説明

駆動ユニット

【課題】部品点数の削減、径方向への小型化、及び、構造の簡素化を実現する。
【解決手段】駆動ユニット10は、一対の固定軸12,14と、出力軸34を有するロータ16と、ロータ16の径方向外側に設けられたステータ18と、一方の固定軸12及びステータ18と固定されて軸受56,60を介して出力軸34を回転可能に支持するモータハウジング20と、出力軸34に偏芯状態で設けられた偏芯軸36に軸受62を介して回転可能に支持されると共に複数の伝導孔64が形成された外歯歯車22と、複数の伝導孔64に偏芯状態で挿入された複数の内ピン66と、複数の内ピン66を支持すると共に他方の固定軸14に一体に形成されたキャリア本体68とを有するキャリア24と、一対の固定軸12,14に対して軸受84,88により回転可能とされたハブ26と、外歯歯車22が内接噛合されると共にハブ26に一体回転可能に固定された内歯歯車28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定軸(31)と、この固定軸(31)に軸受を介して回転可能に支持された出力軸(21)を有すると共に、モータハウジングに対して出力軸(21)を回転可能に支持する軸受を有するモータ(2)と、出力軸(21)に設けられた偏芯軸(22)に軸受(424)を介して回転可能に支持されたサイクロイド歯車(42)と、このサイクロイド歯車(42)に形成された伝導孔(423)に挿入されたピン(431)を有すると共に、軸受(435)を介して固定軸(31)に回転可能に支持された減速盤(43)と、この減速盤(43)と一体回転可能とされたハブ(1)と、モータ(2)に回転不能な状態で固定されると共に、サイクロイド歯車(42)と噛み合う回転針固定リング(41)と、を備えたサイクロイド減速型電動車輪モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−140996号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記サイクロイド減速型電動車輪モータでは、以下の課題がある。
【0005】
すなわち、出力軸(21)の内側に固定軸(31)が挿通されている。このため、この固定軸(31)に対して出力軸(21)を回転可能に支持する軸受が必要となり、部品点数が増加する。
【0006】
また、この固定軸(31)に対して出力軸(21)を回転可能に支持する軸受と、モータハウジングに対して出力軸(21)を回転可能に支持する軸受とが同心円状に配置されている。このため、モータ(2)が径方向に大型化する。
【0007】
また、回転針固定リング(41)がモータ(2)に回転不能な状態で固定されているため、減速盤(43)を固定軸(31)に対して回転可能にする必要があり、構造が複雑化する。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減できると共に、径方向に小型化でき、且つ、構造を簡素化することができる駆動ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の駆動ユニットは、互いに同軸上に配置され、それぞれ外部に固定される一対の固定軸と、前記一対の固定軸の間に前記一対の固定軸と同軸上に配置された出力軸を有するロータと、環状に形成され、前記ロータの径方向外側に設けられたステータと、前記一対の固定軸の一方と固定されると共に、前記ステータと固定され、且つ、第一軸受を介して前記出力軸を回転可能に支持するモータハウジングと、前記出力軸に偏芯状態で設けられた偏芯軸に第二軸受を介して回転可能に支持されると共に、回転方向に並んで複数の伝導孔が形成された外歯歯車と、前記複数の伝導孔に偏芯状態で挿入された複数の内ピンと、前記複数の内ピンを支持すると共に前記一対の固定軸の他方に一体回転可能に設けられたキャリア本体と、を有するキャリアと、前記一対の固定軸に対して第三軸受により回転可能とされた回転部材と、前記外歯歯車が内接噛合されると共に、前記回転部材に一体回転可能に固定された内歯歯車と、を備えている。
【0010】
この駆動ユニットによれば、一対の固定軸が互いに同軸上に配置されており、この一対の固定軸の間にロータの出力軸が配置されている。このため、一対の固定軸に対して出力軸を回転可能に支持する軸受が不要となり、部品点数を削減することができる。
【0011】
また、上述のように、一対の固定軸に対して出力軸を回転可能に支持する軸受を不要にすることで、複数の軸受が同心円状に配置されることを回避できるので、駆動ユニットを径方向に小型化することができる。
【0012】
さらに、内歯歯車が回転部材に一体回転可能に連結されることで、キャリア本体が一対の固定軸の他方に一体回転可能に設けられているので、構造を簡素化することができる。
【0013】
請求項2に記載の駆動ユニットは、請求項1に記載の駆動ユニットにおいて、前記モータハウジングが、前記出力軸の軸方向に前記キャリア本体と対向する対向壁部を有し、前記複数の内ピンの夫々の軸方向両端部が、前記キャリア本体及び前記対向壁部に固定された構成とされている。
【0014】
この駆動ユニットによれば、内ピンの軸方向両端部がキャリア本体及び対向壁部に支持されているので、内ピンの支持剛性を高めることができる。これにより、振動及び騒音を抑制することができる。
【0015】
また、このように、内ピンの軸方向両端部がキャリア本体及び対向壁部に支持されていると、内ピンの耐久性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の駆動ユニットは、請求項2に記載の駆動ユニットにおいて、前記キャリアには、前記複数の内ピンのうち少なくともいずれかの内ピンと同軸上に、該内ピンの軸方向に貫通する貫通孔が形成され、前記対向壁部には、前記複数の内ピンの夫々の先端部が圧入された複数の圧入孔が形成され、前記複数の圧入孔のうち少なくとも前記貫通孔と同軸上に位置する圧入孔には、ネジ孔部が形成され、前記キャリア本体及び前記対向壁部が、前記貫通孔にボルトが挿通されると共に前記ボルトの先端部が前記ネジ孔部に螺入されることにより互いに固定された構成とされている。
【0017】
この駆動ユニットによれば、ボルトをネジ孔部に螺入することにより、複数の内ピンの夫々の先端部を複数の圧入孔に圧入することができる。これにより、キャリアをモータハウジングに取り付ける際の作業性(例えば、過大な圧入力が不要となり、複数の内ピンの夫々を複数の圧入孔に圧入する際の作業性)を良好にすることができる。
【0018】
また、複数の内ピンの夫々の先端部が複数の圧入孔に圧入されることにより、キャリアとモータハウジングの位置決め精度を向上させることができる。これにより、ロータ、ステータ、及び、モータハウジングを有するモータ部と、外歯歯車、キャリア、及び、内歯歯車を有する減速機構との同軸精度を確保することができる。
【0019】
さらに、キャリア本体と、モータハウジングの対向壁部とは、ボルト及びネジ孔部によって互いに固定されているので、キャリアのモータハウジングへの取付剛性を高めることができる。これにより、振動や騒音をより一層低減することができる。
【0020】
請求項4に記載の駆動ユニットは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の駆動ユニットにおいて、前記モータハウジングが、前記出力軸の軸方向に前記キャリア本体と対向する対向壁部を有し、前記対向壁部には、前記ステータの内側に挿入され前記キャリア本体側に開口する収容凹部が形成され、前記収容凹部には、前記内歯歯車及び前記外歯歯車が収容された構成とされている。
【0021】
この駆動ユニットによれば、モータハウジングの対向壁部には、ステータの内側に挿入された収容凹部が形成されており、この収容凹部には、内歯歯車及び外歯歯車が収容されている。従って、ステータの使用されていないスペースを有効に活用することができるので、駆動ユニットを軸方向に小型化することができる。
【0022】
請求項5に記載の駆動ユニットは、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の駆動ユニットにおいて、前記回転部材と前記内歯歯車とを固定する固定部が、前記内歯歯車よりも径方向外側に設けられた構成とされている。
【0023】
この駆動ユニットによれば、回転部材と内歯歯車とを連結する固定部が、内歯歯車よりも径方向外側に設けられており、これにより、内歯歯車から回転部材に伝わる力のモーメント長が長く確保されている。これにより、例えば、固定部の構成を簡素化することができる。
【0024】
請求項6に記載の駆動ユニットは、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の駆動ユニットにおいて、前記回転部材が、前記ロータ、前記ステータ、前記モータハウジング、前記キャリア、前記外歯歯車、及び、前記内歯歯車を収容し、前記一対の固定軸の他方側に開口部を有するケースと、前記開口部を塞ぐカバーと、を有し、前記キャリアが、前記一対の固定軸の他方と一体に形成され、前記一対の固定軸の一方、前記第一軸受、前記ロータ、前記ステータ、及び、前記モータハウジングは、互いに組み立てられてモータアッセンブリを構成し、前記偏芯軸、前記第二軸受、及び、前記外歯歯車が、互いに組み立てられてギアアッセンブリを構成し、前記カバー、前記第三軸受、及び、前記内歯歯車が、互いに組み立てられてカバーアッセンブリを構成する構成とされている。
【0025】
この駆動ユニットによれば、予め組み立てられたモータアッセンブリ、ギアアッセンブリ、及び、カバーアッセンブリを少なくとも有しているので、全体の組立作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る駆動ユニットの側面断面図である。
【図2】図1に示される駆動ユニットの分解斜視図である。
【図3】図2に示されるカバーアッセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
【0028】
なお、ここでは、一例として、本発明の駆動ユニットが、電動自転車の動力源として使用される例について説明する。
【0029】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る駆動ユニット10は、一対の固定軸12,14と、ロータ16と、ステータ18と、モータハウジング20と、外歯歯車22と、キャリア24と、回転部材の一例であるハブ26と、内歯歯車28とを主要な構成として備えている。
【0030】
一対の固定軸12,14は、互いに同軸上に配置されている。この一対の固定軸12,14には、ネジ部12A,14Aがそれぞれ形成されており、このネジ部12A,14Aには、ナット30,32がそれぞれ螺合されている。一方の固定軸12は、ナット30を用いて外部に固定され、他方の固定軸14は、ナット32を用いて外部に固定される。この場合の外部とは、例えば、自転車の車体である。
【0031】
ロータ16は、後述するステータ18と共にブラシレスモータを構成している。このロータ16は、一対の固定軸12,14の間に、この一対の固定軸12,14と同軸上に配置された出力軸34を有している。この出力軸34における他方の固定軸14側には、偏芯軸36が偏芯状態で設けられている。この偏芯軸36は、セレーション結合部38により出力軸34と結合されており、出力軸34と軸方向の反対側に突出する軸部36Aを有している。この軸部36Aは、出力軸34と同軸上に形成されている。
【0032】
ステータ18は、環状に形成されており、ロータ16の径方向外側に設けられている。このロータ16及びステータ18を有して構成されたブラシレスモータでは、ステータ18に回転磁界が生じると、ロータ16及びステータ18間に吸引・反発力が作用し、ロータ16と共に出力軸34が回転される。
【0033】
モータハウジング20は、一方の固定軸12側からステータ18に取り付けられた第一ハウジング40と、他方の固定軸14側からステータ18に取り付けられた第二ハウジング42とを有している。この第一ハウジング40、ステータ18、及び、第二ハウジング42は、ボルト44により固定されている。さらに、第一ハウジング40及びステータ18は、ボルト45により固定されている。
【0034】
また、第一ハウジング40は、一方の固定軸12側に底部を有する扁平容器状に形成されている。この第一ハウジング40の底部には、円盤状のスペーサ46がボルト48により固定されている。このスペーサ46の中央部には、筒状部50が形成されており、この筒状部50には、一方の固定軸12が圧入されて固定されている。
【0035】
一方、第二ハウジング42は、円盤状に形成されている。この第二ハウジング42は、対向壁部の一例であり、後述するキャリア24に形成されたキャリア本体68と出力軸34の軸方向に対向している。この第二ハウジング42には、収容凹部52が形成されている。この収容凹部52は、キャリア本体68側に開口する凹形状とされており、ステータ18の内側に挿入されている。
【0036】
また、この収容凹部52の底部の中央部には、円環状の軸受収容部54が形成されており、この軸受収容部54には、第一軸受の一例である軸受56が収容されている。同様に、上述の第一ハウジング40の底部の中央部には、軸受収容部58が形成されており、この軸受収容部58には、第一軸受の一例である軸受60が収容されている。この一対の軸受56,60は、出力軸34の軸方向両端部を回転可能に支持している。
【0037】
外歯歯車22は、第二軸受の一例である軸受62を介して偏芯軸36に回転可能に支持されている。図2に示されるように、この外歯歯車22の外周面には、複数の外歯22Aが形成されている。また、この外歯歯車22には、回転方向に並んで複数の伝導孔64が形成されている。この外歯歯車22は、図1に示されるように、後述する内歯歯車28と共に、収容凹部52に収容されている。
【0038】
キャリア24は、図2に示されるように、複数の伝導孔64に偏芯状態で挿入される複数の内ピン66と、この複数の内ピン66を支持する円盤状のキャリア本体68とを一体に有している。キャリア本体68は、他方の固定軸14と一体に形成されている。このキャリア本体68と軸部36Aとの間には、図1に示されるように、軸受70が設けられている。また、このキャリア24には、図2に示されるように、複数の内ピン66のうちの幾つかの内ピン66と同軸上に、この内ピン66の軸方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0039】
一方、このキャリア本体68と対向する上述の第二ハウジング42には、複数の内ピン66の夫々の先端部が圧入(軽圧入)される複数の圧入孔74が形成されている。この複数の圧入孔74のうち貫通孔72と同軸上に位置する圧入孔74には、ネジ孔部74A(図1参照)が形成されている。そして、このキャリア本体68及び第二ハウジング42は、貫通孔72にボルト76が挿通されると共に、このボルト76の先端部がネジ孔部74Aに螺入されることにより互いに固定されている。なお、貫通孔72は、複数の内ピン66のうち少なくともいずれかに形成されていれば良い。また、複数の圧入孔74の全てにネジ孔部74Aが形成されていても良い。
【0040】
また、このようにしてボルト76の先端部がネジ孔部74Aに螺入されることに伴って、複数の内ピン66の夫々の先端部が複数の圧入孔74に圧入され、これにより、複数の内ピン66の夫々の先端部が第二ハウジング42に固定されている。
【0041】
ハブ26は、概略筒状のケース78と、このケース78に形成された開口部のうち他方の固定軸14側に位置する開口部を塞ぐカバー80とを有している。ケース78には、ロータ16、ステータ18、モータハウジング20、キャリア24、外歯歯車22、及び、内歯歯車28等が収容されている。また、このケース78に形成された開口部のうち一方の固定軸12側に位置する開口部には、軸受収容部82が形成されており、この軸受収容部82には、第三軸受の一例である軸受84が収容されている。この軸受84は、一方の固定軸12に一体回転可能に固定された上述のスペーサ46に対してケース78を回転可能に支持している。
【0042】
一方、カバー80の中央部には、軸受収容部86が形成されており、この軸受収容部86には、第三軸受の一例である軸受88が収容されている。この軸受88は、他方の固定軸14に一体に形成されたキャリア24に対してカバー80を回転可能に支持している。また、このカバー80は、内歯歯車28よりも径方向外側に設けられた固定部90において内歯歯車28とボルト92により固定されている。さらに、このカバー80は、ボルト94によりケース78に固定されている。
【0043】
内歯歯車28は、上述の外歯歯車22及びキャリア24と共に減速機構を構成しており、内周面に複数の内歯28A(図3参照)を有している。この内歯歯車28には、外歯歯車22が内接噛合されている。
【0044】
そして、この駆動ユニット10では、ロータ16と共に出力軸34が回転されると、偏芯軸36が回転され、これにより、内歯歯車28と外歯歯車22との噛み合い位置が変化することにより、内歯歯車28と共にハブ26が回転される。
【0045】
また、図1,図2に示されるように、この駆動ユニット10において、一方の固定軸12、第一軸受56,60(図1参照)、ロータ16、ステータ18、モータハウジング20、及び、スペーサ46(図1参照)は、互いに組み立てられてモータアッセンブリ96を構成している。また、偏芯軸36、軸受62、軸受70、及び、外歯歯車22は、互いに組み立てられてギアアッセンブリ98を構成している。さらに、図1,図3に示されるように、カバー80、軸受88、及び、内歯歯車28は、互いに組み立てられてカバーアッセンブリ100を構成している。
【0046】
そして、この駆動ユニット10は、例えば、次の要領で組み立てられている。すなわち、先ず、モータアッセンブリ96、ギアアッセンブリ98、及び、カバーアッセンブリ100がそれぞれ組み立てられる。
【0047】
続いて、貫通孔72にボルト76が挿通されると共に、ボルト76の先端部がネジ孔部74Aに螺入されることにより、キャリア本体68及び第二ハウジング42が互いに固定される。このとき、ボルト76の先端部がネジ孔部74Aに螺入されることに伴って、複数の内ピン66の夫々の先端部が複数の圧入孔74に圧入される。
【0048】
また、このキャリア本体68の第二ハウジング42への組み付けと前後して、軸受84が軸受収容部82に組み付けられると共に、ケース78にモータアッセンブリ96が組み付けられる。そして、この状態で、カバー80がボルト94によりケース78に固定される。以上の要領で、駆動ユニット10は、組み立てられる。
【0049】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0050】
この駆動ユニット10によれば、一対の固定軸12,14が互いに同軸上に配置されており、この一対の固定軸12,14の間にロータ16の出力軸34が配置されている。このため、一対の固定軸12,14に対して出力軸34を回転可能に支持する軸受(第四の軸受)が不要となり、部品点数を削減することができる。
【0051】
また、上述のように、一対の固定軸12,14に対して出力軸34を回転可能に支持する軸受を不要にすることで、複数の軸受が同心円状に配置されることを回避できるので、駆動ユニット10を径方向に小型化することができる。
【0052】
さらに、内歯歯車28がハブ26(カバー80)に一体回転可能に連結されることで、キャリア本体68が他方の固定軸14に一体回転可能に設けられているので、構造を簡素化することができる。
【0053】
また、内ピン66の軸方向両端部がキャリア本体68及び第二ハウジング42に支持されているので、内ピン66の支持剛性を高めることができる。これにより、振動及び騒音を抑制することができる。
【0054】
また、このように、内ピン66の軸方向両端部がキャリア本体68及び第二ハウジング42に支持されていると、内ピン66の耐久性を向上させることができる。
【0055】
また、上述のように、ボルト76をネジ孔部74Aに螺入することにより、複数の内ピン66の夫々の先端部を複数の圧入孔74に圧入することができる。これにより、キャリア24をモータハウジング20に取り付ける際の作業性(例えば、過大な圧入力が不要となり、複数の内ピン66の夫々を複数の圧入孔74に圧入する際の作業性)を良好にすることができる。
【0056】
また、複数の内ピン66の夫々の先端部が複数の圧入孔74に圧入されることにより、キャリア24とモータハウジング20の位置決め精度を向上させることができる。これにより、ロータ16、ステータ18、及び、モータハウジング20を有するモータ部と、外歯歯車22、キャリア24、及び、内歯歯車28を有する減速機構との同軸精度を確保することができる。
【0057】
さらに、キャリア本体68と第二ハウジング42とは、ボルト76及びネジ孔部74Aによって互いに固定されているので、キャリア24のモータハウジング20への取付剛性を高めることができる。これにより、振動や騒音をより一層低減することができる。
【0058】
また、第二ハウジング42には、ステータ18の内側に挿入された収容凹部52が形成されており、この収容凹部52には、内歯歯車28及び外歯歯車22が収容されている。従って、ステータ18の使用されていないスペースを有効に活用することができるので、駆動ユニット10を軸方向に小型化することができる。
【0059】
また、カバー80と内歯歯車28とを連結する固定部90が、内歯歯車28よりも径方向外側に設けられており、これにより、内歯歯車28からカバー80(ハブ26)に伝わる力のモーメント長が長く確保されている。これにより、例えば、固定部90の構成を簡素化することができる。
【0060】
また、予め組み立てられたモータアッセンブリ96、ギアアッセンブリ98、及び、カバーアッセンブリ100を少なくとも有しているので、全体の組立作業を容易にすることができる。
【0061】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0062】
上述の本発明の一実施形態において、駆動ユニット10は、電動自転車の動力源として使用されていたが、その他の用途に使用されても良い。
【0063】
また、ケース78は、スペーサ46に軸受84を介して回転可能に支持されていたが、一方の固定軸12に軸受84を介して回転可能に支持されていても良い。
【0064】
同様に、カバー80は、キャリア24に軸受88を介して回転可能に支持されていたが、他方の固定軸14に軸受88を介して回転可能に支持されていても良い。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10・・・駆動ユニット、12,14・・・一対の固定軸、16・・・ロータ、18・・・ステータ、20・・・モータハウジング、22・・・外歯歯車、24・・・キャリア、26・・・ハブ(回転部材)、28・・・内歯歯車、34・・・出力軸、36・・・偏芯軸、36A・・・軸部、38・・・セレーション結合部、40・・・第一ハウジング、42・・・第二ハウジング(対向壁部)、46・・・スペーサ、50・・・筒状部、52・・・収容凹部、56,60・・・軸受(第一軸受)、60・・・軸受、62・・・軸受(第二軸受)、64・・・伝導孔、66・・・内ピン、68・・・キャリア本体、72・・・貫通孔、74A・・・ネジ孔部、74・・・圧入孔、76・・・ボルト、78・・・ケース、80・・・カバー、84,88・・・軸受(第三軸受)、90・・・固定部、96・・・モータアッセンブリ、98・・・ギアアッセンブリ、100・・・カバーアッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸上に配置され、それぞれ外部に固定される一対の固定軸と、
前記一対の固定軸の間に前記一対の固定軸と同軸上に配置された出力軸を有するロータと、
環状に形成され、前記ロータの径方向外側に設けられたステータと、
前記一対の固定軸の一方と固定されると共に、前記ステータと固定され、且つ、第一軸受を介して前記出力軸を回転可能に支持するモータハウジングと、
前記出力軸に偏芯状態で設けられた偏芯軸に第二軸受を介して回転可能に支持されると共に、回転方向に並んで複数の伝導孔が形成された外歯歯車と、
前記複数の伝導孔に偏芯状態で挿入された複数の内ピンと、前記複数の内ピンを支持すると共に前記一対の固定軸の他方に一体回転可能に設けられたキャリア本体と、を有するキャリアと、
前記一対の固定軸に対して第三軸受により回転可能とされた回転部材と、
前記外歯歯車が内接噛合されると共に、前記回転部材に一体回転可能に固定された内歯歯車と、
を備えた駆動ユニット。
【請求項2】
前記モータハウジングは、前記出力軸の軸方向に前記キャリア本体と対向する対向壁部を有し、
前記複数の内ピンの夫々の軸方向両端部は、前記キャリア本体及び前記対向壁部に固定されている、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記キャリアには、前記複数の内ピンのうち少なくともいずれかの内ピンと同軸上に、該内ピンの軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記対向壁部には、前記複数の内ピンの夫々の先端部が圧入された複数の圧入孔が形成され、
前記複数の圧入孔のうち少なくとも前記貫通孔と同軸上に位置する圧入孔には、ネジ孔部が形成され、
前記キャリア本体及び前記対向壁部は、前記貫通孔にボルトが挿通されると共に前記ボルトの先端部が前記ネジ孔部に螺入されることにより互いに固定されている、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記モータハウジングは、前記出力軸の軸方向に前記キャリア本体と対向する対向壁部を有し、
前記対向壁部には、前記ステータの内側に挿入され前記キャリア本体側に開口する収容凹部が形成され、
前記収容凹部には、前記内歯歯車及び前記外歯歯車が収容されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記回転部材と前記内歯歯車とを固定する固定部は、前記内歯歯車よりも径方向外側に設けられている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記回転部材は、
前記ロータ、前記ステータ、前記モータハウジング、前記キャリア、前記外歯歯車、及び、前記内歯歯車を収容し、前記一対の固定軸の他方側に開口部を有するケースと、
前記開口部を塞ぐカバーと、
を有し、
前記キャリアは、前記一対の固定軸の他方と一体に形成され、
前記一対の固定軸の一方、前記第一軸受、前記ロータ、前記ステータ、及び、前記モータハウジングは、互いに組み立てられてモータアッセンブリを構成し、
前記偏芯軸、前記第二軸受、及び、前記外歯歯車は、互いに組み立てられてギアアッセンブリを構成し、
前記カバー、前記第三軸受、及び、前記内歯歯車は、互いに組み立てられてカバーアッセンブリを構成している、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−225454(P2012−225454A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95101(P2011−95101)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】