説明

駆動機構及びこれを備える画像形成装置

【課題】プーリに掛け渡された金属製の伝達ベルトにより回転駆動力を伝達する駆動機構において、伝達ベルトがプーリに安定して掛け渡され、プーリを安定して回転させることができる駆動機構を提供する。
【解決手段】駆動プーリ210と、従動プーリ220と、駆動プーリ210及び従動プーリ220に掛け渡される環状の金属製の伝達ベルト230と、駆動プーリ210を軸受けして保持する第1保持部材240と、従動プーリ220を軸受けして保持し且つ第1保持部材240と組み合わされる第2保持部材250と、第1保持部材240と第2保持部材250とが組み合わされた状態において第1保持部材240と第2保持部材250とを離間させるように付勢する付勢部材260と、を備えるベルト駆動機構200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プーリを回転駆動する駆動機構及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタやコピー機等の画像形成装置において、像担持体としての感光体ドラムを有するタイプが存在する。感光体ドラムは、感光体ドラム本体と、感光体ドラム本体の回転中心において感光体ドラム本体を貫通するように配置される軸部材とを備える。感光体ドラムは、回転駆動部からの回転駆動力が軸部材に直接的又は間接的に伝達されることにより回転駆動される。
【0003】
感光体ドラムを回転駆動する駆動機構として、例えば、モータの出力軸と感光体ドラムの軸部材とが平行に配置された状態で、モータの出力軸と感光体ドラムの軸部材とにプーリを介して掛け渡される金属製の伝達ベルトを備え、モータの回転駆動力を金属製の伝達ベルトにより感光体ドラムの軸部材に伝達する駆動機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような駆動機構においては、伝達ベルトがプーリに安定して掛け渡されることが、プーリの回転駆動の安定性に大きく影響する。伝達ベルトがプーリに安定して掛け渡されていないと、伝達ベルトが蛇行したりプーリから脱落したりする虞がある。
これに対し、特許文献1に記載の技術においては、プーリの端部に鍔形状を作成し、伝達ベルトの蛇行を規制するとともに、伝達ベルトの端部に樹脂の被覆を行い、伝達ベルトの端部と鍔部との接触時の異音を防止するという方法を採っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−100854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、伝達ベルトの摺動音を軽減することはできるが、伝達ベルトの端部の摺動が発生しやすい。また、噛み合いがなく剛性が高いという特徴を活かした金属製の伝達ベルトを用いた駆動機構(減速機構)においては、伝達ベルトの端部の摺動により、プーリの回転の安定性を低下させる虞がある。
【0007】
本発明は、プーリに掛け渡された金属製の伝達ベルトにより回転駆動力を伝達する駆動機構において、伝達ベルトがプーリに安定して掛け渡され、プーリを安定して回転させることができる駆動機構を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記駆動機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリ及び前記従動プーリに掛け渡される環状の金属製の伝達ベルトと、前記駆動プーリを軸受けして保持する第1保持部材と、前記従動プーリを軸受けして保持し且つ前記第1保持部材と組み合わされる第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とが組み合わされた状態において前記第1保持部材と前記第2保持部材とを離間させるように付勢する付勢部材と、を備えるベルト駆動機構に関する。
【0009】
また、前記第1保持部材又は前記第2保持部材は、その一方の全体又は一部を他方が収容可能な収容部を有することが好ましい。
【0010】
また、前記第1保持部材は、少なくとも軸受け以外の部分において、樹脂の一体成型品からなることが好ましい。
【0011】
また、前記第1保持部材は、前記伝達ベルトが蛇行した場合に前記伝達ベルトが前記従動プーリの幅方向に移動することを規制する移動規制部を有することが好ましい。
【0012】
また、前記第1保持部材は、前記第2保持部材と組み合わされていない状態において、前記第1保持部材からの前記従動プーリの脱落を抑制する脱落抑制構造を有することが好ましい。
【0013】
また、前記従動プーリは、クラウニング形状の周面を有することが好ましい。
【0014】
また、前記従動プーリは、クラウニング形状の周面を有することが好ましい。
【0015】
また、前記従動プーリの回転中心に連結可能な従動軸部材を備え、前記従動軸部材は、前記従動プーリを挟んで複数箇所で軸受けされていることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記従動軸部材の一端側に直接的又は間接的に接続され、表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、前記1又は複数の像担持体を回転させる請求項8に記載の駆動機構と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プーリに掛け渡された金属製の伝達ベルトにより回転駆動力を伝達する駆動機構において、伝達ベルトがプーリに安定して掛け渡され、プーリを安定して回転させることができるベルト駆動機構を提供することができる。
また、本発明は、前記駆動機構を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】プリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態としてのベルト駆動機構200を表面側から視た斜視図である。
【図3】図2に示したベルト駆動機構200を、背面側から視た斜視図である。
【図4】図2に示したベルト駆動機構200の側面図である。
【図5】図2に示したベルト駆動機構200を、従動軸部材120の中心を通る垂直面で切断した縦断面図である。
【図6】図2に示したベルト駆動機構200の分解斜視図である。
【図7】図6に示した各部品を背面側から視た分解斜視図である。
【図8】図6に示した第1保持部材240にモータ、駆動プーリ、従動プーリ220などを組み付けてなる第1保持部材組立体を第2保持部材250に組み付ける前の状態を、表面側から視た斜視図である。
【図9】図8に示した各部品を、背面側から視た斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態としてのベルト駆動機構200Aを表面側から視た斜視図である。
【図11】図10に示したベルト駆動機構200Aの縦断面図である。
【図12】図10に示したベルト駆動機構200Aの分解斜視図である。
【図13】図10に示したベルト駆動機構200Aの分解側面図である。
【図14】図12に示した各部品を部分組立した状態の斜視図である。
【図15】図14に示した組立状態の側面図である。
【図16】第1保持部材240が組み付けられた第2保持部材の保持部材本体311と、第2保持部材のカバー部材321とを結合させる前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、本実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、プリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0021】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラ8と、定着部9とを備える。
【0022】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。
【0023】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0024】
感光体ドラム2は、円筒形状の感光体ドラム本体150と、ドラム貫通軸部材120と、を有する。ドラム貫通軸部材120は、感光体ドラム本体150の回転中心において感光体ドラム本体150を貫通するように配置される。
ドラム貫通軸部材120は、後述のベルト駆動機構200(図2参照)における従動軸部材の一端側部位である。ドラム貫通軸部材120は、不図示の連結機構を介して、感光体ドラム本体150に固定される。
感光体ドラム本体150の表面(感光体ドラム2の表面)には、静電潜像を形成することができ、感光体又は像担持体として機能する。
【0025】
感光体ドラム本体150は、後述のベルト駆動機構200における従動軸部材の回転に伴い、従動軸部材と一体に回転する。即ち、感光体ドラム2は、後述のベルト駆動機構200により回転駆動される。感光体ドラム2を回転駆動するベルト駆動機構200の詳細については、後述する。
【0026】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0027】
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0028】
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
【0030】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0031】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0032】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0033】
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0034】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0035】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0036】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0037】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0038】
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0039】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラ対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0040】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbとを備える。
【0041】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
【0042】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0043】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、転写ニップNにおいて未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0044】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラ対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0045】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0046】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対63によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0047】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラ8との間(転写ニップN)に導入される。そして、用紙Tには、感光体ドラム2と転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーTNが溶融し、トナーTNが用紙Tに定着される。
【0048】
次いで、用紙Tは、第1ローラ対54aにより第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、第3ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0049】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0050】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0051】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが第3ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが第3ローラ対53により保持されている状態において、第3ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように第3ローラ対53を逆方向に回転させると、第3ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0052】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、(第1ローラ対54aではなく、)第2ローラ対54bに導入される。そして、用紙Tは、戻し搬送路Lb及び第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0053】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、感光体ドラム2と転写ローラ8との間に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が感光体ドラム2に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0054】
次に、感光体ドラム2を回転駆動するベルト駆動機構200について説明する。
図1は、プリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、本発明の第1実施形態としてのベルト駆動機構200を表面側から視た斜視図である。図3は、図2に示したベルト駆動機構200を、背面側から視た斜視図である。図4は、図2に示したベルト駆動機構200の側面図である。図5は、図2に示したベルト駆動機構200を、従動軸部材120の中心を通る垂直面で切断した縦断面図である。図6は、図2に示したベルト駆動機構200の分解斜視図である。図7は、図6に示した各部品を背面側から視た分解斜視図である。図8は、図6に示した第1保持部材240にモータ、駆動プーリ、従動プーリ220などを組み付けてなる第1保持部材組立体を第2保持部材250に組み付ける前の状態を、表面側から視た斜視図である。図9は、図8に示した各部品を、背面側から視た斜視図である。
【0055】
この第1実施形態のベルト駆動機構200は、図2から図9に示すように、駆動プーリ210と、従動プーリ220と、伝達ベルト230と、第1保持部材240と、第2保持部材250と、付勢部材260と、を備える。
【0056】
駆動プーリ210は、回転駆動力を出力する回転駆動部としてのモータ211における出力軸部材212からなる。出力軸部材212は、モータ211の出力軸である。モータケース213から突出した出力軸部材212の軸部212aの長さ方向の中間部の外周面が、駆動プーリ210として利用される。
【0057】
従動プーリ220は、ドラム貫通軸部材120に連結されるプーリである。従動プーリ220においては、駆動プーリ210から伝達ベルト230を介して伝達される回転駆動力を減速してドラム貫通軸部材120に伝達するように、伝達ベルト230を巻き掛けるプーリ径は、駆動プーリ210よりも大径に設定されている。この従動プーリ220は、伝達ベルト230が巻き掛けられる外周面として、クラウニング形状の周面221を有している。
【0058】
図5及び図6に示すように、従動プーリ220は、その中心部に、軸嵌合用筒部222を有している。この軸嵌合用筒部222には、従動軸部材223が嵌合されて装着される。
【0059】
従動軸部材223における一端側は、ドラム貫通軸部材120を構成する。従動軸部材223は、軸嵌合用筒部222に嵌合されて装着される。従動軸部材223は、図6及び図7に示すように、回り止め用のピン部材225が圧入されるピン固定孔226を有する。ピン部材225としては、通常、割ピンが使用される。ピン固定孔226は、従動軸部材223の直径方向に貫通して設けられている。ピン部材225における軸方向の長さは、従動軸部材223の直径よりも大きく設定されている。図5に示すように、ピン部材225の両端が従動軸部材223の外周に突出するように、ピン部材225はピン固定孔226に圧入される。
【0060】
前述した従動プーリ220の軸嵌合用筒部222は、図6及び図8に示すように、従動軸部材223から突出したピン部材225が割り込むすり割り227を有する。図5に示すように、従動軸部材223から突出したピン部材225がすり割り227に割り込むことで、従動軸部材223は、従動プーリ220の回転中心に相対回転不能に連結される。言い換えると、本実施形態における従動プーリ220は、その回転中心に、従動軸部材223を備えている。
【0061】
伝達ベルト230は、駆動プーリ210及び従動プーリ220に掛け渡される環状の金属製ベルトである。伝達ベルト230には、例えば、ステンレス製の無端ベルトが使用される。
【0062】
第1保持部材240は、駆動プーリ210を軸受けして保持する筐体である。第1保持部材240は、図5及び図6に示すように、縦長で略箱型の筐体である。第1保持部材240は、略平板状の背面壁241と、駆動プーリ210を収容する第1収容部242と、従動プーリ220を収容する第2収容部243と、を備える。第1収容部242は、背面壁241の前側の上半部の領域に形成される。第2収容部243は、背面壁241の前側の下半部の領域に形成される。
【0063】
第1収容部242は、背面壁241に対して平行に、背面壁241と背面壁241の前方(図5では左方)に対向して配置された前面壁244とで挟まれた空間である。前面壁244は、その幅方向(図2では、矢印X1方向)の両端において、側壁部242aを介して、背面壁241に一体化されている。
【0064】
図7に示すように、背面壁241における第1収容部242を形成する領域には、開口245が貫通して形成されている。この開口245は、モータ211の出力軸部材212の軸部212aに一体形成された駆動プーリ210を第1収容部242に挿通させるための開口である。また、図6に示すように、前面壁244には、開口246が貫通形成されている。この開口246は、第1収容部242に挿通された駆動プーリ210におけるモータ211とは逆側の端部を回転自在に支持するための開口である。
【0065】
モータ211は、図5に示すように、軸部212aが第1収容部242を挿通するように、背面壁241の裏面(第1収容部242とは逆側となる面)に取り付けられる。
【0066】
モータ211には、モータケース213の前面(図5では、左端面)に制御用基板214が固定されている。制御用基板214には、モータ211の動作を制御する各種の回路部品215と、第1軸受け部材217と、が固定されている。第1軸受け部材217は、軸部212aにおけるモータケース213側の端部を回転自在に支持する軸受けである。モータ211は、図5に示すように、モータケース213の後端面(図5では、右端面)側に、第2軸受け部材218を有している。この第2軸受け部材218は、モータケース213内を挿通する出力軸部材212の端部を回転自在に支持する軸受けである。
即ち、モータ211は、出力軸部材212を、第1軸受け部材217及び第2軸受け部材218の2箇所の軸受けで、回転自在に支持している。
【0067】
モータ211は、図5に示すように、制御用基板214を背面壁241の裏面に向けた姿勢で、背面壁241の裏面に固定される。モータ211を背面壁241に固定すると、第1軸受け部材217は、背面壁241の開口245に嵌合されて固定される。
【0068】
前面壁244に形成された開口246には、前面壁244とは別体に形成された第3軸受け部材247が固定される。この第3軸受け部材247は、第1収容部242に挿通された軸部212aにおけるモータケース213とは逆側の端部を回転自在に支持する軸受けである。即ち、駆動プーリ210を形成する軸部212aは、第1収容部242に挿通されている。図5に示したように、軸部212aにおける駆動プーリ210を挟む両端部は、第3軸受け部材247及び第1軸受け部材217の2つの軸受けにより、回転自在に支持される。
【0069】
言い換えれば、駆動プーリ210が一体形成された出力軸部材212においては、駆動プーリ210に掛けられた伝達ベルト230に対して前面壁244側に位置する端部は、第3軸受け部材247により回転自在に支持される。また、出力軸部材212においては、伝達ベルト230に対して前面壁244とは逆側に延出する部位は、第1軸受け部材217及び第2軸受け部材218の2つの軸受けにより支持されている。即ち、本実施形態においては、モータ211の出力軸部材212は、駆動プーリ210に掛けられた伝達ベルト230を挟んで複数箇所で軸受けされている。
【0070】
図6に示すように、第2収容部243は、第1保持部材240の背面壁241の下半部の領域に形成されており、背面壁241に対向する前面側を開放した空間である。第2収容部243は、従動プーリ220を収容する部位である。第2収容部243の外周を囲う周壁面243aの寸法は、従動プーリ220の外周や、従動プーリ220に巻き掛けた伝達ベルト230と接触しないように、設定されている。
【0071】
第2収容部243への従動プーリ220の組み付けは、前面側の開放部から行われる。図6に示すように、背面壁241の第2収容部243に対応する領域には、従動軸部材223を挿通可能な開口248が貫通して形成される。
開口248は、その中心と、第2収容部243に収容される従動プーリ220の軸嵌合用筒部222の中心とが略一致するように、形成されている。
【0072】
また、本実施形態においては、第1保持部材240は、プーリ位置規制突起249を有する。このプーリ位置規制突起249は、第2収容部243に収容された従動プーリ220の外周縁の上に被さるように、第2収容部243の周壁面243aの背面壁241とは逆側の端縁に突設されている。このプーリ位置規制突起249は、第2収容部243に配置された従動プーリ220が第2収容部243の開放側(図5の矢印Y1方向)に移動することを規制する。
【0073】
このプーリ位置規制突起249は、図8に示すように、第1保持部材240の第2収容部243に従動プーリ220が配置され、且つ、第1保持部材240と後述の第2保持部材250とが組み合わされていない状態において、第1保持部材240からの従動プーリ220の脱落を抑制する脱落抑制構造として機能する。即ち、本実施形態における第1保持部材240は、第2保持部材250と組み合わされていない状態において、第1保持部材240からの従動プーリ220の脱落を抑制する脱落抑制構造を有する。
【0074】
また、本実施形態においては、プーリ位置規制突起249は、第2収容部243の外周に巻き掛けた伝達ベルト230の外側に被さっており、伝達ベルト230が蛇行した場合に伝達ベルト230が従動プーリ220の幅方向に移動することを規制する移動規制部としても機能する。即ち、本実施形態においては、第1保持部材240は、伝達ベルト230が蛇行した場合に伝達ベルト230が従動プーリ220の幅方向に移動することを規制する移動規制部を有する。
【0075】
以上に説明した第1保持部材240は、図5から図7に示すように、第1軸受け部材217及び第3軸受け部材247以外の部分が一体形成された樹脂の一体成型品からなる。
【0076】
第2保持部材250は、従動プーリ220を軸受けして保持し、且つ、第1保持部材240と組み合わされる筐体である。第2保持部材250は、図5から図7に示すように、上面側を開放した収容部251を有する縦長で略箱型の筐体である。
【0077】
収容部251は、第1保持部材240の略全体を収容する空間である。第2保持部材250は、上部を開放した有底の角筒状で、図5から図7に示すように、第1保持部材240の底面に対向する底壁部252と、第1保持部材240の前面(図5では左側の面)に対向する前壁部253と、第1保持部材240の後面(図5では右側の面)に対向する後壁部254と、第1保持部材240の両側面に対向する側壁部255と、を備える。底壁部252、前壁部253、後壁部254及び側壁部255から、上方に開放した収容部251が形成される。
【0078】
第2保持部材250の前壁部253及び後壁部254には、図7に示すように、従動軸部材223を回転自在に支持するための開口256及び開口257がそれぞれ貫通して形成されている。
これらの開口256及び開口257は、従動軸部材223の挿通方向に軸心を一致させている。図6に示すように、開口256には、第2保持部材250とは別体の第4軸受け部材271が着脱可能に取り付けられる。同様に、図7及び図9に示すように、開口257には、第2保持部材250とは別体の第5軸受け部材272が着脱可能に取り付けられる。
【0079】
図5に示すように、従動プーリ220の回転中心に連結された従動軸部材223は、第2保持部材250の前壁部253に組み付けられた第4軸受け部材271と、後壁部254に組み付けられた第5軸受け部材272との複数箇所で、軸受けされる。即ち、本実施形態においては、従動軸部材223は、従動プーリ220を挟んで複数箇所で軸受けされている。
【0080】
図2及び図3に示すように、第2保持部材250の側壁部255には、プリンタ1のケース体BDに締結するための取付け部258が設けられている。また、図2に示すように、第2保持部材250の前壁部253には、後述の付勢部材260の取り付け状態を視認可能な開口259が設けられている。
【0081】
付勢部材260は、図5に示すように、第1保持部材240の底面と第2保持部材250の底壁部252との間に圧縮状態で装着される圧縮コイルばねである。この付勢部材260は、図5に示すように、第1保持部材240と第2保持部材250とが組み合わされた状態において、第1保持部材240と第2保持部材250とを離間させるように付勢する。具体的には、付勢部材260は、図5において、収容部251に収容されている第1保持部材240を、収容部251の上部開放側に付勢する。この付勢力により、駆動プーリ210と一体の出力軸部材212は、従動軸部材223から離間する方向に付勢される。これにより、駆動プーリ210と従動プーリ220とに掛け渡された伝達ベルト230の緩みが取られ、テンション(張力)が付与される。
【0082】
第2保持部材250においては、第4軸受け部材271及び第5軸受け部材272以外の部位は、樹脂の一体成型品である。
【0083】
第1実施形態のベルト駆動機構200は、次の手順で組み立てられる。まず、図6及び図8に示した第1保持部材240の第2収容部243に、従動プーリ220及び伝達ベルト230を配置する。更に、第1保持部材240にモータ211を組み付けると共に、第1保持部材240の開口246を挿通する軸部212aを、第3軸受け部材247に軸支させる。これにより、図8及び図9に示すように、第1保持部材240に、モータ211、従動プーリ220及び伝達ベルト230が組み付けられた部分組立体が得られる。次いで、この部分組立体としての第1保持部材240を第2保持部材250の収容部251に挿入した後、第2保持部材250における第4軸受け部材271及び第5軸受け部材272に従動軸部材223を軸支させて、図5に示す組立状態に組み上げる。
【0084】
本実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態のベルト駆動機構200においては、駆動プーリ210と、従動プーリ220と、駆動プーリ210及び従動プーリ220に掛け渡される環状の金属製の伝達ベルト230と、駆動プーリ210を軸受けして保持する第1保持部材240と、従動プーリ220を軸受けして保持し且つ第1保持部材240と組み合わされる第2保持部材250と、第1保持部材240と第2保持部材250とが組み合わされた状態において第1保持部材240と第2保持部材250とを離間させるように付勢する付勢部材260と、を備える。
【0085】
そのため、第1保持部材240と第2保持部材250とが付勢部材260によって離間方向に付勢されることで、各保持部材240,250に保持されているプーリ210,220の相互間にも離間方向の付勢力が作用する。そして、プーリ210,220の相互間に作用する付勢力によって、これらプーリ210,220の間に掛け渡されている金属製の伝達ベルト230に緩みを取るテンションが作用する。従って、環状の金属製の伝達ベルト230は、緩みが無く、駆動プーリ210及び従動プーリ220に安定して掛け渡された状態を得ることができる。従って、本実施形態のベルト駆動機構200によれば、プーリ210,220を安定して回転させることができる。
【0086】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、第2保持部材250は、第1保持部材240を収容可能な収容部251を有する。
そのため、第2保持部材250に設けられた収容部251を、第1保持部材240を倒れないように挟み込む構成としておけば、収容部251を介して保持部材240,250の相互間における倒れの発生を防止することができる。保持部材240,250の相互間における倒れ防止は、プーリ210,220の相互間の倒れ防止となり、プーリ210,220の相互のアライメントを高精度に保つことに繋がり、ベルトの蛇行を防止(抑止)することにつながる。
【0087】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、第1保持部材240は、少なくとも軸受け以外の部分において、樹脂の一体成型品からなる。そのため、駆動プーリ210の組み付けの際に、複数の部品の組立誤差が累積して影響することを回避することができ、駆動プーリ210の取り付け精度を高精度化することができる。
【0088】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、第1保持部材240は、伝達ベルト230が蛇行した場合に伝達ベルト230が従動プーリ220の幅方向に移動することを規制する移動規制部であるプーリ位置規制突起249を有する。
そのため、第1保持部材240が有している移動規制部は、伝達ベルト230の蛇行に伴って従動プーリ220がその幅走行に移動しようとするとき、従動プーリ220の側端面が突き当たる当たり部となって、従動プーリ220の幅方向への移動を規制する。そのため、伝達ベルト230の蛇行が増大することを防止することができ、伝達ベルト230がプーリに安定して掛け渡された状態を維持して、プーリを安定して回転させることができる。
【0089】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、第1保持部材240は、第2保持部材250と組み合わされていない状態において、第1保持部材240からの従動プーリ220の脱落を抑制する脱落抑制構造であるプーリ位置規制突起249を有する。
そのため、従動プーリ220は、第1保持部材240に設けた脱落抑制構造によって第1保持部材240上に仮保持させておき、その仮保持状態で第1保持部材240を第2保持部材250に組み合わすことで、比較的に簡単に、第2保持部材250の軸受け位置に従動プーリ220を組み入れることができ、組立作業を容易にすることができる。
【0090】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、従動プーリ220は、クラウニング形状の周面221を有する。
そのため、従動プーリ220に巻き掛けられた伝達ベルト230のプーリ幅方向への滑りをクラウニング形状が規制する。従って、伝達ベルト230の蛇行を抑止することができ、伝達ベルト230がプーリに安定して掛け渡された状態を維持して、プーリを安定して回転させることができる。
【0091】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、駆動プーリ210は、回転駆動部における出力軸部材212からなり、出力軸部材212は、駆動プーリ210に掛けられた伝達ベルト230を挟んで複数箇所で軸受けされている。
そのため、駆動プーリ210として伝達ベルト230が巻き掛けられる出力軸部材212は、伝達ベルト230が巻き掛け部位を挟む両側が軸受けにより支持され、両持ち状態に支持される。そのため、駆動プーリ210としての出力軸部材212が、伝達ベルト230からの張力で撓み難くなり、軸の撓みに起因したプーリの倒れによって伝達ベルト230に蛇行が発生することを防止することができる。従って、伝達ベルト230がプーリに安定して掛け渡された状態が維持し易くなり、プーリを安定して回転させる性能を更に向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態のベルト駆動機構200においては、従動プーリ220の回転中心に連結可能な従動軸部材223を備え、従動軸部材223は、従動プーリ220を挟んで複数箇所で軸受けされている。そのため、従動プーリ220に連結される従動軸部材223は、従動プーリ220を挟む両側で軸受けされた両持ち状態に支持される。そのため、伝達ベルト230からの張力が従動プーリ220を介して伝達されても、従動軸部材223が撓み難くなり、従動プーリ220に倒れが発生することを防止することができる。即ち、従動プーリ220の倒れによって伝達ベルト230に蛇行が発生することを防止することができる。従って、伝達ベルト230がプーリに安定して掛け渡された状態が維持し易くなり、プーリを安定して回転させる性能を更に向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態のプリンタ1においては、従動軸部材223の一端側に直接的又は間接的に接続され、表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体である感光体ドラム2と、1又は複数の像担持体を回転させるベルト駆動機構200と、を備える。
そのため、ベルト駆動機構200による従動軸部材223の回転駆動が安定しており、1又は複数の像担持体を安定して回転駆動させることができる。
【0094】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態のベルト駆動機構200Aは、第1実施形態のベルト駆動機構200と比べて、第1保持部材240の構成及び第2保持部材250の構成が主に異なる。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0095】
図10は、本発明の第2実施形態としてのベルト駆動機構200Aを表面側から視た斜視図である。図11は、図10に示したベルト駆動機構200Aの縦断面図である。図12は、図10に示したベルト駆動機構200Aの分解斜視図である。図13は、図10に示したベルト駆動機構200Aの分解側面図である。図14は、図12に示した各部品を部分組立した状態の斜視図である。図15は、図14に示した組立状態の側面図である。図16は、第1保持部材240が組み付けられた第2保持部材の保持部材本体311と、第2保持部材のカバー部材321とを結合させる前の状態を示す斜視図である。
【0096】
第2実施形態における第1保持部材240は、樹脂による一体成型品である。図10から図16に示すように、第1保持部材240の両側部には、取り付けガイド孔301を有する取り付けガイド部302が上下方向(図12では、矢印Z1方向)に離間して設けられている。
取り付けガイド孔301は、第1保持部材240の上下方向に沿って貫通した孔である。
【0097】
第2実施形態における第2保持部材250は、一体成型品ではなく、図12に示すように、第1保持部材240が取り付けられる保持部材本体311と、保持部材本体311に取り付けられるカバー部材321とに分割された構成になっている。
【0098】
保持部材本体311は、第1実施形態の第2保持部材250における前壁部253及び底壁部252を一体に形成し、更に、底壁部252にガイド軸312を植設したような構成を有している。
【0099】
ガイド軸312は、底壁部252から上方向に向かって延出して設けられている。また、ガイド軸312は、第1保持部材240の両側の取り付けガイド孔301の位置に対応して、横方向に一対装備されている。このガイド軸312は、第1保持部材240における取り付けガイド孔301にスライド可能に嵌合することで、第1保持部材240を保持部材本体311に装着する際に、第1保持部材240を底壁部252側に誘導する。また、ガイド軸312は、図12に示すように、その基端側に付勢部材260が挿通されて装着されており、付勢部材260を保持するばね保持部としても機能する。
【0100】
カバー部材321は、略箱型の筐体である。このカバー部材321は、図11に示すように、保持部材本体311に取り付けられるようになっている。その状態において、保持部材本体311及びカバー部材321は、第1保持部材240の全体を収容する収容部251を画成する。
【0101】
この第2実施形態のベルト駆動機構200Aは、次の手順で組み立てられる。
まず、図14及び図15に示すように、第1保持部材240に、従動プーリ220、伝達ベルト230、モータ211を組み付けた部分組立体を組み上げる。
次いで、その部分組立体を、図16に示すように、保持部材本体311に組み付け、更に、保持部材本体311に対してカバー部材321を組み付けて、図10に示す完成体に仕上げる。
【0102】
以上に説明した第2実施形態のベルト駆動機構200Aでは、第1実施形態のベルト駆動機構200における効果に加えて、次の効果が奏される。
即ち、第2実施形態のベルト駆動機構200Aでは、第1保持部材240の両側部に装備された取り付けガイド孔301に、保持部材本体311のガイド軸312が嵌合し、第1保持部材240がガイド軸312に誘導される格好で、第1保持部材240は、第2保持部材250の収容部251に装着される。そのため、収容部251への第1保持部材240の挿入作業が、容易且つ確実になる。
【0103】
また、ガイド軸312と取り付けガイド孔301との嵌め合い交差を適宜に設定しておくことで、保持部材本体311と第1保持部材240との間のガタつきの少ない組み合わせ状態にすることができ、第2保持部材250と第1保持部材240との相互間における倒れ防止性能が向上する。その結果、プーリ210,220の相互間の倒れ防止効果も向上し、プーリ相互のアライメントをより高精度に保つことが可能になり、伝達ベルト230の蛇行を防止する性能が向上する。
【0104】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、感光体ドラム2のドラム貫通軸部材120は、従動軸部材の一端に同軸に一体形成されているが、これに制限されない。従動軸部材223は、感光体ドラム2のドラム貫通軸部材120とは別の軸部材であってもよい。即ち、従動軸部材223は、直接的又は間接的の何れかで、ドラム貫通軸部材120に連結される構成とすることが可能である。
【0105】
また、前述の実施形態においては、ドラム貫通軸部材120を1本の軸部材により構成しているが、これに制限されず、カップリングを介して2本以上の軸部材を接続することにより構成してもよい。
【0106】
また、本発明に係るベルト駆動機構において、出力軸部材212や従動軸部材223などを回転自在に軸支する軸受け(上記実施形態では、第1軸受け部材217、第2軸受け部材218、第3軸受け部材247、第4軸受け部材271、第5軸受け部材272など)は、通常、転がり軸受が使用されるが、滑り軸受けを利用することも可能である。
【0107】
また、上記の各実施形態では、第2保持部材に、第1保持部材を収容する収容部を設けたが、これに制限されない。第1保持部材に、第2保持部材を収容する収容部を設けても良い。
即ち、本発明のベルト駆動機構において、第1保持部材又は第2保持部材は、その一方の全体又は一部を他方が収容可能な収容部を有する構成であれば良い。
【0108】
更に、第1実施形態のベルト駆動機構200では、第1保持部材240にプーリ位置規制突起249を装備し、プーリ位置規制突起249を、移動規制部及び脱落抑制構造の双方に機能させた。しかし、移動規制部と脱落抑制構造とを、それぞれ専用の部材に分けて装備する構成としても良い。
【0109】
また、本発明の画像形成装置の種類に特に制限はなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状の被転写材は、用紙Tに制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1……プリンタ(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、120……ドラム貫通軸部材(従動軸部材)、150……感光体ドラム本体、200……ベルト駆動機構、210……駆動プーリ、212……出力軸部材、217……第1軸受け部材(軸受け)、218……第2軸受け部材(軸受け)、220……従動プーリ、221……クラウニング形状の周面、230……伝達ベルト、240……第1保持部材、247……第3軸受け部材(軸受け)、249……プーリ位置規制突起(移動規制部、脱落抑制構造)、250……第2保持部材、251……収容部、260……付勢部材、271……第4軸受け部材(軸受け)、272……第5軸受け部材(軸受け)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと、
従動プーリと、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリに掛け渡される環状の金属製の伝達ベルトと、
前記駆動プーリを軸受けして保持する第1保持部材と、
前記従動プーリを軸受けして保持し且つ前記第1保持部材と組み合わされる第2保持部材と、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とが組み合わされた状態において前記第1保持部材と前記第2保持部材とを離間させるように付勢する付勢部材と、
を備える
ベルト駆動機構。
【請求項2】
前記第1保持部材又は前記第2保持部材は、その一方の全体又は一部を他方が収容可能な収容部を有する
請求項1に記載のベルト駆動機構。
【請求項3】
前記第1保持部材は、少なくとも軸受け以外の部分において、樹脂の一体成型品からなる
請求項1又は2に記載のベルト駆動機構。
【請求項4】
前記第1保持部材は、前記伝達ベルトが蛇行した場合に前記伝達ベルトが前記従動プーリの幅方向に移動することを規制する移動規制部を有する
請求項3に記載のベルト駆動機構。
【請求項5】
前記第1保持部材は、前記第2保持部材と組み合わされていない状態において、前記第1保持部材からの前記従動プーリの脱落を抑制する脱落抑制構造を有する
請求項1から4のいずれかに記載のベルト駆動機構。
【請求項6】
前記従動プーリは、クラウニング形状の周面を有する
請求項1から5のいずれかに記載のベルト駆動機構。
【請求項7】
前記駆動プーリは、回転駆動部における出力軸部材からなり、
前記出力軸部材は、前記駆動プーリに掛けられた前記伝達ベルトを挟んで複数箇所で軸受けされている
請求項1から6のいずれかに記載のベルト駆動機構。
【請求項8】
前記従動プーリの回転中心に連結可能な従動軸部材を備え、
前記従動軸部材は、前記従動プーリを挟んで複数箇所で軸受けされている
請求項1から7のいずれかに記載のベルト駆動機構。
【請求項9】
前記従動軸部材の一端側に直接的又は間接的に接続され、表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、
前記1又は複数の像担持体を回転させる請求項8に記載のベルト駆動機構と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−47315(P2012−47315A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192405(P2010−192405)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】