説明

飲料の発泡装置

飲料容器用の密閉部材は、密閉プレートと、この密閉プレートに接続されたダイヤフラムとを有し、このダイヤフラムは、密閉プレートと一緒になってガスのリザーバを規定している。可撓性の材料の移動可能な部分は、ダイヤフラムに一体的に接続され、この移動可能な部分の上端部は、開成し、リザーバと連通し、他端部は、実質的に閉成され、ガス充填並びに排出用のオリフィスを有している。移動可能な部分は、対向方向に延びた少なくとも1対の折り線により、ダイヤフラムの残りの部分に接続されている。密閉部材が容器に装着されているとき、オリフィスは液面より上にある。容器の上部スペースとリザーバとは加圧ガスで充填され、この圧力が開放されると、移動可能な部分全体に渡った差圧により、折り線を中心とした回動が生じて、移動可能な部分は、オリフィスが液面下に位置されるように密閉プレートから離れ、リザーバ中の加圧ガスが容器内の液体中に噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「小型装置(widgets)」として一般に称される飲料の発泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料が、低温、例えば5℃以下で、缶若しくはボトルのような容器から供給されるとき、COの溶解度が低温で高いということは、炭酸ガスが飽和された様相が飲料に全く与えられないことを意味している。これは、COのほとんどが、溶液中にとどまり、気泡が液体中を上がる状態で見られないためである。このことは、ビールに関して特に重要であり、消費者が、「発泡性」の強い様相、即ち、多くのCOの泡がビール中を上がっていく様相の、また、かなりの「泡」を有した、即ち泡立った様相の、特にラガー若しくはスタウトタイプの多くのビールに見慣れているためである。多くの上昇する気泡や「泡」が無ければ、ビールは、消費者に見た目の魅力を与えない。
【0003】
ビールを収容するボトル若しくは缶のような容器に、発砲装置、即ち小型装置を設けることが知られている。この装置は、容器が開けられた瞬間に、ガス、代表的には窒素の細かい高圧ジェットをビール中に噴射するように機能する。このガスのジェットは、小型装置近くのビールに大きな乱流を生じさせ、この乱流は、ビール中にかなり多くのCOを発生させ、かくして、ビールが容器から注がれた数秒後に、消費者が期待する外観をビールが有するように、ビールの泡を素早く生じさせる。
【0004】
2つのタイプの小型装置が知られている。第1の小型装置は、予め加圧されたタイプのものであり、飲料容器の特に底部に設けられた小さなガスリザーバで構成されている。このリザーバは、小さなガス排出用のオリフィスを壁部に有している。小型装置が容器中に装填される直前に、所定の分量の液体窒素が容器中に導入され、そして、全ての窒素が流出し得る直前に、容器がシールされる。容器の上部スペース中のガス圧力がリザーバ中のガス圧力に等しいレベルまで上昇すると、容器が開けられて上部スペース中の圧力が雰囲気の圧力に落ちるまで、更なるガスがリザーバ中から流出することはない。これが果たされると、加圧ガスは、細かい強力なジェットで、オリフィスを通ってビール中に吐出され、所望の見た目の外観を与える。しかし、これは、現実的に費用がかかり、かくして、いわゆる掃気タイプの小型装置を使用することが、より一般的になっている。このような小型装置は、装置が容器中に挿入される前に加圧ガスが充填されるのではなく、代わりに、小型の装置が容器中に挿入されてからガスが充填される。掃気タイプの小型装置の知られたタイプの1つは、所定の配向でビールの液面上に浮くように重量が設定若しくは構成されたリザーバを有している。また、このタイプの小型装置は、一方向からガスが入るバルブを液面より上に有し、ガス排出用のオリフィスを液面より下に有している。容器がビールで充填された後に、小型装置が、容器中に配設され、所定の配向でビールの液面上に浮かべられ、また、少量の液体窒素が、容器中に、例えばビールの液面上に導入される。この窒素は、すぐに蒸発し始め、かくして容器の上部スペース中の全ての雰囲気の酸素を除去する。この蒸発が終了する前に、容器は閉成されシールされる。この上昇された圧力は、リザーバの内部に伝達され、かくして、リザーバは、ガスが入るバルブを通して加圧窒素が充填される。容器が開成されて、上部スペースの圧力が雰囲気の圧力に落ちると、加圧窒素は、細かい急速ジェットで、ガス排出用のオリフィスを通ってビール中に吐出される。かくして、ビールが容器から注がれる時までに、所望の効果が、ビールの外観にもたらされる。
【0005】
しかし、一方向の入口バルブを小型装置に設けるには費用がかかり、また、小型装置を容器中に装填するには更なる製造工程が加えられ、これは、本質的に製造費用を増加させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、知られた装置よりも安価かつシンプルで、製造プロセスに必要とされる工程数が更に減じられた飲料の発泡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従えば、飲料容器の密閉部材は、密閉プレートとダイヤフラムとを有し、この密閉プレートとダイヤフラムは、一緒になって流体のリザーバを規定している。ダイヤフラムは、ガス充填並びに排出用のオリフィスが形成された相対的に移動可能な部分を有している。この相対的に移動可能な部分は、対向方向に延び互いに離間した少なくとも2つの環状の折り線により、ダイヤフラムの残りの部分に接続されている。リザーバの外部よりも大きな圧力がリザーバの内部に加えられることにより、折り部分を中心とした回動が生じ、かくして、相対的に移動可能な部分が、ダイヤフラムの残りの部分から離れるように移動される。
【0008】
かくして、本発明は、複合の容器密閉部材と流体噴射装置、即ち小型装置とを提供しており、この密閉部材自体が、噴射装置の一部を構成している。前記リザーバは、掃気タイプであり、密閉部材の一部、即ち密閉プレートと、ダイヤフラムとにより規定されている。このダイヤフラムの一部は、対向方向の少なくとも1対の環状の折り線が設けられることにより、ダイヤフラムの残りの部分へと移動可能である。使用において、密閉部材が容器に装着されると、ダイヤフラムの一部分を形成している環状のウェブは、環状の折り線により一緒に接続され、互いに比較的近接して位置される。リザーバ中の圧力がリザーバの外部の圧力よりもかなり高い場合、この差圧は、リザーバの移動可能な部分に作用し、折り線を中心としたウェブの回動を生じさせ、かくして、ダイヤフラムの移動可能な部分を密閉部材から離すように移動させる。実際に、ガス充填並びに排出用のオリフィスが、密閉部材が装着された容器中に収容されている飲料の液面より上の位置から、この液面より下の位置に移動されるように、折り線が十分な数を有し、かつ移動可能な部分が構成されている。リザーバ中の加圧ガス、例えば、窒素は、容器のシールが破壊されてから、上述された効果を達成するように飲料、代表的にはビール中に噴射される。飲料中に噴射される流体は、通常、加圧ガスのみである。しかし、リザーバ中の所定量の液体、例えば、充填並びに排出用のオリフィスを通ってリザーバ中に入った飲料があっても良い。このような液体は、容器が通常に配置された際の開口部の真上に位置され、従って、最初に液体上のガスの圧力により吐出され、続いてガス自体により吐出される。
【0009】
密閉プレートとダイヤフラムとにより構成された飲料発泡装置は、掃気タイプである。使用時に、容器は、液体、代表的にはビールが充填され、少量の液体ガス、代表的には窒素が、容器の上方スペース中に導入される。密閉部材は、上部スペース中の雰囲気の酸素が蒸発する窒素によりパージされた後、しかし、全ての窒素が蒸発して放散される前に、容器に迅速に装着される。残りの液体窒素は、容器の上部スペースを加圧する。ガス充填並びに排出用のオリフィスが液面より上に位置されるように、ダイヤフラムが構成され、かつ、瓶が所定のレベルに充填されている。かくして、上部スペースの上昇された圧力は、ガスのリザーバに連通され、このリザーバは、加圧窒素で満たされる。密閉部材が容器から外されると、ガスシールは破壊され、上部スペース中の圧力は雰囲気の圧力に急速に減じられる。ダイヤフラムの外部の圧力が内部の圧力よりも実質的に低いという事実により、この差圧がダイヤフラムの移動可能な部分に加えられると、移動可能な部分は、ガス充填並びに排出用のオリフィスを液面より下の位置に移動させるのに十分な程度に密閉プレートから離れるように瞬間的に移動される。これは、窒素のかなりの量がガスのリザーバから逃げる前に起こる。ガスのリザーバ中の加圧窒素、若しくは、この加圧窒素の下の液体が、差圧の影響を受けて、細かい急速ジェットで、容器内の液体中に吐出され、所望の乱流並びに混合、ビールの場合には、液面上の所望の泡を発生させる。
【0010】
噴射装置、即ち小型装置が、容器の密閉部材の一体部分であるという事実の結果、この装置は、必ず密閉部材と同時に容器に装着され、従って、製造プロセスに必要とされる工程数が、減じられる。ガスのリザーバに形成された単一のオリフィスは、容器がシールされているとき上部スペース内に位置され、しかし、シールが破壊されるとすぐに液体中に位置されるので、一方向バルブは必要とされない。
【0011】
前記ダイヤフラムの移動可能な部分は、様々な材料で形成されることができるが、ポリプロピレンのようなプラスチック材料で形成されることが好ましい。ダイヤフラムの残りの移動可能な部分は、一体射出成形品を構成することが好ましい。
【0012】
前記ガス充填並びに排出用のオリフィスは、このオリフィスを通って飲料中に吐出されるガスジェットが、かなりの乱流を生じさせるのに十分であることを確実にする程度に大きいが、加圧ガスが、オリフィスを通って逃げるのに数秒かかかることを確実にするのに十分小さくなければならない。実際、このオリフィスは、0.1ないし0.5mm、例えば約0.3mmの直径を有することが好ましい。
【0013】
前記ガスのリザーバの容積は、もちろん、所望の機能を適切に果たすように、十分な加圧ガスを収容するのに満足できるものでなければならず、1.5ないし40cmの容積が、この目的において十分なものであり、容易に達成可能であることは、判っている。
【0014】
かくして、非常にシンプルな実施形態で、ダイヤフラムの移動可能な部分は、環状のウェブにより分離された対向方向に延びる2つの折り線によってダイヤフラムの残りの部分に接続された垂下形式のチューブを構成することができる。チューブの上部は、開成され、かくして、リザーバと連通し、一方、チューブの下部は、実質的に閉成し、充填並びに排出用のオリフィスを有している。実際には、この構造は、充填並びに排出用のオリフィスの十分な垂直方向の移動を生じさせることが十分にできないかもしれない。この実施形態の変形例において、相対的に移動可能な部分は、再び、チューブを構成するが、この場合、チューブの壁部は、壁部に形成された対向方向に延び対をなした複数の折り線を有し、かくして蛇腹構造である。
【0015】
別の実施形態では、移動可能な部分は、密閉プレートから離れて、ダイヤフラムの残りの部分へと延びるポケット、即ち凹部を構成している。本発明は、また、炭酸飲料を収容し、かつ上に参照されたタイプの密閉部材によりシールされた飲料容器を含んでいる。ガスリザーバは加圧ガスを収容し、ガス充填並びに排出用のオリフィスは液面より上に位置されている。リザーバの外部よりも大きな圧力がリザーバの内部に加えられることにより、ガス充填並びに排出用のオリフィスが液面より下に位置されるように、移動可能な部分が密閉プレートから離れるように移動される。
【0016】
容器の密閉部材は、多種多様な形状を有することができ、かくして、例えば、飲料容器に装着される通常のねじ込みキャップの形態であっても良い。この場合、このねじ込みキャップは、ボトルの開口部全体に渡って延び、かつキャップの外周に接続される密閉プレートを有している。この密閉プレートには、一体的な垂下形式のフランジが設けられている。代わって、密閉部材は、リング状の引っ張り部材等により手動で取り外し可能な缶の蓋を簡単に構成することができる。この場合、密閉部材は、単一の薄い金属プレートを構成しているほぼ平坦な構造体である。もちろんこの構造体の下面には、ダイヤフラムが接続され、プレートは、このダイヤフラムと一緒にガスのリザーバを規定している。
【0017】
本発明の更なる特徴と詳細とは、単なる一例として添付図面に関連して与えられている2つの特定の実施形態の以下の説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、ビールが所定のレベル4まで充填されたビール瓶2の上部を示している。このビール瓶は、ネック部6を有しており、ビール瓶のリムのわずか下方で、このネック部の外面には、下向きの外周ショルダー部8が形成されている。
【0019】
最初に図1並びに2を参照すると、前記瓶は、密閉プレート10を有する密閉部材(closure)により閉成されている。この密閉プレートは、凹形状であり、かくして、瓶のネック部中へと所定の距離延びている。この密閉プレート10の外側エッジは、瓶のリム全体に渡って延びる環状のウェブ12と一体的である。このウェブ12の外側エッジは、前記ネック部の上側部分を囲むように下方に延びた垂下形式のスカート(depending skirt)14と一体的である。この垂下形式のスカート14は、一体ヒンジ16によりシールフランジ18に接続され、かつ、スカートの内面は、シールフランジと一体的である。このシールフランジ18は、細長く、瓶の長手方向の中央軸線にほぼ平行に延びている。また、シールフランジは、瓶の前記軸線にほぼ垂直に延びる端面を有している。このシールフランジ18の自由端部は、前記ショルダー部8の下面に係合し、所定の位置で蓋を瓶に保持している。前記密閉部材は、垂下形式のスカート14に張力が加えられ、従ってシールフランジ18が、ショルダー部8に接触するように上方に引っ張られ、かくしてショルダー部とシールを形成するように、瓶に装着されている。前記張力は、また、前記環状のウェブ12を、瓶のリムに接触させるように下方に引っ張り、かくして、更なるシールが形成される。この特定の実施形態において、前記一体ヒンジ16は、弾性を有し、前記シールフランジ18を瓶のネック部の外面に接触させるように内方に付勢し、かくして、また、更なるシールが形成される。
【0020】
これまでに説明されたような密閉部材は、ポリプロピレンのようなプラスチック材料からなる一体射出成形品である。しかし、この密閉部材は、また、円形凹形状のダイヤフラム20を形成しているポリプロピレン等の更なる一体成形品を有している。このダイヤフラムの外側エッジは、前記環状のウェブ12の下面に接続され、このウェブ12と瓶のリムとの間に配設されている。このウェブ12に対するダイヤフラムの接続は、溶接又は接着により果たされても良いし、ダイヤフラムのエッジをウェブ12若しくはプレート10の溝部等の中にスナップ適合させることにより果たされても良い。代わって、ウェブ12若しくはプレート10は、環状の隆起部、即ちビードを支持することができ、この隆起部、即ちビード中に、ダイヤフラムのエッジが押し装着されて、ダイヤフラムが、これの弾性に対するわずかな変形により、所定の位置に保持される。かくして、ダイヤフラム20の外側エッジは、ウェブ12の下面にシールされ、ダイヤフラム20の外側エッジの下面は、瓶のリムとシール係合するように、ウェブ12により付勢される。ダイヤフラム20のへこみは、前記密閉プレート10のへこみよりも大きく、従って、これら2つの部材は、ガスのリザーバ22を構成するスペースを、これら部材間に規定している。ダイヤフラム20の中央部は、この場合、垂下形式のチューブ24により構成された移動可能な部分と一体的である。このチューブの上端部は、開成しており、従って、チューブの内部は、ガスのリザーバ22と連通している。また、このチューブ24の下端部は、プレート、即ちウェブ26により実質的に閉成されており、このプレート、即ちウェブには、例えばこれの中央部には、ガス充填/排出用のオリフィス28が形成されている。このチューブ24の全長の少なくとも一部分は、この場合、チューブ24の全長にわたって、蛇腹構造であり、従って、対向方向に延び同軸周方向の複数の対をなした折り部分が、チューブの長さ全体にわたって形成されている。各折り部分は、隣接した各折り部分に対向して設けられている。かくして、このチューブの構造は、多くの飲料用ストローに一般に設けられている関節部分に非常に類似している。
【0021】
密閉部材が瓶の開口部に装着されると、前記シールフランジ18は、最初、蓋の中央軸線に向き、かつ下方向内方に延びた形状である。この密閉部材が、瓶のネック部へと下げられ、シールフランジ18が、ネック部の外面に係合し、弾性の一体ヒンジ16を中心として上方へと徐々に回動される。ダイヤフラム20の外側エッジの下面は、瓶のリムの上面に係合するように移動されるが、密閉キャップに対する下方への圧力は、増加され、従って、ダイヤフラムのエッジと環状のウェブ12とをわずかに圧縮する。このとき、シールフランジ18の自由端部は、瓶のネック部の下向きショルダー部8を通過し、一体ヒンジ16の弾性により、フランジ18が、このフランジがショルダー部8の下に配置される位置へと内方に迅速に回動される。密閉キャップに与えられた下方の圧力が除去されると、シールフランジ18は、ウェブ12並びにダイヤフラム20の圧縮部分の弾性により、上方に引っ張られる。このため、瓶のリムの上側エッジとダイヤフラム20の下面との間のシールが維持され、かつ垂下形式のスカート14の残りの引っ張り応力(tensional stress)が残ったまま、シールフランジの自由端面が、ショルダー部8の下面にシール係合されるように付勢される。かくして、密閉キャップは、瓶の信頼性のある気密シールを形成する。密閉キャップの装着の前に、瓶は、ダイヤフラムのわずか下のレベル4までビールのような飲料水が充填される。このレベル4の高さは、密閉プレート26が、かくして、ガス充填/排出用のオリフィス28が、液体のレベル4より上に位置されるようなチューブ24の長さに適合される。密閉キャップが瓶に装着される直前に、少量の液体窒素が、液面上に導入される。この液体窒素は、すぐに蒸発し始め、従って、瓶の上部スペースから全ての雰囲気の酸素を移動させる。上述されたような密閉キャップの瓶への取着は、迅速に、即ち窒素の蒸発が終了する前に果たされる。密閉キャップが装着されると、残りの液体窒素は蒸発し続け、従って、かなりの窒素ガスの圧力が上部スペース中に生じる。代表的に2ないし3bar以上のこの圧力が、ガス充填/排出用のオリフィス28によりガスリザーバ22に連通し、かくして、このリザーバ22は、所定の圧力で窒素が充填される。瓶を開けることが望まれたとき、蓋は、例えば、いわゆる冠タイプの通常のボトル先端部を外すのに使用されるタイプの通常の栓抜きにより、若しくは、密閉キャップが手で容易に外されるように、密閉キャップの一体部分を形成し図示されていないリップタブ(rip tab)を引っ張って、このタブを部分的に破損させることにより、取り外される。この取り外しプロセスが進むにつれて、瓶の気密は破られ、上部スペースは雰囲気に連通し、従って、上部スペースの圧力は、雰囲気の圧力に急速に減じられる。しかし、例えば0.3mmのガス排出用のオリフィス28が非常に小さな径であることにより、ガスリザーバ22は、雰囲気の圧力に急速に減じられるように通気されることはなく、従って、リザーバ22中の圧力が上部スペース中の圧力よりも高いという事実により、ダイヤフラム20全体に渡って差圧が生じる。この増加された圧力は、チューブ24の底部の密閉プレート26に作用して、チューブ24を素早く延出させる。即ち、チューブ24の互いに近接した壁部分のこれら壁部分間の折り部分を中心とした回動により、チューブの長さが延ばされる。チューブ24は、この長さが瞬間的に延びることにより、チューブの下端部、かくしてガス充填/排出用のオリフィス28が、図2に示されているように、瓶中の液体のレベル4より下の位置に移動されるように、構成並びにディメンションが形成されている。リザーバ22中の高圧窒素は、上述された効果を果たすように、オリフィス28を通って、代表的にビールである液体中に、細かい急速なストリームで噴射される。
【0022】
図3並びに4は、第2の実施形態を示しており、同じ参照符号が、類似した部品を示すのに使用されている。この実施形態は、ダイヤフラム20の移動可能な部分が、垂下形式のチューブによって構成されているのではなく、中央のダイヤフラムから下方に延びたポケット、即ちポーチ30により構成されている点で、第1の実施形態とは異なる。このポーチ30は、短い垂下形式のチューブ32を有している。このチューブの上側エッジは、ダイヤフラムの残りの部分と一体的であり、チューブの下側エッジは、対向方向の2対の同軸の折り部分34により接続されている。これら同軸の折り部分間には、環状のウェブ36が延びている。これら折り部分34は、上から見たとき再び円形形状であり、充填/排出用のオリフィス28に中心合わせされている。最内側のウェブは、更なる垂下形式のチューブ38と一体的である。このチューブの上端部は開成し、下端部は、プレート、即ちウェブ26により閉成されている。このウェブの中央には、ガス充填/排出用のオリフィス28が形成されている。
【0023】
この実施形態の動作は、第1の実施形態の動作と全く同じである。前記蓋が外されて、瓶の上部スペースが雰囲気に連通されると、差圧がダイヤフラム全体にわたって生じる。この差圧は、対向方向の互いに隣接したウェブ36を、これらの間にある折り部分34を中心として回動させる。かくして、前記ポケット30は、図4に示されている位置、即ち、オリフィス28が、ビールの液面より下に位置され、かくして、リザーバ22中の加圧ガスがビール中に噴射される位置へと下方に移動する。
【0024】
複数の変形が、上述された実施形態に果たされ得ることは理解されるだろう。かくして、ダイヤフラムは、スナップ接続を含む適切な手段により、密閉部材に接続されることができる。このダイヤフラムは、密閉プレートよりもかなり小さくても良く、この場合は、密閉プレートと容器のリムとの間に狭持されない。ダイヤフラムの異動可能な部分は、差圧により下方に移動される前でさえ、ダイヤフラムの残りの部分より下方に延びていることが好ましいが、これは、絶対に必要な条件ではなく、異動可能な部分は、ダイヤフラムの残りの周囲部分とほぼ同一平面に位置されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ガスシールが破損される前の、本発明に従った密閉部材の第1の実施形態によりシールされた広口のビール瓶の上部を示す概略的な軸方向の断面図である。
【図2】瓶からの取り外しの最初の段階、即ちガスシールが破損された直後の密閉部材を示す同様の図である。
【図3】密閉部材の第2の実施形態の図1に従った図である。
【図4】密閉部材の第2の実施形態の図2に従った図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉プレートとダイヤフラムとを具備している、飲料容器の密閉部材であって、前記ダイヤフラムは、密閉プレートと一緒になって流体のリザーバを規定し、また、このダイヤフラムは、ガス充填並びに排出用のオリフィスが形成された相対的に移動可能な部分を有し、この相対的に移動可能な部分は、対向方向に延び互いに離間した少なくとも2つの環状の折り線により、ダイヤフラムの残りの部分に接続され、前記リザーバの外部よりも大きな圧力がリザーバの内部に加えられることにより、前記折り線を中心とした回動が生じ、この結果、相対的に移動可能な部分が、ダイヤフラムの残りの部分から離れるように移動される、密閉部材。
【請求項2】
対向方向に延び互いに離間した少なくとも2対の同軸の環状の折り線が設けられている請求項1の密閉部材。
【請求項3】
前記相対的に移動可能な部分は、前記密閉プレートから離れる方向へと前記ダイヤフラムから突出している管状部分により、前記ダイヤフラムの残りの部分に接続されている請求項1又は2の密閉部材。
【請求項4】
前記相対的に移動可能な部分は、チューブを構成しており、密閉プレートから離れたこのチューブの一端部は、実質的に閉成されているが、ガス充填並びに排出用のオリフィスを有し、また、このチューブの壁部は、対向方向に延び対をなした複数の折り線を有し、かくして蛇腹構造を有している前記全ての請求項のいずれか1の密閉部材。
【請求項5】
前記移動可能な部分は、前記密閉プレートから離れて、前記ダイヤフラムの残りの部分へと延びているポケット若しくは凹部を構成している請求項2の密閉部材。
【請求項6】
前記移動可能な部分は、プラスチック材料で形成されている請求項1の密閉部材。
【請求項7】
前記移動可能な部分とダイヤフラムとは、一体射出成形品を構成している請求項6の密閉部材。
【請求項8】
前記ガス充填並びに排出用のオリフィスは、0.1ないし0.5mmの直径を有している前記全ての請求項のいずれか1の密閉部材。
【請求項9】
前記ガスのリザーバの容積は、1.5ないし40cmである前記全ての請求項のいずれか1の密閉部材。
【請求項10】
炭酸飲料を収容し、かつ前記全ての請求項のいずれか1の密閉部材によりシールされた飲料容器であって、ガスのリザーバは、加圧ガスを収容し、また、ガス充填並びに排出用のオリフィスは、液面より上に位置され、また、前記リザーバの外部よりも大きな圧力がリザーバの内部に加えられることにより、前記移動可能な部分は、前記ガス充填並びに排出用のオリフィスが液面より下に位置されるように、密閉プレートから離されように構成並びに配設されている、飲料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−540261(P2008−540261A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509487(P2008−509487)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002346
【国際公開番号】WO2006/117500
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507357863)カーボナイト・コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】CARBONITE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】El Dorado Building, 2nd Floor, 52nd & Elvira Mendez Street, P.O. Box 1358 WTC, Panama, Panama
【Fターム(参考)】