説明

食品を熱処理するための装置及び方法

【課題】ソーセージタイプのデリケートな食品の熱処理の技術を提供する。
【解決手段】食品を受け取るように意図したレセプタクルと、シュートの形態の断面を有するレセプタクルの下流の熱処理槽と、食品が水によってレセプタクル内に移動するような熱処理水の供給部と、熱処理水及び熱処理水によって移動する食品が通過することを可能にする少なくとも1つの開放位置、及び熱処理槽が食品を熱処理水内に保持する閉鎖位置を有し、レセプタクルの下流に配置された堰であって、熱処理槽が、堰の下流に配置された熱処理水容器を含む堰と、熱処理作業の持続時間のタイミングのための部材であって、タイミング部材にベーンが設けられ、堰が、ベーンが堰に対向する時の閉鎖位置と熱処理水容器へのアクセスが自由である時の開放位置とにおいてタイミング部材と同期化されるタイミングのための部材とを含む食品を熱処理するための装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ソーセージタイプのデリケートな食品の熱処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来的に、このタイプの製品は、その利用可能性がいつも保証されるわけではなくてコストが有意に変動する天然皮内に押し込まれる。
【0003】
天然皮の代替物は、製品の表面に適用されて製品の周りにケーシングを形成する食用ゲルの形態で長い間存在していた。しかし、このケーシングは、極端にもろく、かつ粘着性があり、製品が互いに又は生産ラインの要素に接着するという危険性をもたらす。
【0004】
そのような製品は、スチーム調理をすることができる。しかし、それらの取り扱いは、複雑な作業である。そのような調理作業の熱的及び製品収率は、殆ど満足すべきものではない。
【0005】
本発明はまた、ケーシングを持たない食品の処理に関する。いずれの皮もない一部の食品は、かなりの注意をする一方で厳格な衛生的規則に従って取り扱わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 234068
【特許文献2】GB 895101
【特許文献3】DE 2228564
【特許文献4】US 3 761 290
【特許文献5】US 3700847
【特許文献6】US 2008/279 990
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、この状況を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、食品を熱処理するための装置は、食品を受け取るように意図したレセプタクルと、レセプタクルの下流に熱処理槽とを含む。レセプタクルは、シュートの形態の断面を有する。レセプタクルは、食品が水によってレセプタクル内に移動するような熱処理水の供給部を含む。レセプタクルの下流に堰が配置される。堰は、熱処理水及び熱処理水によって移動する食品を通過させる少なくとも1つの開放位置と、食品を熱処理水内に保持する閉鎖位置とを有する。熱処理槽は、堰の下流に配置された熱処理水容器を含む。熱処理槽は、熱処理作業の持続時間のタイミングのための部材を含む。タイミング部材には、ベーンが設けられる。堰は、ベーンが堰に対向する時の閉鎖位置と熱処理水容器に対するアクセスが自由である時の開放位置とでタイミング部材に同期化される。
【0009】
食品は、水が供給されたレセプタクル内に受け取ることができる。食品は、水によって移動し、次に堰の位置に応じて熱処理槽内に移動するか、又はベーンが堰に対向する時に一時的に堰内に保持され、それによってベーンに対する食品の衝突を防止する。一時的に保持された食品は、堰が開いて熱処理槽内に移動する時に放出される。食品は、次に、それが調理されるのに必要な時間にわたって熱処理槽に向けて進む。レセプタクルに供給される水が熱処理水であるので、食品の調理は、レセプタクルが到達する時に始まる。水は、輸送、保護、及び調理という複数の機能を提供する。熱処理がレセプタクルの熱処理水との接触から始まるので、皮の欠如又は不安定で粘着性皮の存在に関連した食品の脆弱性は、速やかに低減される。堰のために、食品は、レセプタクルに受け取られて熱処理槽に到着する間は実質的に連続した方式で熱処理槽内に残る。従って、熱処理の連続性が保証され、同時に互いに対する衝突、又は形状を修正する影響を有する表面上のそれらの配置に関連した製品の変形が防止される。レセプタクルを供給する水は、熱処理槽からもたらすことができる。食品の調理は、容器が到着する時に始まる。
【0010】
一実施形態では、レセプタクルに対する熱処理水の供給は連続である。連続作動するポンプの使用が可能である。ポンプとレセプタクルの間に水の中間格納器は任意的である。ポンプとレセプタクルの間の水の中間格納器により、例えば、レセプタクルの温度を一定に保つための熱交換作動、又は材料の懸濁の防止が可能になる濾過部又は表面スキミングの提供が可能になる。
【0011】
一実施形態では、レセプタクルは、下流方向にフレアー状とすることができる。レセプタクルが堰に向う方向に延びるので、堰内に食品を一時的に格納することが容易になる。閉鎖位置の堰に食品を分配することも容易になる。
【0012】
一実施形態では、レセプタクルは、下流方向に傾斜した堰に隣接する部分を含む。傾斜は、水平に対して5°から25°の間とすることができる。堰の領域内でのレセプタクル、特に、レセプタクルの基部の傾斜により、堰が閉じている時に堰及び一時的に格納された食品が完全に空にされる。この例では、堰の幅という用語は、堰の開放位置での熱処理水の流れの軸線と垂直な寸法と理解されるように意図している。堰に隣接するレセプタクルの部分の傾斜はまた、2つの食品間の距離の増加をもたらす重力による熱処理水の流れのある程度の加速度を許すことができる。それによって2つの食品間の衝突の危険性が低下する一方で高速作動が容易になる。
【0013】
一実施形態では、堰は、水平シャフトに対して連結した水門を含む。水門のシャフトは、堰の幅に沿って配置することができる。水平シャフトは、閉鎖位置と開放位置の間の又はその逆の水門の制御された移動を可能にする。水門は、堰の開放位置において、水平シャフトの下流に設けられる。開放位置から閉鎖位置まで移動する時に、水門が熱処理水の流れ方向の反対に上方に持ち上げられる。熱処理水が閉鎖位置の方への移動の開始において水門の上を通過できる限り、食品も実質的に沈んだままで通過し続けることができる。流れが大幅に減速する時に、堰の中で水の累積が生成され、食品は、次に、水門の上方を通過することをやめて、堰に収容された熱処理水内に保持される。従って、食品の可能な渋滞及び食品の熱処理水との長引く接触の損失の発生が防止される。開放位置の水門は、水の流れの下に配置される。食品が水門に接着するようになる危険性は低下する。
【0014】
一実施形態では、堰は、水の流れのための少なくとも1つの孔が提供された水門を含む。孔は、堰に保持された水のレベルが上がるのを制限する。従って、閉鎖位置で堰の上縁から水がオーバーフローすることを防止することが可能になる。食品は、従って、堰によって一時的に水内に格納されたままになる。孔は、堰の水門を超えるオーバーフローを防止しながら、食品の直径の何倍かに等しい高さ、例えば、食品の直径の10から20倍を超える熱処理水の累積という観点で選択された高さに提供することができる。
【0015】
堰の水門は、堰の閉鎖位置で、熱処理水の迅速な累積を促進するために実質的に中実の下部部分、孔が提供された中間区間、及び実質的に中実の上部区間を含むことができる。そのような配置は、浮かぶ傾向がある食品に良く適合することが見出されている。水の密度に類似した密度を有する食品に対して、孔は、例えば、水門の上部区間により高い高さで配置することができると考えられる。
【0016】
一実施形態では、堰は、水門の位置に無関係の対応する固定縁部からある距離に設けられた横縁部を有する水門を含む。すなわち、堰には、食品の直径に対して小さい堰の横縁部からある距離に設けられた横壁が設けられる。距離は、水門の移動中に実質的に一定とすることができる。食品が渋滞する危険性は、低下する。
【0017】
一実施形態では、タイミング部材は、駆動機能、グループ分け機能、及び出口での食品の抽出に関わる機能を更に実施する。タイミング部材のベーンは、区間の間での熱処理水の循環を用いて熱処理水の容器を複数の区間に分離し、食品が同じ区間内に保たれる。ベーンは、透かし細工とすることができる。容器内の熱処理水の深さは、実質的にベーンの位置に関わらず保持される。食品が容器内に留まる時間の長さは、ベーンの速度に依存する。タイミング部材は、歯付きホイールによって駆動される無限チェーンを含むことができ、無限チェーンには、リンクが設けられている。ベーンは、リンクによって支持することができる。ベーンには、区間の間の熱処理水の循環を保証する孔を設けることができる。容器は、実質的に水平とすることができる。
【0018】
実施形態では、レセプタクルは、堰の位置に関係のない熱処理水のレベルを有する上流部分を含む。従って、食品が、それらの特性、特に、密度、形状などに従って受け取られることが保証される。受け取られた状態で、食品は、水平成分及び垂直成分を有する動きで移動される。食品は、従って、例えば、移送部材又は切断機械のような別の機械からレセプタクルの上流部分の熱処理水内に落下することができる。堰の位置に関係のない熱処理水のレベルにより、食品が上流部分の底部壁に衝突する危険性が低下する。
【0019】
一実施形態では、上流部分は、食品の移動に対して横方向の熱処理水の入口を含む。熱処理水内の乱流の発生は、従って、食品を移動してそれらがこの入口区間の底に沈んで停滞することを防止する。上流部分は、熱処理水及び食品のための軸線方向出口を含むことができる。横方向の水の入口は、レセプタクルの上流壁の近くに配置することができる。水は、食品を移動させるように十分に層流方式で流れる。
【0020】
熱処理水の入口は、双方向とすることができる。流れの規則正しさは、少なくとも垂直平面で促進され、それによって上流部分の横壁に対して食品が衝突する危険性が低下する。
【0021】
一実施形態では、上流部分は、食品を受け取るための上部開口部と、基部と、堰に向う方向の熱処理水及び食品のための出口とを含む。出口における水の速度により、上流部分での食品の累積を防止するために、食品が受け取られる位置の比率に従って出口における食品の速度が例えば実質的に等しくなるように調節することができる。上流部分は、出口のための調節バルブを含むことができる。調節バルブの位置は、上流部分の水の深さ及び出口での水の流速の両方を決める。バルブの位置は、異なる種類の食品に適合させることができる。
【0022】
一実施形態では、レセプタクルは、上流部分の基部から閾値だけオフセットした基部を含む下流部分を含む。閾値の高さは、1センチメートルと5センチメートルの間とすることができる。閾値により、上流部分の流出量を低減する下流部分の水のあらゆる逆圧の防止、最低限でも低減が可能になる。閾値は、上流部分の水の一定レベルの保守を促進する。閾値は、下流部分の水が流れる速度の上昇を促進し、2つの食品間で接触する危険性の低下をもたらす。
【0023】
一実施形態では、下流部分は、開放位置における堰の傾斜に等しいか又はそれ未満に傾斜している基部を含み、その傾斜が開放位置の堰内に熱処理水が流れる加速をもたらす。食品間での接触の危険性は、低下する。
【0024】
一実施形態では、堰の位置は、槽の入口におけるベーンの存在に従って判断される。槽の入口にベーンセンサが装着される。
【0025】
本発明はまた、食品のための押し込み装置、調理器具、及び冷却器を含む処理ラインに関する。調理器具及び冷却器の少なくとも一方は、上述の装置を有する。熱処理装置は、押し込み装置と調理器具の間に配置することができる。熱処理装置はまた、調理器具と冷却器の間に配置することができる。この例では、熱処理液は、冷却器の液と同じ温度、例えば、−15℃と5℃の間にすることができる。調理器具の上流に配置される熱処理装置の場合、熱処理水は、調理器具の水の温度と実質的に同じ温度であり、例えば、60℃と95℃の間である。
【0026】
処理ラインは、食品のための押し込み装置、前調理器具、包装手段、殺菌装置、及び冷却器を含むことができる。前調理器具、殺菌装置、及び冷却器の少なくとも1つは、上述の装置を含む。
【0027】
食品を熱処理する方法は、熱処理水が供給されたシュートの形態をした断面を有するレセプタクル内に食品を受け取る段階を含むことができ、レセプタクル内の流れが食品を移動させ、レセプタクルの下流への給送によって食品が槽の方向に向けられ、堰の開放位置が、熱処理水及び熱処理水によって搬送された食品を通過させ、堰の閉鎖位置が、食品を熱処理水内に保持し、次に、槽内で食品の時限式熱処理が食品を熱処理する水の容器を含み、食品の投入と排除がベーンによって制御され、給送が、ベーンが堰に対抗する時の閉じるアクションと槽へのアクセスが自由な時の開くアクションでタイミング部材と同期化される。
【0028】
本発明は、共押し出しソーセージに良く適合するが、成形されていない又は梱包されていないいくつかの他の製品にも使用することができる。本発明は、ケーシングのない製品、特に、野菜、フードボール、天然ケーシングに入れたソーセージ、ケーシングのないエマルジョン、エビ、ペーストに良く適合する。この装置は、食品の一体性を重んずるように水中での調理又は冷却を可能にする。
【0029】
本発明は、限定されない例として使用されて以下の図面に示す一部の実施形態の詳細説明を考察することから更に良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】処理ラインの概略図である。
【図2】別の処理ラインの概略図である。
【図3】異なる作動位置での処理装置の断面図である。
【図4】異なる作動位置での処理装置の断面図である。
【図5】異なる作動位置での処理装置の断面図である。
【図6】レセプタクル及び処理装置堰の斜視図である。
【図7】レセプタクル及び処理装置堰の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
調理又は前調理された後に市場で売られているいくつかの食品は、未加工状態では特に機械的に脆弱であることが公知である。これは、ミートボール、肉ベースのいくつかの種類のソーセージ、魚、又は更に野菜の場合に事実である。これはまた、デザート類の甘味組成物、インスタントチーズ製品の場合にも事実である。
【0032】
本出願人は、水内に浸漬する手段によって様々な形式の脆弱な食品を処理することができる熱処理機械の潜在的な需要があったことを認識していた。
【0033】
例えばゲルが従来的な皮に取って代わったゲルで覆われたソーセージのような食品の場合には、未加工状態のゲルが特に粘着性があって薄い層に堆積するという事実が製品の機械的脆弱性に追加される。ゲルで覆われた食品は、未加工状態では、いくつかの固形面に接着する可能性がある。ゲルは、引き裂くことができると考えられる。文書EP 234068又はGB 895101で提案された調理装置は、食品が壁と接触するようになるという危険性を伴い、きれいにすることが非常に困難であることが見出されている。従って、長くて費用のかかる使用されていない期間がある。文書DE 2228564及びUS 3 761 290は、機構に衝突する又は接着するようになる危険性のために脆弱な食品を受け取るには不適切である機構を用いてソーセージが移動する温水槽式調理器具を説明している。
【0034】
文書US 3700847及びUS 2008/279 990は、並列生産ライン上でのソーセージのための生産作業を説明しているが、粘着性があって脆弱な食品には不適切であることが見出されている。並列生産ラインは、建物スペースの著しい長さを取り、高価であることが見出されている。
【0035】
本出願人は、装置を改善し、粘着性があるか又は脆弱か又はその両方の食品が受け取られて調理されるのを可能にした。熱処理装置は、スチームよりも遥かに良好なエネルギ発生量を提供する水内に浸漬する手段によって調理されるのを可能にする。熱処理装置は、食品の粘着特性及び/又は脆弱性の低減を直ちに開始する熱処理水の中で、上流に配置された機械から食品を受け取る。食品は、熱処理水内に受け取られ、熱処理水によって輸送される一方で調理槽の範囲で熱処理水内に保たれる。
【0036】
図1に示す実施形態では、処理ラインは、入口で原材料又は半完成材料を受け取る製品押し出し装置1を含む。押し出し装置1は、出口で未加工食品を提供する。押し出し装置1の下流に、ラインは、押し出し装置1から未加工食品を受け取る調理器具2を含む。調理器具2には、以下に説明するように熱処理装置4が設けられる。調理器具2は、出口で調理済み食品を提供する。処理ラインはまた、冷却器3を含む。冷却器3は、入口で調理器具2から調理済み食品を受け取る。冷却器3には、この例では熱処理装置5が設けられる。熱処理装置4及び5は、熱処理装置4の場合の調理と熱処理装置5の場合の調理とに適する熱処理液を含む同一形式のものとすることができる。処理ラインには、熱処理装置4だけ又は熱処理装置5だけを設けることができる。冷却器3は、出口に格納温度の食品を提供する。食品は、次に、低温室に格納されるか、又は示していない他の機械で他の処理作業を受けることがある。
【0037】
図2に示す実施形態では、熱処理ラインは、押し出し装置1、前調理器具6、包装機械7、殺菌装置8、及び冷却器3を含み、それぞれこの順番で配置される。押し出し装置1及び冷却器3は、先の実施形態のものと同じ形式とすることができる。前調理器具6には、この例では熱処理装置9が設けられる。前調理器具6は、図1の実施形態の調理器具2と類似の形式のものとすることができる。前調理器具6は、調理器具2を用いた調理時間よりも短い時間にわたって前調理をすることができる。前調理器具6は、出口で包装機械7に前調理した食品を供給する。包装機械7は、一般的に機械的な及びバクテリア的な保護をするパッケージ又は包装材料で食品を覆う。食品は、ユニットとして又はバッチで包装することができる。食品は、例えば、ポリエチレンベースの合成材料の2つのシートの間に包装することができる。包装機械7は、出口で包装された食品を提供する。殺菌装置8には、適切な殺菌価値を得るために熱処理装置10が設けられる。殺菌装置8は、温度、中核温度、又は所定温度の期間を要求する場合がある効力のある規格に準拠するように構成される。殺菌装置8は、出口で比較的高温度で包装され、かつ殺菌された食品を提供する。熱処理装置5が設けられた冷却器3は、殺菌装置8から食品を受け取ってそれらが保存温度まで冷却されていることを確認する。図2の熱処理ラインの熱処理装置9、10、及び5は、異なる組合せで存在することができ、熱処理ラインでは、それらの1、2、又は3とすることができる。
【0038】
熱処理装置4、9、及び10は、熱を加えることによって処理を保証する。熱処理装置4、9、及び10は、通常水中で作動する。熱処理装置5は、冷却することによって処理が確実になる。熱処理装置5は、ブラインの温度を0℃よりも下げるために塩分又は別の添加物が加えられた水中で作動させることができる。
【0039】
図3から5に示す実施形態では、熱処理装置4は、レセプタクル11とレセプタクル11の下流に配置された熱処理槽12とを含む。レセプタクル11は、一般的に、脚13の上に載るテーブルの形態とすることができる。レセプタクル11は、一般的に、シュートの形態をした断面を有する。シュートは、基部と2つの横壁とを含む。レセプタクル11は、下流部分15に流すために、レセプタクルの上流部分14に熱処理水を供給する熱処理水14の供給部を含む。装置は、熱処理水が流れる方向でレセプタクル11の下流に配置された堰16を含む。熱処理槽12は、堰16の下流に配置される。すなわち、熱処理水は、上流部分14に提供され、下流部分15内に流れ、堰16内に流れ、次に熱処理槽12に合流する。熱処理槽12は、実質的に一定の熱処理水のレベルを有することができる。このために、熱処理槽は、槽12内の過剰な熱処理水を回収するオーバーフロー機構17を含むことができる。オーバーフロー機構17は、熱処理水14の供給部内に開いているポンプ18に接続することができる。ポンプ18の出力は、完全に熱処理水14の供給部に向けることができる。代替的に、ポンプ18の出口は、部分的に熱処理水14の供給部に向け、かつ槽12内の熱処理水の攪拌を確保するために部分的に熱処理槽12に向けることができる。層12内では良好な温度均一性が得られる。
【0040】
熱処理槽12は、上部で開き、かつ食品を調理するための熱処理水の十分な深さと熱処理水の十分に均一な温度とを提供するように構成された熱処理水の容器19を含む。オーバーフロー機構17は、容器19の中又は縁部に配置される。オーバーフロー機構17は、導管21を通じてポンプ18に接続される。熱処理水の格納器22は、ポンプ18に関連付けることができる。熱処理水の格納器22は、例えば、熱交換器又は電気抵抗器の加熱要素23を含むことができる。導管24は、熱処理水をレセプタクル11内に送るために、ポンプ18又は格納器22とレセプタクル11の上流部分14との間に装着される。
【0041】
熱処理槽12はまた、タイミング部材20を含む。タイミング部材20は、無限機構を含む。タイミング部材20は、食品の移動方向に対して交差する複数のベーン25を含む。ベーン25は、レール26内で移動するチェーンによってその端部のそれぞれで支持される。歯付きホイール27は、レール26内でチェーンを駆動する。ベーン25は、熱処理水から外への上部軌道部分と、熱処理水と接している下部軌道部分とに従って移動する。容器19の水の深さは、温度の均一性を促進するために実質的に一定である。容器19の縦方向端部は、ベーン25の対応する端部の経路に準拠する一方で、容器19の壁とベーン25の下端との間に少しの間隙を残すために丸みが付けられる。ベーン25の下端は、この例では、ベーン25が熱処理水と接触する時に下部位置に配置された端部として理解されるように意図している。オーバーフロー機構17は、ベーンを超えて、容器19の縁部の1つの上に配置することができる。ベーン25は、図3の矢印によって示す方向に移動される。
【0042】
レセプタクル11及び堰16は、図6及び7により詳細に示されている。レセプタクル11の上流部分14は、実質的に平行な横縁部14a及び14b、実質的に水平か又は僅かに下流に傾斜している基部14c、上流壁14d、及び熱処理水供給部28を含む。熱処理水供給部28は、垂直に整列して上流壁14dの近くの横壁14a及び14b内に提供された1つ又はそれよりも多くの列に配置された複数の孔を含む。横壁14a及び14bは、ハンドル29aを使用して作業されて導管24からの熱処理水が横壁14a及び14bに提供された孔に分配されるようにするカートリッジ29に属することができる。好ましくは、孔は、実質的に対称であり、双方向水供給部を形成する。従って、下流方向への熱処理水の流れが促進され、熱処理水に対する可能なあらゆる停滞区間を低減する。
【0043】
上流部分14aは、例えば、狭くて縦長の通路の形態である。このように形成される通路の幅及び高さ寸法は、熱処理される食品の直径及び密度によって判断することができる。食品と上流部分14の壁との間の衝突の危険性は、従って、制限される。上流部分14はまた、下流壁を形成するバルブ30を含む。バルブ30は、熱処理水の出口31を形成する経路を開いたままにする。出口31は、熱処理水及び食品の移動方向に対して軸線方向にある。バルブ30は、上流部分14の通路で要求される熱処理水のレベル、食品の直径、食品のために要求される排出速度などに従って制御することができる。出口31は、矩形である。バルブ30は、把持を容易にする孔を用いて上流部分に提供された矩形の要素の形態である。バルブ30は、高さに関して手動で調節することができる。バルブ30を所定の位置に固定するためにスクリューを用いて締め付けることができる。
【0044】
レセプタクルの下流部分15は、バルブ30から延びている。下流部分15は、対称で下流方向に発散する横壁15a及び15bと、台形基部壁15cとを含む。基部壁15cは、特に5°と25°の間の角度を通して下流方向に傾いている。横壁15a及び15bは、溶接の手段によって又は折り畳まれた単一金属シートの手段によって上流部分14の横壁に接続される。基部壁15cは、直接に又は任意的に閾を形成する突起32を用いて上流部分14の基部壁14cに接続される。突起32は、1cmと5cmの間の高さを有する。突起32は、垂直とすることができる。
【0045】
下流部分15は、下流方向に堰16に合流する。堰16は、下流部分15と共通である横壁及び基部壁を含む。この堰16は、傾いている水門33を含む。水門33は、実質的に水平のシャフトの周りにピボット回転可能に装着される。シャフトは、基部壁15cのレベルよりも極僅かに低いレベルに配置される。開放位置では、水門33は、基部壁15cと同一平面にすることができる。開放位置では、水門33は、傾いている軸線の下流に配置される。閉鎖位置では、水門33は、図4に見られるように、上方に持ち上げられて基部壁15cと実質的に垂直である。水門33の傾きは、開放位置と閉鎖位置の間で、モータ駆動装置、又は下流部分15及び堰16に隣接して装着されたケーシング34内に配置されたジャックによって提供される。
【0046】
水門33は、その長さが熱処理水及び食品の移動方向に対して横断方向に配置された矩形の形態である。水門33の短い側面33a及び33bは、閉状態で上方に持ち上げられる。短い側面33a及び33bは、食品の直径よりも有意に小さい横壁15a及び15bからある距離の位置にある。その距離は、0.5と2mmの間とすることができる。水門33は、下流部分15の基部壁15cの傾きと実質的に同じか又はそれよりも僅かに大きい傾きで配置することができる。従って、開放位置での水門33の上方を通過する熱処理水の抑制が避けられる。
【0047】
複数の孔35が水門33に提供される。図示の実施形態では、水門35は、水門33の長さと平行に3列に配置される。孔35は、実質的に水門33の幅の3分の1と3分の2の間に配置される。孔35は、熱処理水を通過させる一方で食品の通過に抵抗する作用をする。熱処理水は、従って、閉鎖位置での水門33の上縁を超えるオーバーフローを防止し、このオーバーフローは、食品を一緒に搬送する危険性をもたらすと考えられる。このように、閉鎖位置での水門33は、中実の下部部分、透かし細工の中間部分、及び食品が確実に浸漬されて望ましくないオーバーフローを防止するように熱処理水の十分な蓄積を促進する中実の上部部分を含む。
【0048】
堰16の水門33の位置は、堰に対向するベーン25の存在又は不在に対して索引付けられ、下流部分15からの及び容器19に向う堰16からの熱処理水によって移動する食品に対して障害を形成する可能性がある。このために、熱処理槽12には、堰16の開口部においてベーン25の存在を検出するセンサ36が設けられる。センサ36は、光電セル又は機械式装置を含むことができる。センサ36は、堰16の水門33の電動化のためにケーシング34に接続される。図4に示す位置では、ベーン25は、センサ36に対向して設けられる。ベーン25も、レセプタクル11及び堰16に対向する。熱処理槽12に対するアクセスは、従って、食品に対して望ましくない。センサ36は、ベーン25の存在を検出し、電動化ケーシング34を通じて、閉鎖位置に関する限り図4の矢印によって示す方向への水門33の傾斜を生じさせる。タイミング部材20はまた、容器19の熱処理水と接触しており、その移動がセンサ36の前にあるベーン25の上流の熱処理水内に存在する食品の対応する移動を生じさせるベーン25を含む。別のベーン25が熱処理水からの戻りの軌道上に存在する。
【0049】
水門33が閉鎖位置にある時に、出口31からの熱処理水及び食品は、堰16内に蓄積する。孔35を経由した水流の一部分は、水門33内に提供される。堰16中への水の蓄積は、食品の熱処理を続け、食品間の又は食品の壁に対する衝突が生じるのを防止するために十分である。
【0050】
次に、タイミング部材20は、その移動を続ける。ベーン25は、図5に見られるように容器19に係合する。センサ36は、ベーン25から解除され、電動化ケーシング34の手段によって図5の矢印で示す方向に水門33の傾斜を制御する。水門33は、この例では開放位置に極めて近く進められた傾斜位置に示されている。図示の位置では、既に蓄積されていた水が水門33の上を流れ始める。食品は、熱処理水の移動に従う。図3に示す開放位置が達せられる。水門33は、熱処理水及び食品の速度の低下を防止するために、下流部分15の基部15cと実質的に整列した位置で又は僅かに大きい傾斜で開いている。容器19に対するアクセスは、自由である。センサ36が、解除される。ベーン25は、レール26の水平部分に対応するその軌道の水平部分の上の容器19の中で既に係合している。次のベーン25は、レール26の傾斜した下降部分の上で戻りの軌道を続ける。次のベーン25は、レセプタクル11及び堰16から容器19内への食品の移動の邪魔をしない。
【0051】
レセプタクル11及び堰16には、供給部28によって誘導された熱処理水が容器19内に流れるように液密の基部及び横壁が設けられる。レセプタクル11及び堰16は、良好な熱絶縁及び食品に対する保護を提供するためにカバー37で覆うことができる。レセプタクル11は、水の連続供給と、例えば、毎分200ユニットを超える食品の高い供給速度を伴う実質的に連続した機能を有する。
【0052】
堰16により、熱処理槽12への食品の供給に対して、例えば、数秒間の短時間の中断が可能になり、ベーン25に対して熱処理槽12に食品のための入口空間を解放するための時間を考慮することができる。ベーン25は、一定速度で移動することができる。
【0053】
上流部分14の熱処理水のレベルは、水供給部28とバルブ30の位置によって判断される。それによって食品が上部から受け取られるようになり、食品の衝突及びケーシングを損傷させる危険性が制限される。更に、上流部分から熱処理水内に落下する食品は、出口31の方向に向う水の希薄な流れのために基部壁14cの近く保たれる傾向がある。しかし、一部の食品、特に、細長いものは、上流部分14で裏返しになることがある。2つの食品の同時通過にかなうサイズの出口31を提供することが有利である。食品が出口31を通過した後は、基部14cと基部15cの間のレベルの違いを提供する突起の存在により、及び基部15cの傾斜によってもたらされる僅少な下降のためにそれらが加速される。熱処理水は、下流部分15の増大する幅にわたって加速して広がる傾向を有する。食品は、熱処理水の加速のために互いから分離され、下流部分15の増大する幅にわたって均等方式で分配される。堰16が開放位置にある時に、食品は、熱処理水によって熱処理槽12内に直接に運ばれる。食品は、槽内に入ると容器の有意な幅にわたって既に分配されている。堰16が閉鎖位置にある時は、食品は、水門33によって保持された熱処理水によって形成されたプールを用いて、水門33の上流に一時的に格納される。
【符号の説明】
【0054】
11 レセプタクル
12 熱処理槽
16 堰
19 容器
20 タイミング部材
25 ベーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を熱処理するための装置であって、
食品を受け取るように意図したレセプタクルと、
シュートの形態の断面を有する前記レセプタクルの下流の熱処理槽と、
食品が水によって前記レセプタクル内に移動される熱処理水の供給部と、
前記熱処理水及び該熱処理水によって移動される前記食品が通過することを可能にする少なくとも1つの開放位置と該食品を熱処理水に保持する閉鎖位置とを有し、前記レセプタクルの下流に配置された堰であって、前記熱処理槽が、該堰の下流に配置された熱処理水容器を含む前記堰と、
熱処理作業の持続時間のタイミングのための部材であって、該タイミング部材にベーンが設けられ、前記堰が、ベーンが該堰に対向する時の閉鎖位置と前記熱処理水容器へのアクセスが自由である時の開放位置とにおいて該タイミング部材に同期される前記タイミングのための部材と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
熱処理水の供給が、連続的であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レセプタクルは、下流方向にフレアー状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記レセプタクルは、前記堰に隣接しかつ好ましくは5°と25°の間の傾きで下流方向に傾斜する部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記堰は、水平シャフトに連結された水門を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記水門は、前記堰の前記開放位置で前記水平シャフトの下流に位置することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記堰は、水が流れるための孔が設けられた水門を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記堰は、水門の位置に無関係である対応する固定縁部からの距離に位置する横縁部を有する水門を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記タイミング部材は、駆動機能、グループ分け機能、及び出口での前記食品の抽出に関わる機能を更に実施することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記レセプタクルは、前記堰の位置に無関係である熱処理水のレベルを有する上流部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記上流部分は、前記食品の移動に対して横方向である熱処理水のための入口と、熱処理水及び食品のための軸線方向出口とを含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記熱処理水入口は、双方向であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記上流部分は、食品を受け取るための上部開口部と、基部と、前記堰に向う方向の熱処理水及び食品のための出口とを含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記出口は、前記入口での前記食品の速度に実質的に等しい流速に対して構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記上流部分は、前記出口のための調節バルブを含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記レセプタクルは、前記上流部分の基部から閾値だけオフセットされた基部を含む下流部分を含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記レセプタクルは、前記開放位置での前記堰の前記傾きに等しいか又はそれ未満の傾きを有する基部を含む下流部分を含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項18】
食品のための押し込み装置と、調理器具と、冷却器と、を含み、
前記調理器具と前記冷却器のうちの少なくとも一方は、請求項1に記載の装置を含む、ことを特徴とする処理ライン。
【請求項19】
食品のための押し込み装置と、前調理器具と、包装機械と、殺菌装置と、冷却器と、を含み、
前記前調理器具、前記殺菌装置、及び前記冷却器のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の装置を含む、ことを特徴とする処理ライン。
【請求項20】
食品を熱処理する方法であって、
熱処理水が供給されたシュートの形態の断面を有するレセプタクルに食品を受け取る段階であって、該レセプタクル内の流れが、該食品を移動させ、該食品が、該レセプタクルの下流への給送によって槽に向けて誘導され、堰の開放位置が、該熱処理水及び該熱処理水によって搬送された該食品を通過させ、該堰の閉鎖位置が、該食品を該熱処理水に保持する前記段階、
を含み、次に、
前記槽における前記食品の時限式熱処理が、該食品を熱処理するための水の容器を含み、該食品の導入及び除去が、ベーンによって制御され、前記給送が、ベーンが前記堰に対抗する時の閉じるアクション及び該槽へのアクセスが自由である開くアクションを用いてタイミング部材と同期される、ことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−125244(P2012−125244A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273457(P2011−273457)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(511304523)
【Fターム(参考)】