説明

飲酒判定装置

【課題】判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができるようにする。
【解決手段】受光装置から、運転者の呼気中を通過した近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量を示す受光量データを取得し(100)、環境センサから、環境情報を取得し(102)、基準受光量記憶部から、取得した環境情報に対応する基準受光量を取得する(104)。そして、取得した受光量データが示す受光量と取得した基準受光量とを比較して、受光した光の減衰量を算出し(106)、算出された減衰量が、予め定められたしきい値より大きい場合には(108)、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置に表示させ(110)、一方、算出した減衰量が、しきい値未満である場合には(108)、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置に表示させる(112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲酒判定装置に係り、特に、判定対象者の飲酒状態を判定する飲酒判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、近赤外光を発する光源と、近赤外光に対して感度のある撮像手段と、撮像された指の画像を入力し処理する画像処理手段とを設け、セキュリティ制御を行うと共に、撮像と同時に取得する指の生体情報、もしくはその時間変化を解析し、健康・体調等の生体状態を計測する指認証装置が知られている(特許文献1)。この指認証装置では、生体認証技術と健康診断技術とを組み合わせており、また、使い易い操作性を実現している。
【0003】
また、レーザーダイオードからアルコール吸収波長のレーザービームを走行車両に向けて出射すると共に、時間差をおいてレーザーダイオードから参照波長のレーザービームを出射し、両レーザービームを共通のフォトダイオードによって検出して、参照波長の受光量データからアルコール吸収波長の受光量データを差し引いたアルコール濃度データに基づいて、車両内のアルコール成分を検出する車両内アルコール検出装置が知られている(特許文献2)。この車両内アルコール検出装置では、走行車両の車内のアルコール成分を、車両の走行状態のまま遠隔的に検出している。
【特許文献1】特開2003−146107
【特許文献2】特開2000−230900
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1には、飲酒状態を検知する具体的な方法について記載されていないため、飲酒状態を判定することができない、という問題がある。また、上記特許文献2に記載の技術では、車室内全体の空気に含まれるアルコールを検知しており、運転者と同乗者の飲酒状態を区別できないため、判定対象となる運転者の飲酒状態を精度よく判定することができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる飲酒判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る飲酒判定装置は、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域の光を照射する第1照射手段と、前記第1照射手段によって照射される光とは異なる光路に前記所定波長域を含む波長域の光を照射する第2照射手段と、前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記第1照射手段によって照射された光を受光する第1受光手段と、前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記第2照射手段によって照射された光を受光する第2受光手段と、前記第1照射手段によって照射され、かつ、判定対象者の呼気中を通過して前記第1受光手段によって受光された光の受光量、及び前記第2照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過せずに前記第2受光手段によって受光された光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0007】
第1の発明に係る飲酒判定装置によれば、第1照射手段によって照射された近赤外光波長域の所定波長域を含む波長域の光が、判定対象者の呼気中を通過して第1受光手段によって受光され、第2照射手段によって照射された近赤外光波長域の所定波長域を含む波長域の光が、判定対象者の呼気中を通過せずに第2受光手段によって受光される。
【0008】
そして、判定手段によって、第1受光手段によって受光された光の受光量、及び第2受光手段によって受光された光の受光量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0009】
このように、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる波長域の光を、判定対象者の呼気中を通過させて受光すると共に、呼気中を通過させずに受光して、受光量を比較することより、判定対象者の飲酒状態を判定するため、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0010】
第2の発明に係る飲酒判定装置は、少なくとも一つの波長域が近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む各々異なる複数の波長域の光を照射する照射手段と、少なくとも一つの波長域が前記所定波長域を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、前記照射手段によって照射された前記複数の波長域の光を受光すると共に、前記複数の波長域の各々の光の受光量を出力する受光手段と、前記照射手段によって照射され、かつ、判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された前記所定波長域を含む波長域の光の受光量、及び前記照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された該波長域以外の波長域の光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0011】
第2の発明に係る飲酒判定装置によれば、照射手段によって、少なくとも一つの波長域が近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む各々異なる複数の波長域の光を照射し、複数の波長域の光が、判定対象者の呼気中を通過して受光手段によって受光される。
【0012】
そして、判定手段によって、所定波長域を含む波長域の光の受光量、及び該波長域以外の波長域の光の受光量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0013】
このように、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる波長域の光を、判定対象者の呼気中を通過させて受光すると共に、異なる波長域の光を、呼気中を通過させて受光して、受光量を比較することより、判定対象者の飲酒状態を判定するため、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0014】
第3の発明に係る飲酒判定装置は、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域の光を照射する照射手段と、前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記照射手段によって照射された光を受光する受光手段と、判定対象者が存在する環境を検出する判定環境検出手段と、予め定められた複数の環境の各々について、前記照射手段によって照射され、かつ、該環境におけるアルコールを含まない大気中を通過して前記受光手段によって受光された光の受光量を記憶した記憶手段と、前記照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された光の受光量、及び前記記憶手段に記憶され、かつ、前記判定環境検出手段によって検出された環境に対応する光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0015】
第3の発明に係る飲酒判定装置によれば、照射手段によって照射された近赤外光波長域の所定波長域を含む波長域の光が、判定対象者の呼気中を通過して受光手段によって受光される。また、環境検出手段によって、判定対象者が存在する環境を検出する。
【0016】
そして、判定手段によって、受光手段によって受光された受光量、及び検出された環境に対応して記憶されたアルコールを含まない大気中を通過して受光された光の受光量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0017】
このように、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる波長域の光を、判定対象者の呼気中を通過させて受光して、受光量を、検出された環境におけるアルコールを含まない大気中を通過させたときの受光量と比較することより、判定対象者の飲酒状態を判定するため、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0018】
第1の発明に係る判定対象者は車両の運転者であって、判定手段は、運転者が運転席に着座してから所定時間内に、運転者の飲酒状態を判定することができる。これによって、運転者の呼気が車両内に充満してしまう前に、運転者の飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0019】
上記の飲酒判定装置は、照射手段によって照射された光の光路上に配置された反射板を更に含み、受光手段は、照射手段によって照射された光であって、かつ、反射板によって反射された光を受光することができる。これによって、照射された光が呼気中を長く通過し、受光量の変化が大きくなるため、受光量を比較して、運転者の飲酒状態を更に精度よく判定することができる。
【0020】
第4の発明に係る飲酒判定装置は、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域に感度を有する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された判定対象者の呼気を含む領域を表わす判定対象画像の画像特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記特徴量抽出手段によって抽出された前記画像特徴量、及び前記アルコールを含まない大気中を表わす画像又は前記アルコールによる光の吸収特性が前記判定対象画像と異なる画像である基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0021】
第4の発明に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域に感度を有する撮像手段によって、判定対象者の呼気を含む領域を撮像し、特徴量抽出手段によって、撮像された判定対象画像の画像特徴量を抽出する。
【0022】
そして、判定手段によって、特徴量抽出手段によって抽出された画像特徴量、及びアルコールを含まない大気中を表わす画像又はアルコールによる光の吸収特性が判定対象画像と異なる画像である基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0023】
このように、近赤外光波長域の所定波長域を含む波長域の画像であって、判定対象者の呼気を含む領域を表わす判定対象画像の画像特徴量と、基準画像の画像特徴量とを比較して、判定対象者の飲酒状態を判定するため、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0024】
第4の発明に係る撮像手段は、少なくとも一つの波長域が所定波長域を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、複数の波長域の各々の画像を出力し、特徴量抽出手段は、撮像手段により撮像された複数の波長域のうちの所定波長域を含む波長域の判定対象画像の画像特徴量を抽出すると共に、撮像手段により撮像された複数の波長域のうちの判定対象画像の波長域以外の波長域の基準画像の画像特徴量を抽出し、判定手段は、特徴量抽出手段によって抽出された判定対象画像の画像特徴量及び基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することができる。これによって、近赤外光波長域の所定波長域を含む波長域の判定対象画像の画像特徴量と、異なる波長域の基準画像の画像特徴量とを比較して、判定対象者の飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0025】
第4の発明に係る判定手段は、特徴量抽出手段によって抽出された判定対象画像の画像特徴量、及び撮像手段によって過去に撮像された判定対象者のアルコールが含まれていない呼気を含む領域を表わす基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することができる。これによって、判定対象者の呼気を含む領域を表わす判定対象画像の画像特徴量と、過去に撮像された判定対象者のアルコールが含まれていない呼気を含む領域を表わす基準画像の画像特徴量とを比較して、判定対象者の飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0026】
第4の発明に係る飲酒判定装置は、撮像手段によって撮像された判定対象者を表わす画像から、判定対象者の呼気を含む領域を表わす判定対象画像、及び判定対象者の呼気を含まない領域を表わす基準画像を抽出する画像抽出手段を更に含み、特徴量抽出手段は、画像抽出手段により抽出された判定対象画像の画像特徴量を抽出すると共に、画像抽出手段により抽出された基準画像の画像特徴量を抽出し、判定手段は、特徴量抽出手段によって抽出された判定対象画像の画像特徴量及び基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することができる。これによって、撮像された判定対象者を表わす画像から抽出された判定対象画像及び基準画像の各々について、画像特徴量を比較して、判定対象者の飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0027】
上記の画像特徴量は、輝度、コントラスト、エッジ強度、及びエッジ強度の分散の少なくとも一つを含むことができる。
【0028】
また、上記の所定波長域を、近赤外光波長域の1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含んだ波長域とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明の飲酒判定装置によれば、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両の運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置10は、近赤外光波長域の特定波長域の光を判定対象者である運転者の呼気中を通過するように照射する照明装置12と、特定波長域の光に感度を有し、照明装置12が照射する光を受光して、光の強度に応じた電気信号へ変換する受光装置14とを備えている。
【0032】
照明装置12は、近赤外光波長域の特定波長域の光として、アルコールとしてのエタノールによる光の吸収特性が現れる波長域(例えば、1650〜1750nm)の光を、運転席に着座した運転者の呼気に向けて照射する。照明装置12は、受光装置14の受光タイミングに合わせて近赤外光を照射するように制御される。
【0033】
図2に示すように、照明装置12と受光装置14とは、運転者の呼気を左右から挟むように配置され、照明装置12から照射された特定波長域の光が、着座している運転者の呼気中を通過し、受光装置14によって受光される。
【0034】
また、飲酒判定装置10は、受光装置14から出力される受光した光の強度を表わす受光量データに基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ16と、コンピュータ16での処理結果を表示するための表示装置18と、車両の運転者が存在する車両内の環境(例えば、温度や湿度)を示す環境情報を検出するための環境センサ28とを備えている。
【0035】
コンピュータ16は、CPU、後述する飲酒判定処理ルーチンの判定プログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ16をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図1に示すように、受光装置14から出力される受光量データを入力する受光量入力部20と、予め定められた複数の環境の各々に対応して基準受光量を記憶した基準受光量記憶部22と、入力された受光量データが示す受光量、及び環境センサ28で検出された環境情報に対応する基準受光量に基づいて、受光した光の減衰量を算出する減衰量算出部24と、算出された光の減衰量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定部26とを備えている。
【0036】
基準受光量記憶部22には、照明装置12と受光装置14との間の大気中にエタノールが含まれない場合に、受光装置14によって受光される光の強度が基準受光量として予め記憶されている。また、この基準受光量は、湿度や気温などによって変化するため、湿度や気温などで定められる複数の環境情報の各々に対応した基準受光量が基準受光量記憶部22に記憶されている。
【0037】
減衰量算出部24は、受光装置14によって受光した受光量と、基準受光量記憶部222に記憶されている検出された環境情報に対応する基準受光量とを比較することで、照明装置12で照射されてから受光装置14で受光されるまでの間に減衰して低下した光の光量(光の強度)を示す減衰量を算出する。
【0038】
飲酒判定部26は、算出した減衰量と所定のしきい値(しきい値も、気温や湿度などの環境情報に応じて変化するように設定しておいてもよい)とを比較して、運転者の呼気中に所定量以上のエタノールが含まれているか否かが判定され、所定量以上のエタノールが含まれている場合には飲酒状態と判定され、含まれているエタノールが所定量未満である場合には、非飲酒状態と判定される。
【0039】
表示装置18は、コンピュータ16による判定結果を出力画面に表示して、判定対象者である運転者に判定結果を伝達する。
【0040】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。近赤外光波長域においてエタノールによる吸収特性が現れる波長域が存在することが分かっている。従って、エタノールによる吸収特性が現れる波長域の光が飲酒状態の人の呼気中を通過する際に、光量(光の強度)が大きく減衰して低下する。この光量変化を検知することにより、非接触で飲酒状態を判定することができる。
【0041】
次に、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置10の作用について説明する。
【0042】
まず、車両の運転席に運転者が着座し、照明装置12と受光装置14との間に、運転者の呼気が位置しているときに、照明装置12から近赤外光波長域の特定波長域の光が照射され、運転者の呼気中を通過し、受光装置14によって特定波長域の光が受光されると、コンピュータ16において、図3に示す飲酒判定処理ルーチンが実行される。
【0043】
まず、ステップ100において、受光装置14から、近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量を示す受光量データを取得し、ステップ102において、環境センサ28から、車両内の温度や湿度を示す環境情報を取得し、ステップ104において、基準受光量記憶部22から、上記ステップ102で取得した環境情報に対応する基準受光量を取得する。
【0044】
そして、ステップ106において、上記ステップ100で取得した受光量データが示す受光量と上記ステップ104で取得した基準受光量とを比較して、受光した光の減衰量を算出し、ステップ108において、上記ステップ106で算出された減衰量が、予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量と、非飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量とに基づいて、光の減衰量を求めておき、求められた減衰量に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0045】
上記ステップ108において、算出した減衰量が、しきい値より大きい場合には、運転者の呼気中に所定量以上のエタノールが含まれているため光量が減衰し受光量が低下したと判断し、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出した減衰量が、しきい値未満である場合には、運転者の呼気中に所定量以上のエタノールが含まれていないため光量が減衰せずに受光量が低下していないと判断し、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0046】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる吸収特性が現れる特定波長域の光を、運転者の呼気中を通過させて受光して、受光量を、検出された環境情報におけるエタノールを含まない大気中を通過させたときの基準受光量と比較して光の減衰量を算出し、算出された減衰量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0047】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態では、照射装置で照射された光をミラーで反射させ、反射した光を受光装置で受光している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0049】
第2の実施の形態に係る飲酒判定装置10では、図4に示すように、運転者の片側に、照明装置12及び受光装置14を配置し、反対側に光を反射するためのミラー200を配置する。照明装置12から照射された特定波長域の光が、運転者の呼気中を通過した後に、ミラー200で反射され、反射された光が、再び運転者の呼気中を通過した後に、受光装置14によって受光される。このように、照射された特定波長域の光が、運転者の呼気中を2度通過し、呼気中を長く通過するため、呼気中にエタノールが含まれている場合に光量が大きく減衰して低下し、光量変化をより検知しやすくなる。
【0050】
なお、他の構成や作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
第3の実施の形態では、運転者の呼気中を通過した光の受光量と、呼気中を通過しない光の受光量とに基づいて、飲酒状態を判定している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0053】
図5に示すように、第3の実施の形態に係る飲酒判定装置310は、照明装置12と、受光装置14と、近赤外光波長域の特定波長域の光を判定対象者である運転者の呼気中を通過しないように照射する照明装置312と、特定波長域の光に感度を有し、照明装置312が照射する光を受光して、光の強度に応じた電気信号へ変換する受光装置314とを備えている。
【0054】
図6に示すように、照明装置12から照射される光の光路と照明装置312から照射される光の光路とは異なっており、運転者が運転席に着座したときに、照明装置12から受光装置14への光の光路が、運転者の鼻及び口周辺に存在する呼気中を通過するように、照明装置12及び受光装置14が配置され、一方、照明装置312から受光装置314への光の光路が、運転者の呼気中を通過せずに、例えば、運転者の頭上を通過するように、照明装置312及び受光装置314が配置される。従って、受光装置14から出力される受光量データから判定対象となる受光強度が測定され、受光装置314から出力される受光量データから基準となる受光強度が測定される。なお、照明装置12から受光装置14までの光路長と、照明装置312から受光装置314までの光路長とが等しくなるように配置されていることが好ましい。
【0055】
また、照明装置312は、照明装置12と同様に、近赤外光波長域の特定波長域の光として、例えば1650〜1750nmの波長域の光を照射する。照明装置312は、受光装置314の受光タイミングに合わせて近赤外光を照射するように制御される。
【0056】
また、飲酒判定装置310は、受光装置14及び受光装置314の各々から出力される受光した光の強度を表わす受光量データに基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ316と、表示装置18とを備えている。
【0057】
コンピュータ316は、受光装置14及び受光装置314の各々から出力される受光量データを入力する受光量入力部320と、入力された各受光量データが示す受光量に基づいて、受光装置14が受光した光の減衰量を算出する減衰量算出部324と、飲酒判定部26とを備えている。
【0058】
減衰量算出部324は、受光装置14で受光した判定対象となる受光量と、受光装置314で受光した基準受光量としての受光量とを比較することで、照明装置12で照射されてから受光装置14で受光されるまでの間に減衰して低下した光の光量(光の強度)である減衰量を算出する。
【0059】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。エタノールによる吸収特性が現れる波長域の光が飲酒状態の人の呼気中を通過する際に、光量(光の強度)が大きく減衰して低下する。一方、呼気中を通過しない光については、エタノールを含まない大気中を通過するため、光量が大きく減衰することがない。従って、受光量を比較して、呼気中を通過した光の受光量の変化を検知することにより、非接触で飲酒状態を判定することができる。
【0060】
次に、第3の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンについて図7を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
まず、ステップ100において、受光装置14から、近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量を示す受光量データを取得し、ステップ350において、受光装置314から、近赤外光波長域の特定波長域の光の基準となる受光量を示す受光量データを取得し、そして、ステップ352において、上記ステップ100で取得した受光量データが示す受光量と上記ステップ350で取得した受光量データが示す基準受光量とを比較して、受光した光の減衰量を算出する。
【0062】
次のステップ108では、上記ステップ352で算出された減衰量が、予め定められたしきい値より大きいか否かを判定し、算出した減衰量が、しきい値より大きい場合には、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出した減衰量が、しきい値未満である場合には、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0063】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる吸収特性が現れる特定波長域の光を、運転者の呼気中を通過させて受光すると共に、特定波長域の光を運転者の呼気中を通過させずに受光し、これらの受光量を比較して、呼気中を通過した光の減衰量を算出し、算出された減衰量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0064】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
第4の実施の形態では、複数の波長域の光を照射し、複数の波長域の光の受光量に基づいて、飲酒状態を判定している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0066】
図8に示すように、第4の実施の形態に係る飲酒判定装置410は、近赤外光波長域の特定波長域の光及び可視光域の光の各々を運転者の呼気中を通過するように照射する照明装置412と、特定波長域の光及び可視光域の光の各々に感度を有し、照明装置412が照射する特定波長域の光及び可視光域の光を同時又は順番に受光して、光の強度に応じた電気信号へ変換し、特定波長域の光の受光量を示す受光量データと可視光域の光の受光量を示す受光量データとを出力する受光装置414とを備えている。
【0067】
照明装置412は、近赤外光波長域の特定波長域の光としての1650〜1750nmの波長域の光と、可視光域の光とを、運転席に着座した運転者の呼気に向けて照射する。
【0068】
照明装置412と受光装置414とは、運転者の呼気を左右から挟むように配置され、照明装置412から照射された特定波長域の光及び可視光域の光の各々が、着座している運転者の呼気中を通過し、受光装置414によって受光される。
【0069】
受光装置414から出力される特定波長域の光に関する受光量データから判定対象となる受光強度が測定され、受光装置414から出力される可視光域の光に関する受光量データから基準となる受光強度が測定される。
【0070】
飲酒判定装置410のコンピュータ416は、受光装置414から出力される特定波長域の光に関する受光量データと可視光域の光に関する受光量データとを入力する受光量入力部420と、入力された特定波長域の光に関する受光量データが示す受光量、及び入力された可視光域の光に関する受光量データが示す受光量に基づいて、受光した特定波長域の光の減衰量を算出する減衰量算出部424と、飲酒判定部26とを備えている。
【0071】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。エタノールによる吸収特性が現れる波長域の光が飲酒状態の人の呼気中を通過する際に、光量(光の強度)が大きく減衰して低下する。一方、エタノールによる吸収特性が現れない波長域の光が呼気中を通過しても、光量が大きく減衰することがない。従って、特定波長域の光の受光量と可視光域の光の受光量とを比較して、呼気中を通過した特定波長域の光の受光量の変化を検知することにより、非接触で飲酒状態を判定することができる。
【0072】
次に、第4の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンについて図9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
まず、ステップ450において、受光装置414から、近赤外光波長域の特定波長域の光の受光量を示す受光量データと可視光域の光の受光量を示す受光量データとを取得し、そして、ステップ452において、上記ステップ450で取得した特定波長域の光に関する受光量データが示す受光量と可視光域の光に関する受光量データが示す受光量とを比較して、受光した特定波長域の光の減衰量を算出する。
【0074】
次のステップ108では、上記ステップ452で算出された減衰量が、予め定められたしきい値より大きいか否かを判定し、算出した減衰量が、しきい値より大きい場合には、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出した減衰量が、しきい値未満である場合には、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0075】
以上説明したように、第4の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる吸収特性が現れる特定波長域の光を、運転者の呼気中を通過させて受光すると共に、特定波長域とは異なる可視光域の光を、呼気中を通過させて受光し、これらの受光量を比較して特定波長域の光の減衰量を算出し、算出された減衰量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0076】
なお、上記の実施の形態では、特定波長域とは異なる光の波長域が可視光域である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、特定波長域とは異なる光の波長域が、特定波長域と異なっていれば、近赤外光波長域であってもよい。
【0077】
また、特定波長域及び可視光域の各々の光の光路上にミラーを設けるようにしてもよい。この場合には、受光装置は、ミラーで反射された特定波長域及び可視光域の各々の光を受光するようにすればよい。
【0078】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第5の実施の形態では、運転者が運転席に着座してから所定時間内に飲酒状態を判定している点が第3の実施の形態と異なっている。
【0080】
図10に示すように、第5の実施の形態に係る飲酒判定装置510は、照明装置12と、受光装置14と、照明装置312と、受光装置314と、運転者が運転席に着座したことを検知するための着座センサ520と、受光装置14及び受光装置314の各々から出力される受光した光の強度を表わす受光量データに基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ516と、表示装置18とを備えている。
【0081】
着座センサ520は、運転席に埋設され、運転者が運転席に着座したことを検知する。コンピュータ516は、受光量入力部320と、減衰量算出部324と、着座センサ520の出力に基づいて、運転者が運転席に着座してからの経過時間を計測する時間計測部524と、時間計測部524によって計測された時間が所定時間以内に飲酒状態を判定する飲酒判定部526とを備えている。
【0082】
飲酒判定部526は、所定時間以内に飲酒状態を判定し、計測された時間が所定時間を越えた場合には、飲酒状態を判定しない。なお、所定時間内の経過時間に応じて変更したしきい値を用いて、飲酒状態の判定を行なってもよい。これによって、所定時間内での減衰量の変化を考慮して、飲酒状態を判定することができる。
【0083】
運転者が運転席に着座してから長時間経過して、呼気に含まれるエタノールが車両内に充満した場合には、受光装置14の受光量と受光装置314の受光量との差が小さくなり、飲酒状態の判定を精度よく行えないため、所定時間内に飲酒状態を判定することにより、精度よく飲酒状態を判定することができる。
【0084】
なお、飲酒判定装置510の作用について、上述した部分以外については第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
図11に示すように、第6の実施の形態に係る飲酒判定装置610は、近赤外光波長域の特定波長域の光を判定対象者である運転者の顔に対して照射する照明装置612と、照明装置612が照射する特定波長域の光に感度を有する受光デバイスを備え、かつ、運転者の顔を含む被写体の像を撮像画像として取得する撮像装置614とを備えている。
【0087】
照明装置612は、近赤外光波長域の特定波長域の光として、例えば1650〜1750nmの波長域の光を運転者の顔に照射する。照明装置612は、撮像装置614のシャッターに合わせて近赤外光を照射するように制御される。
【0088】
撮像装置614は、1650〜1750nmの特定波長域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)を備え、エタノールによる光の吸収特性が現れる特定波長域の撮像画像を出力する。また、撮像装置614は、受光デバイスで生成された画像信号をA/D変換するA/D変換部(図示省略)と、A/D変換された画像信号を一時的に格納するための画像メモリ(図示省略)とを備えている。
【0089】
また、飲酒判定装置610は、撮像装置614から出力される撮像画像に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ616と、表示装置18とを備えている。
【0090】
コンピュータ616は、撮像装置614から出力される濃淡画像である撮像画像を入力する画像入力部620と、画像入力部620によって入力された撮像画像から顔及び鼻を検出して、鼻を境として顔領域を上下に2分割し、上側の基準領域と下側の判定対象領域とを抽出する領域分割抽出部622と、基準領域及び判定対象領域の各々から、画像特徴量として輝度値を抽出する特徴量抽出部624と、算出された画像特徴量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定部626とを備えている。
【0091】
領域分割抽出部622では、パターンマッチングなどの従来の画像処理技術の手法によって、撮像画像から顔を表わす領域と鼻位置が検出され、図12に示すように、顔の幅方向の鼻位置を通過する直線を境として顔領域を上下に2分割し、呼気を含む領域である判定対象領域として、顔領域の下側の領域が抽出され、呼気を含まない領域である基準領域として、顔領域の上側の領域が抽出される。
【0092】
飲酒判定部626は、抽出された基準領域の画像特徴量と判定対象領域の画像特徴量とを比較して、これらの画像特徴量の差が大きい場合には、飲酒状態と判定され、画像特徴量の差が小さい場合には、非飲酒状態と判定される。
【0093】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。エタノールによる光の吸収特性が現れる波長域に感度を有する撮像装置によって運転者の顔を撮影した場合には、鼻より上側の領域よりも鼻より下側の領域の方が、運転者の呼気に含まれるエタノールの影響が強く現れる。呼気中での光の減衰の影響により、エタノールを含まない大気中を表わす上側の基準領域に比べ、下側の判定対象領域内の輝度やコントラストが低下し、またはエッジ境界がはっきりしなくなる。この現象を撮像した画像から認識することによって、飲酒状態を検知することができる。
【0094】
次に、第6の実施の形態に係る飲酒判定装置610の作用について説明する。
【0095】
まず、撮像装置614が、運転者の顔に向けられ、撮像装置614によって運転者の顔を表わす撮像画像が撮像されると、コンピュータ616において、図13に示す飲酒判定処理ルーチンが実行される。
【0096】
まず、ステップ650において、撮像装置614から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を取得し、ステップ652において、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像から、鼻位置及び顔領域を検出する。
【0097】
そして、ステップ654において、鼻位置を境にして顔領域を上下に2分割して、上側の領域を基準領域として抽出すると共に、下側の領域を判定対象領域として抽出し、次のステップ656で、上記ステップ654で抽出された基準領域から画像特徴量として輝度値を抽出すると共に、判定対象領域から画像特徴量として輝度値を抽出する。
【0098】
そして、ステップ658において、上記ステップ656で抽出された画像特徴量の差が予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の顔領域の上側領域の輝度値と下側領域の輝度値との差を求めておき、求められた差に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0099】
上記ステップ658において、基準領域の輝度値から判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値より大きい場合には、運転者の呼気に含まれているエタノールの光の吸収特性によって、判定対象領域の輝度値が低下したと判断し、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。一方、上記ステップ658において、基準領域の輝度値から判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値以下である場合には、運転者の呼気にエタノールが含まれておらず、エタノールによる光の吸収特性が見られないため、判定対象領域の輝度値が低下していないと判断し、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0100】
以上説明したように、第6の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる光の吸収特性が現れる特定波長域の撮像画像における運転者の呼気を含む領域を表わす判定対象領域の画像特徴量と、呼気を表さない基準領域の画像特徴量とを比較して、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0101】
なお、上記の実施の形態では、運転者が運転席に着座してからの経過時間を計測し、所定時間内に飲酒状態の判定を行うようにしてもよい。これによって、運転者の呼気が車両内に充満して、基準領域の画像特徴量と判定対象領域の画像特徴量との差が小さくなってしまう前に、運転者の飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0102】
次に、第7の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第6の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
第7の実施の形態では、異なる複数の波長域の撮像画像から抽出される画像特徴量を比較して、飲酒状態を判定している点が第6の実施の形態と異なっている。
【0104】
図14に示すように、第7の実施の形態に係る飲酒判定装置710は、近赤外光波長域の特定波長域(例えば1650〜1750nm)の光及び可視光域の光の各々を判定対象者である運転者の顔に対して照射する照明装置712と、照明装置712が照射する特定波長域の光に感度を有する受光デバイス及び照明装置712が照射する可視光域の光に感度を有する受光デバイスを備え、かつ、運転者の顔を含む被写体の像を撮像画像として取得する撮像装置714とを備えている。
【0105】
撮像装置714は、1650〜1750nmの特定波長域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)と、特定波長域とは異なる可視光域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)とを備え、エタノールによる光の吸収特性が異なる特定波長域の撮像画像と可視光域の撮像画像とを出力する。なお、撮像装置714は、3CCDカメラのようにプリズムやハーフミラーを用いて複数波長域(特定波長域と可視光域)の画像を一度に撮影してもよいし、時間的にフィルタを切り換えて撮影してもよい。単板式カラーカメラのように画素ごとに異なるフィルタを配列してもよい。
【0106】
また、2つの受光デバイスが感度を有する波長域について、一方の波長域が近赤外光波長域を含み、かつ、主要な波長域が異なっていれば、波長域の一部が重複していてもよい。
【0107】
また、飲酒判定装置710のコンピュータ716は、撮像装置714から出力される濃淡画像である2つの撮像画像を入力する画像入力部720と、画像入力部720によって入力された2つの撮像画像の各々から顔及び鼻を検出して、鼻を境として顔領域を上下に2分割し、特定波長域の撮像画像から、下側の領域を判定対象領域として抽出すると共に、可視光域の撮像画像から、下側の領域を基準領域として抽出する対象領域抽出部722と、特定波長域の撮像画像の判定対象領域及び可視光域の撮像画像の基準領域の各々から、画像特徴量として輝度値を抽出する特徴量抽出部724と、飲酒判定部626とを備えている。
【0108】
対象領域抽出部722では、2つの撮像画像の各々から顔を表わす領域と鼻位置とが検出され、鼻位置を境として顔領域を上下に2分割し、特定波長域の撮像画像から、呼気を含み、かつ、エタノールによる吸収特性が現れる判定対象領域として、顔領域の下側の領域が抽出され、可視光域の撮像画像から、呼気を含み、かつ、エタノールによる吸収特性が現れない基準領域として、顔領域の下側の領域が抽出される。
【0109】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。例えばエタノールによる光の吸光特性が見られる波長域Aの撮像画像と、エタノールによる光の吸収特性が見られない波長域Bの撮像画像とを取得することを考える。このとき、被写体である運転者が飲酒状態であれば波長域Aの撮像画像の輝度は飲酒状態でない場合に比べて小さくなる(暗く写る)。波長域Bの撮像画像の輝度値では飲酒状態と非飲酒状態とでそのような変化は現れない。したがって,波長域Bの撮像画像の輝度値と波長域Aの撮像画像の輝度値との差を算出し、算出された差の大きさが、大きい場合には、運転者が飲酒状態であると判定され、算出された比の大きさが、小さい場合には、運転者が飲酒状態でないと判定される。
【0110】
次に第7の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンについて図15を用いて説明する。なお、第6の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
まず、ステップ750において、撮像装置714から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像と可視光域の撮像画像とを取得し、ステップ752において、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像及び可視光域の撮像画像の各々から、鼻位置及び顔領域を検出する。
【0112】
そして、ステップ754において、特定波長域の撮像画像から、鼻位置を境にして顔領域を上下に2分割して、下側の領域を判定対象領域として抽出すると共に、可視光域の撮像画像から、鼻位置を境にして顔領域を上下に2分割して、下側の領域を基準領域として抽出する。そして、次のステップ756で、上記ステップ754で抽出された可視光域の撮像画像の基準領域から画像特徴量として輝度値を抽出すると共に、特定波長域の撮像画像の判定対象領域から画像特徴量として輝度値を抽出する。
【0113】
そして、ステップ758において、上記ステップ756で抽出された画像特徴量の差が予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の顔領域の下側領域の輝度値と、可視光域の撮像画像の顔領域の下側領域の輝度値との差を求めておき、求められた差に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0114】
上記ステップ758において、可視光域の撮像画像の基準領域の輝度値から特定波長域の撮像画像の判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値より大きい場合には、運転者の呼気に含まれているエタノールの光の吸収特性によって、判定対象領域の輝度値が低下したと判断し、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。一方、上記ステップ758において、可視光域の撮像画像の基準領域の輝度値から特定波長域の撮像画像の判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値以下である場合には、運転者の呼気にエタノールが含まれておらず、エタノールによる光の吸収特性が見られないため、判定対象領域の輝度値が低下していないと判断し、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0115】
以上説明したように、第7の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる光の吸収特性が現れる特定波長域の撮像画像における運転者の呼気を含む領域を表わす判定対象領域の画像特徴量と、可視光域の撮像画像における運転者の呼気を含む領域を表わす基準領域の画像特徴量とを比較して、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0116】
なお、上記の実施の形態では、基準領域を抽出するための画像が、可視光域の撮像画像である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、基準領域を抽出するための画像の波長域が、特定波長域と異なっていれば、近赤外光波長域であってもよい。
【0117】
次に、第8の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第6の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0118】
第8の実施の形態では、判定対象の運転者を撮像した撮像画像から抽出される画像特徴量と、記憶されている基準となる画像特徴量とを比較して、飲酒状態を判定している点が第6の実施の形態と異なっている。
【0119】
図16に示すように、第8の実施の形態に係る飲酒判定装置810のコンピュータ816は、画像入力部620と、画像入力部620によって入力された撮像画像から顔及び鼻を検出して、鼻を境として顔領域を上下に2分割して、下側領域を判定対象領域として抽出する対象領域抽出部822と、判定対象領域から、画像特徴量として輝度値を抽出する特徴量抽出部824と、エタノールを含まない呼気を含む領域を表わす基準画像から抽出される画像特徴量を基準特徴量として予め記憶した基準特徴量記憶部828と、算出された画像特徴量と記憶された基準特徴量とに基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定部826とを備えている。
【0120】
撮像装置614によって過去に撮像された飲酒状態でない運転者の顔を表わす撮像画像の顔領域を、鼻位置を境にして上下に分割し、下側の領域から抽出された輝度値を基準特徴量として基準特徴量記憶部828に記憶している。なお、過去に撮像された非飲酒状態の運転者の顔を表わす複数の撮像画像から、学習データとして顔領域の下側領域の画像特徴量を抽出し、抽出された複数の学習データから求められた画像特徴量を基準特徴量として記憶しておいてもよい。
【0121】
次に、第8の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンの内容について図17を用いて説明する。なお、第6の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0122】
まず、ステップ650において、撮像装置614から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を取得し、ステップ652において、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像から、鼻位置及び顔領域を検出する。
【0123】
そして、ステップ850において、鼻位置を境にして顔領域を上下に2分割して、下側領域を判定対象領域として抽出し、次のステップ852で、上記ステップ850で抽出された判定対象領域から画像特徴量として輝度値を抽出する。
【0124】
そして、ステップ854において、基準特徴量記憶部828から基準特徴量を取得し、次にステップ856で、上記ステップ854で取得された基準特徴量と上記ステップ852で抽出された画像特徴量との差が予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、非飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の顔領域の下側領域の輝度値と、飲酒状態における特定波長域の撮像画像の顔領域の下側領域の輝度値との差を求めておき、求められた差に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0125】
上記ステップ856において、基準特徴量である輝度値から判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値より大きい場合には、運転者の呼気に含まれているエタノールの光の吸収特性によって、判定対象領域の輝度値が低下したと判断し、ステップ110で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。一方、上記ステップ856において、基準特徴量である輝度値から判定対象領域の輝度値を引いた値が、しきい値以下である場合には、運転者の呼気にエタノールが含まれておらず、エタノールによる光の吸収特性が見られないため、判定対象領域の輝度値が低下していないと判断し、ステップ112で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0126】
以上説明したように、第8の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域のエタノールによる光の吸収特性が現れる特定波長域の撮像画像における運転者の呼気を含む領域を表わす判定対象領域の画像特徴量と、過去に撮像されたエタノールを含まない呼気を表わす特定波長域の撮像画像における呼気を含む領域を表わす基準領域の画像特徴量とを比較して、運転者の飲酒状態を判定するため、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0127】
なお、上記の実施の形態では、基準特徴量記憶部には、基準領域の画像特徴量が一つ記憶されている場合を例に説明したが、予め定められた複数の環境の各々に応じた基準領域の画像特徴量を複数記憶するようにしてもよい。この場合には、運転者が存在する環境を検出するための環境センサを車両内に設け、飲酒状態を判定するときには、環境センサで検出された環境情報に対応する基準領域の画像特徴量を基準特徴量記憶部から取得し、判定対象領域の画像特徴量と取得した基準領域の画像特徴量とを比較して、飲酒状態を判定するようにしてもよい。
【0128】
上記の第5の実施の形態〜第8の実施の形態では、画像特徴量として、領域内の輝度値を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、コントラスト、エッジ強度、及びエッジ強度の分散の何れか一つを用いてもよい。また、輝度値、コントラスト、エッジ強度、及びエッジ強度の分散の少なくとも2つの組み合わせであってもよい。この場合には、画像特徴量の組み合わせの差に基づいて、飲酒状態を判定すればよい。
【0129】
また、基準領域の画像特徴量と判定対象領域の画像特徴量との差に基づいて、飲酒状態を判定する場合を例に説明したが、基準領域の画像特徴量と判定対象領域の画像特徴量との相対値に基づいて、飲酒状態を判定すればよく、例えば、基準領域の画像特徴量と判定対象領域の画像特徴量との比に基づいて、飲酒状態を判定してもよい。
【0130】
上記の第1の実施の形態〜第8の実施の形態では、判定結果を表示装置に表示して、運転者に判定結果を伝達する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、音声を通じて運転者に判定結果を伝達するようにしてもよい。また、判定結果に基づいて、エンジン停止などの制御を行うようにしてもよい。
【0131】
また、特定波長域が、近赤外光波長域の1650〜1750nmである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、近赤外光波長域の1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含む波長域であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る照明装置及び受光装置の配置位置を示すイメージ図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る照明装置、受光装置、及びミラーの配置位置を示すイメージ図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る照明装置及び受光装置の配置位置を示すイメージ図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図12】顔領域を上下に2分割した様子を示すイメージ図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図15】本発明の第7の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
10、310、410、510、610、710、810 飲酒判定装置
12、312、412、612、712 照明装置
14、314、414 受光装置
16、316、416、516、616、716、816 コンピュータ
18 表示装置
20、320、420 受光量入力部
22 基準受光量記憶部
24、324、424 減衰量算出部
26、526、626、826飲酒判定部
28 環境センサ
200 ミラー
222 基準受光量記憶部
520 着座センサ
524 時間計測部
614、714 撮像装置
620、720 画像入力部
622 領域分割抽出部
624、724、824 特徴量抽出部
722、822 対象領域抽出部
828 基準特徴量記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域の光を照射する第1照射手段と、
前記第1照射手段によって照射される光とは異なる光路に前記所定波長域を含む波長域の光を照射する第2照射手段と、
前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記第1照射手段によって照射された光を受光する第1受光手段と、
前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記第2照射手段によって照射された光を受光する第2受光手段と、
前記第1照射手段によって照射され、かつ、判定対象者の呼気中を通過して前記第1受光手段によって受光された光の受光量、及び前記第2照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過せずに前記第2受光手段によって受光された光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項2】
少なくとも一つの波長域が近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む各々異なる複数の波長域の光を照射する照射手段と、
少なくとも一つの波長域が前記所定波長域を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、前記照射手段によって照射された前記複数の波長域の光を受光すると共に、前記複数の波長域の各々の光の受光量を出力する受光手段と、
前記照射手段によって照射され、かつ、判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された前記所定波長域を含む波長域の光の受光量、及び前記照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された該波長域以外の波長域の光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項3】
近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域の光を照射する照射手段と、
前記所定波長域を含む波長域に感度を有し、前記照射手段によって照射された光を受光する受光手段と、
判定対象者が存在する環境を検出する判定環境検出手段と、
予め定められた複数の環境の各々について、前記照射手段によって照射され、かつ、該環境におけるアルコールを含まない大気中を通過して前記受光手段によって受光された光の受光量を記憶した記憶手段と、
前記照射手段によって照射され、かつ、前記判定対象者の呼気中を通過して前記受光手段によって受光された光の受光量、及び前記記憶手段に記憶され、かつ、前記判定環境検出手段によって検出された環境に対応する光の受光量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項4】
前記判定対象者は車両の運転者であって、
前記判定手段は、前記運転者が運転席に着座してから所定時間内に、前記運転者の飲酒状態を判定する請求項1記載の飲酒判定装置。
【請求項5】
前記照射手段によって照射された光の光路上に配置された反射板を更に含み、
前記受光手段は、前記照射手段によって照射された光であって、かつ、前記反射板によって反射された光を受光する請求項1〜請求項4の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項6】
近赤外光波長域のアルコールによる吸収特性が現れる所定波長域を含む波長域に感度を有する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された判定対象者の呼気を含む領域を表わす判定対象画像の画像特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段によって抽出された前記画像特徴量、及び前記アルコールを含まない大気中を表わす画像又は前記アルコールによる光の吸収特性が前記判定対象画像と異なる画像である基準画像の画像特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、少なくとも一つの波長域が前記所定波長域を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、前記複数の波長域の各々の画像を出力し、
前記特徴量抽出手段は、前記撮像手段により撮像された前記複数の波長域のうちの前記所定波長域を含む波長域の前記判定対象画像の画像特徴量を抽出すると共に、前記撮像手段により撮像された前記複数の波長域のうちの前記判定対象画像の波長域以外の波長域の前記基準画像の画像特徴量を抽出し、
前記判定手段は、前記特徴量抽出手段によって抽出された前記判定対象画像の前記画像特徴量及び前記基準画像の前記画像特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する請求項6記載の飲酒判定装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記特徴量抽出手段によって抽出された前記判定対象画像の前記画像特徴量、及び前記撮像手段によって過去に撮像された前記判定対象者のアルコールが含まれていない呼気を含む領域を表わす前記基準画像の前記画像特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する請求項6記載の飲酒判定装置。
【請求項9】
前記撮像手段によって撮像された前記判定対象者を表わす画像から、前記判定対象者の呼気を含む領域を表わす前記判定対象画像、及び前記判定対象者の呼気を含まない領域を表わす前記基準画像を抽出する画像抽出手段を更に含み、
前記特徴量抽出手段は、前記画像抽出手段により抽出された前記判定対象画像の前記画像特徴量を抽出すると共に、前記画像抽出手段により抽出された前記基準画像の前記画像特徴量を抽出し、
前記判定手段は、前記特徴量抽出手段によって抽出された前記判定対象画像の前記画像特徴量及び前記基準画像の前記画像特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する請求項6記載の飲酒判定装置。
【請求項10】
前記画像特徴量は、輝度、コントラスト、エッジ強度、及びエッジ強度の分散の少なくとも一つを含む請求項6〜請求項9の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項11】
前記所定波長域を、前記近赤外光波長域の1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含んだ波長域とした請求項1〜請求項10の何れか1項記載の飲酒判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−31002(P2009−31002A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192375(P2007−192375)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】