説明

食品調理方法及びその装置

【課題】 回分靜置式の長所であった多品種生産や所望の品質の食品調理が可能であり、かつ搬送部分が簡易化され、コストが著しく低減される食品調理方法と装置を提供する。
【解決手段】 被調理材が入った容器10が、複数の加熱ユニット20の列に沿って水平移動すると共に、各加熱ユニット20のいずれかの前で停止し、次いでその中に向かって水平移動することによって、加熱ユニット20内に収められ、その加熱ユニット20によって加熱され、その中の被調理材の加熱調理が終わると、外へ向かって水平移動することによって、加熱ユニット20外へ取り出され、再び複数の加熱ユニット20の列に沿って水平移動する。かつ容器10の水平移動は、各加熱ユニット20の内、前に固定又は略固定された第1、第2の容器支持部21,30のいずれか一方又は両方によって、容器10と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる減摩具又を介して下から支持された状態で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の店のように比較的少量から学校、工場或いは弁当製造場のように比較的大量の、炊飯や副食の調理に適用される等被調理材の加熱のみ又は主として加熱よりなる加熱食品調理方法及びその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱食品調理方法及びその装置のうち、その主要部分である加熱帯域における炊飯釜の移動が連続移動方式であって、例えば主として米と水の入った複数の炊飯釜が水平一方向に伸びる加熱帯域に連続的に送られ、コンベアによってそれを通過する間に、例えばガス燃料の燃焼熱又は高周波電磁誘導によって加熱されるよう構成されたものがある(例えば特許文献1)。これは炊飯釜の搬送が容易であり、設備も簡単で安価であり、少品種大量生産に適するという長所を有するが、加熱スケジュールの細かい設定が困難であって、経験豊富な運転員によらなければ所望の品質の米飯が得られず、しかも多品種少量生産には適さないという短所を有する。
【0003】
それに対して加熱帯域の炊飯釜の移動が回分靜置式のものは(例えば特許文献1乃至3)、加熱スケジュールの細かい調整が必要な場合でも、予め各加熱ユニットに対してスケジュールが設定されていれば、経験豊富な運転員によらずとも、所望の品質の米飯が容易に得られ、必要に応じて炊飯順序の変更が容易であり、特に多品種少量生産に適するという長所を有するが、少品種大量生産の場合、連続移動式に比較して、炊飯釜毎に加熱ユニットへの載置からの搬出に昇降、水平移動を伴う比較的複雑で高価な搬送手段が必要であるという短所を有する。
【0004】
その他、例えば特許文献4及び5、特に後者には、ガス炊きではあるが、左右のかまど本体間に横架されたガイドレールに沿って左右にスライドしながら炊飯釜の上縁を引っ掛けて搬送ラインから一旦持ち上げてかまど本体まで運び、ここで降ろして燃焼室に炊飯釜をセットし、炊飯が終了すると再び搬送ラインに戻すよう構成された炊飯釜搬入・搬出装置(制御機構によって制御される)が提示されている。
【0005】
しかしながら、これは1個又は相対する一対のかまどに対して1基、すなわち、複数の炊飯釜搬入・搬出装置を必要とするだけでなく、搬送ラインをガイドレールが横切っていて、それを避けるためや容器を昇降するための昇降手段を必要とする等、必ずしも簡易、安価なものであるとは言い難い。
【0006】
それに対して、例えば複数の加熱ユニットによる炊飯では、一般に2,3人の作業者が従事しており、仕込み、米飯の移し変え、後始末を除けば、作業者は主として装置の稼動を監視に従事していて、装置が順調に稼動していれば殆ど手隙の状態であり、水と米の入った容器が搬送容易であって、処理量があまり多くなければ、上記高価な搬送手段によらず、加熱ユニットへの出し入れを人手で行うことも可能で、そのような要求さえ出ている。
【特許文献1】特開2001−61656号公報
【特許文献2】特開平10−43048号公報
【特許文献3】特開2002−95589号公報
【特許文献4】特開2001−061656号公報
【特許文献5】特開2001−224499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことから、本発明は、上述の従来技術の欠点を除くために、従来の連続移動式の長所であった少品種大量生産にも適し、しかも従来の回分靜置式の長所であった多品種生産も可能であって、所望の品質の食品調理が可能であり、そのうえ、その欠点であった搬送部分が簡易化され、コストが著しく低減される食品調理方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、請求項1の発明に係わる食品調理方法は、被調理材が入った容器が、水平方向直線状に配列された複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動すると共に、前記各加熱ユニットの前面に設けられた開口のいずれかの前で停止し、次いでその開口内に向かって水平移動することによって、加熱ユニット内に収められ、その加熱ユニットによって加熱され、その中の前記被調理材の加熱調理が終わると、前記開口又はその開口とは反対側(後面)に設けられた別の開口の外へ向かって水平移動することによって、加熱ユニット外へ取り出され、再び複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動するに当たって、
前記加熱ユニットとして、高周波電磁誘導によって前記容器に過電流を発生させ、それを加熱する誘導加熱式のものが用いられ、且つ前記各加熱ユニットの外から内への容器の水平移動は、各加熱ユニットの内、前に固定又は略固定された第1、第2の容器支持部のいずれか一方又は両方によって、前記容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる減摩具又は減摩材、好ましくは転動体を介して下から支持された状態で行われる。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1発明の構成に加えて、炊飯に対するものである。
【0010】
請求項3の発明に係わる食品調理装置は、被調理材が入った容器が、水平方向直線状に配列された複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動すると共に、前記各加熱ユニットの前面に設けられた開口のいずれかの前で停止し、次いでその開口内に向かって水平移動することによって、加熱ユニット内に収められ、その加熱ユニットによって加熱され、その中の前記被調理材の加熱調理が終わると、前記開口又は後面に設けられた別の開口の外へ向かって水平移動することによって、加熱ユニット外へ取り出され、再び複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動するよう構成されたものであって、
前記加熱ユニットが、高周波電磁誘導によって前記容器に過電流を発生させ、それを加熱する誘導加熱式であり、且つ前記各加熱ユニットの外から内への前記容器の水平移動可能に、各加熱ユニットの内、前に第1、第2の容器支持部が固定又は略固定されており、その第1、第2の容器支持部は、前記容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる減摩具又は減摩材を備え、且つその減摩具又は減摩材を介してその容器を下から支持することが可能に構成されており、好ましくは減摩具が転動体を備えている。
【0011】
請求項4の発明に係わる食品調理装置は、前記請求項3の発明の構成に加えて、前記各加熱ユニットの前に配置された第2の容器支持部がその高さを調節する高さ調節機構を備えており、その高さ調節機構が好ましくは油又は空気圧を利用したものであり、さらに好ましくは、上下一対の断面コの字状枠体よりなる殻体の内部に装填された空気袋を備え、空気袋の空気圧によって、上側の枠体を昇降させるよう構成されたものである。
【0012】
請求項5の発明に係わる食品調理装置は、請求項3又は4の発明の構成に加えて、前記各加熱ユニットの前に配置された第2の容器支持部が鉛直軸の周りに回動可能であって、容器を加熱ユニットの列に平行/垂直のいずれの方向にも水平に案内するよう構成されている。
【0013】
請求項6の発明に係わる食品調理装置は、請求項5の発明の構成に加えて、各第2の容器支持部は、前記容器を両側から挟み、且つ容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる複数の減摩具又は減摩材備え、且つその減摩具又は減摩材を介してその容器を下から支持することが可能な相対する1対の平行なガイドレールを備え、好ましくは減摩具が転動体を備えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、加熱ユニットが誘導加熱式であるため、熱供給、制御等すべて電気によって行われるため、ガス炊きに比較して、排ガス管が不要であり、且つ制御が容易である。また、回分静置式であるため、多品種少量の調理にも適している。
【0015】
従って、容器が転動体を介して第1、第2の容器支持部のいずれか又は両方に下から支持された状態で水平移動すると、減摩具又は減摩材、好ましくは転動体の少なくとも一部がその容器と接触するため、その移動に伴う摩擦抵抗が著しく低減され、前記容器は僅かな外力、例えば人手によっても容易に加熱ユニットへ搬入可能である。なお、搬出は移動の方向は異なるが作用、効果は搬入と同様である。また、特許文献4,5(特に特許文献5)に記載の可動式の炊飯釜搬入・搬出装置(制御機構によって制御される)と比較すれば、本発明では容器搬入・搬出に使用される、いずれの容器支持部も固定又は略固定されていて、著しく簡単であって、それに要する設備費が大幅に低減される。なお、加熱ユニット列上流側及び下流側の容器搬送は、例えばローラーコンベアで行われることが好ましい。
【0016】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、米と水とからの炊飯は、副食の調理に比較して、年間を通じてその需要が大きく、しかもあまり変動せず、調理の時間も30分以内で比較的短く、途中、攪拌、反転その他、格別の操作の追加や何等かの被調理材の添加も皆無又は殆どなく、自動化が容易であって、運転が簡単であるため、最も適した対象である。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果がある。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、例えば空気袋への空気圧を利用した、第2の容器支持部の高さ調節機構によって、加熱ユニット内の第1の容器支持部における容器のレベルに対してその外側の第2の容器支持部上のそれを僅かに高くすれば、容器は加熱ユニット内の第1の容器支持部に引っ掛かることなく、加熱ユニット内に搬入可能である。なお、容器搬出の場合は、その逆に空気袋の空気を抜き、外側の第2の容器支持部における容器のレベルを第1の容器支持部のそれに対して僅かに低くすればよい。
【0019】
なお、例えば容器の搬出が加熱ユニットの後面から行われる場合、後側にも前側の第2容器支持部同様のものの付加が必要であるが、容器の搬入・搬出共にその移動の方向が同じであるため、例えば加熱ユニットの前側、内部、後側と順次僅か容器のレベルが低くなるよう各容器支持部のレベルが設定されていれば、上述のような第2の容器支持部の昇降手段は不要である。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項3又は4の発明の効果に加えて、例えば減摩具としていずれの方向にも転動可能なボールキャスタの代わりに一方向にのみ転動する車輪状キャスタやローラを使用すれば、それによって容器が決められた方向又は略決められた方向に移動する。また、これは容器の加熱ユニットに対する搬入・搬出だけでなく、隣り合う第2の容器支持部間の容器の水平移動にも使用可能である。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加えて、容器が底面を除く部分で下から支えられ、被加熱面として重要な底面の磨耗が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係わる食品調理方法及びその装置を実施するための最良の形態の第1の例について炊飯を例に図1乃至3により説明するが、本発明はあくまでも炊飯に限定されるものではない。先ず、図3により装置全体につい説明すると、A1は仕込み部分(炊飯では米の水への浸漬、計量、及び容器への装入部分)、A2は加熱調理部分、A3は被調理材取り出し部分(炊飯では蒸らし、ほぐしを含む)、A4は容器洗浄部分であって、これらの部分を主として米と水よりなる被調理材を保持する金属製の容器(炊飯釜)10が容易に循環可能に例えばローラーコンベア等の適当な水平搬送手段Cが設けられている。
【0023】
図1及び図2によって詳細説明すると、容器10(図1では破線)は箱状であって、底面よりも開口上面が広い、断面長方形の箱状体であり、上端周縁にはフランジ11が取付けられると共に、開口面は着脱自在の蓋12で覆われている。材質としては、本体はアルミニウム又はアルミニウム合金又は鋼−銅−ステンレスよりなるクラッド鋼であり、図示されないが、後述の高周波電磁誘導加熱用に底面及び側面下部は溶射による強磁性体の耐熱合金が肉盛り、溶射、張り合わせのいずれかが施されている。なお、いずれも同一大きさ、同一形状に形成されている。
【0024】
加熱調理部分A2には、被調理材を、それを保持する前記容器10を介して加熱する複数の加熱ユニット20が直線状に配列されている。その各加熱ユニット20は、図2に示すよう、左右側壁、奥側壁及び底部分を有し、詳細説明は省略するが、それに装入された容器10の両側面、奥側面下部及び底面を囲むようにコイルが設けられ、また、そのコイルに高周波電流が通電されると、高周波電磁誘導によってその容器10に渦電流が発生し、その容器10が発熱し、前記被調理材の加熱調理が最適に行われるよう小型の制御用コンピュータが内蔵されている。なお、加熱ユニット20の数は図3では5個(その一部を示す図1では3個)であるが、その数は必要に応じて増減可能である。
【0025】
21は各加熱ユニット20の左右側壁に沿って設けられた1対の第1の容器支持部であって、前記容器10をフランジ11で下から支えるものである。また、Rは各容器支持部21上に複数の転道具であって、図2(b)に示すように自在に転動する球状の転動体R1を備えていることから一般にボールキャスタと言われ、それと接触する物体(本発明では容器10)との摩擦抵抗を著しく軽減するものである。なお、これは一種の減摩具であるが、その減摩具の代わりにテフロン(登録商標)等の減摩材が施されてもよい。
【0026】
30は各加熱ユニット20の前に設けられた、容器10を底面で支持する第2の容器支持部であって、その表面には、減摩具として、前記加熱ユニット20の第1の容器支持部21同様にそれぞれ転動体R1を備えた、複数の転道具Rが突設されている。そのうえ、この第2の容器支持部30は、図2(c)に示すように、高さ調節機構、例えば一般にはエアリフトと言われているものを備えている。それは、上下一対の断面コの字状枠体31a,31bよりなる殻体31とその内部に装填された空気袋32を備え、空気袋32への空気の出し入れによって、上側の枠体31aを僅かに昇降させ、第2の容器支持部30の高さを僅かに変化させることが可能に構成されている。なお、RCは隣り合う第2の容器支持部30,30間に設けられたローラ列であって、前記加熱ユニット20の列方向に垂直な回転自在のローラの複数が互いに平行に配列されたものである。
【0027】
作用について説明する。先ず被調理材の入った容器10が仕込み部分A1から加熱調理部分A2に送られて来る。その加熱調理部分A2では、回転自在のローラ列RC又は/及び第2の容器支持部30に突設された複数の転動具Rの転動体R1が容器10と接触する。その容器10の移動に伴なってローラ列RCのローラ又は/及び転動体R1が転動するため、容器10の移動時の摩擦抵抗が著しく低減され、前記加熱ユニット20の列に平行な僅かな力(例えば人手)が容器10に加えられるだけで、容器10は水平移動が可能である。その力が緩められるか、又は逆の方向の僅かな力が加えられると、所望の加熱ユニット20の前で停止可能である。
【0028】
次いで、その第2の容器支持部上に停止した容器10は、加熱ユニット20の奥に向かって前述のように僅かな力で押されるだけで、加熱ユニット20内に押し込まれる。その際、予め前述の空気袋32に空気が圧入され、それが膨張し、それによって容器支持部30が僅かに高められることが望ましい。それに伴って容器10のフランジ11が容器支持部21,21の僅か上方を通り、それに引っ掛かることないため、容器10は加熱ユニット20内に円滑に装入可能である。その推移を説明すると、初め容器10の底面は第2の容器支持部30の転動体R1と接触しているが、容器10の前進に伴って、その前部分が下に傾き、フランジ11が第1の容器支持部21の転動体R1と接触する。さらに前進した容器10は第2の容器支持部30の転動体R1と完全に離れ、フランジ11が第1の容器支持部21の転動体R1だけと接触するようになる。以上のように、容器10はそのいずれかの部分で転動体R1と接触していて、僅かな外力によって転動体R1が転動し、加熱ユニット20内へ円滑に移動、装入される。
【0029】
なお、被調理材の加熱調理が完了した容器10の加熱ユニット20外への取り出しは、それへの装入とはその方向が逆になり、第2の容器支持部30が僅かに下げられるだけで同様に行われる。以下加熱ユニット20を出た容器10は再びローラ列RC又は/及び第2の容器支持部30を通過、さらに水平搬送手段Cによって被調理材取り出し部分A3、容器洗浄部分A4に送られた後、仕込み部分A1へ戻される。
【0030】
以上の作用から、加熱ユニット10の数が5前後であれば、加熱調理部分A2における容器10の、加熱ユニット20に対する装入、取り出しを含むすべての移動は、従来の高価で複雑な搬送手段によることなく、人手によっても容易に行われ、それによって作業員の手隙の時間が有効に活用される。また、加熱ユニット10の数が増した場合でも、容器10の加熱ユニット20に対する装入、取り出しを含むすべての移動手段として、例えば加熱ユニット20の列の前に配置された水平ガイドに案内され、それに沿って走行すると共に、その走行方向に垂直な方向に進退するシリンダを備えたものが準備されれば、容器10の装入、取り出し及び移送の自動化又は半自動化が可能であり、従来の高価で複雑な搬送手段は不要になる。
【0031】
本発明に係わる食品調理装置を実施するための最良の形態の第2の例について、図4及び図5により説明する。その基本的考えは、第1の例と同じであるが、構成に若干の違いがある。先ず第1の例との違いについて述べると、各加熱ユニット20の前に配置された第2の容器支持部130は鉛直軸の周りに回動可能であり、容器10を加熱ユニット20の列に少なくとも平行/垂直のいずれの方向にも水平に案内するよう構成されている。しかも各第2の容器支持部130は、前記容器10を両側から挟み、減摩具である転動具Rを介してその容器10を下から支持することが可能に、相対する1対の平行なガイドレールGRを備えている。しかもそのガイドレールGRは、容器10をフランジ11で下から支え、そのまま水平移動し、第1の容器支持部21に移載することが可能な高さになるよう、脚Lによって支えられている。
【0032】
なお、図示は省略するが、この第2の容器支持部130にも前述の空気袋への空気の出入による高さ調節機構を備えている。また、前記転動体R1は、ガイドレーGR上に設けられるため、球状でも車輪状でもよい(図では球状のものを使用)。その他加熱調理部分A2以外にも、例えば水平搬送手段Cのコーナ部での容器10の方向変更手段として用いられてもよい。その場合、水平搬送手段Cで搬送される容器10のフランジ11がそのガイドレールGRと同じレベルになるよう構成される必要がある。
【0033】
作用について説明すると、加熱調理部分A2において、図4では、最も左側の加熱ユニット20に容器10が装入中であり、残りの2基の加熱ユニット20,20の前では、容器10が二つの第2の容器支持部130,130間を通過中であることが示されている。また、図5では、下方の3基の加熱ユニット20にそれぞれ容器10が装入されていて、加熱調離が進行中であり、残りの2基の加熱ユニット20の前では図4同様に、容器10が隣り合う第2の容器支持部130,130間を通過中であることが示されている。なお、第2の容器支持部130上の容器10はそのフランジ10が転動体R1と接触していて、第1の例同様に、僅かな外力によって容易に移動可能であり、従って少なくとも加熱調理部分A2における、加熱ユニット20に対する装入、取り出しを含む容器10の移動が、第1の例同様に、人手によっても容易に可能である。
【0034】
第2の容器支持部130のガイドレールGRの向きに注目すると、図4の容器10搬入の場合や図5の加熱調理の完了待機さらに取り出しの場合は、加熱ユニット20の列に垂直な方向に向けられている。それに対して、1つの容器10が隣り合う二つの第2の容器支持部130,130間を通過中である場合は、そのガイドレールGR,GRは加熱ユニット20の列に平行な方向に向けられている。以上のように、本例では第2の容器支持部130の回動によって、そのガイドレールGRの向きが切り替えられれば、それぞれ切り替えられた方向への容器10の水平移動が容易に行われる。すなわち、それは容器10の、加熱ユニット20に対する装入、取り出しだけでなく、その容器10の、加熱ユニット20の列に平行な方向の水平移動にも使用可能である。
【0035】
しかも、容器10がフランジ11で下から支持されているため、加熱に重要な底面が転動体R1と接触することがなく、それに伴う磨耗から保護される。勿論僅かな外力によって容器10の移動が行われることは、第1の例同様である。なお、底面の磨耗を考慮する必要がない場合、底面と接触し、一方向にのみ転動する車輪状キャスタやローラが使用されれば、それによって容器10は決められた方向又は略決められた方向に移動する。しかも、前述のように、容器10の方向変更手段としても利用可能である。
【0036】
以上総括すれば、本発明の第1の例は、最も簡単で安価なものであり、第2の例は、それとは若干複雑となるが、それでも従来のものに比較して簡単であって、安価であり、いずれも加熱ユニット20の数が少なければ、人手によって容易に操作可能であり、それによって作業員の手隙の時間を有効に活用可能となる。なお、この場合は高価な中央制御装置は必ずしも必要でなく、それによって装置コストが大幅に低減可能である。また、加熱ユニット20の数が増しても、例えば水平ガイドに案内され、加熱ユニット20の列に沿って走行すると共に、その走行方向に垂直な方向に進退するシリンダを備えたものが準備されるだけでよく、従来の高価で複雑な搬入、搬出手段は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係わる食品調理装置の要部の最良の形態の一つを示す斜視図である。
【図2】本発明に係わる食品調理装置に使用される部品をそれぞれ、(a)は容器を示す斜視図、(b)は転動具を示す斜視図、(c)は第2の容器支持部の断面図である。
【図3】本発明に係わる食品調理装置の全体の最良の形態の図1同様の例を示す平面図である。図である。
【図4】本発明に係わる食品調理装置の要部の最良の形態の別の一つを示す斜視図である。
【図5】本発明に係わる食品調理装置の全体の最良の形態の図4同様の例を示す平面図である。図である。
【符号の説明】
【0038】
10 容器
11 フランジ
12 蓋
20 加熱ユニット
21 第1の容器支持部
30 第2の容器支持部
31 殻体
31a 枠体
31a 枠体
32 空気袋
130 第2の容器支持部
A1 仕込み部分
A2 加熱調理部分
A3 被調理材取り出し部分
A4 容器洗浄部分
C 水平搬送手段
GR ガイドレール
L 脚
R 転道具
RC ローラ列
R1 転動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理材が入った容器が、水平方向直線状に配列された複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動すると共に、前記各加熱ユニットの前面に設けられた開口のいずれかの前で停止し、次いでその開口内に向かって水平移動することによって、加熱ユニット内に収められ、その加熱ユニットによって加熱され、その中の前記被調理材の加熱調理が終わると、前記開口又後面に設けられた別の開口の外へ向かって水平移動することによって、加熱ユニット外へ取り出され、再び複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動するに当たって、
前記加熱ユニットとして、高周波電磁誘導によって前記容器に過電流を発生させ、それを加熱する誘導加熱式のものが用いられ、且つ前記各加熱ユニットの外から内への容器の水平移動は、各加熱ユニットの内、前にそれぞれ固定又は略固定された第1、第2の容器支持部のいずれか一方又は両方によって、前記容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる減摩具又は減摩材、好ましくは転動体を介して下から支持された状態で行われる
ことを特徴とする食品調理方法。
【請求項2】
炊飯に対するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の食品調理方法。
【請求項3】
被調理材が入った容器が、水平方向直線状に配列された複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動すると共に、前記各加熱ユニットに設けられた開口のいずれかの前で停止し、次いでその開口内に向かって水平移動することによって、加熱ユニット内に収められ、その加熱ユニットによって加熱され、その中の前記被調理材の加熱調理が終わると、前記開口又はその開口とは反対側に設けられた別の開口の外へ向かって水平移動することによって、加熱ユニット外へ取り出され、再び複数の加熱ユニットの列に沿って水平移動するよう構成された食品調理装置であって、
前記加熱ユニットが、高周波電磁誘導によって前記容器に過電流を発生させ、それを加熱する誘導加熱式であり、且つ前記各加熱ユニットの外から内への前記容器の水平移動可能に、各加熱ユニットの内、前に第1、第2の容器支持部が固定又は略固定されており、その第1、第2の容器支持部は、前記容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる減摩具又は減摩材を備え、且つその減摩具又は減摩材を介してその容器を下から支持することが可能に構成されており、好ましくは前記減摩具が転動体を備えている
ことを特徴とする食品調理装置。
【請求項4】
前記各加熱ユニットの前に配置された第2の容器支持部がその高さを調節する高さ調節機構を備えており、その高さ調節機構が好ましくは油又は空気圧を利用したものであり、さらに好ましくは、上下一対の断面コの字状枠体よりなる殻体の内部に装填された空気袋を備え、空気袋の空気圧によって、上側の枠体を昇降させるよう構成されたものである
ことを特徴とする請求項3に記載の食品調理装置。
【請求項5】
前記各加熱ユニットの前に配置された第2の容器支持部が鉛直軸の周りに回動可能であって、容器を加熱ユニットの列に平行/垂直のいずれの方向にも水平に案内するよう構成されている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の食品調理装置。
【請求項6】
各第1の容器支持部は、各第2の容器支持部は、前記容器を両側から挟み、且つ容器と接触し、それとの摩擦抵抗を減ずる複数の減摩具又は減摩材を備え、且つその減摩具又は減摩材を介して容器を下から支持することが可能な相対する1対の平行なガイドレールを備え、好ましくは減摩具が転動体を備えている
ことを特徴とする請求項5に記載の食品調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−204479(P2006−204479A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19389(P2005−19389)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(596122261)パーキテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】