説明

顆粒形態のB/C変態型リボフラビンの調製方法

本発明は、顆粒形態であるB/C変態型の純粋なリボフラビン(ビタミンB2)の改良調製方法に関する。また、顆粒形態の純粋なリボフラビンも開示し、この純粋なリボフラビンはDIN 53468に従って測定した場合の嵩密度が0.45〜0.7g/mlであり、かつ打錠後の溶解速度が少なくとも80%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒形態であるB/C変態型の純粋なリボフラビン(ビタミンB2)の改良調製方法に関する。さらに、本発明は、高い嵩密度で特に良好な溶解率を特徴とする、顆粒形態の純粋なリボフラビンに関する。
【背景技術】
【0002】
食品または医薬品の活性成分または添加剤としてのものであるリボフラビン(ビタミンB2)を使用する場合、その製品の純度について非常に高い要件が満たされていなければならない。これは、リボフラビンを工業的に調製するために現在実施されている合成方法または生物工学的方法についての主な要件の1つとなっている。
【0003】
一般に、生物工学的方法によって調製されるリボフラビンは約75%の初期純度で存在するが、これは主に、例えば細胞残渣、タンパク質、ペプチドあるいはアミノ酸などの生物工学的調製方法でよく見られる不純物が原因である。したがって、そうした粗製の生成物は、ヒトにおいては上記の適用用途には不適当であり、さらに精製を行う必要がある。
【0004】
長い間、十分な溶解特性を有する高純度のリボフラビンを調製できる経済的な方法が必要とされてきた。主な重点は、B/C変態型のリボフラビン、特には、実質的にB変態型で、少量のC変態型リボフラビンを含んでいる可能性があり、そして検出が困難であるリボフラビン(以下、B/C変態型のリボフラビンと呼ぶ)の調製方法についてである。
【0005】
この目的のための最初のアプローチは、EP-A 0307767により記載されており、これは、取り扱い性および流動特性が向上している球顆状形態のリボフラビンを調製するためのものであり、リボフラビンを溶媒に溶解させ、リボフラビンは不溶性であるが第1の溶媒とは相溶性である第2の溶媒を用いて析出させる。
【0006】
EP-A 0457075では、自由流動性が非常に高く、非飛散性で、結合剤不含のリボフラビン噴霧顆粒もしくは微細顆粒の形態の純粋なリボフラビンの調製方法が記載されている。この方法では、純粋で微細なリボフラビンの水性または水含有懸濁液を噴霧流動床乾燥、単一材料用ノズル噴霧乾燥またはディスク噴霧乾燥に供する。
【0007】
EP-A 0995749では、リボフラビンの精製および結晶化の方法が記載されている。この方法では、A変態型のリボフラビンを水性無機酸溶液に溶解し、活性炭と混合することにより精製する。濾過した後、有用な物質を、EP-A 0307767により記載されている方法において水を添加することにより析出させ、単離する。こうして、B/C変態型の樹状で球状の結晶が得られる。
【0008】
EP-A 1048668では、EP-A 0457075の教示に基づく方法が記載されており、良好な流動特性を有する非飛散性で結合剤不含のリボフラビン顆粒を調製するものである。この方法では、リボフラビンは、EP-A 0995749に記載されているように、まず活性炭により精製し、続いてクロスフロー濾過を行った後、0〜30℃の温度で析出させる。次いで、こうして得られたリボフラビン水性懸濁液を濾過し、洗浄し、こうして単離されたB/C変態型リボフラビンを噴霧流動床乾燥、単一材料用ノズル噴霧乾燥またはディスク噴霧乾燥に供する。
【0009】
例えばEP-A 1048668に記載されているような顆粒は、一般に、良好な溶解特性に関しては注目に値するものであるが、嵩密度が低く、そのために、取り扱い性やさらなる処理がかなり煩雑になってしまう。
【0010】
したがって、製薬および食品の技術用途に十分な良好な溶解速度だけでなく、大まかに言えば良好な取り扱い特性、特に言えば高い嵩密度を兼備している、純粋なリボフラビンの調製方法が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【0011】
そこで、顆粒形態であるB/C変態型のリボフラビンを調製するための方法を見出した。この方法は、
a)A変態型のリボフラビンを水性無機酸溶液に溶解するステップ、
b)その後直ちに、得られたリボフラビンの無機酸溶液を最初に活性炭で処理せずに析出させるステップであって、但し、ステップa)およびb)は、5〜15℃の範囲の温度で行うものであり、
c)そのリボフラビンを、流動床噴霧造粒により乾燥するステップ
を含む。
【0012】
こうして調製されるリボフラビン顆粒は、特に有利な溶解速度および高い嵩密度に関して顕著である。この顆粒の特性は、嵩密度が高いにも関わらず、それらを錠剤形態への処理(打錠)を行った後であっても、水性媒体に容易に溶解できるというものである。
【0013】
本発明による調製方法では溶解温度を低くすることに加えて、この特に有利な特性の兼備はまた、リボフラビンが、溶媒として用いられる無機酸媒体と接触している長さにも依存する。接触時間を短縮することにより、本発明の生成物の特性は向上する。リボフラビンと無機酸媒体との接触時間の短縮は、本発明の方法において、他の指標の中でも、活性炭を添加するという時間のかかる精製ステップを省き、溶解手順の直後に析出を行うことにより達成される。これに関して、直後とは、溶解手順と析出との間に、溶液のさらなる処理ステップも長期保存も想定せず、例えばパイプラインを通して溶液を溶解槽から第1の析出槽へと移送する必要がなくなることを意味する。それ自体当業者によく知られている他の吸着剤を使用する必要もない。
【0014】
リボフラビンと無機酸溶解媒体との接触時間を制限することにより、酸による処理の際に常に微量形成される分解生成物の生成程度が比較的低くなる。これは、析出および最終的な流動床噴霧造粒の後で、本発明により調製される顆粒状リボフラビンの特に有利な特性に繋がる。したがって、説明したこの方法の特徴の兼備により、本発明によるリボフラビン顆粒が有利な特徴を持つようになる。
【0015】
本発明による方法は、顆粒形態であるB/C変態型の純粋なリボフラビンの調製に適してる。使用する出発物質は、合成または発酵により(好ましくは発酵により)調製し、析出させた後で、場合により少なくとも1回の精製ステップ(例えば再析出による)を経ており、典型的には90〜99%の範囲の純度を有するリボフラビンである。好ましい出発物質は、95〜99%の純度、さらに好ましくは97〜99%の純度を有するリボフラビンである。これは、典型的には、完全にまたは主に(すなわち約90%を超えて)A変態型で存在するが、基本的にはいずれの目的とする変態の形態でも使用できる。
【0016】
本発明によれば、出発物質として使用されるリボフラビンは、水性無機酸溶液、例えば硝酸、好ましくは塩酸に溶解させる。無機酸の濃度は、典型的には、約10〜約65重量%である。溶解媒体として好ましく用いられる塩酸水溶液は、約18〜約28%(重量%)の範囲の濃度を有する。
【0017】
本発明による方法における溶解手順は、約5℃〜約15℃の範囲の溶解媒体の温度で行う。好ましいのは、5℃〜12℃の範囲の溶解温度であり、最も好ましくは6℃〜9℃である。こうして、約20重量%以下のリボフラビンが溶解した溶液が得られる。一般に、溶解手順は30〜150分後に完了する。
【0018】
溶解手順の時間は、リボフラビンが無機酸溶媒と接触している総時間数が非常に短くなるように選定する。これに関して、総接触時間とは、溶解手順の開始から、塩酸水溶液溶解媒体からリボフラビンを析出させるまでの時間、すなわち、リボフラビンが塩酸水溶液溶解媒体に溶解している時間である。約4時間以下の総接触時間で実施することが有利である。特に好ましいのは、総接触時間を約2.5時間〜約3時間とすることである。本発明による方法はまた、好ましくは連続処理ステップを含むので、指定される接触時間は、全ての他の時間データ(例えば溶解時間または析出時間)と同様に、平均時間として想定すべきである。
【0019】
析出させるために、無機酸リボフラビン溶液は、典型的には約5〜10倍量(v/v)で水と接触させる。本発明にしたがって溶媒として好ましく用いられる塩酸水溶液の場合、好ましいのは、約1.5〜約4重量%、好ましくは約2〜約3重量%の塩酸濃度を得るのに十分な量の水を添加することである。
【0020】
リボフラビンは、撹拌槽バッテリーとして知られているような、直列に連結されている1つ以上の撹拌槽の中で連続的に、またはバッチ式で析出させることができる。本発明による方法の1つの好ましい実施形態では、析出は、二段階撹拌槽バッテリー内で連続的に行う。
【0021】
本発明によれば、析出中の温度は、約5℃〜約15℃、特に約6℃〜約12℃の範囲内になるように選定する。特に好ましいのは、約7℃〜約10℃の範囲の析出温度である。
【0022】
本発明において好ましい第1の撹拌槽内でのリボフラビンの連続析出におけるリボフラビン溶液の平均滞留時間は、約1分〜約10分、好ましくは約2.5分〜約5分の範囲である。第2の槽における滞留時間は、それより長くすることが可能であるが、約5〜約15分、好ましくは約5分〜約10分の範囲内で適切に選定される。
【0023】
第1の槽における撹拌器出力、ならびに、それとは独立して第2の槽における撹拌器出力は、有利には、約0.02W/l〜約1.0W/lである。好ましいのは、それぞれの槽について独立して、約0.05〜約0.3W/lの範囲で撹拌器出力を選定することである。
【0024】
本発明によるプロセスステップにより調製できるリボフラビンは、凝集物の形態である。これらは、高い密度および平滑な表面を有しており、特に典型的には必要とされるさらなる処理に関して、慣用の球状リボフラビン結晶と比較してかなり有利であることを特徴としている。慣用の結晶は、棘状の表面を有していたり(EP-A 0995749を参照)、せん断安定性が低いことがある。この特性は、プロセス制御上好ましくないものであり、針状結晶の成長を促進し、とりわけ、プロセス安定性の低下や濾過特性および取扱い特性の低下をまねく。
【0025】
析出のプロセス制御を利用して凝集物の形成に影響を与えることができる。2つの槽を用いた連続操作の場合は、供給流動体を正確に計量しながら供給することに注意を払わねばならない。過剰な濃縮が局在して起こらないようにするために、混合時間は短くすべきである。後者(すなわち時間の短縮)は、当業者であれば周知であるように、撹拌器および計量供給点を適切に選択することにより達成できる。おそらく、槽への水およびリボフラビン溶液の供給物を分割することが有利な場合もある。しかし、水の70%以下を第2の反応槽へ添加しなければならない。濃度調整のもう1つの可能性は、第2の析出槽からの懸濁液を再循環させること、および濾過後に母液を再循環させることにより実施できる。これは、固体の濃度(凝集速度に影響を及ぼす)を自由に選定できることを意味する。懸濁液を反応装置から取り出す際は、その取出しによって、反応装置内の固体の濃度が変わる可能性もあることに注意すべきである。また、この取出しにより、凝集速度も変わる可能性がある。凝集物の粒径は、パイプライン内での分散の関数として変化し、これもまた同様に、有効な表面積に影響を及ぼす。
【0026】
十分な変換が確実になるように、第2の撹拌槽の下流においてさらなる滞留時間を与えることが賢明な場合もある。これは、撹拌槽の形態で実現可能である。
【0027】
析出ステップの有利な形態は、パイロットプラントと操作の規模で異なることがある。本発明による方法を工業的規模で実施する場合、従来技術と比較して有利となる生成物の特性は、直列に連結されたプロセスステップが定常状態にある場合に特に顕著に生じる。この状態は、典型的には、約10サイクル後に達する。例えば実験室またはパイロットプラントの規模のように小規模で実施されるプロセスでは、リボフラビンと水性無機酸溶解媒体との総接触時間をさらに短縮することが可能であり、またそれが有利である場合がある。
【0028】
次いで、析出したリボフラビンを、それ自体当業者に周知である濾過方法により、水性析出媒体から取り出し、洗浄する。
【0029】
濾過により得られたB/C変態型の固体リボフラビンからなる濾過ケーキは、有利には、水を添加することにより懸濁させる。添加する水の量は、固形含量が約5〜約15重量%、好ましくは約8〜約12重量%であるリボフラビン懸濁液が得られるように選定する。しかし、水を含む場合に沸点が高くなりすぎない溶媒中の懸濁液を使用することも可能である。その場合、懸濁液中の水の含量は、少なくとも10重量%とすべきである。有用な溶媒は、特には水混和性の溶媒であり、例えばC1〜C4アルカノールである。
【0030】
乾燥するために、リボフラビン懸濁液を、流動床噴霧造粒に供する。リボフラビン溶液または懸濁液の既知の噴霧乾燥(典型的には二種材料用ノズルにより乾燥塔に吹き付ける)とは異なり、本発明にしたがって用いられる流動床噴霧造粒における懸濁液は、連続的にまたはバッチ式で乾燥反応生成物の流動床に吹き付ける。乾燥ユニットには、特定の粒径画分が得られるようにし、かつ造粒プロセスが維持できるようにする装置が取り付けられている(例えば、K. Kroll, Trocknungstechnik [drying technology(乾燥技術)], Volume II, “Trockner und Trocknungsverfahren“ [“dryers and drying processes(乾燥装置および乾燥プロセス)”], Springer, Berlin, 1978, 221-223)。
【0031】
一体化されたフィルターおよびリボフラビン懸濁液が上方から流動床の内部または上面に吹き付けられるようにするノズル設備が取り付けられている連続噴霧流動床(例えば、H. Uhlemann, “Wirbelschichtspruehgranulation“ [“fluidized bed spray granulation(流動床噴霧造粒)”], Springer, 2000, 219-244)の中で実施することが有利である(「上噴法」として知られている)。
【0032】
本発明による流動床噴霧造粒を行うために、手順は一般に、
a)まず、リボフラビンを乾燥粉末、スプレーまたは微細顆粒の形態で、20〜100℃、好ましくは50〜100℃、特には65〜95℃に加熱した流動床に充填し、
b)これに、微細なリボフラビンの水性または水含有懸濁液を、乾燥速度の関数として、噴霧形態で添加し、
c)適当な滞留時間の後、リボフラビン粒子を流動床から取り出し、適当な装置を用いてそれらを粒子画分へと分別し、
d)粒径が約50〜約450μm、好ましくは約80〜約250μmの範囲の粒子画分を排出させ、
e)もっと微細な粒子および/またはもっと大きな粒子を粉砕することにより得られたもっと微細な粒子および/または有用な画分として排出された画分の一部を、噴霧流動床へと粉砕して、またはそのような粉砕を行わずに、再循環させる
ことを行うことである。
【0033】
噴霧流動床乾燥は、連続的に、またはバッチ式で行うことができる。連続的に行うことが特に有利である。
【0034】
このプロセスを行うために、まず、従来技術に相当し、流動床を作製するのに適した乾燥リボフラビン粉末から、リボフラビン生成物を調製しなければならない。バッチ式の手順では、まず、例えば噴霧乾燥または凝集噴霧乾燥により得られるような十分微細な生成物を、流動床に充填することができる。次に、噴霧流動床内での粒子の滞留時間に応じて、粒径がより小さいまたはより大きい乾燥生成物を得る。約50〜450μmの粒子範囲の粒子は、所望どおりの特性を有し、したがって、有用な生成物として得られる。もっと小さい粒子、ならびにもっと大きな粒子を粉砕することにより得られるリボフラビンは、次のバッチの流動床材料として使用する。
【0035】
連続プロセスを行うために、微細なリボフラビンの水性または水含有懸濁液を、流動床に連続的に吹き付ける。噴霧導入速度は、流動床が目的とする乾燥程度に相当する温度となるように設定する。その温度は、乾燥器に吹き入れる流動化ガスの入口温度と出口温度との差により決定される。
【0036】
連続的なプロセス制御では、流動床乾燥器の第1回目を立ち上げたとき、流動床の中にある出発物質は微細なリボフラビンである。次いで、実質的に一定の粒径分布を有する乾燥生成物を得る。これから、目的とする粒径の画分の一部を連続的または断続的に取り出すことが有利である。粒径の範囲が約50〜約45μmである粒子画分を、有用な生成物として排出させ、微細な粒子および/またはもっと大きな粒子を粉砕することにより得られる微細な粒子は流動床へと連続的に再循環して、顆粒プロセスを維持する。
【0037】
目的とする生成物の特性を達成するためには、同様に、取り出した有用な画分の一部を粉砕し、それをプロセスに再循環することが有利な場合もある。噴霧流動床に再循環させる量と、有用な生成物としてプロセスから取り出す量との割合を、約0〜約8、好ましくは約0.5〜約5、さらに好ましくは約1〜約4の範囲内で選定することが特に有用である。
【0038】
有用な生成物として取り出す量に相当する量のリボフラビンを、微細なリボフラビンの水性懸濁液の形態で流動床に連続的に吹き付けて、流動床内のリボフラビンの量を一定に保つ。
【0039】
流動床を形成するための乾燥器へ吹き込む流動化ガスは、一般に、入口温度が60〜250℃、好ましくは140〜185℃であり、出口温度が40〜140℃、好ましくは60〜95℃である。これにより、流動床の温度は約40〜140℃、好ましくは60〜95℃、さらに好ましくは65〜95℃になる。
【0040】
水性リボフラビン懸濁液を用いて流動床に導入される量の液体の蒸発には、エネルギーをさらに供給しなければならない場合がある。このために、例えば、加熱表面を流動床に没入させることができる。加熱表面の温度は、典型的には、100〜250℃の範囲、好ましくは140〜180℃の範囲である。
【0041】
本発明による方法の1つの特に好ましい実施形態では、噴霧ノズル(単数/複数)が流動床の上部に配置されるように構成されている乾燥器が用いられ、これは上噴構造として知られている。噴霧導入手順は、ノズルの空気と噴霧により導入される懸濁液との割合が、質量基準で約1.5未満、好ましくは約1未満となるように調節する。
【0042】
記載の方法は、顆粒形態であるB/C変態型の純粋なリボフラビンの調製に適している。これに関して、純粋なリボフラビンとは、純度が96%を超える、好ましくは98%を超える、さらに好ましくは99%を超えるものであり、かつ結合用もしくは造粒用の助剤または他の添加剤と混合されていないリボフラビンである。
【0043】
本発明はさらに、嵩密度が0.45〜0.7g/mlであり、打錠後の溶解率が少なくとも80%である、顆粒形態の純粋なリボフラビンに関する。本発明は、好ましくは、嵩密度が0.5〜0.65g/mlであり、打錠後の溶解率が少なくとも80%である、顆粒形態の純粋なリボフラビンに関する。本発明は、さらに好ましくは、嵩密度が0.5〜0.65g/mlであり、打錠後の溶解率が少なくとも85%である、顆粒形態の純粋なリボフラビンに関する。
【0044】
これに関して、嵩密度とは、形状(この場合、顆粒形態のリボフラビン)をとることができ、かつ特定の様式で注入される物質の質量を、その物質が占める容量で除算したものである。
【0045】
本発明による顆粒形態のリボフラビン、ならびにそれらと比較しようとする、別の方法で得られたリボフラビン製品またはリボフラビンの投与形態の嵩密度の測定は、
DIN 53468(1960年11月)に従って行うものとする。
【0046】
水溶性で嵩のある物質の嵩密度は、典型的には、溶解速度、すなわちその嵩のある物質が水または水性溶解媒体に溶解する速度と相関関係を持ち、これは、当業者であれば予測できるように、嵩密度が増大すれば溶解速度が低下するようになっている。
【0047】
驚くべきことに、本発明の顆粒形態のリボフラビンは、打錠後、すなわち錠剤の形態へ押圧した後であっても、驚くほど良好な溶解速度を示す。
【0048】
本発明の顆粒形態のリボフラビン、ならびにそれらと比較しようとする、別の方法で得られたリボフラビン製品を打錠するためには、まず、16.66重量%のリボフラビン、53.34重量%のTablettose(Meggle AG)、26.84重量%のAvicel(登録商標)PH 102(FMC Corp.)、0.5重量%のAc-Di-Sol(登録商標)(FMC Corp.)、2.0重量%のAerosil(登録商標)200(Degussa AG)および0.66重量%のステアリン酸マグネシウム(Barlocher GmbH)からなる粉末混合物を調製する。このために、リボフラビンおよびステアリン酸マグネシウムを除く全ての成分を、Turbulaミキサー内で10分間にわたり十分に混合し、メッシュ幅0.8mmの篩いで強制篩いがけにかけ、リボフラビンおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物をTurbulaミキサー内でさらに10分間混合する。こうして調製した粉末混合物を、Korsch PH 106錠剤押圧装置で、20回転/分の打錠速度および10kNの押圧力にて押圧して、直径8mm、重量300mg、リボフラビン含量50mgの面取りされた二平面形の錠剤を得る。
【0049】
本発明によるリボフラビン顆粒の、上記で記載したように行った打錠後の溶解速度を求めるための適切な尺度は、溶解率である。
【0050】
打錠リボフラビンの溶解率を測定するためには、U.S.P. 26(Physica Tests/711 Dissolution, p.2155)に従い、完全に自動化された放出装置を用いる。測定は、900mlの0.1モル塩酸で満たした1リットル容測定シリンダーで行う。測定溶液を水浴で36.5〜37.5℃まで加熱し、パドル撹拌器で75回転/分にて撹拌し、上記のようにして調製したリボフラビン錠剤を添加した30分後に、測定溶液のサンプルを採取し、(場合によってはさらに希釈した後で)そのリボフラビン含量をUV分光法により267nmの波長にて測定する。30分後に錠剤から放出されたリボフラビンの量の割合は、溶解率として[%]で報告する。
【0051】
記載した特性を兼備することは、従来では達成されておらず、これにより、本発明のリボフラビン顆粒は、従来知られているリボフラビンの投与形態よりも優れたものである。同時に、本発明の顆粒は、自由流動性が非常に高く、非飛散性であり、結合剤を含んでいない。それらは、好ましくは、造粒助剤を添加せずに得る。
【0052】
本発明による方法を説明するために、以下の実施例を示すが、それらに限定するものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1
顆粒形態のリボフラビンを調製するための共通方法
溶解温度X(表1を参照)で調製しておいた、10重量%のリボフラビンおよび22重量%のHClを含む水性溶液100kgを、撹拌槽に、360 l/時の水と共に、48kg/時の速度で連続的に投入する。析出させるために、この溶液を、8℃の温度、約0.12W/lの導入撹拌器出力、および4:30分の平均滞留時間でそのまま維持する。下流の撹拌槽内でさらに約6分の滞留時間をおいた後、得られた懸濁液をベルトフィルターで濾過し、残渣を水で洗浄する。こうして、リボフラビンと塩酸溶解媒体との総接触時間が約2:30時間となる。
【0054】
この残渣を約10重量%含む水性懸濁液を、二種材料用ノズルにより、流動床乾燥器の流動下にある初期充填物に、4kg/時の速度および180℃の空気供給温度で上方から吹き付ける。この実験の間、顆粒を生成物用チャンバーから取り出して、流動床内の内容物が一定となるようにする。溶出物を篩い(250μm)で分粒する。粗い物質を、ユニバーサルミルを用いて粉砕し、流動床に再投入する。再循環させる生成物と排出させる生成物との割合は1:1とする。
【表1】

【0055】
実施例2
実施例1にしたがって調製したリボフラビン懸濁液の工業的規模での乾燥
噴霧造粒は、投入流動表面積が0.07m2の流動床装置内で実施する。吹き付ける懸濁液の流速は約12〜20kg/時とする。流動床装置の生成物用チャンバーには、160℃に加熱した加熱表面が取り付けられている。流動化ガスは166℃の温度で吹き付ける。粒径を調節するために、流動させる物質の一部を取り出し、篩い装置で2つの画分に分粒する(有用な画分:250μm未満、粗い画分:250μmを超えるもの)。粗い画分および(もし存在するならば)有用な画分の一部を粉砕し、流動床に再循環させる。再循環させる生成物と排出させる生成物との割合は、表2の「再循環」として記されている値で示す。
【表2】

【0056】
実施例3
リボフラビン顆粒の嵩密度および溶解率値
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒形態であるB/C変態型リボフラビンを調製する方法であって、
a)A変態型のリボフラビンを水性無機酸溶液に溶解するステップ、
b)その後直ちに、得られたリボフラビンの無機酸溶液を最初に活性炭で処理せずに析出させるステップであって、但し、ステップa)およびb)は、5〜15℃の範囲の温度で行うものであり、
c)そのリボフラビンを、流動床噴霧造粒により乾燥するステップ
を含む上記方法。
【請求項2】
溶解温度が5〜12℃の範囲内で選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リボフラビンを、平均4時間より長くは水性無機酸溶媒と接触させない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
リボフラビンを、平均3時間より長くは水性無機酸溶媒と接触させない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
析出を6〜12℃の温度範囲内で行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
析出を連続的に行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
析出を二段階撹拌槽バッテリー内で行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
析出を、二段階撹拌槽バッテリーの第1の撹拌槽内で行い、その際、その第1の撹拌槽におけるリボフラビン溶液の平均滞留時間が1〜10分間である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
乾燥を、上噴構造の連続式または半連続式流動床噴霧造粒を用いて行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
流動床噴霧造粒において乾燥器に吹き込む乾燥ガスの温度が100〜200℃の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
流動床噴霧造粒において乾燥器に吹き込む乾燥ガスの温度が150〜170℃の範囲である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
乾燥後に得られるリボフラビンの一部を再循環させて乾燥プロセスに戻すことを含み、噴霧流動床に再循環させる量と、有用な生成物としてそのプロセスから回収される量との割合が約1:1〜約4:1である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
嵩密度が0.45〜0.7g/ml(DIN 53468)であり、打錠後に少なくとも80%の溶解率を有する、顆粒形態のリボフラビン。
【請求項14】
嵩密度が0.5〜0.65g/mlである、請求項13に記載のリボフラビン。
【請求項15】
打錠後に少なくとも85%の溶解率を有する、請求項14に記載のリボフラビン。
【請求項16】
結合剤を含有していない、請求項13〜15のいずれか一項に記載のリボフラビン。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか一項に記載のリボフラビンを用いて製造される錠剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒形態であるB/C変態型リボフラビンを調製する方法であって、A変態型のリボフラビンを
a)水性無機酸溶液に溶解するステップ、
b)その後直ちに、上記で得られたリボフラビンの無機酸溶液を最初に活性炭で処理せずに析出させるステップであって、但し、ステップa)およびb)は、5〜15℃の範囲の温度で行うものであり、
c)そのリボフラビンを、流動床噴霧造粒により乾燥するステップ
を含み、リボフラビンを平均4時間より長くは水性無機酸溶媒と接触させない、上記方法。
【請求項2】
溶解温度が5〜12℃の範囲内で選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リボフラビンを、平均3時間より長くは水性無機酸溶媒と接触させない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
析出を6〜12℃の温度範囲内で行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
析出を連続的に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
析出を二段階撹拌槽バッテリー内で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
析出を、二段階撹拌槽バッテリーの第1の撹拌槽内で行い、その際、その第1の撹拌槽におけるリボフラビン溶液の平均滞留時間が1〜10分間である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
乾燥を、上噴構造の連続式または半連続式流動床噴霧造粒を用いて行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
流動床噴霧造粒において乾燥器に吹き込む乾燥ガスの温度が100〜200℃の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
流動床噴霧造粒において乾燥器に吹き込む乾燥ガスの温度が150〜170℃の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
乾燥後に得られるリボフラビンの一部を再循環させて乾燥プロセスに戻すことを含み、噴霧流動床に再循環させる量と、有用な生成物としてそのプロセスから回収される量との割合が約1:1〜約4:1である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−522763(P2006−522763A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505032(P2006−505032)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003689
【国際公開番号】WO2004/089889
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】