説明

駆動力伝達装置、駆動力伝達装置の組立方法、及び治具

【課題】シムの打ち込み作業を不要にする。
【解決手段】キャリヤ・ケース3が、結合面13により突き当て結合されるケース本体15及びキャリヤ・カバー17の組み合わせでなり、シム55,57の内周径を、キャリヤ・ケース3の端部開口23,25によりも奥側に形成される内周面27,29よりも小さく設定し、内周面27,29の形状を、シム55,57に当接しつつ端部開口23,25からキャリヤ・ケース3外に臨む治具71,73の周回形状の部分である当接部75,77を内包可能であり且つ前記治具71,73を端部開口23,25に対し外部へ軸方向に移動可能に形成し、デフ・ケース9の端部に、治具71,73を螺合させるための雌ねじ部47,49を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスファやリヤ・デファレンシャル装置等に供される駆動力伝達装置、駆動力伝達装置の組立方法、及び治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動力伝達装置としては、特許文献1の図6に記載のような、ドライブ・ピニオン・シャフトのドライブ・ピニオン・ギヤとリヤ・デファレンシャル装置のリング・ギヤとの間で駆動力伝達を行うものがある。
【0003】
この駆動力伝達装置では、ドライブ・ピニオン・シャフト及びリヤ・デファレンシャル装置のデフ・ケースが軸受によってキャリヤ・ケースに回転支持されている。デフ・ケースを支持する軸受とキャリヤ・ケースとの軸方向間にはシムが組み込まれ、デフ・ケースの回転支持に対して軸方向の予圧が付与されている。
【0004】
キャリヤ・ケースは、リヤ・デファレンシャル装置の回転軸の側部側にカバーを備え、リヤ・デファレンシャル装置等を回転軸心に沿った方向からキャリヤ・ケースに組み付けることができる。
【0005】
かかる組み付けにおいては、シムをリヤ・デファレンシャル装置の回転軸心に沿った方向から組み込むことができる。
【0006】
しかし、キャリヤ・ケースがリヤ・デファレンシャル装置の回転軸の側部側にカバーを備えず、リヤ・デファレンシャル装置の回転軸心に沿った結合面でキャリヤ・ケース本体及びキャリヤ・ケース・カバーに分割された場合には、シム及びシール部材の組み込みに難点がある。
【0007】
さらに説明すると、特許文献1のような構造において、キャリヤ・ケースがリヤ・デファレンシャル装置の回転軸の側部側にカバーを備えず、リヤ・デファレンシャル装置の回転軸心に沿った結合面でキャリヤ・ケース本体及びキャリヤ・ケース・カバーに分割された場合、組み込みは次のように行われる。
【0008】
まず、キャリヤ・ケース本体に、リヤ・デファレンシャル装置を軸心の平行移動により軸受けを介して組み込む。その後、軸受取付穴部の分割部分に対しシムを内径側から打ち込み、与圧を付与する。次いで、キャリヤ・ケース・カバーを、キャリヤ・ケース本体に結合面での突き当てにより結合させる。
【0009】
しかし、シムの打ち込み作業に熟練を要すると共に、打ち込み時にシムによってキャリヤ・ケース本体等を傷つける恐れもある。
【0010】
【特許文献1】特開2007−71306公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、与圧付与部材の打ち込み作業に熟練を要すると共に、打ち込み時に与圧付与部材によってキャリヤ・ケース本体等を傷つける恐れがある点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、与圧付与部材の打ち込み作業を不要にするため、端部開口に連続する内周面の奥側に軸受取付穴部を形成したケースと、前記軸受取付穴部に軸受取付軸部が軸受を介して回転自在に支持される回転体と、前記軸受取付穴部と前記軸受との軸方向間に介設され軸方向の与圧を付与する与圧付与部材とを備えた駆動力伝達装置であって、前記ケースが、前記軸受取付穴部の軸心を含む面に沿った結合面により突き当て結合される第1、第2の分割ケース部分の組み合わせでなり、前記与圧付与部材の内周径を、前記ケースの端部開口よりも奥側に形成される内周面よりも小さく設定し、前記内周面の形状を、前記与圧付与部材に当接しつつ前記端部開口からケース外に臨む治具の周回形状の部分を内包可能であり且つ前記治具を端部開口に対し外部へ軸方向に移動可能に形成し、前記回転体の端部に、前記治具を螺合させるための受けねじ部を形成したことを駆動力伝達装置の最も主要な特徴とする。
【0013】
また、前記回転体を前記ケースに組み付ける前に前記軸受取付軸部に前記軸受を取り付け、前記軸受に対し前記与圧付与部材を組み付け位置に配置すると共に前記回転体の受けねじ部に治具を螺合させ該治具の周回形状の部分を前記与圧付与部材に当接させて前記軸受に対し軸方向に挟持させることにより仮の与圧付与状態とし、前記回転体を前記軸受と与圧付与部材と治具と共に、前記第1、第2の分割ケース部分の一方に対し前記軸受が前記軸受取付穴部の分割部分に取り付けられるように組み付け、その後前記第1、第2の分割ケース部分の他方を前記第1、第2の分割ケース部分の一方に前記結合面により結合して前記治具の周回形状の部分を前記ケースの端部開口に連続する内周面に内包させ、その後前記治具の螺合を外して前記挟持を解除し前記ケースの端部開口から治具を軸方向に移動させて取り外すことを駆動力伝達装置の組立方法の最も主要な特徴とする。
【0014】
さらに、前記周回形状の部分に形成された当接部と、前記当接部よりも内径側に形成され前記回転体の受けねじ部に螺合させるための結合ねじ部とを備えたことを治具の最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端部開口に連続する内周面の奥側に軸受取付穴部を形成したケースと、前記軸受取付穴部に軸受取付軸部が軸受を介して回転自在に支持される回転体と、前記軸受取付穴部と前記軸受との軸方向間に介設され軸方向の与圧を付与する与圧付与部材とを備えた駆動力伝達装置であって、前記ケースが、前記軸受取付穴部の軸心を含む面に沿った結合面により突き当て結合される第1、第2の分割ケース部分の組み合わせでなり、前記与圧付与部材の内周径を、前記ケースの端部開口よりも奥側に形成される内周面よりも小さく設定し、前記内周面の形状を、前記与圧付与部材に当接しつつ前記端部開口からケース外に臨む治具の周回形状の部分を内包可能であり且つ前記治具を端部開口に対し外部へ軸方向に移動可能に形成し、前記回転体の端部に、前記治具を螺合させるための受けねじ部を形成した。
【0016】
このため、前記回転体を前記ケースに組み付ける前に前記軸受取付軸部に前記軸受を取り付け、前記軸受に対し前記与圧付与部材を組み付け位置に配置すると共に該与圧付与部材に前記回転体の受けねじ部に結合ねじ部を螺合させた治具の周回形状の部分を当接させて軸受に対して与圧付与部材を軸方向に挟持させることにより軸受を仮の与圧付与状態とすることができる。
【0017】
そして、前記回転体を前記軸受と与圧付与部材と治具と共に、前記第1、第2の分割ケース部分の一方に対し前記軸受が前記軸受取付穴部の分割部分に取り付けられるように組み付ける。
【0018】
その後前記第1、第2の分割ケース部分の他方を前記第1、第2の分割ケース部分の一方に前記結合面により結合して前記治具の周回形状の部分を前記内周面に内包させ、その後前記治具の螺合を解除して前記ケースの端部開口から治具を取り外すことができる。
【0019】
従って、ケースが回転体の軸方向側部側にカバーを備えない場合でも、与圧付与部材の打ち込みを必要とせずに組み込むことができ、与圧付与部材によってキャリヤ・ケース本体等を傷つけることがない。
【0020】
また、前記回転体を前記ケースに組み付ける前に前記軸受取付軸部に前記軸受を取り付け、前記軸受に対し前記与圧付与部材を組み付け位置に配置すると共に前記回転体の受けねじ部に治具を螺合させ該治具の周回形状の部分を前記与圧付与部材に当接させて前記軸受に対し軸方向に挟持させることにより仮の与圧付与状態とし、前記回転体を前記軸受と与圧付与部材と治具と共に、前記第1、第2の分割ケース部分の一方に対し前記軸受が前記軸受取付穴部の分割部分に取り付けられるように組み付け、その後前記第1、第2の分割ケース部分の他方を前記第1、第2の分割ケース部分の一方に前記結合面により結合して前記治具の周回形状の部分を前記内周面に内包させ、その後前記治具の螺合を外して前記挟持を解除し前記ケースの端部開口から治具を軸方向に移動させて取り外すことができる。
【0021】
さらに、前記周回形状の部分に形成された当接部と、前記当接部よりも内径側に形成され前記回転体の受けねじ部に螺合させるための結合ねじ部とを備えた治具により、与圧付与部材の組付を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
与圧付与部材の打ち込み作業を不要にするという目的を、周回形状の部分により与圧付与部材を挟持させる治具の使用を可能とする構造により実現した。
【実施例1】
【0023】
[駆動力伝達装置]
図1、ファイナル・ドライブを一部省略して治具と共に示す平断面図、図2は、ファイナル・ドライブの概略側面図である。
【0024】
本実施例の駆動力伝達装置は、後輪側のファイナル・ドライブ1として適用した。
【0025】
ケースとしてのキャリヤ・ケース3には、ドライブ・ピニオン・シャフト5及び回転体であるリヤ・デファレンシャル装置7のデフ・ケース9が回転自在に支持されている。
【0026】
前記キャリヤ・ケース3は、リング・ギヤ11の回転軸心、すなわち後述する軸受取付穴部の軸心を含む面に沿った図2の結合面13により第1の分割ケース部分であるケース本体15、第2の分割ケース部分であるキャリヤ・カバー17、及び前部カバー18の組み合わせでなり、且つ結合面13を突き合わせてケース本体15にキャリヤ・カバー17をボルト19により結合している。前部カバー18は、駆動力の入力経路の前方で回転体6が貫通しつつケース本体15の前面を覆蓋するようにボルト20で結合されている。
【0027】
本実施例では、結合面13の上部側が後傾するようにドライブ・ピニオン・ギヤ21(ドライブ・ピニオン・シャフト5)の先端側に向かって鉛直方向に対し傾斜して形成されている。
【0028】
このキャリヤ・ケース3には、端部開口23,25の奥側に段付きをもって連続する内周面27,29が形成され、この内周面27,29の奥側に軸受取付穴部31,33が段付きをもって形成されている。
【0029】
図1のように、ドライブ・ピニオン・シャフト5は、軸受としてのテーパー・ローラー・ベアリング24等によってキャリヤ・ケース3のケース本体15に支持されている。ドライブ・ピニオン・シャフト5には、前記ドライブ・ピニオン・ギヤ21が設けられている。
【0030】
デフ・ケース9には、回転軸方向の両側端部に軸受取付軸部39,41が形成され、この軸受取付軸部39,41の内周で軸挿通孔43,45の外端部に受けねじ部として雌ねじ部47,49が形成されている。
【0031】
軸挿通孔43,45には、駆動軸となる車軸と連結する駆動軸が挿通、支持される。雌ねじ部47,49は、軸挿通孔43,45の内径より僅かに大径に形成されている。
【0032】
この雌ねじ部47,49は、回転体であるデフ・ケース9の端部で後述する治具を螺合可能とする。
【0033】
デフ・ケース9は、軸受取付軸部39,41が軸受としてのテーパー・ローラー・ベアリング51,53によってキャリヤ・ケース3の軸受取付穴部31,33に回転自在に支持されている。
【0034】
テーパー・ローラー・ベアリング51,53とキャリヤ・ケース3の軸受取付穴部31,33との軸方向間には、テーパー・ローラー・ベアリング51,53に軸方向の与圧を付与する1枚のシム55,57が与圧付与部材として介設されている。
【0035】
但し、シム55,57の枚数は、任意であり、複数枚とすることも可能である。
【0036】
このシム55,57の内周径は、前記キャリヤ・ケース3の内周面27,29よりも小さく設定されている。
【0037】
デフ・ケース9のフランジ部59には、リング・ギヤ11がボルト61によって取り付けられ、ドライブ・ピニオン・ギヤ21と直交噛み合いしている。
【0038】
デフ・ケース9内には、差動機構としてのピニオン・シャフト63を介してピニオン・ギヤ65が回転自在に支持されている。ピニオン・ギヤ65には、一対のサイド・ギヤ67,69が噛み合い結合している。差動機構の機能として、ピニオン・ギヤ65の自転によりサイド・ギヤ67,69間、すなわち一対の駆動軸間の相対回転が許容される。サイド・ギヤ67,69には、それぞれ後輪車軸がスプライン結合する。
【0039】
従って、ドライブ・ピニオン・シャフト5からドライブ・ピニオン・ギヤ21、リング・ギヤ11を介してリヤ・デファレンシャル装置7のデフ・ケース9に入力された駆動力を、後輪車軸を介して左右の後輪に伝達可能となっている。
[治具及びファイナル・ドライブの組立]
前記キャリヤ・ケース3の内周面27,29の形状は、治具71,73の断面円形の周回形状の部分である後述する操作部の外周面を内包可能且つ前記治具71,73の周回形状の部分を内周面27,29に沿って端部開口23,25から外部へ軸方向に移動可能にするため、治具71,73よりも僅かに大きな円形としている。
【0040】
なお、治具71,73の断面円形の周回形状の部分は、内周面27,29と外径寸法を近似させることで、ケース本体15とキャリヤ・カバー17との組み付けの際の仮支持部をなすことができるが、治具71,73の外周形状は、円形に限るものではない。
【0041】
治具71,73は、操作部72,74を備え、この操作部72,74に、当接部75,77が形成されている。操作部72,74の外周形状は、周回形状の部分として断面円形に形成されている。当接部75,77の内周側には、前記デフ・ケース9の雌ねじ部47,49に螺合させるための結合ねじ部として雄ねじ部79,81とが形成されている。操作部72,74外端面には、螺合操作用の工具を結合させる六角穴部83,85が形成されている。
【0042】
前記リヤ・デファレンシャル装置7を、キャリヤ・ケース3に支持させるには、リヤ・デファレンシャル装置7を前記キャリヤ・ケース3に組み付ける前に前記軸受取付軸部39,41に前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53を取り付ける。
【0043】
前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53の外周面に対し前記シム55,57の外周面を面一とするようにしてシム55,57を組み付け位置に配置する。
【0044】
次いで、前記デフ・ケース9の雌ねじ部47,49に治具71,73の雄ねじ部79,81を螺合させ該治具71,73の当接部75,77を前記シム55,57の内周側に当接させる。治具71,73の螺合操作は、工具を六角穴部83,85に差し込んで行う。
【0045】
この当接により前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53に対しシム55,57を軸方向に挟持させ仮の与圧付与状態とする。
【0046】
前記デフ・ケース9を前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53とシム55,57と治具71,73と共に、前記第1、第2の分割ケース部分の一方であるケース本体15に取り付けるように組み付ける。
【0047】
すなわち、前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53が前記軸受取付穴部31,33のケース本体15側の分割部分に取り付けられる。
【0048】
その後前記第1、第2の分割ケース部分の他方であるキャリヤ・カバー17をケース本体15に前記結合面13により結合してボルト19により結合する。
【0049】
この結合により、前記治具71,73の当接部75,77が前記キャリヤ・ケース3の内周面27,29に内包される。
【0050】
その後前記治具71,73の螺合を外して前記挟持を解除し前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25から治具71,73を軸方向に移動させて取り外す。
[実施例1の効果]
本発明実施例1によれば、端部開口23,25に連続する内周面27,29の奥側に軸受取付穴部31,33を形成したキャリヤ・ケース3と、前記軸受取付穴部31,33に軸受取付軸部39,41がテーパー・ローラー・ベアリング51,53を介して回転自在に支持されるデフ・ケース9と、前記軸受取付穴部31,33と前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53との軸方向間に介設され軸方向の与圧を付与するシム55,57とを備えたファイナル・ドライブ1であって、前記キャリヤ・ケース3が、前記軸受取付穴部31,33の軸心を含む面に沿った結合面13により突き当て結合されるケース本体15及びキャリヤ・カバー17の組み合わせでなり、前記シム55,57の内周径を、前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25に連続する内周面27,29よりも小さく設定し、前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25よりも奥側に形成される内周面27,29の形状を、前記シム55,57に当接しつつ前記端部開口23,25からキャリヤ・ケース3外に臨む治具71,73の周回形状の部分である当接部75,77を内包可能であり且つ前記治具71,73を端部開口23,25に対し外部へ軸方向に移動可能に形成し、前記デフ・ケース9の端部に、前記治具71,73を螺合させるための雌ねじ部47,49を形成した。
【0051】
このため、前記デフ・ケース9を前記キャリヤ・ケース3に組み付ける前に前記軸受取付軸部39,41に前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53を取り付け、前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53に対し前記シム55,57を組み付け位置に配置すると共に該シム55,57に前記デフ・ケース9の雌ねじ部47,49に雄ねじ部79,81を螺合させた治具71,73の当接部75,77を当接させてテーパー・ローラー・ベアリング51,53に対してシム55,57を軸方向に挟持させることによりテーパー・ローラー・ベアリング51,53を仮の与圧付与状態とすることができる。
【0052】
そして、前記ピニオン・ギヤ65、サイド・ギヤ67,69を組み込んだデフ・ケース9をシム55,57と治具71,73と共に、ケース本体15に対し前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53が前記軸受取付穴部31,33の分割部分に取り付けられるように組み付ける。
【0053】
その後前記キャリヤ・カバー17を前記ケース本体15に前記結合面13により結合して前記治具71,73の当接部75,77を前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25に連続する内周面27,29に内包させ、その後前記治具71,73の螺合を解除して前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25から治具71,73を取り外すことができる。
【0054】
従って、キャリヤ・ケース3が回転体の軸方向側部側にカバーを備えない場合でも、シム55,57の打ち込みを必要とせずに組み込むことができ、シム55,57によってキャリヤ・ケース3等を傷つけることがない。
【0055】
また、駆動力伝達装置の組立方法によれば、前記デフ・ケース9を前記キャリヤ・ケース3に組み付ける前に前記軸受取付軸部39,41に前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53を取り付け、前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53に対し前記シム55,57を組み付け位置に配置すると共に前記デフ・ケース9の雌ねじ部47,49に治具71,73の雄ねじ部79,81を螺合させ該治具71,73の当接部75,77を前記シム55,57に当接させて前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53に対しシム55,57を軸方向に挟持させることにより仮の与圧付与状態とする。前記デフ・ケース9を前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53とシム55,57と治具71,73と共に、前記ケース本体15に対し前記テーパー・ローラー・ベアリング51,53が前記軸受取付穴部31,33の分割部分に取り付けられるように組み付け、その後キャリヤ・カバー17をケース本体15に前記結合面13により結合して前記治具71,73の当接部13を前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25に連続する内周面27,29に内包させる。その後前記治具71,73の螺合を外して前記挟持を解除し前記キャリヤ・ケース3の端部開口23,25から治具71,73を軸方向に移動させて取り外すことができる。
【0056】
さらに、操作部72,74に形成された当接部75,77と、前記当接部75,77よりも内径側に形成され前記デフ・ケース9の雌ねじ部47,49に螺合させるための雄ねじ部79,81とを備えた治具71,73により、シム55,57の組付を行わせることができる。
【0057】
治具71,73を雌ねじ部47,49から取り外した後、図示外の駆動軸を挿通後、雌ねじ部47,49は、差動機構や駆動軸外周などを潤滑するオイルのオイル保持部として機能させることもできるし、ねじのリードの形成方向とデフ・ケース9の回転方向とが合致している側では、デフ・ケース9内へのオイル導入機能も果たし得るものである。
【実施例2】
【0058】
[トランスファ]
図3,図4は、本発明の実施例2に係り、図3は、トランスファの一部を省略した平断面図、図4は、図3のトランスファの概略側面図である。
【0059】
図3のトランスファ1Aは、フロント・デファレンシャル装置の後輪出力側に設けられ、フロント・デファレンシャル装置への駆動入力を後輪側へ分配するものである。このトランスファ1Aは、ケースとしての分配ケース3Aに入出力軸として交差配置され駆動力伝達を行う連結中空軸5A及び後輪側出力軸7Aが回転支持されている。
【0060】
図3,図4のように、前記分配ケース3Aは、前記リング・ギヤ9Aの回転軸心に沿った結合面13Aにより第1の分割ケース部分であるケース本体15A及び第2の分割ケース部分であるケース・カバー17Aに分割形成され、且つ結合面13Aを合わせてケース本体15A及びケース・カバー17Aをボルト19Aにより結合しているケース構造も含む。本実施例では、結合面13Aの上部側がピニオン・ギヤ21A(後輪側出力軸7A)の先端側に向かって後傾するように鉛直方向に対し傾斜して形成されている。
【0061】
かかる構成によりケースとしての分配ケース3Aが、入出力軸の一方である連結中空軸5Aを回転体としてその軸心(後述の軸受取付穴部の軸心)を含む面に沿った結合面13Aにより突き当て結合可能である第1、第2の分割ケース部分としてケース本体15A及びケース・カバー17Aを備えた構成となっている。
【0062】
分配ケース3Aのケース本体15A及びケース・カバー17Aは、前記のようにボルト19Aにより結合されるが、リング・ギヤ9Aや連結中空軸5Aとの干渉を避けるように軸心21Aの両側に複数のボルト19Aを配置して十分な結合力を持たせている。ボルト19Aの軸心は、リング・ギヤ9Aの軸心と交差する方向でケース本体13Aに向けて配置されている。これにより、ボルト19Aの頭部がケース・カバー17Aの筒状部から外径側に向けて突出することが抑制され、他部材(エンジンなど)とのスペースの取り合いを抑制することができる。すなわち、ボルト19Aの頭部は、ケース・カバー17Aの外郭内側寄りに配置され、外郭外への突出が抑制されている。
【0063】
リング・ギヤ9Aの回転軸心に沿った方向でケース本体15Aの端部側には、フランジ部23Aが設けられ、ボルト挿通部25Aが複数設けられている。
【0064】
分配ケース3Aは、ケース本体15Aのボルト挿通部25A等に挿通したボルトによりトランスミッション側の前記ベル・ハウジングの壁面に突き合わせて取り付けられている。ケース・カバー17Aは、ベル・ハウジングの壁面に対して隙間を有し、ベル・ハウジングに対する分配ケース3Aの取り付けを確実に行わせることができる。
【0065】
また、フランジ部23Aにおけるボルト挿通部25Aの一部は、リング・ギヤ9Aの軸心21Aを含む結合面13Aからケース・カバー71側へ張り出して位置しているので分配ケース3Aの取付後の振動を抑制することができる。
【0066】
前記分配ケース3Aにおいて、ケース本体15Aには、ボルト27Aによって第3の分割ケース部分29Aが結合されている。第3の分割ケース部分29Aには、オイル通路用の貫通孔31Aが形成されると共に、オーリング33Aが支持され、このオーリング33Aは、ケース本体15Aに密接している。
【0067】
分配ケース3Aのケース本体15A及びケース・カバー17Aには、リング・ギヤ9Aの支持部として軸受取付穴部35A,37Aが設けられている。軸受取付穴部35A,37Aの軸方向外端部は、段付き状に形成されている。
【0068】
ケース本体15A及びケース・カバー17Aには、リング・ギヤ9Aの収容部39Aが設けられている。分配ケース3Aには、シール支持穴部41A,43A,45Aが設けられている。
【0069】
シール支持穴部41A,43Aは、端部開口47A,49Aに連続する内周面51A,53Aに形成され、シール支持穴部43Aは、シール支持穴部45Aよりも僅かに小径に形成され、両穴部43A,45Aが連続的に形成されている。
【0070】
従って、端部開口47A,49Aに連続する内周面51A,53Aの奥側に軸受取付穴部35A,37Aが形成されている。
【0071】
ケース本体15Aは、重力方向最下方に位置する部分55Aを備え、トランスファ1内部に密閉されるオイルのオイル溜まりの主要部を構成している。また、ケース本体15Aは、開口57Aを備えている。開口57Aには、フィラー・プラグ59Aが取り付けられ、内部へオイルを封入するために開閉可能となっている。
【0072】
ケース本体15A側に開口57Aを設け、フィラー・プラグ59Aや図示外のドレン・プラグなどの付属部品を組み付けるようにしたことにより、ケース・カバー17Aを主に強度を考慮したシンプルな形状にすることができ、ケース・カバー17Aの部材(エンジンなど)とのスペースの取り合いを抑制し、設計的な自由度をさらに向上できる。
【0073】
分配ケース3A内には、前記のようにフロント・デファレンシャル装置のデフ・ケースのボス部にスプライン部61Aにて連結する前記連結中空軸5Aが延設されている。
【0074】
連結中空軸5Aの一端側外周には、結合用のスプライン部61Aが設けられ、且つ軸受取付穴部35Aの内周側に対向する軸受取付軸部63Aが設けられている。軸受取付軸部63Aよりも外端側には、シール支持穴部41Aに同心状に内外対向配置されるシール支持軸部65Aが設けられている。
【0075】
連結中空軸5Aの他端側には、軸受取付穴部37Aの内周側に対向する軸受取付軸部67Aが設けられている。軸受取付軸部67Aよりも外端側には、シール支持穴部43Aに同心状に内外対向配置されたシール支持軸部69Aが設けられている。
【0076】
連結中空軸5Aの中間部には、フランジ部71Aが設けられている。フランジ部71Aに、前記リング・ギヤ9Aがボルト73Aにより締結固定されている。
【0077】
連結中空軸5Aの両端部には、受けねじ部として雌ねじ部75A,77Aが形成されている。
【0078】
連結中空軸5Aは、軸受であるテーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aによりケース本体15A及びケース・カバー17Aの軸受取付穴部35A,37Aに回転自在に支持されている。
【0079】
テーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aのアウター・レースとケース本体15A及びケース・カバー17Aの軸受取付穴部35A,37Aの軸方向端面との軸方向間に、軸方向の与圧を付与する与圧付与部材としてシム83A,85Aが介設されている。
【0080】
シム83Aの内周径は、内周面51Aの内径よりも小さく設定され、内周面51Aよりも内径側に突出している。シム85Aの内周径は、内周面53Aの内径よりも小さく設定され、内周面53Aよりも内径側に突出している。
【0081】
従って、前記分配ケース3Aの端部開口47A,49Aの奥側に形成された内周面51A,53Aの形状を、前記シム83A,85Aに当接しつつ前記端部開口47A,49Aから分配ケース3A外に渡る後述する治具の周回形状の部分を内包可能であり且つ治具の周回形状の部分を端部開口47A,49Aから後述のように外部へ軸方向に移動させて取り外し可能に形成した構成となっている。
【0082】
前記シール支持穴部41A,43A及びシール支持軸部65A,69A間には、シール部材が介設されシール支持穴41A,43Aの内周面にシール部材の外周面が嵌合可能となっている。
【0083】
前記連結中空軸5Aの軸心部を貫通する前記中間軸とシール支持軸部69Aとの間にも、シール部材が介設可能となっている。中間軸とシール支持穴部45Aとの間には、図示しないシール部材やダスト・カバーが介設可能となっている。
【0084】
後輪側出力軸7Aは、テーパー・ローラー・ベアリング89A,91Aにより分配ケース3Aの第3のケース部分29Aに支持され、ピニオン・ギヤ21Aは、前記第3のケース部分29Aに支持されている。
【0085】
後輪側出力軸7Aには、結合フランジ部材93Aがナット95Aによって締結されている。結合フランジ部材93Aの先端部と分配ケース3Aの第3のケース部分29Aとの間には、シール部材95Aが設けられている。シール部材95Aの外側には、結合フランジ部材93Aに支持されたダスト・カバー97Aが配置されている。
[治具及びトランスファの組立て]
前記分配ケース3Aの内周面51A,53Aの形状は、治具99A,101Aの断面円形の周回形状の部分である外周面を内包可能且つ前記治具99A,101Aの周回形状の部分を内周面51A,53Aに沿って端部開口47A,49Aから外部へ軸方向に移動可能にするため、治具99A,101Aよりも僅かに大きな円形の内周面としている。
【0086】
治具99A,101Aは、断面円形の操作部103A,105Aに同一の外周径を有する周回形状の部分としての延長筒部107A,109Aが一体的に設けられたものである。延長筒部107A,109Aの先端には、段付き状の当接部111A,113Aが形成されている。
【0087】
当接部111A,113Aは、シム83A,85Aに軸方向へ当接可能であると共に段付き形状によりシム83A,85Aの内周部を支持可能となっている。
【0088】
操作部103A,105Aの内端面には、延長筒部107A,109Aよりも内径側に位置する結合ねじ部として雄ねじ部115A,117Aが形成されている。雄ねじ部115A,117Aは、連結中空軸5Aの雌ねじ部75A,77Aに螺合させるためのものである。操作部103A,105Aの外端面には、螺合操作用の工具を結合させる六角穴部119A,121Aが形成されている。
【0089】
トランスファ1の組立に際し、連結中空軸33を分配ケース9に組み付ける前に、前記軸受取付軸部63A,67Aに前記テーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aを取り付け、このテーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aに対しシム83A,85Aを組み付け位置に配置する。
【0090】
次に、テーパー・ローラー・ベアリング79A,81A及びシム83A,85Aを配置した連結中空軸5Aに対し、治具99A,101Aを装着する。
【0091】
治具99A,101Aの延長筒部107A,109Aを端部開口47A,49Aから内周面51A,53A内に挿入しつつ雄ねじ部115A,117Aを、連結中空軸5Aの雌ねじ部75A,77Aに螺合結合する。
【0092】
この螺合結合により当接部111A,113Aを、シム83A,85Aaに突き当てる。治具99A,101Aの螺合操作は、工具を六角穴部119A,121Aに差し込んで行う。
【0093】
この時、シム83A,85Aの内周側は、当接部111A,113Aにより支持される。
【0094】
前記螺合結合によりシム83A,85Aを介し、テーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aを仮の与圧付与状態とする。
【0095】
次に、前記連結中空軸5Aを前記テーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aとシム83A,85Aと治具99A,101Aと共に、第1、第2の分割ケース部分の一方であるケース本体15Aに対し、前記テーパー・ローラー・ベアリング79A,81Aが前記軸受取付穴部35A,37Aの分割部分に取り付けられるように組み付ける。
【0096】
このとき、後輪側出力軸7Aをテーパー・ローラー・ベアリング89A,91Aを介して取り付けた第3の分割ケース部分29Aも組み付けられる。
【0097】
その後、第1、第2の分割ケース部分の他方であるケース・カバー17Aをケース本体15Aに前記結合面13Aにより結合する。この結合は、ボルト19Aの締め込みにより締結する。
【0098】
このとき、前記治具99A,101Aの周回形状の部分である延長筒部107A,109Aが、前記分配ケース3Aの内周面51A,53Aに内包される状態となり、ケース本体15Aに対するケース・カバー17Aの取り付けを可能としている。
【0099】
その後、治具99A,101Aの螺合を解除する。この螺合解除により治具99A,101Aを連結中空軸5Aから離脱させ、分配ケース3Aの端部開口47A,49Aから治具99A,101Aの延長筒部107A,109Aを軸方向に引き抜く。
【0100】
その後、シール支持穴部41A,43A及びシール支持軸部65A,69A間に、シール部材を介設する。
【0101】
その後、開口57Aから潤滑オイルを注入し、フィラー・プラグ59Aを装着して潤滑オイルを封入したオイル完結構造にすることができる。
【0102】
そして、本実施例においても、組み立て時に治具99A,101Aを連結中空軸5Aに螺合させることでシム83A,85Aの組み込みを容易に行わせ、シム83A,85Aによって分配ケース3Aを傷つけることがない等、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
[その他]
治具の周回状の部分は、シムに周方向ほぼ均等な押圧力を付与できれば良く、周方向連続した環状に限らず、間欠した複数の部分に分かれる構造でも良い。
【0103】
操作部83,85の六角穴部83,85及び操作部103A,105Aの六角穴部119A,121Aは、治具71,73、99A,101Aを回転操作できれば良く、形状は特に限定されない。例えば、操作部83,85,103A,105Aに、ハンドルを設け、この操作ハンドルに駆動部等を係合させて回転操作させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】ファイナル・ドライブを一部省略して治具と共に示す平断面図である。(実施例1)
【図2】ファイナル・ドライブの概略側面図である。(実施例1)
【図3】トランスファを一部省略して治具と共に示す平断面図である。(実施例2)。
【図4】トランスファの概略側面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0105】
1A トランスファ(駆動力伝達装置)
1 ファイナル・ドライブ(駆動力伝達装置)
3 キャリヤ・ケース(ケース)
3A 分配ケース(ケース)
5A 連結中空軸(回転体)
9 デフ・ケース(回転体)
13,13A 結合面
15,15A ケース本体(第1の分割ケース部分)
17 キャリヤ・カバー(第2の分割ケース部分)
17A ケース・カバー(第2の分割ケース部分)
23,25,47A,49A 端部開口
27,29,51A,53A 内周面
31,33,35A,37A 軸受取付穴部
39,41,63A,67A 軸受取付軸部
47,49,75A,77A 雌ねじ部(受けねじ部)
51,53,79A,81A テーパー・ローラー・ベアリング(軸受)
55,57,83A,85A シム(与圧付与部材)
71,73,99A,101A 治具
72,74 操作部(周回形状の部分)
75,77,111A,113A 当接部
79,81,115A,117A 雄ねじ部(結合ねじ部)
107A,109A 延長筒部(周回形状の部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部開口に連続する内周面の奥側に軸受取付穴部を形成したケースと、
前記軸受取付穴部に軸受取付軸部が軸受を介して回転自在に支持される回転体と、
前記軸受取付穴部と前記軸受との軸方向間に介設され軸方向の与圧を付与する与圧付与部材と、
を備えた駆動力伝達装置であって、
前記ケースが、前記軸受取付穴部の軸心を含む面に沿った結合面により突き当て結合される第1、第2の分割ケース部分の組み合わせでなり、
前記与圧付与部材の内周径を、前記ケースの端部開口よりも奥側に形成される内周面よりも小さく設定し、
前記内周面の形状を、前記与圧付与部材に当接しつつ前記端部開口からケース外に臨む治具の周回形状の部分を内包可能であり且つ前記治具を端部開口に対し外部へ軸方向に移動可能に形成し、
前記回転体の端部に、前記治具を螺合させるための受けねじ部を形成した、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の駆動力伝達装置であって、
前記回転体は、デファレンシャル装置のデフ・ケースである、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1記載の駆動力伝達装置であって、
前記ケースは、交差配置されて駆動力伝達を行う入出力軸の一方を軸受を介して回転自在に支持するものであり、
前記ケースの第1、第2の分割ケース部分は、前記入出力軸の一方を前記回転体としてその軸心を含む面に沿った結合面により突き当て結合した、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の駆動力伝達装置を組み立てる駆動力伝達装置の組立方法であって、
前記回転体を前記ケースに組み付ける前に前記軸受取付軸部に前記軸受を取り付け、
前記軸受に対し前記与圧付与部材を組み付け位置に配置すると共に前記回転体の受けねじ部に治具を螺合させ該治具の周回形状の部分を前記与圧付与部材に当接させて前記軸受に対し軸方向に挟持させることにより仮の与圧付与状態とし、
前記回転体を前記軸受と与圧付与部材と治具と共に、前記第1、第2の分割ケース部分の一方に対し前記軸受が前記軸受取付穴部の分割部分に取り付けられるように組み付け、
その後前記第1、第2の分割ケース部分の他方を前記第1、第2の分割ケース部分の一方に前記結合面により結合して前記治具の周回形状の部分を前記ケースの端部開口に連続する内周面に内包させ、
その後前記治具の螺合を外して前記挟持を解除し前記ケースの端部開口から治具を軸方向に移動させて取り外す、
ことを特徴とする駆動力伝達装置の組立方法。
【請求項5】
請求項4記載の駆動力伝達装置の組立方法に用いる治具であって、
前記周回形状の部分に形成された当接部と、
前記当接部よりも内径側に形成され前記回転体の受けねじ部に螺合させるための結合ねじ部と、
を備えたことを特徴とする治具。
【請求項6】
請求項5記載の駆動力伝達装置の組立方法に用いる治具であって、
前記周回形状の部分は、断面円形の操作部又は断面円形の操作部に一体的に形成された延長筒部である、
ことを特徴とする治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43672(P2010−43672A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207124(P2008−207124)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000225050)GKN ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 (409)
【Fターム(参考)】