説明

頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物とその使用方法

【課題】頭髪及び頭皮に刺激を与えることなく、速乾性に優れ、べたつき、臭いを抑制し、使用後にスッキリ感とデオドラント効果を与える頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物とその使用方法を提供する。
【解決手段】(A)殺菌有効成分と、(B)常温で固体の非イオン界面活性剤と、(C)消臭・防臭エキスと、(D)低級アルコールとを含有し、蒸発残分が1質量%未満であることを特徴とする頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物及び、該頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用する際に、基板1と、該基板1の一方の面1aに設けられた複数の突起部2とを有する清拭用ブラシ10を用いることを特徴とする頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物とその使用方法に関するものであり、特に清拭用ブラシを用いた頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病気、怪我、高齢などによって病院や福祉施設、在宅等で治療や介護を受けている日常生活動作(ADL)の低下した人、特に寝たきりの人は、浴室や理容室で洗髪することが困難である。また、通常の洗髪は、シャンプー等の洗浄剤を用いて頭髪及び頭皮を洗浄した後、水やお湯で濯ぐ必要がある。従って、ADLの低下した人等が浴室や理容室以外でシャンプー等の洗浄剤を用いて頭髪及び頭皮を洗浄する場合、多量の水やお湯を使用するため準備に手間がかかる、寝具や衣類に対する防水対策が必要である等、通常の洗髪に比べて問題が多かった。
【0003】
そこで、頭髪及び頭皮の汚れを落とす際、濯ぎを必要としない拭き取りタイプの頭髪及び頭皮用洗浄剤が考案されている。このような洗浄剤は、通常、電解質系の界面活性剤や、アセトン、エーテル等の有機溶剤を用いる場合が多い。しかし、電解質系の界面活性剤を洗浄基剤として用いる場合、界面活性剤が頭髪及び頭皮に吸着して刺激を与える問題があった。また、アセトン、エーテル等の有機溶剤を用いる場合も、頭髪及び頭皮への刺激性等の問題があった。
そのため、頭髪及び頭皮への刺激性を抑制した拭き取りタイプの頭髪及び頭皮用洗浄剤として、泡状洗髪剤(特許文献1)や、頭皮及び頭髪用清拭剤(特許文献2〜6)等が考案されている。特許文献1〜6に記載の洗髪剤や清拭剤にはエタノール等の低級アルコールが含まれており、頭髪及び頭皮の乾燥が速く、清涼感が得られるものであった。
【特許文献1】特開昭61−289023号公報
【特許文献2】特開平7−112924号公報
【特許文献3】特開平7−112925号公報
【特許文献4】特開平7−196459号公報
【特許文献5】特開平7−196460号公報
【特許文献6】特開2002−363039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜6に記載の洗髪剤や清拭剤では、連続使用した場合に、べたつきや臭いが発生することがあった。
【0005】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、頭髪及び頭皮に刺激を与えることなく、速乾性に優れ、べたつき、臭いを抑制し、使用後にスッキリ感とデオドラント効果を与える頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物とその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、常温で固体の非イオン界面活性剤と低級アルコールを組合せ、さらに蒸発残分を1%未満とすることで、速乾性を向上させ、使用後のべたつきを抑制することを見出した。また、殺菌有効成分と消臭・防臭エキスを配合することで、連続使用した場合でも臭いを抑制できることを見出した。さらに特定の清拭用ブラシを併用することにより、頭皮の汚れ落ち性がより向上することも見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物は、(A)殺菌有効成分と、(B)常温で固体の非イオン界面活性剤と、(C)消臭・防臭エキスと、(D)低級アルコールとを含有し、蒸発残分が1質量%未満であることを特徴とする。
また、本発明の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法は、前記頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用する際に、基板と、該基板の一方の面に設けられた複数の突起部とを有する清拭用ブラシを用いることを特徴とする。
【0008】
また、前記突起部は、平面状の頂部と、剛性の弱い弱化部の形成された側面とを有し、前記突起部の圧縮強度が、前記頂部に近い位置ほど弱いものであることが好ましい。
さらに、前記基板及び前記突起部は不織布からなり、前記突起部は該基板の一部を突出させることにより形成されたものであり、前記不織布厚さは、前記頂部から基部側に向かって3mmまでの範囲を形成する上側面部及び前記頂部が0.1mm〜0.5mmであり、前記上側面部から前記基部までの範囲を形成する下側面部が、前記上側面部の厚みを超える寸法であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭髪及び頭皮に刺激を与えることなく、速乾性に優れ、べたつき、臭いを抑制し、使用後にスッキリ感とデオドラント効果を与える頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物とその使用方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物(以下「洗浄剤組成物」という。)は、(A)殺菌有効成分と、(B)常温で固体の非イオン界面活性剤と、(C)消臭・防臭エキスと、(D)低級アルコールとを含有し、蒸発残分が1質量%未満である。
なお、蒸発残分(質量%)は、化粧品原料基準一般試験法の蒸発残留物試験法に則り、洗剤組成物2g(乾燥前の質量(g))を蒸発皿に入れ105℃で1時間乾燥したときの蒸発残留物量(乾燥後の質量(g))を量り、下記式にて求めた。
蒸発残分(質量%)=[乾燥後の質量(g)/ 乾燥前の質量(g)]×100
【0011】
<(A)殺菌有効成分>
本発明に使用される(A)殺菌有効成分(以下「(A)成分」という。)としては、ピロクトンオラミン等の1−ヒドロキシ−2−ピリドン系化合物、サリチル酸およびその塩、ピリチオン亜鉛類、トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、メチルクロロイソチアゾリン・メチルイソチアゾリン系殺菌剤、イオウ、グリチルリチン酸ジカリウム、ポリリジン等が挙げられる。中でも、臭いを抑制する点で、ピロクトンオラミン、ピリチオン亜鉛が好ましい。これらは、フケ・カユミ等の皮膚トラブルの改善にもより効果があるので望ましい。これら(A)成分は1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物100質量%中、0.001〜0.99質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.02〜0.3質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲より少ないと洗浄剤組成物とした際の殺菌効果が低下する。一方、含有量が上記範囲より多くなると後述する蒸発残分が1質量%未満になりにくくなる。蒸発残分が1質量%未満にならないと、べたつきの抑制が低下する。
【0012】
<(B)非イオン界面活性剤>
本発明に使用される(B)非イオン界面活性剤(以下「(B)成分」という。)は常温で固体である。(B)成分としては、頭髪及び頭皮の汚れの乳化及び可溶化の観点から、エーテル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、エーテル・エステル型界面活性剤が好ましい。これら(B)成分は1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
エーテル型界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(2〜30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(15〜50)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜40)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜50)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15〜30)イソセチルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜30)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)コレステリルエーテルなどが挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン(2〜40)ステアリルエーテルが好ましい。
【0013】
エステル型界面活性剤としては、カプリン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリルなどの脂肪酸エステル;パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリルなどのモノ脂肪酸グリセリン;ステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル;ステアリン酸グリコール、ジラウリン酸グリコールなどのエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0014】
エーテル・エステル型界面活性剤としては、ステアリン酸ポリエチレングリコール(2〜40)、ポリオキシエチレン(30〜100)硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(5〜40)、ポリオキシエチレン(20〜50)ひまし油、ステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜10)セチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(4〜12)ステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜15)ラウリルエーテル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(2〜150)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜20)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(40〜60)硬化ひまし油、ポリオキシエチレン(3〜10)トリステアリン酸トリメチロールプロパンポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルグリセリルエーテルなどが挙げられる。仲でも、ポリオキシエチレン(30〜100)硬化ひまし油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(40〜100)硬化ひまし油、ポリオキシエチレン(5〜30)コレステリルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜30)ソルビタン脂肪酸エステルなどの嵩高い成分が好ましい。
【0015】
これら常温で固体の(B)成分の含有量は、洗浄剤組成物100質量%中、0.05〜1.0質量%が好ましく、0.1〜0.7質量%がより好ましく、0.2〜0.6質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、洗浄剤組成物とした際のべたつきが抑制され、皮脂などの頭髪及び頭皮の汚れの溶解能が向上する。
なお、本発明において常温とは、日本薬局方通則の示す通り、15〜25℃を指す。また固体とは、容器を逆さにした際に流れ落ちることがないものを指す。
【0016】
<(C)消臭・防臭エキス>
本発明に使用される(C)消臭・防臭エキス(以下「(C)成分」という。)としては、アシタバエキス、アセンヤクエキス、アマチャエキス、アルニカエキス、アロエベラエキス、アロエエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウバクエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オトギリソウエキス、オレンジエキス、カッコンエキス、カミツレエキス、カワラヨモギエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、ゲンノショウコエキス、コメヌカエキス、コンフリーエキス、サイシンエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シソエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スイカズラエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウネズエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、クワエキス、タイムエキス、タンニン酸、ウーロン茶エキス、紅茶エキス、リョクチャエキス、チョウジエキス、トウガシエキス、ドクダミエキス、トルメンチラエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハマメリスエキス、ビワ葉エキス、セイヨウハッカエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レモンエキス、アスパラサスリネアリスエキス、ローズマリーエキス、ロッグウッドエキス、ローマカミツレエキス、ゴボウエキス、バラエキス、ボダイジュエキス、ニンジンエキス、パセリエキス等が挙げられる。中でも、消臭・防臭力の点から、リョクチャエキス、ローズマリーエキス、クワエキス、クララエキス、バラエキス、リンゴエキス、ヨモギエキス、レモンエキス、ボダイジュエキス、ニンジンエキス、ユーカリエキス、パセリエキス、ドクダミエキスエキスが好ましく、リョクチャエキス、ローズマリーエキス、クワエキス、クララエキスがさらに好ましい。これら(C)成分は1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物100質量%中、0.001〜1.0質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%がより好ましく、0.005〜0.3質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、洗浄剤組成物とした際の消臭・防臭力が向上し、保存中の着色を抑制できる。
【0017】
<(D)低級アルコール>
本発明に使用される(D)低級アルコール(以下「(D)成分」という。)とは、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコールであり、具体的にはエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。中でもエタノール、イソプロパノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。本発明で用いることのできるエタノールとしては、エタノール純度が95%以上の発酵エタノール、合成エタノール、及び各種変性剤を添加したエタノールを使用できる。これら(D)成分は1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
(D)成分の含有量は、洗浄剤組成物100質量%中、5〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、洗浄剤組成物とした際の速乾性や殺菌性が向上する。
【0018】
また、本発明においては、(D)成分と共に水を併用してもよい。水を併用する場合、水の含有量は、洗浄剤組成物100質量%中、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。その際、(D)成分と水との混合比率(質量%)は、(D)成分にもよるが、(D)成分と水との合計を100質量%とした時に、(D)成分:水=20〜80:80〜20が好ましい。
【0019】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物には、滑沢性向上の目的で、シリコーン類を配合してもよい。また、毛髪触感向上の目的でポリフェノール類を配合してもよい。さらに、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を配合してもよい。
(シリコーン類)
シリコーン類としては、洗浄剤組成物に配合しうるものであれば、その種類は特に限定されず、例えばジメチルシリコーン、ポリアルキルエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、架橋型シリコーン、メチルシロキサン網状重合体、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、片末端反応型シリコーン及びこれらを含むエマルジョン等が挙げられる。中でも、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリアルキルエーテル変性シリコーン等が好適である。これらは1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、シリコーン類(但し、エマルジョンタイプを除く)の粘度は、特に制限されるものではないが、洗浄剤組成物としての使用性などを考慮すると、25℃における粘度が、10〜1000000mm/s、特に30〜100000mm/sであるとより好適である。
シリコーン類の含有量はオイル分(固形分量)として、洗浄剤組成物100質量%中、0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。含有量が上記下限値以上であると充分な滑沢性が得られる。一方、含有量が上記上限値以下であると使用後のべたつきがより抑制され、また床等に付着した場合でも床滑りを防げる。
【0021】
(ポリフェノール類)
ポリフェノール類としては、洗浄剤組成物に配合しうるものであれば、その種類は特に限定されず、例えばガロタンニン酸、ケブリン酸、ハマメリタンニン、アセルタンニン、没食子酸、バロン酸、ケブール酸、ヘキサヒドロキシジフェン酸、エラグ酸、カフェー酸、p−クマル酸、フェルラ酸、シナピン酸、クロロゲン酸及びその塩、並びにその誘導体及び該誘導体の塩などを挙げることができる。誘導体としては、例えば、没食子酸の誘導体であるm−ジ没食子酸、デヒドロジ没食子酸、没食子酸メチルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−4−グルコシド、没食子酸プロピルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルコシド、没食子酸−3−マルトシド、没食子酸オクチル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルクロニド、没食子酸ガラクツロニド、没食子酸メチルエステル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,4−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジグルコシド等が挙げられる。中でも、原料供給性、製造容易性などの観点から、没食子酸メチルエステル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,4−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジグルコシド等の没食子酸二配糖体等が特に好適である。これらは1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0022】
ポリフェノール類の配合量は、洗浄剤組成物100質量%中、0.001〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。含有量が上記下限値以上であると充分な毛髪感触改善効果が得られる。一方、含有量が上記上限値以下であるとポリフェノール類特有の問題、すなわち、洗浄剤組成物の保存時の着色をより抑制できる。
【0023】
(添加剤)
添加剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、サリチル酸ブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、ポリオキシエチレン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワレン、スクワラン、ヒマワリ油、ホホバ油、ヘーゼルナッツ油、スイートアルモンド油、グレープシード油、サザンカ油、サンフラワー油、オリーブ油、メドウホーム油、ノーズヒップ油、アボガド油等の油脂類;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタアクリル酸共重合体、カルボキシビニルポリマー等の高分子、グリシン、オルニチン、メチオニン、アラニン、アルギニン、グルタミン、子ステイン、システイン酸、シスチン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、リシン、フェニルアラニン等のアミノ酸類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコール;パラオキシ安息香酸塩、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤;エデト酸塩、ピロリン酸塩、クエン酸塩、グリコール酸、酒石酸等の金属封鎖剤;液化石油ガス、ジメチルエーテル、窒素、炭酸ガス等のガス類;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、ジパルミチン酸アスコルビル等の酸化防止剤;p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、桂皮酸誘導体、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;pH調整剤;ビタミン類;色素;1−メントールおよびその誘導体等の清涼化剤;保湿剤;増粘剤等が挙げられる。
【0024】
さらに、本発明の洗浄剤組成物には、添加剤として香料組成物を配合してもよい。このような香料組成物としては、特開2003−95895号公報に記載されている香料、調合香料、香料用溶剤等を例示することができる。
香料組成物を配合する場合、香料組成物の配合量は洗浄剤組成物100質量%中、0.00001〜1質量%が好ましく、0.0001〜0.5質量%がより好ましい。また、これら香料組成物に、前記酸化防止剤であるBHTを配合することで香料の安定性を高めることができる。
【0025】
上記(A)〜(D)成分及び、必要に応じてその他の成分を含有する本発明の洗剤組成物の剤型は、特に制限されるものではなく、例えば可溶化系、乳化系、分散系、油−水二層系など種々の剤型として用いることができる。また、液状、フォーム状、エアゾール、ジェル、ローション、クリーム等の剤型で使用することができる。例えばエアゾールの剤型とする場合には、洗浄剤組成物と共に噴射剤(ジメチルエーテル等)をエアゾール容器に充填すればよい。これらは各剤型の常法に準じて製造することができ、使用に際して容器を使用する場合はその材質、形態に特に制限はない。例えば、材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、エバールやそれらの積層容器、アルミニウム箔層を有する積層容器、ブリキ等が挙げられる。形態としては、トリガー式容器、ポンプ式容器、エアゾール容器、チューブ式容器、振出し式容器、ロールオン容器、ジャー容器、ピローパック、ポーション容器等、通常用いられるものを使用することができる。
【0026】
本発明の洗剤組成物は、蒸発残分が1質量%未満であり、好ましくは、0.1〜0.7質量%であり、より好ましくは0.2〜0.6質量%である。蒸発残分が上記範囲より多くなると、べたつきの抑制が低下し、洗浄実感が低くなる場合がある。
【0027】
このように、本発明の洗浄剤組成物によれば、速乾性に優れ、べたつき、臭いを抑制できるので、使用後にスッキリ感とデオドラント効果が得られる。
【0028】
<洗浄剤組成物の使用方法>
本発明の洗浄剤組成物は、手指によるマッサージなどにより頭髪や頭皮に適用してもよいが、洗浄剤組成物を使用する際に、基板と、該基板の一方の面に設けられた複数の突起部とを有する清拭用ブラシを併用すると、特に頭皮の汚れ落ち性の向上に効果的である。
ここで、図面を用いて本発明の洗浄剤組成物の使用方法(以下「使用方法」という。)に用いる清拭用ブラシの実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されない。
【0029】
(清拭用ブラシ;第1実施形態)
図1は、本発明に用いる清拭用ブラシの一例を説明するための図であり、図1(a)は清拭用ブラシの全体を示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示す清拭用ブラシを構成する突起部のうちの1つを示した拡大図であり、図1(c)は図1(a)に示す清拭用ブラシを構成する突起部のうちの1つを示した断面図である。
【0030】
図1(a)に示す清拭用ブラシ10は、本体を構成する基板1と、基板1の一方の面1aに設けられた複数の突起部2とを有している。また、基板1には、図1(a)に示すように、基板1の縁部から帯状に延在する第1のバンド部3と、基板1の縁部から第1のバンド部3と反対方向に帯状に延在する第2のバンド部4とが備えられている。基板1、第1のバンド部3、第2のバンド部4、突起部2は、全てスパンボンド不織布からなるものであり、一体成形されている。
【0031】
突起部2は、図1(a)に示すように、基板1の一部を突出させることにより形成されたものであり、図1(b)に示すように、頂部2aが平面視長方形の平面状とされ、図1(c)に示すように、中空で、頂部2aから基部2bに向かって徐々に外周が大きくなる外形形状を有している。
【0032】
図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、突起部2はすべて同じ材質及び形状のものであり、頂部2aの長辺方向の揃えられた4個または5個の突起部2からなる列が、第1のバンド部3と第2のバンド部4との間に5列設けられている。なお、列ごとに揃えられている頂部2aの長辺方向は、隣接する列を構成する突起部2の頂部2aの長辺方向と直交するように配置され、第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向に対して約45°傾いて配置されている。
このように図1(b)に示す突起部2を、図1(a)に示すように配置することで、例えば、第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向に沿って清拭用ブラシ10を動かした場合に、突起部2と頭髪および頭皮とを十分に接触させて効率よく汚れを除去することができるとともに、櫛通りのよい使用感に優れたものとなる。
【0033】
なお、図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、頂部2aが平面視長方形の平面状とされているが、頂部2aを平面視したときの形状は長方形のみに限定されるものではなく、例えば、円形、三角形、ひし形など如何なる形状であってもよい。さらに、頂部2aは平面状に限定されるものではなく、例えば、中心に向かって凸状または凹状に形成された曲面であってもよく、中心に向かって尖っていてもよいが、頂部2aは面状であるものが好ましい。
また、突起部2の向きや数についても図1(a)に示す例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0034】
なお、突起部2の頂部2aが平面視長方形である場合、長方形の長辺寸法は7mm以下とすることが好ましく、5mm以下とすることがより好ましい。また、長方形の短辺寸法は1mm以上とすることが好ましく、2mm以上とすることがより好ましい。
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10において、図1(c)に示す突起部2の高さHは3mm〜10mmの範囲とするのが好ましい。突起部2の高さHが3mm未満であると、頭髪に邪魔されて頂部2aが頭皮に接触しにくくなり、汚れ落とし効果が十分に得られない場合がある。また、突起部2の高さHが10mmを超えると、十分な圧縮強度を有する突起部2が製造できなくなる恐れが生じる。
【0035】
図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、図1(c)に示すように突起部2を構成する不織布厚さを、頂部2aに近い部分を薄くし、基部2bに近づくにしたがって厚くなるようにすることにより、突起部2の圧縮強度が頂部2aに近い位置ほど弱いものとし、突起部2の側面22を剛性の弱い弱化部(頂部2aに近い部分)と剛性の強い部分(基部2bに近い部分)とが存在する剛性の不均一なものとしている。
具体的には、不織布厚さは、突起部2の頂部2aおよび図1(b)に示す頂部2aから基部2b側に向かって3mmまでの範囲hを形成する上側面部2cでは、好ましくは0.1mm〜0.5mm、より好ましくは0.1mm〜0.3mmとされ、上側面部2cから基部2bまでの範囲を形成する下側面部2dでは、頂部2aおよび上側面部2cの厚みを超える寸法とされている。
【0036】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10においては、突起部2は全て、10N3分間の圧縮力に対して0.1〜1.5mmつぶれるものとされており、0.3mm〜1mmつぶれるものとされていることがより好ましい。突起部2が10N3分間の圧縮力に対してつぶれる寸法が上記の範囲未満であると、汚れ除去効果が視認しにくくなったり、清拭時に頭皮に傷みを感じる場合がある。また、突起部2が10N3分間の圧縮力に対してつぶれる寸法が上記の範囲を超えると、通常の清拭における突起部2への負荷により突起部2が大きく変形してしまう場合がある。
【0037】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10においては、突起部2は全て、20N3分間の圧縮力に対して1.5mm以上つぶれるものとされている。突起部2が20N3分間の圧縮力に対してつぶれる寸法が上記の範囲未満であると、清拭時に通常以上の圧縮力が突起部2に加わった場合に、突起部2がつぶれることによって頭皮への衝撃を効果的に吸収することができず、頭皮に傷みを感じる場合がある。
【0038】
なお、本実施形態においては、突起部2は全て、10N3分間の圧縮力に対して0.1〜1.5mmつぶれ、20N3分間の圧縮力に対して1.5mm以上つぶれるという力学的特性を有するものとしたが、本発明に用いる清拭用ブラシを構成する突起部は、突起部2の側面22に剛性の弱い弱化部の形成されたものであればよく、上記の力学的特性を有していなくてもよい。例えば、突起部2の側面22にリング状に剛性の弱い部分(弱化部)が形成されているものとしてもよいし、突起部2の圧縮強度が頂部2aに近い位置ほど強いものとしてもよい。
【0039】
また、突起部の力学的特性は、全ての突起部が同じであってもよいし一部または全部の突起部が異なっていてもよい。しかし、例えば、複数の突起部のうちの1つの突起部のみ圧縮力が極端に高い場合には、清拭時に発生する清拭用ブラシから頭皮への負荷が圧縮力の高い1つの突起部に集中し、頭皮に強い衝撃が加わり、頭皮に傷みを感じる場合がある。しかし、複数の突起部のうちの数個の突起部の圧縮力が極端に低くても、問題ない。
【0040】
また、図1(a)に示すように、第1のバンド部3には、第1のバンド部3の幅方向に切り込まれてなる2つの第1切込み部3a、3bが設けられている。また、第2のバンド部4には、第2のバンド部4の幅方向に切り込まれてなり、第1切込み部3a、3bと嵌合可能な1つの第2切込み部4aが設けられている。
図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、第1切込み部3a、3bと第2切込み部4aとを嵌合させることにより、第1のバンド部3と第2のバンド部4とが連結されるようになっている。第1のバンド部3と第2のバンド部4とを連結させると、第1のバンド部3と第2のバンド部4と基板1からなる環状体が形成される。
【0041】
ここで、図1に示す清拭用ブラシ10では、2つの第1切込み部3a、3bが設けられているので、第2切込み部4aを第1切込み部3aと嵌合させた場合と、第2切込み部4aを第1切込み部3a、3bと嵌合させた場合とで、外周寸法の異なる環状体が形成される。したがって、図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、環状体の中に手を入れて清拭用ブラシ10を把持する場合に、使用者の手の大きさに対応して環状体の外周寸法を調節することができ、容易に安定して手に保持させることができるので、優れた使用性が得られる。
【0042】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10は、上述したようにスパンボンド不織布からなるものである。スパンボンド不織布は、(1)突起形状を有する金型を用いて容易に突起部2の形状を付与することができる、(2)安定して手に保持させることができる十分な強度を有する第1のバンド部3および第2のバンド部4が得られる、(3)本発明の洗浄剤組成物を併用して頭髪及び頭皮を清拭する場合に洗浄剤組成物に含まれる水やエタノールを含むことで軟化したり溶解したりしない、(4)安全性上の懸念がある接着剤などの薬剤が使用されていない清拭用ブラシ10を得ることができるため好ましい。
【0043】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10を構成するスパンボンド不織布としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルなどからなり、坪量が100〜400g/mであるものを用いることが望ましい。坪量が100g/m未満であると、十分な強度を有する突起部2、第1のバンド部3、第2のバンド部4が形成できない恐れがある。また、坪量が400g/mを超えると、第1のバンド部3と第2のバンド部4との連結がしにくくなったり、好適な力学的特性を有する突起部2を形成することが困難となったりして、使用感が低下する恐れがある。
【0044】
図1(a)に示す清拭用ブラシ10を製造するには、例えば、均一な厚みを有する板状のスパンボンド不織布を用意し、突起部2の形状に対応する突起形状を有する金型を用いて、加熱しながらスパンボンド不織布に突起部2の形状を付与する。
なお、突起部2の成形方法は、上述した圧縮成形(プレス形成)の他、真空成形や圧穴成形などの方法により成形することができる。
このようにして突起部2を形成することで、突起部2を構成する不織布厚さは、頂部2aに近い部分が薄く、基部2bに近づくにしたがって厚いものとなり、突起部2の圧縮強度が頂部2aに近い位置ほど弱いものとなり、突起部2の側面22に剛性の弱い弱化部の形成されたものとなる。
その後、突起部2の形成されたスパンボンド不織布を抜き型で所定の形に切り抜くことにより、第1のバンド部3および第2のバンド部4を形成するとともに、第1切込み部3a、3bおよび第2切込み部4aを形成し、図1(a)に示す清拭用ブラシ10が得られる。
【0045】
(使用方法)
このような清拭用ブラシ10を用いて本発明の洗浄剤組成物を使用し、頭髪及び頭皮を清拭する場合には、まず、第1のバンド部3と第2のバンド部4とを基板1の一方の面1aが外側となるようにして連結させ、第1のバンド部3と第2のバンド部4と基板1からなる環状体を形成する。
そして、得られた環状体の中に、基板1側が手の平側となるように手を入れて清拭用ブラシ10を把持し、突起部2で頭髪及び頭皮を擦る方法によって行うことができる。
【0046】
なお、使用者は通常、突起部2で頭髪及び頭皮に押し付けながら、第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向に沿って清拭用ブラシ10を動かす。このとき、使用者の手から清拭用ブラシ10に負荷される第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向の力は、第1のバンド部3および第2のバンド部4の幅全体によって受け止められる。このため、図1に示す清拭用ブラシ10においては、使用者の手から清拭用ブラシ10に負荷される力への強度が十分に得られる。よって、頭髪及び頭皮の清拭時に、清拭用ブラシ10から頭皮に十分な荷重を負荷することができるとともに、時間をかけて丁寧に清拭することができ、十分に汚れ落としを行なうことができる。
【0047】
このように、本発明の使用方法に用いる清拭用ブラシは、図1(a)に示すように頂部2aが平面状である複数の突起部2を有し、突起部2の側面22に剛性の弱い弱化部の形成されたものであるので、十分な汚れ落とし効果が得られ、しかも、頭髪や頭皮を傷つけることなく清拭でき、さらに、汚れ除去効果が容易に認識できる優れた清拭用ブラシ10となる。
例えば、図1(a)に示す清拭用ブラシ10を用いて他人の頭髪及び頭皮を清拭する場合には、他人の頭皮に一時的に強い力が加わってしまったとしても、突起部がつぶれて頭皮への衝撃を吸収するため、痛みを感じさせてしまうことを防止できる。また、清拭中や清拭後に、平面状の頂部2aに付着した汚れを視認できるので、汚れ除去効果を容易に認識できる。したがって、本実施形態の清拭用ブラシ10は、安心して確実に他人の頭髪及び頭皮の清拭に使用できる。
なお、本発明に用いる清拭用ブラシは、使い捨てタイプのものが、衛生面の観点から好ましい。
【0048】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10は、突起部2の圧縮強度が頂部2aに近い位置ほど弱いものであるので、清拭時に突起部2に荷重が負荷された場合に、突起部2が容易に変形して頭皮への衝撃を効果的に吸収するものとなり、頭皮に傷みを感じることを効果的に防止できるものとなる。
【0049】
さらに、図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、突起部2が10N3分間の圧縮力に対して0.1〜1.5mmつぶれるものであるので、汚れ除去効果が非常に視認しやすく、清拭時に通常の圧縮強度が突起部2に加わった場合に突起部2が適度につぶれて頭皮への衝撃を吸収することにより頭皮に傷みを感じることを防止でき、しかも、通常の清拭における突起部2への負荷により突起部2が大きく変形して汚れ落とし効果が低下することがない優れた清拭用ブラシ1となる。
【0050】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10では、突起部2が20N3分間の圧縮力に対して1.5mm以上つぶれるものであるので、清拭時に通常以上の圧縮強度が突起部2に加わった場合に、突起部2がつぶれて頭皮への衝撃を吸収することにより頭皮に傷みを感じることを防止できる。
【0051】
また、図1(a)に示す清拭用ブラシ10において、基板1および突起部2を不織布からなるものとし、突起部2を基板1の一部を突出させることにより形成されたものとし、不織布厚さを、頂部2aおよび上側面部2cでは0.1mm〜0.5mmとし、下側面部2dでは上側面部2cの厚みを超える寸法とすることで、汚れ除去効果が非常に視認しやすく、清拭時に頭皮に傷みが発生することを効果的に防止でき、しかも、突起部2に穴が開いたり、通常の清拭における突起部2への負荷により突起部2が大きく変形したりすることのない良好な清拭用ブラシ10となる。
【0052】
ところで、上述した実施形態においては、突起部2を構成する不織布厚さを頂部2aに近い部分と基部2bに近い部分とで変化させることにより、突起部2の圧縮強度が、頂部2aに近い位置ほど弱いものとなるようにしたが、本発明に用いる清拭用ブラシは上述した実施形態に限定されるものでなく、例えば、突起部2の側面22の一部に不織布の軟化剤などを塗布する方法などにより、突起部2の側面22に剛性の弱い弱化部を形成してもよい。
【0053】
また、上述した実施形態においては、第1のバンド部3には2つの第1切込み部3a、3bが設けられ、第2のバンド部には1つの第2切込み部4aが設けられているものを例に挙げて説明したが、第1のバンド部および第2のバンド部には、少なくとも1つの切込み部が設けられていればよい。なお、使用者の手の大きさに対応して環状体の外周寸法を調節することができるものとする場合には、第1のバンド部および第2のバンド部のうち少なくとも一方に、少なくとも2つの切込み部が設けられていればよく、例えば、第1のバンド部に3つの第1切込み部を設けて、3段階に環状体の外周寸法を調節可能なものとしてもよいし、第2のバンド部に2つの第2切込み部を設けてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態においては、突起部2が中空状のものを例に挙げて説明したが、本発明に用いる清拭用ブラシは上述した実施形態に限定されるものでなく、例えば、突起部2全体が10N3分間の圧縮力に対して0.1〜1.5mm押し下げられ、20N3分間の圧縮力に対して1.5mm以上押し下げられるものであれば、突起部2は中空状のものでなくても構わない。
【0055】
また、上述した実施形態においては、スパンボンド不織布からなる清拭用ブラシを例に挙げて説明したが、基板1を形成する不織布としては、スパンボンド不織布のみに限定されるものではなく、例えば、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、ステッチボンド不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブロー不織布などの不織布を用いることができる。中でも、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ステッチボンド不織布、メルトブロー不織布を用いると、適度な圧縮強度が得られるため好ましく、スパンボンド不織布を用いることが最も好ましい。
【0056】
(清拭用ブラシ;第2実施形態)
本発明の使用方法においては、図2に示す清拭用ブラシを用いてもよい。図2(a)は、本発明に使用される清拭用ブラシの他の例を説明するための斜視図である。図(a)に示す清拭用ブラシ20は、基板1と、基板1の一方の面1aに設けられた複数の突起部23とを有している。図2(a)に示す清拭用ブラシ20が、上述した第1実施形態の清拭用ブラシ10と異なるところは、突起部23の数と形状のみであるので、上述した第1実施形態の清拭用ブラシ10と同じところについての説明を省略し、異なるところのみ説明する。
【0057】
図2(a)に示す清拭用ブラシ20では、4個の突起部23からなる列が、第1のバンド部3と第2のバンド部4との間に5列設けられている。なお、突起部23からなる列の方向は、第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向とほぼ同じとされている。
突起部23を、図2(a)に示すように配置することで、例えば、第1のバンド部3および第2のバンド部4の延在方向に沿って清拭用ブラシ20を動かした場合に、突起部23と頭髪および頭皮とを十分に接触させて効率よく汚れを除去することができるとともに、櫛通りのよい使用感に優れたものとなる。
【0058】
図2(a)に示す清拭用ブラシ20では、第1実施形態の清拭用ブラシ10と異なり、図2(b)に示すように突起部23の頂部23aが平面視円形の平面状とされ、基部23bが平面視円形され、断面視台形状とされ、図2(c)に示すように中空である。
また、図2(a)に示す清拭用ブラシ20においても、第1実施形態の清拭用ブラシ10と同様に、突起部23を構成する不織布厚さを、頂部23aに近い部分を薄くし、基部23bに近づくにしたがって厚くなるようにすることにより、突起部23の圧縮強度が頂部23aに近い位置ほど弱いものとし、突起部23の側面24を剛性の弱い弱化部(頂部23aに近い部分)と剛性の強い部分(基部23bに近い部分)とが存在する剛性の不均一なものとしている。
【0059】
図2(a)に示す清拭用ブラシ20においても、頂部23aが平面状である複数の突起部23を有し、突起部23の側面24に剛性の弱い弱化部の形成されたものであるので、十分な汚れ落とし効果が得られ、しかも、頭髪や頭皮を傷つけることなく清拭でき、さらに、汚れ除去効果が容易に認識できる優れた清拭用ブラシ20となる。
【0060】
このように、本発明の使用方法によれば、清拭用ブラシを用いることにより、頭皮の汚れ落ち性をより向上できる。さらに、本発明の洗浄剤組成物を使用するので、頭髪及び頭皮を洗浄するにあっては、頭髪及び頭皮に刺激を与えることなく、速乾性に優れ、べたつき、臭いを抑制し、使用後にスッキリ感とデオドラント効果が得られる。
【実施例】
【0061】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、「%」は、特に断らない限り質量%を示す。
ここで、実施例に用いた原料を表1、2に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
[清拭用ブラシ10の製造]
坪量200g/m、厚さ0.55mmのPET素材のスパンボンド不織布を用意し、突起形状を有する金型を用いて、加熱しながらスパンボンド不織布に金型の突起形状を付与し、基部が縦12mm横8mmの長方形、頂部が縦5mm横3mmの長方形の平面状である略台錐形の表3に示す高さ寸法および表4に示す不織布厚み寸法の図1(a)に示す突起部2を23個形成した。
その後、突起部2の形成されたスパンボンド不織布を抜き型で所定の形に切り抜くことにより、基板の縁部との接続部分の幅が40mmで先端部の幅が36mmで基板の縁部から先端部に向かって徐々に幅が狭くなっている第1のバンド部3および第2のバンド部4を形成するとともに、長さ18mmの2つの第1切込み部3a、3bと、長さ18mmの第2切込み部4aとを形成し、図1(a)に示す清拭用ブラシ10を得た。
【0065】
[清拭用ブラシ20の製造]
坪量300g/m、厚さ0.70mmのサーマルボンド不織布を用意し、突起形状を有する金型を用いて、加熱しながらサーマルボンド不織布に金型の突起形状を付与し、高さが8.02mm、基部が直径10.5mmの円形、頂部が直径3mmの円形の平面状であり、なだらかな丘陵形状の表3に示す高さ寸法および表4に示す不織布厚み寸法の図2(a)に示す突起部23を20個形成した。
その後、清拭用ブラシ10と同様にして、第1のバンド部3、第2のバンド部4、第1切込み部3a、3b、第2切込み部4aを形成し、図2(a)に示す清拭用ブラシ20を得た。
【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
[試験1]
<実施例1>
(頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の調製)
表5に示す配合量(%)の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を調製した。なお、表5中の精製水量「残部」との記載は、総量が100%となるように調整したことを意味する。
得られた頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物2g(乾燥前の質量(g))を採取し、蒸発皿に入れ、105℃にて1時間乾燥したときの蒸発残留物量(乾燥後の質量(g))を量り、下記式にて求めた。結果を表5に示す。
蒸発残分(%)=[乾燥後の質量(g)/ 乾燥前の質量(g)]×100
【0069】
(評価)
得られた頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物をディスペンサースプレー容器に充填したものを、3日間洗髪をしていないパネラー5名に使用し、頭髪及び頭皮をマッサージしながら洗浄し、速乾性、べたつき感、臭いの各評価を以下のようにして行った。結果を表5に示す。なお、洗浄には上記の清拭ブラシ10を用いた。
【0070】
速乾性;
頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用したときの、速乾性を官能的に試験し、各パネラーには、以下の5段階で評価した。
5点:よい。
4点:ややよい。
3点:どちらともいえない。
2点:ややよくない。
1点:よくない。
そして、各パネラーが評価した結果を平均した平均値を算出し、この平均値を以下の基準で評価した。
◎:平均評価点4.0以上。
○:平均評価点3.5〜4.0未満。
△:平均評価点3.0〜3.5未満。
×:平均評価点3.5点未満。
【0071】
べたつき感;
頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用したときの、べたつき感(べたつきのなさ)を官能的に試験した。なお、評価基準は速乾性の試験と同様にした。
【0072】
臭い;
頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用したときの、臭い(臭いのなさ)を官能的に試験した。なお、評価基準は速乾性の試験と同様にした。
【0073】
<実施例2〜9>
(頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の調製および評価)
表5に示すように、各成分の配合量(%)を変化させた以外は、実施例1と同様にして頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を製造し、各評価を行った。結果を表5に示す。
【0074】
<比較例1〜7>
(頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の調製および評価)
表6に示すように、各成分の配合量(%)を変化させた以外は、実施例1と同様にして頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を製造し、各評価を行った。結果を表6に示す。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
表5、6の結果から明らかなように、実施例の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物は、速乾性に優れ、べたつき感と臭いを抑制できた。
一方、比較例の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物は、実施例に比べて速乾性が劣り、べたつき感と臭いの抑制が不十分であった。
【0078】
[試験2]
<実施例10>
実施例1で得られた頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の適量を、パネラー15名の頭部に塗布し、頭髪及び頭皮をマッサージしながら洗浄し、速乾性、べたつき感、臭いの各評価を以下の評価基準にて行った。結果を表7に示す。なお、洗浄の際に用いた仕様器具として、上記の清拭ブラシ10、20、及び綿製のタオルを用いた。
まず、頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用したときの、速乾性、べたつき感(べたつきのなさ)、臭い(臭いのなさ)を各々官能的に試験し、各パネラーには、以下の5段階で評価した。
5点:良好である。
4点:やや良好である。
3点:どちらともいえない。
2点:やや良好でない。
1点:良好でない。
そして、各パネラーが評価した結果を平均した平均値を算出し、この平均値を以下の基準で評価した。
◎:平均評価点4.0以上。
○:平均評価点3.5〜4.0未満。
△:平均評価点3.0〜3.5未満。
×:平均評価点3.5点未満。
【0079】
<比較例8>
比較例2で得られた頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を用いた以外は、実施例10と同様にして、各評価を行った。結果を表7に示す。
【0080】
【表7】

【0081】
表7の結果から明らかなように、実施例1で得られた頭髪及び頭皮用洗浄組成物は、仕様器具として清拭用ブラシを併用することによって、洗浄実感がより向上し、速乾性に優れ、べたつき感と臭いを抑制できた。特に、清拭用ブラシ10を用いた場合が効果的であった。
一方、比較例2で得られた頭髪及び頭皮用洗浄組成物は、速乾性は良好であったが、べたつき感と臭いの抑制が実施例に比べて劣っていた。特に使用器具としてタオルを用いた場合は、べたつき感と臭いの抑制が不十分であった。
【0082】
[試験3]
<実施例11>
表8に示す組成と配合量(%)の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を製造し、さらにこれに噴射剤としてジメチルエーテルを加え エアゾール容器に充填した。その際の比率(%)を、頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物/噴射剤=65/35とした。
【0083】
【表8】

【0084】
<実施例12>
表9に示すように、組成とその配合量を変化させた以外は、実施例1と同様にして頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を製造した。
【0085】
【表9】

【0086】
<実施例13>
表10に示すように、組成とその配合量を変化させた以外は、実施例1と同様にして頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を製造した。
【0087】
【表10】

【0088】
実施例11〜13で得られた各頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物と清拭用ブラシ10を用いて、頭髪及び頭皮をマッサージしながら洗浄した。その結果、実施例11〜13の各頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物は、速乾性が良好で、頭部のべたつき感や臭いをより抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の清拭用ブラシの一例を説明するための図である。
【図2】本発明の清拭用ブラシの他の例を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1・・・基板、1a・・・一方の面、2・・・突起部、2a・・・頂部、2b・・・基部、2c・・・上側面部、2d・・・下側面部、3・・・第1のバンド部、3a、3b・・・第1切込み部、4・・・第2のバンド部、4a・・・第2切込み部、10、20・・・清拭用ブラシ、22・・・側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)殺菌有効成分と、(B)常温で固体の非イオン界面活性剤と、(C)消臭・防臭エキスと、(D)低級アルコールとを含有し、蒸発残分が1質量%未満であることを特徴とする頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物を使用する際に、基板と、該基板の一方の面に設けられた複数の突起部とを有する清拭用ブラシを用いることを特徴とする頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法。
【請求項3】
前記突起部は、平面状の頂部と、剛性の弱い弱化部の形成された側面とを有し、前記突起部の圧縮強度が、前記頂部に近い位置ほど弱いものであることを特徴とする請求項2記載の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法。
【請求項4】
前記基板及び前記突起部は不織布からなり、
前記突起部は該基板の一部を突出させることにより形成されたものであり、
前記不織布厚さは、前記頂部から基部側に向かって3mmまでの範囲を形成する上側面部及び前記頂部が0.1mm〜0.5mmであり、
前記上側面部から前記基部までの範囲を形成する下側面部が、前記上側面部の厚みを超える寸法であることを特徴とする請求項2または3に記載の頭髪及び頭皮用洗浄剤組成物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−156267(P2008−156267A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346012(P2006−346012)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】