2の回路は、負荷及びコンデンサ14への供給電圧VCDを上昇させる方向に作用する。当該作用及びコンデンサ14の平滑化作用により、VCDは一定電圧を維持することが可能となる。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷電流I222は時刻t11以前に流れていた直流電流が維持される。
【0054】
次に、時刻t121において、制御部26は、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを導通させる。これにより、非接触受電装置2を流れる電流ループは、時刻t11〜t121の電流ループの経路を維持している。時刻t121〜時刻t122における回路状態は、図6に記載されたt121〜t〜t122の状態に対応する。
【0055】
次に、時刻t122〜時刻t13において、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→スイッチングトランジスタ234A→接点D→コンデンサ14→接点C→スイッチングトランジスタ231A→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。一方、コンデンサ14による平滑化された電圧VCDにより、負荷15には時刻t121〜時刻t122に流れていた直流の負荷電流I222が流れる。時刻t122〜時刻t13における回路状態は、図6に記載されたt122〜t〜t13の状態に対応する。
【0056】
時刻t11〜時刻t13の期間において、受電側出力電流I221は連続的にその絶対値を減少させ、最終的には負方向(接点D→接点C)に流れるようになっている。ただし、上記期間における受電側出力電流I221は、積分された実効電流として正方向(接点C→接点D)に流れる電流となっている。
【0057】
次に、時刻t13において、制御部26は、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→ダイオード233B→接点C→負荷15及びコンデンサ14→接点D→ダイオード232B→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。時刻t13〜時刻t141における回路状態は、図6に記載されたt13〜t〜t141の状態に対応する。
【0058】
このとき、負荷15及びコンデンサ14を流れる受電側出力電流I221が、負方向(接点D→接点C)から正方向(接点C→接点D)へ急峻に変化し、非接触受電装置2の回路は、負荷及びコンデンサ14への供給電圧VCDを上昇させる方向に作用する。当該作用及びコンデンサ14の平滑化作用により、VCDは一定電圧を維持することが可能となる。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷電流I222は時刻t13以前に流れていた直流電流が維持される。
【0059】
負荷15及びコンデンサ14に印加される直流電圧VCDに対し、時刻t11〜時刻t13の期間において、受電側出力電流I221が実効電流として正方向(接点C→接点D)となる場合、負荷15及びコンデンサ14には、VCD及び上記実効電流で規定される電力が供給され、必要に応じて当該電力が負荷15にて消費される。この場合、制御部26は、例えば、VCDの変動をモニタし受電モードであると判断した場合には、I221が周期Tにおいて実効電流として正方向(接点C→接点D)に流れるように、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを非導通にするタイミング、及び、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを非導通にするタイミングを、受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21の位相からの遅延量として調整する。
【0060】
具体的には、制御部26が受電モードであると判断した場合には、制御部26は、受電側入力電流I21と、スイッチングトランジスタのオンオフによる仮想正弦波との位相関係を所定の範囲内となるようにスイッチングトランジスタのオンオフのタイミングを調整する。また、上記受電モードの立ち上がり時、つまり負荷15が動作していない状態には、制御部26は、受電側入力電流I21の代わりに、無負荷時には変動の小さいピックアップコア11の両端電圧V21と、スイッチングトランジスタのオンオフによる仮想正弦波との位相関係を所定の範囲内となるようにスイッチングトランジスタのオンオフのタイミングを調整する。
【0061】
ここで、上記仮想正弦波とは、スイッチングトランジスタのオンオフにより生成されたパルス波形のオン状態の中点を、正弦波の正のピーク(位相90°)または負のピーク(位相270°)が得られる時刻とみたてた正弦波と定義される。
【0062】
図5において、例えば、仮想正弦波の正のピーク点Eは、ピックアップコア11の両端電圧V21の負のピーク点Fに対して、約225°位相が遅れており、また、受電側入力電流I21の負のピーク点Gに対して、約135°位相が遅れている。
【0063】
つまり、制御部26は、上述した仮想正弦波とV21またはI21との位相差を、所定範囲(例えば、仮想正弦波の正のピーク点を、V21の負のピーク点から225°遅らせる、または、I21の負のピーク点から135°遅らせる)に維持させることにより、周期Tにおいて受電側出力電流I221を、実効電流として正方向(接点C→接点D)とすることが可能となる。これにより、受電モードとして、負荷15及びコンデンサ14には、VCD及び上記実効電流で規定される電力が供給され、必要に応じて当該電力が負荷15にて消費される。
【0064】
次に、時刻t141において、制御部26は、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを導通させる。これにより、非接触受電装置2を流れる電流ループは、時刻t13〜t141の電流ループの経路を維持している。時刻t141〜時刻t142における回路状態は、図6に記載されたt141〜t〜t142の状態に対応する。
【0065】
なお、負荷15及びコンデンサ14に供給される電力PCDは、周期Tにおいて接点Cから接点Dに流れる受電側入力電流I22の実効電流と、平滑化された電圧VCDとの積で決定される。負荷15に供給する電圧VCDの大きさは、4つのスイッチングトランジスタを非導通とするタイミングにより決定される。
【0066】
次に、時刻t142〜時刻T、及び、時刻0〜時刻t11において、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→スイッチングトランジスタ232A→接点D→コンデンサ14→接点C→スイッチングトランジスタ233A→接点B→ピックアップコア11という経路に変化する。一方、コンデンサ14による平滑化された電圧VCDにより、負荷15には時刻t141〜時刻t142に流れていた直流の負荷電流I222が流れる。時刻t142〜時刻T、及び、時刻0〜時刻t11における回路状態は、図6に記載されたt142〜t〜T(0〜t〜t11)の状態に対応する。
【0067】
時刻t13〜時刻Tの期間において、受電側出力電流I221は連続的にその絶対値を減少させ、最終的には負方向(接点D→接点C)に流れるようになっている。ただし、上記期間における受電側出力電流I221は、積分された実効電流として正方向(接点C→接点D)に流れる電流となっている。
【0068】
上述したように、スイッチングユニット13は、その構成要素である4つのスイッチングトランジスタが所定のタイミングで非導通となることにより、交流電流である受電側入力電流I21を、実効電流として接点Cから接点Dに流す整流機能と、接点C−接点D間の電圧VCDを所定電圧へと調整するチョッパ機能とを有する。
【0069】
従来の非接触受電装置、例えば図11に記載された回路構成では、回路部品としては、ピックアップコア801、コンデンサ802、コンデンサ803、コンデンサ806、リアクトル804、及び整流回路805の6点が必要である。
【0070】
これに対し、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置2の回路構成では、回路部品としては、ピックアップコア11、コンデンサ12、コンデンサ14、及びスイッチングユニット23の4点が必要である。上述したスイッチングユニット23の整流機能及びチョッパ機能の兼用により、部品点数を低減することが可能となる。さらに、出荷時にコンデンサの大掛かりな容量調整を必要とせず、スイッチングユニット23を構成するスイッチングトランジスタのオンオフのタイミングを、受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21に同期させて設定するだけで、負荷電圧を所定電圧へと調整することが可能となる。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回生時における回路動作を表すタイミングチャートである。同図に記載されたタイミングチャートは、上から順に、接点Cへ流れ込む受電側出力電流I221、接点C→負荷15→接点Dを流れる負荷電流I222、接点C→コンデンサ14→接点Dを流れるコンデンサ電流I223、スイッチングトランジスタ231A、232A、233A及び234Aの導通状態、ピックアップコア11及びコンデンサ12を流れる受電側入力電流I21、ピックアップコア11の両端電圧V21、及び給電側出力電流I1、の1周期Tにおける時間変化を表している。なお、縦軸の電圧値及び電流値は相対表示である。受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21は、正弦波である給電側出力電流I1の電磁誘導により、給電側出力電流I1に対し位相がずれた正弦波となっている。
【0072】
図8は、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置の回生時における回路状態遷移図である。
【0073】
まず、時刻t21において、制御部26は、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→ダイオード233B→接点C→コンデンサ14→接点D→ダイオード232B→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。一方、コンデンサ14による平滑化された電圧VCDにより、負荷15には時刻t21以前に流れていた直流の負荷電流I222が流れる。時刻t21〜時刻t22における回路状態は、図8に記載されたt21〜t〜t22の状態に対応する。
【0074】
このとき、負荷15及びコンデンサ14を流れる受電側出力電流I221が、負方向(接点D→接点C)から正方向(接点C→接点D)へ急峻に変化し、非接触受電装置2の回路は、負荷及びコンデンサ14への供給電圧VCDを上昇させる方向に作用する。当該作用及びコンデンサ14の平滑化作用により、VCDは一定電圧を維持することが可能となる。
【0075】
次に、時刻t22において、制御部26は、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを導通させる。これにより、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→スイッチングトランジスタ232A→接点D→コンデンサ14及び負荷15→接点C→スイッチングトランジスタ233A→接点B→ピックアップコア11という経路に変化する。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷電流I222は時刻t21から時刻t22の期間に流れていた直流電流が維持される。時刻t22〜時刻t23における回路状態は、図8に記載されたt22〜t〜t23の状態に対応する。
【0076】
次に、時刻t23において、制御部26は、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを非導通にする。この瞬間、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→コンデンサ12→接点A→ダイオード231B→接点C→コンデンサ14→接点D→ダイオード234B→接点B→ピックアップコア11という経路を通る。一方、コンデンサ14による平滑化された電圧VCDにより、負荷15には時刻t23以前に流れていた直流の負荷電流I222が流れる。時刻t23〜時刻t24における回路状態は、図8に記載されたt23〜t〜t24の状態に対応する。
【0077】
このとき、負荷15及びコンデンサ14を流れる受電側出力電流I221が、負方向(接点D→接点C)から正方向(接点C→接点D)へ急峻に変化し、非接触受電装置2の回路は、負荷及びコンデンサ14への供給電圧VCDを上昇させる方向に作用する。当該作用及びコンデンサ14の平滑化作用により、VCDは一定電圧を維持することが可能となる。また、時刻t21〜時刻t23の期間において、受電側出力電流I221は連続的にその絶対値を減少させ、最終的には負方向(接点D→接点C)となっている。また、上記期間における受電側出力電流I221は、実効電流として負方向(接点D→接点C)に流れる電流となっている。
【0078】
負荷15及びコンデンサ14に印加される直流電圧VCDに対し、時刻t21〜時刻t23の期間において、受電側出力電流I221が実効電流として負方向(接点D→接点C)となる場合、受電側出力電流I221を回生電流としてピックアップコアに戻すことが可能となる。
【0079】
この場合、制御部26は、例えばVCDの変動をモニタし回生モードであると判断した場合には、I221が周期Tにおいて実効電流として負方向(接点D→接点C)に流れるように、スイッチングトランジスタ232A及び233Aを非導通にするタイミング、及び、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを非導通にするタイミングを、受電側入力電流I21及びピックアップコア11の両端電圧V21の位相からの遅延量として調整する。
【0080】
具体的には、制御部26が回生モードであると判断した場合には、制御部26は、受電側入力電流I21と、スイッチングトランジスタのオンオフによる仮想正弦波との位相関係を所定の範囲内となるようにスイッチングトランジスタのオンオフのタイミングを調整する。また、上記回生モードの立ち上がり時、つまり負荷15が動作していない状態には、制御部26は、受電側入力電流I21の代わりに、無負荷時には変動の小さいピックアップコア11の両端電圧V21と、スイッチングトランジスタのオンオフによる仮想正弦波との位相関係を所定の範囲内となるようにスイッチングトランジスタのオンオフのタイミングを調整する。
【0081】
図7において、例えば、仮想正弦波の正のピーク点Hは、ピックアップコア11の両端電圧V21の正のピーク点Jに対して、約45°位相が遅れており、また、受電側入力電流I21の正のピーク点Kに対して、約45°位相が進んでいる。
【0082】
つまり、制御部26は、上述した仮想正弦波とV21またはI21との位相差を、所定範囲(例えば、仮想正弦波の正のピーク点をV21の正のピーク点から45°遅らせる、または、I21の正のピーク点から45°位相が進ませる)に維持させることにより、周期Tにおいて受電側出力電流I221を、実効電流として負方向(接点D→接点C)とすることが可能となる。これにより、回生モードとして、負荷15及びコンデンサ14から、VCD及び上記実効電流で規定される電力を給電装置側に返すことが可能となる。
【0083】
次に、時刻t24において、制御部26は、スイッチングトランジスタ231A及び234Aを導通させる。これにより、非接触受電装置2を流れる電流ループは、ピックアップコア11→接点B→スイッチングトランジスタ234A→接点D→コンデンサ14及び負荷15→接点C→スイッチングトランジスタ231A→接点A→コンデンサ12→ピックアップコア11という経路に変化する。また、この期間において、コンデンサ電流I223は、受電側出力電流I221の変動成分を反映した電流となり、これにより負荷電流I222は時刻t23から時刻t24の期間に流れていた直流電流が維持される。時刻t22〜時刻t23、及び、時刻0〜時刻t21における回路状態は、図8に記載されたt24〜t〜T(0〜t〜t21)の状態に対応する。
【0084】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る非接触受電装置によれば、スイッチングユニットに付加されているスイッチングトランジスタの導通、非導通を制御することのみにより、スイッチングユニットの整流機能及びチョッパ制御機能を実現することができる。また、上記スイッチングトランジスタを非導通とするタイミングを調整することにより、負荷に一定電圧を供給する受電モードと給電装置側に電力を返す回生モードとを選択することが可能となる。
【0085】
よって、出荷時にコンデンサなどの大掛かりな容量調整が必要とされず、制御部による簡易的な操作により負荷に供給する直流電圧を調整することが可能となる。さらに、制御部による簡易的な操作により受電モードと回生モードとを選択することが可能となり、省電力化が図られる。
【0086】
以上、本発明に係る非接触受電装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【0087】
例えば、実施の形態1及び2では、スイッチングユニットの構成要素としてスイッチングトランジスタを使用したが、制御信号によりオンオフ制御できる素子であればよく、例えば、三端子素子のFETや四端子素子のフォトモスリレーなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、荷物を移載する無人搬送車に搭載される非接触受電装置に利用でき、特に、工程数が多く高い無塵度が要求される半導体プロセスやフラットパネルディスプレイプロセス用クリーンルームで使用される搬送車に搭載される非接触受電装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1、2、800 非接触受電装置
11、801 ピックアップコア
12、14、802、803、806 コンデンサ
13、23 スイッチングユニット
15、807 負荷
16、26 制御部
131、132B、133、134B、231B、232B、233B、234B ダイオード
132A、134A、231A、232A、233A、234A スイッチングトランジスタ
700 非接触給電装置
710 非接触給電回路
720 非接触給電線
730 給電線ホルダ
804 リアクトル
805 整流回路
810 コア
820 ピックアップコイル
900 走行レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から給電線を介して非接触で電力の供給を受ける非接触受電装置であって、
前記給電線を流れる交流電流による電磁誘導により、前記給電線から交流電力を受電するピックアップコアと、
前記給電線から受電した交流電力を整流し、かつ、チョッパ制御することにより、所定の直流電圧を生成して負荷に供給する1つのスイッチングユニットとを備える
非接触受電装置。
【請求項2】
前記スイッチングユニットは、
4つのダイオード素子により構成された単相ブリッジ回路であり、
前記4つのダイオード素子のそれぞれには、当該ダイオード素子の端子間を短絡するための半導体スイッチ素子が並列接続されており、
前記非接触受電装置は、さらに、4つの前記半導体スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記給電線から受電した交流電力に同期して、4つの前記半導体スイッチ素子のうちの2つの半導体スイッチ素子を同時導通または同時非導通とし、当該同時導通または同時非導通とは排他的に残りの2つの半導体スイッチ素子を同時導通または同時非導通とすることにより、前記スイッチングユニットに前記給電線から受電した交流電力を整流させ、かつ、4つの前記半導体スイッチ素子を非導通にするタイミングを調整することにより、所定の電圧を負荷に供給させる
請求項1に記載の非接触受電装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記給電線から受電した交流電力に同期して、4つの前記半導体スイッチ素子を非導通とするタイミングを調整することで、負荷側から前記スイッチングユニットを介して回生電流を前記ピックアップコアに戻すことにより、前記給電装置に前記回生電流に対応した電力を返す
請求項2に記載の非接触受電装置。
【請求項4】
前記スイッチングユニットは、
4つのダイオード素子により構成された単相ブリッジ回路であり、
前記4つのダイオード素子のうち、2つのダイオード素子のそれぞれには、当該ダイオード素子の端子間を短絡するための半導体スイッチ素子が並列接続されており、
前記非接触受電装置は、さらに、2つの前記半導体スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記給電線から受電した交流電力に同期して、前記半導体スイッチ素子の双方を同時導通または同時非導通とすることにより、前記スイッチングユニットに前記給電線から受電した交流電力を整流させ、かつ、前記同時導通の期間と前記同時非導通の期間との比を調整することにより、所定の電圧を負荷に供給させる
請求項1に記載の非接触受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−19603(P2012−19603A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155196(P2010−155196)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】