説明

非接触ICラベルとアンテナ内蔵被接着体

【課題】被接着体の表面に貼り付ける非接触ICラベル1のサイズが小さくでき、かつ必要な通信距離を確保できる非接触ICラベルとアンテナ内蔵被接着体10を提供する
【解決手段】ラベル基材2上に、機能層と7、パターン化された第一の導電層3と該導電層上に位置するマスク層8と、隠蔽層5と、前記第一の導電層3と静電容量的に結合するパターン化された第二の導電層4と、前記第二の導電層に跨って電気的に接続するICチップ6と、接着層9と、がこの順に積層されたラベルが、第一の基材2上に、パターン化された導電層11と、接着層14と、第二の基材13と、がこの順に積層された被接着体に貼り付けられ、前記ラベルの前記第一の導電層または前記第二の導電層と、前記被接着体の導電層とが一部で厚さ方向に重ねられ、静電容量的に結合することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な視覚効果を呈する光学変化デバイスを備え、外部のデータ読取装置との間で、非接触でデータの送受信をすることができる非接触ICラベルとアンテナ内蔵被接着体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店やレンタル店等における商品管理に、ICチップとアンテナとを備えた非接触ICラベルが使用されている。これは、管理すべき商品に非接触ICラベルを取り付け、専用のデータ読み書き装置でICチップに格納されたデータを読み書きし、商品の出入庫管理、在庫管理、貸し出し管理等を行うものである。ICチップを備えている為、商品コードだけでなく、入荷日、担当者等の豊富な情報を商品と一体で記録管理することができる。
【0003】
非接触型ICラベルには、短距離通信用、長距離通信用があるが、物品管理等においては、静電結合や電磁誘導を用いた短距離通信用の非接触型ICラベルに比べ、通信距離が1〜2mと長いマイクロ波を用いた非接触ICラベルが有利である。
【0004】
また、非接触ICラベルが普及するにつれ、非接触ICラベルに光学変化デバイス(optical variable device:以下、「OVD」と称する。)を組み合わせることにより偽造防止機能を付与することが行われている。OVDとは、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現できるホログラムや回折格子、光学特性の異なる薄膜を重ねることにより見る角度により色の変化を生じる多層薄膜の総称である。これらOVDは立体画像や色の変化といった独特な印象を与えるため、優れた装飾効果を有しており、各種包装材や絵本、カタログ等の一般的な印刷物に利用されている。非接触ICラベルに対しては、OVDは高度な製造技術を要することから偽造防止手段として使用され、クレジットカード、有価証券、証明書類等にも利用されている。
【0005】
上述の非接触ICラベルのデータ読み書き機能とOVDの偽造防止機能や装飾効果を組み合わせることによって、より高レベルの偽造防止効果を実現したり、偽造防止効果又は装飾効果と商品管理機能を併せ持つラベルを構成したりすることができる等の利点がある。一例として、ホログラム加工を施した金属薄膜の一部をエッチング、レーザ照射などにより除去し残った導電性金属部分をアンテナパターンとした非接触型データ送受信体が提案されている。(例えば、下記特許文献1参照)
また、ホログラム加工を施したパターン状金属薄膜と、この金属薄膜上に絶縁層を介してICチップとICチップに接続されたアンテナ層(接続層)を設け、アンテナ層(接続層)と金属薄膜を容量結合で電気的に接続することでアンテナ層と金属薄膜が共同して一つのアンテナとして機能し良好な通信が可能となるRFID情報媒体が提案されている。(例えば、下記特許文献2参照)
本発明の非接触ICラベルが貼られる被接着体には主なものとして、セキュリティ関係であれば有価証券、カード、証明書、保証書、パスポート等であり、ブランドプロテクション関係であればタバコ、薬、化粧品等の箱がある。
【0006】
非接触ICラベルは、ホログラムの金属反射膜(蒸着膜)をディメタライズ処理(金属等の光反射性膜を部分的に取り除く処理)してアンテナ素子としている。非接触ICラベルの性質上無線機器の様に機能を追求したアンテナが取り付けられることはなく、さらにICチップを搭載しているラベルだからといってアンテナの放射効率上げるためにアンテナ素子を大きくしてラベルのサイズを大きくすることは被接着体のサイズおよび被接着体
の貼り付け面のデザイン等の制約によってできない。さらにラベルのサイズは小さいサイズが好まれる傾向にあり、このような状況であっても通信距離は確保したいという、相反した問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−42088号公報
【特許文献2】WO2008/038672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被接着体の表面に貼り付ける非接触ICラベルのサイズが小さくでき、かつ必要な通信距離を確保できる非接触ICラベルとアンテナ内蔵被接着体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するための請求項1に係る発明は、ラベル基材上に、機能層と、パターン化された第一の導電層と該導電層上に位置するマスク層と、隠蔽層と、前記第一の導電層と静電容量的に結合するパターン化された第二の導電層と、前記第二の導電層に跨って電気的に接続するICチップと、接着層と、がこの順に積層されたラベルが、第一の基材上に、パターン化された導電層と、接着層と、第二の基材と、がこの順に積層された被接着体に貼り付けられ、前記ラベルの前記第一の導電層または前記第二の導電層と、前記被接着体の導電層とが一部で厚さ方向に重ねられ、静電容量的に結合することを特徴とする非接触ICラベルとしたものである。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、前記被接着体が、セキュリティ文書であることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICラベルとしたものである。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、前記第二の導電層は、導電性ペーストインキであることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICラベルとしたものである。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、第一の基材上に、パターン化された導電層と、接着層と、第二の基材と、がこの順に積層された被接着体が、ラベル基材上に、機能層と、パターン化された第一の導電層と該導電層上に位置するマスク層と、隠蔽層と、前記第一の導電層と静電容量的に結合するパターン化された第二の導電層と、前記第二の導電層に跨って電気的に接続するICチップと、接着層と、がこの順に積層されたラベルに貼り付けられ、
前記ラベルの前記第一の導電層または前記第二の導電層と、前記被接着体の導電層とが一部で厚さ方向に重ねられ、静電容量的に結合することを特徴とするアンテナ内蔵被接着体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明になる非接触ICラベルとアンテナ内蔵被接着体は、非接触ICラベルのサイズが小さくても、被接着体中に内臓させた導電層が静電容量的に結合しアンテナ機能を補完し、必要な通信距離を確保できる。すなわちアンテナ素子でもある第一の導電層であるホログラムの金属反射膜(蒸着膜)と被接着体の内層に設けられた導電体のアンテナ素子とが静電容量的に結合、協調して一つのアンテナとすることで、被接着体に貼り付けられるラベルのサイズが小さくでき、かつ被接着体の内層にあるアンテナ素子の効果により必要な通信距離が確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一例の非接触ICラベルが被接着体に貼られた状態にある上面透視図である。
【図2】図1の非接触ICラベルのA−A線における断面視の図として表現したものである。
【図3】図1の非接触ICラベルが被接着体の表面に貼られた状態にある表面視図である。
【図4】一般的な非接触ICラベルの一例のアンテナ部を模式的に示した図である。
【図5】図4のアンテナを分割した状態の図である。
【図6】図5で分割したアンテナを中央部で重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例である分割非接触ICラベルについて、図1から図6を参照して説明する。
【0016】
図1は、本例の非接触ICラベル1が被着体10に貼り付けられた状態にある上面透視図である。図2は図1のA−A線における断面図である。
【0017】
ラベル基材2は、OVDとして機能する機能層7と第一の導電層3が視認できるような透明の樹脂等からなる。具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂(ABS)等の樹脂等からなる透明なシート状の材料である好適に採用することができる。なお、ラベル基材2は、下方のOVDとして機能する機能層7と第一の導電層3が視認できれば、必ずしも無色でなくてもよく、透明性を有する有色の材料で形成されてもよい。
【0018】
ラベル基材2の第一の導電層3に対向する面には、OVDとして機能する機能層7が形成されている。OVDとして機能する機能層7は、立体画像が表現されたり、見る角度によって色が変化するレリーフ型や体積型のホログラム、複数種類の回折格子が画素として配置された回折格子画像、カラーシフトを生じるセラミクスや金属材料の薄膜積層体等が、適宜選択されて公知の方法により形成されている。これらの中では、量産性やコストを考慮すると、レリーフ型ホログラム(回折格子)や多層薄膜方式のものが好ましい。
【0019】
第一の導電層3は、アルミ等の金属をOVDとして機能する機能層7上に蒸着することによって蒸着膜として形成されている。第一の導電層3は、ポリアミドイミド等からなる所望のパターン形状のマスク層(絶縁層)8で被覆し、デメタライズ処理を施すことによって、所望のパターン形状に形成されている。又マスク層8で被覆されていない部分のアルミ等の金属をエッチング等の処理により除去され、反射機能も除去されている。
【0020】
第一の導電層3は、印刷アンテナ4を介してICチップ6と静電容量的に接続されて、ICチップ6のアンテナとして非接触通信を可能にするとともに、反射層として機能するため、OVDとして機能する機能層7が発揮する視覚効果を高める。特に、OVDとして機能する機能層7がレリーフホログラムや回折格子等の場合は、これらの回折効果が高められ、より鮮明にホログラム画像、回折格子画像が認識できるようになる効果がある。
【0021】
マスク層8の下面及びラベル基材2の下面には非接触ICラベル1を上面から見たとき(平面視)に第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6を可視光下で視認不能にするための隠蔽層5が設けられている。
【0022】
隠蔽層5は、後述するように第一の導電層3と印刷アンテナ4が静電容量結合可能となるように、非導電性材料で形成されている。本実施形態においては、樹脂成分からな絶縁
性インキを印刷することによって隠蔽層5が形成されている。
【0023】
隠蔽層5は、第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6が平面視において見えなくなるようなものを用いる。例えば、所定の波長の可視光線を反射して特定の色彩を呈するものでも良いし、すべての波長の可視光線を吸収するような黒色のものでもよい。さらに、すべての波長の可視光線を反射するものでもよい。
また、隠蔽層5は少なくとも第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6を覆うように形成してもよいが、全面に形成してもよい。全面に形成することにより、基材側から見たときに、導電性を設けていない部分全域が隠蔽層5で隠蔽でき、よりICチップの位置が見えなくなる事が好ましい。
【0024】
すべての波長の可視光線を反射するものは外観が酸化チタン系顔料を用いれば白色となり、金属粉を顔料に用いれば金属光沢が得られ、金属顔料を用いたインキを用いると鏡面状となり、可視光下においては第一の導電層3と区別できなくなる。ただし隠蔽層は絶縁層であり金属粉や金属顔料により導電性とはならない様にする。第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6の上面を第一の導電層3で完全に覆ってしまうと、ICチップ6の非接触通信ができなくなるが、鏡面状の隠蔽層を用いることで、視覚的には第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6の上面を導電層3で完全に覆っているように見えるが、第二の導電層である印刷アンテナ4及びICチップ6の上面は非導電性の隠蔽層しか存在しないため、通信は可能となる。
【0025】
第二の導電層である印刷アンテナ4は、銀ペーストインキ等の導電性ペーストを用いて隠蔽層5の下面に公知の方法で印刷されることによって、例えば図1に示すようなパターン形状に形成されている。
【0026】
ICチップ6は、シリコンの単結晶等からなり、図示しないバンプが異方導電性接着剤等を用いて加熱加圧接着し第二の導電層である印刷アンテナ4に電気的に接続され実装されている。第一の導電層3と印刷アンテナ4とは、両者の間に介在する絶縁性のマスク層8と非導電性インキの隠蔽層5を誘電体として、図2の波線で示した破線楕円Bの範囲における静電容量結合により電気的に接続されており、ICチップ6が、外部の読取装置と電波方式の非接触データ通信が可能となっている。ICチップ6と外部の読取装置との交信に使用する周波数は、マイクロ波帯(2.45ギガヘルツ)及びUHF波帯(840〜960メガヘルツ)となっている。
【0027】
ICチップ6として、1個1個異なる識別情報(ユニークID、以下、「UID」と称する。)が付されたものが用いられてもよい。UIDは、例えば、数字、英文字、記号等またはこれらの組み合わせからできており、それぞれのICチップのメモリに、対応するUIDが記憶されている。このようなICチップを用いると、UIDを読み取り利用することによって、そのICチップ(又はそのICチップが付いたICラベル)のトレーサビリティを確保することができる。
【0028】
ICチップ6と第二の導電層である印刷アンテナ4を含む隠蔽層5の下方全体には、接着層9が設けられており、その接着力によって被着体10の表面に接着されている。
【0029】
上記のように構成された非接触ICラベル1は、ラベル基材2の一方の面に機能層7を形成し、機能層7上に金属蒸着膜を形成してマスク層8を用いて第一の導電層3を所望の形状に形成し、さらに隠蔽層5及び印刷アンテナ4を順番に印刷によって設け、ICチップ6を印刷アンテナ4に実装し、最後に接着層9を設けることによって製造することができる。隠蔽層5及び第二の導電層である印刷アンテナ4については、例えば、多色スクリーン印刷機で最初に隠蔽層5を印刷し、続いて第二の導電層である印刷アンテナ4を印刷し、その印刷直後に乾燥工程を入れることで効率的に形成できる。
【0030】
被接着体10の第一の基材12および第二の基材13は、紙類の他、樹脂等の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂(ABS)等のシート状の材料である。補助アンテナ11は、図1に示すようなアンテナ形状にパターン化された導電体で、アルミ、銅、ニッケルなどの導電性を持った金属薄膜であり、図2に示すように接着層14の接着力により第一の基材12、第二の基材13に間に挟み込まれている。なお図には示さないが第一の基材12と補助アンテナ11の間には接着層14または他の接着層があってもよい。
【0031】
ICラベル1の第一の導電層3と被接着体10の補助アンテナ11とは、図2の破線楕円Cの部分で隠蔽層5、接着層9および第一の基材12を介して容量結合され、第一の導電層3と補助アンテナ11が電気的に接続され一つのアンテナとなる。
【0032】
被接着体10の第一の基材12は、0.1〜2mm程度の厚さが対象であり、この厚さの制限は、破線楕円Cにおける容量結合による結合損失からきており、第一の導電層3と補助アンテナ11の対向する面の面積と第一の基材12の誘電率によるが、本発明のセキュリティ、ブランドプロテクション用途のICラベルというラベルの性質上のサイズからみると第一の基材12の厚さが2mm以上では結合損失が大きいためである。
【0033】
図3に被接着体10の表面にICラベル1が貼られた状態を示す。隠蔽層5と反射層である第一の導電層3の上に位置する機能層7のホログラムが見えており、従来のホログラムラベルに近い外観となっている。
【0034】
次に実施例に示すアンテナの特徴と性能について説明する。
図4は非接触ICラベルの内のアンテナ部を抽出した図である。第一の導電層3と第二の導電層である印刷アンテナ4は共にアンテナとして機能する。第二の導電層である印刷アンテナ4にはICチップ6が実装されており、またアンテナ側のインピーダンスとICチップ側の内部インピーダンスとを整合するインピーダンス整合回路がICチップ6付近にスリットパターンとして形成されている。第二の導電層である印刷アンテナ4は、さらに図に示すようなコの字形状のアンテナであり、また第一の導電層3との静電結合用の接続パッド15を備えている。
【0035】
図4に示すアンテナは、一般的な半波長ダイポールアンテナを変形させた変形ダイポールアンテナである。従来のホログラムラベルと同様に、ホログラムの特徴である立体画像、特殊な装飾画像、色変化などの光学効果を最大限に得るためには、欠け、切れ目等のない面で、かつある程度の面積を有する表現面が必要であり、この表現面を得るためにデザインされたアンテナが図4に示す変形ダイポールアンテナである。
【0036】
図4に示す変形ダイポールアンテナの性能であるが、標準半波長ダイポールアンテナのアンテナ利得が2.14dBiであるのに対して、本発明のアンテナは2.45GHz仕様でラベルの長さ:42mm、幅:12mmのサイズでアンテナ利得は約1.5dBiであった。第二の導電層である印刷アンテナ4のアンテナ部分が双方に折り返されていることから全体の放射効率が低下し、アンテナ利得が下がったものと考えられる。
【0037】
ただし、本ICラベルは物流等で使われるRFIDタグのような長距離での読み取り通信距離性能は必要ではなく、ハンディリーダーで近接して読み取りできる通信距離があればよいので、前述のアンテナ利得約1.5dBiという性能であっても問題はないと考える。
【0038】
次に実施例に示すアンテナについて、アンテナ分割とアンテナ結合という側面でその原理を説明する。第一の導電層3の中央部の破線Dはアンテナ分割するカット箇所であり、図5に第一の導電層3がカットされた状態を示す。本発明では、切り離された右側のアンテナのF部は、第一の導電層3と同形状の導電体(金属薄膜)で形成された補助アンテナ11に置き換わり、F部に示す「矢印」の長さ分アンテナを延伸させ、E部と前述のF部を延伸させた分を図6の破線楕円Gに示すように重ね合わせる。本発明では被接着体10の基材12を介して重ね合わされ、破線楕円Gの部分で前述の通りに静電容量結合させることでE部とF部が電気的に接続され、その結果アンテナを分割しても図4に示す分割前のアンテナと同等のアンテナ性能を得ることができる。ただし、この場合静電容量結合において結合損失がないことが前提である。
【0039】
第一の導電層3の破線Dのカット箇所は、損失なく静電容量結合ができ、かつ破線楕円Gの部分がICチップ6およびインピーダンス整合回路に影響しない範囲であればどの位置でもよく、例えばE部のサイズを極力小さくすることもできる。
【0040】
本説明では、第一の導電層3をカットして被接着体に内装される第一の導電層3と同形状の補助アンテナ11を延伸させ、被接着体の基材を介して重ね合わせた例としたが、損失なく静電容量結合ができれば、第一の導電層3のE部、補助アンテナ11のF部のアンテナ形状および静電容量結合面である破線楕円Gの形状はどのような形状であってもかまわない。
【0041】
本説明では、第一の導電層3を分割、結合としたが、第二の導電層である印刷アンテナ4においても同様の分割、結合が可能である。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、非接触ICラベルの内容や目的に応じて適宜その構成や材料等において最適化することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 非接触ICラベル、
2 ラベル基材
3 導電層(反射膜)(パターン化された第一の導電層)
4 印刷アンテナ(パターン化された第二の導電層)
5 隠蔽層
6 ICチップ
7 OVDとして機能する機能層
8 マスク層(絶縁層)
9 接着層
10 被着体 (被接着体)
11 補助アンテナ(導電層)
12 第一の基材
13 第二の基材
14 接着層
15 接続パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材上に、機能層と、パターン化された第一の導電層と該導電層上に位置するマスク層と、隠蔽層と、前記第一の導電層と静電容量的に結合するパターン化された第二の導電層と、前記第二の導電層に跨って電気的に接続するICチップと、接着層と、がこの順に積層されたラベルが、
第一の基材上に、パターン化された導電層と、接着層と、第二の基材と、がこの順に積層された被接着体に貼り付けられ、
前記ラベルの前記第一の導電層または前記第二の導電層と、前記被接着体の導電層とが一部で厚さ方向に重ねられ、静電容量的に結合することを特徴とする非接触ICラベル。
【請求項2】
前記被接着体は、セキュリティ文書であることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICラベル。
【請求項3】
前記第二の導電層は、導電性ペーストインキであることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICラベル。
【請求項4】
第一の基材上に、パターン化された導電層と、接着層と、第二の基材と、がこの順に積層された被接着体が、
ラベル基材上に、機能層と、パターン化された第一の導電層と該導電層上に位置するマスク層と、隠蔽層と、前記第一の導電層と静電容量的に結合するパターン化された第二の導電層と、前記第二の導電層に跨って電気的に接続するICチップと、接着層と、がこの順に積層されたラベルに貼り付けられ、
前記ラベルの前記第一の導電層または前記第二の導電層と、前記被接着体の導電層とが一部で厚さ方向に重ねられ、静電容量的に結合することを特徴とするアンテナ内蔵被接着体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−100181(P2011−100181A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252673(P2009−252673)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】