説明

音響装置

駆動電源として太陽電池を用い、太陽光の供給が途絶えたり、復帰したりした場合に、できるだけユーザに不便を与えない再生を行うオーディオプレーヤを提供するために、オーディオプレーヤ10は、音声データが記録されている記録媒体100、記録媒体100に記録された音声データを再生す
る再生装置101、記録媒体100を読み込む再生装置101に電力を供給する駆動電源モジュール102、太陽光等を電力に変換する太陽電池103、再生装置101が再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するメモリ104を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電源として太陽電池を備えた音響装置に関し、特に、持ち運びが容易な携帯型オーディオプレーヤ等の音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型オーディオプレーヤの駆動電源は、小型の乾電池か充電池が用いられているが、近年においては、機器の省電力化技術が向上し、例えば、単4乾電池1本で数十時間の連続再生が可能なオーディオプレーヤが商品化されている。
【0003】
また、近年においては太陽光発電の技術も向上し、直射日光を照射することにより、太陽電池を用いて再生を行うことが可能な携帯型オーディオプレーヤが実現しつつあるが、例えば、音声を再生する装置の駆動電源としてこれを用いるような特許出願がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
上記特許文献1においては、太陽電池と、当該太陽電池によって充電される充電式バッテリーとを駆動電源として音声を出力するソーラーバッテリー式音声ガイド装置が開示されている。
【0005】
また、上記特許文献2においては、オーディオプレーヤを帽子と一体化し、太陽電池を当該帽子のつばの部分に組み込み、当該太陽電池を駆動電源として用いる帽子一体型音響装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−51480号公報
【特許文献2】特開2002−291084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、電力供給が途絶えた後、機器の動作を再開した場合、電力供給が途絶えた時の再生状態が失われてしまうので、電力供給が途絶えた時の状態から再生を再開することができない。即ち、ひとたび電力供給が不足すると、それが復帰した場合でも、今まで聴いていた楽曲の続きから聴くことができない。特に、太陽電池を駆動電源として用いている場合には、電力供給状態が乾電池や充電池などに比べて不安定であるので、上記によってユーザが再生使用時に被る不便は甚だしい。
【0007】
また、上記特許文献2のような構成では、音響装置の外観の柔軟性がないので、太陽光の供給を効率的に受けるためには、帽子のつばを太陽の方向に向けなくてはならないという課題がある。即ち、一定の太陽光を受けるためには帽子のつばの方向を常に意識する必要があり、例えば、朝、東向きに歩いているときは良いが、夕方、東向きに歩いているときは、帽子を逆向きにかぶる等、ユーザの当該音響装置の使用時における利便性の面での問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、駆動電源として太陽電池を用い、いったん電力の供給が不足して再生が停止した場合でも、再度電力の供給が復活した際に、電力の供給が不足した再生時点から再生できる音響装置を提供することを第一の目的とする。
【0009】
また、太陽光の受光が少なくなる等により電力の供給が不足しかかった場合において、再生品質を制御して、できるだけ音切れを防止することができる音響装置を提供することを第二の目的とする。
【0010】
さらに、駆動電源として太陽電池を用いながらも外観の柔軟性をもった音響装置を提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る音響装置は、駆動電源モジュールとして太陽電池を備えた音響装置であって、音声データが記録された記録媒体と、前記記録媒体に記録された音声データを再生する再生手段と、前記再生手段が再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するメモリと、前記メモリに前記再生位置情報を格納するタイミングを決定して、前記再生位置情報を前記メモリに記録する記録手段とを備え、前記再生手段は、前記太陽電池からの電力供給が不足したときは再生を停止し、前記太陽電池からの電力供給が復帰した場合には前記メモリに記録されている前記再生位置情報に基づいて再生を再開することを特徴とする。
【0012】
この構成により、再生手段は電力供給が不足したときは再生を停止し、電力供給が復帰した場合、再生手段はメモリに格納されている再生位置情報を読み込むことにより、再生が停止した時点からの再生を再開することができる。
【0013】
また、本発明に係る音響装置の前記駆動電源モジュールは、充電池又は乾電池をさらに備え、前記メモリは、少なくとも前記充電池又は前記乾電池からの電力供給を受けることを特徴とする。
【0014】
この構成により、記録手段によりメモリに記録される再生位置情報が充電池又は乾電池によって保持される。
【0015】
また、本発明に係る音響装置は、さらに、前記駆動電源モジュールによって供給される電圧レベル、電流レベル、及び電力レベルの少なくとも1つを検出する検出手段を備え、前記記録手段は、前記検出手段によって検出された値が所定値を下回った場合において、前記メモリに前記再生位置情報を記録することを特徴とする。
【0016】
この構成により、記録手段は、検出手段において電力供給が不足したと検出された場合のみ、メモリに再生位置情報を格納すれば良い。
【0017】
また、本発明に係る音響装置が備える記録手段は、前記充電池又は前記乾電池からの電力供給が不足する前に、前記メモリに、前記再生位置情報を記録することを特徴とする。
【0018】
この構成により、充電池又は乾電池からの電力供給がある間に、メモリに再生位置情報が記録される。
【0019】
また、本発明に係る音響装置が備える再生手段は、少なくとも、前記検出手段における検出値が所定値以上の場合には第一再生モードを用いて再生を行い、前記検出手段における検出値が前記所定値未満の場合には前記第一再生モードよりも再生時の消費電力が少ない第二再生モードで再生を行うことを特徴とする。
【0020】
この構成により、再生手段は、通常再生モードである第一再生モードと省電力再生である第二再生モードの2モードにおいて再生を行うことができ、電力供給が不足の場合でも、音切れをできるだけ防止することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る音響装置の前記第一再生モードは、再生帯域拡大技術を用いた再生であり、前記第二再生モードは、再生帯域拡大技術を用いない再生であることを特徴とする。さらに、前記再生帯域拡大技術を用いた再生は、MPEG規格AAC+SBR方式の再生であり、前記再生帯域拡大技術を用いない再生は、MPEG規格AAC方式の再生であることを特徴とする。
【0022】
これらの構成により、電力供給が不足の場合、高域の再生をしない再生帯域拡大技術を用いて再生することで音切れをできるだけ防止することができ、また、電力供給が不足する場合においては、AAC+SBR方式でなくAAC方式の再生にすることで音切れをできるだけ防止することができる。
【0023】
また、本発明に係る音響装置の前記第一再生モードは、低周波数成分を再生する再生であり、前記第二再生モードは、低周波数成分を再生しない再生であることを特徴とする。
【0024】
この構成により、電力供給が不足の場合において、低周波成分を再生しないことで、再生時に音切れをできるだけ防止することができる。
【0025】
また、本発明に係る音響装置の前記第一再生モードは、立体音響処理を伴った再生であり、前記第二再生モードは、立体音響処理を伴わない再生であることを特徴とする。
【0026】
この構成により、電力供給が不足の場合において、立体音響処理を伴った再生をしないことで、再生時の音切れをできるだけ防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る音響装置が備える充電池又は乾電池は、前記メモリに、前記再生位置情報を格納するために必要な時間をTとした時、前記太陽電池からの電力供給が不足したときに、少なくとも前記T時間は電力を供給できる容量を有することを特徴とする。
【0028】
この構成により、音響装置に使用する充電池又は乾電池の容量を極めて小容量とすることが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る音響装置は、さらに、前記太陽電池から供給される電力を充電する充電手段を備え、前記再生手段は、前記充電手段から電力供給を受けて前記再生を行うことを特徴とする。
【0030】
この構成により、再生装置が充電手段からの電力供給を受けるので、駆動電源モジュールとして太陽電池を用いる場合においても、安定した再生が行えることとなる。
【0031】
また、本発明に係る音響装置の前記駆動電源モジュールは、平面的に構成され、前記太陽電池は、前記駆動電源モジュールの表裏両面に貼り付けられることを特徴とする。さらに、本発明に係る音響装置の前記駆動電源モジュールは、多面体で構成され、前記太陽電池は、前記多面体の少なくとも1部の表面に貼り付けられることを特徴とする。
【0032】
これらの構成により、平面的又は多面的に構成された電源モジュールの表面に太陽電池が配置されているので、集光効率が高まることとなる。
【0033】
また、本発明に係る音響装置は、さらに、前記再生手段で再生された音声データを出力するヘッドホンを有し、前記ヘッドホンと前記再生手段とを結ぶケーブルに前記太陽電池が装着されていることを特徴とする。
【0034】
この構成により、ヘッドホンのケーブルに取り付けられた太陽電池を移動させることによって、太陽光の供給を受け易くすることができる。
【0035】
また、本発明にかかる音響装置は、さらに、前記再生手段で再生された音声データを出力するヘッドホンを備え、前記太陽電池と前記ヘッドホンとは一体化するように接続されていることを特徴とする。
【0036】
この構成により、ヘッドホン装着時、太陽電池が耳元或いは頭部に露出するので、太陽電池は電力供給を受け易くなる。
【0037】
また、本発明に係る音響装置の前記記録媒体及び前記メモリは、不揮発性の半導体メモリであることを特徴とする。
【0038】
この構成により、記録媒体に不揮発性の半導体メモリを用いることにより小型化できる。また、メモリは、不揮発性の半導体メモリを用いることにより電力供給不足が長時間続いた場合でも、メモリに記録されている再生位置情報が失われず、再生手段はメモリを読み込むことにより、再生停止した再生位置からの再生を復帰することができる。
【0039】
また、本発明に係る音響装置は、さらに、前記駆動電源モジュールを所望の位置に固定するための止め具を備えることを特徴とする。
【0040】
この構成により、止め具により太陽電池を所望の位置に固定でき、さらに太陽電池に対しての集光効率を高くすることが可能となる。
【0041】
尚、前記目的を達成するために、本発明は、音響装置の特徴的な手段をステップとする再生方法として実現したり、コンピュータに各ステップを実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を通じて配信することができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る音響装置は、太陽電池を用いながらも、電力供給が不足した時においても、
停止した再生位置からの再生を開始したり、再生モードを変更することで再生状態を確保することが可能となる。
【0043】
また、太陽電池を様々な形状や形態として、携帯型オーディオプレーヤ等の音響装置においても集光効率を向上させて電力供給を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
[図1]図1は実施の形態1に係るオーディオプレーヤの外観図。
[図2]図2は実施の形態1におけるオーディオプレーヤの構成を示す図。
[図3]図3は実施の形態1に係るオーディオプレーヤの再生時における動作手順を示すフローチャート。
[図4]図4はオーディオプレーヤが太陽電池からの電力を充電するための充電池を備えている場合の機能ブロック図。
[図5]図5は実施の形態1に係るオーディオプレーヤの機能構成図。
[図6]図6は実施の形態1に係るオーディオプレーヤの構成の変形例。
[図7]図7はケーブルに止め具を備えたオーディオプレーヤの参考図。
[図8]図8(a)は円筒形の多面体の胴の部分に太陽電池が張り付けられている参考図。図8(b)は立方体の表面に太陽電池が張り付けられている参考図。
[図9]図9(a)は太陽電池の表面に取り外し可能に装着される集光レンズの説明図。図9(b)は実施の形態1に係るオーディオプレーヤ専用置き台の外観図。
[図10]図10は実施の形態2におけるオーディオプレーヤの機能構成を示す図。
[図11]図11は実施の形態2の記録媒体に記録される音声データのデータ構成図。
[図12]図12は実施の形態2に係るオーディオプレーヤの再生動作手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
10−14 オーディオプレーヤ
100 記録媒体
101 再生装置
102 駆動電源モジュール
103 太陽電池
104 メモリ
105 充電池
106 検出装置
107 ヘッドホン
601 ケーブル
701 止め具
702,703 太陽電池
901 集光レンズ
903 オーディオプレーヤ専用置き台
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態におけるオーディオプレーヤについて図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係るオーディオプレーヤ10の外観図を示す。
【0047】
オーディオプレーヤ10は、駆動電源として太陽電池を備えており、太陽電池からの電力供給により音楽等の再生処理を行う装置である。
【0048】
図2は、本実施の形態1におけるオーディオプレーヤ10の機能構成を示す図である。
オーディオプレーヤ10は、駆動電源として太陽電池を用いて音楽等を再生する音響装置であって、音声データが記録されている記録媒体100、記録媒体100に記録された音声データを再生する再生装置101、再生装置101に電力を供給する駆動電源モジュール102、太陽光等を電力に変換する太陽電池103、再生装置101が再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するメモリ104を備える。
【0049】
以上のように構成されたオーディオプレーヤ10の動作について以下説明する。図3は、本実施の形態1に係るオーディオプレーヤ10の再生時における動作手順を示すフローチャートである。尚、記録媒体100には、音源としての音声データが格納されている。記録媒体100は、例えば半導体メモリカードであり、音声データはデジタル的に圧縮符号化された信号であることが、機器の小型化、低コスト化のために好ましい。また、記録媒体100はハードディスクや光ディスク等のディスク媒体でもよく、音声信号は非圧縮のPCM信号でもよい。
【0050】
まず、再生装置101は、記録媒体100に記録された音声データを読み出し、再生する(S301)。例えば、再生装置101から記録媒体100に対し、音声データを逐次読み出すためのアドレスを送出し、該アドレスに基づいて読み出された音声データを再生装置101が受け取り音声データを再生する。
【0051】
ここで、音声データが圧縮符号化された信号の場合は、再生装置101は、圧縮符号化された信号を復号化する。例えば、AAC(Advanced Audio Coding)方式で圧縮符号化された信号であれば、AACの復号化手順(ISO13818−7)に従って復号化する。勿論、必ずしもAACである必要はなく、MP3等の方式でもよいし、非圧縮のPCM信号でもよい。
【0052】
さらに、再生装置101は、再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を、逐次、メモリ104に記録する(S302)。ここで再生位置情報は、例えば、再生装置101が、記録媒体100から音声データを読み出しているアドレス、或いは、当該アドレスと関連付けられている符号(タグ情報など)でよい。或いは、現在再生しているコンテンツの(音楽データの場合は曲の)識別記号でもよい。
【0053】
一方、駆動電源モジュール102は、太陽電池103を有しており、記録媒体100、再生装置101、メモリ103に電力を供給する。
【0054】
ここで、駆動電源は、太陽電池であるので、その電力供給量は、必ずしも常に安定しているわけではなく、光量によって変動するので、突然オーディオプレーヤの動作が停止してしまう恐れがある。逆に、非常に短時間に電力供給量が復帰する可能性もある。
【0055】
そして、電力不足で再生が停止して(S303でY)、そのご電力供給が復帰した場合には(S304でY)、その場合、先ほどまで聴いていた音声データの続きを(或いは先ほどまで聴いていた音声データの先頭から)再生するために、再生装置101は、メモリ104に記録されている再生位置情報を取得し(S305)、当該再生位置情報に基づいて、音声データの再生を続行する(S306)。この場合、勿論、メモリ104は、例えばフラッシュメモリ等の電力供給が停止してもデータを保持し続けられる不揮発性のメモリであることが望ましいが、下記の図4に示すような構成でもよい。尚、電力不足が生じない場合(S303でN)には、S302の再生位置情報をメモリに逐次記録する処理を行い、電力不足が生じても電力供給が復帰しない場合においては(S304でN)、再生は再開しないために処理を終了する。
【0056】
図4は、オーディオプレーヤ11が太陽電池103からの電力を充電するための充電池105を備えている場合の機能ブロック図である。
【0057】
即ち、図4における駆動電源モジュール102が、充電池105も内蔵しており、太陽電池103からの発電量が不足した場合は、充電池105によって、メモリ104の再生位置情報を保持することができる。勿論、充電池105から供給される電力は、記録媒体100、再生装置101に供給され、太陽電池103からの発電量が不足した場合でも再生を続行するように構成してもよい。また、充電池105は、乾電池などでもよいことは言うまでもない。
【0058】
また、本実施の形態では、メモリ104に常に再生位置情報を格納する処理を行っていたが、図5に示すオーディオプレーヤ12のように、駆動電源モジュール102によって供給される電圧レベル、電流レベル、或いは電力レベルを検出する検出装置106を備え、検出装置106によって検出された電力値が所定の電力値を下回った場合においてのみ、メモリ104に再生位置情報を格納するようにしてもよい。この構成により、図2に示すオーディオプレーヤ10のように、電力供給状態に関係なく再生位置情報を常にメモリ104に書き込む処理を行う必要がなくなる。
【0059】
また、この構成の場合は、充電池105の容量は、最低限、メモリ104に再生位置情報を書き込む時間だけ電力を供給できる能力があればよいため、極めて安価で小容量の充電池で良いこととなる。
【0060】
また、上記説明したようなオーディオプレーヤは、ヘッドホンと組み合わせて携帯機器として用いられる場合があり、図6は、本実施の形態1に係るオーディオプレーヤ13の構成の変形例を示している。
【0061】
図6に示すように、太陽光を効率的に受光するには、ヘッドホン107と再生装置101とを結ぶケーブル601に駆動電源モジュール102及び太陽電池103を装着することが望ましい。ケーブル601は、ヘッドホン装着時でも位置の変更が容易であるので、駆動電源モジュール102を太陽光を受けやすい方向に適宜移動でき、効率的に太陽光による電力の供給を受けることが可能となる。
【0062】
図7は、ケーブル601に止め具701を備えたオーディオプレーヤの参考図を示している。このように、太陽光を受けやすい方向に駆動電源モジュール102を固定するための止め具701を備えるため、例えばネクタイピンによってネクタイの位置を固定するように止め具701によって駆動電源モジュール102を固定してもよい。この構成により、太陽電池601に対してより効率的に太陽光の集光を行うことが可能となる。
【0063】
さらに、駆動電源モジュール102を、平面的に構成し、表裏両面に太陽パネルを配置することによって、集光の効率を上げてもよい。図8は、本実施の形態に係るオーディオプレーヤに備えられる太陽電池の様々な形状を説明するための参考図である。
【0064】
本図において、駆動電源モジュールを多面体で構成し、その少なくとも一部の表面に太陽パネルを配置することによって、集光の効率を上げてもよい。図8(a)は、円筒形の多面体の胴の部分に太陽電池702が張り付けられている参考図を示している。図8(b)は、立方体の表面に太陽電池703が張り付けられている参考図を示している。勿論、これ以外にも太陽電池の形状をダイヤモンド形の立体にするなど、集光効率と外観のよさを併せ持つ形状にすることも可能であることは言うまでもない。
【0065】
図9は、太陽電池への集光効率を向上させるための集光レンズを備える駆動電源モジュールの参考図である。
【0066】
図9(a)は、太陽電池103の表面に取り外し可能に装着される集光レンズ901の説明図である。集光レンズ901は、太陽電池103に固定具902を用いて固定され、光を太陽パネルに集光する位置に取り付けられる。即ち、オーディオプレーヤを使用しているときや使用していないときにおいて、集光レンズ901を用いることにより太陽光を効率的に太陽電池に集光して充電効率を向上させることができる。
【0067】
また、図9(b)は、本実施の形態1に係るオーディオプレーヤの専用置き台の外観図を示している。専用置き台903には、太陽光の集光効率を向上させるための集光レンズ903aが備えられており、不使用時においてオーディオプレーヤを収納凹部903bに載置しておくことにより、効率的に太陽電池に充電することが可能となる。
【0068】
以上の説明のように、本実施の形態に係るオーディオプレーヤは、音声信号の再生位置情報を記録するメモリ104を設けることによって、電力供給が一旦不足した後に復帰した際は、当該再生位置情報に基づいて再生を再開させることで、リスナーは電力供給が途切れた後復帰した際、音声データの続きから聴くことができることができ、できるだけリスナーに不便を与えないこととできる。
【0069】
また、本実施の形態に係るオーディオプレーヤは、電力レベルを検出して、所定の電力レベルを下回った場合においてのみ再生位置をメモリ104に記録するようにするため、再生位置情報を逐次記録する必要がなくなり、より効率的に電力の消費を行うことが可能となる。
【0070】
さらに、本発明に係るオーディオプレーヤが備える太陽電池の形状を平面的や立体的な多面体にすることにより、太陽光の供給を受けやすい外観を備えたオーディオプレーヤとして、集光効率を向上させて、より効率的に太陽電源を用いる事が可能となる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2におけるオーディオプレーヤについて図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態2に係るオーディオプレーヤは、電力レベルを検出する検出装置を備え、再生装置では検出装置において検出された電力レベルに応じた再生モードにより再生を行うことを特徴とする。
【0071】
図10は本実施の形態2におけるオーディオプレーヤ14の機能構成を示す図である。
オーディオプレーヤ14を構成する記録媒体100には音声データが記録され、再生装置101は記録媒体100に記録された音声データを再生する。駆動電源モジュール102は太陽電池103からの電力を再生装置101及び検出装置106に供給する。太陽電池103は太陽光を電力に変換する。検出装置106は再生装置101に供給される電圧レベル、電流レベル、或いは電力レベルを検出する。
【0072】
図11は、本実施の形態2の記録媒体100に記録される音声データ1100のデータ構成図を示している。
【0073】
ここで記録媒体100には、MPEG規格AAC+SBR(Spectral Band Replication)方式で符号化された音声データ1100が記録されているものとする。AAC+SBR方式は、国際標準規格MPEG(ISO/IEC14496−3)で規格化された方式で、図11に示すように、従来のAAC方式(ISO/IEC13818−7)の音声データの再生帯域を拡大するような補助情報がAACの符号化データとともに記録された方式である。図7の網掛けの部分が従来のAAC部の音声デー久網掛けでない部分が再生帯域を拡大するような補助情報、即ちSBR部の音声データである。再生装置101は、前記AAC+SBR方式の音声データから、AAC部のみを取り出して再生する機能と、AAC部とSBR部とを取り出して再生する機能とを備えている。
【0074】
以上のように構成されたオーディオプレーヤ14の動作について以下説明する。
図12は、本実施の形態2に係るオーディオプレーヤ14の再生動作手順を示すフローチャートである。
【0075】
まず、記録媒体100には、音源としてのAAC+SBR方式の音声データが格納されている。記録媒体100は、例えば半導体メモリカード、音声データはデジタル的に圧縮符号化された信号であることが、機器の小型化、低コスト化のためにふさわしいが、ハードディスクや光ディスク等のディスク媒体でも良い。
【0076】
そして、再生装置101は、記録媒体100に記録された音声データを読み出し、再生する(S1201)。例えば、再生装置101から記録媒体100に対し、音声データを逐次読み出すためのアドレスを送出し、該アドレスに基づいて読み出された音声データを再生装置101が受け取り音声データを再生する。
【0077】
ここで、音声データが圧縮符号化された信号の場合は、再生装置101は、圧縮符号化された信号を復号化する。本実施の形態2においては、音声データは、AAC+SBR方式の音声データであるので、再生装置101は、AAC部のみを取り出してAACデータを復号化するか、AAC部とSBR部双方を取り出して、AAC+SBRデータを復号するかの選択肢がある。このどちらを選択するかは、検出装置106の状態によって後述のように決定される。
【0078】
一方、駆動電源モジュール102は、太陽電池103を有しており、記録媒体100、再生装置101に電力を供給するが、その電力供給量は、逐次、検出装置106によって検出されている。
【0079】
さてここで、検出装置106による検出値が所定の値より大きい時は(S1203でN)、再生装置101は、AAC+SBRデータを復号し(S1204)、検出装置106による検出値が小さい時は(S1203でY)、再生装置101は、AAC部のみを復号するようにする(S1205)。AAC+SBRデータを復号するために必要な電力は、AAC部のみを復号するために必要な電力より大きいので、太陽電池からの電力供給が少なくなったときはAAC部のみを復号するように制御するのである。
【0080】
以上の説明のように、本実施の形態2に係るオーディオプレーヤは、駆動電源モジュール102からの電力供給が十分な場合は、AAC+SBRデータを復号して広帯域な再生音を聴くことができ、逆に駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は、AAC部のみを復号して狭帯域な再生音になるが、電力不足による音切れを防止することができることとなる。
【0081】
そして、駆動電源モジュール102からの電力供給が十分な場合は広帯域な再生で、駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は、狭帯域な再生として、電力不足による音切れを防止することを述べたが、その他にも、駆動電源モジュール102からの電力供給が十分な場合は複数チャネル再生で、駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は、ステレオ再生や、モノラル再生など、もともとの再生チャネル数より少ないチャネル数の再生としても、電力不足による音切れを防止することができる。
【0082】
また、駆動電源モジュール102からの電力供給が十分な場合は立体音響の処理を施した再生で、駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は、立体音響の処理を施さない再生としても、電力不足による音切れを防止することができる。
【0083】
さらに、駆動電源モジュール102からの電力供給が十分な場合は重低音を強調した再生で、駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は、重低音を強調しない再生としても、電力不足による音切れを防止することができる。
【0084】
さらにまた、駆動電源モジュール102からの電力供給が不十分な場合は十分な場合より重低音の振幅を小さくする制御を施す再生をしても、電力不足による音切れを防止することができる。
【0085】
このように、本実施の形態2に係るオーディオプレーヤ14は、電力レベルを検出する検出装置106を備えて、太陽光の供給が不足した場合等の検出値に応じて、再生品質を制御することができ、再生時の音切れ等を効率的に防止することができる。
【0086】
尚、上述の各実施の形態においては、音響装置として携帯型のオーディオプレーヤを用いて説明を行ったが、音響装置はこれに限定されるものではなく、太陽電池を用いて音声データを再生する機能を有する音響装置であれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかる音響装置は、太陽電池を駆動電源とする携帯型オーディオプレーヤ等、特に小型化が必要な携帯機器に応用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電源モジュールとして太陽電池を備えた音響装置であって、
音声データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に記録された音声データを再生する再生手段と、
前記再生手段が再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するためのメモリと、
前記メモリに前記再生位置情報を格納するタイミングを決定して、前記再生位置情報を前記メモリに記録する記録手段とを備え、
前記再生手段は、前記太陽電池からの電力供給が不足したときは再生を停止し、前記太陽電池からの電力供給が復帰した場合には前記メモリに記録されている前記再生位置情報に基づいて再生を再開する
ことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記駆動電源モジュールは、充電池又は乾電池をさらに備え、
前記メモリは、少なくとも前記充電池又は前記乾電池からの電力供給を受ける
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項3】
前記音響装置は、さらに、
前記駆動電源モジュールによって供給される電圧レベル、電流レベル、及び電力レベルの少なくとも1つを検出する検出手段を備え、
前記記録手段は、前記検出手段によって検出された値が所定値を下回った場合において、前記メモリに前記再生位置情報を記録する
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項4】
前記記録手段は、前記充電池又は前記乾電池からの電力供給が不足する前に、前記メモリに、前記再生位置情報を記録する
ことを特徴とする請求項2記載の音響装置。
【請求項5】
前記再生手段は、少なくとも、前記検出手段における検出値が所定値以上の場合には第一再生モードを用いて再生を行い、前記検出手段における検出値が前記所定値未満の場合には前記第一再生モードよりも再生時の消費電力が少ない第二再生モードで再生を行う
ことを特徴とする請求項3記載の音響装置。
【請求項6】
前記第一再生モードは、再生帯域拡大技術を用いた再生であり、
前記第二再生モードは、再生帯域拡大技術を用いない再生である
ことを特徴とする請求項5記載の音響装置。
【請求項7】
前記再生帯域拡大技術を用いた再生は、MPEG規格AAC+SBR方式の再生であり、
前記再生帯域拡大技術を用いない再生は、MPEG規格AAC方式の再生である
ことを特徴とする請求項6記載の音響装置。
【請求項8】
前記第一再生モードは、低周波数成分を再生する再生であり、
前記第二再生モードは、低周波数成分を再生しない再生である
ことを特徴とする請求項5記載の音響装置。
【請求項9】
前記第一再生モードは、立体音響処理を伴った再生であり、
前記第二再生モードは、立体音響処理を伴わない再生である
ことを特徴とする請求項5記載の音響装置。
【請求項10】
前記充電池又は前記乾電池は、前記メモリに、前記再生位置情報を格納するために必要な時間をTとした時、前記太陽電池からの電力供給が不足したときに、少なくとも前記T時間は電力を供給できる容量を有する
ことを特徴とする請求項2記載の音響装置。
【請求項11】
前記音響装置は、さらに、
前記太陽電池から供給される電力を充電する充電手段を備え、
前記再生手段は、前記充電手段から電力供給を受けて前記再生を行う
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項12】
前記駆動電源モジュールは、平面的に構成され、
前記太陽電池は、前記駆動電源モジュールの表裏両面に貼り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項13】
前記駆動電源モジュールは、多面体で構成され、
前記太陽電池は、前記多面体の少なくとも1部の表面に貼り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項14】
前記音響装置は、さらに、
前記再生手段で再生された音声データを出力するヘッドホンを有し、
前記ヘッドホンと前記再生手段とを結ぶケーブルに前記太陽電池が装着されている
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項15】
前記音響装置は、さらに、
前記再生手段で再生された音声データを出力するヘッドホンを備え、
前記太陽電池と前記ヘッドホンとは一体化するように接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項16】
前記記録媒体及び前記メモリは、不揮発性の半導体メモリである
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項17】
前記駆動電源モジュールには、光が前記太陽電池に集光して照射するための集光用レンズが取り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項18】
前記音響装置は、さらに、
前記駆動電源モジュールを所望の位置に固定するための止め具を備える
ことを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項19】
駆動電源用モジュールとして太陽電池を備えた音響装置における再生方法であって、
前記音響装置は、
音声データが記録された記録媒体と、
再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するためのメモリとを備え、
前記再生方法は、
前記記録媒体に記録された音声データを再生する再生ステップと、
前記メモリに前記再生位置情報を格納するタイミングを決定して、前記再生位置情報を前記メモリに記録する記録ステップとを含み、
前記再生ステップにおいては、前記太陽電池からの電力供給が不足したときは再生を停止し、前記太陽電池からの電力供給が復帰した場合には前記メモリに記録されている前記再生位置情報に基づいて再生を再開する
ことを特徴とする再生方法。
【請求項20】
駆動電源用モジュールとして太陽電池を備えた音響装置において使用されるプログラムであって、
前記音響装置は、
音声データが記録された記録媒体と、
再生している音声データの再生位置を示す再生位置情報を格納するためのメモリとを備え、
前記プログラムは、
前記記録媒体に記録された音声データを再生する再生ステップと、
前記メモリに前記再生位置情報を格納するタイミングを決定して、前記再生位置情 報を前記メモリに記録する記録ステップとを含み、
前記再生ステップにおいては、前記太陽電池からの電力供給が不足したときは再生を停止し、前記太陽電池からの電力供給が復帰した場合には前記メモリに記録されている前記再生位置情報に基づいて再生を再開する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項21】
前記請求項1記載の音響装置を置くための音響装置用置き台であって、光が前記太陽電池に集光して照射するための集光用レンズを備える
ことを特徴とする音響装置用置き台。

【国際公開番号】WO2005/043540
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515123(P2005−515123)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015805
【国際出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】