説明

食品処理装置および方法

【課題】無菌パック食品の製造において、容器の奥や角隅に収容されている食材に対しても加圧蒸気をスムーズに入り込ませて内容物の全般をムラなく均一且つ効果的に殺菌できるようにする。
【解決手段】食品を収容するメッシュ状の収容室3aを有するバケット3を該収容室を上向きに開口させた状態で上方水平搬送路T1に沿って搬送しながら、バケットの収容室にトレイ1を被せ、殺菌装置40により収容室に収容した食品をトレイと共に殺菌した後、バケットを反転搬送路T2に沿って反転させることにより、バケット収容室内の殺菌済食品をトレイに移し替えて食品収容トレイ1’とし、昇降台25によりローラーチェーン20でリターン搬送されるバケットから離してバーコンベア30に移載する。反転搬送路T2に沿って設けられる反転レール24は、反転途中でトレイがバケットから離脱することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品処理装置および方法に関し、特に、常温保存可能に無菌化された米飯などのパック食品を製造するに際して好適に採用され得る食品処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される無菌パック米飯の製造方法は、容器に定量充填された米に対して密封チャンバーにて高圧高温飽和蒸気を間欠的にフラッシュすることにより滅菌処理する工程を含んでいる。この滅菌処理工程は、たとえば、5〜10秒間の高圧高温飽和蒸気フラッシュを1サイクルとして6〜8回繰り返して行われる。この滅菌処理工程によって、米に付着されている可能性のある一般生菌および耐熱生菌をも死滅させることができると同時に、米が一定程度までアルファ化されるので、その後、炊き水を注水して炊飯する際の炊飯時間を短縮させることができる。炊飯後、クリーンルームないしクリーンブース内で容器に蓋材を被着して密封シールすることにより、無菌状態を保持したパック米飯を製造することができる。
【0003】
特許文献2に記載される食品殺菌装置は、米などの食品が定量充填された容器を載置支持する載置板と、上下チャンバーと、これら上下チャンバーを互いに離隔した離隔位置と互いに密接してそれらの間に密閉空間を形成する密接位置との間で相対移動させる手段と、上下チャンバーが離隔位置にあるときに前記載置板を上下チャンバーの間に供給する手段と、上下チャンバーが密接位置にあるときにこれらの間に形成される密閉空間に加圧蒸気を導入する手段とを有して構成されている。上下チャンバー間の密閉空間に導入された加圧蒸気は、載置板に支持された各容器の内部に入り込み、内容物である食品を無菌化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−172992号公報
【特許文献2】特開平10−099061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される無菌パック米飯の製造方法において、特許文献2に記載される装置を用いて滅菌処理を行うことができ、これによって完全無菌化されたパック米飯を製造することが可能となった。このようにして製造された無菌パック米飯は、常温でも長期間の保存が可能であり、消費者は購入後電子レンジで数分程度温めれば炊き立てと同様の食味および食感のご飯を手軽に食することができ、一方、コンビニなどの販売店にとっては過剰な仕入れによる廃棄ロスや過小な仕入れによる売上チャンスロスを無くすことができるものであった。また、このような製造方法は米飯だけでなく、パスタなどの麺類や総菜類などの多用な食品にも適用可能であり、無菌パック食品の市場拡大に大きな展望を与えるものであった。
【0006】
しかしながら、特許文献2記載の殺菌装置にもなお改良すべき点があった。すなわち、この殺菌装置は、まだ蓋材が被着されていない、したがって容器上面が開放された状態の食品充填容器に対して上方から加圧蒸気を導入して蒸気殺菌するものであるが、容器を形成する材料は密封シール後の二次汚染を防止するためにガス不透過性を有することが要求されるため、上方から容器の内部に入り込んだ蒸気は容器を通過することができない。このため、導入する蒸気の圧力や処理時間によっては容器の奥や角隅まで蒸気が入り込むことができず、内容物の全般を効果的に殺菌できない場合があることが分かった。蒸気圧を高くしたり処理時間を長くすることによってこの問題を解消することは可能であるが、処理効率の低下やコスト増加を招くので好ましくない。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、特許文献2に記載されるような従来技術による殺菌装置が抱えていた上記不利欠点を解消して、米飯などのパック食品をより効率的に殺菌することができる新規な食品処理装置および方法を提供することであり、より具体的には、容器の奥や角隅に収容されている食材に対しても加圧蒸気をスムーズに入り込ませて内容物の全般をムラなく均一且つ効果的に殺菌できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、請求項1に係る発明は、メッシュ状の収容室を有するバケットを、該メッシュ状収容室を上向きにした状態で且つその開口を塞ぐようにトレイを被せた状態で略水平に搬送する上方水平搬送路と、該メッシュ状収容室が上向きから下向きになるようにバケットをトレイと共に反転させる反転搬送路とを連続して有する所定の搬送路に沿って搬送するバケット搬送手段と、上方水平搬送路に沿って搬送される過程でバケットのメッシュ状収容室に収容されている食材をトレイと共に加圧蒸気により殺菌する少なくとも一の殺菌装置と、反転によりバケットから移し替えられた殺菌済食品を収容するトレイが反転搬送路を越えた所定の地点でバケットから離脱するときに該食品収容トレイをバケット搬送手段による搬送路とは別の所定の搬送路に沿って搬送するトレイ搬送手段と、を有することを特徴とする食品処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の食品処理装置において、バケットに複数のメッシュ状収容室が設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の食品処理装置において、バケットはバケット搬送手段に連結されるプレートを有し、このプレートに前記メッシュ状収容室が設けられており、該プレートは前記殺菌装置による殺菌処理を受けるときに加圧蒸気を通すための蒸気通過手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の食品処理装置において、バケットの各メッシュ状収容室の周囲にはトレイを位置決めするためのガイドピンがプレートから立設されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか記載の食品処理装置において、バケット搬送装置はバケットの横幅に対応する間隔をおいて平行に且つ同速度で同方向に駆動される一対のローラーチェーンを有し、これら一対のローラーチェーンにバケットの幅方向両端部が連結されることによりバケットをローラーチェーンと共に走行させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか記載の食品処理装置において、バケット搬送装置による前記所定の搬送路は、前記上方水平搬送路および前記反転搬送路に続いて、反転によってメッシュ状収容室内の収容物がトレイに移し替えられることにより空になったバケットを略水平に搬送する下方水平搬送路と、この空のバケットを上方水平搬送路にリターンさせるリターン搬送路とを有する周回搬送路として形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれか記載の食品処理装置において、前記反転搬送路の外周に沿って反転レールが設けられて、反転途中でトレイがバケットから離脱することを防止することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7のいずれか記載の食品処理装置において、前記反転搬送路の終端に近接して、バケット搬送手段により反転搬送路の前方にさらに搬送されるバケットから食品収容トレイを離脱させて前記トレイ搬送手段に移載する移載手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の食品処理装置において、移載手段は、前記反転搬送路の終端から実質的に連続する上方位置と、前記トレイ搬送手段による前記所定の搬送路と略面一となる下方位置との間を昇降移動可能に設けられる昇降台を有してなり、昇降台が上方位置にあるときにバケットから離脱する食品収容トレイを受け止めて載置し、下方位置において該食品収容トレイを前記トレイ搬送手段に受け渡すことを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項9記載の食品処理装置において、上方位置にあるときの昇降台は、前記反転搬送路の外周に沿って設けられる反転レールの終端と略同一高さに位置することを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10のいずれか記載の食品処理装置において、トレイ搬送手段は、間隔をおいて平行に且つ同速度で同方向に走行駆動される一対のローラーチェーンと、これら一対のローラーチェーンに所定間隔をおいて架け渡される複数のバーと、所定の搬送面に沿って延長するレールとを有するバーコンベアであり、前後のバーの間に挟まれて位置する食品収容トレイの搬送方向後方の側面を後方のバーで押すことにより該食品収容トレイを所定方向に搬送することを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれか記載の食品処理装置において、トレイ搬送手段により搬送される食品収容トレイをトレイ搬送手段から取り出すピックアップ手段をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項12記載の食品処理装置において、ピックアップ手段は、前記トレイ搬送手段による前記所定の搬送路と略面一となる下方位置と、この位置から上昇させる上方位置との間を昇降移動可能に設けられる昇降台を有してなり、昇降台が下方位置にあるときにトレイ搬送手段により移送されてくる食品収容トレイを載置することを特徴とする。
【0021】
請求項14に係る発明は、(1)食品を収容するメッシュ状の収容室を有するバケットを該収容室を上向きに開口させた状態で所定の搬送路に沿って搬送しながら、バケットの収容室にトレイを被せる工程と、収容室に収容した食品をトレイと共に殺菌する工程とを順次に行った後、(2)バケット収容室内の殺菌済食品をトレイに移し替えて食品収容トレイとすることを特徴とする食品処理方法である。
【0022】
請求項15に係る発明は、(1)食品を収容可能なメッシュ状の収容室を有するバケットを該収容室を上向きに開口させた状態で所定の搬送路に沿って搬送しながら、バケットの収容室に殺菌すべき食品を定量充填する工程と、食品が定量充填されたバケットの収容室にトレイを被せる工程と、収容室内の食品をトレイと共に殺菌する工程とを順次に行った後、(2)バケットを反転させる反転搬送路に沿って搬送することにより、バケット収容室内の殺菌済食品をトレイに移し替えて食品収容トレイとすることを特徴とする食品処理方法である。
請求項16に係る発明は、請求項14または15記載の食品処理方法において、さらに、(3)得られた食品収容トレイに蓋材を被着して密封シールすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、バケットのメッシュ状収容室にトレイを逆さまにして被せ、この状態で加圧蒸気による殺菌を行うことによってバケット収容室内の食品(未調理の食材および調理途中のものを含む。本明細書および特許請求の範囲の記載を通じて同じ。)とトレイとを同時に滅菌し、その後にバケットを反転させることでメッシュ状収容室内の食品をトレイに移し替える一連の処理が行われる。食品はバケットのメッシュ状収容室に収容された状態で蒸気殺菌されるので、加圧蒸気がメッシュ状収容室の隅々まで行き渡って該収容室内の食品をムラなく均一に殺菌することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による無菌パック米飯製造装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1におけるA−A部分の平面図である。
【図3】この無菌パック米飯製造装置に用いられる殺菌装置を上下チャンバーが離隔した状態で示す詳細図である。
【図4】最終的に製品として得られる無菌パック米飯の一部破断側面図である。
【図5】この無菌パック米飯製造装置を用いて行う一連の製造工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明の一実施形態による無菌パック米飯製造装置10の構成を示す概略図であり、図2は図1におけるA−A部分の平面図であり、図3はこの無菌パック米飯製造装置10に用いられる殺菌装置を上下チャンバーが離隔した状態で示す詳細図である。
【0026】
この無菌パック米飯製造装置10は、モータなどの駆動手段(図示せず)によって図1反時計方向に間欠的に回転駆動されるスプロケット21a,21bによって矢印X方向に周回走行するバケット搬送手段20を有する。符号22a,22b,22cはバケット搬送手段20の搬送路を規定するガイドローラーである。
図示例におけるバケット搬送手段20は、横方向に間隔をおいて平行に同速度で走行する一対のローラーチェーン20,20であり、これら一対のローラーチェーン20,20に所定ピッチPxでアタッチメント23,23を取り付け、対向する一対のアタッチメント23,23に各々バケット3を固定することにより、バケット3を間欠的に矢印X方向に搬送するように構成されている(図2)。アタッチメント23は、バケット3の幅方向端部をローラーチェーン20に連結・固定してバケット3をローラーチェーン20と共に走行させることを可能にするものであれば、その構成・構造・材質等を問わずに採用することができる。
【0027】
バケット3は、個食分の米を収容する収容室3aが横長平板状のプレート3bの幅方向に沿って所定数(図示例では4個)設けられた構成を有する(図2)。収容室3aは、パンチングメタルなどによって、米粒を通過させない程度の微細穴を多数有するメッシュ状に形成されている(図3)。
【0028】
プレート3bは、バケット搬送手段を構成する一対のローラーチェーン20,20の間隔に対応した横幅寸法を有しており、その幅方向両端がアタッチメント23,23を介してローラーチェーン20,20に連結されることにより、これらローラーチェーン20.20の間において吊下された状態でローラーチェーン20,20と共に走行する。プレート3bには、各メッシュ状収容室3aを取り巻く四隅の箇所には、トレイ1(図4参照,後述)を被せる際の位置決めとなるガイドピン3cが立設されている。
【0029】
さらに、プレート3bには、殺菌処理時に上方から導入される加圧蒸気を下方に流動させることを許容するための蒸気通過手段が設けられる。図示例ではこの蒸気通過手段として計10個の蒸気通過穴3dが各プレート3bに形成されているが、上下チャンバー(後述)同士を密接させてこれらの間に蒸気室を密閉形成したときに該蒸気室の内部に位置するように形成されるものである限り、その形成箇所や個数は限定的ではない。また、蒸気通過手段の他の例として、プレート3bの縁部に凹部を形成するなどにより蒸気の通過を許容する空間を与えるようにしても良い。
【0030】
図1から明らかなように、バケット搬送手段20は、スプロケット21aの最上位置P1からスプロケット21bの最上位置P2までの間は略水平に走行する上方水平搬送路T1を形成し、スプロケット21bの最上位置P2から最下位置P3までの間はスプロケット21bに沿って半周する反転搬送路T2を形成し、スプロケット21bの最下位置P3からガイドローラー22aまでの間は略水平に走行する下方水平搬送路T3を形成し、その後は、ガイドローラー22b,22cに案内されながらスプロケット21aの最上位置P1に向けてリターンするリターン搬送路T4を形成する。バケット3はアタッチメント23,23を介してバケット搬送手段20(ローラーチェーン20,20)に固定されているので、上方水平搬送路T1の区間を搬送される各バケット3は収容室3aの開口が上向きになった状態にあるが、反転搬送路T2で反転されるので、下方水平搬送路T3(およびその後のリターン搬送路T4の大半)に沿って搬送されるときのバケット3は天地が逆になって収容室3aの開口が下向きになっている。
【0031】
なお、上方水平搬送路T1におけるバケット搬送を安定化させるため、この搬送区間においてはローラーチェーン20,20の下方にレール(図示せず)が延設されている。また、後述するように、反転搬送路T2に沿って搬送されるバケット3には既にトレイ1が被されているので、反転する過程でトレイ1が離脱・落下することを防止するために、バケット収容室3aに被せたトレイ1の頂面との間にわずかな隙間を残して、スプロケット21bの外周に沿って反転レール24が延設されている。反転レール24はバケット3と略同一またはそれ以上の幅寸法を有する。
【0032】
反転レール24は、反転搬送路T2の終端位置であるスプロケット21b最下位置P3を越えた後もわずかな距離だけ下方水平搬送路T3に沿って延長しており、その前方に昇降台25が設けられている。昇降台25はバケット3と略同一の横長に形成され、反転搬送路T2を経た反転バケット3が反転レール24の終端を越えたときに該反転バケット3から落下するトレイ1(図示例では1つのバケットについて4個のトレイ1)を受けて、トレイ搬送手段30に移載する。バケット3の反転によってバケット収容室3a内の米はトレイ1に移されているので、昇降台25によってトレイ搬送手段30に移載されるトレイ1には殺菌済の米が定量充填されている。
【0033】
昇降台25は、図1に実線で示される上方位置と仮想線で示される下方位置との間を、バケット搬送手段20の間欠駆動に同期したタイミングで、適当な駆動手段および制御手段(いずれも図示せず)によって昇降可能に設けられる。上方位置にあるときの昇降台25は、反転レール24の終端との間にわずかな隙間をおいて実質的に連続して延長するように略同一高さに位置し、バケット3から落下する米収容トレイ1’を受け止めて載置する。下方位置にあるときの昇降台25は、トレイ搬送手段30におけるレール31と略同一高さに位置している。
【0034】
トレイ搬送手段30は、反転によってバケット収容室3aの殺菌済の米がトレー1に移し替えられて定量充填された米収容トレイ1’を昇降台25から受けて搬送する手段であり、図示例ではバーコンベアが用いられている。すなわち、バケット搬送手段20を構成すると同様に横方向に間隔をおいて平行に同速度で走行する一対のローラーチェーンに所定間隔(搬送方向Yにおけるトレイ1の寸法に合致したピッチPy)でバー32が架け渡された構成のバーコンベア30が用いられている。
【0035】
さらに、トレイ搬送手段30は、水平搬送路T5の終端近くに設けられた昇降台33を有する。この昇降台33によって、米収容トレイ1’を次工程に向かわせる。昇降台33は前述の昇降台25と略同一の構成であって良く、図1実線で示される下方位置と図示されない上方位置(この位置で米収容トレイ1’をピックアップする)との間をバーコンベア30の間欠駆動に同期したタイミングで昇降するように駆動制御される。
【0036】
バーコンベア30による水平搬送路T5に沿って上述のレール31が延長しているが、搬送方向Yにおける水平搬送路T5の初期移動領域および終期移動領域にはレール31は存在せず、昇降台25,33が下方位置を取ることを許容している。
【0037】
上方水平搬送路T1において間欠的に搬送されるバケットは、その少なくとも1の停止位置において加圧蒸気による殺菌処理を受ける。図示例では2箇所の停止位置に各々殺菌装置40,40が設置されており、2回の蒸気フラッシュによる殺菌処理が行われるように示されているが、より多数たとえば6〜8箇所の停止位置に各々殺菌装置40を設けてより多数回の蒸気フラッシュによる殺菌処理を行うことが好ましい。
【0038】
殺菌装置40の構成例が図3に示されており、蒸気導入口42を備えた上チャンバー41と、上チャンバー41に対向して下方に設けられる下チャンバー43と、これら上下チャンバ41,43を離隔位置(図3)と密接位置との間で相対移動させるための駆動手段44とを有する。図示例では、下チャンバー43を下方位置(図3)と、上チャンバー41に密接させる上方位置との間で移動させる駆動手段44が設けられている。上下チャンバー41,43が、それらの間にバケット3のプレート3bの周縁部を挟んだ状態で密接されると、内部に密閉空間が形成される。
【0039】
この殺菌装置40自体は従来技術に挙げた特許文献2記載の殺菌装置と略同一の構成を有しており、その動作も略同一である。殺菌装置40による殺菌処理を受ける地点に到達する前に、バケット3における各収容室3aには既に個食分の米が充填され、且つ、トレイ1がガイドピン3cによって位置決めされつつ収容室3aの上面開口を閉止するように被着されている。バケット3が殺菌装置40による殺菌処理を受ける地点(上下チャンバー41,43の間に入り込んだ地点)に到達して該地点で停止している間に、駆動手段44により下チャンバー43を下方位置(図3)から上昇させて上チャンバー41との間にバケット3のプレート3bを挟み込んだ状態で上チャンバー41に密接させた後、上チャンバー41の蒸気導入口42から所定圧に加圧された蒸気を所定時間(たとえば5〜10秒間)フラッシュ注入する。上下チャンバー41,43間の密閉空間に導入された加圧蒸気は、該密閉空間の内圧上昇と共にその蒸気温度が徐々に上昇し、たとえば130〜150℃の高温となる。このような高圧高温蒸気によって、トレイ1を滅菌すると共に、バケット3のプレート3bに形成された蒸気通過穴3d(あるいはその他の蒸気通過手段)を通過してプレート3bの下方に移動して、メッシュ状の収容室3aに充填されている米に満遍なく行き渡ってムラなく均一且つ効果的に滅菌する。
【0040】
このようにして、殺菌処理位置で停止している間に、型密閉→蒸気フラッシュ(5〜10秒間程度)→型開放を1サイクルとする殺菌処理が行われ、これを数ヵ所の殺菌処理位置において繰り返して行うことによって、一般生菌だけでなく耐熱生菌をも実質的に完全に死滅させる。この繰り返し回数は殺菌処理すべき食品の種類や量などによって調整可能であるが、一般に4〜8回程度である。
【0041】
次に、この無菌パック米飯製造装置10を用いて行う一連の製造工程について、さらに図5を参照して説明する。この一連の製造工程によって最終的に製品として得られる無菌パック米飯の一例が図4に示されており、ご飯としての食味に優れ且つ実質的に無菌化された状態であって常温で長期保存可能である。
【0042】
図示例ではローラーチェーンからなるバケット搬送手段20によって搬送されるバケット3における各収容室3aに米を定量充填する(図5:S1)。より詳しくは、精米機により精米された米(精白米)が貯蔵庫に貯蔵されており、これを脱気米を用いて常法により洗米・浸漬して10〜30%程度の含水率に調整した上で、バケット収容室3aに個食分の定量(たとえば150〜200g)を充填する。この工程は、リターン搬送路T4を通って戻ってきたバケット3がスプロケット21a最上地点P1を通過して上方水平搬送路T1に沿ってX方向に搬送される過程の初期段階(たとえばP1通過直後の位置)で行われ、該バケット3において空になっている各収容室3aに個食分の米を充填するものである。
【0043】
次いで、米が充填された各収容室3aに、トレイ1を天地反転させた状態(開口を下向きにした状態)で蓋のようにして被せる(図5:S2)。既述したように、バケット3のプレート3bには各収容室3aを取り巻くように四隅にガイドピン3cが立設されており、これらガイドピン3cによってトレイ1が位置決めされ、各収容室3aの上面開口を塞ぐように被せられる。トレイ1を供給するための機構は限定的ではなく、任意の供給機構を採用することができる。この工程は、定量充填工程(S1)を経て上方水平搬送路T1に沿ってX方向に搬送されるバケット3が、殺菌装置40による殺菌処理工程(図5:S30)に投入される前の任意の地点で行われる。
【0044】
トレイ1は、殺菌装置40による殺菌処理工程(図5:S3)における100℃以上、たとえば130〜150℃程度の高温に晒されても熱軟化・熱変形しない耐熱性と、耐水性と、密封シール工程(図5:S7)後の二次汚染を実質的に防止するための酸素不透過性を兼ね備えたプラスチック材料から、消費者に供給する一食分の米飯を収容するに必要且つ十分な容量を有する収容部1aと、その上端から略水平に外方に向けて延出するフランジ部1bとを有して略皿状に一体成形されている(図4)。このトレイ1のプラスチック材料には主としてポリプロピレンが用いられるが、必要に応じて、ポリプロピレンにポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合樹脂をラミネートしたもの、ポリエチレンテレフタレート(PET)、表裏ポリプロピレン層の間に圧延アルミ箔などの金属箔を芯層として積層したものなどを使用することができる。
【0045】
その後、殺菌装置40の上下チャンバー41,43間の位置に搬送されたバケット3の各収容室3a内の米および工程S2で載置したトレイ1を高圧高温蒸気で殺菌処理する(S3)。この処理については殺菌装置40の構成説明において既述した通りであり、これによって米とトレイ1が同時に滅菌され、且つ、殺菌時においては米がバケット3のメッシュ状収容室3aに収容された状態であるので加圧蒸気が収容室3a内の隅々まで行き渡って全体にムラなく均一に滅菌され、一般生菌だけでなく耐熱生菌をも実質的に完全に死滅させる。同時に、バケット収容室3a内の米が加熱されることによってアルファ化が促進されるため、その後の炊飯(図5:S6)を短時間で効率的に行うことができる。
【0046】
数回の殺菌処理(S3)を経たバケット3は、さらに上方水平搬送路T1に沿ってX方向に搬送された後、スプロケット21bの最上地点P2に到達し、その最下地点P3に至るまでの間、スプロケット21bの外周に沿って半周して反転される。このバケット反転により、バケット収容室3a内の米をトレイ1に移す工程(図5:S4)が実行される。
【0047】
バケット3における各収容室3aに被されているトレイ1は何ら固定されていないので、バケット反転の間、特に90度回転した後には自重によってバケット3から離脱しようとするが、既述したようにスプロケット21bの外周に沿って反転レール24が設置されており、この反転レール24とトレイ1との間にはわずかな隙間しか残されていないので、トレイ1は依然としてガイドピン3cによってバケット収容室3aに対して位置決めされた状態を維持し、バケット3から離脱することなく、したがって反転搬送路T2に沿って搬送されるバケット3に引きずられるようにして反転レール24の上をバケット3と共に移動していく。
【0048】
反転状態のバケット3が反転レール24の終端から離れようとするとき、昇降台25は図1実線で示される上方位置で待機している。このときの昇降台25は反転レール24と略同一高さにあるので、下方水平搬送路T3に沿って搬送される反転バケット3に引きずられるようにして、反転レール24上から昇降台25上へと移載される。
【0049】
図示例では2つの反転バケット3を載置可能な昇降台25が用いられているので、この場合は2つの反転バケット3,3が昇降台25に移載された後、昇降台25を図1仮想線で示す下方位置に下降移動する。このとき、バーコンベア30は、昇降台25が支持する2つのトレイ1,1(米収容トレイ1’,1’)がバー32,32の間に入り込むことを許容する位置で停止している。
【0050】
このようにして昇降台25を下方位置に移動させた後にバーコンベア30をY方向に駆動することにより、下方位置にある昇降台25上でバー32,32の間に入り込んでいる各米収容トレイ1’および既にレール31上に位置している各米収容トレイ1’の側面をバー32で押してY方向に定ピッチ水平送りする。これによって、昇降台25上の2つの米収容トレイ1’,1’はレール31の後端位置に移動し、レール31上の最前方に位置する2つの米収容トレイ1’,1’は、図示の下方位置に止まっている昇降台33上に移動する。
【0051】
このようにして各米収容トレイ1’をバー32で押して定ピッチ水平移動した後にバーコンベア30を停止させると、各米収容トレイ1’の移動方向後方側の側面にバー32が当接した状態になっているので、その後所定の微小距離だけY方向とは逆方向に後退させて後方のバー32から離し、各米収容トレイ1’を前後のバー32,32の略中間に位置させてバーコンベア30を停止させる。この位置がバーコンベア30の定位置となり、この定位置でバーコンベア30が停止している間に、昇降台25を上方位置に上昇させて次の米収容トレイ1’,1’の移載に待機させると共に、米収容トレイ1’,1’を載せた昇降台33も上方位置に上昇させてピックアップする。この一連の動作を繰り返して行う。
【0052】
無菌パック米飯を製造するには、さらに、図5:S5〜S11の各工程を実行する。S5において、米収容トレイ1’に定量の炊き水(水または湯)を注水する。食感と歩留まり向上のために、炊き水には脱気水を用いることが好ましい。炊き水はあらかじめ無菌化処理されたものを用い、また、所定pH値にあらかじめ調整されたものを用いることができる。なお、混ぜご飯や赤飯などのパック製品を製造する場合は、この工程において、またはその前後に付加した別工程において、必要な調味液、着色液、具材などを添加する。
【0053】
次いで、蒸気炊飯機に投入して常法により蒸気炊飯する(S6)。省スペース化のため、蒸気炊飯機には循環駆動される多列多段式のゴンドラを用いることが好ましい。すなわち、各々が複数(たとえば4〜10個)の米収容トレイ1’,1’・・・を収容可能な棚板を複数段(たとえば7段)垂直方向に互いの間に間隔をおいて並行に積層してなる多段ゴンドラを複数基(たとえば8〜70基)用い、これら多段ゴンドラを垂直平面上に周回駆動されるチェーンコンベアに等間隔で接続してなる搬送装置を設置する。複数の米収容トレイ1’ を収容する棚板には、米収容トレイ1’の収容部1aを嵌合するための開口が容器収容個数分形成されており、該開口の回りの縁面上にフランジ部1bを係止することにより米収容トレイ1’を吊り下げ状態で収容する構成を有するものを用いることができる。
【0054】
このような多列多段式ゴンドラを用いた場合、滅菌済の米と炊き水と(場合によってはさらに調味液など)が充填された米収容トレイ1’は、任意の移載装置により、リターンしてくる空の多段ゴンドラの各段に送り込まれる。そして、全段に米収容トレイ1’を収容したゴンドラは蒸気炊飯機に送り込まれ、その室内を移動する間の所定時間(たとえば15〜40分)で蒸気炊飯される。
【0055】
蒸気炊飯機の室内を複数のゾーンに分けて、各ゾーンごとに独立して温度制御するようにしても良い。これにより、炊飯工程に応じて最適な蒸気温度を設定することができる。
【0056】
蒸気炊飯(S6)を完了したゴンドラはチェーンコンベアによって引き上げられ、一段ずつ容器1をコンベア上に送り出す。空になったゴンドラは蒸気炊飯機の入口に向けてリターンして次の容器収容に備える。
【0057】
蒸煮処理完了後、炊飯された米飯を収容する米収容トレイ1’を順次にシール装置に投入して、あらかじめUV殺菌された蓋材2(図4)を被着して密封シールする(S7)。シール装置は公知のヒートシール装置であって良いが、必要に応じて、シールした蓋材2の不要部分をカットするトリミング手段が付設される。密封シール後の二次汚染を防止するため、蓋材2としては、前述の容器1の材質と同様に酸素不透過性を有するプラスチック材料で成形されたフィルムを用いることが好ましく、ポリエチレンやポリプロピレンを主体とするイージーピール性を有するものが好適に用いられる。また、米収容トレイ1’に窒素ガスなどの不活性ガスをフラッシュ注入して容器1内の空気を追い出して不活性ガス置換した後に密封シールを行うことも、二次汚染による品質劣化を防止するために好ましい方策の一つである。さらに必要な場合には脱酸素材を封入して密封シールする。
【0058】
蒸気炊飯機の出口から密封シール装置への容器搬送はコンベアなどによって行われるが、この間に外気に晒されると雑菌が混入して二次汚染を招くおそれがあるので、これを防止するために、この間の領域は、たとえばクラス100〜1000程度のクリーン度を有するクリーンブースないしクリーンルームに収容される。これにより、加圧蒸気殺菌(S3)および蒸気炊飯(S6)による無菌状態が維持されて密封シールされるので、無菌パック製品として提供することが可能となる。クリーンブースの構造は、たとえば、蒸気炊飯機の出口からシール装置の入口までの間をトンネル状のブースとし、クリーンエア発生装置をブース中央上部に取り付けて連続的にクリーンエアを送入する。クリーンブース内を陽圧(たとえば外気圧より0.5〜2mmAq程度高い圧力)に保持して、クリーンエアをブースの上から下へ、中央から外周へと流し、また搬送コンベア上では搬送方向と反対方向に(密封シール装置から蒸気炊飯機に向けて)流すことにより、汚染された外気の侵入を防ぐように構成することが好ましい。
【0059】
密封シール装置により米収容トレイ1’を密封シールした後、常法により所定時間蒸らしを行って(S8)、炊飯後の上層部と下層部の水分量の均一化を図ると同時にアルファ化の促進を図る。蒸らし処理に先立って、密封シールされた容器1を上下反転させると、上下の水分量の均等化を促進させるのに有効である。
【0060】
その後、蒸らし処理(S8)に伴う臭いを除去するために、密封シールされた米収容トレイ1’をチラー水などの冷水槽に通過させて常温近く、たとえば40℃程度まで冷却する(S9)。米収容トレイ1’を上下反転させて蒸らし処理を行った場合は、その上下反転状態を元に戻した後に冷却処理を行う。蒸らし処理および冷却処理においては、前述の蒸気炊飯機と同様の多段多列式ゴンドラを採用して処理効率の向上を図ることが好ましい。
【0061】
冷却後、水分を除去して所定含水率まで乾燥させる処理を行い(S10)、さらに、製造年月日や賞味期限などの印刷、ピンホール検査、ウエイトチェックなどの製品化のために必要な後処理(S11)を経て、所望の無菌パック米飯(図4)が製造される。
【0062】
このようにして製造されるパック米飯は、高圧高温蒸気による殺菌(S3)および蒸気炊飯(S6)によって保存性が高められ、一連の処理工程の間で外気に触れる可能性のある処理領域はクリーンブースで外気から遮断されており、且つ、酸素不透過性のトレイ1および蓋材2で内容物が外気から遮断されていて二次汚染を防止しているため、トレイ1の収容部1aに収容された米飯4は実質的な無菌状態が維持され、常温でも長期間(6ヶ月〜1年またはさらにそれ以上)の保存が可能である。したがって、消費者は購入後、電子レンジで1〜3分程度温めれば茹で立てと同様の食味および食感の米飯を手軽に食することができる。また、コンビニなどの販売店にとっては、過剰な仕入れによる廃棄ロスや過小な仕入れによる売上チャンスロスがなくなり、きわめて大きなコストメリットが得られる。
【0063】
なお、バケット3はその幅方向両端でアタッチメント23,23を介してローラーチェーン20,20に連結固定されているので、反転後に収容室3a内の米をトレイ1に移した後も、空のバケット3’となって下方水平搬送路T3およびリターン搬送路T4に沿って搬送され、スプロケット21aの最上地点P1にリターンして、次の処理(図5:S1以降)に繰り返し使用される。必要に応じてリターン搬送路T4にバケット洗浄装置を設けて、空のバケット3’の収容室3aを蒸気などで洗浄する。
【0064】
以上に本発明の実施形態について添付図面を参照して詳述したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された発明の範囲内において様々な態様を取り得ることは言うまでもない。
【0065】
たとえば、本発明の処理対象となる食品は米飯に限定されず、その他の穀物類、パスタなどの麺類、惣菜類などの食品に対しても適用可能である。既述の実施形態では、殺菌装置40により加圧蒸気殺菌(S3)された米を収容するバケット3を搬送途中で反転させることによりトレイ1に移し替えた(S4)後に炊飯調理(S6)する工程を採用しているが、食品に応じて、調理(S6)後の食品や調理半ばの食品を加圧蒸気殺菌(S3)してトレイ1に移載(S4)する工程を採用しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 トレイ
1a 収容部
1b フランジ部
1’米収容トレイ(食品収容トレイ)
2 蓋材
3 バケット
3a メッシュ状の収容室
3b プレート
3c ガイドピン
3d 蒸気通過穴(蒸気通過手段)
3’空のバケット
4 米飯
10 無菌パック米飯製造装置
20 バケット搬送手段(ローラーチェーン)
21a,21b スプロケット
22a,22b,22c ガイドローラ−
23 アタッチメント
24 反転レール
25 昇降台(移載手段)
30 トレイ搬送手段(バーコンベア)
31 レール
32 バー
33 昇降台(ピックアップ手段)
40 殺菌装置
41 上チャンバー
42 蒸気導入口
43 下チャンバー
44 駆動手段
X バケットの搬送方向
Y 米収容トレイの搬送方向
T1 バケット搬送手段(ローラーチェーン)による上方水平搬送路
T2 バケット搬送手段(ローラーチェーン)による反転搬送路
T3 バケット搬送手段(ローラーチェーン)による下方水平搬送路
T4 バケット搬送手段(ローラーチェーン)によるリターン搬送路
T5 トレイ搬送手段(バーコンベア)による水平搬送路
P1 スプロケット21a最上位置(上方水平搬送路T1の始点)
P2 スプロケット21b最上位置(上方水平搬送路T1の終点/反転搬送路T2の始点)
P3 スプロケット21b最下位置(反転搬送路T2の終点)
P4 ガイドローラー22a最上位置(下方水平搬送路T5の終点)
Px バケット搬送手段(ローラーチェーン)に対するバケット取付ピッチ
Py トレイ搬送手段(バーコンベア)のバー間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ状の収容室を有するバケットを、該メッシュ状収容室を上向きにした状態で且つその開口を塞ぐようにトレイを被せた状態で略水平に搬送する上方水平搬送路と、該メッシュ状収容室が上向きから下向きになるようにバケットをトレイと共に反転させる反転搬送路とを連続して有する所定の搬送路に沿って搬送するバケット搬送手段と、上方水平搬送路に沿って搬送される過程でバケットのメッシュ状収容室に収容されている食材をトレイと共に加圧蒸気により殺菌する少なくとも一の殺菌装置と、反転によりバケットから移し替えられた殺菌済食品を収容するトレイが反転搬送路を越えた所定の地点でバケットから離脱するときに該食品収容トレイをバケット搬送手段による搬送路とは別の所定の搬送路に沿って搬送するトレイ搬送手段と、を有することを特徴とする食品処理装置。
【請求項2】
バケットに複数のメッシュ状収容室が設けられることを特徴とする請求項1記載の食品処理装置。
【請求項3】
バケットはバケット搬送手段に連結されるプレートを有し、このプレートに前記メッシュ状収容室が設けられており、該プレートは前記殺菌装置による殺菌処理を受けるときに加圧蒸気を通すための蒸気通過手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の食品処理装置。
【請求項4】
バケットの各メッシュ状収容室の周囲にはトレイを位置決めするためのガイドピンがプレートから立設されていることを特徴とする請求項3記載の食品処理装置。
【請求項5】
バケット搬送装置はバケットの横幅に対応する間隔をおいて平行に且つ同速度で同方向に駆動される一対のローラーチェーンを有し、これら一対のローラーチェーンにバケットの幅方向両端部が連結されることによりバケットをローラーチェーンと共に走行させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の食品処理装置。
【請求項6】
バケット搬送装置による前記所定の搬送路は、前記上方水平搬送路および前記反転搬送路に続いて、反転によってメッシュ状収容室内の収容物がトレイに移し替えられることにより空になったバケットを略水平に搬送する下方水平搬送路と、この空のバケットを上方水平搬送路にリターンさせるリターン搬送路とを有する周回搬送路として形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の食品処理装置。
【請求項7】
前記反転搬送路の外周に沿って反転レールが設けられて、反転途中でトレイがバケットから離脱することを防止することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載の食品処理装置。
【請求項8】
前記反転搬送路の終端に近接して、バケット搬送手段により反転搬送路の前方にさらに搬送されるバケットから食品収容トレイを離脱させて前記トレイ搬送手段に移載する移載手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載の食品処理装置。
【請求項9】
移載手段は、前記反転搬送路の終端から実質的に連続する上方位置と、前記トレイ搬送手段による前記所定の搬送路と略面一となる下方位置との間を昇降移動可能に設けられる昇降台を有してなり、昇降台が上方位置にあるときにバケットから離脱する食品収容トレイを受け止めて載置し、下方位置において該食品収容トレイを前記トレイ搬送手段に受け渡すことを特徴とする請求項8記載の食品処理装置。
【請求項10】
上方位置にあるときの昇降台は、前記反転搬送路の外周に沿って設けられる反転レールの終端と略同一高さに位置することを特徴とする請求項9記載の食品処理装置。
【請求項11】
トレイ搬送手段は、間隔をおいて平行に且つ同速度で同方向に走行駆動される一対のローラーチェーンと、これら一対のローラーチェーンに所定間隔をおいて架け渡される複数のバーと、所定の搬送面に沿って延長するレールとを有するバーコンベアであり、前後のバーの間に挟まれて位置する食品収容トレイの搬送方向後方の側面を後方のバーで押すことにより該食品収容トレイを所定方向に搬送することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか記載の食品処理装置において。
【請求項12】
トレイ搬送手段により搬送される食品収容トレイをトレイ搬送手段から取り出すピックアップ手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか記載の食品処理装置。
【請求項13】
ピックアップ手段は、前記トレイ搬送手段による前記所定の搬送路と略面一となる下方位置と、この位置から上昇させる上方位置との間を昇降移動可能に設けられる昇降台を有してなり、昇降台が下方位置にあるときにトレイ搬送手段により移送されてくる食品収容トレイを載置することを特徴とする請求項12記載の食品処理装置。
【請求項14】
(1)食品を収容するメッシュ状の収容室を有するバケットを該収容室を上向きに開口させた状態で所定の搬送路に沿って搬送しながら、バケットの収容室にトレイを被せる工程と、収容室に収容した食品をトレイと共に殺菌する工程とを順次に行った後、(2)バケット収容室内の殺菌済食品をトレイに移し替えて食品収容トレイとすることを特徴とする食品処理方法。
【請求項15】
(1)食品を収容可能なメッシュ状の収容室を有するバケットを該収容室を上向きに開口させた状態で所定の搬送路に沿って搬送しながら、バケットの収容室に殺菌すべき食品を定量充填する工程と、食品が定量充填されたバケットの収容室にトレイを被せる工程と、収容室内の食品をトレイと共に殺菌する工程とを順次に行った後、(2)バケットを反転させる反転搬送路に沿って搬送することにより、バケット収容室内の殺菌済食品をトレイに移し替えて食品収容トレイとすることを特徴とする食品処理方法。
【請求項16】
さらに、(3)得られた食品収容トレイに蓋材を被着して密封シールすることを特徴とする請求項14または15記載の食品処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−30449(P2011−30449A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177169(P2009−177169)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(390001627)株式会社シンワ機械 (8)
【Fターム(参考)】