駆動装置およびエネルギー回収シリンダ
【課題】少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ、掘削機および資材を扱う機械を含む装置を提供する。
【解決手段】可動要素の動きからエネルギーを回収するために少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、可動要素は気体で満たされたチャンバを含み、エネルギー回収シリンダは熱交換器を含む。
【解決手段】可動要素の動きからエネルギーを回収するために少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、可動要素は気体で満たされたチャンバを含み、エネルギー回収シリンダは熱交換器を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの作動駆動部(working drive)を介して動かすことができる要素を持つ装置に関する。
【0002】
可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダ(energy recovery cylinder)が設けられる。エネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。特に本発明は走行装置(traveling implement)に関し、中でも掘削機や資材を扱う機械に関する。特に作動駆動部は、作動油圧シリンダ(working hydraulic cylinder)を備える。
【0003】
このような装置においては可動要素を低くするときにエネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバは圧縮され、よって位置エネルギーを貯蔵し、可動要素の上向きの動きのあいだには作動駆動部を補助するために貯蔵された位置エネルギーを放出する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1は、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバが、エネルギー回収シリンダの気体で満たされた底面およびエネルギー回収シリンダの空洞のピストンロッドによって形成されている装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2008 034 582 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、気体で満たされたチャンバを持つエネルギー回収シリンダを備えた装置の機能をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は請求項1に記載の装置によって達成される。本発明は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ装置を開示し、特に走行装置を開示し、中でも掘削機や資材を扱う機械を開示する。可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、このエネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。本発明によれば、エネルギー回収シリンダが熱交換機を含むことがここで記載される。
【0008】
本願発明の発明者は、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体の温度が、エネルギー回収シリンダの機能、ひいては装置の機能に対して、大きな影響を持つことを見いだした。特に、エネルギー回収シリンダの力・パス(force-path)の特性曲線は、気体の温度で変化する。熱交換器によって、エネルギー回収シリンダ内の気体の温度変動及び/又は高すぎる温度及び/又は低すぎる温度は、低減または阻止され得る。
【0009】
特に、気体で満たされたチャンバ内の気体が動作に起因して加熱し得ることが見いだされた。その結果、望ましくないくらい高い温度になり得る。よって本発明の好ましい実施形態においては、本発明によるエネルギー回収シリンダは、熱交換器が設けられ、これによってエネルギー回収シリンダ及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体が冷却され得て、または実際に冷却される。
【0010】
さらに、気体の温度が低すぎても(例えば外気温が低いとき)、望ましくない特性曲線またはエネルギー回収シリンダの低すぎるシリンダ力が得られることがある。よって本発明のさらなる実施形態においては、本発明によるエネルギー回収シリンダは、熱交換器が設けられ、これによってエネルギー回収シリンダ及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体が加熱され得る。
【0011】
このようにして、装置の動作のためには望ましくない温度状況は、解消されるか、または少なくとも改善され得る。
【0012】
有利なことに、熱交換器は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットを囲むように構成される。これにより、熱交換のために広い表面積が得られる。加えて、エネルギー回収シリンダの内部構造は影響されない。
【0013】
有利なことに、本発明はエネルギー回収シリンダにおいて用いられ、エネルギー回収シリンダ底面は気体で満たされている。よって気体で満たされたチャンバ内の気体は、シリンダジャケットと直接に接触するので、シリンダジャケットにおける熱交換器の構成が特に有利である。
【0014】
有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の50%を超える範囲を囲む。さらに有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の70%を超える範囲を囲み、さらに有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の90%を超える範囲を囲む。これにより特に良好な熱交換が確保できる。
【0015】
熱交換器の熱交換要素は、熱交換器のシリンダジャケット上に直接に配置され得る。しかし代替の実施形態においては、熱交換器は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの外側表面に熱伝導するかたちで配置されたシリンダチューブを備える。これにより、エネルギー回収シリンダ上に密着される、自給自足ユニットとしての熱交換器の製造が簡単になる。
【0016】
その設計に依存して、本発明による熱交換器は、エネルギー回収シリンダの能動的冷却または加熱だけでなく、受動的冷却または加熱のためにも用いられ得る。
【0017】
本発明による装置の第1実施形態においては、熱交換器は、外部の空気によって吹かれ得る冷却リブを含む。これによって外気によるエネルギー回収シリンダの効率的な冷却が確保される。特に冷却リブは、エネルギー回収シリンダの表面積を増す。
【0018】
有利なことに、冷却リブは、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットから、または熱交換器のシリンダチューブから外へ延びる。冷却リブは、例えば、半径方向に、長手方向に、または螺旋状に延びてもよい。
【0019】
しかし本発明のさらなる実施形態においては、熱交換器は、冷却流体が流れるフロースペースを含んでもよい。特に、フロースペースは入口および出口を含み、これらによって熱交換器は冷却回路および加熱回路とそれぞれ接続される。この目的のために、特にフロースペースは、冷却流体を導くホースが接続され得る接続要素を含む。
【0020】
熱交換器は、フロースペースの外側壁を形成する外側チューブを含むよう構成されてもよい。特に、フロースペースは、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの外側表面と外側チューブとの間に構成され得る。熱交換器がシリンダチューブを備え、このシリンダチューブはシリンダジャケットの外側表面上に熱伝導するかたちで構成される、代替の実施形態においては、フロースペースは、このシリンダチューブと外側チューブとの間に設けられてもよい。
【0021】
さらに、本発明によれば、フロースペースは、シリンダジャケットを螺旋状に囲むよう構成されてもよい。このようにして、冷却流体がフロースペースを通って特に均一に流れることが確保される。螺旋状のフロースペースは、それぞれシリンダジャケットおよびシリンダチューブの周りで螺旋状に導かれる円筒形導管によって提供され得る。代替として、螺旋状接続構成は、外側チューブとシリンダジャケットまたはシリンダチューブとの間に提供されてもよく、これによりフロースペースが螺旋状に分割される。螺旋状接続構成は、シリンダジャケット上、またはシリンダチューブ上に配置されてもよい。特に、接続構成は、シリンダジャケットまたはシリンダチューブの材料中に組み込まれてもよい。代替として、または加えて、螺旋状の接続構成は、外側チューブ上に配置されてもよく、特に外側チューブの材料中に組み込まれてもよい。
【0022】
本発明による熱交換器は、エネルギー回収シリンダまたはその内部にある気体を冷却する働きをし得る。有利なことに、よって熱交換器は、装置の冷却回路に接続される。
【0023】
さらに、熱交換器は、エネルギー回収シリンダを加熱する働きをし得る。有利なことに、よって熱交換器は、装置の加熱回路に接続される。
【0024】
特に熱交換器は、装置の組み合わされた冷却および加熱回路に接続され得る。
【0025】
前記装置以外に、本発明は、上述されたように装置のためのエネルギー回収シリンダをさらに提供する。本発明によるエネルギー回収シリンダは、特に熱交換器を備える。有利なことに、エネルギー回収シリンダは、上述されたように構成される。
【0026】
上述された装置または熱交換器を持つエネルギー回収シリンダとは独立して、本発明は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ装置を備え、特に走行装置を備え、中でも掘削機や資材を扱う機械を備える。可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、このエネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。本発明によれば、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置が提供される。本発明のこの局面は、エネルギー回収シリンダ、またはその中にある気体の温度が装置の動作を決定するという知見を考慮もする。本発明によれば、エネルギー回収シリンダの温度が調節され得る。このようにして、望ましくない温度状況が避けられたり、改善されたりする。
【0027】
エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、エネルギー回収シリンダの加熱を行う。特に例えば寒冷な雰囲気温度においては、加熱によりエネルギー回収シリンダは一定の動作温度まで上げることができる。エネルギー回収シリンダを加熱することは、さまざまな手法で行われ得る。
【0028】
特に、加熱要素は、エネルギー回収シリンダを加熱するよう構成される。加熱要素は、エネルギー回収シリンダに配置され、特にシリンダジャケットに配置され得る。有利なことに、加熱要素は電気的に動作する加熱要素である。
【0029】
さらに加熱は、熱交換器を介して行われ得る。特にこれは有利なことに、上述のような熱交換器である。有利なことに、熱交換器は熱回路に接続される。特に熱回路中の流体を加熱する加熱要素は、熱回路中に提供され、特に電気的加熱要素である。
【0030】
加熱は、摩擦要素を介して行われてもよい。特に本発明による摩擦要素は、エネルギー回収シリンダの動きのあいだ、摩擦を増す。特に摩擦要素は、シリンダロッドがシリンダジャケットに対して動かされたときに、摩擦要素とエネルギー回収シリンダのシリンダロッドとの間に摩擦熱を発生する。有利なことに、摩擦要素は、アクチュエータが設けられ、よって駆動され得る。特に、摩擦要素の接触圧力は、アクチュエータを介して制御され得る。
【0031】
さらに、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、エネルギー回収シリンダの冷却を行う。特に、動作中におけるエネルギー回収シリンダの制御されない加熱は、冷却によって打ち消される。
【0032】
有利なことに、冷却は熱交換器を介して行われる。有利なことに、この熱交換器は、上述のように構成される。
【0033】
有利なことに、本発明のエネルギー回収シリンダの温度の調節は、温度調節の装置をコントローラによって選択的に駆動することによって行われる。特に好ましくは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、装置の動作パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて駆動される。
【0034】
さらに有利なことに、本発明によれば温度センサが設けられ、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の駆動は、温度センサの信号に基づいて行われる。特に、そのような温度センサは、有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度を制御できる。
【0035】
本発明の優位性のある局面において、温度センサは、エネルギー回収シリンダの温度、及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体の温度、及び/又は冷却流体の温度を測定する。これにより、エネルギー回収シリンダの温度またはエネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体の温度の制御または調整ができる。代替として、またはこれに加えて、温度センサは、外気温を測定できる。これにより、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を効果的に駆動できる。
【0036】
装置はコントローラを含んでもよく、このコントローラが、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動することによって、エネルギー回収シリンダが第1閾値温度未満のときは加熱される。代替として、またはこれに加えて、このコントローラは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動することによって、エネルギー回収シリンダが第2閾値温度を超えるときは冷却される。
【0037】
さらに、代替として、またはこれに加えて、エネルギー回収シリンダは、冷却及び/又は加熱を所定の温度ウィンドウの中では行わない。所定の温度ウィンドウの中においては温度を調節する装置をオフにすることによって、温度調節のためのエネルギー消費が可能な限り抑えられる。
【0038】
本発明によれば、エネルギー回収シリンダは、冷却流体が流れる冷却回路に接続された熱交換器を備えてもよい。その構成に依存して、冷却回路は、エネルギー回収シリンダを冷却及び/又は加熱するために用いられ得る。
【0039】
有利なことに、冷却回路は、冷却流体を冷却する冷却ユニットを含む。代替として、またはこれに加えて、冷却回路は、冷却流体を加熱する加熱ユニットを含む。さらに、冷却回路は、冷却流体を循環させるためのポンプを含むよう構成され得る。本発明によればこのポンプを駆動することによって、冷却ユニット及び/又は加熱ユニットは、エネルギー回収シリンダの冷却及び/又は加熱を行うことができる。
【0040】
エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の駆動は、必ずしもエネルギー回収シリンダの温度調節のためだけに機能する必要はなく、装置の他の要素の温度を調節してもよい。
【0041】
有利なことに、エネルギー回収シリンダの冷却回路は、装置の他の要素の冷却回路に接続される。特に、そのような冷却回路は、内燃エンジンの冷却回路及び/又は装置の油圧システムの冷却回路である。内燃エンジン及び/又は油圧システムは、ふつうは既に冷却回路を含む。これは通常、冷却流体に基づいて動作している。
【0042】
エネルギー回収シリンダを、装置の他の要素の冷却回路に接続することによって、非常に安価でかつ簡単に2つの問題が解決され得る。要素の冷却回路は常に一定の温度である。その結果、エネルギー回収シリンダは、動作の開始において一定の動作温度へ加熱され得る。
【0043】
2つ目の点は、冷却回路によるエネルギー回収シリンダの冷却である。温度が過度に上昇し、よってバーストヒューズとして設計されている既存の圧力リリーフ弁が動作するのを防ぐことができる。しかし代替として、別個の冷却構成が選ばれることによってエネルギー回収シリンダを冷却してもよく、装置の他の要素の冷却回路は加熱のためだけに用いられ得る。
【0044】
特に、シリンダにおいては常に同じ動作圧力が存在し、シリンダ内の動作圧力は特定されたウィンドウの中でだけ変動することが確保される。その結果、外気温または動作のモードとは独立して、常に一定または類似の力/ストローク曲線がエネルギー回収シリンダ内で確保される。
【0045】
両方の問題は、エネルギー回収シリンダの熱交換器を装置の既存の要素の冷却回路に接続することによってだけではなく、エネルギー回収シリンダの温度を独立して駆動することによって、及び/又はそのような冷却回路を一時的に接続することによってももちろん解決できる。
【0046】
特に、エネルギー回収シリンダの熱交換器が、動作パラメータに基づいて、特に温度信号に基づいて、装置の既存の要素の冷却回路と接続されたり、それから分離されたりする回路構成が提供され得る。特にこの回路構成は、上述のように、閾値温度を採用してもよい。
【0047】
本発明による装置以外に、本発明は、そのような装置を動作させる方法をさらに提供する。特に、それによりエネルギー回収シリンダの温度が上昇及び/又は下降する。本発明による方法の実施形態に依存し、エネルギー回収シリンダの温度の上昇だけ、または下降だけが実現され得る。有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度の上昇及び/又は下降は、少なくとも1つの動作パラメータに依存して行われる。
【0048】
有利なことに、本方法は、前記装置について既に上述したように実施される。
【0049】
本装置および本方法以外に、本発明は、対応するエネルギー回収シリンダもさらに提供する。有利なことに、このエネルギー回収シリンダは、温度を調節する装置を含むか、またはそのような装置に接続される。
【0050】
さらに本発明は、エネルギー回収シリンダの温度を調節する対応する装置も提供する。
【0051】
さらに本発明は、エネルギー回収シリンダおよびエネルギー回収シリンダの温度を調節する装置のセットを提供する。
【0052】
本発明の特に好ましい利用法は、ここでもう一度簡単に記載される。
【0053】
特に本発明による装置は走行装置であり、とりわけ掘削機や資材を扱う機械である。
【0054】
前記装置は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を含む。少なくとも1つのエネルギー回収シリンダは、可動要素の動きからエネルギーを回収するために設けられる。作動駆動部としては、特に作動油圧シリンダが用いられ得る。
【0055】
気体で満たされたチャンバを持つエネルギー回収シリンダは、それ自体が、可動要素の動きからエネルギーを回収するエネルギー累積器として働く。エネルギー回収シリンダの底面によって形成された空間は、有利なことに、圧力が加わった気体で満たされていて、この気体はピストンロッドが底に対して動くあいだ、圧縮される。そのときに貯蔵されたエネルギーは、特に作動油圧シリンダである作動駆動部を支持するピストンロッドが上向きに動くあいだ、再び利用可能となる。さらに有利なことには、エネルギー回収シリンダのピストンロッドは、空洞であり、かつ底面に向かって開放しており、それにより、ピストンロッドの内部は、気体で満たされたチャンバの一部を成す。
【0056】
本発明の装置の可動要素は、有利なことに、回転の垂直軸の周りに回転可能に装置に取り付けられ、前記1つ以上の作動駆動部を介して垂直なスイベル平面内で回転可能である。特に可動要素は、掘削機のアームまたは資材を扱う機械のブームである。さらに有利なことに、走行装置は、走行手段を持つ下部台車(undercarriage)、および垂直な回転軸の周りに回転可能に下部台車の上に配置された上部台車(uppercarriage)を含み、上部台車には可動要素が関節式に結合されている。
【0057】
可動要素上には、作業ツール(working tool)、例えばショベルまたはグラブ(grab)が設けられ得る。可動要素を低くするとき、可動要素および作業ツールの位置エネルギーは、エネルギー回収シリンダを介して貯蔵される。
【発明の効果】
【0058】
可動要素を低くするときには、可動要素が上向きに動くあいだ、機器重量を少なくとも部分的に補償するために、可動要素および作業ツールの位置エネルギーはエネルギー回収シリンダを介して貯蔵される。その結果、可動要素を上向きに動かすために、作動駆動部を介して消費されるエネルギーは少なくなる。その結果、装置のエネルギーバランスが改善されるが、これはエンジン出力がより小さくても済み、燃料消費が削減されるからである。
【0059】
1つ以上の作動油圧シリンダのように、本発明によるエネルギー回収シリンダは、有利なことに、装置の上部台車と可動要素との間に配置される。よって可動要素の動きのあいだ、エネルギー回収シリンダは、作動油圧シリンダと同時に動く。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】2つの作動油圧シリンダおよび1つのエネルギー回収シリンダを持つ、本発明による装置の例示的実施形態を示す図である。
【図2】(a)は、本発明によるエネルギー回収シリンダの第1変形例の概略図であり、(b)は、本発明によるエネルギー回収シリンダの第2変形例の概略図であり、
【図3】冷却流体がその中を通ることができるフロースペースを含む熱交換器を持つ、本発明によるエネルギー回収シリンダの例示的実施形態を示す図である。
【図4】(a)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(b)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(c)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(d)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図である。
【図5】(a)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(b)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(c)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(d)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図である。
【図6】(a)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図であり、(b)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図であり、(c)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図である。
【図7】エネルギー回収シリンダの温度を調節する本発明による装置の例示的実施形態を示す図である。
【図8】(a)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図であり、(b)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図であり、(c)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図である。
【図9】2つの変形例におけるエネルギー回収シリンダの温度を調節する本発明による装置のさらなる例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ここで例示的実施形態および図面を参照し本発明を説明する。
【0062】
図1および図2を参照して、本発明が利用され得る、エネルギー回収シリンダを持つ装置の例示的実施形態がまずおおまかに示される。
【0063】
この装置は、水平に延びるスイベル軸5を介して、装置の溶接された構成部4に連結されている可動要素2を備える。本装置は、可動要素2が掘削機アームの周りに取り付けられている油圧掘削機である。この掘削機アームは掘削機の上部台車(uppercarriage)に連結されている。上部台車自身も、シャシを持つ下部台車に垂直な回転軸の周りに旋回可能に取り付けられている。
【0064】
可動要素2を動かすために、2つの作動油圧シリンダ(working hydraulic cylinders)1が設けられる。これら2つの作動油圧シリンダ1は、対応する連結点を介してそれぞれ可動要素2に連結され、かつ上部台車の溶接された構成部4に連結される。さらに、本発明の例示的実施形態によるエネルギー回収シリンダ3は、作動油圧シリンダ1のように、可動要素2と装置の上部台車4との間に設けられることで、可動要素の動きからエネルギー回収を行う。エネルギー回収シリンダ3は、2つの作動油圧シリンダ1の間に設けられる。
【0065】
可動要素2は、この場合は掘削機ブームであり、この可動要素2には、例えば掘削ショベルのような作業機材(work equipment)が通常は設けられる。可動要素2を低くするときには、本発明の機構がなければ可動要素および作業機材の重量に起因して作動油圧シリンダにかかるはずの静止力(static forces)を、可動要素が上向きに動くあいだ、少なくとも部分的に補償し、それにより作動油圧シリンダ1によってより少ないエネルギーしか供給しなくても済むようにするために、可動要素2および作業機材の位置エネルギーが回収されて貯蔵されるべきである。この目的のために、本発明による油圧シリンダは、有利なことに気体で満たされたチャンバを含む。可動要素を低くすると、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体は圧縮されるが、可動要素を上げるときには気体が膨張し、それによって作動油圧シリンダ1を支持する。この目的のために、本発明によるエネルギー回収シリンダは、有利なことに、その底面が気体で満たされ、さらに有利なことに、底面に向かって開いている中空のピストンロッドを含む。
【0066】
図2(a)および2(b)は、エネルギー回収シリンダ3の2つの変形例の概略図である。両方の例示的実施形態は、ピストンロッド11が軸方向に動けるように装着されたシリンダ10を含む。ピストンロッド11は中空シリンダの形状を有することによって、ピストンロッド11の内部には空洞13が設けられ、この空洞はシリンダの底面12に向かって開いている。エネルギー回収シリンダ3の底面12およびピストンロッド11の内部にある空洞13は、圧力がかけられた気体で満たされた一体となった(coherent)チャンバを形成する。シリンダ10内のピストンロッド11が動くあいだ、底面12の大きさが変えられるので、ピストンロッド11が完全に引き込まれた状態では、気体で満たされた容積は、空洞ピストンロッドの内部にある空洞13に実質的に対応し、ピストンロッドが完全に伸びた状態では、気体で満たされた容積は、この空洞13の容積とシリンダ10の容積との和に対応する。
【0067】
エネルギー回収シリンダは、底面ベアリングポイント15およびピストンロッド側ベアリングポイント16を含み、これらにより器具(implement)および可動要素に結合される。エネルギー回収シリンダは、可動要素および作業機材の重量によってエネルギー回収シリンダの底部に対してピストンロッド11が下向きに動かされ、その結果、気体の体積が圧縮されるよう、可動要素および器具の間に結合される。作業機材を下げるときには圧力が単調に増加するように、中空のピストンロッド11を持つ本発明によるエネルギー回収シリンダの設計により、十分な気体体積が引き込まれたシリンダに存在する。一方、可動要素が上向きに動かされるあいだは、重量の一部はエネルギー回収シリンダの内部にある気体体積にかかるので、作動油圧シリンダは、静止負荷の全てを支える必要はない。
【0068】
エネルギー回収シリンダは、チャンバに気体を満たす充填バルブ17および気体圧力を制限する圧力制限バルブ18を含む。図2(a)の第1の例示的実施形態では、充填バルブ17および圧力制限バルブ18は、底面に配置されている。しかし図2(b)に示される第2の例示的実施形態では、充填バルブ17および圧力制限バルブ18は、ピストンロッドの側部上に配置されている。
【0069】
図2(a)および図2(b)に示されるエネルギー回収シリンダは2つの側面を有する油圧シリンダであるので、環状スペース14が設けられ、これは器具の油圧システムにポート12を介して接続可能である。底面も、器具の油圧システムに接続可能であるポートを含んでもよい。
【0070】
図2(b)に示されるように、エネルギー回収シリンダへ作動油を供給したり、シリンダから作動油を排出したりすることによって、エネルギー回収シリンダ内の気体体積は変えることができる。よって図2(b)の第2の例示的実施形態では、作動油を供給するポート20が設けられ、これによりエネルギー回収シリンダの底部スペースは器具の油圧システムに接続可能である。
【0071】
本発明の発明者は、エネルギー回収シリンダの動作において、気体の圧縮によって熱が発生し、この熱によって制御されない状態でエネルギー回収シリンダが加熱されることを見いだした。加えて、エネルギー回収シリンダの特性曲線は、気体で満たされたチャンバ内の気体の温度に依存して変化する。
【0072】
よって第1の局面で本発明は、熱交換器を持つエネルギー回収シリンダを提供する。有利なことに、これは少なくともエネルギー回収シリンダを冷却することも行う。冷却は、能動的または受動的に行われ得る。しかし加えて有利なことに、この熱交換器は、エネルギー回収シリンダを加熱する働きもする。
【0073】
このようなエネルギー回収シリンダの第1の例示的実施形態は、図3に示される。エネルギー回収シリンダは、冷却回路に接続可能であり、その中を冷却流体が流れるフロースペースを持つ熱交換器30を含む。この目的のために、熱交換器30は、ポート31および32を含み、これらを介して、具体的にはホースラインを介して冷却回路に接続可能である。
【0074】
熱交換器30は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット10上に配置され、この例示的実施形態では、実質的にシリンダジャケットの全長にわたって延びることによって、エネルギー回収シリンダ内部の気体と冷却流体との間での熱交換をできるだけ良好にする。
【0075】
図4(a)〜図4(d)は、そのような熱交換器の4つの変形例を示し、ここでは熱交換器は、シリンダジャケット10上に直接に配置されている。図4(a)〜図4(c)において、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット10は、熱交換器のフロースペースの境界壁を構成する。シリンダジャケット10上に押さえ付けられ、エネルギー回収シリンダのフロースペースの外側壁を形成する外側チューブ35が設けられている。
【0076】
図4(a)に示される例示的実施形態において、単純な円筒スリーブ35が外側チューブとして設けられ、この外側チューブはシリンダジャケット10上に直接に配置されることによって、フロースペースがシリンダジャケット10と外側チューブ35との間の中空の円筒スペースを形成する。
【0077】
一方、図4(b)および図4(c)に示される例示的実施形態において、フロースペース41は、エネルギー回収シリンダの周りを螺旋状に延びる。このようにして、フロースペースで熱がより均一に分散されるようになる。この目的のために、螺旋状へリックスがフロースペースに設けられ、これがフロースペースを螺旋延長部に分割する。
【0078】
図4(b)では、螺旋フロースペース41を形成する螺旋へリックス36を含むシリンダジャケット10によって螺旋フロースペース41が形成される。図4(c)に示される例示的実施形態では、これは螺旋へリックス37を含む外側チューブ35上で実現される。
【0079】
したがってフロースペース41は、シリンダジャケット10または外側チューブ35の螺旋へリックスまたは対応する螺旋凹部によって設けられ、それぞれへリックス36および37の間に構成される。これら凹部は、それぞれシリンダジャケット10および外側チューブ35の材料に作り込まれる。代替として、螺旋へリックスは、シリンダジャケット10と外側チューブ35との間の分離要素として構成されてもよい。
【0080】
一方、図4(d)において、熱交換器は、エネルギー回収シリンダの周りに螺旋状に巻かれたチューブ要素38を含み、これによりフロースペースを提供する。
【0081】
図4(a)〜図4(d)に示される例示的実施形態では、外側チューブ35およびチューブ要素38は、それぞれシリンダジャケット10上に直接に配置される。一方、図5(a)〜図5(d)に示される例示的実施形態では、シリンダチューブ45が設けられ、このチューブは、熱伝導するかたちでシリンダジャケット10上に直接に配置される。図5(a)〜図5(d)では、このシリンダチューブ45は、図4(a)〜図4(d)の例示的実施形態におけるシリンダジャケット10と同じ機能を果たす。シリンダチューブによって、熱交換器は、エネルギー回収シリンダ全体に密着される別個の機能ユニットを形成する。これ以外の点では、図5(a)〜図5(d)の熱交換器の設計は、図4(a)〜図4(d)に示される設計に対応する。
【0082】
図6(a)〜図6(c)は、空気冷却の原理に基づく熱交換器の3つの変形例を示す。この目的のために、熱交換器は、冷却リブ50,51,52を含み、これらは、外部の空気によって吹かれるので、エネルギー回収シリンダから熱を取り除く。冷却リブは、シリンダジャケット10上に配置される。しかしここでも、上で既に述べたように、冷却リブが配置されたシリンダジャケット10上にシリンダチューブがさらに配置されてもよい。
【0083】
設計によっては、冷却リブは別の形状を有してもよい。そのときの目的は、冷却リブの表面積が大きくなるようにし、冷却リブを空気がよく通るようにすることである。
【0084】
図6(a)に示される例示的実施形態では、半径方向の冷却リブ50が設けられ、これらリブは、エネルギー回収シリンダの長手方向の軸に沿った断面図からわかるように、エネルギー回収シリンダの長手方向の軸に垂直な面内においてエネルギー回収シリンダの周りで延びる。
【0085】
一方、図6(b)に示される例示的実施形態では、冷却リブ51が設けられ、これらはエネルギー回収シリンダの長手方向に沿って延びる。これは、右側に示されるエネルギー回収シリンダの長手方向の軸に垂直な断面図から特に明らかになろう。
【0086】
また、図6(c)に示される例示的実施形態では、螺旋冷却リブが示されているが、これらはエネルギー回収シリンダの周りを螺旋状に延びる。
【0087】
本発明のさらなる局面においては、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置が提供される。エネルギー回収シリンダの温度を調節するこの装置は、エネルギー回収シリンダを冷却する働きをする。代替として、または加えて、この装置はエネルギー回収シリンダを加熱する働きをしてもよい。
【0088】
有利なことに、この装置は、エネルギー回収シリンダの動作温度、またはシリンダ内の気体の温度を調節する働きをする。有利なことに、温度の調節は、装置の少なくとも1つの動作パラメータに基づいて行われ得る。このパラメータは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動するコントローラに入力量として入力される。
【0089】
さらに有利なことに、温度センサが提供され、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、温度センサの信号に基づいて駆動が行われる。
【0090】
有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、上述のようにフロースペースを持つ熱交換器を備える。特に装置がエネルギー回収シリンダを冷却するのに用いられるときには、そのような熱交換器は、エネルギー回収シリンダを冷却回路に接続する。
【0091】
図7は、エネルギー回収シリンダ3の温度を調節する装置の、そのような例示的実施形態を示す。エネルギー回収シリンダ3は、フロースペースを持つ熱交換器30を含み、これは入力31および出力32を介して冷却回路65に接続されている。冷却流体は、ポンプ66によって冷却回路65を通るように送り出される。冷却ユニット60は冷却回路65内に設けられ、冷却ユニットによって冷却流体は冷却される。冷却ユニット60は、熱交換器61およびファン62をさらに備え、これらによって熱交換器61が冷却される。
【0092】
よってこの例示的実施形態においては、冷却流体は、循環ポンプ66によって外部熱交換器61を通って流れる。この熱交換器61においては、流体は、順次接続されたファンによって冷却され、再び冷却回路に注入される。このようにしてエネルギー回収シリンダ3の動作のあいだに発生する過剰な熱は、放熱され得る。有利なことに、冷却回路及びその要素の駆動は、コントローラによってなされる。有利なことに、この駆動は、動作パラメータに基づいて行われ、特に温度センサの信号に基づいて行われる。
【0093】
図7に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダの能動的な加熱は可能ではない。しかしエネルギー回収シリンダは、気体の圧縮に起因して、いずれにしても動作のあいだに加熱する。
【0094】
しかし図8(a)〜図8(c)では、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の3つの変形例が示され、これらはエネルギー回収シリンダの能動的な加熱を行う。例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダを加熱するこれら装置は、エネルギー回収シリンダを冷却する装置と組み合わせて示されている。しかしエネルギー回収シリンダを加熱する装置は、冷却のための装置なしで単独で提供されてもよい。エネルギー回収シリンダを加熱する装置は、寒冷地のとき、または装置が電気的に駆動されるときには特に利用され得る。
【0095】
図8(a)では、エネルギー回収シリンダの加熱は、冷却流体を加熱する加熱要素70が図7に示される冷却回路に組み込まれていることで行われる。よってこの冷却回路は、エネルギー回収シリンダのための加熱回路として働く。したがって、エネルギー回収シリンダの加熱は、静止加熱(stationary heating)の原理によって動作する。この場合、冷却回路内の冷却流体は、加熱要素70中の電気加熱コイルによって加熱され、循環ポンプ66によって熱交換器30を通るように流される。この概念も、冷却要素60を省略することで能動的な冷却なしでも実現できる。
【0096】
しかし図8(b)に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダ3上に直接に配置された加熱要素が設けられる。特に、エネルギー回収シリンダの周りに配置された電気的加熱ブランケットが提供され得る。
【0097】
しかし図8(c)に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダの加熱は、摩擦要素72によって行われる。アクチュエータ75の制御の下で、加熱がシリンダロッド11に対して行われ、よってエネルギー回収シリンダを加熱する摩擦を選択的に発生できる。図8(b)および図8(c)に示される加熱装置は、冷却装置と組み合わせても、または単独でも用いることができる。
【0098】
エネルギー回収シリンダは、別個の冷却回路に結合される必要はない。むしろ特に好ましい実施形態では、エネルギー回収シリンダは、装置の別の構成要素の冷却回路に接続され、具体的には装置の内燃機関や油圧システムの冷却回路に接続される。
【0099】
熱交換器には、装置の冷却回路からの冷却流体が常に流れ、つまり熱交換器は、回路構成の制御の下、上記冷却回路に接続される。装置の冷却回路からの冷却流体は常に一定の温度を有する。このようにして、2つの問題が同時に解消される。すなわち、動作サイクルの最初においては、冷却回路は、エネルギー回収シリンダを一定動作温度に保つことができる。このようにして、シリンダ内の動作圧力が常に同じであることが確保される。その結果、外部温度に関係なく、常に一定の力/ストローク曲線(force/stroke curve)がガスシリンダで確保される。第2の点は、エネルギー回収シリンダの冷却である。このようにして、エネルギー回収シリンダの温度が過度に上昇し、バーストヒューズ(burst fuse)が切れることが防止される。
【0100】
エネルギー回収シリンダの温度は、好ましくはコントローラを介して変化させられ、さらに有利なことには、温度センサの信号によって制御される。ここで図9は、そのようなシステムの例示的実施形態を示す。温度センサ95は、エネルギー回収シリンダに設けられ、気体で満たされたチャンバ内のガスの温度を測定する。代替として、温度センサは、エネルギー回収シリンダの温度、または冷却流体の温度を測定してもよい。
【0101】
温度センサ95の温度に依存して、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、コントローラによって駆動される。具体的には、温度に依存して、エネルギー回収シリンダを加熱する装置、及び/又はエネルギー回収シリンダを冷却する装置がオンにされたり、オフにされたりする。
【0102】
有利な変形例では、最小および最大動作温度の間である規定のガス温度のウィンドウの中でガスシリンダが動作するように、温度を調節する装置が動かされる。これは、最低動作温度未満の温度では、エンジン回路80または外部ソースによって気体が最低動作温度まで引き上げられることを意味する。最低動作温度に達すると、加熱回路はオフにされ、今度はガスシリンダは自給自足で動作する。最大動作温度を超えると、冷却回路が駆動される。この場合は、例えば冷却流体が、冷却器のない回路においてだけ熱交換器を通して流される。代替として、冷却流体が冷却される追加のファン冷却器が用いられてもよい。
【0103】
有利なことに、動作温度ウィンドウは、加熱および冷却制御回路がなるべく必要にならないように選ばれる。ここでの第一の目的は、温度を調節するためのエネルギーの支出をなるべく小さくすることである。例えばここでは、温度ウィンドウとして25℃から40℃までの動作範囲が選ばれ得る。
【0104】
図9に示される例示的実施形態では、切替弁85は、冷却回路での駆動のために設けられており、この切替弁85によって熱交換器30は交互に加熱装置80または冷却装置60に接続され得る。例示的実施形態では、装置80は、装置のさらなる構成要素である加熱回路であり、具体的には掘削機の加熱回路であり、ここではエネルギー回収シリンダを加熱する機能を果たす。代替としては、別個の熱源を用いてもよい。冷却のために、冷却要素60を持つ別個の冷却回路および循環ポンプ66が設けられ、ここで冷却回路は、好ましくは1キロワットを超える能力を有し、より好ましくは3キロワットを超える能力を有し、さらに好ましくは約5キロワットの能力をする。
【0105】
上述の駆動は、熱交換器が最小動作温度未満では熱源80に接続され、最高動作温度より高いときは冷却回路に接続されるように行われる。最小動作温度および最高動作温度の間では、冷却回路が冷却要素60に接続され得るが、このとき冷却要素60は動作しない。
【0106】
代替として、図9において参照番号80で示される回路構成が変形例として採用され得る。切替弁80によってエネルギー回収シリンダの熱交換器は、加熱要素80からも冷却要素60からも分離される。
【0107】
加熱および冷却ユニットをそれぞれ対応するようにオンおよびオフすることによって、同様の駆動は図8に示される例示的実施形態においてももちろん可能である。
【0108】
異なる局面において、本発明は、どちらかと言えば一定である動作温度のエネルギー回収シリンダを動作させる。一方で本発明によればガスシリンダが規定以上に加熱することを防ぐことができる。さらに、装置が、エネルギー回収シリンダのどちらかというと一定の力/パス(force/path)の特性曲線で装置が動作するように、気体は必要なときには加熱され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの作動駆動部(working drive)を介して動かすことができる要素を持つ装置に関する。
【0002】
可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダ(energy recovery cylinder)が設けられる。エネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。特に本発明は走行装置(traveling implement)に関し、中でも掘削機や資材を扱う機械に関する。特に作動駆動部は、作動油圧シリンダ(working hydraulic cylinder)を備える。
【0003】
このような装置においては可動要素を低くするときにエネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバは圧縮され、よって位置エネルギーを貯蔵し、可動要素の上向きの動きのあいだには作動駆動部を補助するために貯蔵された位置エネルギーを放出する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1は、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバが、エネルギー回収シリンダの気体で満たされた底面およびエネルギー回収シリンダの空洞のピストンロッドによって形成されている装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2008 034 582 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、気体で満たされたチャンバを持つエネルギー回収シリンダを備えた装置の機能をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は請求項1に記載の装置によって達成される。本発明は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ装置を開示し、特に走行装置を開示し、中でも掘削機や資材を扱う機械を開示する。可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、このエネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。本発明によれば、エネルギー回収シリンダが熱交換機を含むことがここで記載される。
【0008】
本願発明の発明者は、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体の温度が、エネルギー回収シリンダの機能、ひいては装置の機能に対して、大きな影響を持つことを見いだした。特に、エネルギー回収シリンダの力・パス(force-path)の特性曲線は、気体の温度で変化する。熱交換器によって、エネルギー回収シリンダ内の気体の温度変動及び/又は高すぎる温度及び/又は低すぎる温度は、低減または阻止され得る。
【0009】
特に、気体で満たされたチャンバ内の気体が動作に起因して加熱し得ることが見いだされた。その結果、望ましくないくらい高い温度になり得る。よって本発明の好ましい実施形態においては、本発明によるエネルギー回収シリンダは、熱交換器が設けられ、これによってエネルギー回収シリンダ及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体が冷却され得て、または実際に冷却される。
【0010】
さらに、気体の温度が低すぎても(例えば外気温が低いとき)、望ましくない特性曲線またはエネルギー回収シリンダの低すぎるシリンダ力が得られることがある。よって本発明のさらなる実施形態においては、本発明によるエネルギー回収シリンダは、熱交換器が設けられ、これによってエネルギー回収シリンダ及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体が加熱され得る。
【0011】
このようにして、装置の動作のためには望ましくない温度状況は、解消されるか、または少なくとも改善され得る。
【0012】
有利なことに、熱交換器は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットを囲むように構成される。これにより、熱交換のために広い表面積が得られる。加えて、エネルギー回収シリンダの内部構造は影響されない。
【0013】
有利なことに、本発明はエネルギー回収シリンダにおいて用いられ、エネルギー回収シリンダ底面は気体で満たされている。よって気体で満たされたチャンバ内の気体は、シリンダジャケットと直接に接触するので、シリンダジャケットにおける熱交換器の構成が特に有利である。
【0014】
有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の50%を超える範囲を囲む。さらに有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の70%を超える範囲を囲み、さらに有利なことに、熱交換器は、シリンダジャケットの外側表面の90%を超える範囲を囲む。これにより特に良好な熱交換が確保できる。
【0015】
熱交換器の熱交換要素は、熱交換器のシリンダジャケット上に直接に配置され得る。しかし代替の実施形態においては、熱交換器は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの外側表面に熱伝導するかたちで配置されたシリンダチューブを備える。これにより、エネルギー回収シリンダ上に密着される、自給自足ユニットとしての熱交換器の製造が簡単になる。
【0016】
その設計に依存して、本発明による熱交換器は、エネルギー回収シリンダの能動的冷却または加熱だけでなく、受動的冷却または加熱のためにも用いられ得る。
【0017】
本発明による装置の第1実施形態においては、熱交換器は、外部の空気によって吹かれ得る冷却リブを含む。これによって外気によるエネルギー回収シリンダの効率的な冷却が確保される。特に冷却リブは、エネルギー回収シリンダの表面積を増す。
【0018】
有利なことに、冷却リブは、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットから、または熱交換器のシリンダチューブから外へ延びる。冷却リブは、例えば、半径方向に、長手方向に、または螺旋状に延びてもよい。
【0019】
しかし本発明のさらなる実施形態においては、熱交換器は、冷却流体が流れるフロースペースを含んでもよい。特に、フロースペースは入口および出口を含み、これらによって熱交換器は冷却回路および加熱回路とそれぞれ接続される。この目的のために、特にフロースペースは、冷却流体を導くホースが接続され得る接続要素を含む。
【0020】
熱交換器は、フロースペースの外側壁を形成する外側チューブを含むよう構成されてもよい。特に、フロースペースは、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの外側表面と外側チューブとの間に構成され得る。熱交換器がシリンダチューブを備え、このシリンダチューブはシリンダジャケットの外側表面上に熱伝導するかたちで構成される、代替の実施形態においては、フロースペースは、このシリンダチューブと外側チューブとの間に設けられてもよい。
【0021】
さらに、本発明によれば、フロースペースは、シリンダジャケットを螺旋状に囲むよう構成されてもよい。このようにして、冷却流体がフロースペースを通って特に均一に流れることが確保される。螺旋状のフロースペースは、それぞれシリンダジャケットおよびシリンダチューブの周りで螺旋状に導かれる円筒形導管によって提供され得る。代替として、螺旋状接続構成は、外側チューブとシリンダジャケットまたはシリンダチューブとの間に提供されてもよく、これによりフロースペースが螺旋状に分割される。螺旋状接続構成は、シリンダジャケット上、またはシリンダチューブ上に配置されてもよい。特に、接続構成は、シリンダジャケットまたはシリンダチューブの材料中に組み込まれてもよい。代替として、または加えて、螺旋状の接続構成は、外側チューブ上に配置されてもよく、特に外側チューブの材料中に組み込まれてもよい。
【0022】
本発明による熱交換器は、エネルギー回収シリンダまたはその内部にある気体を冷却する働きをし得る。有利なことに、よって熱交換器は、装置の冷却回路に接続される。
【0023】
さらに、熱交換器は、エネルギー回収シリンダを加熱する働きをし得る。有利なことに、よって熱交換器は、装置の加熱回路に接続される。
【0024】
特に熱交換器は、装置の組み合わされた冷却および加熱回路に接続され得る。
【0025】
前記装置以外に、本発明は、上述されたように装置のためのエネルギー回収シリンダをさらに提供する。本発明によるエネルギー回収シリンダは、特に熱交換器を備える。有利なことに、エネルギー回収シリンダは、上述されたように構成される。
【0026】
上述された装置または熱交換器を持つエネルギー回収シリンダとは独立して、本発明は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ装置を備え、特に走行装置を備え、中でも掘削機や資材を扱う機械を備える。可動要素の動きからエネルギーを回収するために、少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、このエネルギー回収シリンダは、気体で満たされたチャンバを含む。本発明によれば、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置が提供される。本発明のこの局面は、エネルギー回収シリンダ、またはその中にある気体の温度が装置の動作を決定するという知見を考慮もする。本発明によれば、エネルギー回収シリンダの温度が調節され得る。このようにして、望ましくない温度状況が避けられたり、改善されたりする。
【0027】
エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、エネルギー回収シリンダの加熱を行う。特に例えば寒冷な雰囲気温度においては、加熱によりエネルギー回収シリンダは一定の動作温度まで上げることができる。エネルギー回収シリンダを加熱することは、さまざまな手法で行われ得る。
【0028】
特に、加熱要素は、エネルギー回収シリンダを加熱するよう構成される。加熱要素は、エネルギー回収シリンダに配置され、特にシリンダジャケットに配置され得る。有利なことに、加熱要素は電気的に動作する加熱要素である。
【0029】
さらに加熱は、熱交換器を介して行われ得る。特にこれは有利なことに、上述のような熱交換器である。有利なことに、熱交換器は熱回路に接続される。特に熱回路中の流体を加熱する加熱要素は、熱回路中に提供され、特に電気的加熱要素である。
【0030】
加熱は、摩擦要素を介して行われてもよい。特に本発明による摩擦要素は、エネルギー回収シリンダの動きのあいだ、摩擦を増す。特に摩擦要素は、シリンダロッドがシリンダジャケットに対して動かされたときに、摩擦要素とエネルギー回収シリンダのシリンダロッドとの間に摩擦熱を発生する。有利なことに、摩擦要素は、アクチュエータが設けられ、よって駆動され得る。特に、摩擦要素の接触圧力は、アクチュエータを介して制御され得る。
【0031】
さらに、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、エネルギー回収シリンダの冷却を行う。特に、動作中におけるエネルギー回収シリンダの制御されない加熱は、冷却によって打ち消される。
【0032】
有利なことに、冷却は熱交換器を介して行われる。有利なことに、この熱交換器は、上述のように構成される。
【0033】
有利なことに、本発明のエネルギー回収シリンダの温度の調節は、温度調節の装置をコントローラによって選択的に駆動することによって行われる。特に好ましくは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、装置の動作パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて駆動される。
【0034】
さらに有利なことに、本発明によれば温度センサが設けられ、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の駆動は、温度センサの信号に基づいて行われる。特に、そのような温度センサは、有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度を制御できる。
【0035】
本発明の優位性のある局面において、温度センサは、エネルギー回収シリンダの温度、及び/又は気体で満たされたチャンバ内の気体の温度、及び/又は冷却流体の温度を測定する。これにより、エネルギー回収シリンダの温度またはエネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体の温度の制御または調整ができる。代替として、またはこれに加えて、温度センサは、外気温を測定できる。これにより、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を効果的に駆動できる。
【0036】
装置はコントローラを含んでもよく、このコントローラが、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動することによって、エネルギー回収シリンダが第1閾値温度未満のときは加熱される。代替として、またはこれに加えて、このコントローラは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動することによって、エネルギー回収シリンダが第2閾値温度を超えるときは冷却される。
【0037】
さらに、代替として、またはこれに加えて、エネルギー回収シリンダは、冷却及び/又は加熱を所定の温度ウィンドウの中では行わない。所定の温度ウィンドウの中においては温度を調節する装置をオフにすることによって、温度調節のためのエネルギー消費が可能な限り抑えられる。
【0038】
本発明によれば、エネルギー回収シリンダは、冷却流体が流れる冷却回路に接続された熱交換器を備えてもよい。その構成に依存して、冷却回路は、エネルギー回収シリンダを冷却及び/又は加熱するために用いられ得る。
【0039】
有利なことに、冷却回路は、冷却流体を冷却する冷却ユニットを含む。代替として、またはこれに加えて、冷却回路は、冷却流体を加熱する加熱ユニットを含む。さらに、冷却回路は、冷却流体を循環させるためのポンプを含むよう構成され得る。本発明によればこのポンプを駆動することによって、冷却ユニット及び/又は加熱ユニットは、エネルギー回収シリンダの冷却及び/又は加熱を行うことができる。
【0040】
エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の駆動は、必ずしもエネルギー回収シリンダの温度調節のためだけに機能する必要はなく、装置の他の要素の温度を調節してもよい。
【0041】
有利なことに、エネルギー回収シリンダの冷却回路は、装置の他の要素の冷却回路に接続される。特に、そのような冷却回路は、内燃エンジンの冷却回路及び/又は装置の油圧システムの冷却回路である。内燃エンジン及び/又は油圧システムは、ふつうは既に冷却回路を含む。これは通常、冷却流体に基づいて動作している。
【0042】
エネルギー回収シリンダを、装置の他の要素の冷却回路に接続することによって、非常に安価でかつ簡単に2つの問題が解決され得る。要素の冷却回路は常に一定の温度である。その結果、エネルギー回収シリンダは、動作の開始において一定の動作温度へ加熱され得る。
【0043】
2つ目の点は、冷却回路によるエネルギー回収シリンダの冷却である。温度が過度に上昇し、よってバーストヒューズとして設計されている既存の圧力リリーフ弁が動作するのを防ぐことができる。しかし代替として、別個の冷却構成が選ばれることによってエネルギー回収シリンダを冷却してもよく、装置の他の要素の冷却回路は加熱のためだけに用いられ得る。
【0044】
特に、シリンダにおいては常に同じ動作圧力が存在し、シリンダ内の動作圧力は特定されたウィンドウの中でだけ変動することが確保される。その結果、外気温または動作のモードとは独立して、常に一定または類似の力/ストローク曲線がエネルギー回収シリンダ内で確保される。
【0045】
両方の問題は、エネルギー回収シリンダの熱交換器を装置の既存の要素の冷却回路に接続することによってだけではなく、エネルギー回収シリンダの温度を独立して駆動することによって、及び/又はそのような冷却回路を一時的に接続することによってももちろん解決できる。
【0046】
特に、エネルギー回収シリンダの熱交換器が、動作パラメータに基づいて、特に温度信号に基づいて、装置の既存の要素の冷却回路と接続されたり、それから分離されたりする回路構成が提供され得る。特にこの回路構成は、上述のように、閾値温度を採用してもよい。
【0047】
本発明による装置以外に、本発明は、そのような装置を動作させる方法をさらに提供する。特に、それによりエネルギー回収シリンダの温度が上昇及び/又は下降する。本発明による方法の実施形態に依存し、エネルギー回収シリンダの温度の上昇だけ、または下降だけが実現され得る。有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度の上昇及び/又は下降は、少なくとも1つの動作パラメータに依存して行われる。
【0048】
有利なことに、本方法は、前記装置について既に上述したように実施される。
【0049】
本装置および本方法以外に、本発明は、対応するエネルギー回収シリンダもさらに提供する。有利なことに、このエネルギー回収シリンダは、温度を調節する装置を含むか、またはそのような装置に接続される。
【0050】
さらに本発明は、エネルギー回収シリンダの温度を調節する対応する装置も提供する。
【0051】
さらに本発明は、エネルギー回収シリンダおよびエネルギー回収シリンダの温度を調節する装置のセットを提供する。
【0052】
本発明の特に好ましい利用法は、ここでもう一度簡単に記載される。
【0053】
特に本発明による装置は走行装置であり、とりわけ掘削機や資材を扱う機械である。
【0054】
前記装置は、少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を含む。少なくとも1つのエネルギー回収シリンダは、可動要素の動きからエネルギーを回収するために設けられる。作動駆動部としては、特に作動油圧シリンダが用いられ得る。
【0055】
気体で満たされたチャンバを持つエネルギー回収シリンダは、それ自体が、可動要素の動きからエネルギーを回収するエネルギー累積器として働く。エネルギー回収シリンダの底面によって形成された空間は、有利なことに、圧力が加わった気体で満たされていて、この気体はピストンロッドが底に対して動くあいだ、圧縮される。そのときに貯蔵されたエネルギーは、特に作動油圧シリンダである作動駆動部を支持するピストンロッドが上向きに動くあいだ、再び利用可能となる。さらに有利なことには、エネルギー回収シリンダのピストンロッドは、空洞であり、かつ底面に向かって開放しており、それにより、ピストンロッドの内部は、気体で満たされたチャンバの一部を成す。
【0056】
本発明の装置の可動要素は、有利なことに、回転の垂直軸の周りに回転可能に装置に取り付けられ、前記1つ以上の作動駆動部を介して垂直なスイベル平面内で回転可能である。特に可動要素は、掘削機のアームまたは資材を扱う機械のブームである。さらに有利なことに、走行装置は、走行手段を持つ下部台車(undercarriage)、および垂直な回転軸の周りに回転可能に下部台車の上に配置された上部台車(uppercarriage)を含み、上部台車には可動要素が関節式に結合されている。
【0057】
可動要素上には、作業ツール(working tool)、例えばショベルまたはグラブ(grab)が設けられ得る。可動要素を低くするとき、可動要素および作業ツールの位置エネルギーは、エネルギー回収シリンダを介して貯蔵される。
【発明の効果】
【0058】
可動要素を低くするときには、可動要素が上向きに動くあいだ、機器重量を少なくとも部分的に補償するために、可動要素および作業ツールの位置エネルギーはエネルギー回収シリンダを介して貯蔵される。その結果、可動要素を上向きに動かすために、作動駆動部を介して消費されるエネルギーは少なくなる。その結果、装置のエネルギーバランスが改善されるが、これはエンジン出力がより小さくても済み、燃料消費が削減されるからである。
【0059】
1つ以上の作動油圧シリンダのように、本発明によるエネルギー回収シリンダは、有利なことに、装置の上部台車と可動要素との間に配置される。よって可動要素の動きのあいだ、エネルギー回収シリンダは、作動油圧シリンダと同時に動く。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】2つの作動油圧シリンダおよび1つのエネルギー回収シリンダを持つ、本発明による装置の例示的実施形態を示す図である。
【図2】(a)は、本発明によるエネルギー回収シリンダの第1変形例の概略図であり、(b)は、本発明によるエネルギー回収シリンダの第2変形例の概略図であり、
【図3】冷却流体がその中を通ることができるフロースペースを含む熱交換器を持つ、本発明によるエネルギー回収シリンダの例示的実施形態を示す図である。
【図4】(a)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(b)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(c)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図であり、(d)は、熱交換器がエネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に直接に配置された、図3に示される熱交換器の変形例を示す断面図である。
【図5】(a)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(b)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(c)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図であり、(d)は、熱交換器が、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット上に配置されたシリンダチューブを備える、図3に示される熱交換器を持つエネルギー回収シリンダの変形例を示す断面図である。
【図6】(a)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図であり、(b)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図であり、(c)は、冷却リブを持つエネルギー回収シリンダの例示的実施形態の変形例を示す図である。
【図7】エネルギー回収シリンダの温度を調節する本発明による装置の例示的実施形態を示す図である。
【図8】(a)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図であり、(b)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図であり、(c)は、加熱構成が示されるエネルギー回収シリンダの温度を調節する例示的実施形態の変形例を示す図である。
【図9】2つの変形例におけるエネルギー回収シリンダの温度を調節する本発明による装置のさらなる例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ここで例示的実施形態および図面を参照し本発明を説明する。
【0062】
図1および図2を参照して、本発明が利用され得る、エネルギー回収シリンダを持つ装置の例示的実施形態がまずおおまかに示される。
【0063】
この装置は、水平に延びるスイベル軸5を介して、装置の溶接された構成部4に連結されている可動要素2を備える。本装置は、可動要素2が掘削機アームの周りに取り付けられている油圧掘削機である。この掘削機アームは掘削機の上部台車(uppercarriage)に連結されている。上部台車自身も、シャシを持つ下部台車に垂直な回転軸の周りに旋回可能に取り付けられている。
【0064】
可動要素2を動かすために、2つの作動油圧シリンダ(working hydraulic cylinders)1が設けられる。これら2つの作動油圧シリンダ1は、対応する連結点を介してそれぞれ可動要素2に連結され、かつ上部台車の溶接された構成部4に連結される。さらに、本発明の例示的実施形態によるエネルギー回収シリンダ3は、作動油圧シリンダ1のように、可動要素2と装置の上部台車4との間に設けられることで、可動要素の動きからエネルギー回収を行う。エネルギー回収シリンダ3は、2つの作動油圧シリンダ1の間に設けられる。
【0065】
可動要素2は、この場合は掘削機ブームであり、この可動要素2には、例えば掘削ショベルのような作業機材(work equipment)が通常は設けられる。可動要素2を低くするときには、本発明の機構がなければ可動要素および作業機材の重量に起因して作動油圧シリンダにかかるはずの静止力(static forces)を、可動要素が上向きに動くあいだ、少なくとも部分的に補償し、それにより作動油圧シリンダ1によってより少ないエネルギーしか供給しなくても済むようにするために、可動要素2および作業機材の位置エネルギーが回収されて貯蔵されるべきである。この目的のために、本発明による油圧シリンダは、有利なことに気体で満たされたチャンバを含む。可動要素を低くすると、エネルギー回収シリンダの気体で満たされたチャンバ内の気体は圧縮されるが、可動要素を上げるときには気体が膨張し、それによって作動油圧シリンダ1を支持する。この目的のために、本発明によるエネルギー回収シリンダは、有利なことに、その底面が気体で満たされ、さらに有利なことに、底面に向かって開いている中空のピストンロッドを含む。
【0066】
図2(a)および2(b)は、エネルギー回収シリンダ3の2つの変形例の概略図である。両方の例示的実施形態は、ピストンロッド11が軸方向に動けるように装着されたシリンダ10を含む。ピストンロッド11は中空シリンダの形状を有することによって、ピストンロッド11の内部には空洞13が設けられ、この空洞はシリンダの底面12に向かって開いている。エネルギー回収シリンダ3の底面12およびピストンロッド11の内部にある空洞13は、圧力がかけられた気体で満たされた一体となった(coherent)チャンバを形成する。シリンダ10内のピストンロッド11が動くあいだ、底面12の大きさが変えられるので、ピストンロッド11が完全に引き込まれた状態では、気体で満たされた容積は、空洞ピストンロッドの内部にある空洞13に実質的に対応し、ピストンロッドが完全に伸びた状態では、気体で満たされた容積は、この空洞13の容積とシリンダ10の容積との和に対応する。
【0067】
エネルギー回収シリンダは、底面ベアリングポイント15およびピストンロッド側ベアリングポイント16を含み、これらにより器具(implement)および可動要素に結合される。エネルギー回収シリンダは、可動要素および作業機材の重量によってエネルギー回収シリンダの底部に対してピストンロッド11が下向きに動かされ、その結果、気体の体積が圧縮されるよう、可動要素および器具の間に結合される。作業機材を下げるときには圧力が単調に増加するように、中空のピストンロッド11を持つ本発明によるエネルギー回収シリンダの設計により、十分な気体体積が引き込まれたシリンダに存在する。一方、可動要素が上向きに動かされるあいだは、重量の一部はエネルギー回収シリンダの内部にある気体体積にかかるので、作動油圧シリンダは、静止負荷の全てを支える必要はない。
【0068】
エネルギー回収シリンダは、チャンバに気体を満たす充填バルブ17および気体圧力を制限する圧力制限バルブ18を含む。図2(a)の第1の例示的実施形態では、充填バルブ17および圧力制限バルブ18は、底面に配置されている。しかし図2(b)に示される第2の例示的実施形態では、充填バルブ17および圧力制限バルブ18は、ピストンロッドの側部上に配置されている。
【0069】
図2(a)および図2(b)に示されるエネルギー回収シリンダは2つの側面を有する油圧シリンダであるので、環状スペース14が設けられ、これは器具の油圧システムにポート12を介して接続可能である。底面も、器具の油圧システムに接続可能であるポートを含んでもよい。
【0070】
図2(b)に示されるように、エネルギー回収シリンダへ作動油を供給したり、シリンダから作動油を排出したりすることによって、エネルギー回収シリンダ内の気体体積は変えることができる。よって図2(b)の第2の例示的実施形態では、作動油を供給するポート20が設けられ、これによりエネルギー回収シリンダの底部スペースは器具の油圧システムに接続可能である。
【0071】
本発明の発明者は、エネルギー回収シリンダの動作において、気体の圧縮によって熱が発生し、この熱によって制御されない状態でエネルギー回収シリンダが加熱されることを見いだした。加えて、エネルギー回収シリンダの特性曲線は、気体で満たされたチャンバ内の気体の温度に依存して変化する。
【0072】
よって第1の局面で本発明は、熱交換器を持つエネルギー回収シリンダを提供する。有利なことに、これは少なくともエネルギー回収シリンダを冷却することも行う。冷却は、能動的または受動的に行われ得る。しかし加えて有利なことに、この熱交換器は、エネルギー回収シリンダを加熱する働きもする。
【0073】
このようなエネルギー回収シリンダの第1の例示的実施形態は、図3に示される。エネルギー回収シリンダは、冷却回路に接続可能であり、その中を冷却流体が流れるフロースペースを持つ熱交換器30を含む。この目的のために、熱交換器30は、ポート31および32を含み、これらを介して、具体的にはホースラインを介して冷却回路に接続可能である。
【0074】
熱交換器30は、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット10上に配置され、この例示的実施形態では、実質的にシリンダジャケットの全長にわたって延びることによって、エネルギー回収シリンダ内部の気体と冷却流体との間での熱交換をできるだけ良好にする。
【0075】
図4(a)〜図4(d)は、そのような熱交換器の4つの変形例を示し、ここでは熱交換器は、シリンダジャケット10上に直接に配置されている。図4(a)〜図4(c)において、エネルギー回収シリンダのシリンダジャケット10は、熱交換器のフロースペースの境界壁を構成する。シリンダジャケット10上に押さえ付けられ、エネルギー回収シリンダのフロースペースの外側壁を形成する外側チューブ35が設けられている。
【0076】
図4(a)に示される例示的実施形態において、単純な円筒スリーブ35が外側チューブとして設けられ、この外側チューブはシリンダジャケット10上に直接に配置されることによって、フロースペースがシリンダジャケット10と外側チューブ35との間の中空の円筒スペースを形成する。
【0077】
一方、図4(b)および図4(c)に示される例示的実施形態において、フロースペース41は、エネルギー回収シリンダの周りを螺旋状に延びる。このようにして、フロースペースで熱がより均一に分散されるようになる。この目的のために、螺旋状へリックスがフロースペースに設けられ、これがフロースペースを螺旋延長部に分割する。
【0078】
図4(b)では、螺旋フロースペース41を形成する螺旋へリックス36を含むシリンダジャケット10によって螺旋フロースペース41が形成される。図4(c)に示される例示的実施形態では、これは螺旋へリックス37を含む外側チューブ35上で実現される。
【0079】
したがってフロースペース41は、シリンダジャケット10または外側チューブ35の螺旋へリックスまたは対応する螺旋凹部によって設けられ、それぞれへリックス36および37の間に構成される。これら凹部は、それぞれシリンダジャケット10および外側チューブ35の材料に作り込まれる。代替として、螺旋へリックスは、シリンダジャケット10と外側チューブ35との間の分離要素として構成されてもよい。
【0080】
一方、図4(d)において、熱交換器は、エネルギー回収シリンダの周りに螺旋状に巻かれたチューブ要素38を含み、これによりフロースペースを提供する。
【0081】
図4(a)〜図4(d)に示される例示的実施形態では、外側チューブ35およびチューブ要素38は、それぞれシリンダジャケット10上に直接に配置される。一方、図5(a)〜図5(d)に示される例示的実施形態では、シリンダチューブ45が設けられ、このチューブは、熱伝導するかたちでシリンダジャケット10上に直接に配置される。図5(a)〜図5(d)では、このシリンダチューブ45は、図4(a)〜図4(d)の例示的実施形態におけるシリンダジャケット10と同じ機能を果たす。シリンダチューブによって、熱交換器は、エネルギー回収シリンダ全体に密着される別個の機能ユニットを形成する。これ以外の点では、図5(a)〜図5(d)の熱交換器の設計は、図4(a)〜図4(d)に示される設計に対応する。
【0082】
図6(a)〜図6(c)は、空気冷却の原理に基づく熱交換器の3つの変形例を示す。この目的のために、熱交換器は、冷却リブ50,51,52を含み、これらは、外部の空気によって吹かれるので、エネルギー回収シリンダから熱を取り除く。冷却リブは、シリンダジャケット10上に配置される。しかしここでも、上で既に述べたように、冷却リブが配置されたシリンダジャケット10上にシリンダチューブがさらに配置されてもよい。
【0083】
設計によっては、冷却リブは別の形状を有してもよい。そのときの目的は、冷却リブの表面積が大きくなるようにし、冷却リブを空気がよく通るようにすることである。
【0084】
図6(a)に示される例示的実施形態では、半径方向の冷却リブ50が設けられ、これらリブは、エネルギー回収シリンダの長手方向の軸に沿った断面図からわかるように、エネルギー回収シリンダの長手方向の軸に垂直な面内においてエネルギー回収シリンダの周りで延びる。
【0085】
一方、図6(b)に示される例示的実施形態では、冷却リブ51が設けられ、これらはエネルギー回収シリンダの長手方向に沿って延びる。これは、右側に示されるエネルギー回収シリンダの長手方向の軸に垂直な断面図から特に明らかになろう。
【0086】
また、図6(c)に示される例示的実施形態では、螺旋冷却リブが示されているが、これらはエネルギー回収シリンダの周りを螺旋状に延びる。
【0087】
本発明のさらなる局面においては、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置が提供される。エネルギー回収シリンダの温度を調節するこの装置は、エネルギー回収シリンダを冷却する働きをする。代替として、または加えて、この装置はエネルギー回収シリンダを加熱する働きをしてもよい。
【0088】
有利なことに、この装置は、エネルギー回収シリンダの動作温度、またはシリンダ内の気体の温度を調節する働きをする。有利なことに、温度の調節は、装置の少なくとも1つの動作パラメータに基づいて行われ得る。このパラメータは、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置を駆動するコントローラに入力量として入力される。
【0089】
さらに有利なことに、温度センサが提供され、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、温度センサの信号に基づいて駆動が行われる。
【0090】
有利なことに、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、上述のようにフロースペースを持つ熱交換器を備える。特に装置がエネルギー回収シリンダを冷却するのに用いられるときには、そのような熱交換器は、エネルギー回収シリンダを冷却回路に接続する。
【0091】
図7は、エネルギー回収シリンダ3の温度を調節する装置の、そのような例示的実施形態を示す。エネルギー回収シリンダ3は、フロースペースを持つ熱交換器30を含み、これは入力31および出力32を介して冷却回路65に接続されている。冷却流体は、ポンプ66によって冷却回路65を通るように送り出される。冷却ユニット60は冷却回路65内に設けられ、冷却ユニットによって冷却流体は冷却される。冷却ユニット60は、熱交換器61およびファン62をさらに備え、これらによって熱交換器61が冷却される。
【0092】
よってこの例示的実施形態においては、冷却流体は、循環ポンプ66によって外部熱交換器61を通って流れる。この熱交換器61においては、流体は、順次接続されたファンによって冷却され、再び冷却回路に注入される。このようにしてエネルギー回収シリンダ3の動作のあいだに発生する過剰な熱は、放熱され得る。有利なことに、冷却回路及びその要素の駆動は、コントローラによってなされる。有利なことに、この駆動は、動作パラメータに基づいて行われ、特に温度センサの信号に基づいて行われる。
【0093】
図7に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダの能動的な加熱は可能ではない。しかしエネルギー回収シリンダは、気体の圧縮に起因して、いずれにしても動作のあいだに加熱する。
【0094】
しかし図8(a)〜図8(c)では、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置の3つの変形例が示され、これらはエネルギー回収シリンダの能動的な加熱を行う。例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダを加熱するこれら装置は、エネルギー回収シリンダを冷却する装置と組み合わせて示されている。しかしエネルギー回収シリンダを加熱する装置は、冷却のための装置なしで単独で提供されてもよい。エネルギー回収シリンダを加熱する装置は、寒冷地のとき、または装置が電気的に駆動されるときには特に利用され得る。
【0095】
図8(a)では、エネルギー回収シリンダの加熱は、冷却流体を加熱する加熱要素70が図7に示される冷却回路に組み込まれていることで行われる。よってこの冷却回路は、エネルギー回収シリンダのための加熱回路として働く。したがって、エネルギー回収シリンダの加熱は、静止加熱(stationary heating)の原理によって動作する。この場合、冷却回路内の冷却流体は、加熱要素70中の電気加熱コイルによって加熱され、循環ポンプ66によって熱交換器30を通るように流される。この概念も、冷却要素60を省略することで能動的な冷却なしでも実現できる。
【0096】
しかし図8(b)に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダ3上に直接に配置された加熱要素が設けられる。特に、エネルギー回収シリンダの周りに配置された電気的加熱ブランケットが提供され得る。
【0097】
しかし図8(c)に示される例示的実施形態では、エネルギー回収シリンダの加熱は、摩擦要素72によって行われる。アクチュエータ75の制御の下で、加熱がシリンダロッド11に対して行われ、よってエネルギー回収シリンダを加熱する摩擦を選択的に発生できる。図8(b)および図8(c)に示される加熱装置は、冷却装置と組み合わせても、または単独でも用いることができる。
【0098】
エネルギー回収シリンダは、別個の冷却回路に結合される必要はない。むしろ特に好ましい実施形態では、エネルギー回収シリンダは、装置の別の構成要素の冷却回路に接続され、具体的には装置の内燃機関や油圧システムの冷却回路に接続される。
【0099】
熱交換器には、装置の冷却回路からの冷却流体が常に流れ、つまり熱交換器は、回路構成の制御の下、上記冷却回路に接続される。装置の冷却回路からの冷却流体は常に一定の温度を有する。このようにして、2つの問題が同時に解消される。すなわち、動作サイクルの最初においては、冷却回路は、エネルギー回収シリンダを一定動作温度に保つことができる。このようにして、シリンダ内の動作圧力が常に同じであることが確保される。その結果、外部温度に関係なく、常に一定の力/ストローク曲線(force/stroke curve)がガスシリンダで確保される。第2の点は、エネルギー回収シリンダの冷却である。このようにして、エネルギー回収シリンダの温度が過度に上昇し、バーストヒューズ(burst fuse)が切れることが防止される。
【0100】
エネルギー回収シリンダの温度は、好ましくはコントローラを介して変化させられ、さらに有利なことには、温度センサの信号によって制御される。ここで図9は、そのようなシステムの例示的実施形態を示す。温度センサ95は、エネルギー回収シリンダに設けられ、気体で満たされたチャンバ内のガスの温度を測定する。代替として、温度センサは、エネルギー回収シリンダの温度、または冷却流体の温度を測定してもよい。
【0101】
温度センサ95の温度に依存して、エネルギー回収シリンダの温度を調節する装置は、コントローラによって駆動される。具体的には、温度に依存して、エネルギー回収シリンダを加熱する装置、及び/又はエネルギー回収シリンダを冷却する装置がオンにされたり、オフにされたりする。
【0102】
有利な変形例では、最小および最大動作温度の間である規定のガス温度のウィンドウの中でガスシリンダが動作するように、温度を調節する装置が動かされる。これは、最低動作温度未満の温度では、エンジン回路80または外部ソースによって気体が最低動作温度まで引き上げられることを意味する。最低動作温度に達すると、加熱回路はオフにされ、今度はガスシリンダは自給自足で動作する。最大動作温度を超えると、冷却回路が駆動される。この場合は、例えば冷却流体が、冷却器のない回路においてだけ熱交換器を通して流される。代替として、冷却流体が冷却される追加のファン冷却器が用いられてもよい。
【0103】
有利なことに、動作温度ウィンドウは、加熱および冷却制御回路がなるべく必要にならないように選ばれる。ここでの第一の目的は、温度を調節するためのエネルギーの支出をなるべく小さくすることである。例えばここでは、温度ウィンドウとして25℃から40℃までの動作範囲が選ばれ得る。
【0104】
図9に示される例示的実施形態では、切替弁85は、冷却回路での駆動のために設けられており、この切替弁85によって熱交換器30は交互に加熱装置80または冷却装置60に接続され得る。例示的実施形態では、装置80は、装置のさらなる構成要素である加熱回路であり、具体的には掘削機の加熱回路であり、ここではエネルギー回収シリンダを加熱する機能を果たす。代替としては、別個の熱源を用いてもよい。冷却のために、冷却要素60を持つ別個の冷却回路および循環ポンプ66が設けられ、ここで冷却回路は、好ましくは1キロワットを超える能力を有し、より好ましくは3キロワットを超える能力を有し、さらに好ましくは約5キロワットの能力をする。
【0105】
上述の駆動は、熱交換器が最小動作温度未満では熱源80に接続され、最高動作温度より高いときは冷却回路に接続されるように行われる。最小動作温度および最高動作温度の間では、冷却回路が冷却要素60に接続され得るが、このとき冷却要素60は動作しない。
【0106】
代替として、図9において参照番号80で示される回路構成が変形例として採用され得る。切替弁80によってエネルギー回収シリンダの熱交換器は、加熱要素80からも冷却要素60からも分離される。
【0107】
加熱および冷却ユニットをそれぞれ対応するようにオンおよびオフすることによって、同様の駆動は図8に示される例示的実施形態においてももちろん可能である。
【0108】
異なる局面において、本発明は、どちらかと言えば一定である動作温度のエネルギー回収シリンダを動作させる。一方で本発明によればガスシリンダが規定以上に加熱することを防ぐことができる。さらに、装置が、エネルギー回収シリンダのどちらかというと一定の力/パス(force/path)の特性曲線で装置が動作するように、気体は必要なときには加熱され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ、掘削機および資材を扱う機械を含む駆動装置であって、
前記可動要素の動きからエネルギーを回収するために少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、
前記可動要素は気体で満たされたチャンバを含み、
エネルギー回収シリンダは熱交換器を含むことを特徴とする
駆動装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットを囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの50%を超える範囲を囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの70%を超える範囲を囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの90%を超える範囲を囲む
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダの前記シリンダジャケットの外側表面に熱伝導するかたちで配置された、熱伝導性のシリンダチューブを備える
請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、外部の空気によって吹かれる冷却リブを含む
請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記冷却リブは、前記エネルギー回収シリンダの前記シリンダジャケットから、または前記熱交換器の前記シリンダチューブから外へ延び、半径方向に、または長手方向に、または螺旋状に延びている
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記熱交換器は、冷却流体が通るフロースペースを含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記フロースペースの外側壁を形成する外側チューブを含む
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記フロースペースは螺旋状に前記シリンダジャケットを囲む請求項6または7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダの冷却及び/又は加熱の働きをし、
前記熱交換器は、前記駆動装置の冷却及び/又は加熱回路に接続されている
請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の駆動装置のためのエネルギー回収シリンダ。
【請求項1】
少なくとも1つの作動駆動部を介して動かすことができる要素を持つ、掘削機および資材を扱う機械を含む駆動装置であって、
前記可動要素の動きからエネルギーを回収するために少なくとも1つのエネルギー回収シリンダが設けられ、
前記可動要素は気体で満たされたチャンバを含み、
エネルギー回収シリンダは熱交換器を含むことを特徴とする
駆動装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットを囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの50%を超える範囲を囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの70%を超える範囲を囲み、
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダのシリンダジャケットの90%を超える範囲を囲む
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダの前記シリンダジャケットの外側表面に熱伝導するかたちで配置された、熱伝導性のシリンダチューブを備える
請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、外部の空気によって吹かれる冷却リブを含む
請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記冷却リブは、前記エネルギー回収シリンダの前記シリンダジャケットから、または前記熱交換器の前記シリンダチューブから外へ延び、半径方向に、または長手方向に、または螺旋状に延びている
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記熱交換器は、冷却流体が通るフロースペースを含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記フロースペースの外側壁を形成する外側チューブを含む
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記フロースペースは螺旋状に前記シリンダジャケットを囲む請求項6または7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記エネルギー回収シリンダの冷却及び/又は加熱の働きをし、
前記熱交換器は、前記駆動装置の冷却及び/又は加熱回路に接続されている
請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の駆動装置のためのエネルギー回収シリンダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−107498(P2012−107498A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248702(P2011−248702)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(502087404)リープヘル−ヒュドラオリクバッガー ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(502087404)リープヘル−ヒュドラオリクバッガー ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
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