説明

非水二次電池などの集電積層体の導電性保護層形成用ペースト

【課題】導電性保護層と集電体との接着性が改善された導電性保護層形成用ペースト、該導電性保護層を有する集電積層体、電極、およびリチウム二次電池や電気二重層キャパシタなどの非水二次電池を提供する。
【解決手段】集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂分散体と導電性フィラーを含む集電体保護用の導電性保護層形成用ペースト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池などの非水二次電池や電気二重層キャパシタなどの集電積層体の導電性保護層形成用ペースト、集電積層体および電極積層体、さらにはリチウム二次電池および電気二重層キャパシタなどの非水二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池には、アルミニウム箔などの正極集電体上にリチウム含有複合酸化物などの正極活物質を含む正極合剤層が設けられている正極と、アルミニウム箔などの負極集電体上に炭素質材料などの負極活物質を含む負極合剤層が設けられている負極と、リチウム塩などの電解質塩と有機溶媒とを含む非水電解液とが備えられている。
【0003】
このような構成のリチウム二次電池において、電解液中に含まれるリチウム塩などの電解質の作用により、集電体が陽極酸化されて腐食し、サイクル特性や電池容量が低下してしまうという問題がある。
【0004】
こうした集電体の腐食を防止または抑制するために、特許文献1では、複素環式化合物を含む表面保護層を集電体上に形成することが提案されている。また、特許文献2では、集電体上に、電解質塩であるリチウムイミド塩による正極集電体(アルミニウム箔)の腐食を防止するために、貴金属、合金、導電性セラミックス、半導体、有機半導体および導電性ポリマーから選ばれる少なくとも1種の材料を含む保護層を形成することが提案されており、導電性ポリマーとしてはポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ポリジスルフィド、ポリパラフェニレンが例示されている。導電性ポリマーを用いた保護層の形成法の1つとして、溶媒に導電性ポリマーと結合剤とドーパン(芳香性スルホン酸エステル)とを溶解した混合溶液をキャスティングまたは塗布し、加熱乾燥する方法が例示されている。
【0005】
また、特許文献3には、カーボンブラックを含むスラリーを集電体にスプレー塗装して導電性接着膜を形成することが記載されている(段落[0039])。
【0006】
特許文献4には、導電性塗料層を結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いて集電体上に形成し、さらにその上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を結着剤として含む正極合剤を塗布して形成した正極合剤層を特定比率の厚さで含む正極集電体が、高率放電特性、充放電サイクル特性に優れ、製造工程が簡単で電池容量の大きい非水二次電池を与えると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−162833号公報
【特許文献2】特開2002−203562号公報
【特許文献3】特開2008−117574号公報
【特許文献4】特開2001−351612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の導電性ペーストを塗布して形成した導電性保護層は、集電体との接着性が充分ではなく、場合によっては電極が集電体から剥離してしまうことがある。
【0009】
特に、小型で高電気容量のリチウム二次電池として用いられている電極を巻いた方式(捲回型またはスパイラル型)では、特に高い柔軟性が電極に求められており、電極の剥離は致命的なものになる。
【0010】
本発明は、導電性保護層と集電体との接着性が改善された導電性保護層形成用ペースト、該導電性保護層を有する集電積層体、電極、およびリチウム二次電池や電気二重層キャパシタなどの非水二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂分散体(a)と導電性フィラー(b)を含む集電体保護用の導電性保護層形成用ペーストに関する。
【0012】
フッ素樹脂分散体(a)のフッ素樹脂としては、含フッ素パーハロオレフィンに由来する構造単位(a1)、ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)および/またはビニルエステルに由来する構造単位(a3)を含む含フッ素共重合体が好ましい。
【0013】
また、フッ素樹脂分散体(a)のフッ素樹脂は、ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)およびビニルエステルに由来する構造単位(a3)以外の集電体と親和性または反応性を有する官能基を有する単量体に由来する構造単位(a4)を含んでいてもよい。
【0014】
また、導電性フィラー(b)は、粒子状フィラー、繊維状フィラー、またはこれらの組合せであってもよい。好ましくは、導電性カーボンフィラーがあげられる。
【0015】
導電性フィラー(b)は、フッ素樹脂分散体(a)中のフッ素樹脂粒子100質量部に対して5〜300質量部含まれていることが好ましい。
【0016】
フッ素樹脂分散体(a)は、水性分散体であってもよいし、オルガノゾルであってもよい。
【0017】
本発明はまた、本発明の導電性保護層形成用ペーストを塗布して得られる導電性保護層(A)が集電体(B)上に設けられてなる集電積層体にも関する。
【0018】
導電性保護層(A)の体積抵抗率は、0.001〜50Ω・cmであることが好ましい。
【0019】
本発明はまた、本発明の集電積層体の導電性保護層(A)上に、電極合剤層(C)が設けられてなる電極積層体にも関する。
【0020】
さらに本発明は、正極、負極および非水電解液を備え、正極および負極の少なくとも一方が本発明の電極積層体である非水二次電池、特にリチウム二次電池、または電気二重層キャパシタにも関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、導電性保護層と集電体との接着性が改善された導電性保護層形成用ペースト、該導電性保護層を有する集電積層体、電極、およびリチウム二次電池や電気二重層キャパシタなどの非水二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の導電性保護層形成用ペーストは、集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂分散体(a)と導電性フィラー(b)を含む。
【0023】
以下、各成分について説明する。
【0024】
(a)集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂分散体
本発明において、フッ素樹脂分散体(a)のフッ素樹脂としては、集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂であればよく、なかでも、含フッ素パーハロオレフィンに由来する構造単位(a1)、ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)および/またはビニルエステルに由来する構造単位(a3)、更に要すれば構造単位(2a)および(a3)とは異なる集電体と親和性または反応性を有する官能基を有する単量体に由来する構造単位(a4)を含む含フッ素共重合体が好ましい。
【0025】
含フッ素パーフロオレフィンに由来する構造単位(a1)は、耐酸化性を高くする働きを有しており、具体的には、フッ素含有率の高いテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する構造単位が好ましく例示できる。
【0026】
含フッ素共重合体における構造単位(a1)の含有割合は、多くなると耐アルカリ性に強くなる傾向にあり、また、少なくなると耐アルカリ性に弱くなる傾向にある。この観点から、構造単位(a1)の含有割合は、25〜50モル%、さらには30〜50モル%、特に40〜50モル%が好ましい。
【0027】
ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)および/またはビニルエステルに由来する構造単位(a3)は集電体と親和性または反応性を有する官能基を有する構造単位であり、集電体との接着性を向上させる働きを有している。
【0028】
ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)はそのエーテル構造を構成する酸素原子が集電体と親和性または反応性を有し、集電体の金属と結合することにより、接着性を向上させている。また、ビニルエステルに由来する構造単位(a3)はそのエステル構造を構成する酸素原子が集電体と親和性または反応性を有し、集電体の金属と結合することにより、接着性を向上させている。
【0029】
構造単位(a2)を与えるビニルエーテルとしては、具体的には、たとえばエチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの非フッ素系ビニルエーテル;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などのフッ素系ビニルエーテルなどの1種または2種以上が例示できる。
【0030】
なかでも、集電体の金属との反応性や親和性が良好な点から、非フッ素系ビニルエーテルまたは水酸基含有非フッ素系ビニルエーテルが好ましく、特にヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどの水酸基含有非フッ素系ビニルエーテルがより強固に金属と結合しやすい点から好ましい。
【0031】
含フッ素共重合体における構造単位(a2)の含有割合は、多くなると含フッ素共重合体と集電体との接触面積が大きくなって含フッ素共重合体が金属自体を覆ってしまう傾向にあり、また、少なくなると含フッ素共重合体と集電体との接触面積が小さくなる傾向にある。この観点から、構造単位(a2)の含有割合は、10〜30モル%、さらには15〜30モル%、特に15〜27モル%が好ましい。
【0032】
構造単位(a3)を与えるビニルエステルとしては、具体的には、たとえば、安息香酸ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどの1種または2種以上が例示できる。
【0033】
なかでも、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルが可とう性が良好な点から好ましい。
【0034】
含フッ素共重合体における構造単位(a3)の含有割合は、多くなると溶媒溶解性が高くなり電池を作製した際に電解液に溶けてしまう傾向にあり、また、少なくなると溶媒溶解性が悪くなる傾向にある。この観点から、構造単位(a3)の含有割合は、20〜55モル%、さらには20〜50モル%、特に20〜48モル%が好ましい。
【0035】
含フッ素共重合体における構造単位(a2)と(a3)の合計の含有割合は、45〜70モル%、さらには50〜70モル%、特に55〜70モル%が好ましい。
【0036】
集電体と親和性または反応性を有する官能基を有する構造単位(a4)は、構造単位(a2)および(a3)以外の構造単位である。構造単位(a4)が有する集電体と親和性または反応性を有する官能基としては、たとえばカルボキシル基およびそのアルキルエステル誘導体基、水酸基、エポキシ基、ケイ素含有基、スルホン酸基、リン酸基などがあげられる。特に集電体を構成する金属との親和性または反応性に優れるカルボキシル基およびそのアルキルエステル誘導体基、水酸基、シリル基などのケイ素含有基が好ましい。
【0037】
構造単位(a4)を与える単量体としては、たとえばアクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸などの一塩基性不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル;マレイン酸、フマル酸などの二塩基性不飽和カルボン酸およびそのモノアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの水酸基含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリイソプロペニルオキシシラン、ビニルメチルジイソプロペニルオキシシラン、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルプロピルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルブチルビニルエーテル、ビニルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルイミノオキシ)シラン、ビニルメチルビス(ジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルジメチル(ジメチルイミノオキシ)シラン、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、メチルビス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルブチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、アリルトリメトキシシランなどのシリル基含有ビニル単量体;ブテンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ジハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基含有単量体などの1種または2種以上があげられる。
【0038】
なかでも、集電体を構成する金属表面の水酸基との水素結合力が良好な点から、一塩基性不飽和カルボン酸または二塩基性不飽和カルボン酸およびそのモノアルキルエステルが好ましく、特にアクリル酸やクロトン酸、ビニル酢酸などの一塩基性不飽和カルボン酸が好ましい。
【0039】
構造単位(a4)を含む場合、耐酸化性が悪くなることもある。この観点から、含フッ素共重合体における構造単位(a4)の含有割合は、0〜2モル%、さらには0〜1モル%、特に0.5〜1.0モル%が好ましい。
【0040】
好ましい具体的な含フッ素共重合体としては、たとえばテトラフルオロエチレン/ヒドロキシエチルビニルエーテル/バーサティック酸ビニル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/バーサティック酸ビニル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/バーサティック酸ビニル共重合体などの構造単位(a1)と(a2)と(a3)とからなるTFE系共重合体;
クロロトリフルオロエチレン/ヒドロキシエチルビニルエーテル/バーサティック酸ビニル共重合体などの構造単位(a1)と(a2)と(a3)とからなるCTFE系共重合体;
テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/マレイン酸共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/マレイン酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/マレイン酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/フマル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/フマル酸モノエチル共重合体などの構造単位(a1)と(a2)と(a4)とからなるTFE系共重合体;
テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/マレイン酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/マレイン酸共重合体、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/マレイン酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/マレイン酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/マレイン酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/マレイン酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/マレイン酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/マレイン酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/フマル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/フマル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/フマル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/フマル酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/フマル酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/フマル酸モノエチル共重合体、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/フマル酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/フマル酸モノオレイル共重合体、テトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/フマル酸モノオレイル共重合体などの構造単位(a1)と(a3)と(a4)とからなるTFE系共重合体;
テトラフルオロエチレン/ヒドロキシエチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/バーサティック酸ビニル/クロトン酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/バーサティック酸ビニル/アクリル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/バーサティック酸ビニル/アクリル酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/バーサティック酸ビニル/ビニル酢酸共重合体、テトラフルオロエチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/バーサティック酸ビニル/ビニル酢酸共重合体などの構造単位(a1)と(a2)と(a3)と(a4)とからなるTFE系共重合体
の1種または2種以上があげられる。
【0041】
本発明で用いる含フッ素共重合体の数平均分子量(Mn)は、5000〜20000、好ましくは10000〜20000である。数平均分子量が大きくなると溶媒溶解性が低下する傾向にあり、小さくなると耐候性に問題が生じる傾向にある。
【0042】
またガラス転移温度(Tg)は、10〜60℃、さらには電極作製の際の作業性が良好な点から20〜40℃であることが好ましい。
【0043】
集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂としては、上記の含フッ素共重合体のほか、たとえばカルボキシル基含有PVDFやシリル基含有PVDFなどの1種または2種以上も使用できる。これらの含フッ素重合体は上記含フッ素共重合体と併用してもよい。
【0044】
フッ素樹脂分散体(a)としては、水性分散体であってもオルガノゾルであってもよい。
【0045】
水性分散体としては、乳化重合で得られたフッ素樹脂分散体(ディスパージョン)が好ましい。水性分散体中のフッ素樹脂粒子は一次粒子(平均粒径が0.1〜0.5μm)として分散していることが好ましい。
【0046】
水性分散体で用いる場合は、溶媒は水である。ただ、塗布性を向上させる点から有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒としては、たとえばメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジブチルケトンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸ブチル、エチルセロソルブ、メチルセロソルブなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライムなどのエーテル類などの極性溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒が例示できる。アルコール類、ケトン類なども併用してもよい。
【0047】
フッ素樹脂水性分散体の固形分(フッ素樹脂粒子)濃度としては、水性分散体の安定性が良好な点から1〜80質量%、さらには10〜70質量%程度が好ましい。
【0048】
オルガノゾルとしては、たとえば乳化重合で得られたフッ素樹脂分散体(ディスパージョン)を有機溶媒に転相して得られるものが例示できる。有機溶媒としては、たとえばメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジブチルケトンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸ブチル、エチルセロソルブ、メチルセロソルブなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライムなどのエーテル類などの極性溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒が例示できる。アルコール類、ケトン類なども併用してもよい。
【0049】
フッ素樹脂のオルガノゾルの固形分(フッ素樹脂粒子)濃度としては、安定性が良好な点から1〜40質量%、さらには5〜20質量%程度が好ましい。
【0050】
本発明において、結着剤として上記のフッ素樹脂に加えて他の樹脂、好ましくはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)および/またはテトラフルオロエチレン(TFE)−フッ化ビニリデン(VDF)共重合体などを含んでいてもよい。これらの他の樹脂は水性分散体またはオルガノゾルなどの形で混合することができる。これらの樹脂を併用する場合は、集電体との密着性がさらに向上する。そのほか、フッ素系または非フッ素系のゴムを併用してもよい。
【0051】
他の樹脂の割合は、フッ素樹脂(固形分)100質量部に対して300質量部以下、さらには200質量部以下であり、下限は10質量部程度が好ましい。
【0052】
(b)導電性フィラー
本発明に用いる導電性フィラー(b)とは、体積抵抗率が1×10-9〜1Ω・cmのフィラーをいう。好ましい体積抵抗率は1×10-8〜1×10-1Ω・cmである。
【0053】
導電性フィラー(b)としては、導電性カーボンフィラーがあげられる。また、導電性の金属系フィラーも使用できるが、導電性の金属系フィラーは導電性カーボンフィラーと併用することが望ましい。導電性の金属系フィラーとしては、たとえばチタン酸や酸化シリコンなどがあげられる。
【0054】
これらの導電性フィラーは、粒子状フィラー、繊維状フィラー、またはこれらの組合せであってもよい。
【0055】
粒子状のカーボンフィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ナノポーラスカーボン、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、ファーネスブラック、チャネルブラックなどが例示でき、なかでも耐薬品性、導電性がよく、組成物の流動性も良好な点からはナノポーラスカーボン、グラファイト、また耐薬品性、導電性が良好な点からはケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。平均一次粒子径としては0.02〜50nm、さらには0.025〜40nmであることが、導電性が良好な点から望ましい。
【0056】
繊維状のカーボンフィラーとしては、カーボン繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどが例示でき、なかでもカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーは導電性が良好な点から好ましく、カーボン繊維、特には気相法で製造した炭素繊維はコストパフォーマンスが良好な点から好ましい。繊維状カーボンは平均繊維径が500nm以下、好ましくは0.1〜200nm、さらには1〜200nmであることが、導電性が良好な点から好ましい。さらに、平均繊維長/平均繊維径の比率は、5以上、さらには10以上であることが、導電性が良好な点から好ましい。また、1000以下、さらには500以下であることが、組成物の調製が容易である点から好ましい。
【0057】
また、なかでも配合するフィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ナノポーラスカーボン、グラファイト、カーボン繊維、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーからなる群から選ばれる少なくとも1種であるフィラーが好ましい。
【0058】
粒子状カーボンフィラーと繊維状カーボンフィラーは併用してもよい。併用するときには、たとえば保護膜における導電性の縦横比がさらに制御しやすくなるほか、保護膜の導電性が単独使用よりも、より一層向上するという効果が奏される。粒子状カーボンフィラー/繊維状カーボンフィラーの混合比(質量比)としては、10/90以上、さらには20/80以上であることが、組成物に良好な流動性を与える点から好ましい。また、90/10以下、さらには80/20以下であることが保護膜における導電性の縦横比の制御が容易な点から好ましい。
【0059】
導電性フィラー(b)の配合量は、官能基含有フッ素樹脂(固形分)(a)100質量部に対して5〜300質量部である。5質量部を下回るときは保護膜の導電性が不十分となり好ましくない。一方、300質量部を超えると、組成物の調製が難しくなることとなり好ましくない。好ましい下限は、保護膜の導電性が良好な点から5質量部である。好ましい上限は成形時の安定性が良好な点から200質量部、さらに組成物の調製が容易である点から100質量部である。この範囲の中で、導電性カーボンフィラーと金属系フィラーとを併用してもよい。これらの組合せとしては、粒子状カーボンフィラーと粒子状および/または繊維状の金属系フィラー、繊維状カーボンフィラーと粒子状および/または繊維状の金属系フィラーであり、要求性能に応じて適宜選択する。また、混合比も各フィラーの導電性の程度や重量、生成した導電層の弾性、柔軟性などを考慮して適宜選定すればよい。
【0060】
導電性フィラー(b)に加えて、またはその一部に代えて非導電性(体積抵抗率が1Ω・cmを超える)のフィラーを併用してもよい。非導電性のフィラーとしては、非導電性のカーボンフィラー、非導電性の無機酸化物フィラー、非導電性の樹脂フィラーなどをあげることができる。具体的には非導電性のカーボンブラック、非導電性のオースチンブラック、非導電性のグラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、非導電性のカーボンナノチューブ、非導電性の黒鉛化カーボンブラックなどの非導電性のカーボンフィラー;シリカ、シリケート、クレー、ケイソウ土、モンモリロナイト、タルク、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、脂肪酸カルシウム、酸化チタン、ベンガラ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの非導電性の無機酸化物フィラー;ポリエチレン、耐熱エンジニアリングプラスチックス、PTFEを基にするテトラフルオロエチレンとエチレンからなるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマー(ただし官能基含有フッ素樹脂(a)は除く)、ポリイミドなどの非導電性の樹脂フィラーなどをあげることができる。配合量は、配合することによる効果と、導電性フィラー(b)の導電性の程度や重量、生成した導電層の弾性、柔軟性などを考慮して適宜選定すればよい。
【0061】
(c)その他の成分
本発明の導電ペーストは、官能基含有フッ素樹脂分散体(a)に導電性フィラー(b)を加えて調製される。
【0062】
本発明において、官能基含有フッ素樹脂(固形分)(a)と導電性フィラー(b)の配合割合は、上記の保護層で説明した割合である。また、溶媒の量は、塗装に適切な濃度となる量であればよい。
【0063】
本発明の導電性保護層形成ペーストには、さらに、加工助剤、および架橋によって硬化する接着剤(シランカップリング剤、エポキシ、フェノール樹脂系)などを本発明の目的を損なわない限り使用してもよい。
【0064】
本発明の導電性保護層形成用ペーストの調製は、通常の混合方法により各成分を混合すればよい。
【0065】
本発明における導電性保護層(A)は、本発明の導電性保護層形成用ペーストを集電体(B)に適用して形成され、集電積層体を構成する。
【0066】
導電性保護層(A)の形成方法は、従来公知の方法でよい。たとえばローラーコート法、刷け塗り法、ディップコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、コイルコート法、カーテンフローコート法などにより集電体に塗布し、周囲温度で自然乾燥させるか加熱乾燥させることにより保護層を形成する。
【0067】
こうして得られる導電性保護層(A)は、体積抵抗率を0.001〜50Ω・cmの範囲で制御することができ、必要に応じて0.001〜10Ω・cm、さらには1Ω・cm以下という高導電性の保護層を提供できる。
【0068】
導電性保護層の厚さは、0.5〜50μmの範囲で適宜選定すればよく、たとえば抵抗を低くする観点から0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、電極の作成の点から50μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
【0069】
つぎに集電体について説明する。
【0070】
本発明は、電解液中のリチウム塩により腐食が進行する材料に対して特に有効である。かかる集電体を構成する材料としては、たとえばアルミニウムやその合金、ステンレス鋼、ニッケルやその合金、チタンやその合金、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボンまたはチタンを処理させたものなどが用いられる。これらの中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金が特に保護される集電体としてあげられる。これらの材料は表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることにより接着性が上がるため好ましい。集電体の厚さは、通常5〜30μmの範囲である。
【0071】
本発明の集電積層体は、正極に使用しても負極に使用してもよい。特に、集電体の腐食が激しい正極に用いるときに大きな効果が奏される。
【0072】
本発明はまた、本発明の集電積層体の導電性保護層(A)上に、電極合剤層(C)が設けられてなる電極積層体にも関する。
【0073】
電極合剤層(C)を形成する電極合剤は電極活物質と結着剤を含み、さらに要すれば、他の材料を配合して調製される。本発明においては、従来公知の正極合剤および負極合剤を使用できるが、特に高電圧仕様の電極合剤が有効である。
【0074】
正極活物質としては特に、高電圧を産み出すリチウム含有遷移金属複合酸化物が好ましく、たとえば式(1):LiaMn2-b1b4(式中、0.9≦a;0≦b≦1.5;M1はFe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、SiおよびGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・マンガンスピネル複合酸化物、式(2):LiNi1-c2c2(式中、0≦c≦0.5;M2はFe、Co、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、SiおよびGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・ニッケル複合酸化物、またはLiCo1-d3d2(式中、0≦d≦0.5;M3はFe、Ni、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、SiおよびGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・コバルト複合酸化物が好ましい。
【0075】
なかでも具体的には、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiMn24、LiNi0.8Co0.15Al0.052、またはLiNi1/3Co1/3Mn1/32が、エネルギー密度が高く、高出力なリチウム二次電池を提供できる点から好ましい。
【0076】
そのほか、LiFePO4、LiNi0.8Co0.22、Li1.2Fe0.4Mn0.42、LiNi0.5Mn0.52、LiV36などの正極活物質でもよい。
【0077】
正極活物質の配合量は、正極合剤の50〜99質量%、さらには80〜99質量%が、電池容量が高い点から好ましい。
【0078】
負極活物質としては炭素材料があげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物や金属窒化物などもあげられる。炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、メソカーボンマイクロビーズ、炭素ファイバー、活性炭、ピッチ被覆黒鉛などがあげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物としては、スズやケイ素、チタンを含む金属化合物、たとえば酸化スズ、酸化ケイ素、チタン酸リチウムなどがあげられ、金属窒化物としては、Li2.6Co0.4Nなどがあげられる。
【0079】
負極活物質の配合量は、負極合剤の50〜99質量%、さらには80〜99質量%が、電池容量が高い点から好ましい。
【0080】
結着剤としては、フッ素系樹脂や非フッ素系樹脂、ゴムなどがあげられる。
【0081】
フッ素系樹脂としては、PTFEやPVDFなどがあげられる。PTFEはテトラフルオロエチレンの単独重合体であってもよいし、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)やパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などの他の単量体が少量共重合された変性PTFEであってもよい。
【0082】
非フッ素系樹脂としては、ポリアクリル酸などがあげられる。また、ゴムとしてはエチレン/プロピレン/ジエン共重合体ゴム(EPDM)やスチレン/ブタジエン共重合体ゴム(SBR)などがあげられる。
【0083】
結着剤の配合量は、電極合剤の0.5〜15質量%、さらには0.5〜10質量%が、電池容量が高い点から好ましい。
【0084】
他の成分としては、電極合剤の密着性を向上させるためや活物質の利用率向上のためのTFE/HFP共重合体樹脂やETFE、VdF系共重合体樹脂などのフッ素樹脂;柔軟性を向上させるためのフッ素ゴムやアクリルゴム;耐電圧を向上させるための酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂;リチウム二次電池の電極の製造に使用する添加剤、たとえば導電材、増粘剤、他の重合体、界面活性剤などがあげられる。導電材としては、たとえばアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック;グラファイト、炭素繊維などの炭素質材料があげられる。
【0085】
電極合剤層(C)の形成は、これらの成分を要すれば適切な溶媒を用いて適宜混合し、均一な混合物として電極合剤形成用組成物を調製し、集電積層体の導電性保護層(A)上に、スピンコート、ブレードコート、ロールコート、ディップコートなどの方法で行うことができる。
【0086】
乾燥処理された電極は、通常、要すればさらに圧延処理された後、切断処理され、所定の厚さと寸法に加工されてリチウム二次電池用電極が得られる。圧延処理および切断処理は、通常の方法でよい。
【0087】
本発明の電極積層体は集電体がPTFEを結着剤とする保護層で電解液中のリチウム塩から保護されているため、高い作動電圧でも集電体の腐食を抑制でき、サイクル特性などの電池特性の劣化を抑えることができる。
【0088】
また、本発明は非水二次電池、特にリチウム二次電池にも関する。本発明のリチウム二次電池は、正極、負極および非水電解液を備えており、正極および/または負極として本発明の電極積層体を用いたものである。
【0089】
なお、本発明の電極以外の電極を正極または負極の一方に用いる場合、それらの正極または負極は従来公知の電極を用いることができる。しかし、好ましくは柔軟性の課題が大きい正極に本発明の電極を用いることが好ましい。
【0090】
非水電解液も、電解質塩と電解質塩の溶解用の有機溶媒を含む電解液でリチウム二次電池に使用される非水電解液であれば特に制限されない。
【0091】
電解質としては、たとえばLiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252などの公知の電解質塩が例示でき、有機溶媒としては、たとえばエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭化水素系溶媒;HCF2CF2CH2OCF2CF2H、CF3COOCF3、CF3COOCH2CF3などのフッ素系溶媒、これらの混合溶媒などが例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
【0092】
本発明のリチウム二次電池にはセパレータを配置してもよい。セパレータとしては特に制限はなく、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層フィルムなどがあげられる。また、Liデントライトによって起こる短絡などの安全性向上を目的として作られたセパレータ上にアラミド樹脂を塗布したフィルムあるいはポリアミドイミドおよびアルミナフィラーを含む樹脂をセパレータ上に塗布したフィルムなどもあげられる(たとえば特開2007−299612号公報、特開2007−324073号公報参照)。
【0093】
本発明のリチウム二次電池は、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウム二次電池、携帯電話、携帯情報端末などの小型のリチウム二次電池などとして有用である。
【0094】
また本発明は、本発明の電極を用いた電気二重層キャパシタにも関する。電気二重層キャパシタの基本構造は、電極として本発明の電極を用いるほかは従来のものと同じである。
【実施例】
【0095】
つぎに実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0096】
本発明において採用した測定方法、評価方法は以下のとおりである。
【0097】
(膜厚測定)
(株)ミツトヨ製のクイックマクロMDQ−30Mを用いて測定する。
【0098】
(体積抵抗率の測定)
三菱化学アナリテック(株)製のLoresta−GPを使用し、4端子法で体積抵抗率を測定する。
【0099】
(集電体と導電性保護層との接着性)
厚さ15μmのアルミニウム箔に導電性保護層を5μmになるように片面に塗布する。その電極を幅2.0cm×長さ10cmに切り、電極表面にセロハンテープ(ニチバン(株)製。登録商標)を貼り付け、電極を固定し、JISK6854−2に準じ、テープを50mm/分の速度で180°方向に剥離したときの強度(N/cm)を5回測定し、その平均値より接着性を評価する。
【0100】
合成例1(含フッ素共重合体の合成)
容量6000mlのステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル2891g、炭素数9のカルボン酸からなるバーサティック酸ビニル(VV9)638.0g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)156.7gを仕込み、5℃に冷却したのち減圧窒素置換の操作を3回繰り返した。最後に再度減圧してテトラフルオロエチレン481.7gを仕込んだ。撹拌下に65.0℃まで昇温し、過酸化物系重合開始剤(日本油脂(株)製のパーロイル355)を12.5g仕込み重合を開始した。同時にVV9の639.0gとHBVEの156.7gとの混合物を1.5時間かけて連続的に仕込んだ。その温度で開始剤を仕込んでから3時間反応させ、重合開始剤(パーロイル355)を12.5g追加で仕込んだ。さらにその温度で4時間反応させ、反応器内圧が1.4MPaG(14.5kgf/cm2G)から0.2MPaG(2.1kgf/cm2G)へ低下した時点で反応を停止し、水酸基含有含フッ素共重合体の水性分散体を得た。重合収率は92.3%であった。得られた含フッ素共重合体を19F−NMR、1H−NMRおよび元素分析法で分析したところ、テトラフルオロエチレンが45モル%、VV9が39モル%およびHBVEが16モル%からなる含フッ素共重合体であり、数平均分子量(Mn)は1.5×104で、ガラス転移温度(Tg)は35℃であった。
【0101】
合成例2〜8
表1に記載した単量体を使用して共重合したほかは実施例1と同様にして水酸基含有含フッ素共重合体の水性分散体を得た。得られた含フッ素共重合体の組成(モル%)、数平均分子量(Mn)およびガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
【0102】
なお、表1の単量体の略号は、以下の化合物である。
TFE:テトラフルオロエチレン
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
HEVE:4−ヒドロキシエチルビニルエーテル
VBz:安息香酸ビニル
VV9:炭素数9の脂肪族カルボン酸のビニルエステル(シェル化学社製のベオバ9)
CA:クロトン酸
VA:ビニル酢酸
【0103】
【表1】

【0104】
実施例1
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体水性分散体(固形分濃度20質量%に調整)100gに、導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g、増粘剤としてアクリル系樹脂(東亜合成(株)製のA10H)を2g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、片面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ5μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥したのち、プレスを行い、片面に導電性含フッ素樹脂層(合計厚:10μm)を形成した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、120℃にて1時間乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0105】
実施例2〜8
フッ素樹脂(a)として合成例2〜8でそれぞれ得られた水酸基含有含フッ素共重合体を用いたほかは実施例1と同様にして、正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0106】
実施例9
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体とFEP水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製ND110)を固形分比率で6/4に混合し、フッ素樹脂水性分散体(固形分濃度20質量%に調整)100gを調製した。この水性分散体に導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を1g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、片面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ5μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥したのち、プレスを行い、片面に導電性含フッ素樹脂層(合計厚:10μm)を形成した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、250℃にて10時間乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0107】
実施例10
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体とFEP水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製ND110)を固形分比率で6/4に混合し、ついで、メチルイソブチルケトン(MIBK)に転相し、さらに固形分濃度20質量%に調整したオルガノゾルを100g調製した。これに導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、片面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ5μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥したのち、プレスを行い、片面に導電性含フッ素樹脂層(合計厚:10μm)を形成した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、250℃にて10時間乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0108】
実施例11
実施例9において、アセチレンブラックに代えてケッチェンブラックを用いたほかは同様の方法で導電性保護層形成用ペーストを調製し、実施例9と同様にして正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0109】
実施例12
実施例9において、アセチレンブラックに代えて気相法炭素繊維(平均繊維径:100nm、繊維長:10μm。昭和電工(株)製のVGCF@)を用いたほかは同様の方法で導電性保護層形成用ペーストを調製し、実施例9と同様にして正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0110】
実施例13
実施例9において、アセチレンブラックの配合量を150gに変更したほかは同様の方法で導電性保護層形成用ペーストを調製し、実施例9と同様にして正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0111】
実施例14
実施例9において、アセチレンブラックの配合量を2.5gに変更したほかは同様の方法で導電性保護層形成用ペーストを調製し、実施例9と同様にして正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0112】
実施例15
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体とTFE/VDF共重合体水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製VT470)を固形分比率で6/4に混合し、ついで、メチルイソブチルケトン(MIBK)に転相し、さらに固形分濃度20質量%に調整したオルガノゾルを100g調製した。これに導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、片面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ5μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥したのち、プレスを行い、片面に導電性含フッ素樹脂層(合計厚:10μm)を形成した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、250℃にて10時間乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0113】
実施例16
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体とTFE/VDF共重合体水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製VT470)を固形分比率で8/2に混合し、ついで、N−メチルピロリドン(NMP)に転相し、さらに固形分濃度20質量%に調整したオルガノゾルを100g調製した。これに導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、片面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ5μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥したのち、プレスを行い、片面に導電性含フッ素樹脂層(合計厚:10μm)を形成した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、250℃にて10時間乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0114】
実施例17
実施例1において、集電体としてアルミニウム箔に代えてステンレス鋼の薄板(15μm厚)を用いたほかは同様にして導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0115】
実施例18
実施例1において、集電体としてアルミニウム箔に代えて銅箔(15mm厚)を用いたほかは同様にして導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0116】
参考例1
実施例1において、合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体に代えて官能基を有しないPVDF(呉羽化学(株)製。商品名KF−7200)を用いたほかは同様の方法で導電性保護層形成用ペーストを調製し、実施例1と同様にして正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し乾燥し、導電性保護層が片面に形成された正極集電積層体を作製した。得られた正極集電積層体について、集電体と導電性保護層との接着性および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0117】
【表2】

【0118】
表2から、実施例で得られた積層集電体の導電性保護層は集電体と強固に接着しており、また、参考例1以外はすべて1.0Ω/cm以下の高導電性保護層になっていることが分かる。
【0119】
実施例19
実施例1で作製した本発明の正極集電積層体上にLiNi1/3Mn1/3Co1/32とカーボンブラックとPVDF(呉羽化学(株)製。商品名KF−1000)を90/3/7(質量%比)で混合した正極活物質をN−メチル−2−ピロリドンに分散してスラリー状とした正極合剤スラリーを均一に塗布し、乾燥して正極合剤層(厚さ50μm)を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形して、正極積層体を製造した。
【0120】
得られた正極積層体を用いて次の要領でコイン型リチウム二次電池を作製し、放電容量とサイクル特性を調べた。結果を表3に示す。
【0121】
(コイン型電池の作製)
正極積層体を打ち抜き機で直径1.6mmの大きさに打ち抜き、円状の正極を作製する。
【0122】
別途、人造黒鉛粉末に、蒸留水で分散させたスチレン−ブタジエンゴムを固形分で6質量%となるように加え、ディスパーザーで混合してスラリー状としたものを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に均一に塗布し、乾燥し、負極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、打ち抜き機で直径1.6mmの大きさに打ち抜き円状の負極を作製する。
【0123】
上記の円状の正極を厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルム(セパレータ)を介して正極と負極を対向させ、電解液(EC/MEC=30/70体積%の電解質塩溶解用溶媒にLiPF6を1.0モル/リットルの濃度となるように加えた電解液)を注入し、電解液がセパレータなどに充分に浸透した後、封止し予備充電、エージングを行い、コイン型のリチウム二次電池を作製する。
【0124】
(電池特性の測定)
コイン型リチウム二次電池について、つぎの要領で放電容量とサイクル特性を調べた。
【0125】
(放電容量)
充放電電流をCで表示した場合、5mAを1Cとして以下の充放電測定条件で測定を行う。評価は、参考例1の放電容量の結果を100とした指数で行う。
【0126】
充放電条件
充電:1.0C、4.7Vにて充電電流が1/10Cになるまでを保持(CC・CV充電)
放電:1C 3.0Vcut(CC放電)
【0127】
実施例20〜35および参考例2
実施例2〜18および参考例1の正極集電体を用いたほかは実施例19と同様にして、正極積層体およびコイン型リチウム二次電池を製造し、実施例19と同様にして電池特性(放電容量)を調べた。結果を表3に示す。
【0128】
【表3】

【0129】
表3より、実施例の電極はすべて導電性保護層の影響により抵抗が小さいため参考例2に比べ放電容量が高いことが分かる。そのため、導電性保護層を集電体に塗布することより効果があることがわかる。
【0130】
実施例36
(電気二重層キャパシタ)
合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体水性分散体(固形分濃度20質量%に調整)100gに、導電性フィラー(b)としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)を50g、増粘剤としてアクリル系樹脂(東亜合成(株)製のA10H)を2g入れて導電性保護層形成用ペーストを調製した。ついで、このペーストを日本蓄電器工業(株)製のエッジドアルミ(品番:20CB。厚さ約20μm)上に均一に塗布し、両面に導電性含フッ素樹脂層(厚さ7μm)を形成し、熱風乾燥機で80℃にて10分間乾燥した。ついで真空乾燥機で真空に引いたのち、120℃にて1時間乾燥し、集電積層体を作製した。
【0131】
PVDF8質量部と、クラレケミカル(株)製の活性炭(品番:RP20、表面積:1700m2/g)100質量部と、電気化学工業(株)製のデンカブラック(導電助剤)3質量部と、ライオン(株)製のケッチェンブラック12質量部を混合し、電極用合剤スラリーを製造した。
【0132】
導電層両面塗布エッチドアルミの両面に塗装装置を用いて、電極用合剤スラリーを両面塗布(正極103μm、負極80μm)し、電極合剤(活性炭)層を形成し、電極を作製した。得られた電極合剤層の密度は0.52g/cm3であった。なお、以下、集電体、導電層および電極合剤層をまとめて電極と称する。
【0133】
実施例37
(直径18φ捲回体の作製)
上記で作製した実施例36と参考例3の電極1を30mm幅に切断し、この電極と、34mm幅に切断したニッポン高度紙工業(株)製のTF45−30(セパレータ)と共にEDLC用捲回機により捲回した。その際、電極に電極引出し用のタブリードをカシメ接続して、直径16mmの円筒捲回体を作製した。
【0134】
(電解液の調製)
スルホランとHCF2CF2CH2OCF2CF2Hとジメチルカーボネートとを体積比65/15/20で混合して電解質塩溶解用溶媒を調製した。この電解質塩溶解用溶媒に4フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMA・BF4)を1.2モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0135】
(φ18捲回セルの作製)
円筒捲回体、円筒アルミケース、ゴムパッキンを真空乾燥させた後、ドライチャンバー中で、円筒捲回体を円筒アルミケースに挿入、その後、電解液を注入し、ゴムパッキンを介して封止することで、捲回セル(φ18mmx40mm)を作製した。作製した捲回セルについて、つぎの方法により内部抵抗を測定したところ、10.5mΩであった。
【0136】
(内部抵抗の測定)
電気二重層キャパシタについて、500mAの定電流で充電を開始し、所定の充電電圧に達したらその電圧を保って定電圧充電とし、5分間定電圧充電を行った時点で充電を完了する。次いで、充電終了直後に定電流15mAで0Vに達するまで放電を行う。この充放電操作を3サイクル行い、3サイクル目の放電終了後、0.1秒後の電圧値からR=ΔV/Iの関係により内部抵抗を算出する。
【0137】
参考例3
実施例36で用いたエッチドアルミに導電性層を塗布しないで直接、実施例36で調製した電極用合剤スラリーを両面塗布(正極96μm、負極73μm)し電極合剤(活性炭)層を形成し、電極を作製した。得られた電極合剤層の密度は実施例36と同様に0.52g/cm3であった。
【0138】
得られた電極を用いた以外は実施例36と同様にしてφ18捲回セルを作製し、内部抵抗を測定したところ、12.2mΩであった。
【0139】
実施例36と参考例3の結果は、実施例36の電極は導電性保護層の影響により参考例3よりも抵抗が小さいことを示しており、導電性保護層を集電体に塗布することが電気二重層キャパシタの特性の向上に効果があることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と親和性または反応性を有する官能基を有するフッ素樹脂分散体(a)と導電性フィラー(b)を含む集電体保護用の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項2】
前記フッ素樹脂分散体(a)のフッ素樹脂が、含フッ素パーハロオレフィンに由来する構造単位(a1)、ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)および/またはビニルエステルに由来する構造単位(a3)を含む含フッ素共重合体である請求項1記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項3】
前記フッ素樹脂分散体(a)のフッ素樹脂が、ビニルエーテルに由来する構造単位(a2)およびビニルエステルに由来する構造単位(a3)以外の集電体と親和性または反応性を有する官能基を有する単量体に由来する構造単位(a4)を含む請求項2記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項4】
前記導電性フィラー(b)が、粒子状フィラー、繊維状フィラー、またはこれらの組合せである請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項5】
前記導電性フィラー(b)が、導電性カーボンフィラーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項6】
前記官能基を有するフッ素樹脂分散体(a)中の官能基を有するフッ素樹脂(固形分)100質量部に対して導電性フィラー(b)が5〜300質量部含まれている請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項7】
前記フッ素樹脂分散体(a)が、水性分散体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項8】
前記フッ素樹脂分散体(a)が、オルガノゾルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペースト。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性保護層形成用ペーストを塗布して得られる導電性保護層(A)が集電体(B)上に設けられてなる集電積層体。
【請求項10】
前記導電性保護層(A)の体積抵抗率が0.001〜50Ω・cmである請求項9記載の集電積層体。
【請求項11】
請求項9または10記載の集電積層体の導電性保護層(A)上に、電極合剤層(C)が設けられてなる電極積層体。
【請求項12】
正極、負極および非水電解液を備え、正極および負極の少なくとも一方が請求項11記載の電極積層体であるリチウム二次電池。
【請求項13】
正極、負極および非水電解液を備え、正極および負極の少なくとも一方が請求項11記載の電極積層体である電気二重層キャパシタ。

【公開番号】特開2012−129104(P2012−129104A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280663(P2010−280663)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】