風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法
【課題】風車にてロータヘッドから翼を取り外すことなく軸受を交換することが可能な風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法を提供することを目的とする。
【解決手段】風車用旋回輪軸受構造は、ロータヘッドとボルト結合される外輪2と、外輪2の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪3と、外輪2と内輪3の間に周方向に1列以上で配置される複数の玉4とを備え、外輪2及び内輪3の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材2A,3Aからなり、隣り合う二つの分割部材2A,3Aは、互いに離隔して設けられる。
【解決手段】風車用旋回輪軸受構造は、ロータヘッドとボルト結合される外輪2と、外輪2の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪3と、外輪2と内輪3の間に周方向に1列以上で配置される複数の玉4とを備え、外輪2及び内輪3の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材2A,3Aからなり、隣り合う二つの分割部材2A,3Aは、互いに離隔して設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータヘッドと翼の接続部分に用いられる風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電において使用される風車は、タワー、ナセル、ロータヘッド及び複数枚の翼などからなる。翼は、旋回輪軸受を介してロータヘッドに接続され、翼長方向に延在する翼軸周りに回転(揺動)可能である。これにより、翼のピッチ角度が調整される。
特許文献1〜3には、軸受に関する発明であって、外輪又は内輪が周方向に分割された技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−24143号公報
【特許文献2】特開2010−91047号公報
【特許文献3】特開2010−242917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風力発電に使用される風車のうち海上に建設される洋上風車は、陸上風車よりも一般に大型であり、アクセスが容易ではない。そのため、洋上風車の部品交換に掛かるコストが高い。特に、旋回輪軸受などの重要部品の交換は、多大なコストが掛かることから、洋上風車では陸上風車よりも更に重要部品の交換容易性が求められている。
【0005】
交換容易性の一つの指標は、タワートップ上で部品を交換できるかどうかであるが、従来の旋回輪軸受は、直径が2〜3m以上となりタワートップ上で交換が困難な部品であった。また、旋回輪軸受は、非常に大きな部品であるので、部品の製造場所から据付現場までの搬送コストも高い。さらに、旋回輪軸受は、設置面上で撓まないことが望ましく、取付け相手部品であるロータヘッドが高精度であることを要求していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、風車にてロータヘッドから翼を取り外すことなく軸受を交換することが可能な風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る風車用旋回輪軸受構造は、ロータヘッドとボルト結合される外輪と、外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪と、外輪と内輪の間に周方向に1列以上で配置される複数の転動体とを備え、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられる。
【0008】
この発明によれば、風車翼は、風車用旋回輪軸受構造を介してロータヘッドに設置され、風車翼は、翼軸周りに回転し、ピッチ角度が調整される。そして、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方の隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられていることから、分割部材間には、隙間が形成される。したがって、外輪又は内輪全体を取り外すことなく、外輪又は内輪は、分割部材ごとに取り外しや取り付けが可能であり、ロータヘッドや風車翼に一部の外輪や内輪を残したまま、部品の交換が可能である。なお、転動体は、周方向に1列で、又は2列以上で各列は互いに平行して配置される。
【0009】
上記発明において、複数の分割部材からなる外輪又は内輪の分割部材は、4個以上であってもよい。
【0010】
この発明によれば、風車翼を水平状態にしたとき、外輪及び内輪は、風車翼自重によるモーメントを受け、鉛直方向から0°と180°の位置の転動体は荷重を支持するが、鉛直方向から90°と270°の位置の転動体は荷重を支持しない。そこで、鉛直方向から90°と270°の位置の転動体に対応する外輪又は内輪の分割部材は、容易に交換し得る。
【0011】
上記発明において、転動体と接触する側の分割部材の端部は、他部分に比べて弾性を有する、又は他部分に比べて塑性変形しやすくてもよい。
【0012】
この発明によれば、転動体が分割部材間の隙間に位置したとき、分割部材の端部が弾性変形又は塑性変形して、転動体に荷重が集中することを防止できる。
【0013】
上記発明において、転動体は、周方向に平行に2列で配置され、かつ千鳥配置されてもよい。
【0014】
この発明によれば、転動体の一つが分割部材間の隙間に位置して荷重を負担しない場合でも、他の列の転動体が分割部材間の隙間に位置しないことから、転動体1個当たりの荷重の負担増加を低減できる。
【0015】
上記発明において、隣り合う二つの分割部材は、いずれか一方の分割部材の端部の外周側が周方向に突出した第1突出部を有し、他方の分割部材の端部の内周側が周方向に突出した第2突出部を有し、第1突出部と第2突出部が接触して、分割部材の半径方向の位置決めがなされてもよい。
【0016】
この発明によれば、分割部材の設置において、第1突出部と第2突出部を接触させるだけで、分割部材の半径方向の位置決めがなされるため、分割部材を正確な位置へ容易に設置することができる。
【0017】
上記発明において、隣り合う二つの分割部材間に形成された隙間を充填する弾性を有する充填部材を更に備えてもよい。
【0018】
この発明によれば、二つの分割部材間に形成された隙間に充填部材が設けられることから、分割部材の移動を防止したり、内部に含まれる潤滑油の漏洩を防止したりすることができる。
【0019】
また、本発明に係る風車用旋回輪軸受構造の交換方法は、ロータヘッドとボルト結合された外輪と、外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合された内輪と、外輪と内輪の間に配置される複数の転動体とを備え、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造の交換方法であって、外輪とロータヘッドのボルト結合、又は内輪と風車翼のボルト結合を解除するステップと、外輪又は内輪の分割部材を、ロータヘッド又は風車翼から取り外すステップとを備える。
【0020】
この発明によれば、外輪又は内輪全体を取り外すことなく、分割部材ごとに取り外しが可能であり、ロータヘッドや風車翼に一部の外輪や内輪を残したまま、部品の交換が可能である。
【0021】
上記発明において、外輪又は内輪の分割部材を、ロータヘッド又は風車翼へ取り付けるステップと、外輪とロータヘッドとをボルト結合する、又は内輪と風車翼とをボルト結合するステップとを更に備えてもよい。
【0022】
この発明によれば、分割部材ごとに取り外されたロータヘッドや風車翼の外輪部分又は内輪部分に対して、外輪又は内輪の分割部材を取り付けて、ロータヘッド又は風車翼とボルト結合することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、風車にてロータヘッドから翼を取り外すことなく軸受を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受を示す横断面図である。
【図2】玉面圧と外輪又は内輪の分割数の関係、及びボルト本数と外輪又は内輪の分割数の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図4】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図5】同実施形態に係る旋回輪軸受の外輪を示す部分拡大横断面図である。
【図6】同実施形態に係る旋回輪軸受の保持器を示す部分拡大横断面図である。
【図7】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大側面図である。
【図8】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図9】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図10】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図11】同実施形態に係る旋回輪軸受の交換方法を示すフローチャートである。
【図12】風車を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受構造を示す縦断面図である。
【図14】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す横断面図である。
【図15】同実施形態に係る旋回輪軸受の別の交換方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施形態に係る風車用旋回輪軸受構造について、図面を参照して説明する。
風力発電において使用される風車11は、例えば図12に示すように、タワー12、ナセル13、ロータヘッド14及び複数枚の翼15などからなる。翼15は、図1に示す旋回輪軸受1を介してロータヘッド14に接続され、翼長方向に延在する翼軸周りに回転(揺動)可能である。これにより、翼15のピッチ角度が調整される。
【0026】
図1は、旋回輪軸受1を示す横断面図であり、旋回輪軸受1が風車11に設置された状態を表す。但し、外輪2及び内輪3のサイズ、隙間6,7の間隔、玉4の数や位置は、概略的に示したものであり、実際のものとは異なる。
【0027】
旋回輪軸受1は、例えば玉軸受(ボールベアリング)であり、外輪2と、内輪3と、玉4等からなる。外輪2は、図13に示すように、ロータヘッド14とボルト16によってボルト結合される。内輪3は、外輪2の内側に設置され、翼15とボルト17によってボルト結合される。ボルト16,17に対応するボルト穴は、外輪2及び内輪3それぞれに翼軸方向に対して平行に、かつ周方向に複数形成され、ボルト16,17は、該ボルト穴に挿入されて、ロータヘッド14又は翼15と結合される。
【0028】
玉4は、転動体の一例であり、外輪2と内輪3との間に形成される環状の空間に配置される。玉4の数は、旋回輪軸受1の周長さや、玉4が負担する1個当たりの負荷等に依存するが、風車11の場合、例えば約100個になる。なお、転動体は、玉4に限られず、ころでもよい。
【0029】
ロータヘッド14は、翼15と共にナセル13に対して主軸周りに回転する。翼15は、ロータヘッド14に対して翼軸周りに回転する。また、ロータヘッド14は、翼15の翼軸周りに対する回転に対して固定された部材である。したがって、旋回輪軸受1のうち翼15に接続された内輪3がロータヘッド14に接続された外輪2に対して回転する。
【0030】
外輪2及び内輪3は、それぞれ複数の分割部材2A,3Aからなる。図1では、外輪2及び内輪3がそれぞれ四つの分割部材2A,3Aからなる場合を示した。そして、隣り合う二つの分割部材2A、又は隣り合う二つの分割部材3Aは、互いに離隔して設けられる。すなわち、一方の分割部材2Aの端部2aと他方の分割部材2Aの端部2aの間には、隙間6が形成される。同様に分割部材3Aの端部3a間には、隙間7が形成される。隙間6,7は、例えば1mm以上であり、分割部材2A,3Aの1mm程度の変形を考慮して、好ましくは2mm以上である。すなわち、隙間6,7の間隔は、荷重を受けて生じる分割部材2A,3Aの変形を見込んで、隣り合う分割部材2A,3Aが接触しないような距離が望ましい。
【0031】
隙間6,7を形成しておくことで、交換対象の分割部材2A,3Aを設置位置から取り外すことができる。また、変形を見込んで隙間6,7を形成しておくことで、隣の分割部材2A,3Aが荷重を受けて変形している場合でも、分割部材2A,3Aを取り外すことができる。
【0032】
なお、本実施形態では外輪2及び内輪3の両者が分割されるとしたが、本発明は、この例に限定されない。例えば外輪2及び内輪3のいずれか一方のみが分割されるとしてもよい。この場合、分割された外輪2又は内輪3が交換容易になる。
【0033】
外輪2と内輪3の分割数は図1に示す例では4分割であるが、本発明は、この例に限定されない。例えば5分割以上にしてもよい。従来、軸受は、精度の良い締結、寿命低下防止、又は振動、騒音防止のため、2分割又は多くて4分割であった。一方、本実施形態では、搬送容易性、交換容易性のため、4分割以上とする。また、風車11のロータヘッド14と翼15の接続部分において、翼15は、ピッチ角度の調整が滞りなく行われる程度にロータヘッド14に対して回転(揺動)できればよい。したがって、各分割部材2A,3Aの設置精度が確保できればよく、全周にわたって精度が確保される必要はない。そのため、外輪2を設置するためのロータヘッド14の設置面の精度を確保するため、全周にわたった精度良い水平面の形成は不要であり、取付け相手部品であるロータヘッド14が高精度であることを要求しない。これは、分割数が多いほど該当する。
【0034】
また、図2に示すように、玉面圧と外輪又は内輪の分割数の関係、及び旋回輪軸受1の前周ボルト本数と外輪又は内輪の分割数がある。旋回輪軸受1の外輪2又は内輪3の分割数が少ないほど、旋回輪軸受1における隙間6,7の箇所数が減少し、外輪2又は内輪3の分割数が多いほど、隙間6,7の箇所数が増加する。そして、隙間6,7の数に応じて、隙間6,7に位置して荷重を負担できない玉4の数が変化する。したがって、外輪2又は内輪3の分割数が少ないほど、隙間6,7に位置する玉4の数が減少し、玉4が1個当たりに受ける玉面圧が減り、外輪2又は内輪3の分割数が多いほど、隙間6,7に位置する玉4の数が増加し、玉4が1個当たりに受ける玉面圧が増える。したがって、例えば玉4の寿命に影響する玉面圧の観点からは、隙間6,7の箇所数が少なく分割部材2A,3Aの数が少ないほどよい。
【0035】
一方、外輪2又は内輪3の分割数が少なく、分割部材2A,3Aの数が少ないほど、分割部材2A,3Aの1個当たりのボルト本数は増加する。また、外輪2又は内輪3の分割数が多く、分割部材2A,3Aの数が多いほど、分割部材2A,3Aの1個当たりのボルト本数は減少する。したがって、分割部材2A,3Aの交換容易性は、1個当たりのボルト本数が少なくないほうが高いため、分割部材2A,3Aの交換容易性の観点からは、分割部材2A,3Aの数が多いほどよい。
以上より、分割部材2A,3Aの数は、玉面圧の観点及び交換容易性の観点の両者の兼ね合いから決定される。
【0036】
次に、隙間6,7の間隔について説明する。
分割部材2A,3Aの取り出し方向、取り付け方向は、旋回輪軸受1の半径方向である。外輪2、内輪3の分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の外周側から出入する場合は、隙間6,7の間隔に関わらず隣り合う二つの分割部材2A,3Aが干渉し合うことはない。
【0037】
一方、外輪2、内輪3の分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の内周側から出入する場合は、隣り合う二つの分割部材2A,3Aが干渉し合わないように、隙間6,7の間隔を調整する必要がある。
【0038】
例えば、図9に示すように、内輪3の分割部材3Aを旋回輪軸受1の内周側へ矢印Cの方向で取り出す場合、隣り合う分割部材3Aの隙間7は、分割部材3Aの外周側が点Aと点Bの間を通過できるように形成されている必要がある。したがって、隙間7の距離L2は、l1sinθよりも大きくする。ここで、L2は、分割部材3Aの中央を通過する半径方向の直線に対して垂直方向のA−B間の距離であり、l1は、分割部材3Aの半径方向の長さである。これにより、内輪3の分割部材3Aの中央を旋回輪軸受1の半径方向に沿って移動させて、分割部材3Aを内周側へ矢印Cの方向で取り出すことができる。
【0039】
また、図10に示すように、外輪2の分割部材2Aを旋回輪軸受1の内周側へ矢印Dの方向で取り出す場合、内輪3の隣り合う分割部材3Aの隙間7は、分割部材2Aの外周側が点Aと点Bの間を通過できるように形成されている必要がある。したがって、隙間7の距離L3は、l2sinθよりも大きくする。ここで、L3は、分割部材2Aの中央を通過する半径方向の直線に対して垂直方向の距離A−B間の距離であり、l2は、分割部材2A,3A及び玉6部分の半径方向の合計長さである。これにより、外輪2の分割部材2Aの中央を旋回輪軸受1の半径方向に沿って移動させて、分割部材2Aを内周側へ矢印Dの方向で取り出すことができる。なお、図9及び図10共に旋回輪軸受1を概略的に表した図である。
【0040】
次に、図11を参照して、外輪2の分割部材2A,又は内輪3の分割部材3Aの交換方法について説明する。
まず、交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を、図12の囲みE内に示すように、水平状態にして固定する(ステップS1)。このとき、旋回輪軸受1は、図13に示すように翼15の重心まで距離L1離れているため、翼15の自重Wによってモーメントを受ける。旋回輪軸受1は、図14の矢印に示すように鉛直方向を0degとしたとき、0degと180degに位置する分割部材2A,3Aや玉4は、相対的に大きなモーメントを受けている。一方、90degと270degに位置する分割部材2A,3Aや玉4は、荷重を支持していない、又は相対的に小さなモーメントを受けている。
【0041】
そこで、90deg若しくは270degに位置する分割部材2Aとロータヘッド14とのボルト結合、又は分割部材3Aと翼15とのボルト結合を解除する(ステップS2)。そして、ボルトが取り外されて相手部品から自由になった分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の半径方向にスライドして取り外す(ステップS3)。
【0042】
次に、新たな分割部材2A,3A(例えば新規に用意した部材、又は取り外した分割部材2A,3Aを修理した部材)を、旋回輪軸受1の半径方向にスライドして、取り外した分割部材2A,3Aの位置に設置する(ステップS4)。その後、分割部材2Aとロータヘッド14とをボルト結合し、又は分割部材3Aと翼15とをボルト結合する(ステップS5)。
【0043】
また、翼15の位置を図12の囲みE内に示す水平状態にしたまま、翼15と内輪3を翼軸周りに回転させることで、90deg又は270degに位置する分割部材3Aを他の分割部材3Aに変更することができる。したがって、内輪3の分割部材3Aの交換は、翼15を図12の囲みE内に示す水平状態にした状態で完了できる。
【0044】
以上より、旋回輪軸受1の外輪2又は内輪3は、分割部材2A,3Aごとに交換することができる。分割部材2A,3Aは、従来の環状の旋回輪軸受に比べてサイズが小さいため、例えば風車11のタワー12トップ上で交換可能であり、交換容易性が高く、且つ交換に掛かるコストも削減できる。
【0045】
次に、外輪2の分割部材2A,又は内輪3の分割部材3Aの他の交換方法について説明する。
外輪2は、翼15の翼軸周りの回転に対して位置が固定しているロータヘッド14に設置されている。そのため、翼15を図12の囲みE内に示す水平状態にしたままでは、0deg又は180degに位置する外輪2の分割部材2Aを交換できない。
【0046】
そこで、例えば交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を鉛直状態にして固定する。このとき、一部の分割部材2A,3Aのみに翼15からの荷重が作用しないように、全ての玉4によって均等に翼15の自重を支持している状態、すなわち1個当たりに掛かる玉4の圧力が均等となる状態にする。そして、この状態で外輪2の分割部材2Aを交換してもよい。
【0047】
この交換方法を図15のフローチャートに示す。
まず、交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を、鉛直状態にして固定する(ステップS11)。そして、鉛直状態の翼15において、全ての玉4が均等に翼15の自重を支持している状態で、分割部材2Aとロータヘッド14とのボルト結合、又は分割部材3Aと翼15とのボルト結合を解除する(ステップS12)。その後、ボルトが取り外されて相手部品から自由になった分割部材2A,3Aを取り外す(ステップS13)。
【0048】
次に、新たな分割部材2A,3A(例えば新規に用意した部材、又は取り外した分割部材2A,3Aを修理した部材)を、取り外した分割部材2A,3Aの位置に設置する(ステップS14)。そして、分割部材2Aとロータヘッド14とをボルト結合し、又は分割部材3Aと翼15とをボルト結合する(ステップS15)。
【0049】
これにより、翼15を水平状態にした場合に交換できなかった外輪2の分割部材2Aについても、鉛直状態の翼15において、分割部材2Aごとに交換することができる。なお、翼15を鉛直状態にする上記方法で、内輪3の分割部材3Aを交換してもよい。
【0050】
次に、本実施形態の外輪2の分割部材2A及び内輪3の分割部材3Aの変形例について説明する。
本実施形態では、風車のロータヘッド14と翼15の接続部分において、翼15は、通常時にピッチ角度の調整が滞りなく行われる程度にロータヘッド14に対して回転(揺動)できればよい。したがって、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されても、旋回輪軸受1の動作に影響を及ぼさない。しかし、分割部材2A,3Aの端部2a,3aが例えば角形状であると、玉4が隙間6,7を通過する際、玉4及び分割部材2A,3Aに作用する単位面積当たりの負荷が大きくなる。
【0051】
そこで、図3に示すように、分割部材2A,3Aの隙間6,7近傍、例えば分割部材2A,3Aの端部2a,3aに低硬度領域8を設ける。低硬度領域8は、玉4が通過する際に、弾性変形又は塑性変形が容易な部材である。低硬度領域8は、例えば、ゴム部材を設けることによって形成したり、又は分割部材2A,3Aの金属部材に焼きを施したりしないことによって設けられる。これにより、隙間6,7近傍にて玉4及び分割部材2A,3Aに荷重が集中することを防止できる。
【0052】
または、図4に示すように、分割部材2A,3Aの隙間6,7近傍、例えば分割部材2A,3Aの端部2a,3aに凹み部分9を設けてもよい。凹み部分9は、外輪2の分割部材2Aでは旋回輪軸受1の外周側に凹状に形成され、内輪3の分割部材3Aでは旋回輪軸受1の内周側に凹状に形成される。その結果、図4に示すように分割部材2A,3Aが設置されると、内輪2と外輪3との間の間隔は、隙間6,7近傍で他の部分よりも広くなる。これにより、玉4が隙間6,7を通過する際に、玉4は凹み部分9に収容され、玉4及び分割部材2A,3Aに荷重が集中することがない。
【0053】
次に、図5を参照して、外輪2及び内輪3の半径方向の位置決めが可能な形状を有する分割部材2A,3Aの変形例について説明する。
本実施形態では、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されるため、各分割部材2A,3Aを設置する際に、位置決めが困難になる。
【0054】
図5に示すように、一方の分割部材2Aの端部2aの外周側が周方向に突出した第1突出部2bを有し、他方の分割部材2Aの端部2aの内周側が周方向に突出した第2突出部2cを有する。第1突出部2bと第2突出部2cの半径方向の合計長さは、分割部材2Aの半径方向の長さと等しい。
【0055】
そして、分割部材2Aを設置する際、第1突出部2bの内周側の面と第2突出部2cの外周側の面とを接触させる。これにより、一方の分割部材2Aの半径方向の位置が、他方の固定された分割部材2Aを基準にして確実に決定される。
【0056】
次に、図6及び図7を参照して、外輪2及び内輪3間に配置される玉4の配置について説明する。
本実施形態では、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されるため、翼15のピッチ角度の調整の際、玉4が隙間6,7を通過する。隙間6,7に位置する玉4は、荷重を負担できず、隙間6,7以外に位置する残りの玉4に荷重が作用する。そこで、隙間6,7以外に位置する玉4の数をできるだけ増やして、1個当たりに作用する荷重を減らすことが望ましい。
【0057】
玉4を周方向に平行して2列で配置する場合、一方の列の玉4と他方の列の玉4とは、旋回輪軸受1の軸方向に平行な一直線上に配置せず、軸方向に平行な直線に対して斜め方向に配置する。例えば、玉4は、図6に示すように千鳥配置される。図7では、一方の列の玉4Aを実線で表し、他方の列の玉4Bを破線で示した。このとき、複数の玉4は、図6に示す保持器5の開口5aなどによって、相互の相対的な位置が固定される。
【0058】
隙間6,7が、旋回輪軸受1の軸方向に平行に形成されているとき、二つの玉4が旋回輪軸受1の軸方向に平行な一直線上に配置されていると、荷重を負担できない玉4が一度に二つ増えることになる。一方、本実施形態の図6のように玉4が千鳥配置されている場合は、隙間6,7に位置する玉4は、一つずつになることから、荷重を負担できない玉4の増加を抑えることができる。
【0059】
すなわち、複数の玉4を周方向に平行に2列で配置する場合、千鳥配置することによって、玉4の一つが分割部材2A,3A間の隙間6,7に位置して荷重を負担しない場合でも、他の列の玉4が分割部材2A,3A間の隙間6,7に位置しないことから、荷重を負担できる。玉4について1個当たりの荷重の負担増加を低減できる。
【0060】
次に、図8を参照して、旋回輪軸受1の分割部材2A,3Aの位置ずれ吸収、及び旋回輪軸受1のグリース漏れ防止について説明する。
隣り合う二つの分割部材2A,3A間には、図8に示すように充填部材10が設けられてもよい。充填部材10は、例えばゴム等の弾性を有する部材である。充填部材10は、外輪2の隙間6では旋回輪軸受1の外周側に設けられ、内輪3の隙間7では旋回輪軸受1の内周側に設けられる。
【0061】
充填部材10が設けられることによって、分割部材2A,3Aが移動しにくくなり外輪2及び内輪の移動を防止できる。また、隙間6,7が外部に対して閉鎖されることから、旋回輪軸受1の内部に用いられている潤滑剤(グリース)の漏洩を防止できる。
【0062】
なお、上記実施形態において、玉4を保持する保持器5は、環状であってもよいし、外輪2及び内輪3のように分割構造を有してもよい。保持器5が分割されている場合は、外輪2及び内輪3の分割部材2A,3Aと同様に、保持器5の分割部材ごとに交換可能となり、旋回輪軸受1の部品交換容易性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 旋回輪軸受
2 外輪
2A,3A 分割部材
2a,3a 端部
2b 第1突出部
2c 第2突出部
3 内輪
4,4A,4B 玉(転動体)
5 保持器
6,7 隙間
8 低硬度領域
9 凹み部分
10 充填部材
11 風車
12 タワー
13 ナセル
14 ロータヘッド
15 翼
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータヘッドと翼の接続部分に用いられる風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電において使用される風車は、タワー、ナセル、ロータヘッド及び複数枚の翼などからなる。翼は、旋回輪軸受を介してロータヘッドに接続され、翼長方向に延在する翼軸周りに回転(揺動)可能である。これにより、翼のピッチ角度が調整される。
特許文献1〜3には、軸受に関する発明であって、外輪又は内輪が周方向に分割された技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−24143号公報
【特許文献2】特開2010−91047号公報
【特許文献3】特開2010−242917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風力発電に使用される風車のうち海上に建設される洋上風車は、陸上風車よりも一般に大型であり、アクセスが容易ではない。そのため、洋上風車の部品交換に掛かるコストが高い。特に、旋回輪軸受などの重要部品の交換は、多大なコストが掛かることから、洋上風車では陸上風車よりも更に重要部品の交換容易性が求められている。
【0005】
交換容易性の一つの指標は、タワートップ上で部品を交換できるかどうかであるが、従来の旋回輪軸受は、直径が2〜3m以上となりタワートップ上で交換が困難な部品であった。また、旋回輪軸受は、非常に大きな部品であるので、部品の製造場所から据付現場までの搬送コストも高い。さらに、旋回輪軸受は、設置面上で撓まないことが望ましく、取付け相手部品であるロータヘッドが高精度であることを要求していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、風車にてロータヘッドから翼を取り外すことなく軸受を交換することが可能な風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の風車用旋回輪軸受構造及び風車用旋回輪軸受構造の交換方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る風車用旋回輪軸受構造は、ロータヘッドとボルト結合される外輪と、外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪と、外輪と内輪の間に周方向に1列以上で配置される複数の転動体とを備え、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられる。
【0008】
この発明によれば、風車翼は、風車用旋回輪軸受構造を介してロータヘッドに設置され、風車翼は、翼軸周りに回転し、ピッチ角度が調整される。そして、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方の隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられていることから、分割部材間には、隙間が形成される。したがって、外輪又は内輪全体を取り外すことなく、外輪又は内輪は、分割部材ごとに取り外しや取り付けが可能であり、ロータヘッドや風車翼に一部の外輪や内輪を残したまま、部品の交換が可能である。なお、転動体は、周方向に1列で、又は2列以上で各列は互いに平行して配置される。
【0009】
上記発明において、複数の分割部材からなる外輪又は内輪の分割部材は、4個以上であってもよい。
【0010】
この発明によれば、風車翼を水平状態にしたとき、外輪及び内輪は、風車翼自重によるモーメントを受け、鉛直方向から0°と180°の位置の転動体は荷重を支持するが、鉛直方向から90°と270°の位置の転動体は荷重を支持しない。そこで、鉛直方向から90°と270°の位置の転動体に対応する外輪又は内輪の分割部材は、容易に交換し得る。
【0011】
上記発明において、転動体と接触する側の分割部材の端部は、他部分に比べて弾性を有する、又は他部分に比べて塑性変形しやすくてもよい。
【0012】
この発明によれば、転動体が分割部材間の隙間に位置したとき、分割部材の端部が弾性変形又は塑性変形して、転動体に荷重が集中することを防止できる。
【0013】
上記発明において、転動体は、周方向に平行に2列で配置され、かつ千鳥配置されてもよい。
【0014】
この発明によれば、転動体の一つが分割部材間の隙間に位置して荷重を負担しない場合でも、他の列の転動体が分割部材間の隙間に位置しないことから、転動体1個当たりの荷重の負担増加を低減できる。
【0015】
上記発明において、隣り合う二つの分割部材は、いずれか一方の分割部材の端部の外周側が周方向に突出した第1突出部を有し、他方の分割部材の端部の内周側が周方向に突出した第2突出部を有し、第1突出部と第2突出部が接触して、分割部材の半径方向の位置決めがなされてもよい。
【0016】
この発明によれば、分割部材の設置において、第1突出部と第2突出部を接触させるだけで、分割部材の半径方向の位置決めがなされるため、分割部材を正確な位置へ容易に設置することができる。
【0017】
上記発明において、隣り合う二つの分割部材間に形成された隙間を充填する弾性を有する充填部材を更に備えてもよい。
【0018】
この発明によれば、二つの分割部材間に形成された隙間に充填部材が設けられることから、分割部材の移動を防止したり、内部に含まれる潤滑油の漏洩を防止したりすることができる。
【0019】
また、本発明に係る風車用旋回輪軸受構造の交換方法は、ロータヘッドとボルト結合された外輪と、外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合された内輪と、外輪と内輪の間に配置される複数の転動体とを備え、外輪及び内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造の交換方法であって、外輪とロータヘッドのボルト結合、又は内輪と風車翼のボルト結合を解除するステップと、外輪又は内輪の分割部材を、ロータヘッド又は風車翼から取り外すステップとを備える。
【0020】
この発明によれば、外輪又は内輪全体を取り外すことなく、分割部材ごとに取り外しが可能であり、ロータヘッドや風車翼に一部の外輪や内輪を残したまま、部品の交換が可能である。
【0021】
上記発明において、外輪又は内輪の分割部材を、ロータヘッド又は風車翼へ取り付けるステップと、外輪とロータヘッドとをボルト結合する、又は内輪と風車翼とをボルト結合するステップとを更に備えてもよい。
【0022】
この発明によれば、分割部材ごとに取り外されたロータヘッドや風車翼の外輪部分又は内輪部分に対して、外輪又は内輪の分割部材を取り付けて、ロータヘッド又は風車翼とボルト結合することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、風車にてロータヘッドから翼を取り外すことなく軸受を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受を示す横断面図である。
【図2】玉面圧と外輪又は内輪の分割数の関係、及びボルト本数と外輪又は内輪の分割数の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図4】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図5】同実施形態に係る旋回輪軸受の外輪を示す部分拡大横断面図である。
【図6】同実施形態に係る旋回輪軸受の保持器を示す部分拡大横断面図である。
【図7】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大側面図である。
【図8】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図9】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図10】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す部分拡大横断面図である。
【図11】同実施形態に係る旋回輪軸受の交換方法を示すフローチャートである。
【図12】風車を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る旋回輪軸受構造を示す縦断面図である。
【図14】同実施形態に係る旋回輪軸受を示す横断面図である。
【図15】同実施形態に係る旋回輪軸受の別の交換方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施形態に係る風車用旋回輪軸受構造について、図面を参照して説明する。
風力発電において使用される風車11は、例えば図12に示すように、タワー12、ナセル13、ロータヘッド14及び複数枚の翼15などからなる。翼15は、図1に示す旋回輪軸受1を介してロータヘッド14に接続され、翼長方向に延在する翼軸周りに回転(揺動)可能である。これにより、翼15のピッチ角度が調整される。
【0026】
図1は、旋回輪軸受1を示す横断面図であり、旋回輪軸受1が風車11に設置された状態を表す。但し、外輪2及び内輪3のサイズ、隙間6,7の間隔、玉4の数や位置は、概略的に示したものであり、実際のものとは異なる。
【0027】
旋回輪軸受1は、例えば玉軸受(ボールベアリング)であり、外輪2と、内輪3と、玉4等からなる。外輪2は、図13に示すように、ロータヘッド14とボルト16によってボルト結合される。内輪3は、外輪2の内側に設置され、翼15とボルト17によってボルト結合される。ボルト16,17に対応するボルト穴は、外輪2及び内輪3それぞれに翼軸方向に対して平行に、かつ周方向に複数形成され、ボルト16,17は、該ボルト穴に挿入されて、ロータヘッド14又は翼15と結合される。
【0028】
玉4は、転動体の一例であり、外輪2と内輪3との間に形成される環状の空間に配置される。玉4の数は、旋回輪軸受1の周長さや、玉4が負担する1個当たりの負荷等に依存するが、風車11の場合、例えば約100個になる。なお、転動体は、玉4に限られず、ころでもよい。
【0029】
ロータヘッド14は、翼15と共にナセル13に対して主軸周りに回転する。翼15は、ロータヘッド14に対して翼軸周りに回転する。また、ロータヘッド14は、翼15の翼軸周りに対する回転に対して固定された部材である。したがって、旋回輪軸受1のうち翼15に接続された内輪3がロータヘッド14に接続された外輪2に対して回転する。
【0030】
外輪2及び内輪3は、それぞれ複数の分割部材2A,3Aからなる。図1では、外輪2及び内輪3がそれぞれ四つの分割部材2A,3Aからなる場合を示した。そして、隣り合う二つの分割部材2A、又は隣り合う二つの分割部材3Aは、互いに離隔して設けられる。すなわち、一方の分割部材2Aの端部2aと他方の分割部材2Aの端部2aの間には、隙間6が形成される。同様に分割部材3Aの端部3a間には、隙間7が形成される。隙間6,7は、例えば1mm以上であり、分割部材2A,3Aの1mm程度の変形を考慮して、好ましくは2mm以上である。すなわち、隙間6,7の間隔は、荷重を受けて生じる分割部材2A,3Aの変形を見込んで、隣り合う分割部材2A,3Aが接触しないような距離が望ましい。
【0031】
隙間6,7を形成しておくことで、交換対象の分割部材2A,3Aを設置位置から取り外すことができる。また、変形を見込んで隙間6,7を形成しておくことで、隣の分割部材2A,3Aが荷重を受けて変形している場合でも、分割部材2A,3Aを取り外すことができる。
【0032】
なお、本実施形態では外輪2及び内輪3の両者が分割されるとしたが、本発明は、この例に限定されない。例えば外輪2及び内輪3のいずれか一方のみが分割されるとしてもよい。この場合、分割された外輪2又は内輪3が交換容易になる。
【0033】
外輪2と内輪3の分割数は図1に示す例では4分割であるが、本発明は、この例に限定されない。例えば5分割以上にしてもよい。従来、軸受は、精度の良い締結、寿命低下防止、又は振動、騒音防止のため、2分割又は多くて4分割であった。一方、本実施形態では、搬送容易性、交換容易性のため、4分割以上とする。また、風車11のロータヘッド14と翼15の接続部分において、翼15は、ピッチ角度の調整が滞りなく行われる程度にロータヘッド14に対して回転(揺動)できればよい。したがって、各分割部材2A,3Aの設置精度が確保できればよく、全周にわたって精度が確保される必要はない。そのため、外輪2を設置するためのロータヘッド14の設置面の精度を確保するため、全周にわたった精度良い水平面の形成は不要であり、取付け相手部品であるロータヘッド14が高精度であることを要求しない。これは、分割数が多いほど該当する。
【0034】
また、図2に示すように、玉面圧と外輪又は内輪の分割数の関係、及び旋回輪軸受1の前周ボルト本数と外輪又は内輪の分割数がある。旋回輪軸受1の外輪2又は内輪3の分割数が少ないほど、旋回輪軸受1における隙間6,7の箇所数が減少し、外輪2又は内輪3の分割数が多いほど、隙間6,7の箇所数が増加する。そして、隙間6,7の数に応じて、隙間6,7に位置して荷重を負担できない玉4の数が変化する。したがって、外輪2又は内輪3の分割数が少ないほど、隙間6,7に位置する玉4の数が減少し、玉4が1個当たりに受ける玉面圧が減り、外輪2又は内輪3の分割数が多いほど、隙間6,7に位置する玉4の数が増加し、玉4が1個当たりに受ける玉面圧が増える。したがって、例えば玉4の寿命に影響する玉面圧の観点からは、隙間6,7の箇所数が少なく分割部材2A,3Aの数が少ないほどよい。
【0035】
一方、外輪2又は内輪3の分割数が少なく、分割部材2A,3Aの数が少ないほど、分割部材2A,3Aの1個当たりのボルト本数は増加する。また、外輪2又は内輪3の分割数が多く、分割部材2A,3Aの数が多いほど、分割部材2A,3Aの1個当たりのボルト本数は減少する。したがって、分割部材2A,3Aの交換容易性は、1個当たりのボルト本数が少なくないほうが高いため、分割部材2A,3Aの交換容易性の観点からは、分割部材2A,3Aの数が多いほどよい。
以上より、分割部材2A,3Aの数は、玉面圧の観点及び交換容易性の観点の両者の兼ね合いから決定される。
【0036】
次に、隙間6,7の間隔について説明する。
分割部材2A,3Aの取り出し方向、取り付け方向は、旋回輪軸受1の半径方向である。外輪2、内輪3の分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の外周側から出入する場合は、隙間6,7の間隔に関わらず隣り合う二つの分割部材2A,3Aが干渉し合うことはない。
【0037】
一方、外輪2、内輪3の分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の内周側から出入する場合は、隣り合う二つの分割部材2A,3Aが干渉し合わないように、隙間6,7の間隔を調整する必要がある。
【0038】
例えば、図9に示すように、内輪3の分割部材3Aを旋回輪軸受1の内周側へ矢印Cの方向で取り出す場合、隣り合う分割部材3Aの隙間7は、分割部材3Aの外周側が点Aと点Bの間を通過できるように形成されている必要がある。したがって、隙間7の距離L2は、l1sinθよりも大きくする。ここで、L2は、分割部材3Aの中央を通過する半径方向の直線に対して垂直方向のA−B間の距離であり、l1は、分割部材3Aの半径方向の長さである。これにより、内輪3の分割部材3Aの中央を旋回輪軸受1の半径方向に沿って移動させて、分割部材3Aを内周側へ矢印Cの方向で取り出すことができる。
【0039】
また、図10に示すように、外輪2の分割部材2Aを旋回輪軸受1の内周側へ矢印Dの方向で取り出す場合、内輪3の隣り合う分割部材3Aの隙間7は、分割部材2Aの外周側が点Aと点Bの間を通過できるように形成されている必要がある。したがって、隙間7の距離L3は、l2sinθよりも大きくする。ここで、L3は、分割部材2Aの中央を通過する半径方向の直線に対して垂直方向の距離A−B間の距離であり、l2は、分割部材2A,3A及び玉6部分の半径方向の合計長さである。これにより、外輪2の分割部材2Aの中央を旋回輪軸受1の半径方向に沿って移動させて、分割部材2Aを内周側へ矢印Dの方向で取り出すことができる。なお、図9及び図10共に旋回輪軸受1を概略的に表した図である。
【0040】
次に、図11を参照して、外輪2の分割部材2A,又は内輪3の分割部材3Aの交換方法について説明する。
まず、交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を、図12の囲みE内に示すように、水平状態にして固定する(ステップS1)。このとき、旋回輪軸受1は、図13に示すように翼15の重心まで距離L1離れているため、翼15の自重Wによってモーメントを受ける。旋回輪軸受1は、図14の矢印に示すように鉛直方向を0degとしたとき、0degと180degに位置する分割部材2A,3Aや玉4は、相対的に大きなモーメントを受けている。一方、90degと270degに位置する分割部材2A,3Aや玉4は、荷重を支持していない、又は相対的に小さなモーメントを受けている。
【0041】
そこで、90deg若しくは270degに位置する分割部材2Aとロータヘッド14とのボルト結合、又は分割部材3Aと翼15とのボルト結合を解除する(ステップS2)。そして、ボルトが取り外されて相手部品から自由になった分割部材2A,3Aを旋回輪軸受1の半径方向にスライドして取り外す(ステップS3)。
【0042】
次に、新たな分割部材2A,3A(例えば新規に用意した部材、又は取り外した分割部材2A,3Aを修理した部材)を、旋回輪軸受1の半径方向にスライドして、取り外した分割部材2A,3Aの位置に設置する(ステップS4)。その後、分割部材2Aとロータヘッド14とをボルト結合し、又は分割部材3Aと翼15とをボルト結合する(ステップS5)。
【0043】
また、翼15の位置を図12の囲みE内に示す水平状態にしたまま、翼15と内輪3を翼軸周りに回転させることで、90deg又は270degに位置する分割部材3Aを他の分割部材3Aに変更することができる。したがって、内輪3の分割部材3Aの交換は、翼15を図12の囲みE内に示す水平状態にした状態で完了できる。
【0044】
以上より、旋回輪軸受1の外輪2又は内輪3は、分割部材2A,3Aごとに交換することができる。分割部材2A,3Aは、従来の環状の旋回輪軸受に比べてサイズが小さいため、例えば風車11のタワー12トップ上で交換可能であり、交換容易性が高く、且つ交換に掛かるコストも削減できる。
【0045】
次に、外輪2の分割部材2A,又は内輪3の分割部材3Aの他の交換方法について説明する。
外輪2は、翼15の翼軸周りの回転に対して位置が固定しているロータヘッド14に設置されている。そのため、翼15を図12の囲みE内に示す水平状態にしたままでは、0deg又は180degに位置する外輪2の分割部材2Aを交換できない。
【0046】
そこで、例えば交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を鉛直状態にして固定する。このとき、一部の分割部材2A,3Aのみに翼15からの荷重が作用しないように、全ての玉4によって均等に翼15の自重を支持している状態、すなわち1個当たりに掛かる玉4の圧力が均等となる状態にする。そして、この状態で外輪2の分割部材2Aを交換してもよい。
【0047】
この交換方法を図15のフローチャートに示す。
まず、交換対象になっている旋回輪軸受1を備える翼15を、鉛直状態にして固定する(ステップS11)。そして、鉛直状態の翼15において、全ての玉4が均等に翼15の自重を支持している状態で、分割部材2Aとロータヘッド14とのボルト結合、又は分割部材3Aと翼15とのボルト結合を解除する(ステップS12)。その後、ボルトが取り外されて相手部品から自由になった分割部材2A,3Aを取り外す(ステップS13)。
【0048】
次に、新たな分割部材2A,3A(例えば新規に用意した部材、又は取り外した分割部材2A,3Aを修理した部材)を、取り外した分割部材2A,3Aの位置に設置する(ステップS14)。そして、分割部材2Aとロータヘッド14とをボルト結合し、又は分割部材3Aと翼15とをボルト結合する(ステップS15)。
【0049】
これにより、翼15を水平状態にした場合に交換できなかった外輪2の分割部材2Aについても、鉛直状態の翼15において、分割部材2Aごとに交換することができる。なお、翼15を鉛直状態にする上記方法で、内輪3の分割部材3Aを交換してもよい。
【0050】
次に、本実施形態の外輪2の分割部材2A及び内輪3の分割部材3Aの変形例について説明する。
本実施形態では、風車のロータヘッド14と翼15の接続部分において、翼15は、通常時にピッチ角度の調整が滞りなく行われる程度にロータヘッド14に対して回転(揺動)できればよい。したがって、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されても、旋回輪軸受1の動作に影響を及ぼさない。しかし、分割部材2A,3Aの端部2a,3aが例えば角形状であると、玉4が隙間6,7を通過する際、玉4及び分割部材2A,3Aに作用する単位面積当たりの負荷が大きくなる。
【0051】
そこで、図3に示すように、分割部材2A,3Aの隙間6,7近傍、例えば分割部材2A,3Aの端部2a,3aに低硬度領域8を設ける。低硬度領域8は、玉4が通過する際に、弾性変形又は塑性変形が容易な部材である。低硬度領域8は、例えば、ゴム部材を設けることによって形成したり、又は分割部材2A,3Aの金属部材に焼きを施したりしないことによって設けられる。これにより、隙間6,7近傍にて玉4及び分割部材2A,3Aに荷重が集中することを防止できる。
【0052】
または、図4に示すように、分割部材2A,3Aの隙間6,7近傍、例えば分割部材2A,3Aの端部2a,3aに凹み部分9を設けてもよい。凹み部分9は、外輪2の分割部材2Aでは旋回輪軸受1の外周側に凹状に形成され、内輪3の分割部材3Aでは旋回輪軸受1の内周側に凹状に形成される。その結果、図4に示すように分割部材2A,3Aが設置されると、内輪2と外輪3との間の間隔は、隙間6,7近傍で他の部分よりも広くなる。これにより、玉4が隙間6,7を通過する際に、玉4は凹み部分9に収容され、玉4及び分割部材2A,3Aに荷重が集中することがない。
【0053】
次に、図5を参照して、外輪2及び内輪3の半径方向の位置決めが可能な形状を有する分割部材2A,3Aの変形例について説明する。
本実施形態では、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されるため、各分割部材2A,3Aを設置する際に、位置決めが困難になる。
【0054】
図5に示すように、一方の分割部材2Aの端部2aの外周側が周方向に突出した第1突出部2bを有し、他方の分割部材2Aの端部2aの内周側が周方向に突出した第2突出部2cを有する。第1突出部2bと第2突出部2cの半径方向の合計長さは、分割部材2Aの半径方向の長さと等しい。
【0055】
そして、分割部材2Aを設置する際、第1突出部2bの内周側の面と第2突出部2cの外周側の面とを接触させる。これにより、一方の分割部材2Aの半径方向の位置が、他方の固定された分割部材2Aを基準にして確実に決定される。
【0056】
次に、図6及び図7を参照して、外輪2及び内輪3間に配置される玉4の配置について説明する。
本実施形態では、隣り合う分割部材2A,3A間に隙間6,7が形成されるため、翼15のピッチ角度の調整の際、玉4が隙間6,7を通過する。隙間6,7に位置する玉4は、荷重を負担できず、隙間6,7以外に位置する残りの玉4に荷重が作用する。そこで、隙間6,7以外に位置する玉4の数をできるだけ増やして、1個当たりに作用する荷重を減らすことが望ましい。
【0057】
玉4を周方向に平行して2列で配置する場合、一方の列の玉4と他方の列の玉4とは、旋回輪軸受1の軸方向に平行な一直線上に配置せず、軸方向に平行な直線に対して斜め方向に配置する。例えば、玉4は、図6に示すように千鳥配置される。図7では、一方の列の玉4Aを実線で表し、他方の列の玉4Bを破線で示した。このとき、複数の玉4は、図6に示す保持器5の開口5aなどによって、相互の相対的な位置が固定される。
【0058】
隙間6,7が、旋回輪軸受1の軸方向に平行に形成されているとき、二つの玉4が旋回輪軸受1の軸方向に平行な一直線上に配置されていると、荷重を負担できない玉4が一度に二つ増えることになる。一方、本実施形態の図6のように玉4が千鳥配置されている場合は、隙間6,7に位置する玉4は、一つずつになることから、荷重を負担できない玉4の増加を抑えることができる。
【0059】
すなわち、複数の玉4を周方向に平行に2列で配置する場合、千鳥配置することによって、玉4の一つが分割部材2A,3A間の隙間6,7に位置して荷重を負担しない場合でも、他の列の玉4が分割部材2A,3A間の隙間6,7に位置しないことから、荷重を負担できる。玉4について1個当たりの荷重の負担増加を低減できる。
【0060】
次に、図8を参照して、旋回輪軸受1の分割部材2A,3Aの位置ずれ吸収、及び旋回輪軸受1のグリース漏れ防止について説明する。
隣り合う二つの分割部材2A,3A間には、図8に示すように充填部材10が設けられてもよい。充填部材10は、例えばゴム等の弾性を有する部材である。充填部材10は、外輪2の隙間6では旋回輪軸受1の外周側に設けられ、内輪3の隙間7では旋回輪軸受1の内周側に設けられる。
【0061】
充填部材10が設けられることによって、分割部材2A,3Aが移動しにくくなり外輪2及び内輪の移動を防止できる。また、隙間6,7が外部に対して閉鎖されることから、旋回輪軸受1の内部に用いられている潤滑剤(グリース)の漏洩を防止できる。
【0062】
なお、上記実施形態において、玉4を保持する保持器5は、環状であってもよいし、外輪2及び内輪3のように分割構造を有してもよい。保持器5が分割されている場合は、外輪2及び内輪3の分割部材2A,3Aと同様に、保持器5の分割部材ごとに交換可能となり、旋回輪軸受1の部品交換容易性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 旋回輪軸受
2 外輪
2A,3A 分割部材
2a,3a 端部
2b 第1突出部
2c 第2突出部
3 内輪
4,4A,4B 玉(転動体)
5 保持器
6,7 隙間
8 低硬度領域
9 凹み部分
10 充填部材
11 風車
12 タワー
13 ナセル
14 ロータヘッド
15 翼
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータヘッドとボルト結合される外輪と、
前記外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪と、
前記外輪と前記内輪の間に周方向に1列以上で配置される複数の転動体と、
を備え、
前記外輪及び前記内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、
隣り合う二つの前記分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造。
【請求項2】
複数の前記分割部材からなる前記外輪又は前記内輪の前記分割部材は、4個以上である請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項3】
前記転動体と接触する側の前記分割部材の端部は、他部分に比べて弾性を有する、又は他部分に比べて塑性変形しやすい請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項4】
前記転動体は、周方向に平行に2列で配置され、かつ千鳥配置される請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項5】
隣り合う二つの前記分割部材は、いずれか一方の前記分割部材の端部の外周側が周方向に突出した第1突出部を有し、他方の前記分割部材の端部の内周側が周方向に突出した第2突出部を有し、前記第1突出部と前記第2突出部が接触して、前記分割部材の半径方向の位置決めがなされる請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項6】
隣り合う二つの前記分割部材間に形成された隙間を充填する弾性を有する充填部材を更に備える請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項7】
ロータヘッドとボルト結合された外輪と、前記外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合された内輪と、前記外輪と前記内輪の間に配置される複数の転動体とを備え、前記外輪及び前記内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの前記分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造の交換方法であって、
前記外輪と前記ロータヘッドのボルト結合、又は前記内輪と前記風車翼のボルト結合を解除するステップと、
前記外輪又は前記内輪の前記分割部材を、前記ロータヘッド又は前記風車翼から取り外すステップと、
を備える風車用旋回輪軸受構造の交換方法。
【請求項8】
前記外輪又は前記内輪の前記分割部材を、前記ロータヘッド又は前記風車翼へ取り付けるステップと、
前記外輪と前記ロータヘッドとをボルト結合する、又は前記内輪と前記風車翼とをボルト結合するステップと、
を更に備える請求項7に記載の風車用旋回輪軸受構造の交換方法。
【請求項1】
ロータヘッドとボルト結合される外輪と、
前記外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合される内輪と、
前記外輪と前記内輪の間に周方向に1列以上で配置される複数の転動体と、
を備え、
前記外輪及び前記内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、
隣り合う二つの前記分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造。
【請求項2】
複数の前記分割部材からなる前記外輪又は前記内輪の前記分割部材は、4個以上である請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項3】
前記転動体と接触する側の前記分割部材の端部は、他部分に比べて弾性を有する、又は他部分に比べて塑性変形しやすい請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項4】
前記転動体は、周方向に平行に2列で配置され、かつ千鳥配置される請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項5】
隣り合う二つの前記分割部材は、いずれか一方の前記分割部材の端部の外周側が周方向に突出した第1突出部を有し、他方の前記分割部材の端部の内周側が周方向に突出した第2突出部を有し、前記第1突出部と前記第2突出部が接触して、前記分割部材の半径方向の位置決めがなされる請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項6】
隣り合う二つの前記分割部材間に形成された隙間を充填する弾性を有する充填部材を更に備える請求項1に記載の風車用旋回輪軸受構造。
【請求項7】
ロータヘッドとボルト結合された外輪と、前記外輪の内側に位置し、風車翼とボルト結合された内輪と、前記外輪と前記内輪の間に配置される複数の転動体とを備え、前記外輪及び前記内輪の少なくともいずれか一方は、複数の分割部材からなり、隣り合う二つの前記分割部材は、互いに離隔して設けられる風車用旋回輪軸受構造の交換方法であって、
前記外輪と前記ロータヘッドのボルト結合、又は前記内輪と前記風車翼のボルト結合を解除するステップと、
前記外輪又は前記内輪の前記分割部材を、前記ロータヘッド又は前記風車翼から取り外すステップと、
を備える風車用旋回輪軸受構造の交換方法。
【請求項8】
前記外輪又は前記内輪の前記分割部材を、前記ロータヘッド又は前記風車翼へ取り付けるステップと、
前記外輪と前記ロータヘッドとをボルト結合する、又は前記内輪と前記風車翼とをボルト結合するステップと、
を更に備える請求項7に記載の風車用旋回輪軸受構造の交換方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−76441(P2013−76441A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217008(P2011−217008)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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