説明

音源方向検出装置及び音源方向検出方法

【課題】従来よりも簡易な構成で、音源が存在する方向を検出できる音源方向検出装置及び音源方向検出方法を提供する。
【解決手段】音源5から出力される音波の各周波数毎に指向性を変化させると共に、各周波数毎に音波の強度を検知する音響センサ2を備え、当該音響センサ2で検知された各周波数毎の検知結果の出力比と、音源5の方向との関係を表した参照情報T100を記憶部3dに予め保持しておくようにした。また、音源方向検出装置では、音源5の方向を検出する際に、算出部3aで算出された出力比に対応した角度を、参照情報T100から推定角度として読み出すようにした。これにより音響センサ2に設けられた1つの音圧検知部4によって音源5の方向を検出できることから、従来のように音源5から発せられる音波を検出するための電子部品たるセンサを複数個設ける必要がなく、その分だけ従来よりも簡易な構成にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源方向検出装置及び音源方向検出方法に関し、例えば音源が存在している方向を検出する際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音波の振幅や位相等の情報から音源が存在している方向を検出する音源定位の研究が盛んに行われている(例えば、非特許文献1参照)。例えばこのような音源方向検出装置は、所定距離を設けて2つのセンサが配置されており、これらセンサへそれぞれ到達する音波の到達時間差や、センサ間に生じる音波の位相差、センサで検知される音波の強度差に基づいて音源が存在するであろう方向を推測し得るようになされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】N. Ono et al.: “Sound source localization with front-back judgement by two microphones asymmetrically mounted on a sphere”, J. Multimedia, 3, 3, pp.1-9, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような音源方向検出装置では、音源から発せられる音波を検出するための電子部品であるセンサを少なくとも2つ以上設ける必要があることから、その分だけ構造が複雑になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑み、従来よりも簡易な構成で、音源が存在する方向を検出できる音源方向検出装置及び音源方向検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、音源の方向を検出する音源方向検出装置において、前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波を受波し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する音響センサと、前記音響センサで検知された各前記周波数毎の検知結果の出力比と、前記音源の方向との関係を表した参照情報を予め記憶した記憶手段と、各前記周波数毎に音波の強度を前記音響センサで検知すると、各前記周波数毎の検知結果を基に前記出力比を算出する算出手段と、前記記憶手段に記憶された前記参照情報を参照し、前記算出手段で算出された前記出力比と対応した前記方向を、前記音源の方向を示す推定角度として読み出す読出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記音響センサは、前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波の各強度を検知する検知手段と、前記音源から異なる周波数の音波が出力されると、前記検知手段における指向性を各前記周波数毎に変化させる指向性可変手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記指向性可変手段は、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とが所定の開口間距離を空けて形成され、かつ前記入口部及び前記出口部間の経路が前記開口間距離よりも長い音響管長さに選定された音響管が形成されており、前記出口部に前記検知手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記音響管には、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間に前記音波の伝播状態を変える物質が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記音響管には、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間における前記音波の伝播状態を変えるための音響管状態変更手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、前記音響センサは、前記音源から出力される音波の周波数に応じて、単一指向性パターンと、感度のピークが異なる方向に配置された2つの双指向性パターンとを少なくとも形成することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、前記記憶手段は、前記複数の周波数の音波のうち2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第1の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第1の出力比曲線と、前記第1の出力比で用いた前記周波数の音波の対と異なる組み合わせの2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第2の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第2の出力比曲線とを、前記参照情報として記憶しており、前記算出手段は、前記音源の方向を検出する際、該音源から出力される複数の周波数の音波から前記第1の出力比と前記第2の出力比とを算出し、前記読出手段は、前記算出手段で算出した前記第1の出力比に対応した第1の推定角度を前記第1の出力比曲線から読み出し、前記算出手段で算出した前記第2の出力比に対応し、かつ前記第1の推定角度と一致した第2の推定角度を前記第2の出力比曲線から読み出すことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、前記音響センサは、前記複数の周波数を合成した音波を各前記周波数毎に成分分離し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、音源の方向を検出する音源方向検出方法において、音響センサによって、前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波を受波し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する検知ステップと、各前記周波数毎に音波の強度を前記音響センサで検知すると、算出手段によって、各前記周波数毎の検知結果を基に該検知結果の出力比を算出する算出ステップと、読出手段によって、前記音響センサで検知された各前記周波数毎の検知結果の出力比と、前記音源の方向との関係を表した参照情報が予め記憶された記憶手段から前記参照情報を読み出し、前記算出ステップで算出された前記出力比と対応する前記方向を、前記参照情報を基に、前記音源の方向を示す推定角度として読み出す読出ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項10に係る発明は、前記検知ステップに用いる音響センサは、前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波の各強度を検知手段で検知し、前記音源から異なる周波数の音波が出力されると、指向性可変手段によって前記検知手段における指向性を各前記周波数毎に変化させることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項11に係る発明は、前記指向性可変手段は、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とが所定の開口間距離を空けて形成され、かつ前記入口部及び前記出口部間の経路が前記開口間距離よりも長い音響管長さに選定された音響管を、前記音波が通過して前記出口部に設けられた前記検知手段に到達すると供に、外部から前記音波が前記検知手段に到達することを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項12に係る発明は、前記検知ステップでは、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間に物質が設けられている前記音響管を前記音波が通過し、前記物質によって該音波の伝播状態が変わることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項13に係る発明は、前記検知ステップでは、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とを備える前記音響管を前記音波が通過し、音響管状態変更手段によって、前記音響管を通過する前記音波の伝播状態が変わることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項14に係る発明は、前記検知ステップに用いる音響センサは、前記音源から出力される音波の周波数に応じて、単一指向性パターンと、感度のピークが異なる方向に配置された2つの双指向性パターンとを少なくとも形成することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項15に係る発明は、前記複数の周波数の音波のうち2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第1の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第1の出力比曲線と、前記第1の出力比で用いた前記周波数の音波の対と異なる組み合わせの2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第2の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第2の出力比曲線とを、参照情報として前記記憶手段に記憶する記憶ステップを備え、前記算出ステップは、前記音源の方向を検出する際、該音源から出力される複数の周波数の音波から前記第1の出力比と前記第2の出力比とを算出し、前記読出ステップは、前記算出ステップで算出した前記第1の出力比に対応した第1の推定角度を前記第1の出力比曲線から読み出し、前記算出手段で算出した前記第2の出力比に対応し、かつ前記第1の推定角度と一致した第2の推定角度を前記第2の出力比曲線から読み出すことを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項16に係る発明は、前記検知ステップは、前記音響センサによって、前記複数の周波数を合成した音波を各前記周波数毎に成分分離し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1及び9によれば、1つの音響センサによって音源の方向を検出できることから、従来のように音源から発せられる音波を検出するための電子部品たるセンサを複数個設ける必要がなく、その分だけ従来よりも簡易な構成にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による音源方向検出装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】音波が音圧検知部に到達する経路を示す概略図と、2つの音波の位相差及び音波が干渉した合成波の説明に供する概略図である。
【図3】音響センサの全体構成を示す概略図である。
【図4】溝形成体及び蓋体の全体構成を示す概略図と、音響管形成部の全体構成を示す概略図である。
【図5】音響管形成部に形成された音響管の構成を示す断面図である。
【図6】音圧検知部の構成を示す概略図である。
【図7】音響センサの指向性の説明(1)に供する概略図である。
【図8】音響センサの指向性の説明(2)に供する概略図である。
【図9】カンチレバー部に加わる音圧の説明に供する概略図である。
【図10】第1の近似出力比曲線と第2の近似出力比曲線からなる参照情報を示す概略図である。
【図11】音響管形成部において形成される指向性パターンを示す概略図である。
【図12】他の実施の形態による音響センサによって形成される指向性パターンを示す概略図である。
【図13】他の実施の形態による参照情報を示す概略図である。
【図14】音波の周波数を変更したときに形成された指向性パターンを示す概略図である。
【図15】検証によって得られた出力比と音源方向角度との関係を示したグラフである。
【図16】検証によって得られた推定角度と、実際のスピーカの方向を示す角度との関係を示すグラフである。
【図17】音波の周波数が11.2[kHz]、14.8[kHz]及び17.0[kHz]のとき形成された指向性パターンを示す概略図である。
【図18】開口間距離及び音響管長さが異なる音響管形成部の全体構成を示す概略図である。
【図19】開口間距離及び音響管長さが異なる各音響管形成部によって得られた指向性パターンを示す概略図である。
【図20】音響管長対波長比の値を一定とし、周波数の値と開口間距離を変更させたときに得られた指向性パターンを示す概略図である。
【図21】音響管長さが異なる音響管形成部の全体構成を示す概略図である。
【図22】音響管長さが異なる各音響管形成部によって得られた指向性パターンを示す概略図である。
【図23】音響管の入口部及び出口部の断面比が異なる音響管形成部の全体構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の好適な実施形態について説明する。
【0025】
(1)音源方向検出装置の構成
図1において、1は本発明による音源方向検出装置を示し、この音源方向検出装置1は、音響センサ2と、音源方向判断部3とから構成されており、当該音響センサ2に設けられた音圧検知部4に音源方向判断部3が電気的に接続されている。
【0026】
この音源方向検出装置1は、音響センサ2に対し所定方向にスピーカ等の音源5が配置されると、当該音源5から出力される音波をその音圧を基に音圧検知部4により検知し、この検知結果を音源方向判断部3に送出する。音源方向検出装置1は、算出部3aと読出部3bと参照情報作製部3cと記憶部3dとを備える音源方向判断部3によって検知結果を基に音源方向検出処理(後述する)を実行することにより、音響センサ2に対して音源5がどの方向に配置されているかを検出し得るようになされている。
【0027】
ここで音響センサ2は、音源5から出力される音波の周波数に応じて、異なる指向性パターンを形成させる音響管形成部7を備え、この音響管形成部7に音圧検知部4が設けられ、音源5から出力された音波の音圧を音圧検知部4により出力電圧として検知し得る。音響管形成部7には、入口部8及び出口部9の両端が外部と連通した筒状の音響管10が形成されており、当該音響管10の出口部9に音圧検知部4が設けられている。実際上、この音圧検知部4は、一面が外部に向けて配置されていると共に、当該一面と対向する他面が音響管10内に向けて配置されており、音源5から出力される音波を一面で直接受波し得るとともに、入口部8から音響管10内に入射して当該音響管10を通過してきた音波を他面で受波し得るようになされている。
【0028】
このように音波が音圧検知部4に到達する経路は、外部から音圧検知部4の一面に直接到達する経路と、音響管10を通過して音響管10内部から音圧検知部4の他面に到達する経路とがあり、この2つの経路間に経路差があることから、音響管10を通過して音響管10内部から音圧検知部4の他面に到達する音波が、音圧検知部4の一面に直接到達する音波に対して時間的に遅れる。このため音圧検知部4は、図2(A)に示すように、一面に入射する音波S1と、他面に入射する音波S2とに周波数に応じた位相差が生じ、この位相差をもった2つの音波が干渉し、この干渉した合成波S3の音圧を電気信号たる出力電圧に変換し得るようになされている。そして、図2(A)及び(B)に示すように、音圧検知部4では、音源5の方向によって位相差が異なる値になることから、当該位相差の変化に応じて干渉状態(振幅)が変わり、合成波S3の音圧が変化し、音源5の方向によって変化する指向性利得が得られるようになされている。
【0029】
実際上、音響管形成部7は、例えば硬質材料でほぼ直方体状に形成されており、図3に示すように、四角柱状の中空領域からなる音響管10を内部に備えている。この音響管10は、外部と連通した入口部8と出口部9とが音響管形成部7の一面(以下、これを開口形成面と呼ぶ)7aに所定間隔を設けて形成されており、当該入口部8及び出口部9間の経路が湾曲状に折り曲げられ、その折り返し部分が開口形成面7aと対向する対向面側に配置された構成を有する。
【0030】
この実施の形態の場合、音響管形成部7は、図4(A)に示すように、所定の厚みを有した板状の溝形成体13と、当該溝形成体13と同じ外郭形状からなる所定の厚みを有した板状の蓋体14とから構成されており、溝形成体13の平面部13aに音響管10と同形状の溝が形成されている。図4(B)に示すように、この溝形成体13には、外郭に蓋体14の外郭が一致するように位置決めされ、溝が形成された平面部13aに蓋体14の平面部を密着させた状態で接着剤等により接合され得る。これにより音響管形成部7には、開口形成面7aに音響管10の入口部8及び出口部9が形成されると共に、これら入口部8及び出口部9のみで外部と連通した音響管10が形成され得る。
【0031】
実際上、この実施の形態の場合、音響管10は、図5に示すように、エクスポネンシャル(指数関数)ホーン形状に形成され、経路の断面幅が入口部8から出口部9へゆくに従って次第に狭くなるように形成されている。これにより音響管10は、入口部8から入射された音波を経路内で増幅させ、当該増幅した音波を出口部9に設けた音圧検知部4の他面で受波させ得るようになされている。
【0032】
ここで、この実施の形態の場合には、図5に示すように、音響管形成部7の入口部8及び出口部9間にある楕円状領域のうち長径をaとし、入口部8及び出口部9間の楕円状領域のうち短径をbとし、音響管10の出口部9の断面幅をdとし、音響管10の入口部8の断面幅をDとして表し、図4(B)に示すように、音響管10の奥行きをtとして以下表す。
【0033】
図6に示すように、音圧検知部4は、例えば基台4a上にピエゾ抵抗層4bと電極層4cを有したピエゾ抵抗カンチレバー型MEMS圧力センサからなり、基台4aの貫通した中心領域にピエゾ抵抗層4bの片持ち保持されたカンチレバー部16が設けられた構成を有する。カンチレバー部16は、例えば厚さが約0.3[μm]程度に形成され、一面及び他面に入射する音波によって振動し得るように形成されており、当該音波を受波することで結晶格子に歪みが生じるように構成されている。これにより音圧検知部4は、カンチレバー部16において結晶格子にひずみが生じて抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を図示しないブリッジ回路により電圧の変化に変換して出力し、図示しない増幅回路により出力電圧を増幅してこれを音源方向判断部3に送出し得るようになされている。なお、カンチレバー部16は、音波の周波数と固有振動数が一致したときにその変形が最も大きくなることから、音源5から出力される音波の周波数帯に近い固有振動数を有するカンチレバー部16を用いることで,感度を向上させることができる。
【0034】
(2)音響センサの指向性について
次に、このような音響管形成部7に音圧検知部4が設けられた音響センサ2の指向性について説明する。ここでは、図5に示したように、音響管10の入口部8の中心から音圧検知部4の中心までの距離(以下、これを開口間距離と呼ぶ)をLとし、音響管10の長さ(以下、これを音響管長さと呼ぶ)をLとする。また、図7に示すように、音響管形成部7における開口形成面7aの中心Oを原点として通り、かつ音響管10の経路方向と直交する方向に延びる軸を基準軸xとし、当該開口形成面7aと同一平面上においてこの基準軸xから音源5までの角度を音源方向角度θと定義する。さらに、指向性については、図8に示すように、極座標表示で表し、開口形成面7aの中心Oからの距離lによって、音源方向角度θでの感度を表す。
【0035】
先ず、図9に示すように、音圧検知部4のカンチレバー部16に加わる音圧Pは、一面16aに入射される音波の音圧Pと、他面16bに入射される音波の音圧Pを用いると、次式で表すことができる。
【0036】
【数1】

【0037】
ここで、音波を周波数fの正弦波と仮定し、音圧Pの振幅をP、音圧Pの振幅をP、音圧Pと音圧Pの位相差をφとした場合、音圧P及び音圧Pは、以下のように定めることができる。
【0038】
【数2】

【0039】
このとき音源5及び中心O間の距離r(図7)が、開口間距離L及び音響管長さLに対して十分に大きければ、外部から音圧検知部4に直接到達する音波と、音響管10の内部から音圧検知部4に到達する音波の経路差△Lは以下の数3のようになる。
【0040】
【数3】

【0041】
従って、音圧Pと音圧Pの位相差φは以下の数4のようになる。なおcは音速を示す。
【0042】
【数4】

【0043】
ここで、音圧Pの振幅Pと、音圧Pの振幅Pが等しい場合を考えると、上述した数1より、音圧検知部4のカンチレバー部16に加わる音圧Pは次の数5のようになる。
【0044】
【数5】

【0045】
従って音圧Pの振幅Pampは次の数6のように表すことができ、周波数f及び音源方向角度θの関数となるため、この音響センサ2が周波数fに依存する指向性を持つことが分かる。
【0046】
【数6】

【0047】
ここで、以下の数7に示すように、fL/cをα(以下、これを音響管長対波長比と呼ぶ)とし、L2/L1をβ(以下、これを音響管寸法比と呼ぶ)とすると、上述した数6の振幅Pampは以下の数8のように表すことができる。
【0048】
【数7】

【0049】
【数8】

【0050】
このように、この音響センサ2では、数7に示した音響管長対波長比α及び音響管寸法比βによって周波数fに対する指向性を設計することができる。
【0051】
ここで、音圧Pの振幅Pと、音圧Pの振幅Pが等しいとき音源方向による振幅Pampの変化が大きくなる。実際には、音響管が周波数特性を持ち、音圧Pの振幅Pが周波数fに応じて増減するため、音圧Pの振幅Pと、音圧Pの振幅Pが等しくならない場合が多い。しかしその場合も、音源方向による振幅Pampの変化の傾向は、音圧Pの振幅Pと、音圧Pの振幅Pが等しい場合と一致するため、上述の数8によって指向性を概算することが可能である。
【0052】
(3)音源方向の検出について
次に、上述したように周波数fに依存した指向性を有する音響センサ2を用いて、音源方向を検出する音源方向検出処理について説明する。
【0053】
(3−1)参照情報作製処理
この場合、音源方向検出装置1では、音源方向検出処理を実行する前提として、先ず始めに、図10に示すような第1の近似出力比曲線C1と第2の近似出力比曲線C2からなる参照情報T100を作製する必要がある。そこで、この参照情報T100を作製する参照情報作製処理について以下説明する。図8に示すように、音響センサ2では、音源方向角度θが90[deg]を境として指向性パターン20が左右対称の構造となることから、−90<θ<90[deg]の範囲内で参照情報T100を作製する。
【0054】
この場合、先ず始めに第1の周波数の音波を音源5から出力させ、音響センサにおいて第1の周波数に依存した第1の指向性パターンを形成させる。図11(a)に示しように、第1の指向性パターン20aとしては、音響管形成部7の開口形成面7aと同一平面上に、例えば開口間距離Lと直交方向(左右方向)側にヌルが配置された双指向性のパターンが形成され得る。そして、第1の周波数の音波を音源5から出力させた状態のまま、−90<θ<90[deg]の範囲内で、例えば5[deg]又は10[deg]等の所定角度△θ毎に音源5をずらしてゆき、各所定角度△θ毎に音圧検知部4の出力電圧を音源方向判断部3により測定する。
【0055】
なお、この際、上述した図2(A)及び(B)に示したように、音響センサ2では、当該音響センサ2に対して音源5の方向が変化すると、当該音源5の方向に応じて音圧検知部4の一面16aに入射する音波と、他面16bに入射する音波とに位相差が生じ、音圧検知部4で測定される出力電圧が変化し得るようになされている。
【0056】
次に、第1の周波数とは異なる第2の周波数の音波を音源から出力させ、音響センサ2において第1の指向性パターン20aと異なる指向性を有した第2の指向性パターンを形成させる。図11(b)に示しように、この第2の周波数に依存した第2の指向性パターン20bとしては、音響管形成部7の開口形成面7aと同一平面上に、例えば開口間距離Lの方向(前後方向)側にヌルが配置された双指向性のパターンが形成され得る。そして、第2の周波数の音波を音源5から出力させた状態のまま、−90<θ<90[deg]の範囲内で、上記と同様に所定角度△θ毎に音源5をずらしてゆき、各所定角度△θ毎に音圧検知部4の出力電圧を音源方向判断部3により測定する。
【0057】
また、第1の周波数及び第2の周波数とは異なる第3の周波数の音波を音源5から出力させ、音響センサ2において第1の指向性パターン20a及び第2の指向性パターン20bと異なる指向性を有した第3の指向性パターンを形成させる。図11(c)に示しように、この第3の周波数に依存した第3の指向性パターン20cとしては、音響管形成部7の開口形成面7aと同一平面上において、例えば入口部8側又は出口部9側のいずれか一方にだけヌルが配置された単一指向性のパターンを形成させ得る。そして、第3の周波数の音波を音源5から出力させた状態のまま、−90<θ<90[deg]の範囲内で、上記と同様に所定角度△θ毎に音源5をずらしてゆき、各所定角度△θ毎に音圧検知部4の出力電圧を音源方向判断部3により測定する。
【0058】
因みに、図11(a)、(b)及び(c)は、数7の音響管寸法比βを一定にし、周波数fを変化させて得られる指向性をシミュレーションした結果を示している。この場合、音響管寸法比β=3のとき、f=0.33/Lでヌルが左右方向の双指向性パターン(図11(a))が形成され、f=0.5/Lでヌルが前後方向の双指向性パターン(図11(b))が形成され、f=0.25/Lで単一指向性パターン(図11(c))が形成されることが確認できた。
【0059】
次いで、音源方向判断部3の参照情報作製部3cは、例えば第1の周波数の音波が音源5から出力されたときに測定された出力電圧(以下、これを第1の出力電圧と呼ぶ)を、第2の周波数の音波が音源5から出力されたときに測定された出力電圧(以下、これを第2の出力電圧と呼ぶ)で除算した第1の出力電圧及び第2の出力電圧の比(以下、これを第1の出力比と呼ぶ)を、各所定角度△θ毎に算出し、これら各所定角度△θとそのときの第1の出力比との関係を示した第1の近似出力比曲線C1を生成する。
【0060】
この実施の形態の場合、参照情報作製部3cは、図10に示すように、例えば縦軸に出力比をとると共に、横軸に音源方向角度θをとり、これら第1の出力比と各所定角度△θとをプロットしゆき、当該プロットされた点を近似的に結んだ曲線を生成し、これを第1の近似出力比曲線C1として記憶部3dに記憶し得るようになされている。
【0061】
次いで、参照情報作製部3cは、例えば第1の出力電圧を、第3の周波数の音波が音源5から出力されたときに測定された出力電圧(以下、これを第3の出力電圧と呼ぶ)で除算した第1の出力電圧及び第3の出力電圧の比(以下、これを第2の出力比と呼ぶ)を、各所定角度△θ毎に算出し、これら各所定角度△θとそのときの第2の出力比との関係を示した第2の近似出力比曲線C2を生成する。
【0062】
この実施の形態の場合でも、参照情報作製部3cは、図10に示すように、例えば縦軸に出力比をとると共に、横軸に音源方向角度θをとり、これら第2の出力比と各所定角度△θとをプロットしゆき、当該プロットされた点を近似的に結んだ曲線を生成し、これを第2の近似出力比曲線C2として記憶部3dに記憶し得るようになされている。このようにして参照情報作製部3cは、第1の近似出力比曲線C1及び第2の近似出力比曲線C2からなる参照情報T100を生成し、これを記憶部3dに予め記憶しておくようになされている。
【0063】
(3−2)音源方向検出処理
次に、このようにして作製した参照情報T100を用いて、実際に音源5の方向を検出する音源方向検出処理について以下説明する。ここで、検出対象たる音源5が音響センサ2に対してどの方向に存在しているかを検出する際には、参照情報T100を作製した際に用いた第1の周波数の音波と、第2の周波数の音波と、第3の周波数の音波がそれぞれ当該音源5から出力され得るようになされている。
【0064】
音響センサ2は、第1の周波数の音波が音源5から出力されると、第1の指向性パターン20aを形成し、音圧検知部4により出力電圧を測定し得るようになされている。音源方向判断部3は、第1の周波数の音波が音源5から出力されているときに音圧検知部4により測定された出力電圧を受け取り、当該出力電圧を第1の出力電圧として記憶部3dに記憶し得るようになされている。
【0065】
次に、音響センサ2は、第2の周波数の音波が音源5から出力されると、第2の指向性パターン20bを形成し、音圧検知部4により出力電圧を測定し得るようになされている。音源方向判断部3は、第2の周波数の音波が音源5から出力されているときに音圧検知部4により測定された出力電圧を受け取り、当該出力電圧を第2の出力電圧として記憶部3dに記憶し得るようになされている。
【0066】
また、音響センサ2は、第3の周波数の音波が音源5から出力されると、第3の指向性パターン20cを形成し、音圧検知部4により出力電圧を測定し得るようになされている。音源方向判断部3は、第3の周波数の音波が音源5から出力されているときに音圧検知部4により測定された出力電圧を受け取り、当該出力電圧を第3の出力電圧として記憶部3dに記憶し得るようになされている。
【0067】
次いで、算出部3aは、これら第1の出力電圧、第2の出力電圧及び第3の出力電圧を記憶部3dに記憶すると、第1の出力電圧及び第2の出力電圧を記憶部3dから読み出して、これら第1の出力電圧を第2の出力電圧で除算した第1の出力比を算出する。読出部3bは、図10に示すように、参照情報T100のうち第1の近似出力比曲線C1を読み出すと共に、第1の近似出力比曲線C1において第1の出力比Rと対応した第1の推定角度−θθ及びθθを読み出す。ここで、読出部3bは、第1の出力比Rに基づいて第1の近似出力比曲線C1から第1の推定角度−θθ及びθθの2つを読み出すことができるため、次の第2の出力比を利用して、これら2つの第1の推定角度−θθ及びθθのうちいずれかを特定し得るようになされている。
【0068】
この場合、算出部3aは、第1の出力電圧及び第3の出力電圧を記憶部3dから読み出して、これら第1の出力電圧を第3の出力電圧で除算した第2の出力比を算出する。読出部3bは、図10に示すように、参照情報T100のうち第2の近似出力比曲線C2を読み出すと共に、第2の近似出力比曲線C2において第2の出力比Rと対応した第2の推定角度−θ及びθθを読み出す。かくして、読出部3bは、これら第1の推定角度−θθ及びθθと、第2の推定角度−θ及びθθのうち、数値が一致している第1の推定角度θθ及び第2の推定角度θθが音源5の方向を示す音源方向角度θであると判断し得るようになされている。
【0069】
(4)動作及び効果
以上の構成において、音源方向検出装置1では、音源5から出力される音波の周波数によって指向性が変化する音響センサ2が設けられており、例えば第1の周波数の音波と第2の周波数の音波と第3の周波数の音波を出力する音源5を、音響センサ2を中心に所定角度△θ毎ずつ移動させ、第1の周波数と第2の周波数と第3の周波数のときにおける各所定角度△θでの出力電圧を音圧検知部4でそれぞれ測定する。
【0070】
また、音源方向検出装置では、音圧検知部4で測定された第1の出力電圧及び第2の出力電圧の比を表した第1の出力比と各所定角度△θとの関係を示した第1の近似出力比曲線C1と、音圧検知部4で測定された第1の出力電圧及び第3の出力電圧の比を表した第2の出力比と各所定角度△θとの関係を示した第2の近似出力比曲線C2とを生成し、これら第1の近似出力比曲線C1及び第2の近似出力比曲線C2を参照情報T100として予め保持しておく。
【0071】
その後、音源方向検出装置1では、第1の周波数の音波と第2の周波数の音波と第3の周波数の音波を出力する音源5の方向を検出するとき、第1の周波数の音波と第2の周波数の音波と第3の周波数の音波の各音波毎に、音圧検知部4によって第1の出力電圧、第2の出力電圧及び第3の出力電圧を測定する。
【0072】
音源方向検出装置1では、第1の出力電圧と第2の出力電圧の比である第1の出力比Rを算出し、第1の近似出力比曲線C1において当該第1の出力比Rと対応する音源方向角度θを第1の推測角度として読み出す。また、音源方向検出装置1では、第1の出力電圧と第3の出力電圧の比である第2の出力比Rを算出し、第2の近似出力比曲線C2において当該第2の出力比Rと対応する音源方向角度θを第2の推測角度として読み出し、そのうち第1の推測角度と数値が一致する第2の推測角度を、音源5の方向を示すと推測して音源方向角度θと判断する。
【0073】
このように音源方向検出装置1では、音響センサ2に設けられた1つの音圧検知部4によって音源5の方向を検出できることから、従来のように音源5から発せられる音波を検出するための電子部品たるセンサを複数個設ける必要がなく、その分だけ従来よりも簡易な構成にできる。
【0074】
また、音響管形成部7では、外部と連通した入口部8及び出口部9が開口形成面7aに所定の開口間距離L1を空けて形成され、かつ内部に形成された入口部8及び出口部9間の経路が当該開口間距離L1よりも長い音響管長さL2に選定された音響管10が形成されており、当該出口部9に音圧検知部4を配置するようにした。
【0075】
これにより音響管形成部7では、音源5から出力された音波が音圧検知部4の一面16aに直接入射すると共に、当該音波が音響管10を通過して音圧検知部4の他面16bにも入射することから、音源5の方向に応じて一面16aに入射する音波と、他面16bに入射する音波とに位相差を生じさせることができ、その結果、音圧検知部4で測定される出力電圧を音源5の方向に応じて変化させることができると共に、音源5から出力される周波数に応じて指向性を変化させることができる。
【0076】
また、この実施の形態の場合、音源方向検出装置1では、音源5から出力される音波の周波数に応じて、音響センサ2において基準軸xで非対称な単一指向性のパターンと、前後方向側にピークを有する双指向性のパターンと、左右方向側にピークを有する双指向性のパターンとが形成されるようにしたことにより、これら異なる指向性によって音響センサ2の周辺に存在する音源5の方向を確実に検出することができる。
【0077】
以上の構成によれば、音源5から出力される音波の各周波数毎に指向性を変化させると共に、各周波数毎に音波の強度を検知する音響センサ2を備え、当該音響センサ2で検知された各周波数毎の検知結果の出力比と、音源5の方向との関係を表した参照情報T100を記憶部3dに予め保持しておくようにした。また、音源方向検出装置では、音源5の方向を検出する際に、算出部3aで算出された出力比に対応した角度を、参照情報T100から推定角度として読み出すようにした。これにより音響センサ2に設けられた1つの音圧検知部4によって音源5の方向を検出できることから、従来のように音源5から発せられる音波を検出するための電子部品たるセンサを複数個設ける必要がなく、その分だけ従来よりも簡易な構成にできる。
【0078】
(5)他の実施の形態
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、音波が入射する入口部と、当該入口部から入射した音波が出射する出口部とを備えた音響管として、入口部8及び出口部9が外部と連通した音響管10を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、音波が入射する入口部8と、当該入口部8から入射した音波が出射する出口部9との間に、固体や、液体、空気と異なる性質を持つ気体(ヘリウムガス等)を設け、これら物質によって音響管10における音波の伝播状態を変え、上述した音源方向検出装置1と同様の効果を奏するようにしてもよい。なお、入口部8及び出口部9間に気体又は液体を充填する場合には、当該入口部8及び出口部9に蓋部材を設け、音響管10内に気体又は液体を密封するようにすればよい。また、この場合、音響管10における音波の伝播状態を変えることができれば、入口部8及び出口部9間の全部又は一部に、上述した物質を設けるようにしてもよい。
【0079】
さらに、他の実施の形態として、音響管形成部7に対して圧力を加える加圧手段や、音響管形成部7を加熱又は冷却して温度を変える温度変更手段等この他種々の音響管状態変更手段を設け、当該音響管状態変更手段によって音響管10における音波の伝播状態を変え、上述した音源方向検出装置1と同様の効果を奏するようにしてもよく、要は音響管状態変更手段によって、音響管10における音波の伝播を、空気中の音波の伝播とは異なる状態にできればよい。
【0080】
さらに、上述した実施の形態においては、第1の出力電圧を第2の出力電圧で除算した第1の出力比と、第1の出力電圧を第3の出力電力で除算した第2の出力比とを用いて参照情報T100を作製した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第2の出力電圧を第3の出力電圧で除算した第3の出力比を、第1の出力比又は第2の出力比のいずれか一方と替えて参照情報を作製したり、第1の出力比と第2の出力比と第3の出力比の3つを用いて参照情報を作製してもよい。
【0081】
さらに、上述した実施の形態においては、第1の周波数の音波と、第2の周波数の音波と、第3の周波数の音波を音源5から出力させ、これら3つの周波数毎に音波の出力電圧をそれぞれ測定して参照情報T100を作製するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、4つや5つ等この他複数の周波数の音波を音源5から出力させ、これら複数の周波数毎に音波の出力電圧を測定して参照情報T100を作製するようにしてもよい。
【0082】
さらに、上述した実施の形態においては、音響センサ2において単一指向性パターン及び2つの双指向性パターンが形成される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、超指向性パターン等この他種々の指向性パターンが形成されるようにしてもよい。また、図12に示すように、各周波数(例えば500Hz,1kHz,2kHz,4kHz)によって異なる感度を有する複数の単一指向性パターンを形成するマイクロホン(例えば株式会社オーディオテクニカ AT847Ra,AT847RWa)等を音響センサとして適用してもよく、この場合、音源方向検出装置1では、図13に示すような参照情報T200が作製され得る。
【0083】
例えば音源方向検出装置1は、2つの周波数の音波を出力させた音源5を、0<θ<180[deg](図12)の範囲内で所定角度△θでずらしてゆき、各所定角度△θ毎に音圧検知部の出力電圧を音源方向判断部3により測定する。次いで、参照情報作製部3cは、例えば第1の周波数の音波が音源5から出力されたときに測定された第1の出力電圧を、第2の周波数の音波が音源5から出力されたときに測定された第2の出力電圧で除算した第1の出力電圧及び第2の出力電圧の出力比を、各所定角度△θ毎に算出し、これら各所定角度△θとそのときの出力比との関係を示した近似出力比曲線C3を生成する(図13)。
【0084】
その後、音源方向検出装置1では、第1の周波数の音波と第2の周波数の音波を出力する所定の音源5の方向を検出するとき、第1の周波数の音波と第2の周波数の音波の各音波毎に、音響センサでの音圧を第1の出力電圧及び第2の出力電圧として測定する。次いで、音源方向判断部3は、第1の出力電圧と第2の出力電圧の比である出力比Rを算出し、近似出力比曲線C3において当該出力比Rと対応する音源方向角度θを推測角度θとして読み出し、当該推測角度θを音源5の方向を示す音源方向角度θであると判断する。この場合でも音源方向検出装置1では、音響センサに設けられた1つの音圧検知部によって音源5の方向を検出できることから、従来のように音源5から発せられる音波を検出するための電子部品たるセンサを複数個設ける必要がなく、その分だけ従来よりも簡易な構成にできる。
【0085】
さらに、上述した実施の形態においては、入口部8から出口部9へゆくに従って次第に断面幅が狭く形成されたエクスポネンシャルホーン形状の音響管10を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、経路の断面幅が入口部8から出口部9まで同一の大きさに形成された音響管や、経路の断面幅が入口部8から出口部9へゆくに従って次第に広く形成されたエクスポネンシャルホーン形状の音響管等この他種々の音響管を適用してもよい。
【0086】
さらに、上述した実施の形態においては、音響管形成部7の開口間距離Lや、音響管長さLを適宜変更してもよく、要は複数の異なる周波数の音波が音源5から出力されると、各周波数毎に指向性を変化させると共に、音圧検知部4において検知される音波の強度を各周波数毎に変化させることができればよい。
【0087】
さらに、上述した実施の形態においては、第1の周波数の音波と、第2の周波数の音波と、第3の周波数の音波とを音源5から時間間隔をずらして出力し、音圧検知部4において各周波数毎に出力電圧を測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1の周波数の音波と、第2の周波数の音波と、第3の周波数の音波とを合成した音波を音源5から出力し、音圧検知部4において測定される出力電圧を各周波数毎に成分分離して、各周波数毎の出力電圧を得るようにしてもよい。
【実施例】
【0088】
次に、音響センサ2において、周波数の異なる音波によって実際にどのような指向性パターンが形成されるかについて検証を行った。この場合、NC(数値)制御によるドリル加工を行うNC加工機を用いて、アクリル板でなる溝形成体13の平面部13aに音響管10となる溝を掘り、同じくアクリル板でなる蓋体14を当該溝形成体13の平面部13aに接着させることで音響管形成部7を製作した。また,音圧検知部4にはピエゾ抵抗カンチレバー型MEMS圧力センサを用いた。
【0089】
この音響管形成部7は、音響管10の入口部8及び出口部9の断面比D/dを1とし、開口間距離Lを17.6[mm]とし、音圧検知部4とそのプリント基板とそれらの接着に用いるテープ等の厚さを考慮して音響管長さLを50.0[mm]とした。そして、製作した音響センサ2の可聴域の指向性を計測した。この場合、音源5となるスピーカを固定し、当該スピーカから200[mm]離れた位置で音響センサ2を10[deg]ごとに回転させながら、100〜20000[Hz]の音波をスピーカから発生させ、音響センサ2の音圧から指向特性を得た。なお、音響センサ2で得られる音圧は、音圧検知部4で測定される音圧から換算した出力電圧と、予め測定した音圧検知部4のセンサ感度の周波数依存性から算出した。
【0090】
図14(A)〜(D)は、音響センサ2で得られた出力の最小値を0[dB]とし、周波数が6.9[kHz]、9.5[kHz]、5.1[kHz]、14.6[kHz]の音波のときの指向特性の検証結果を示している。図14(A)に示すように、周波数が6.9[kHz](0.36c/L、c=340[mm](以下同様))の音波では、ピークが前後方向側に形成された双指向性パターンが得られることが確認できた。また、図14(B)に示すように、周波数が9.5[kHz](0.49c/L)の音波ではピークが左右方向側に形成された双指向性パターンが得られることが確認できた。
【0091】
さらに、図14(C)に示すように、周波数が5.1[kHz](0.26c/L)の音波では0[deg]の基準軸に対して非対称な単一指向性パターンが得られることが確認できた。また、図14(D)に示すように、周波数が14.6[kHz](0.76c/L)の音波では3方向に感度の良好なピークがあり、0[deg]の基準軸に対して非対称な指向性パターンが得られることが確認できた。
【0092】
また、非対称な指向性パターン(図14(C)及び(D))の出力の変化は双指向性パターン(図14(A)及び(B))に比べて小さかった。これは、音波の周波数が音響管10の共鳴周波数(2次:4.9[kHz]、5次:15[kHz])に近く、音圧検知部4の他面にかかる音圧が増幅され、干渉による圧力の変化が小さくなったからと考えられる。
【0093】
次に、製作した音響センサ2を利用して、実際に音源5の方向を検出することができるか検証を行った。この検証実験は、周波数が5.1[kHz]、6.9[kHz]、9.5[kHz]及び14.6[kHz]の音波を、固定したスピーカから出力し、音響センサ2における指向性パターンの対称性を考慮して、−90<θ<90[deg]の範囲内で10[deg]間隔で音響センサ2を回転させてゆき、10[deg]毎に音圧検知部4における出力電圧を測定し、当該出力電圧を基に音波の音圧を算出した。次いで、6.9[kHz]及び9.5[kHz]の音波と、6.9[kHz]及び5.1[kHz]の音波と、6.9[kHz]及び14.6[kHz]の音波に対する音響センサ2の各出力比を、10[deg]間隔で求めた。
【0094】
その結果、図15(A)及び(B)に示すような結果が得られた。図15(A)では、6.9[kHz]及び9.5[kHz]の音波に対する音響センサ2の出力比を示しており、図15(B)では、6.9[kHz]及び5.1[kHz]の音波と、6.9[kHz]及び14.6[kHz]の音波に対する音響センサ2の出力比を示している。そして、これら出力比の変化傾向を示した近似的な曲線たる近似出力比曲線(図示せず)をそれぞれ生成して参照情報を作製した。
【0095】
次に、この参照情報から推測される音源方向角度θがどの程度正確であるかを検証した。具体的には、周波数が5.1[kHz]、6.9[kHz]、9.5[kHz]及び14.6[kHz]の音波を、固定したスピーカから出力し、同じく−90<θ<90[deg]の範囲内で10[deg]間隔で音響センサを回転させてゆき、10[deg]毎に音圧検知部4における音圧を測定した。
【0096】
この測定結果から、6.9[kHz]及び9.5[kHz]の音波と、6.9[kHz]及び5.1[kHz]の音波と、6.9[kHz]及び14.6[kHz]の音波に対する音響センサ2の出力比を10[deg]毎に求め、参照情報において、これら出力比と対応した音源方向角度θを推定角度として読み出した。次いで、この推定角度と、実際のスピーカの方向を示す角度とを比較したところ、6.9[kHz]及び9.5[kHz]の音波の出力比を用いた場合には、推定角度と、実際のスピーカの方向を示す角度との誤差が平均4.7[deg]であった。
【0097】
続いて、参照情報において、6.9[kHz]及び5.1[kHz]の音波の出力比と対応した音源方向角度θを、推定角度として読み出した結果を図16(A)に示す。また、6.9[kHz]及び14.6[kHz]の音波の出力比と対応した音源方向角度θを、推定角度として読み出した結果を図16(B)に示す。この際、推定角度が実際のスピーカの方向を示す角度と誤っている点(図中「不正確な推定角度」と表示する)が存在したが、それぞれ異なる角度で誤っていることが確認できたことから、3種類以上の非対称な指向性パターンを用い、多数決によって正確な推定角度を選択できると考えられる。
【0098】
因みに、音響管10の入口部8及び出口部9の断面比D/dを1、開口間距離Lを17.56[mm]、音響管長さLを27.37[mm]に選定した音響管形成部7を用い、音波の周波数が11.2[kHz](数7の音響管長対波長比α=0.58)、14.8[kHz](数7の音響管長対波長比α=0.76)、17.0[kHz](数7の音響管長対波長比α=0.88)のときの各指向性パターンについて調べたところ、図17(A)〜(C)に示すような結果が得られ、それぞれピークが2方向、3方向、4方向となる異なる指向性パターンが得られることが確認できた。
【0099】
次に、音響管10の入口部8及び出口部9の断面比D/dを1とし、音波の周波数を12.5[kHz]とし、開口間距離Lと音響管長さLを変更することで、音響センサ2での指向性パターンがどのように変化するかを検証した。ここでは、図18(A)に示すような開口間距離Lを35.12[mm]、音響管長さLを54.74[mm]に選定した音響管形成部30aと、図18(B)に示すような開口間距離Lを17.56[mm]、音響管長さLを27.37[mm]に選定した音響管形成部30bと、図18(C)に示すような開口間距離Lを8.98[mm]、音響管長さLを13.69[mm]に選定した音響管形成部30cの3種類を用いた。
【0100】
開口間距離Lが8.98[mm]の音響管形成部30cでは、数7の音響管長対波長比αが0.32となり、図19(A)に示すようなピークが2方向の双指向性パターンが形成されることが確認できた。また、開口間距離Lが17.56[mm]の音響管形成部30bでは、数7の音響管長対波長比αが0.65となり、図19(B)に示すようなピークが2方向の指向性パターンが形成されることが確認できた。また、開口間距離Lが35.12[mm]の音響管形成部30aでは、数7の音響管長対波長比αが1.30となり、図19(C)に示すようなピークが6方向の指向性パターンが形成されることが確認できた。このように、音波の周波数が同じであっても、開口間距離L及び音響管長さLの相違によって指向性パターンが異なることが確認できた。
【0101】
次に、数7の音響管長対波長比αの値を一定としつつ、当該音響管長対波長比αにおける周波数の値fと、開口間距離Lを変更させたときに指向性パターンがどのようになるか検証した。具体的には、音波の周波数を20[kHz]とし、開口間距離Lを8.78[mm]として音響管長対波長比αを0.52としたときと、音波の周波数を10[kHz]とし、開口間距離Lを17.56[mm]として音響管長対波長比αを上述と同じ0.52としたときと、音波の周波数を5[kHz]とし、開口間距離Lを35.12[mm]として音響管長対波長比αを上述と同じ0.52としたときの各指向性パターンを調べたところ、図20に示すような結果が得られた。図20の結果から、音響管長対波長比αが同じ場合には指向性パターンのピークの数と、当該ピークの方向とが同じになることが確認できた。また音響管形成部7を小型化しても音波の周波数を上げることで指向性が保たれることが確認できた。
【0102】
次に、音響管長さLを変化させたときに、どのような指向性パターンが得られるかについて検証を行った。具体的には、音波の周波数を18.6[kHz]とし、音響管10の入口部8及び出口部9の断面比D/dを1とし、開口間距離Lを17.56[mm]とした。そして、図21(A)に示すように、音響管長さLを19.1[mm](音響管寸法比β=1.09)とした音響管形成部40aと、図21(B)に示すように、音響管長さLを23.3[mm](音響管寸法比β=1.32)とした音響管形成部40bと、図21(C)に示すように、音響管長さLを27.4[mm](音響管寸法比β=1.56)とした音響管形成部40cの3種類を用いた。
【0103】
この場合、音響管長さLが19.1[mm]の音響管形成部40aでは図22(A)に示すような指向性パターンとなり、音響管長さLが23.3[mm]の音響管形成部40bでは図22(B)に示すような指向性パターンとなり、音響管長さLが27.4[mm]の音響管形成部40cでは図22(C)に示すような指向性パターンとなることが確認できた。これより音響管長さLが大きくなるに従って指向性パターンの一部のピークが90[deg]の方へ向って動かすことができることが確認できた。
【符号の説明】
【0104】
1 音源方向検出装置
2 音響センサ
3a 算出部(算出手段)
3b 読出部(読出手段)
3d 記憶部(記憶手段)
4 音圧検知部(検知手段)
7 音響管形成部(指向性可変手段)
8 入口部
9 出口部
10 音響管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源の方向を検出する音源方向検出装置において、
前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波を受波し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する音響センサと、
前記音響センサで検知された各前記周波数毎の検知結果の出力比と、前記音源の方向との関係を表した参照情報を予め記憶した記憶手段と、
各前記周波数毎に音波の強度を前記音響センサで検知すると、各前記周波数毎の検知結果を基に前記出力比を算出する算出手段と、
前記記憶手段に記憶された前記参照情報を参照し、前記算出手段で算出された前記出力比と対応した前記方向を、前記音源の方向を示す推定角度として読み出す読出手段と
を備えることを特徴とする音源方向検出装置。
【請求項2】
前記音響センサは、
前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波の各強度を検知する検知手段と、
前記音源から異なる周波数の音波が出力されると、前記検知手段における指向性を各前記周波数毎に変化させる指向性可変手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の音源方向検出装置。
【請求項3】
前記指向性可変手段は、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とが所定の開口間距離を空けて形成され、かつ前記入口部及び前記出口部間の経路が前記開口間距離よりも長い音響管長さに選定された音響管が形成されており、前記出口部に前記検知手段が設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の音源方向検出装置。
【請求項4】
前記音響管には、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間に前記音波の伝播状態を変える物質が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の音源方向検出装置。
【請求項5】
前記音響管には、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間における前記音波の伝播状態を変えるための音響管状態変更手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の音源方向検出装置。
【請求項6】
前記音響センサは、前記音源から出力される音波の周波数に応じて、単一指向性パターンと、感度のピークが異なる方向に配置された2つの双指向性パターンとを少なくとも形成する
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の音源方向検出装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、
前記複数の周波数の音波のうち2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第1の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第1の出力比曲線と、
前記第1の出力比で用いた前記周波数の音波の対と異なる組み合わせの2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第2の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第2の出力比曲線とを、前記参照情報として記憶しており、
前記算出手段は、
前記音源の方向を検出する際、該音源から出力される複数の周波数の音波から前記第1の出力比と前記第2の出力比とを算出し、
前記読出手段は、
前記算出手段で算出した前記第1の出力比に対応した第1の推定角度を前記第1の出力比曲線から読み出し、前記算出手段で算出した前記第2の出力比に対応し、かつ前記第1の推定角度と一致した第2の推定角度を前記第2の出力比曲線から読み出す
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の音源方向検出装置。
【請求項8】
前記音響センサは、
前記複数の周波数を合成した音波を各前記周波数毎に成分分離し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の音源方向検出装置。
【請求項9】
音源の方向を検出する音源方向検出方法において、
音響センサによって、前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波を受波し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する検知ステップと、
各前記周波数毎に音波の強度を前記音響センサで検知すると、算出手段によって、各前記周波数毎の検知結果を基に該検知結果の出力比を算出する算出ステップと、
読出手段によって、前記音響センサで検知された各前記周波数毎の検知結果の出力比と、前記音源の方向との関係を表した参照情報が予め記憶された記憶手段から前記参照情報を読み出し、前記算出ステップで算出された前記出力比と対応する前記方向を、前記参照情報を基に、前記音源の方向を示す推定角度として読み出す読出ステップと
を備えることを特徴とする音源方向検出方法。
【請求項10】
前記検知ステップに用いる音響センサは、
前記音源から出力される複数の異なる周波数の音波の各強度を検知手段で検知し、
前記音源から異なる周波数の音波が出力されると、指向性可変手段によって前記検知手段における指向性を各前記周波数毎に変化させる
ことを特徴とする請求項9記載の音源方向検出方法。
【請求項11】
前記指向性可変手段は、前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とが所定の開口間距離を空けて形成され、かつ前記入口部及び前記出口部間の経路が前記開口間距離よりも長い音響管長さに選定された音響管を、前記音波が通過して前記出口部に設けられた前記検知手段に到達すると供に、外部から前記音波が前記検知手段に到達する
ことを特徴とする請求項10記載の音源方向検出方法。
【請求項12】
前記検知ステップでは、
前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部との間に物質が設けられている前記音響管を前記音波が通過し、前記物質によって該音波の伝播状態が変わる
ことを特徴とする請求項9又は10記載の音源方向検出方法。
【請求項13】
前記検知ステップでは、
前記音波が入射する入口部と、前記入口部から入射した前記音波が出射する出口部とを備える前記音響管を前記音波が通過し、音響管状態変更手段によって、前記音響管を通過する前記音波の伝播状態が変わる
ことを特徴とする請求項9又は10記載の音源方向検出方法。
【請求項14】
前記検知ステップに用いる音響センサは、前記音源から出力される音波の周波数に応じて、単一指向性パターンと、感度のピークが異なる方向に配置された2つの双指向性パターンとを少なくとも形成する
ことを特徴とする請求項9乃至13のうちいずれか1項記載の音源方向検出方法。
【請求項15】
前記複数の周波数の音波のうち2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第1の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第1の出力比曲線と、
前記第1の出力比で用いた前記周波数の音波の対と異なる組み合わせの2つの周波数の音波を基に前記音響センサで検知された各検知結果の比を示す第2の出力比が、前記音源の方向に対応付けられた第2の出力比曲線とを、参照情報として前記記憶手段に記憶する記憶ステップを備え、
前記算出ステップは、
前記音源の方向を検出する際、該音源から出力される複数の周波数の音波から前記第1の出力比と前記第2の出力比とを算出し、
前記読出ステップは、
前記算出ステップで算出した前記第1の出力比に対応した第1の推定角度を前記第1の出力比曲線から読み出し、前記算出手段で算出した前記第2の出力比に対応し、かつ前記第1の推定角度と一致した第2の推定角度を前記第2の出力比曲線から読み出す
ことを特徴とする請求項9乃至14のうちいずれか1項記載の音源方向検出方法。
【請求項16】
前記検知ステップは、
前記音響センサによって、前記複数の周波数を合成した音波を各前記周波数毎に成分分離し、各前記周波数毎に前記音波の強度を検知する
ことを特徴とする請求項9乃至15のうちいずれか1項記載の音源方向検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図18】
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【図21】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−59050(P2011−59050A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211683(P2009−211683)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】