説明

飲酒運転防止装置

【課題】飲酒検査の実施による運転者の煩わしさを軽減することができる飲酒運転防止装置を提供する。
【解決手段】飲酒運転防止装置1は、アクチュエーション部6を制御するECU2を備えており、ECU2には、イグニションセンサ3と、飲酒検査器4と、個人認証装置(個人識別手段)5とが接続されている。このECU2は、タイマ21と、飲酒運転防止処理を行う飲酒運転防止処理部22と、所定条件の下で、飲酒運転防止処理を禁止する飲酒検査判定処理部23とを備えている。そして、飲酒検査判定処理部23は、エンジン停止からの経過時間が所定時間内である場合は、飲酒運転防止処理部22による飲酒運転防止処理を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者による飲酒検査が行われない場合に飲酒運転防止処理を行う飲酒運転防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲酒運転を防止するために、アルコールインターロックシステムなどの飲酒運転防止装置が知られている。この飲酒運転防止装置は、運転者による飲酒検査がおこなわれないと、アルコールインターロックシステムにより車両の走行が禁止されている。そして、飲酒運転防止装置は、運転者による飲酒検査により飲酒していないと判断した場合に、アルコールインターロックシステムを解除して、車両の走行を許可するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−096663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の飲酒運転防止装置では、運転者は、飲酒していなくても、エンジンを始動させて車両を走行させようとする度に飲酒検査を実施しなければならなかった。特に、乗り降りを頻繁に繰り返す宅配便等の運転者にとっては、飲酒検査が大変煩わしいものとなっていた。
【0004】
そこで、本発明は、飲酒検査の実施による運転者の煩わしさを軽減することができる飲酒運転防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の飲酒運転防止装置は、運転者による飲酒検査が行われない場合に飲酒運転防止処理を行う飲酒運転防止装置において、エンジン停止からの経過時間が所定時間内である場合は、前記飲酒運転防止処理を禁止する飲酒運転防止処理禁止手段を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の飲酒運転防止装置では、エンジン停止から所定時間が経過した後は、運転者による飲酒検査が行われないと、飲酒運転防止処理が行われる。一方、エンジン停止から所定時間が経過するまでは、飲酒運転防止処理が禁止されるため、運転者による飲酒検査を行わなくても、車両を走行させることができる。つまり、エンジンを停止してから車両を走行させるまでの時間が短ければ、運転者は、その間に飲酒していないと考えられる。このため、エンジン停止から所定時間が経過するまでは、飲酒運転防止処理を禁止することで、飲酒検査の実施による運転者の煩わしさを軽減することが可能となる。
【0007】
この場合、飲酒運転防止処理は、前記車両のシフトレバーを固定することが好ましい。この飲酒運転防止装置によれば、車両のシフトレバーを固定することで、車両の走行を阻害し、車両が走行できない状態にすることができる。このため、確実に飲酒運転を防止することが可能となる。
【0008】
また、飲酒運転防止処理は、エンジンの始動を禁止することが好ましい。この飲酒運転防止装置によれば、エンジンの始動を禁止することで、車両の走行を確実に阻害し、車両が全く走行できない状態にすることができる。このため、より確実に飲酒運転を防止することが可能となる。
【0009】
また、エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが同一か否かを判定する運転者判定手段を更に備え、前記運転者判定手段において、エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが異なると判定した場合は、前記経過時間が所定時間内であっても、前記飲酒運転防止処理を行うことが好ましい。
【0010】
この飲酒運転防止装置では、エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが異なる場合は、エンジン停止から所定時間が経過する前であっても、運転者による飲酒検査が行われないと飲酒運転防止処理が行われる。つまり、車両の運転者が変わる場合は、エンジン停止からの経過時間に基づいて、運転者の飲酒有無を判断することができない。このため、エンジン停止前の運転者と現在の運転者が異なる場合は、運転者による飲酒検査を行わせることで、飲酒運転の見逃しを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲酒検査の実施による運転者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る飲酒運転防止装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の飲酒運転防止装置のブロック構成を示した図である。図に示すように、本実施形態の飲酒運転防止装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2を備えている。ECU2には、イグニションセンサ3と、飲酒検査器4と、個人認証装置(個人識別手段)5とが接続されている。そして、ECU2は、アクチュエーション部6を制御する。
【0014】
イグニションセンサ3は、車両のイグニションスイッチの操作位置を検出する検出器である。イグニションスイッチの操作位置は、ON位置と、OFF位置と、START位置とがある。イグニションスイッチがON位置に操作されると、バッテリーから、ECU2、飲酒検査器4、個人認証装置5等に電力が供給されると共に、セルモータが回転されて、エンジンが始動する。イグニションスイッチがOFF位置に操作されると、バッテリーからECU2、飲酒検査器、個人認証装置5等に供給される電力が遮断され、エンジンが停止する。そして、イグニションセンサ3は、イグニションスイッチがON位置に操作されると、イグニションON信号をECU2に送信し、イグニションスイッチがOFF位置に操作されると、イグニションOFF信号をECU2に送信する。
【0015】
飲酒検査器4は、運転者が飲酒しているか否かを判定する検査器である。飲酒検査器4は、運転者から吹き付けられる呼気からアルコール濃度を検出する。また、飲酒検査器4は、このアルコール濃度が所定値未満であれば、飲酒していないと判定し、所定値以上であれば、飲酒していると判定する。そして、飲酒検査器4は、飲酒しているか否かの飲酒判定結果信号を、ECU2に送信する。
【0016】
個人認証装置5は、運転者が車両を走行させる前に、運転者の個人認証を行う装置である。個人認証装置5は、指紋、静脈、網膜、虹彩、声紋、顔の形等、人間の生体的特徴に基づく認証方法であるバイオメトリクス認証により、運転者の認証を行う。そして、個人認証装置5は、認証した運転者の個人認証情報を、ECU2に送信する。
【0017】
アクチュエーション部6は、ECU2からの指示に基づき、飲酒運転防止処理を実行する処理部である。アクチュエーション部6は、飲酒運転防止処理として、例えば、イグニションキーをON位置に操作されてもエンジンを始動させない始動禁止処理、シフトレバーをP(パーキング)位置に固定して、車両を走行できないようにするインターロック処理、音声又は映像により運転者に警報を発する警報処理、ランプを点滅させる点滅処理、運転代行会社などの管理センターに通報する通報処理などを行う。本実施形態では、ECU2から、車両を走行させる前に行う走行前飲酒運転防止処理を行うように指示された場合、アクチュエーション部6は、インターロック処理を行い、ECU2から、車両を走行させてから行う定期飲酒運転防止処理を行うように指示された場合、アクチュエーション部6は、警報処理を行う。
【0018】
また、ECU2は、イグニションセンサ3から送信されるイグニションON信号及びイグニションOFF信号と、飲酒検査器4から送信される飲酒判定結果信号と、個人認証装置5から送信される個人認証情報とに基づき、アクチュエーション部6を制御する。そして、ECU2は、タイマ21と、飲酒運転防止処理部22と、飲酒検査判定処理部23とを備えており、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。
【0019】
タイマ21は、飲酒検査判定処理部23の指示に基づき、エンジンが停止してからの経過時間を計測する。また、タイマ21は、エンジンが始動すると、飲酒運転防止処理部22の指示に基づき、時間計測を開始すると共に、所定時間ごとに経過時間をリセットする。
【0020】
飲酒運転防止処理部22は、飲酒運転防止処理を行う処理部である。飲酒運転防止処理部22は、イグニションセンサ3から送信されるイグニションON信号及びイグニションOFF信号と、飲酒検査器4から送信される飲酒判定結果信号とに基づき、アクチュエーション部6に走行前飲酒運転防止処理を実行させる。また、飲酒運転防止処理部22は、イグニションセンサ3から送信されるイグニションON信号及びイグニションOFF信号と、飲酒検査器4から送信される飲酒判定結果信号と、タイマ21で計測した経過時間とに基づき、アクチュエーション部6に対して、定期飲酒運転防止処理を実行させる。
【0021】
飲酒検査判定処理部23は、所定条件の下で、飲酒運転防止処理を禁止する処理部である。飲酒検査判定処理部23は、個人認証装置5から送信された個人認証情報を登録する認証データベース(不図示)を備えている。そして、飲酒検査判定処理部23は、イグニションセンサ3から送信されるイグニションON信号及びイグニションOFF信号と、飲酒検査器4から送信される飲酒判定結果信号と、個人認証装置5から送信される個人認証情報と、タイマ21で計測した経過時間とに基づき、所定条件の下で、飲酒運転防止処理部22に対して、飲酒運転防止処理を禁止させる。
【0022】
次に、図2及び図3を参照しながら、本実施形態に係る飲酒運転防止装置1の動作について説明する。
【0023】
始めに、車両を走行させる前の動作を説明する。図2は、飲酒運転防止装置における車両を走行させる前の動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、車両のエンジンが動作しているときに、イグニションスイッチがOFF位置に操作されてエンジンが停止すると、イグニションセンサ3は、イグニションスイッチの操作位置を検出し、イグニションOFF信号をECU2に送信する(ステップS1)。
【0025】
ECU2がイグニションOFF信号を受信すると、飲酒検査判定処理部23は、タイマ21に対して、時間計測を開始させる(ステップS2)。
【0026】
その後、エンジンを始動させるために、運転者によりイグニションスイッチをON位置に操作されると、イグニションセンサ3は、イグニションスイッチの操作位置を検出し、イグニションON信号をECU2に送信する(ステップS3)。
【0027】
ECU2がイグニションON信号を受信すると、飲酒検査判定処理部23は、運転者に対して個人認証操作を促す案内を行い、個人認証装置5から現在の運転者の個人認証情報が送信されるのを待つ。このとき、個人認証装置5では、運転者のバイオメトリクス認証を行い、ECU2に対して、運転者の個人認証情報を送信する。そして、飲酒検査判定処理部23は、個人認証装置5から送信された個人認証情報を取得する(ステップS4)。
【0028】
個人認証情報を取得すると、飲酒検査判定処理部23は、運転者が変更になったか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5を詳しく説明すると、飲酒検査判定処理部23は、ステップS1のイグニションOFF信号を受信する前に個人認証装置5から取得した個人認証情報と、ステップS4において個人認証装置5から取得した個人認証情報とを比較する。つまり、飲酒検査判定処理部23は、エンジン停止前の運転者の個人認証情報と、現在の運転者の個人認証情報とを比較する。そして、飲酒検査判定処理部23は、比較結果に基づき、個人認証情報が同じであれば、運転者が変更になっていない(同じである)と判定し、個人認証情報が異なれば、運転者が変更になったと判定する。
【0029】
ステップS5において、運転者が変更になったと判定した場合(ステップS5:YES)、飲酒検査判定処理部23は、個人認証装置5から送信された個人認証情報を、認証データベースに新規登録し(ステップS6)、ステップS9に進む。
【0030】
一方、ステップS5において、運転者が同じであると判定した場合(ステップS5:NO)、飲酒検査判定処理部23は、タイマ21から、経過時間を取得する(ステップS7)。そして、飲酒検査判定処理部23は、この経過時間が所定時間内か否かを判定する(ステップS8)。ステップS8において、経過時間が所定時間以上であると判定した場合(ステップS8:YES)、飲酒検査判定処理部23は、飲酒運転防止処理部22に対して飲酒運転防止処理を禁止することなく、ステップS9に進む。
【0031】
ステップS9において、ECU2の飲酒運転防止処理部22は、飲酒検査処理を行う(ステップS9)。ステップS9を詳しく説明すると、飲酒運転防止処理部22は、まず、運転者に対して飲酒検査を促す案内を行う。このとき、飲酒検査器4では、飲酒検査を促す案内を聞いた運転者が、飲酒検査器4により飲酒検査を行うと、運転者の呼気からアルコール濃度を検出し、このアルコール濃度が所定値未満か否かを判定する。そして、飲酒検査器4では、アルコール濃度が所定値未満であると判定すると、ECU2に対して、飲酒していない旨の飲酒判定結果信号を送信し、アルコール濃度が所定値以上であると判定すると、飲酒運転防止処理部22に対して、飲酒している旨の飲酒判定結果信号を送信する。そして、飲酒運転防止処理部22は、飲酒検査器4から送信された飲酒判定結果信号を取得する。
【0032】
飲酒検査処理が終了すると、飲酒運転防止処理部22は、飲酒判定結果信号の内容に基づき、運転者が飲酒しているか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、運転者が飲酒していると判定した場合(ステップS10:YES)、飲酒運転防止処理部22は、走行前飲酒運転防止処理を行う(ステップS11)。ステップS11を詳しく説明すると、飲酒運転防止処理部22は、アクチュエーション部6に対して、走行前飲酒運転防止処理として、インターロック処理を行わせる。このとき、アクチュエーション部6では、飲酒運転防止処理部22の指示に従い、車両が走行できないようにシフトレバーをP位置に固定するインターロック処理を行う。
【0033】
なお、ステップS9において、運転者が飲酒検査を行わないため、飲酒検査器4から飲酒判定結果信号を取得できない場合、飲酒運転防止処理部22は、ステップS10において飲酒していると判定し、ステップS11の走行前飲酒運転防止処理を行う。また、ステップS4において、運転者が個人認証を行わないため、個人認証装置5から個人認証情報を取得できない場合、飲酒運転防止処理部22は、ステップS11の走行前飲酒運転防止処理を行う。
【0034】
そして、ステップS11において、走行前飲酒運転防止処理が行われた後、イグニションスイッチがOFF位置に操作されると、走行前の処理動作が終了する。
【0035】
一方、ステップS8において、経過時間が所定時間以上でないと判定した場合(ステップS8:NO)、飲酒検査判定処理部23は、飲酒運転防止処理部22に指示して、走行前飲酒運転防止処理を禁止させる(ステップS12)。
【0036】
そして、ステップS12において、飲酒運転防止処理部22による走行前飲酒運転防止処理が禁止されると、飲酒検査が行われなくても、シフトレバーをD(ドライブ)位置に操作することができる状態となる。そして、走行前の処理動作が終了する。
【0037】
次に、車両を走行させてからの動作を説明する。図3は、飲酒運転防止装置における車両を走行させてからの動作を示すフローチャートである。
【0038】
運転者によりイグニションスイッチがON位置に操作されると、エンジンが始動し、ECU2がイグニションON信号を受信すると、飲酒検査判定処理部23は、タイマ21に対して、時間計測を開始させる(ステップS21)。
【0039】
その後、飲酒運転防止処理部22は、タイマ21の計測時間が所定時間を超えるまで待機する(ステップS22)。そして、飲酒運転防止処理部22は、タイマ21の計測時間を監視し、この計測時間が所定時間を超えたことを検出すると(ステップS22:YES)、飲酒検査処理を行う(ステップS23)。なお、ステップS23において、飲酒検査器4では、上記したステップS9と同様に、飲酒運転防止処理部22に対して、飲酒しているか否かを示す飲酒判定結果信号を送信する。そして、飲酒運転防止処理部22は、飲酒検査器4から送信された飲酒判定結果信号を取得する。
【0040】
飲酒検査処理が終了すると、飲酒運転防止処理部22は、飲酒判定結果信号の内容に基づき、運転者が飲酒しているか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24において、運転者が飲酒していると判定した場合(ステップS24:YES)、飲酒運転防止処理部22は、定期飲酒運転防止処理を行う(ステップS25)。ステップS25を詳しく説明すると、飲酒運転防止処理部22は、定期飲酒運転防止処理として、アクチュエーション部6に対して、警報処理を行わせる。このとき、アクチュエーション部6では、飲酒運転防止処理部22の指示に従い、運転者に対して、音声又は映像により飲酒している旨の警報を発する。
【0041】
なお、ステップS23において、運転者が飲酒検査を行わないため、飲酒検査器4から飲酒判定結果信号を取得できない場合、飲酒運転防止処理部22は、ステップS24において飲酒していると判定し、ステップS25の定期飲酒運転防止処理を行う。
【0042】
その後、イグニションスイッチがOFF位置に操作されてエンジンが停止すると、走行してからの処理動作が終了する。
【0043】
一方、ステップS24において、運転者が飲酒していないと判定した場合(ステップS24:NO)、飲酒運転防止処理部22は、定期飲酒運転防止処理を行うことなく、タイマ21の計測時間をリセットする(ステップS26)。
【0044】
その後、イグニションスイッチがOFF位置に操作されてエンジンが停止するまで、上記ステップS22〜S26の処理動作を繰り返す。
【0045】
このように、本実施形態に係る飲酒運転防止装置1では、エンジン停止から所定時間が経過した後は、運転者による飲酒検査が行われないと、飲酒運転防止処理であるインターロック処理が行われて、車両を走行させることができない。一方、エンジン停止から所定時間が経過するまでは、飲酒運転防止処理であるインターロック処理が禁止されるため、運転者による飲酒検査を行わなくても、車両を走行させることができる。つまり、エンジンを停止してから車両を走行させるまでの時間が短ければ、運転者は、その間に飲酒していないと考えられる。このため、エンジン停止から所定時間が経過するまでは、飲酒運転防止処理を禁止することで、飲酒検査の実施による運転者の煩わしさを軽減することが可能となる。
【0046】
この場合、走行前飲酒運転防止処理としてインターロック処理を採用し、飲酒検査により運転者が飲酒していないと判定されるまでは、シフトレバーをP位置に固定することで、車両の走行を阻害し、車両が走行できない状態にすることができる。このため、確実に飲酒運転を防止することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る飲酒運転防止装置1によれば、エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが異なる場合は、エンジン停止から所定時間が経過する前であっても、運転者による飲酒検査が行われないと飲酒運転防止処理が行われる。つまり、車両の運転者が変わる場合は、エンジン停止からの経過時間に基づいて、運転者の飲酒有無を判断することができない。このため、エンジン停止前の運転者と現在の運転者が異なる場合は、運転者による飲酒検査を行わせることで、飲酒運転の見逃しを防止することが可能となる。この場合、判断要素は、運転者が変更になったか否かのみであるため、運転者を事前に登録しなくても、飲酒検査の要否判断を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態に係る飲酒運転防止装置1では、車両の走行中にも、定期的に飲酒検査を行い、飲酒していると判定した場合は、定期飲酒運転防止処理を行う。このため、車両走行中に運転者が飲酒した場合などであっても、運転者の飲酒を確実に検知することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、個人認証装置5は、バイオメトリクス認証により運転者の個人認証を行うように説明したが、IDカードや、その他の認証により運転者の個人認証を行ってもよい。
【0050】
また、走行前飲酒運転処理として、エンジンの始動を許容しながら、シフトレバーをP位置に固定するインターロック処理を採用して説明したが、その他の飲酒運転処理を採用しても良い。例えば、エンジンの始動を禁止する始動禁止処理を採用しても良い。これにより、車両の走行を確実に阻害し、車両が全く走行できない状態にすることができるため、より確実に飲酒運転を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る実施形態の飲酒運転防止装置のブロック構成を示した図である。
【図2】飲酒運転防止装置における車両を走行させる前の動作を示すフローチャートである。
【図3】飲酒運転防止装置における車両を走行させてからの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1…飲酒運転防止装置、2…ECU、5…個人認証装置、22…飲酒運転防止処理部、23…飲酒検査判定処理部(飲酒運転防止処理禁止手段)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による飲酒検査が行われない場合に飲酒運転防止処理を行う飲酒運転防止装置において、
エンジン停止からの経過時間が所定時間内である場合は、前記飲酒運転防止処理を禁止する飲酒運転防止処理禁止手段を備えることを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項2】
前記飲酒運転防止処理は、前記車両のシフトレバーを固定することを特徴とする、請求項1に記載の飲酒運転防止装置。
【請求項3】
前記飲酒運転防止処理は、エンジンの始動を禁止することを特徴とする、請求項1に記載の飲酒運転防止装置。
【請求項4】
エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが同一か否かを判定する運転者判定手段を更に備え、
前記運転者判定手段において、エンジン停止前の運転者と現在の運転者とが異なると判定した場合は、前記経過時間が所定時間内であっても、前記飲酒運転防止処理を行うことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の飲酒運転防止装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−20598(P2009−20598A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181192(P2007−181192)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】