説明

面状発熱体

【課題】自動車用のサイドミラー等の曲率面からなるミラーに防曇手段として面状発熱体を貼着する場合において、貼着時に面状発熱体に皺が発生せず密着状態で貼着することができ、しかもミラーの中央部に霜が残ることがない面状発熱体を提供する。
【解決手段】曲率面からなるミラー2に貼着する接着層が積層されたシート10に抵抗発熱線20が配線されている面状発熱体1であって、面状発熱体1の各辺11を貼着対象面であるミラー2の曲率面に沿う凹状の円弧12で形成する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状発熱体に係り、更に詳しくは、ミラーに貼着されガラス面に付着した霜を溶融除去させる面状発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形のシートに抵抗発熱線が配線された面状発熱体を曲率面からなる車両用サイドミラーに貼着し、ガラス面に付着する霜を溶融除去していた。面状発熱体をサイドミラーに貼着する際、サイドミラーが曲率面からなるので貼着時に面状発熱体に皺が発生する。この皺発生部がサイドミラーに密着しないので面状発熱体の効果が低下し、ガラス面に付着した霜を溶融除去することが出来ずガラス面に霜が残りミラーが見難いという欠点があった。この面状発熱体をミラーに貼着する時の皺発生防止対策として、図3に示すように、ミラー101に貼着する面状発熱体102を四等分するように各辺の中央にスリット103を設け、皺の発生による密着不良の防止を図ることが行なわれている。
【0003】
しかし、スリット103を設けると当該部には面状発熱体102が配置されないことになるので、スリットの周辺部104および中央部105において融霜機能を果たすことが出来ず、ガラス面に霜が残るという欠点があった。このことは、図4に示す通り、黒く見える霜が溶融除去された部分111が、スリットの周辺部104部および中央部105で白く見える溶融除去されなかった部分112により分断されていることからも理解できる。特に、サイドミラーの中央部105に霜が残るとミラーが見難くなるので、中央部について霜を溶融除去できるように改善する必要があった。
【0004】
なお、下記特許文献では、面状発熱体若しくは面状発熱体の両面を挟持しているシートのうち、少なくとも一方の面を伸縮性のある凹凸面で形成し、貼着時に凹凸面の伸縮により皺の発生防止を図りミラーに面状発熱体を密着させることが開示されているが、凹凸面を形成せず面状発熱体の形状の変更により貼着時の皺の発生を予防しミラーに密着させることについては、何ら記載されていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−006855号公報
【特許文献2】特開2002−175870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて、曲率面からなるミラーに面状発熱体を貼着する場合において、面状発熱体に皺を発生させることなくミラーに密着状態で貼着させることができ、しかもミラーの中央部に霜が残ることがない面状発熱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る面状発熱体は、曲率面からなるミラーに貼着する面状発熱体において、前記面状発熱体の各辺を前記ミラーの曲率面に沿う凹状の円弧で形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0009】
上記構成を備えた本発明の面状発熱体は、面状発熱体の周囲の各辺が貼着対象であるミラーの曲率面に沿う凹状の円弧で形成されているので、面状発熱体をミラーに貼着するときに面状発熱体に皺が発生するのを防止することができる。したがって、面状発熱体がミラーに密着状態で貼着するので、面状発熱体の融霜機能を貼着している部分について発揮させることができ、面状発熱体が貼着しているミラー中央部についてもガラス面に付着した霜を溶融除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施形態を例示して説明する。図1に示すように、この面状発熱体1は、シート10と、抵抗発熱線20と、を備えている。
【0011】
シート10は、熱伝導性のあるアルミシートやナイロン・ポリエステル等のフィルムで成形され、その上に図示しないホットメルトやエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)等の熱可塑性樹脂からなる接着層が積層されている。
【0012】
シート10の形状は、各辺11が凹状の円弧12で形成されていて、凹状の円弧12は貼着対象面であるミラー2の曲率面に沿うように形成されている。
【0013】
抵抗発熱線20は、可撓性を有する細いニクロム線を束ねたものであって、接着層が積層されている面に、一定の間隔をもって蛇行状態に配線されている。
【0014】
上記構成の面状発熱体1を曲率面からなるミラー2に貼着するとき、面状発熱体1の周囲の各辺11に形成されている凹状の円弧12が貼着対象面のミラー2の曲率面に沿うよう形成されているので、スリットを設けないでも面状発熱体1に皺が発生するのを防止することができ、面状発熱体1の全面をミラー2に密着状態で貼着させることができる。
【0015】
この状態で抵抗発熱線20に電気を流して面状発熱体1を加熱したときに、面状発熱体1が密着状態で貼着しているミラー2の部分は加温されるので、面状発熱体1が貼着されているミラー2の中央部も加温されることになり、中央部のガラス面に付着している霜を溶融除去することが可能となる。
【0016】
図2に、本実施形態に係る面状発熱体による霜の溶融除去状態を示す。中央部の黒く見える部分31は、面状発熱体が密着状態で貼着されていてガラス面から霜が溶融除去された部分であり、その周辺の白く見える部分32は、面状発熱体が貼着されていない部分であるためにガラス面から霜が溶融除去されなかった部分である。
【0017】
なお、本実施形態の面状発熱体は、熱伝導性のシートに抵抗発熱線を配線して形成したが、導電性繊維混抄紙で形成してもよい。
【0018】
また、本実施形態では、シートには抵抗発熱線と配線する面にのみ接着層を積層したが、両面に接着層を積層してもよい。
【0019】
また、各辺に形成されている凹状の円弧の大きさは、貼着対象面であるミラーの曲率面の大きさに対応するように適宜変更するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態における面状発熱体の装着状態の説明図
【図2】本発明の実施形態における霜の溶融除去状態を示す参考写真
【図3】従来例における面状発熱体の装着状態の説明図
【図4】従来例における霜の溶融除去状態を示す参考写真
【符号の説明】
【0021】
1 面状発熱体
2 ミラー
10 シート
11 辺
12 凹状の円弧
20 抵抗発熱線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲率面からなるミラーに貼着する面状発熱体において、
前記面状発熱体の各辺を前記ミラーの曲率面に沿う凹状の円弧で形成したことを特徴とする面状発熱体。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−115555(P2007−115555A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306611(P2005−306611)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】