説明

頭皮頭髪用化粧料

【課題】 頭皮用化粧料のように頭皮に適用可能な化粧料であって、しかも適切な整髪性が得られる新たなタイプの頭皮頭髪用化粧料を提供する。
【解決手段】30〜50質量%のエタノールと、10〜30質量%の室温で液体であるシリコーン及び室温で液体である炭化水素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物、0.1〜0.5質量%の非イオン界面活性剤、0.01〜0.5質量%のカルボキシビニルポリマー、20〜50質量%の水を、例えば室温下で混合し、油分が均一に分散されるまで攪拌する。また、必要に応じて、メントールに代表される清涼剤など、ヘアトニックや育毛剤に配合されうる成分を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭皮頭髪用化粧料、ヘアトニックなどの頭皮用化粧料とヘアリキッドなどの整髪用化粧料との双方の機能を兼ね備えた新たなタイプの頭皮頭髪用の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、頭に使用する化粧料として、ヘアトニックなど、ふけやかゆみを抑えるなど頭皮への作用目的を有する頭皮用化粧料と、整髪を主たる目的とするヘアリキッドに代表される整髪用化粧料とに大別される。
【0003】
頭皮用化粧料であるヘアトニックは、アルコールを含む水溶液であって、必要に応じて、メントールやトウガラシチンキなどの清涼剤や鎮痒剤、センブリエキス、エストラジオールなどの育毛成分を含む。また、場合によってはグリセリンなどの保湿剤を含む場合がある。ヘアトニックは頭皮に適用され、頭皮に清涼感を付与したり、頭皮への刺激により育毛を促進する化粧料であるので、油分や増粘剤は基本的には含まれず、配合された場合も、それらの配合量はそれぞれ1%以下、多くとも5%以下である。
【0004】
例えば、特開平5−58850号公報(特許文献1)には、ヘアトニックに分類されうる化粧料として、奇数炭素数を有する脂肪酸類もしくは奇数炭素数を有するアルコール類と、ヒドロキシプロピルアルコールと、低級アルコールとを含有する頭皮用化粧料が記載されている。また、特開2007−238569号公報(特許文献2)には、エタノールを20%、1,3−ブチレングリコールを3%、ポリオキシエチレングリコールを0.5%、その他の育毛成分を0.5%含むヘアトニックが開示されている。
【0005】
整髪用化粧料は、水を主体としたヘアリキッド、エマルジョン系であるヘアクリームやヘアフォーム、ゲル状のヘアジェル、ワックス状のヘアワックスに分類される。整髪用化粧料は、整髪のために、油分や樹脂成分、毛髪への被膜を形成するために必要な量の水溶性高分子、さらには固形状のワックスが配合された化粧料である。
【0006】
例えば、前述の特許文献2には、エタノールを40%、グリセリンを5%、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α,N−カルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル重合体を3%、スクワランを10%、ポリオキシエチレンセチルエーテルを2.5%、その他の育毛成分を0.2%含むヘアリキッドが開示されている。
【0007】
特開2006−28113号公報(特許文献3)には、ヘアリキッドとしても使用されうる頭髪用化粧料として、カチオン界面活性剤と多価アルコール、シリコーン化ペプチド−ポリシロキサン化合物共重合体並びに特定構造の高重合シリコーンを含む組成物が記載されている。また、特開2007−308424号公報(特許文献4)には、ツバキ油を20%、濃グリセリン5%、カルボキシビニルポリマーを0.15%、非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を4%、ツバキセラミドを0.1%含む保湿性に優れた整髪用化粧料が開示されている。
【0008】
特開2007−15936号公報(特許文献5)には、塩化ベヘニルトリエチルアンモニウムなどの界面活性剤を5%、プロピレングリコールや高級アルコールを5.5%、流動パラフィンやシリコーン、ステアリルアルコールなどの油分を25%を含むヘアクリームが開示されている。また、前記特許文献4には、ツバキ油を25%、濃グリセリンを5%、ステアリン酸を2.5%、ベヘニルアルコールを1.0%、水添大豆リン脂質を1%、ツバキセラミドを0.1%を含んだヘアクリームが開示されている。
【0009】
特開2007−326797号公報(特許文献6)には、カルボキシビニルポリマーを0.5%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3%、ポリオキシエチレンステアリルエーテルを3%、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α,N−カルボキシベタイン・アルキルメタクリル酸エステル共重合体系を7%、エタノールを5%、グリセリンを5%、ジグリセリンを6%、トリエタノールアミン0.6%を含むヘアジェルが開示されている。特開2007−297299号公報(特許文献7)には、エタノールを10%、ポリビニルピロリドンを6%、ポリオキシエチレンホホバ油を3.0%、イソプレングリコールを5%、カルボキシビニルポリマーを0.3%、中和剤を0.2%を含むヘアジェルが開示されている。
【0010】
さらに、特開2007−320872号公報(特許文献8)には、室温で固形のロウ類および/又は室温で固形の炭化水素類、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、およびソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上を含有してなるワックス状の整髪用化粧料が開示されている。
【0011】
特開2006−265217号公報(特許文献9)には、カルボキシビニルポリマーを0.05〜2%、ポリビニルピロリドンを0.5〜5%、ヒドロキシエチルセルロースを0.05〜2%、親水性のノニオン界面活性剤を10〜40%を含み、水性の整髪用化粧料でありながら油性ワックス様の質感と整髪力を備えた新たなタイプの整髪用化粧料が開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開平5−58850号公報
【特許文献2】特開2007−238569号公報
【特許文献3】特開2006−28113号公報
【特許文献4】特開2007−308424号公報
【特許文献5】特開2007−15936号公報
【特許文献6】特開2007−326797号公報
【特許文献7】特開2007−297299号公報
【特許文献8】特開2007−320872号公報
【特許文献9】特開2006−265217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記した整髪用化粧料は、油分以外にアクリル系やビニルピロリドン系、ビニルメチルエーテル系等の樹脂成分、頭髪に被膜を形成する水溶性高分子や常温で固形状のワックスを含んでいるので、直接地肌に化粧料が届きにくい。そこで、整髪だけでなく清涼感も得ようとするならば、頭皮への直接適用を目的とする頭皮用化粧料と、整髪を目的とする整髪用化粧料を併用しなければならなかった。
【0014】
このとき、化粧料を頭皮にまで届かせ、頭皮に清涼感を付与するために、上記の整髪用化粧料、例えばヘアクリームやヘアフォームなどの乳化系化粧料に多量のアルコールを添加すると、エマルジョンが壊れてしまい、油のべたつき感だけを生じてしまう。また、ヘアジェルにアルコールを加えると増粘剤の機能が失われてしまい、良好な整髪性を確保できない。さらに、ヘアワックスにアルコールを加えるとワックスがアルコールに溶解して粘性のある液状になるが、ワックスのためにアルコールが頭皮に到達せず、頭皮用化粧料の機能を果たさない。そして、ヘアリキッドにアルコールを加えるのでは、リキッドに含まれる水溶性高分子や樹脂成分の配合を増やさざるを得ず、十分な整髪効果が得られない。一方、ヘアトニックに油分を加えたのでは安定な製剤とならず、良好な整髪性も得ることができない。このように、これまでの頭皮用化粧料や頭髪用化粧料では解決すべく多くの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、頭皮用化粧料のように頭皮への適用が可能な化粧料であって、しかも適切な整髪性が得られる新たなタイプの頭皮頭髪用の化粧料を提供することを目的としている。
【0016】
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、30〜50質量%のエタノールと、10〜30質量%の室温で液体であるシリコーン及び室温で液体である炭化水素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物、0.1〜0.5質量%の非イオン界面活性剤、0.01〜0.5質量%のカルボキシビニルポリマー及び20〜50質量%の水を含む油滴分散型の頭皮頭髪用化粧料である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、へアリキッドのような良好な整髪性とヘアトニックのような清涼感を同時に付与できる新しいタイプの頭皮頭髪用化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、30〜50質量%のエタノールと、10〜30質量%のシリコーン及び室温で液状である炭化水素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物、0.1〜0.5質量%の非イオン界面活性剤、0.01〜0.5質量%のカルボキシビニルポリマー及び20〜50質量%の水を含む。
【0019】
本発明の頭皮頭髪用化粧品は、エタノールと油分を主体とした油滴分散系の化粧料である。本発明においては、エタノールを30〜50質量%を含む。この範囲内において適度な清涼感を付与できる。
【0020】
本発明において油分として常温で液状であるシリコーン又は常温で液状である炭化水素類が用いられ、その中でも特に、水、アルコール、グリコール類に溶解しない化合物が用いられる。ここで、水等に溶解しないとは、常温において任意の割合で溶解しないという意味であって、両者を混合した場合に2相となればよく、わずかに溶解されても差し支えない。シリコーンは、オルガノポリシロキサン類の総称であって、いわゆるシリコーンオイルと称されるものが好適に用いられる。また、油分として化粧料中に分散されるのであれば、シリコーンオイルに他の成分例えば酸化シリカなどが配合されたシリコーン樹脂などが配合されていても差し支えない。また、シリコーンは化粧品として使用可能なもので、水、アルコール、グリコール類に溶解しない物であれば特に限定されず、例えば、メチルポリシロキサンや高重合メチルポリシロキサン(平均重合度が650以上のもの)、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、さらにジメチコノールと称されるように、オリガノポリシロキサン類に水酸基などを導入した各種の変性ポリシロキサンを用いても差し支えない。
【0021】
本発明において用いられる炭化水素は、室温で液状のものが用いられる。例えば、スクワラン、流動パラフィン、イソパラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ポリブテン等が挙げられる。
【0022】
上記油分は化粧料中に10〜30質量%配合される。10質量%未満であれば適度な整髪性が得られず、30質量%を超えて配合すると、べたつく傾向が出てヘアトニックとしての機能が失われる虞が高くなる。また、油分としてシリコーンを単独で用いても良いが、粘度の異なる2種以上のシリコーン、例えば、粘度の低いメチルポリシロキサン、例えば25℃における粘度20mm/Sのメチルポリシロキサンと、高粘度のメチルポリシロキサン、例えば25℃における粘度5000mm/Sのメチルポリシロキサンを混合して用いるのが好ましい。さらに、より適度な整髪力を得るためには、シリコーンと炭化水素の両者を併用するのがよい。
【0023】
本発明においては界面活性剤として非イオン界面活性剤が用いられる。非イオン界面活性剤も特に限定されるものではなく、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、或いはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンのアルキルエーテル類が例示される。この中でも使用感からポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0024】
界面活性剤の配合量は化粧料中に0.1〜0.5質量%である。本発明においては油分を比較的大きい粒子径の液滴状態で安定に分散できればよく、0.5質量%を超えて配合した場合には乳化状態となり、べたつきが生じる。0.1質量%より少ない場合は油滴粒子が合一し、安定性が保たれず油分が分離される。
【0025】
本発明においては界面活性剤と同様に、カルボキシビニルポリマーが油分を化粧料中に安定に分散させる。カルボキシビニルポリマーは0.5%以下では被膜形性能を有さず、油滴の分散性を維持するのに貢献する。その配合量は0.01〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.3質量%である。0.5質量%を超えて配合すると油滴の分散性、言い換えると分散した油滴の安定性がよくなるが、べたつき感が大きくなり、また、頭皮へ化粧料が充分に届かない虞が強くなる。そして化粧料の使用性や使用感が低下する懸念がある。一方、0.01質量%よりも少ないと、油滴の安定性が得られないことがある。
【0026】
本発明においては、必要に応じてキサンタンガム及び/又はシロキクラゲ抽出物を更に含む場合がある。これらの成分も皮膜形成性がなく、油滴の分散性を維持するのに貢献するが、カルボキシビニルポリマーが存在しないと油滴の安定性に貢献しない。一方、カルボキシビニルポリマーとキサンタンガムやシロキクラゲ抽出物の配合量が多いとベタツキ感が高まり、頭皮へ化粧料が十分に届かなくなる虞が強くなる。すなわち、本発明においては、カルボキシビニルポリマーの一部をキサンタンガムやシロキクラゲ抽出物に置き換えることができる。従って、キサンタンガムやシロキクラゲ抽出物は、それらの配合量とカルボキシビニルポリマーの配合量の合計が化粧料中に0.5質量%を超えないように配合される。
【0027】
シロキクラゲの抽出物は例えば特開2008−13470号公報にも開示されているように多糖類を多く含む。本発明において用いられるシロキクラゲは、シロキクラゲ科に属するキノコの総称をいい、本発明ではシロキクラゲ科シロキクラゲ(学名:Tremella fuciformis B.)に限らず、ハナビラニカワタケ(Tremella foliacea Fr.)、及びコガネニカワタケ(Tremella mesenterica Retz.Fr.)などが用いられる。シロキクラゲは、その菌体だけでなく子実体も利用できる。
【0028】
抽出溶媒としては、水、メタノールやエタノールなど炭素数1〜4の低級アルコール、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコール、ヘキサンやペンタン等の炭化水素、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、エチルエーテルやプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のケトン類、アセトニトリル等が例示される。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、多糖類を抽出できる溶媒が好適であり、好ましくは、水又は水と任意の割合で混合可能な溶媒、例えば、エタノールや1,3−ブチレングリコールとの混液を用いるのがよい。
【0029】
抽出法は特に限定されるものではなく、例えば抽出溶媒と菌体を混合して加温抽出した後、菌体を除去する方法が例示される。得られた抽出物はそのまま用いられるか、適宜濃縮したものや噴霧乾燥や凍結乾燥などによって粉末状に乾燥したものを用いることもできる。また、必要に応じて、活性炭による脱色や液液抽出などによる夾雑物の除去などを行っても差し支えない。また、多糖体として精製された市販のシロキクラゲ多糖体(例えば商品名「Blancveil-TP」日本精化株式会社製)を用いてもよい。
【0030】
本発明の頭皮頭髪用化粧料は油分を水−アルコール系の溶液中に分散させたものであり、配合成分のうち水溶性の成分を水に溶解した水溶液と、配合成分のうち油溶性の成分を油に溶解した油相とを混合・攪拌することにより得られる。本発明の化粧料は、乳化物とは異なり油滴を分散させた製剤である。この製剤を得るには、ホモジェネータを用いて油滴を分散させてもよいし、より撹拌力の弱い方法、例えば、50〜1000rpm、好ましくは50〜500rpm程度の回転速度で、数分から10分間程度、油滴が均一に分散するように攪拌して分散させても良い。ホモジェネーターを用いる場合には、乳化物を得る場合と同様な攪拌条件、例えば、1500rpm〜4500rpm程度の回転速度で攪拌するのがよく、この場合にはより粒子径が揃った均一で好ましい分散状態となる。
【0031】
本発明の化粧料における油分の粒子径は30〜1500μmである。なお、この粒子径は実施例に記載の方法により測定される粒子径である。本発明の化粧料は界面活性剤の配合量が油分の配合量に対して相対的に少ないので、ミセルを形成できず、粒子径が数μm〜10μm程度となる安定な化粧料は得られない。また、1500μmを超える場合には油滴が合一して均一な油滴とならず、油分として分離する傾向にある。
【0032】
本発明においては、上記の必須成分以外に清涼剤や鎮痒剤、抗炎症剤、育毛促進成分等、ヘアトニックや育毛剤として頭皮に直接適用されることを目的とする化粧料に配合されうる有効成分を配合できる。用いられうる清涼剤や鎮痒剤として、l−メントールやdl−メントール、トウガラシチンキが例示される。また抗炎症剤として、グアイアズレン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸などが例示される。育毛促進成分として、センブリエキスやビタミンE群、エストラジオールなどの抗男性ホルモンが例示され、毛包刺激作用を有するヒノキチオールやプラセンタエキスなども配合されうる。なお、例えばトウガラシチンキなどのようにその組成中にエタノールを含む場合には、当該成分中のアルコールを含めて化粧料中のアルコールの配合量として30〜50質量%に調整される。また、油滴分散型の剤型が担保される限りにおいて、防腐剤や着色剤など補助的に用いられる成分も配合されうる。
【0033】
さらに、必要に応じて、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、エタノールアミン、イプシロンアミノカプロン酸、塩酸やリン酸など、中和するに必要な量の酸やアルカリを中和剤として配合できる。これらの酸は有機酸、無機酸いずれであっても差し支えない。また、好ましくは化粧料のpHは6.0〜8.0の範囲に調整される。
【0034】
こうして得られた頭皮頭髪用化粧料は、比較的多量のエタノールや油分を含み、整髪成分となる樹脂成分やワックス、皮膜形成を行うだけの十分な量の被膜形成性の水溶性高分子を含んでいない。そのために、頭皮まで充分にエタノールや水が行き渡るとともに油分が頭髪表面に保持される。その結果、頭皮においてさっぱりとした清涼感が得られる一方で、頭髪に対してべたつかずすっきりとした整髪力が得られる。すなわち、本発明の頭皮頭髪化粧料は1剤でありながら、ヘアトニック様の頭皮用化粧料の効果とヘアリキッド様の頭髪用化粧料の効果という2剤の効果を同時に発揮する。
【0035】
次に下記の実施例に基づき、本発明についてさらに説明する。なお、本発明は下記の実施例に限られないのは言うまでもない。
【実施例】
【0036】
表1及び表2に示す成分表に従い、各種の化粧料を製造した。製造方法は次のとおりである。成分12の一部に成分1〜5を溶解した水相に、予め成分6〜9を溶解したものを加えて溶解する。これに成分10〜12を溶解した水相を加え、更に成分13〜18の油分を加え、均一になるまで攪拌分散させる。この操作は室温で行った。また、表に示す成分中、ジメチコン・ジメチコノール混合物は、ジメチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンに水酸基を導入した化合物との混合物であって、商品名ABIL OSW5(エボニックデグサジャパン社製)である。また、カルボキシビニルポリマーは分子量100万〜300万の商品名ハイビスワコー104(和光純薬工業株式会社製)である。
【0037】
次に得られた化粧料について、目視による外観状態、頭部に使用した際のべたつき感(使用感)、安定性として室温で60日放置した後の目視による外観状態、頭髪のセット効果(整髪効果)、頭皮におけるかゆみ止め効果について、下記の評価基準に従って評価した。また、粒子径は実体顕微鏡(キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ VHX−500)観察により測定した。少量の化粧料をスライドグラス上に取り、200倍の拡大率で観察した。視野内の油滴を、測定ソフトにより最大から最小粒子径までを測定した。その操作を3回繰り返し、その粒子径の最大範囲を、当該化粧料における油滴の粒子径範囲(μm)とした。それらの結果を表1、表2に示す。
【0038】
〈評価基準〉
(外観)
○:油滴が均一に分散されていた
×:分散が不要又は油滴分散状態にならない、あるいは乳化状態であった
(使用感)
◎:べたつかない
○:ややべたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく
(安定性)
○:分離せずに分散状態が保たれていた
×:分離して油層が見られた
(セット効果)
◎:非常に良い
○:良い
△:やや悪い
×:悪い
(かゆみ止め効果)
◎:非常に良い
○:良い
△:やや悪い
×:悪い
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表1から分かるように本発明の化粧料によれば、べたつきもなく良好な整髪性と、頭皮に直接作用して良好なかゆみ止め効果が同時に得られた。また、製剤的にも安定な油滴分散系のものが得られた。
【0042】
一方、比較例の化粧料においては、エタノールが30%未満の化粧料(比較例1)では必要とする30%近くの油分になると乳化状態となり、べたついて使用感が悪いものとなった。エタノールが50%を越えた化粧料(比較例2)では安定性に欠けるものとなった。油分やエタノールが少なくなると、良好な分散状態にならず使用感も欠けるものとなる(比較例8、9)。そして、油分が30%を越えると、整髪効果が高まるが使用感等に欠ける結果となる(比較例7)。エタノールと油分が好ましい範囲であっても、界面活性剤が多いと乳化状態となり、べたついてしまい使用感に欠けたりすることがある(比較例3)。一方、界面活性剤が0.1質量%より少ない場合には均一性に欠け、安定性も悪いものとなった(比較例4)。また、増粘剤の配合量が適当でなければ、この場合にも良好な分散性が得られない(比較例5、6)という結果になった。
【0043】
以上のように、本発明の化粧料は油滴分散性もよく、ヘアトニックの効果であるかゆみ止め効果とヘアリキッドなどの効果である整髪効果の双方の効果を良好に発揮することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜50質量%のエタノールと、
10〜30質量%の室温で液状であるシリコーン及び室温で液状である炭化水素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
0.1〜0.5質量%の非イオン界面活性剤、
0.01〜0.5質量%のカルボキシビニルポリマー、
20〜50質量%の水を含む油滴分散型の頭皮頭髪用化粧料。
【請求項2】
油滴の粒子径が30〜1500μmの範囲である請求項1に記載の頭皮頭髪用化粧料。
【請求項3】
キサンタンガム及び/又はシロキクラゲ抽出物を更に含む請求項1又は2に記載の頭皮頭髪用化粧料。
【請求項4】
さらに清涼剤、鎮痒剤、抗炎症剤及び育毛促進成分の少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の頭皮頭髪用化粧料。
【請求項5】
前記非イオン界面活性剤はポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である請求項1〜4のいずれかに記載の頭皮頭髪用化粧料。

【公開番号】特開2009−256267(P2009−256267A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109116(P2008−109116)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】