説明

飲料用液体ホワイトナー及びその製造方法

水と、乳化剤と、この乳化剤により水中に分散された限外濾過濃縮乳タンパクとを含有し、脂肪含有量が0.5質量%未満である、飲料用液体ホワイトナー、及び、限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤とを水に添加後、ホモジナイズして、白色懸濁液を得るステップを含む、飲料用液体ホワイトナーの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用液体ホワイトナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用ホワイトナーは、コーヒーや紅茶などの飲料に添加して、白濁性とクリーム様の風味を付与する食品であり、クリームやクリーマーなどと呼ばれる場合もある。飲料用ホワイトナーには、液体のものと粉末のものが存在する。
【0003】
従来の飲料用液体ホワイトナーは、水中油型エマルジョンであり、通常、乳脂肪や植物性脂肪を10〜40質量%含有する。特開2000−60425号公報は、油脂含有量が少ない飲料用白濁性付与剤を開示しており、当該飲料用白濁性付与剤は、油脂単独で飲料に白濁性を付与できる最低量より少ない量の油脂と、飲料に加えたときに飲料が白濁するに足る量の、油脂以外の分散性物質とを含有する。
【0004】
上記公報に開示されているように、油脂の含有量を低下させたホワイトナーには、ホワイトナーとして充分な白色(白濁)を得ることを目的として、炭酸カルシウムやニ酸化チタン等の無機物や、水不溶性又は水分散性の有機物を添加する必要がある。しかしながら、これらの物質の添加は、沈殿の問題や飲料への溶解性不足の問題を引き起こしやすい。これらの物質はまた、保存の困難性の原因にもなり得る。
【発明の概要】
【0005】
そこで、本発明は、上述の無機物や有機物を添加しなくても、ホワイトナーとして充分な白色性(白濁性)を発揮するホワイトナーを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、水と、乳化剤と、この乳化剤により水中に分散された、乳タンパク等の限外濾過濃縮タンパクとを含有し、脂肪含有量が0.5質量%未満である、飲料用液体ホワイトナーを提供する。
【0007】
従来の飲料用液体ホワイトナーは、脂肪を原料とした水中油型エマルジョンであることが技術常識であった。これに対し、本発明の飲料用液体ホワイトナーは、水と、乳化剤と、この乳化剤により水中に分散された限外濾過濃縮乳タンパクとを含む。これにより、ホワイトナーは、コーヒーや紅茶などの飲料に混合した場合に十分な白濁を付与することができる。ホワイトナーは、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の無機物を含んでいないにもかかわらず、飲料に豊かなコクとマイルド感を与えることが可能である。従来、飲料用ホワイトナーの白濁性を増強するために、ニ酸化チタン等を添加する場合があった。しかしながら、ホワイトナーの保存中に二酸化チタンが分離して沈殿する場合があった。また、粉末のホワイトナーは、飲料への溶解性が不十分である場合があり、飲料に添加した時に沈殿を生じる場合があった。これに対し、本発明の飲料用ホワイトナーは液体であり、二酸化チタン等を含有しないため、飲料への溶解性が非常に高い。さらに、脂肪含有量が0.5質量%未満と低いため、脂肪摂取量に敏感な消費者にも訴求可能である。したがって、ホワイトナーは、無脂肪ホワイトナーと見なすことができる。
【0008】
上記の限外濾過濃縮乳タンパクの含有量は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした場合に、1質量%を超え20質量%未満であることが更に好ましい。また、上記の限外濾過濃縮乳タンパクは、無脂肪牛乳を1/3〜1/10の体積になるまで限外濾過することにより調製されたものであることが更に好ましい。このようにして調製された限外濾過濃縮乳タンパクを、上記の割合で含有する飲料用液体ホワイトナーは、飲料に、より高い白濁性及びより高品質のマイルド感や風味を付与することが可能である。
【0009】
上記の乳化剤は、食用品質の(food−grade)界面活性剤であり、すなわち、食用に適している。例えば、乳化剤は、食品添加物として認められた界面活性剤であってよい。乳化剤の含有量は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした場合に、0.05〜0.3質量%であることが好ましい。乳化剤をこの割合で含有する飲料用液体ホワイトナーは、飲料に、より高い白濁性を付与することが可能である。
【0010】
一実施形態において、飲料用液体ホワイトナーはラクトースを含まない。
【0011】
別の態様として、本発明は、上記の飲料用液体ホワイトナーを含む飲料を提供する。この飲料はコーヒー又は紅茶であることが更に好ましい。このような飲料は、レディ・トゥ・ドリンク飲料(Ready−to−drink beverages)と呼ばれることもある。飲料は、十分な白濁性、豊かなコク及びマイルド感を有しているだけでなく、無脂肪であるため、消費者の脂肪摂取量を低減させることができる。ここで、無脂肪とは、脂肪含有量が0.5質量%未満であることをいう。
【0012】
別の態様において、本発明は、限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤とを水に添加後、ホモジナイズして、白色懸濁液を得るステップを含む、飲料用液体ホワイトナーの製造方法を提供する。この製造方法により、上記の飲料用液体ホワイトナーを製造することができる。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤とを水に添加後、ホモジナイズして、白色懸濁液を得るステップを含む、飲料用液体ホワイトナーの脂肪含有量を減少させる方法を提供する。この方法によって、コーヒーや紅茶などの飲料に適用した場合に十分な白濁を付与することができ、飲料に豊かなコクとマイルド感を与えることが可能な飲料用液体ホワイトナーの、脂肪含有量を減少させることが可能である。さらに、無脂肪の飲料用液体ホワイトナーを製造する方法が提供される。
【0014】
本発明によって、脂肪を原料とせず、酸化チタンなどの色素を含んでいないにもかかわらず、コーヒーや紅茶などの飲料に添加した場合に十分な白濁を付与し、飲料に豊かなコクとマイルド感を与えることができる、無脂肪の飲料用液体ホワイトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、無脂肪牛乳とは、成分調整牛乳であって、ほとんど全ての乳脂肪分を除去したものをいう。より具体的には、乳脂肪分が0.5質量%未満であって、無脂乳固形分が8.0質量%以上であるものをいう。
【0016】
濃縮乳タンパクには、タンパク質含有量が95質量%以上であるカゼイン、タンパク質含有量が80質量%以上であるホエイタンパク濃縮物(WPC)、タンパク質含有量が90質量%以上であるホエイタンパク分離物(WPI)、タンパク質含有量が80質量%以上であり、このうちの約80質量%がカゼインであり、約20質量%がホエイタンパクである、全乳タンパク濃縮物(MPC)、全乳タンパク濃縮物を更にpH調整や加熱処理により精製したTMPなどが存在する。さらに、全乳タンパク濃縮物の中には、限外濾過により製造されたものと、例えば、無脂肪牛乳を加熱・酸性化により沈殿させ、タンパクを回収する方法により製造されたものなどが存在する。
【0017】
発明者らが実験した結果、これらの濃縮乳タンパクのうち、限外濾過濃縮以外の方法で製造された濃縮乳タンパクを原料に用いた飲料用液体ホワイトナーは、白濁性が不十分であることが明らかとなった。したがって、本発明の飲料用液体ホワイトナーの原料の濃縮乳タンパクは、限外濾過濃縮乳タンパクである必要がある。
【0018】
無脂肪牛乳の限外濾過においては、水のほか、乳糖やミネラル分も除去される。限外濾過は、濃縮乳の体積が、もとの無脂肪牛乳の1/3〜1/10、より好ましくは1/4〜1/10、最も好ましくは1/5〜1/10になるまで限外濾過されることが好ましい。限外濾過はポアサイズ10−2〜10−1μmの膜を用いて1〜10MPaの圧力下で行われることが好ましい。本発明の飲料用液体ホワイトナーの原料に使用可能な限外濾過濃縮乳タンパクは、タンパク質を70質量%以上、より好ましくは75質量%以上含むことが好ましい。また、脂肪分が5質量%未満、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2.5質量%以下であることが好ましい。また、タンパク質としては、カゼインを約80質量%、ホエイタンパクを約20質量%含んでおり、牛乳のタンパク質組成とほぼ同等のものである。このような限外濾過濃縮乳タンパクを原料に用いることにより、酸化チタンなどの色素を含まないにもかかわらず、コーヒーや紅茶などの飲料に添加した場合に十分な白濁を付与することができ、飲料に豊かなコクとマイルド感を与えることができる、無脂肪の飲料用液体ホワイトナーを提供することができる。ここで、無脂肪とは、脂肪含有量が0.5質量%未満であることをいう。
【0019】
本発明の飲料用液体ホワイトナーの原料に使用可能な限外濾過濃縮乳タンパクとしては、例えば、メグレ・ジャパン株式会社のMPC−UF80(商品名)、フォンテラジャパン株式会社のMilk Protein Concentrate480(MPC480、商品名)などが使用可能である。MPC−UF80は、牛乳を殺菌後、脱脂し、再び殺菌し、限外濾過により濃縮した後、スプレードライにより粉末化して製造されたものである。MPC480は、牛乳を脱脂後殺菌し、限外濾過により濃縮した後、スプレードライにより粉末化して製造されたものである。限外濾過濃縮乳タンパクのスプレードライによる粉末化は、本発明の飲料用液体ホワイトナーには必須ではないが、原料である限外濾過濃縮乳タンパクの保存や運搬に便利であるために行われる。スプレードライは、限外濾過濃縮乳を50〜70℃に加温後、150〜250℃の熱風を送り込んだ乾燥室内に噴霧して乾燥させることにより行われる。
【0020】
本発明の飲料用液体ホワイトナーは、限外濾過濃縮乳タンパクを、飲料用液体ホワイトナーを基準として1質量%を超え20質量%未満、より好ましくは3質量%を超え18質量%未満、更に好ましくは5〜15質量%含有する。限外濾過濃縮乳タンパクの含有量が1質量%以下であると、白濁性が不十分であったり、飲料に添加した場合にマイルド感が乏しくなる場合がある。また、限外濾過濃縮乳タンパクの含有量が20質量%以上であると、沈殿が生じたり、飲料に添加した場合にざらつきを感じる場合がある。
【0021】
本発明の飲料用液体ホワイトナーは更に、限外濾過濃縮乳タンパクを水中で分散させる乳化剤を含む。乳化剤を含むことにより、濃縮乳タンパクに由来する乳タンパク粒子を保護することができる。また、製造時のホモジナイズ処理により、平均粒子径が2〜4μmの安定したミセルを形成し、十分な白濁性を得ることができる。上記の乳化剤は、食品添加物として認められた界面活性剤である。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどが例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。また、乳化剤のHLB値は5〜6又は14〜16であることが好ましい。この範囲にある乳化剤を混合して用いてもよい。HLB値が0〜4、7〜13又は17以上の場合には、白濁性が不十分になる場合や風味が悪くなる場合がある。また、乳化剤の含有量は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした場合に、0.05〜0.3質量%、より好ましくは0.1〜0.3質量%含有する。乳化剤の含有量が0.05質量%未満であると、白濁性が不十分になる場合がある。また、乳化剤の含有量が0.3質量%を超えると味に影響を生じ、異味異臭を感じる場合がある。また、原材料コストの上でも好ましくない。
【0022】
本発明の飲料用液体ホワイトナーは、食品添加物として認められた増粘安定剤を、単独で又は混合して含有してもよい。具体的には、セルロース、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、カラギナン、タマリンドガム、寒天、コンニャク、ペクチン、ゼラチンなどが増粘安定剤として使用可能である。増粘安定剤はセルロースを含むことがより好ましく、そのセルロースは微晶質セルロースであることが特に好ましい。発明者らは、本発明の飲料用液体ホワイトナーに微小質セルロースを添加しても凝集や沈殿を起こさないことを実験で確認した。具体的な増粘安定剤の製剤としては、例えば、セルロース75質量%、キサンタンガム5質量%、デキストリン20質量%を含む旭化成ケミカルズ株式会社のCEOLUS RC−N30(商品名)や、セルロース20質量%、キサンタンガム10質量%、カルボキシルメチルセルロースナトリウム3.3質量%、食品素材66.7質量%を含む三栄源エフ・エフ・アイ株式会社のSAN ARTIST PX(商品名)が使用可能である。増粘安定剤の含有量は、飲料用液体ホワイトナーを基準として0.01〜1質量%、より好ましくは0.1〜1質量%、さらにより好ましくは0.1〜0.75質量%、最も好ましくは0.2〜0.5質量%である。増粘安定剤の添加によって、飲料用液体ホワイトナーの層分離を抑制することができる。
【0023】
本発明の飲料用液体ホワイトナーは、更に砂糖や甘味料や香料を含んでもよい。本発明の飲料用液体ホワイトナーは、酸化チタンなどの着色料を含まなくても十分な白濁性を付与することができる。
【0024】
1つの態様において、本発明は、上記の飲料用液体ホワイトナーを含む飲料を提供する。ここで、飲料はコーヒー、紅茶、チョコレート、ココア、抹茶、スープ、フルーツジュースなどであって良いが、コーヒーや紅茶であることが好ましい。また、添加する飲料用液体ホワイトナーの割合は、飲料用液体ホワイトナー添加後の飲料全体を基準として、1〜60質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは2〜10質量%、最も好ましくは3〜5質量%である。
【0025】
本発明の飲料用液体ホワイトナーは、例えば、次のようにして製造することができる。まず、限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤を溶解タンク中の水に添加し、混合する。続いてこの混合液をホモジナイズして、白色懸濁液を得る。ホモジナイズは、例えば、高圧ホモジナイザーにより行うことができる。乳化剤と濃縮乳タンパクを添加する水は、60〜70℃に加温されていることが好ましい。また、高圧ホモジナイザーの圧力は10〜30MPaであることが好ましく、15〜20MPaであることがより好ましい。必要に応じて、この白色懸濁液を調合タンクに入れ、増粘安定剤、砂糖、香料、pH調製剤などを更に添加して混合してもよい。この場合、調合後に加熱殺菌を行い、更に高圧ホモジナイザーによりホモジナイズすることが好ましい。続いて、得られた飲料用液体ホワイトナーを容器に無菌充填して製品を得ることができる。
【0026】
1つの態様において、本発明は、限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤とを水に添加後、ホモジナイズして、白色懸濁液を得るステップを含む、飲料用液体ホワイトナーの脂肪含有量を減少させる方法を提供する。この方法により、従来、脂肪を10〜40質量%含んでいた飲料用液体ホワイトナーの脂肪含有量を大幅に減少させ、0.5質量%以下にすることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者には種々の変更が明らかであり、また、本発明の実施によりもたらされる。
【0028】
(飲料用液体ホワイトナーの調製)
溶解タンク中で、60〜70℃の水に、それぞれ表1に示す割合で原料を添加した。限外濾過濃縮乳タンパク(場合により、「UF濃縮乳タンパク」という。)には、フォンテラジャパン株式会社のMPC480(商品名)を使用した。続いて、高圧ホモジナイザーにより20MPaでホモジナイズ処理を行なった。その後に140℃4秒の殺菌を行い、実施例1〜9の飲料用液体ホワイトナーを調製した。同様に、表2に示す原料を用いて比較例1〜8の飲料用液体ホワイトナーを調製した。なお、表1及び表2の配合原料の割合及び脂肪含有量は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした質量%で表示した。
【0029】
(L値の測定)
インスタントコーヒー粉末(ネスカフェゴールドブレンド(登録商標)、ネスレ)2gを140mLの熱湯に溶解した。このコーヒー飲料に実施例1〜9及び比較例1〜8の飲料用液体ホワイトナー5mLを混合し、それぞれ実施例1〜9及び比較例1〜8のホワイトナー添加コーヒー飲料とした。分光測色計(SPECTROPHOTOMETER)CM−3500d(コニカミノルタセンシング株式会社)を用いて、これらの飲料用液体ホワイトナー及びホワイトナー添加コーヒー飲料のL値を測定した。L値とは「Lightness」を意味し、完全な白色が100となり、完全な黒色が0となる値である。結果を表1及び表2に示す。
【0030】
(外観及び香味の評価)
それぞれ実施例1〜9及び比較例1〜8の各飲料用液体ホワイトナー及びホワイトナー添加コーヒー飲料の外観を、白濁性や沈殿物の存在に基づいて、肉眼でA〜Dの4段階評価した。白濁性に優れており、沈殿物が存在しないものが評価が高く、A評価が最も優れていることを示す。同様に、各ホワイトナー添加コーヒー飲料の香味についてもA〜Dの4段階に官能評価した。風味が劣ったり、マイルド感が乏しいほど評価が低い。
【0031】
その結果、実施例1〜9の飲料用液体ホワイトナーは、脂肪含有量が0.5質量%未満であるにもかかわらず、十分な白濁性とマイルドな味わいを与えることが示された。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
(飲料用液体ホワイトナーの缶入りコーヒー飲料への適用)
(飲料用液体ホワイトナーの調製)
溶解タンク中で、60〜70℃の水に、UF濃縮乳タンパク、ショ糖脂肪酸エステル、脱脂粉乳、牛乳、砂糖及び香料を、それぞれ表3に示す割合で添加した。続いて、高圧ホモジナイザーにより15〜20MPaでホモジナイズ処理を行ない、実施例10及び比較例9〜13の飲料用液体ホワイトナーを調製した。なお、表3の配合原料及び脂肪含有量の割合は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした質量%で表示した。
【0035】
(コーヒー抽出液の調製)
焙煎したコーヒー豆を粉砕した後、コーヒー豆の質量の約10倍の質量の95℃の熱水で抽出を行った。抽出終了後は抽出液を速やかに25℃以下程度まで冷却し、遠心分離(クラリファイアー)により抽出後のコーヒー豆の固液分離を行い、コーヒー抽出液を得た。
【0036】
(缶入りコーヒー飲料の調製)
調合タンク内で、重曹溶解液と、実施例10及び比較例9〜13の飲料用液体ホワイトナーと、コーヒー抽出液とを混合し、所定の容量まで水を添加した。続いて、高圧ホモジナイザーにより15〜20MPaでホモジナイズ処理を行ない、約85℃に加熱し予備殺菌を行った。続いて、缶容器に充填し、さらに124℃20分間殺菌して、それぞれ実施例10及び比較例9〜13の缶入りコーヒー飲料を得た。なお、表3の配合原料及び脂肪含有量の割合は、飲料用液体ホワイトナーを基準とした質量%で表示した。また、コーヒー抽出液の濃度は、コーヒーの可溶性固形分が、缶入りコーヒー飲料を基準として5質量%になるように調製した。また、重曹は缶入りコーヒー飲料を基準として0.1質量%となるように添加した。最終的な割合は、飲料用液体ホワイトナー1に対してコーヒー抽出液1であった。
【0037】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、乳化剤と、該乳化剤により前記水中に分散された限外濾過濃縮乳タンパクとを含有し、脂肪含有量が0.5質量%未満である、飲料用液体ホワイトナー。
【請求項2】
前記限外濾過濃縮乳タンパクの含有量が、1質量%を超え20質量%未満である、請求項1に記載の飲料用液体ホワイトナー。
【請求項3】
前記限外濾過濃縮乳タンパクが、無脂肪牛乳を1/3〜1/10の体積に限外濾過することにより調製されたものである、請求項1又は2に記載の飲料用液体ホワイトナー。
【請求項4】
前記乳化剤が、食品添加物として認められた界面活性剤であり、当該乳化剤の含有量が0.05〜0.3質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料用液体ホワイトナー。
【請求項5】
乳糖を含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料用液体ホワイトナー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料用液体ホワイトナーを含む飲料。
【請求項7】
コーヒー又は紅茶である、請求項6に記載の飲料。
【請求項8】
レディ・トゥ・ドリンク飲料(Ready−to−drink beverages)である、請求項6又は7に記載の飲料。
【請求項9】
限外濾過濃縮乳タンパクと乳化剤とを水に添加後、ホモジナイズして、白色懸濁液を得るステップを含む、飲料用液体ホワイトナーの製造方法。

【公表番号】特表2012−528581(P2012−528581A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513623(P2012−513623)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057774
【国際公開番号】WO2010/139754
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】