説明

風力タービンに好適な永久磁石付回転用磁気軸受

本願は、第2の部材(3)に対して、第1の部材(2)の回転軸(14)の周りで回転動作させるための装置(1)であって、上記第1の部材は、上記回転軸の周りで回転対称となる外側表面を有し、上記第2の部材は、上記第1の部材の外側表面と上記第2の部材の内側表面との間の隙間に、少なくとも第1の部材を収納する内側表面を有する、対応する回転対称の空洞を有する。上記第1の部材と上記第2の部材との間での反発する磁界(4)が、第1の部材の外側表面と第2の部材の内側表面との間での接触を阻止する。上記磁界は、上記第1の部材および上記第2の部材との間の隙間に対して同一極性(7)で配列された複数の永久双極子磁石(6、13)によって達成される。複数の双極子磁石を使用することで、任意の形状が、磁石のN極またはS極だけを有する表面を提供することができる。本願発明は、特にダリウス型風力タービン(20)の回転支持に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、磁気軸受に関連する。より具体的には、第2の部材に対して、第1の部材の回転軸の周りで回転動作させるための装置に関連するものであり、上記第1の部材は、回転軸の周りで回転対称となる外側表面を有し、上記第2の部材は、第1の部材の外側表面と第2の部材の内側表面との間の隙間に、少なくとも第1の部材を収納する内側表面を有する、対応する回転対称の空洞を有する。上記第1の部材および上記第2の部材の間で反発する磁界は、第1の部材の外側表面と第2の部材の内側表面との間の接触を阻止する。
【背景技術】
【0002】
磁気軸受は、種々の応用例が知られている。列車の応用の1つが、磁気浮上列車であり、そこでは、列車が、列車底部内の永久磁石および線路内の電磁石のおかげで発生する磁界上に浮上する。別の応用例は、ロボット工学のための球形のステッピング・モータであり、例えば米国のジョンホプキンス大学で開発(IEEE、ASME、機械のトラザクション;4/4号、1999年)されており、インターネットのウェブ・サイト(http://www.jhu.edu/~news_jnfo/news/home01/jan01/motor.html)で見られる。
【0003】
磁気軸受の別の例は、米国特許番号4,947,067号が公開しているように、6個の活性化磁気軸受要素が内部で浮遊している球形の内側胴体を伴う振動ダンパーを含む。
【0004】
磁気軸受の更なる別の例は、永久磁石のみによる解決を含むもので、例えば回転する機械の一部であるシャフト用の軸受/軸頸である。しかし、上記実施例において、基本的な前提は円筒形状であり、この円筒形状は、軸受の角度の自由度を制限し、シャフトが長手方向の力の成分を受けるような場合、不利になる。
【0005】
軸頸/軸受を単純化かつ堅固にする、産業上の「重要な任務」の解決に対するニーズが存在するようである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本願発明の目的は、単純な方法で円筒形状以外のものを生成することの選択と同時に、単純化かつ堅固な回転磁気軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、第2の部材に対して、第1の部材の回転軸の周りで回転動作させる装置によって達成することができ、第1の部材は、回転軸の周りで回転対称となる外側表面を有し、第2の部材は、第1の部材の外側表面と第2の部材の内側表面との間の隙間に、少なくとも第1の部材を収納する内側表面を有する、対応する回転対称の空洞を有する。第1の部材は、上記隙間に向けて同一極性で配列された複数の永久双極子磁石を含み、第2の部材は、空洞の内側表面から第1の部材を反発させるために、第1の部材の磁界に対向する隙間に向けて同一極性で配列された複数の永久双極子磁石を含むようにする。
【0008】
第1の部材と第2の部材との間で、反発する磁力は、反対方向に向けられた磁界によって提供される。第2の部材の空洞内に第1の部材を収納することで、第1の部材は、回転軸に沿って見たときの断面において、第2の部材によって囲まれることになる。このため、反発力は、上記断面の範囲内において、第1の部材が第2の部材に接触することを阻止する。
【0009】
本願発明の多様性は、基本的に表面を円滑に曲げることにあり、例えば楕円形または最も好ましくは球形状を円滑に曲げることにある。可能な形状については、後で一層詳細に説明することになる。
【0010】
複数の双極子磁石を使用することで、N極だけまたはS極だけからの磁界が、比較的簡単な方法で、任意形状の第1の部材の外側表面全体に提供することができる。本願発明のために、好ましくは、回転体を円滑に曲げることが予想されており、例えば、回転殻に、特に球形の形状に円滑に曲げることが予想されている。そして、非常に多くの棒磁石を、表面上のN極またはS極だけからの磁界によって、球形または球形の殻に似るように放射状に集合させることができる。
【0011】
第1の部材と第2の部材との間での磁界のために、双極子磁石を提供することにより、磁界を生成するためのシステムは、メンテナンスが不要となり、このことは、多くの応用にとって高く要求されていることであり、例えば、沖合の、特に深海の沖合の風力タービンに関連する応用を含むような、簡単にアクセスできない場所での装置のために要求される。
【0012】
上記で述べた表面を円滑に曲げることに沿って、第1の部材および第2の部材の相対する複数の双極性の少なくとも多くからの磁界の方向は、回転軸に並行な方向に空洞の内側表面から第1の部材を反発させるために、回転軸に並行な方向の成分を有する。例えば、回転軸が垂直のとき、垂直方向に反発する磁力線は、1つの部材の重量を他の部材の上に支持するように使用することができる。例えば、第2の部材が、固定のとき、反発する空洞の内側表面は、第1の部材の重量を支持することに使用することができ、付け加えると、第1の部材に負荷となる追加手段の重量を支持することにも使用することができる。
【0013】
上記で説明したように、好ましい解決法において、第1の部材の外側表面の部分は、球形の部分となる形状を有し、空洞の内側表面の部分は、空洞の球形部分内に第1の部材の球形部分を収納するための球形、大きな半径であるが、その球形に対応する部分の形状を有する。球形による解決は、放射状構成に配列される棒磁石の形状内の双磁子によって、比較的容易に生成される。例えば、すべての双極子を、第2の部材の内側表面と第1の部材の外側表面との間の隙間に向かってN極を方向付けることで可能となる。
【0014】
第1の部材と対応する空洞とは、完全な球形に似せる必要はない。更なる実施例において、例えば、第1の部材は、球形部分の形状と、球形部分から回転軸に沿って延長される軸とを有する、第1の球形部分から実質的に構成される。次に、第2の部材は、第1の部材の球形部分を収納する球形部分の形状の空洞を有する。更に、第2の部材は、空洞の延長部分に環状部を有し、この環状部は、軸を収納する。軸が、環状部の内側表面と接触することを阻止するために、軸および環状部は、軸の外側表面と環状部の内側表面との間の隙間に同一極性が対面する状態の複数の双極子磁石を含むことで、反発力を生成する。こうして、本願発明による軸受部は、主として回転軸周辺の回転動作に制限される。しかし、ある程度の耐久性が、回転動作からの動作偏位によって、軸受部において提供される。故に、耐久性における僅かな拡張によって、軸受は、全方向性のヒンジ(hinge)として動作する。
【0015】
球形の形状は、円滑な回転能力によるものが最も好ましいけれど、球形からずれることは、耐えることができる。他の代替であっても、応用分野の独立性および必要な許容性において、機能することが可能である。例えば、球形の代替として、円滑に曲げた形状の回転による別の胴体でも、本願発明のために使用することは可能である。
【0016】
他の円滑な形状のいくつかの例は、第1の部材の外側表面が、ラメ曲線(Lame curve)に似せた断面による回転の表面部分の形状を有し、空洞の内側表面の部分が、ラメ曲線に似せた対応する表面の対応部分となる形状を有し、しかも、空洞の内側で、第1の部材を収納する部分が一層大きな断面であるようにする方法で、規定すれば可能である。ラメ曲線は、(a/x)m+(b/y)n=1で規定することができ、ここで、xとyとは変数で、a、b、m、およびnは定数で、およびn≧2、m≧2である。例えば、楕円の場合は、m=n=2であり、球形の場合は、m=n=2、およびa=bである。しかし、円滑な形状の他の例は、放物線または双曲線の回転体である。
【0017】
実施例の1つにおいて、第1の部材は、円滑な曲線の回転の表面に似せた外側表面、例えば断面をラメ曲線に似せて回転させた外側表面、および回転軸に沿う胴体から延長する軸から実質的に構成される。第2の部材は、第1の部材の胴体を収納するための対応する空洞を有し、第2の部材は、空洞の拡張部に環状部を有する。球形の実施内において、拡張部は軸を収納する。軸および環状部は、環状部の内側表面から軸への反発力を得るために、環状部の内側表面および軸の外側表面の間における隙間で対面する同一極性の複数の双極子磁石を共に有する。
【0018】
更なる実施例において、環状部は、軸の電磁駆動するための誘導モータを含む。代替として、上記モータに追加するものまたは一部として、環状部は、環状部に対して回転する軸の回転から、電力を発生させる発電機を含むことができる。このことは、本願発明を、第1の部材から軸を延長させて、風力タービンを支援するために使用するときに関連してくる。
【0019】
好ましい実施例において、軸は実質的に垂直方向であり、風力タービンは、軸の延長部の上端部および下端部に固定された複数の翼を伴うダリウス型タービンである。風力タービンが、第1の部材の軸に搭載されるとき、第2の部材は、海底に第2の部材を固定するために、ケーブル付き垂直浮遊用重量配置品を含むことができる。垂直浮遊用重量配置品は、第1の部材の軸に対して反対側の下方向に提供される。
【0020】
上述に沿って、風力タービンは、第1の部材の軸の延長部において提供され、第2の部材は、第1の部材の重量を支える。しかし、本願発明の装置は、第2の部材が、装置に固定されるタービンを有し、第1の部材の軸が、タービンおよび第2の部材の重量を支持するために固定されるところで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願発明を、以下の図面を参照して、一層詳細に説明することになる。
【図1】Zボール(Z ball)軸受を側面から示す図である。
【図2】Zボールを単純化したときのパラメータを示す図である。
【図3】バッキー球形C720の配置を示す図である。
【図4】ボールおよびボウル(bowl)用の角柱の磁気構成要素を示す図である。
【図5】単一の「シンク−ソース(Sink-Source)」磁石および該磁石の磁力線を示す図である。
【図6】図5の磁界内の等電位線を示す図である。
【図7】N極を隣接されたとき(N−N)の2つの磁石を示す図である。
【図8】N極が下を指す同一方向の状態で並んで置かれた2つのN−S付磁石を示す図である。
【図9】ボールをボウル中心においたときのZボール内の磁力線を示す図である。
【図10】ボウルに対してボールを下方向に移動させたときのZボール内の磁力線を示す図である。
【図11】Zボールおよびダリウス風力タービンを備えるシステムを示す図である。
【図12】「FloWind」の例を示す図である。
【図13】ダリウス風力タービン用のZボール軸受を示す図である。
【図14】沖合の海底での風力タービン公園内の風力タービン間の相互接続を説明するための実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本願発明の実施例を磁気構造1で説明しているが、この磁気構造1は、以下ではZボール(Z ball)と呼ばれ、以下でボール(ball)と呼ばれる球形の磁気構造2が、以下でボウル(bowl)と表記される外側の球形構造3の内側に置かれる。ボール2もボウル3も、ボール2およびボウル3間に磁界4を構成する永久磁石を含み、この磁界は、ボール2およびボウル3の間で反作用を生じる。例えば、矢印6で示す永久磁石の組は、ボール2の中心5から方向付けられた−矢印7の先端として示す−N極と共にボール2内に置かれる。磁石13の別の組も、ボウル3の中心5から方向付けられた−矢印7の先端として示す−N極と共にボウル3内に置かれる。こうして、ボール2は、3次元の磁界4内を自由に動ける状態で保留され、ボウル4の内側で衝突することなく回転することができる。
【0023】
この磁界は、無指向性の焼入れしたバネの特性に類似しており、この磁界の特性は、ボール2およびボウル3の間の距離が減少するにつれて増加する。
【0024】
ボール2は、上方向に延長する第1の柱/棒8に接続される。第1の柱8は、環状部11内に含まれ、環状部11および環状部11の高さ迄の第1の柱8は、永久磁石構造9を備えており、この結果、環状部は、柱8と環状部11との間において、磁界11内に保持される。この方法で、ボウル3内にボール2を伴なうZボール構造は、ほぼ柱8に垂直な平面内だけで回転することになる。
【0025】
一方、ボウル3は、第2の柱/棒12を有し、この柱/棒は、ボール2の第1の柱8に対して対向する方向に延長される。第2の柱12に対する第1の柱8の小さな動きは別として、回転軸14に沿った相互のねじれおよび動作により、第1の柱8および第2の柱12は、共線(co-linear)の関係にあり、共通の軸14の周りで互い相対的に回転することができる。
【0026】
上記の柱/棒8、12は、説明用に使用したものであり、他の構造物に置換できることを述べておく。第1の柱8は、柱8に外部デバイスを搭載するために、軸16の形状内に延長部を有することができる。
【0027】
ボウルは、誘導用のためにコイル15を含む環状部11と共に延長することができる。これらのコイル15は、ボウル3内のボール2を駆動する誘導モータとして、または外部からの力が、ボウル3に対してボール2を駆動するときに電気を供給するための発電機として使用することができる。加えて、誘導モータは、ボウル3に対してボール2を制止するのに使用することができる。この制止メカニズムは、付加的な機械的制止と組み合わせることができる。
【0028】
以下に一層詳細に説明するように、上記装置は、ダリウス型の風タービン用として大いに適用され、例えば米国特許番号1,835,018に開示され、または本願に図12として図解する。この種の風力タービンは、従来のプロペラ型の風タービンよりも、スタートさせるのが一層困難である。故に、タービンの回転を開始させるために、最初に電気をコイル15に供給できるようにし、この後に、風力が電気を生成するためにタービンの回転を継続させることになる。適切な機能のために、回転速度を、電気制御の使用により事前設定の限度内に維持させることができる。
【0029】
電磁石とは対照的にこのような構成に永久磁石6を使用することの利点は、永久磁石がメンテナンスを必要としないこと、また電気的フィードバック制御メカニズムも必要としないことである。多くの事例において、例えば風力タービンの関連でメンテナンスおよび制御の最小化が要求されている。
【0030】
図2は、Zボールの種々のパラメータを示しており、ボールは、半径rを有し、ボウルは、半径Rを有する。力Fz=M*g(Mは負荷の質量であり、gは、重力定数g=9.81m/s2である)が、ボール上に、下部分のz方向に与えられたとき、ボールは、磁界内で浮遊状態になる。ボールが、中心から距離hに移動したとき、ボールとボウルとの間のより小さな距離dのおかげで、磁力は、2つの相反する力を平衡させるためにFzまで増加することになる。
【0031】
永久磁石のために、種々の種類の構造パターンが、可能である。好ましくは、磁石の各組の配置のためのパターンは、典型的な一様分布の幾何学的公式に従い、図3に示すような、要するに「バッキー球」に従うことになる。外見的に、「バッキー球」は、閉じられた多面体の仲間を構成することになる。本願で使用される仲間の一部は、公式V=2*(H+10)に従い、ここで、Vは、頂点の数であり、Hは、六角形の数である。図2は、V=720の場合である。この例において、完全な「バッキー球」において、常に正確な12個の五角形が存在し、かつ350個の六角形が存在する。これらの五角形は、5つの「プラトンの立体」の1つ、いわゆる「十二面体」として、6つの対称軸上に置かれたペアワイズ(pair-wise)である。故に、トポロジーは、完全に固定化している。原則上、ユーザ/技術者が、Hを決定するが、ある制限が強制され、全辺長が等しい所では排他的に正多角形が要求される。別の「バッキー球」を、Zボールのモデルとして使用することが可能である。
【0032】
磁石の好ましい形状を図4に示す。この磁石は、大量に集合させることで、球形のボールおよびボウルの各々の形状上に磁石構造を形成することができる。図4は、磁石を示すが、磁石プリズムの頂上および底部の表面は、「バッキー球」原則に似せるように、六角形または五角形のいずれかにする。
【0033】
本願発明によるZボールの利点は、2つの部分2、3の間で回転する結合を構成することであり、ここでは2つの要素の間で摩擦無いので、磨耗を低減し、エネルギー損失を最小化する。このことは、2つの要素に力が作用するのに拘らず、摩擦の無い回転結合を維持することができ、力は、回転方向に沿うよりも他の方向に存在することになる。力を受けると、結合は、ボール2をボウル3に押すことにより回復するように作用する。このことは、例えば図1に示した環状部の形に誘導デバイスに組み込むことを可能にする。誘導デバイスは、あるタイプの応用において非常に有効であり、例えば図13に示す風力タービンに関連して、誘導デバイスは、歯車および発電機として役に立つ。それは、従来の解決法と比較して、重量、機械部品の数、およびメンテナンス費用の面において多大な貢献を示す。
【0034】
次に、磁力線を本願発明に関連して説明する。上記したように、図4に示すようなタイプの双極子磁石の大多数を、球形の磁気構造に似せるように配列することができる。図5は、そのような双極子磁石を磁力線と共に示している。各磁力線(流線)は、閉じて、環状を形成する。慣例により、磁力線の方向は、N極からS極へとしており、磁力線が交差することはない。等電位線は、示していないが、磁力線に対して垂直方向に存在する。等電位線は、図6に見ることができる(うすく見える)。
【0035】
2つの棒磁石が、互いに等価な極性端部を強制されるとき、磁力線の図は、反発する磁力線を示す図7が得られる。この場合、磁束の場は、2つの磁石の間で圧縮される。図8は、N−Sを同一方向にしたときの2つの磁石の状態を示す。
【0036】
上記理解を基礎にして、複数の上記双極子磁石からなる磁気的配列が、ボール2およびボウル3のために構築することができる。Zボールにおけるボールおよびボウル間の磁界の磁力線を、ボール2がボウル3の中心にあるときを図9に示し、ボール2がボウル3に向けて移動したときを図10に示す。
【0037】
磁束の磁界が、磁気構造2、3の間でどう圧縮されるかは、鮮明に見ることができる。磁界は、2つの隣接する磁石間での圧力を生成する。しかし、磁石を集合させるのに必要なエネルギー/仕事は、製造上の問題である。全部の磁石が所定の位置に置かれたとき、これらは、ギャップを埋めるために、マトリックス(matrix)内で凍結され、マトリックスは、殻に必要な強度を提供する。故に、薄膜の殻モデルの観点から、ボール2およびボウル3は、プリテンション(pre-tension)をもって生まれる。事前の計算は、最新の複合材料をマトリックスのために使用するとき、生じるストレスに問題が無いことを示している。
【0038】
図5から図10を生成するために使用した計算機プログラムは、「磁界の可視化」(J.S.Beeteson著、アカデミック出版、2001年)によるが、図4内の要素には応用できない。3次元の磁界は、ここでは2次元の磁界としてモデル化することができる。故に、図5から図10は、「2次元の断面」としてだけ見るべきであり、磁石は、棒磁石に単純化される。
【0039】
概念的に、磁界は、放射状に向けられたスプリング付きのスプリング・マットレスのように作用し、そこでは、ボール2およびボウル3の間の距離が、減少するとき、力が増加する。特性は、種々の磁石内の合金のタイプおよび幾何学的な選択されたモジュール方式に依存する。理論上、球形表面間の距離が零に向かうとき、表面間の力は無限大に向かう。ボールまたはボウルについて、理想的な球状表面、またはそのような幾何学的に完全な形状部分にしなければならない理論上の制限はない。完全な形状から隔たることは、耐えられることであり、時には避けられないことであり、特に好ましい場合には、磁気構造は、複数の双極子磁石から似せられる。
【0040】
クーロンの法則に従えば、電荷Q1および電荷Q2の2つの永久磁石は、距離dにおいて力Fを互いに及ぼすことになる。
F=[1/(4*π*εθ)]*Q1*Q2*(1/d2)
F: [ニュートン]=[N]
εθ: 表面間の物質内の誘電率[ファラッド/メートル]
ここで、物質は空気である。
Q1およびQ2: [クーロン]=[C]=[アンペア*秒]
d: [メートル]=[m]
【0041】
ここで、電荷は、同一符号を有すると仮定し、そうでなければ反発の代わりに吸引力を得ることになる。ボールの外側表面は、永久磁性qk[C/m2]を有し、ボウルの内側表面は、永久磁性qs[C/m2]を有する。ボールは、ボウルに逆らう方向のN極を有し、ボウルは、ボールに逆らう方向のN極を有し、この結果、ボールは、ボウルに「反発」し、ボウルの場合も同様である。
【0042】
ボールおよびボウルの間の磁界は、静磁界ではない。何故なら、ボールがボウル内で振動するので、磁界は時間と共に変化する。理論によれば、静的平衡ではなく、安定と呼びことができる動的平衡を得ることになる。
【0043】
上記で仮定したように、球形の表面上に単極の磁性だけを提供することでは実現不可能である。重要な仕事のための現実的解答は、表面の離散化に基づかなければならない。本願発明において、ボールおよびボウルは、図4内に示す、両タイプの永久磁石の集合体となる。基本のパターンは、図3および説明によって与えられる。上記で説明したように、幾何学から判るように、正多角形の組合せのみが、隙間を残すことなく、球形を覆うことができる。所定の応用のために、ユーザ/エンジニアは、図4に示すような、六角形の数(H)および正多角形内の辺長を決定する。図4内の角柱の高さは、明らかに図1内のボールおよびボウルの回転の殻の厚さと一致している。
【0044】
・本願発明の応用分野
本願発明は、異なる要素間での摩擦の無い回転結合のために使用することができ、例えば、Zボールの原理は、掘削用機械、エンジン、および車輪軸受を含む回転応用のための軸受として使用することができる。
【0045】
好ましい実施例は、垂直の回転軸14付きのダリウス型の風力タービン20に関連するもので、図11に示す。Zボール1のボウル3は、一般的にはSPAR(Single Point Anchoring Repository)と記載される垂直浮遊用重量配列21に接続される。SPAR21は、第1の組のワイヤー23によって、海底22に固定される。Zボール1のボールは、ダリウス型風力タービン20の軸受であり、このタービンにとって、第2の組のワイヤー25によって海底22に固定される頂上の磁気配列24が、負荷となる。環状部11にとって厳密には必要では無いけれど、頂上の磁気配列24は、Zボール1と類似している。図11の右側部分に、切断面の表示26、27を、切断面の位置を示す点描の基準線27、28と共に示す。
【0046】
図13は、風力タービンに関連する拡大図においてZボールを示しており、Zボールの翼17が軸8の延長部分16に搭載されることを示す。図13は、多くの観点において図1と一致し、同一の参照番号が使用される。
【0047】
特に、本願発明は、沖合の深海にある、電力を発電するための新タイプの風力タービンに適している。深海の用語は、好ましくは水深Dが50mを超えるものを意味する。しかし、本願発明は、原理的に水深Dが50mを超えるものに限定するものではなく、沿岸および陸上でも動作することを強調する。何故なら、Zボールの原理は、普遍的な技術だからである。しかし、Zボールは、沖合用タービンとして、タービンが浮遊構造の部分であるときに非常に有利である。
【0048】
1つの実施例において、タービン20の総工事、すなわちワイヤー23、25およびZボール1を固定することが、沖合の風力タービン公園内のユニットとしてデザインされ、そのユニットは、図14に概略的に示される。ハート形状を有するユニットにとって、少なくとも3つのケーブルは、安定化のために使用するべきである。しかし、安全性および安定性の理由から、図14に示すように、端部に海底土台を有する6つのケーブルを使用して、六角形パターン内に配置されている。
【0049】
例えば、海底土台は、海底での据付、サクション・アンカー(suction anchor)、またはアロー・アンカー(arrow anchor)で固定することができる。SPAR21および回転頂上24に到着する2つのケーブル23、25のために、1つの基準点(anchoring point)を設けることができる。しかし、環境条件、すなわち海底22の状態、風、波、およびケーブル23、25で生じる力に従って、SPAR21用基準点の1つのグループおよび回転頂上へのケーブル23、25用基準点の別のグループを適用する必要があるかもしれない。
【0050】
陸上において、ケーブル類は、翼17との衝突を避けるため、またケーブルの固有振動数が、通常動作状態にあるローターの周波数(翼の周波数を含む)に干渉しないように、高度なプレテンション方式で設置される。これらの考慮は、特に、厳密にはケーブルの長さが考慮すべき程増加したときの事実を考慮したときに、当然ながら沖合でも有効である。故に、水深Dの上限は、必要なプレテンション方式、およびシステムの係留化/固定化の現存技術によって決定される。
【0051】
本願発明は、「対応する沖合構造物」のグループに属する。Zボールは、ケーブルの振動およびSPARの振動に起因して振動することになるので、構造全体の「外皮(envelope)」が、所定の環境、すなわち水深、風および波スペクトル、海底等の条件だけで決定することができる。
【0052】
市販化された最大級のダリウス型タービンの2つのタイプ、「FloWind 17 EHD」と「FloWind 19-meter」を、図12に示す。これらは、主に米国とカナダにおいて、1970年から1997年の期間に製作され販売された。これらは、VAWTの仲間(Vertical Axis Wind Turbine:垂直軸風力タービン)に属する。他の実施例は、米国特許番号1,835,018の明細書に、ダリウスによって開示されている。
【0053】
しかし、本願発明は、2つまたは3つの翼を有する上記タイプに依存する方法ではない。別の数の翼を有する別タイプも、市場において有効となっている。基礎的計算は、図14内の2つの翼の代りに3つの翼を有する3枚ローターの「FloWind 19-meter」タイプを基礎とした。その理由は、3枚ローターの方が、2枚ローターよりも一層優れた動的特性すなわち優れた対称性を有しており、この特性が、回転頂上を沖合に置いたときに最重要な要素となるからである。
【0054】
図13に関連して、好ましいことに、柱8、16は、翼17と共に回転する。このことは、柱8と翼17との間に支柱の使用を必要とするように見える。支柱無しのタービンの改良型は、陸上で試みられ、見たところ成功は無いようであるが、どうやら翼に関する固有振動数に対して重要な課題となるはずである。いわゆる固有モードは、端点の支持だけで支えられる、非常に長い梁にとって困難な課題となっている。
【0055】
ポリマー材料に関する強度および製作法は、現在までに改良されており、ポリマー材のケーブルが、従来の重い固定用チェーンまたは鉄製ロープ/ワイヤーの代りに、沖合にて使用することができる。これらの改良された合成材料の軽い重量密度が、水面下で水の下になったとき、事実上「無重力」になることを示唆する。
【0056】
特に、特徴のある垂直軸を有するダリウス型風力タービンは、3つの有利な特有の特徴がある。
その特徴は、全指向性にある。足りる風があれば、タービンが動作し、風の方向は重要な意味をなさないことである。このことは、ヨー機構(yaw mechanism)の必要性を低減し、重量および費用を著しく節減する。
その特徴は、重心が低いことにある。そこは、ローターの中心とZボールの中心との間になるが、タービンの水平回転軸を有する、より従来型の風力タービンの大部分の場合のようなナセルの近くにはない。
その特徴は、基本的に軽量構造にある。例えば、図14を参照して、「FloWind 17 EHD」(効力=0.3 MW)は、質量17,000 kgを有し、「FloWind 19-meter」(効力=0.24 MW)は、質量10,000 kgを有する。「The FloWind」にとって、翼の総質量は、各々が4,300 kgと2,000 kgとである。故に、(重く負荷がかかる)柱は、タービンの質量の約2/3を負うことになる。更に、負荷は、ケーブル内の張力および翼の遠心力によって生じる。柱は、支柱からの偏心荷重を伴う、単純支持形式のオイラー柱(Euler Column)であり、支柱は、翼における偏心荷重を柱に運ぶ役割をする。重量の低減は、柱のために細胞物質を使用することで更に達成することができ、細胞物質は、全体の重量を低減するだけでなく、必要な安定性および剛性を維持する。
【0057】
本願発明の風力タービンに関連して、以下の利点を考慮することができる。
1.構造は、曲げモーメントの影響を考慮し、最小化する。
2.Zボールは、陸上のダリウス型タービンで知られていた損傷および損傷によるパワー損失を最小化/低減化する。故に、装置寿命は、単純に延長化される。
3.Zボールの環状部の内の誘導装置は、歯車、発電機、および制御機器/制動機として作動するので、これらの要素は、従来のタービン内での実質的な質量を意味する。この単純化は、ヨー機構の低減に関連して、質量における相当な低減を意味する。
4.機械的要素の数量を低減する。このことは、一層単純化した製作方法、輸送および搭載すべき機械的要素の削減、およびメンテナンス問題の一層の減少を意味する。
5.本願発明は、沖合の深海を基礎として、水平のタービン軸を有する風力タービンを据付する種々のプロジェクトで判った比率(MW/Kg-搭載質量)よりも、この比率が5倍以上高くなるであろうと推定する。
6.風力タービン公園のために選択されたサイトが、種々の理由で悪い選択であると判明するようなとき、例えば気候または政策の変化が理由となるが、この場合、タービン、Zボール、およびSPARは、分解して、現存する沖合の容器から独立して移動することができる。このことは、風力タービン公園の移動性が高いことを示唆し、公園内の各ユニットについて位置調整の自由度が高いことを示唆する。
7.本願発明は、ほとんどのどのような環境にも適用することができる。中古の2つのタイプのローターがあると仮定すると、他のパラメータについて変更することは、SPARの直径および長さ並びにケーブル長さである。SPARおよび頂上のスピナー(spinner)用のケーブル番号は、少なくとも6にするべきである。3つのケーブルを有するシステムは、理論上可能であり、より多くのケーブルの余剰は、より高い安全性を示唆するが、推奨はしない。システムの係留化/固定化は、サイトに依存することになるであろう。
8.短期間の実験は、ダリウス型タービンが、大部分の水平軸の風力タービンよりも翼の着氷問題に耐久性があることを示した。
【0058】
Zボールは、最も好ましい実施例である。しかし、別の形状、球形から僅かにはずれた形状を含めることも可能である。好ましい解決法は、丸みを帯びた形状を含み、例えば、水平または垂直方向内の最も長い方向に楕円形状を有する断面の回転体の殻/胴体も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の部材(3)に対して、第1の部材(2)の回転軸(14)の周りで回転動作させるための装置(1)であって、
前記第1の部材(2)は、前記回転軸の周りで回転対称となる外側表面を有し、
前記第2の部材は、前記第1の部材の外側表面と前記第2の部材の内側表面との間の隙間で、少なくとも第1の部材の部分を収納する内側表面を有する、対応する回転対称の空洞を有し、
前記第1の部材と前記第2の部材との間での反発する磁界(4)が、第1の部材の外側表面と第2の部材の内側表面との間での接触を阻止し、
前記第1の部材は、前記隙間に向けられた同一極性(7)で配列された複数の永久双極子磁石(6)を含み、前記第2の部材は、前記空洞の内側表面から前記第1の部材を反発させるために、前記第1の部材の磁界に対向する隙間に対して同一極性で配列された複数の永久双極子磁石(13)を含むことを特徴とする、回転動作用装置。
【請求項2】
前記第1の部材(2)および前記第2の部材(3)の複数の対向する双極子(6,13)の少なくとも多くからの磁界の方向が、前記回転軸に並行な方向において前記空洞の内側表面から前記第1の部材を反発させるための、前記回転軸(14)に並行な指向性成分を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部材(2)の外側表面の部分は球形部分となる形状を有し、前記空洞の内側表面の部分は、前記空洞の球形部分内に前記第1の部材の球形部分を収納するための球形の対応部分となる形状を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記磁気双極子(6,13)は、放射状の配置で配列された棒磁石である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部材(2)は、球形部分である形状を伴う第1の球形部分と、前記回転軸(14)に沿って前記球形部分から延長される軸(8)とから実質的に構成され、前記第2の部材(3)は、前記第1の部材の球形部分を収納するための球形部分となる形状を伴う空洞を有し、前記第2の部材は、前記空洞の拡張部に環状部(11)を有し、前記環状部は前記軸を収納し、前記軸は、前記環状部の内側表面に同一極性で対面する複数の双極子磁石を含み、前記環状部は、前記環状部の内側表面から前記軸への反発力を得るために、前記軸の外側表面に同一極性で対面する複数の双極子磁石を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の部材(2)の外側表面の部分は、円滑な曲線の断面による回転の表面部分となる形状を有し、前記空洞の内側表面の部分は、前記空洞の内部に前記第1の部材の部分を収納するための一層大きな断面による回転の対応表面に対応する部分となる形状を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の部材(2)は、円滑な曲線の断面による回転の表面に似ている外側表面を有する胴体と、前記回転軸(14)に沿って前記胴体から延長される軸(8)とから実質的に構成され、前記第2の部材(3)は、前記第1の部材の前記胴体を収納するための対応する空洞を有し、前記第2の部材は、前記空洞の拡張部に環状部(11)を有し、前記環状部は前記軸を収納し、前記軸は、前記環状部の内側表面に同一極性で対面する複数の双極子磁石(6)を含み、前記環状部の内側表面から前記軸への反発力を得るために、前記環状部は、前記軸の外側表面に同一極性で対面する複数の双極子磁石(13)を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記環状部は、前記軸(8)の電磁駆動用、前記軸の電磁制動用、発電用、またはこれらの組合せ用の誘導コイル(15)を更に含む請求項5または7に記載の装置。
【請求項9】
前記軸の延長線上にある風力タービン(20)を含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記軸(8)は、実質上垂直方向を有し、前記風力タービン(20)は、前記軸の延長部(16)の上端部および下端部に固定された複数の翼(17)を伴うダリウス型タービンである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記軸(8)に対して反対側の下方向にある前記第2の部材(3)は、海底(22)に前記第2の部材を固定するための、ケーブル(23)付き垂直浮遊用重量配置品(12,21)を含む請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−518297(P2010−518297A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547531(P2009−547531)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000046
【国際公開番号】WO2008/092456
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509217781)
【出願人】(509332327)
【Fターム(参考)】