説明

非接触型データキャリア装置

【課題】カード型の非接触型データキャリア装置を、重ねて用いる場合においても、これらに搭載されて用いられる非接触式データキャリア同士の混信の確率をきわめて低くでき、更には、アンテナ設計が困難という問題や、カード型の非接触型データキャリア装置に搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の問題や、使い勝手の問題や、複数リーダーライタを用意する必要があるという問題を同時に解決したカード型の非接触型データキャリア装置を提供する。
【解決手段】非接触型のデータキャリア装置であって、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを1つあるいは複数個、互いに他と干渉しない程度に離した位置に備えており、全体はカードサイズである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを備えている非接触型データキャリア装置に関し、特に、該小型の非接触式データキャリアを、複数、備えているカード型の非接触型データキャリア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の機密性の面からICカードが次第に普及されつつ中、近年では、読み書き装置(リーダライタ)と接触せずに情報の授受を行う非接触型のICカードが提案され、中でも、外部の読み書き装置との信号交換を、あるいは信号交換と電力供給とを電磁波により行う方式のものが実用化されつつある。
そして、このような中、データを搭載したICチップを、アンテナコイルと接続した、シート状ないし札状の非接触式のICタグが、近年、種々提案され、商品や包装箱等に付け、万引き防止、物流システム、商品管理等に利用されるようになってきた。
勿論、ICを持たない単なる共振タグも物品の存在感知に用いられている。
【0003】
このように、近年では、セキュリティの向上や利便性の向上のため、非接触型のICカードやICタグ等のデータキャリア(以下データキャリア装置とも言う)の利用が増加しており、結果として、同一カードケース(財布・定期入れなど)内に、さまざまな非接触カードを、そのアンテナコイルを重ねるようにして保持することが多々ある。
データキャリアのアンテナコイルが重なってしまった場合、互いに干渉しあって読み取りエラーが生じてしまう、あるいは読み取りが悪くなるという問題がある。
また、別に、非接触型のICカードやICタグ等のデータキャリアが増えてしまい、持ち歩く際に非常に不便となることがある。
【0004】
このような状況の中、特開2002−366916号公報(特許文献1)において、同一基板上に共振タグと非接触型のICタグとの複数タグを作りこむ形態のデータキャリアが開示されているが、この形態の場合、相互インダクタンスの関係よりアンテナ設計が困難で、タグ同士で混信のおそれある。
また、特開2004−102651号公報(特許文献2)においては、周波数帯の異なる非接触型のICタグを複数搭載したデータキャリアが開示されているが、この形態の場合、異なった通信距離が要求されるシステムが同一の空間内に存在する場合であっても、対応できるが、同一シート上に周波数帯の異なる非接触型のICタグを、複数、作り込むため使い勝手悪く、全く通信方式の異なるリーダーライタを用意する必要がある。
また、特開平11−96326号公報(特願平9−255744、特許文献3)においては、製造工程中のタグが複数ついた状態のタグインレットシートの記載がある。
また、特開2002−83277号公報(特許文献4)にはアンテナ1つでICチップ2つのデータキャリアが開示されている。
【特許文献1】特開2002−366916号公報
【特許文献2】特開2004−102651号公報
【特許文献1】特開平11−96326号公報
【特許文献2】特開2002−83277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、近年、非接触式のタグを、複数、搭載したカード型の非接触型データキャリア(非接触型データキャリア装置とも言う)が開示されているが、従来のものは、アンテナ設計が困難という問題や、カード型の非接触型データキャリア装置に搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の問題や、使い勝手の問題や、複数リーダーライタを用意する必要があるという問題があり、これらの問題を同時に解決できるカード型の非接触型データキャリア装置が求められていた。
本発明はこれらの問題に対応するもので、第1には、カード型の非接触型データキャリア装置を、重ねて用いる場合においても、これらに搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の確率をきわめて低くできる、カード型の非接触型データキャリア装置を提供しようとするものである。
更には、アンテナ設計が困難という問題や、カード型の非接触型データキャリア装置に搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の問題や、使い勝手の問題や、複数読み取り装置(リーダーライタ等)を用意する必要があるという問題を同時に解決したカード型の非接触型データキャリア装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触型データキャリア装置は、非接触型のデータキャリア装置であって、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを1つ、あるいは複数個、互いに他と干渉しない程度に離した位置に備えていることを特徴とするものである。
そして、上記の非接触型データキャリア装置であって、カードサイズであることを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかの非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、その面側の着脱可能で、取り外し、取り付けができるホルダー部に嵌め込まれていることを特徴とするものであり、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該基材あるいは該基材とは別の凹部を覆う蓋部を設けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものであることを特徴とするものである。 あるいは、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該凹部内に該基材とは別の小型の非接触式データキャリアを着脱可能に保持するための保持部材を取り付けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つを、その基材に、取り外しができないように固定して備えていることを特徴とするものであり、前記基材に固定されている小型の非接触式データキャリアは、接着層により基材に接着固定されていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、磁石を介して基材に固定されていることを特徴とするものである。
また、上記いずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリア領域の表面側を平坦状にするための、表面平坦用部材を設けていることを特徴とするものであり、前記表面平坦用部材は、開閉蓋として機能するものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアを搭載する際の、位置合わせ用の、マーク(印)、突起、凹部等の、位置合わせ補助部が配設されていることを特徴とするものである。
尚、ここで、「干渉しない程度に離した位置」とは、読み取り装置(リーダライタ等)による読み取りを行う際、これら非接触型データキャリア装置に搭載されて用いられる非接触式データキャリア同士が互いに混信がない距離に離した位置を意味し、通常、データキャリア同士が互いに混信がない距離は、三次元的に約1.5mmとされている。
尚、ここで言う、非接触式データキャリアとは、基材にアンテナ回路部とICチップとを有する部品の総称である。
【0007】
(作用)
本発明の非接触型データキャリア装置は、このような構成にすることにより、非接触型データキャリア装置を、重ねて用いる場合においても、これらに搭載されて用いられる非接触式データキャリア同士の、アンテナコイルの重なりによる混信の確率をきわめて低くできる、非接触型データキャリアの提供を可能としている。
具体的には、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを1つ、あるいは複数個、互いに他と干渉しない程度に離した位置に備えていることにより、これを達成している。
詳しくは、従来の非接触型のデータキャリア装置に搭載されて用いられる非接触式データキャリアに比べて、極めて小さい、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリア1つを、あるいは、複数個を、互いに他と、干渉しない程度に離した位置にして、備えていることにより、非接触型のデータキャリア装置を重ねて使用しても、これらに搭載されて用いられる非接触式データキャリア同士の混信の確率をきわめて低くできるものとしている。
特に、小型の非接触式データキャリア装置を、複数個、備えている場合には、これと同時に、複数の機能を兼ねるものとでき、使い勝手の良いものとし、且つ、複数の読み取り装置(リーダーライタ)を用意しなくても、これを達成可能としている。
例えば、一枚の非接触型データキャリア装置に、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを、複数個、搭載することで、複数の機能を搭載したデータキャリアを実現できる。
このように、1枚で所望の複数の異なる機能を持つ、非接触型データキャリア装置の提供を可能となる。
勿論、このような非接触型データキャリア装置の設計自体の自由度も大きくできる。 特に、カードサイズである、請求項2の発明の形態の場合は、汎用のカードケース等に、複数個、重ねた状態で使用しても、これらに搭載されて用いられる非接触式データキャリア同士の干渉による混信の確率をきわめて低くでき、汎用性の面で有利である。
また、このような、小型の非接触式データキャリアを使用することで、従来のカード型の非接触型データキャリア装置と比較した場合、セキュリティ向上が見込まれる。
従来のカード型の非接触型データキャリア装置では、該データキャリア装置上に、非接触式データキャリアを、複数個、搭載した際に、読取装置でひとつだけを限定して読み取ることが困難であるが、本発明のように10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを用いる場合には通信距離を短く限定することが出来るため、読み取り装置でひとつに限定して読み取ることが可能となる。
勿論、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを用いた本発明の非接触型データキャリアの場合、複数の非接触型データキャリア装置におけるそれぞれの小型の非接触式データキャリアの搭載位置をずらしておけば、たとえ、該複数のカード型の非接触型データキャリア装置が重なったとしても、読み取り装置での読み取りエラーを回避することが可能となる。
勿論また、このようなカードサイズの非接触型のデータキャリア装置の設計自体の自由度も大きくできる。
【0008】
特に、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、その面側において、着脱可能に、取り外し、取り付けができるホルダー部に嵌め込まれている、請求項3の発明の形態にすることにより、すでにホルダー部に嵌め込まれ、取り付けされている小型の非接触式データキャリアに代えて、これとは別の小型の非接触式データキャリアを該ホルダー部に嵌め込むことができ、これにより、非接触型のデータキャリアに、種々の機能を持たせることを可能としている。
ホルダー部に取り付ける小型の非接触式データキャリアを選択することにより、非接触型データキャリア装置の機能の組み合わせを自由に変えることも可能となる。
例えば、電気量販店のポイントカード等においては、この形態は有効となる。
ホルダー部としては、例えば、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該基材からなる、あるいは、該基材とは別の凹部を覆う蓋部を設けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものである、請求項4の発明の形態が挙げられる。
あるいは、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該凹部内に該基材とは別の、小型の非接触式データキャリアを着脱可能に保持するための保持部材を取り付けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものである、請求項5の発明の形態が挙げられる。
【0009】
また、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つを、その基材に、取り外しができないように固定して備えている、請求項6の発明の形態が挙げられる。
特に、小型の非接触式データキャリアを、複数個、備えている場合、取り替える必要のない機能を有する小型の非接触式データキャリアについては固定式の方が好ましい。
具体的には、小型の非接触式データキャリアが、接着層により基材に接着固定されている形態が挙げられる。
【0010】
また、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、磁石を介して基材に固定されている、請求項8の発明の形態が挙げられる。
この形態の場合は、特に、基材が金属材からなる場合に有効である。
【0011】
また、表面平坦用部材を設けている、請求項9の発明の形態にすることにより、小型の非接触式データキャリア領域の表面側を平坦状にでき、使い勝手の良いものとしている。
更に、表面平坦用部材が開閉蓋として機能するものである形態が挙げられる。
【0012】
また、前記小型の非接触式データキャリアを搭載する際の、位置合わせ用の、マーク(印)、突起、凹部等の、位置合わせ補助部が配設されている、請求項11の発明の形態にすることにより、位置精度よく小型の非接触式データキャリアを搭載することを可能にしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のように、第1には、複数の本発明の非接触型データキャリア装置を重ねて用いる場合においても、これらに搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の確率をきわめて低くできる、非接触型データキャリア装置の提供を可能にした。 更に、アンテナ設計が困難という問題や、カード型の非接触型データキャリア装置に搭載して用いられる非接触式データキャリア同士の混信の問題や、使い勝手の問題や、複数読み取り装置(リーダーライタ等)を用意する必要があるという問題を解決した非接触型データキャリア装置の提供を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第1の例の1平面図で、図1(b)は図1(a)に示す非接触型データキャリア装置の1断面図で、図1(c)は図1(b)のA0部の拡大図で、図2は非接触式データキャリアの一面からICチップとその接続状態を透視して示した図で、図3は、図2のA1−A2における断面を簡略して示した図で、図4は複数のカード型の非接触型データキャリア装置を重ねた状態を示した図で、図5は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第2の例の1部断面図で、図6は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第3の例の1部断面図で、図7(b)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第4の例の1部断面図で、図7(a)は図7(b)において非接触式データキャリアを取り外した図で、図8は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第5の例の1部断面図で、図9は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第6の例の1部断面図で、図10(a)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第7の例の1部断面図で、図10(b)はその上面図である。
図1〜図10中、10、10A〜10C、10a〜10fはカード型の非接触型データキャリア装置、11、11a〜11fは基材部、11D、11Eは面部、20は非接触式データキャリア、21は半導体チップ、22は配線基板部、23は封止樹脂、24は接着層、25は磁石、30はホルダー部、30aは保持部材(嵌合用冶具とも言う)、30A〜30Dはホルダー部、31は側面側保持部、32は面側保持部、35は空間部、35a〜35fは空間部(凹部とも言う)、36は嵌合用突起、37〜39は蓋部、38aは嵌合部(嵌合凸部とも言う)、38bは嵌合部(嵌合凹部とも言う)、39bは蓋押さえ部、41はICチップ、42はアンテナ回路部(アンテナコイルとも言う)、43a,43bはチップ端子、45、45a〜46dはスルーホール部、46a、46bはチップ接続用端子、47はチップ搭載用パッド、48はボンディングワイヤ、49は封止樹脂、50はソルダーレジスト、51は(配線用の)基材、52は接着層、60は積層配線基材、70はスペーサである。
【0015】
はじめに、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第1の例を図1に基づいて説明する。
第1の例の非接触型データキャリア装置10は、JIS規格ISO/IEC7810のID−1型に準じるカードサイズのカード型の非接触型データキャリア装置で、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを、複数個、それぞれ、互いに他と干渉しない程度に離した位置に、備えている。
各小型の非接触式データキャリア20は、いずれも、カード面において着脱可能に、取り外し、取り付けができるホルダー部30により嵌め込まれている。
本例のホルダー部30は、その基材10に凹部(図1(c)に示す、空間部35と保持部材30aとを併せた領域に相当する基材の空間部)を設け、該凹部内に該基材10とは別の、小型の非接触式データキャリア20を着脱可能に保持するための保持部材30aを取り付けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものである。
ホルダー部30は、例えば、ラバー等の弾性体で形成され、カード基材部11におさめられているもので、その側面側保持部31と面側保持部32とで小型の非接触式データキャリア20の外周部を保持して固定するものである。
固定は側面側支持部31に挟むことにより行う。
【0016】
第1の例の非接触型データキャリア装置10は、このように、従来のカード型の非接触型データキャリアに搭載されて用いられる非接触式データキャリアに比べて、極めて小さい、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリア20を備えていることにより、カード型の非接触型データキャリア10を重ねて使用しても、例えば、図4に示すように、カードケース(図示していない)等の中に、重ねて用いても、これらに搭載されて用いられる非接触式データキャリア20同士の混信の確率をきわめて低くできる。 また、第1の例においては、各小型の非接触式データキャリア20は、カード面において着脱可能に、取り外し、取り付けができる嵌合用のホルダー部30に嵌め込まれていることにより、該嵌合用のホルダー部30に配設されている小型の非接触式データキャリア20とは別の、小型の非接触式データキャリアを該ホルダー部30に嵌め込むことにより、カードサイズの非接触型のデータキャリア装置に、別の機能を持たせることを可能としている。
着脱する小型の非接触式データキャリア20を適宜選択することにより、その機能の組み合わせを自由に変えることも可能である。
勿論、小型の非接触式データキャリア20を、複数個、備えていることにより、第1の例の非接触型データキャリア装置1枚で所望の複数の異なる機能を持つことが可能となる。
尚、図では省略して明示していないが、小型の非接触式データキャリア20を搭載する際の、位置合わせ用の、位置合わせマーク(印)を設けている。
また、従来のカード型の非接触型データキャリア装置では、該データキャリア上に、非接触式データキャリアを、複数個、搭載した際に、読取装置でひとつだけを限定して読み取ることが困難であるが、本例のように10mm×10mmサイズ以下の小型の非接触式データキャリアを用いる場合には、通信距離を短く限定することができ、読み取り装置でひとつに限定して読み取ることが可能となる。
このような、複数の小型の非接触式データキャリア20を用いることで、従来のカード型の非接触型データキャリア装置と比較した場合、セキュリティ向上が見込まれる。
【0017】
基材部11としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、非晶性ポリエステル(PETG)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートとポリカードネート及び、またはポリアリレートとのポリマーアロイ等の公知のカード基材が用いられるが、これらに限定はされない。
【0018】
小型の非接触式データキャリア20は、図4にその断面を示すように、非接各基材51の表面にアンテナ回路部の一部を形成した基材を積層した積層配線基材60に設けられた、スルーホール45を介して、各層を電気的に接続してアンテナ回路部としたものであり、積層された積層配線基材60の表面部にICチップ41を搭載し、且つ、アンテナ回路部42と電気的に接続したものである。
ここでは、非接触式データキャリア20は全体が剛性を有し、平面上にシート形状を維持できるものである。
アンテナ回路部42は、ここでは、各層の巻回数が9回程度、4層の渦巻き状である。 非接触式データキャリア部11のサイズとしては、例えば、5mm角、厚さ150μm程度のものが挙げられる。
このサイズは、カード型のRFIDタグ(ICカード)として標準的な大きさである54mm×85.6mmに比べるとはるかに小さい。
表面のICチップ41、ボンディングワイヤ48、アンテナ回路部42は、ソルダーレジスト50および封止樹脂49によりカバーされ保護されている。
アンテナ回路部42のアンテナコイルの線幅は約80μm、線間幅が約70μm、線厚は約18μmで、公知の、アディティブ法やセミアデティブ法等により、このような積層構造で形成できる。
ICチップ41は、ROM、RAM、ロジック回路、CPUから主に構成されている。 ICチップ41としては、フィロップス社のI−CODE SLIチップや、インフィニオンテクノロジー社のmy−dチップ等、13.56MHz帯のRFIDタグ用のチップとして市場で入手可能なものを、用途に合わせて適宜用いる。
この非接触式データキャリア部11はISO14443の近接型カードの規格に準じるものである。
本例においては、搭載されるICチップ41の大きさに対して、非接触式データキャリア20の大きさは、それほど大きくはない。
形状は、必ずしも正方形でなくても良いが、多数枚取りの製造を容易とするため、矩形とする。
尚、積層された積層配線基材60を略正方形とすることで、小型化しながらアンテナの内側面積を確保することが容易となり、コイルのインダクタンス値を向上させることができる。
また、積層配線基材60は、例えば、各層を、厚さ0.1mmの絶縁基板を基材51とし、その片面ないし両面に厚さ18μmの銅箔が積層された、片面銅張り基板、両面銅張り基板を用いて、それぞれ、外層用、内層用として、フォトエッチング法を用いて所望の形状のアンテナ回路部42をエッチング形成し、各層を絶縁性接着層を介して、加熱加圧して積層し、更に、スルーホールを形成して、作製する。
ここで、層間の接続にスルーホールを利用しているが、その他、B2 it(導通性バンプで絶縁層を突き破って導通させる)と呼ばれる接続法を使用してもよい。
これにより、全製造工程数を減らすことが可能である。
(特開2004−134424号公報、特開2005−275532号公報、参照)
【0019】
次に、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第2の例を図5に基づいて説明する。
第2の例の非接触型データキャリア装置10aも、第1の例と同様、JIS規格ISO/IEC7810のID−1型に準じるカードサイズのカード型の非接触型データキャリアで、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリア20を、複数個、それぞれ、互いに他と干渉しない程度に離した位置に、備えている。
第2の例は、図1に示す第1の例において、小型の非接触式データキャリア20の保持の仕方を変えたもので、他は第1の例と同じである。
第2の例は、搭載する複数の小型の非接触式データキャリア20の一部を基材11aの表面に接着層24を介して接着固定し、また一部を、基材11aに設けた凹部(空間部とも言う)35aの基材面に接着層24を介して接着固定しているもので、いずれの小型の非接触式データキャリア20も、基材11aに、取り外しができないように接着固定されている。
尚、接着層24としては、アクリル系接着剤等が用いられる。
他の各部については、第1の例と同じでここでは説明を省く。
第2の例の場合、小型の非接触式データキャリア20を取り替えることはできないが、第1の例と同様に、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、同様の効果を得ることができる。
【0020】
次に、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第3の例を図6に基づいて説明する。
第3の例は、図5に示す第2の例において、小型の非接触式データキャリア20の保持の仕方を、接着固定から磁石を介して基材11bに固定する方式に変えたもので、且つ、基材11bの材質を磁石の磁力により吸着する金属材とするもので、他は第2の例と同じである。
尚、図6には明示していないが、小型の非接触式データキャリア20は、磁石25と接着層により接着固定されている。
第3の例の場合も、第2の例と同様、小型の非接触式データキャリア20を取り替えることはできないが、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0021】
次に、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第4の例を図7に基づいて説明する。
第4の例は、図1に示す第1の例において、小型の非接触式データキャリア20を、第1の例のホルダー部30と異なる構造のホルダー部30Aに、代えたもので、他は第1の例と同じである。
該4の例のホルダー部30Aは、基材11cに凹部35cを設け、更に該凹部35cの周辺に沿い、基材11cからなる嵌合用突起36設けて形成されており、図7(a)の矢印の方向に小型の非接触式データキャリア20を移動させ、嵌合用突起36を押し広げながら凹部35cに嵌め込む。
第4の例においては、凹部35cや嵌合用突起36の形状やサイズを適宜工夫することにより、容易に、小型の非接触式データキャリア20を前記凹部35cに嵌め込むだけで取り出しができない形態や、取り出しができる形態とすることができる。
第4の例の場合も、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0022】
次に、本発明の非接触型データキャリアの実施の形態の第5の例を図8に基づいて説明する。
第5の例は、図1に示す第1の例において、小型の非接触式データキャリア20を、第1の例のホルダー部30と異なる構造のホルダー部30Bに、代えたもので、他は第1の例と同じである。
第5の例のホルダー部30Bは、基材11dに凹部35dを設け、更に該凹部35dを覆う、該基材11dとは別の蓋部37を設けて形成されており、凹部35dに小型の非接触式データキャリア20を嵌め込む。
第5の例においては、凹部35dに小型の非接触式データキャリア20を入れ蓋部37により押さえ付けるようにしており、これにより小型の非接触式データキャリア20の領域の表面側を平坦状にしている。
蓋部は凹部の一部に形成された面部11Dに支持され固定されている。
固定方法は特に限定されない。
固定方法により、容易に、小型の非接触式データキャリア20を前記凹部35cに嵌め込むだけで取り出しができない形態や、取り出しができる形態とすることができる。
第5の例の場合も、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0023】
次に、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第6の例を図9に基づいて説明する。
第6の例は、図1に示す第1の例において、小型の非接触式データキャリア20を、第1の例のホルダー部30と異なる構造のホルダー部30Cに、代えたもので、他は第1の例と同じである。
該6の例のホルダー部30Cは、基材11eに凹部35eを設け、更に該凹部35eを覆う、該基材11eからなる蓋部38を設けて形成されており、凹部35eに小型の非接触式データキャリア20を嵌め込む。
ここでは、蓋部38の嵌合凸部となる嵌合部38aが、基材11eに設けられた嵌合凹部となる嵌合部38bに嵌合するように形成されている。
嵌合部38aと嵌合部38bにより蓋部38を開閉することができ、容易に、小型の非接触式データキャリア20を取り付け、取り外しができる。
第6の例の場合も、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0024】
次に、本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第7の例を図10に基づいて説明する。
第7の例は、図1に示す第1の例において、小型の非接触式データキャリア20を、第1の例のホルダー部30と異なる構造のホルダー部30Dに、代えたもので、他は第1の例と同じである。
該7の例のホルダー部30Dは、基材11fに凹部35fを設け、更に該凹部35fを覆う、該基材11fとは別の蓋部39を設けて形成されており、凹部35fに小型の非接触式データキャリア20を嵌め込む。
ここでは、蓋部39は、基材の面部11Eと蓋押さえ部39bとのすき間をスライドして開閉するように形成されている。
蓋部39を開閉することができ、容易に、小型の非接触式データキャリア20を取り付け、取り外しができる。
第7の例の場合も、非接触型データキャリア装置を重ね合わせて用いる場合、第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0025】
本発明は、上記実施の形態の第1の例〜第7の例に限定されるものではない。
上記各実施の形態例の異なる小型の非接触式データキャリアの保持方法を組み合わせて用いた形態のものも挙げられる。
例えば、複数の非接触式データキャリア20の一部を基材に接着固定し、他をホルダーによる固定としても良く、複数の非接触式データキャリア20の一部を取り外し可能にホルダーによる固定とし、他を取り外しできないようにホルダーにて固定しても良い。 また、小型の非接触式データキャリア20を搭載する際の、位置合わせ用のマーク(図示していない)を、位置合わせ用の突起あるいは凹部に代えた形態も挙げられる。
また、小型の非接触式データキャリア20も、本例のものに限定はされない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第1の例の1平面図で、図1(b)は図1(a)に示す非接触型データキャリア装置の1断面図で、図1(c)は図1(b)のA0部の拡大図である。
【図2】非接触式データキャリアの一面からICチップとその接続状態を透視して示した図である。
【図3】図2のA1−A2における断面を簡略して示した図である。
【図4】複数のカード型の非接触型データキャリア装置を重ねた状態を示した図である。
【図5】本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第2の例の1部断面図である。
【図6】本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第3の例の1部断面図である。
【図7】図7(b)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第4の例の1部断面図で、図7(a)は図7(b)において非接触式データキャリアを取り外した図である。
【図8】本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第5の例の1部断面図である。
【図9】本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第6の例の1部断面図である。
【図10】図10(a)は本発明の非接触型データキャリア装置の実施の形態の第7の例の1部断面図で、図10(b)はその上面図である。
【符号の説明】
【0027】
10、10A〜10C、10a〜10f カード型の非接触型データキャリア装置
11、11a〜11f 基材部、
11D、11E 面部
20 非接触式データキャリア
21 半導体チップ
22 配線基板部
23 封止樹脂
24 接着層
25 磁石
30 ホルダー部
30a 保持部材(嵌合用冶具とも言う)
30A〜30D ホルダー部
31 側面側保持部
32 面側保持部
35 空間部
35a〜35f 空間部(凹部とも言う)
36 嵌合用突起
37〜39 蓋部
38a 嵌合部(嵌合凸部とも言う)
38b 嵌合部(嵌合凹部とも言う)
39b 蓋押さえ部
41 ICチップ
42 アンテナ回路部(アンテナコイルとも言う)
43a,43b チップ端子
45、45a〜46d スルーホール部
46a、46b チップ接続用端子
47 チップ搭載用パッド
48 ボンディングワイヤ
49 封止樹脂
50 ソルダーレジスト
51 (配線用の)基材
52 接着層
60 積層配線基材
70 スペーサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型のデータキャリア装置であって、10mm×10mm角以下の小型の非接触式データキャリアを1つ、あるいは複数個、互いに他と干渉しない程度に離した位置に備えていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触型データキャリア装置であって、カードサイズであることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、その面側の着脱可能で、取り外し、取り付けができるホルダー部に嵌め込まれていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該基材あるいは該基材とは別の凹部を覆う蓋部を設けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものであることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項5】
請求項3に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記ホルダー部は、その基材に凹部を設け、該凹部内に該基材とは別の小型の非接触式データキャリアを着脱可能に保持するための保持部材を取り付けて、該凹部内に小型の非接触式データキャリアを収納するものであることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つを、その基材に、取り外しができないように固定して備えていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項7】
請求項6に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記基材に固定されている小型の非接触式データキャリアは、接着層により基材に接着固定されていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアの少なくとも1つは、磁石を介して基材に固定されていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリア領域の表面側を平坦状にするための、表面平坦用部材を設けていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項10】
請求項9に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記表面平坦用部材は、開閉蓋として機能するものであることを特徴とする非接触型データキャリア装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の非接触型データキャリア装置であって、前記小型の非接触式データキャリアを搭載する際の、位置合わせ用の、マーク(印)、突起、凹部等の、位置合わせ補助部が配設されていることを特徴とする非接触型データキャリア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−193698(P2007−193698A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13037(P2006−13037)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】