駆動装置及び画像形成装置
【課題】各ギア30、31の偏心やバックラッシの影響をなくして、感光ドラム4の回転速度ムラを低減する制御を低コストで高精度に行える構造を実現する。
【解決手段】感光ドラム4の回転軸4aに固定の感光体ギア30に、アイドラギア31を噛合させる。アイドラギア31は、1対のギア31a、31bからなり、両ギア31a、31bとの間には、これら両ギア31a、31bを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段35を設ける。これにより、各ギア30、31のバックラッシをなくす。更に、アイドラギア31には1個のフラグ32aを固定し、このフラグ32aの通過を検知部32bにより検知する。これにより、感光ドラム4の回転速度ムラをアイドラギア31を介して検知し、この感光ドラム4の回転速度ムラを低減する制御を行う。
【解決手段】感光ドラム4の回転軸4aに固定の感光体ギア30に、アイドラギア31を噛合させる。アイドラギア31は、1対のギア31a、31bからなり、両ギア31a、31bとの間には、これら両ギア31a、31bを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段35を設ける。これにより、各ギア30、31のバックラッシをなくす。更に、アイドラギア31には1個のフラグ32aを固定し、このフラグ32aの通過を検知部32bにより検知する。これにより、感光ドラム4の回転速度ムラをアイドラギア31を介して検知し、この感光ドラム4の回転速度ムラを低減する制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアを使用した駆動装置と、このような駆動装置を備えた、例えば、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ、複合機、印刷機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を採用した画像形成装置においては、次のように画像形成を行う。まず、像担持体である感光体を帯電器によって帯電し、この感光体に画像情報に応じた光照射を行って潜像を形成する。そして、この潜像を現像器によって現像して得た現像像(トナー像)を記録材に転写して画像を形成する。なお、感光体上に形成したトナー像を像担持体である中間転写ベルト上に一次転写してから、記録材に二次転写する構造もある。このような画像形成装置では、像担持体である感光体や中間転写ベルトの回転速度ムラが、画像伸縮等の画像不良を生じさせる。特に、カラーの画像形成装置の場合、各色間での画像伸縮のズレが色ズレとして現れるため、画質の劣化は大きなものとなる。したがって、画質を向上させるためには、感光体や中間転写ベルトの回転速度ムラを極力抑えることが必要となる。
【0003】
このような感光体や中間転写ベルトを駆動する駆動ローラは、一般的に、駆動源であるモータの駆動力が減速ギア列を介して伝達されることにより駆動する。このため、上述のような回転速度ムラの発生の主な原因としては、このようなギア列を構成する各ギアの偏芯や組み付けの際の面倒れが原因となっている。このような回転速度ムラを防止するために、例えば感光体の回転速度を検知して、この感光体の回転速度を制御することが従来から知られている。このような構造として、例えば、被回転体である感光体の回転軸に固定された、被回転体ギアである感光体ギアに従動して増速回転するアイドラギアの回転速度を検知する構造が知られている。この構造の場合、増速回転したアイドラギアの回転速度を検知するため、低分解能のロータリーエンコーダを使用しても回転精度の向上を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
但し、このようにアイドラギアの回転速度を検知する場合、感光体ギアとアイドラギアとの間に存在するバックラッシにより、回転速度の検知を正確に行えない場合がある。そこで、このようなバックラッシをなくすために、感光体ギアに対し回転方向に付勢される圧接ギアを設け、これら両ギアをアイドラギアに噛合させる構造が知られている。この構造の場合、感光体ギアの歯と圧接ギアの歯とでアイドラギアの歯を挟持することにより、バックラッシを抑えている(例えば、特許文献2参照)。なお、感光体などの回転速度ムラを防止するために、回転体を駆動するプーリやギアにフライホイールを設ける構造も従来から知られている(例えば、特許文献3ないし5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−91609号公報
【特許文献2】特開2005−180560号公報
【特許文献3】特開平6−308784号公報
【特許文献4】特開2000−249190号公報
【特許文献5】特開2000−231301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載された構造のように、感光体ギアとアイドラギアとを設けた場合、これら両ギア、更には、モータの回転軸に固定され感光体ギアを駆動する駆動ギアの偏心が回転速度の検知に影響する。このような偏心の影響をなくすために、予め、各ギアの偏心による影響を測定し、この測定結果を記憶して回転検知の際に偏心の影響をキャンセルすることが考えられる。但し、この場合、事前に機器ごとに偏心の影響をキャンセルするための測定を行う必要がある。特に、回転速度の検知にロータリーエンコーダを使用する場合、このロータリーエンコーダの加工精度や取り付け精度の影響を考慮しなければならないため、事前に偏心の影響をキャンセルするための測定が必須となる。このため、各部品の消耗などの経時的な変化により、偏心の影響が事前に測定した状態から変化した場合には、対応できない。
【0007】
また、特許文献3ないし5に記載された構造の場合、フライホイールを設けることにより回転速度ムラの低減を図ることができるが、上述したようなギアの偏心やバックラッシを考慮すると、十分に回転速度ムラの低減を図ることはできない。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、各ギアの偏心やバックラッシの影響をなくして、被回転体の回転速度ムラを低減する制御を低コストで高精度に行える構造を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、駆動源と、駆動源の回転軸に固定された駆動ギアと、被回転体の回転軸に固定され、該駆動ギアと噛合する被回転体ギアと、該被回転体ギアと噛合するアイドラギアと、該アイドラギアの回転を検知する回転検知手段とを備えた駆動装置において、前記アイドラギアは、互いに同軸上に配置され、前記被回転体ギアに従動して同じ回転速度で回転する1対のギアと、これら両ギアを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段とを有し、該被回転体ギアに対して増速回転し、前記回転検知手段は、前記アイドラギアと共に回転する1個のフラグと、該フラグの通過を検知する検知部とを有し、該検知部の信号から前記被回転体ギアの回転変動を演算する演算手段と、該演算手段の演算結果に基づき前記駆動源を制御する駆動源制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アイドラギアと被回転体ギアとのバックラッシを十分に防止でき、正確な回転検知を行える。また、アイドラギアと共に被回転体ギアに対して増速回転する1個のフラグの通過を検知しているため、フラグの取り付け精度や加工精度に拘らず被回転体の回転を検知でき、低コストで正確な回転検知を行える。また、このように取り付け精度などに拘らず正確な回転検知を行えるため、各部品の経時的な変化により各ギアの偏心の影響が変化しても、この変化に応じた制御が可能である。この結果、経時的な変化に依らず、各ギアの偏心をキャンセルでき、被回転体の回転速度ムラを低減する制御を高精度に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1の実施形態に係る駆動装置の模式図。
【図3】同じく一部を切断して図2の側方から見た図に相当する概略図。
【図4】アイドラギアを構成する1対のギアの感光体ギアに対する噛合状態を説明するために、両ギアを別々に示した図。
【図5】感光体ギアの偏心による角速度の変化を示す図。
【図6】(a)は駆動ギアとアイドラギアとの位相差と、それぞれの位置での被回転体ギアの周速との関係を示す模式図、(b)はこれら周速のそれぞれの変化と回転検知手段により検知される周速の変化とを示す図。
【図7】(a)は回転速度ムラに対する制御を行わない場合を、(b)は回転速度ムラの制御を行うための演算を行う場合を、(c)はこの演算結果に基づいて感光体ギアに対しフィードフォワード制御を行う場合を、それぞれ示すブロック図。
【図8】本実施形態の制御を行った場合と行わなかった場合との感光ドラム表面の位置ずれ量を測定した結果を示す図。
【図9】フラグを取り付け位置を変えた構造の1例を示す図。
【図10】第3の実施形態に係る駆動装置の模式図。
【図11】感光ドラムを駆動する際に発生する共振周波数を示す図。
【図12】本実施形態を適用していない構造(a)と適用した構造(b)とでバンディングの大きさを測定した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図8を用いて説明する。まず、第1の実施形態に係る画像形成装置について図1により説明する。なお、本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式以外に、例えばオフセット印刷方式、インクジェット方式等複数の方式が挙げられるが、図1に示した画像形成装置1は、このうちの電子写真方式を用いたカラーの画像形成装置である。また、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の画像形成部2を、像担持体である中間転写ベルト3上に並べて配置した、所謂中間転写タンデム方式の画像形成装置である。このような画像形成装置1は、厚紙対応力や生産性に優れる点から近年主流になっている。なお、画像形成部2は、上述の4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0013】
各画像形成部2は、被回転体及び像担持体である感光ドラム(感光体)4、露光装置5、現像装置6、一次転写装置7、ドラムクリーナ8等から構成される。このような画像形成部2での画像形成プロセスは、まず、図示を省略したコロナ帯電器などの帯電手段により、感光ドラム4の表面を一様に帯電する。次に、図中矢印m方向に回転する感光ドラム4に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置5が駆動され、回折手段9等を適宜経由して、感光ドラム4の表面に静電潜像が形成される。このように感光ドラム4上に形成された静電潜像は、現像装置6により現像され、トナー像として顕在化する。その後、一次転写装置7(転写ローラ)により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト3上にトナー像が、順次転写され、フルカラーのトナー像が形成される。この転写後に感光ドラム4上に僅かに残った転写残トナーは、ドラムクリーナ8により回収され、再び次の画像形成に備える。中間転写ベルト3上に形成されたトナー像は、二次転写部Tで記録材Sに転写される。
【0014】
中間転写ベルト3は、被回転体である駆動ローラ10、従動張架ローラ11および二次転写内ローラ12によって張架され、図中矢印nの方向へと搬送駆動される無端ベルトである。また、従動張架ローラ11は、中間転写ベルト3に所定の張力を付与するテンションローラの機能と中間転写ベルト3の寄りを制御するステアリングローラの機能を兼ね備える。上述のように各画像形成部2により並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト3上に一次転写されたトナー像上に、上流から順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト3上に形成され、二次転写部Tへと送られる。そして、上述のように、この中間転写ベルト3上のトナー像が、次述する搬送プロセスにより二次転写部Tに搬送された記録材Sに転写される。
【0015】
記録材Sの搬送プロセスは、次のように行う。記録材Sは収納庫13内のリフトアップ装置14上に積載される形で収納されており、給紙手段15により画像形成タイミングに合わせて給紙される。ここで、給紙手段15は給紙ローラ等による摩擦分離を利用する方式と、エアによる分離吸着を利用する方式が挙げられるが、図示の例ではエアによる構造を用いている。給紙手段15により送り出された記録材Sは、搬送ユニット16が有する搬送パス16aを通過し、レジストレーション装置17へと搬送される。そして、このレジストレーション装置17において斜行補正やタイミング補正を行った後、記録材Sは二次転写部Tへと送られる。この二次転写部Tは、対向する二次転写内ローラ12と二次転写外ローラ18により形成される記録材Sへのトナー像転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで、上述のように記録材S上にトナー像を吸着させる。
【0016】
このように二次転写部Tで、記録材S上にフルカラーのトナー像が転写された後、記録材Sは、定着前搬送部19により定着装置20へと搬送される。この定着装置20としてローラ同士やベルト同士を組み合わせたものやローラとベルトとを組み合わせたもの、熱源としてハロゲンヒータを使用したものやIH(電磁誘導加熱)を使用したものなど、様々な構成および方式がある。図示の例では、対向する定着ローラ21と加圧ローラ22とが形成する定着ニップ内で、所定の加圧力と熱量を与えて記録材S上にトナー像を溶融固着させるものである。このようにして得られた定着画像を有する記録材Sは、分岐搬送装置23により、そのまま排紙トレイ24上に排出されるか、もしくは両面画像形成を要する場合には反転搬送装置25へと搬送されるかの経路選択が行われる。両面画像形成を要する場合、反転搬送装置25へと送られた記録材Sはスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送装置26へと搬送される。その後、この記録材Sは、収納庫13より搬送されてくる後続ジョブの記録材とのタイミングを合わせて、搬送ユニット16が有する再給紙パス16bから合流し、同様に二次転写部Tへと送られる。裏面(2面目)の画像形成プロセスに関しては、上述の表面(1面目)の場合と同様である。
【0017】
上述の感光ドラム4又は中間転写ベルト3の駆動ローラ10は、図2、3に示すような駆動装置27により駆動される。以下の説明では、代表して感光ドラム4の駆動装置27について説明するが、駆動ローラ10を駆動する装置も同様である。駆動装置27は、駆動源であるモータ28と、駆動ギア29と、被回転体ギアである感光体ギア30と、アイドラギア31と、回転検知手段32と、演算手段33と、記録手段33aと、駆動源制御手段34とを備える。このうちの駆動ギア29は、モータ28の回転軸に固定される。また、感光体ギア30は、感光ドラム4の回転軸4aに固定され、駆動ギア29と噛合する。この感光体ギア30は、駆動ギア29よりも歯数が多く、この駆動ギア29に対し減速回転する。また、駆動ギア29及び感光体ギア30は、それぞれ合成樹脂製のはすば歯車としている。なお、これら両ギア29、30を、合成樹脂よりも剛性が高いステンレス鋼などの金属製としても良いし、平歯車としても良い。但し、はすば歯車を使用すれば、平歯車よりも噛合い率を高くでき、伝達誤差を低減できる。
【0018】
また、アイドラギア31は、互いに同軸上に配置される1対のギア31a、31bと、これら両ギア31a、31b同士の間に配置される付勢手段35とを有する。これら両ギア31a、31bは、駆動ギア29及び感光体ギア30と同様に合成樹脂製のはすば歯車で、直径及び歯数が同じなど互いに同一の諸元を有し、歯数が感光体ギア30よりも少ない。なお、両ギア31a、31bも金属製としても良いし、平歯車としても良い。なお、図3及び後述する図4、9の各ギア内に記載した斜線は、ギアの歯を簡略的に表したもので、この斜線の向きが各ギアの歯の向きである。
【0019】
また、両ギア31a、31bと感光体ギア30との歯数比(増速比)は、非整数としている。即ち、感光体ギア30の歯数は、アイドラギア31(両ギア31a、31b)の歯数の非整数倍である。この歯数比は整数としても良いが、後述するように、データ量の観点から非整数倍とすることが好ましい。一方、アイドラギア31の駆動ギア29に対する歯数比は、整数としている。この理由についても後述する。このような両ギア31a、31bは、それぞれ感光体ギア30と噛合し、この感光体ギア30に従動してほぼ同じ回転速度で、且つ、この感光体ギア30に対して増速回転する。また、付勢手段35は、ねじりコイルバネにより形成され、このバネの両端部をそれぞれギア31a、31bに係止して、これら両ギア31a、31bを互いに反対の回転方向に付勢する。
【0020】
また、回転検知手段32は、アイドラギア31の回転を検知するもので、アイドラギア31と共に回転する1個のフラグ32aと、このフラグ32aの通過を検知する検知部32bとを有する。このフラグ32aは、片側(図3の左側)のギア31aに接着などにより回転不能に固定しており、このギア31aから径方向に突出する突起を有する。なお、フラグ32aは、片側のギア31aと一体に形成しても良い。また、検知部32bは、例えば、フォトインタラプタのように、発光素子と受光素子とを有し、これら両素子の間をフラグ32aが通過した際の光の遮断を検知するものである。このような検知部32bは、装置内に固定したフレームなどの固定の部分に支持され、例えば、発光素子と受光素子との間をフラグ32aが通過可能に配置される。
【0021】
また、アイドラギア31を構成する1対のギア31a、31bは、回転軸31cの軸方向中間部に形成した雄ねじ部に螺合することにより、それぞれこの回転軸31cに支持されている。このために、ギア31a、31bの内周面には雌ねじ部が形成されている。また、回転軸31cの雄ねじ部を形成する部分は、回転軸31cの軸方向片端部(図3の左端部)に形成した段差40から、他側(図3の右側)のギア31bを配置すべき部分までとしている。両ギア31a、31bを回転軸31cに配置する場合には、これら両ギア31a、31bを軸方向片側(図3の左側)から螺合して、ギア31bを雄ねじ部の端部に位置させる。そして、このギア31bがそれ以上、軸方向他側(図3の右側)に移動することを阻止する。なお、このギア31bの軸方向位置の規制は、例えば、回転軸31cの上述の雄ねじ部がなくなる部分に相当する位置に突条などを設けることにより図っても良い。
【0022】
また、両ギア31a、31bを回転軸31cに螺合させる回転方向は、感光体ギア30の回転によりこれら両ギア31a、31bが従動回転する方向と同じとしている。また、感光体ギア30との噛合により両ギア31a、31bに作用するスラスト方向の力が軸方向他側に作用するように、各歯の傾斜方向を規制している。これにより、感光体ギア30からの回転伝達で、他側のギア31bが回転軸31cに対してがたつきを阻止される方向に力が作用することになる。
【0023】
一方、片側のギア31aは、このギア31aに固定又は一体のボス部36をビス37により回転軸31cに固定することにより、回転軸31cに対し回転不能に且つ軸方向変位を規制した状態で固定されている。なお、他側のギア31bは、回転軸31cに対し軸方向片側(図3の左側)に向かう方向には回転可能である。したがって、両ギア31a、31bに対し回転方向の付勢力を付与する付勢手段35は、ギア31bに対して軸方向片側に向かうように回転する方向に、ギア31aに対して軸方向他側(図3の右側)に向かうように回転する方向に、それぞれ付勢力を付与している。即ち、両ギア31a、31bが回転軸31cとの螺合に基づき互いに近づく方向に回転するように、付勢手段35により付勢している。このように、両ギア31a、31bが互いに逆方向に回転する方向に付勢して、これら両ギア31a、31bの歯同士で感光体ギア30の歯を挟持(シザース化)し、これら感光体ギア30と両ギア31a、31bとのバックラッシをなくしている。
【0024】
このように両ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化する理由について説明する。まず、アイドラギア31を感光体ギア30に対して単純に従動させるだけでは、このアイドラギア31が無負荷の状態で回転することになる。伝達機構として単純にギアを噛み合わせる構造の場合、必ずバックラッシが存在する。ここで、回転伝達方向が一定の場合、ある程度の負荷が存在すれば回転方向にしたがって一方の歯面同士が当たって回転駆動力を伝達する。但し、アイドラギア31が無負荷である場合、回転方向が一定でもバックラッシの範囲でギアが振動することになる。更に、各ギアが樹脂等で成形されたものであれば、歯面の状態のばらつきによってより振動を引き起こす可能性がある。したがって、このような構造で、アイドラギア31の回転を検知した場合、その回転検知誤差を含んだものとなる。この問題を回避するために、例えば、アイドラギア31にブレーキ等のある程度の負荷を与える方法があるが、根本的にバックラッシ自体をなくすわけではない。また、この方法では駆動に必要となるトルクが増加し、駆動源であるモータが大きくなってしまう。更に、アイドラギア31の負荷による接線方向の力が、感光体ギア30に加わるが、感光体ギア30のリブ形状などにより、アイドラギア31と噛合している歯の撓み量にばらつきがあると、アイドラギア31の角速度が変化し、検知の精度に誤差を与えてしまう。
【0025】
これに対して本実施形態では、上述のようにアイドラギア31を構成する両ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化しているため、上述のような問題が生じることを防止できる。即ち、両ギア31a、31bに対し付勢手段35により互いに逆回転方向に付勢することにより、これら両ギア31a、31bの歯が感光体ギア30の歯を挟み込むため、バックラッシをなくすことができる。また、各ギアが樹脂等で成形されたものであっても、歯面のばらつきを矯正できる。更に、ブレーキなどを設けた場合に感光体ギア30に作用する不要な接線方向の力が作用することはない。この結果、感光体ギア30とアイドラギア31との間の伝達誤差のみを低減することが可能となる。
【0026】
また、回転軸31cは、装置内に固定したフレーム38に、転がり軸受や滑り軸受などの軸受39a、39bにより回転自在に支持されている。また、回転軸31cの片端部に設けた段差40を軸受39aに突き当てることにより、この回転軸31cの片側への軸方向変位を規制している。一方、回転軸31cの他端(図3の右端)寄り部分には、突き当て円筒部41を固定或は一体に形成し、この突き当て円筒部41と軸受39bとの間にワッシャー42を介してバネ43を配置している。そして、このバネ43により円筒部41を介して回転軸31cを軸方向片側に付勢し、この回転軸31cの軸方向のガタを防止している。また、バネ43は、感光体ギア30との噛合によりギア31a、31bに作用するスラスト方向の力以上の付勢力により回転軸31cを付勢し、これら両ギア31a、31bの感光体ギア30に対する軸方向の変位を規制している。また、このように回転軸31cを軸方向片側に付勢することにより、両ギア31a、31bの各歯と感光体ギア30の各歯とのがたつきを抑えることができる。これにより、上述の付勢手段35によるバックラッシをなくす効果(シザース化による効果)と相俟って、感光体ギア30と両ギア31a、31b(アイドラギア31)とのがたつきを確実に防止できる。なお、各部品の加工精度や取り付け精度を高くする必要があるが、このようにバネ43を用いずに、回転軸31cをフレーム38の軸方向変位を規制した状態で支持しても良い。
【0027】
このように両ギア31a、31bの軸方向変位を規制する理由について、より詳しく説明する。まず、アイドラギア31を構成する1対のギア31a、31bをはすば歯車としているが、これら両ギア31a、31bには、このはすば歯車にねじれ角が存在することによって発生する2つの特徴がある。1つ目は、感光体ギア30と噛合っているギア31a、31bがこの感光体ギア30に対してスラスト方向に異なる位置に配置されると、回転方向の位相も互いに異なってしまうことである。即ち、図4に示すように、感光体ギア30が同位相つまり固定していると仮定すると、(a)の状態のギア31bと(b)の状態のギア31aとでは、互いに回転方向の位相が異なる。
【0028】
2つ目は、上述したように、ギア31a、31bが感光体ギア30から受ける力は、回転方向だけではなく、正弦成分に分解され、ねじり角の方向にしたがってスラスト方向(軸方向)にも作用することである。例えば、ギア31a、31bの回転に対してブレーキ等の負荷を掛けつつ回転伝達を行って、伝達誤差を低減する場合、歯面に加わる力は一定方向となり、スラスト方向の力も一定方向となるため、スラスト方向の規制は容易に行える。これに対して、本実施形態は、ブレーキ等を用いず、シザース化によって伝達誤差を低減する構成であるため、感光体ギア30の加減速によってスラスト方向に作用する力の向きが変化する。更に、本実施形態の場合、アイドラギア31が感光体ギア30に対して増速されているため、一般的に感光体ギア30に対しアイドラギア31の回転慣性は増速比の2乗の効果があることから、アイドラギア31はある程度の回転慣性を有することになる。この結果、スラスト方向に作用する力が大きくなる。
【0029】
このように、本実施形態の場合、アイドラギア31を感光体ギア30に対してシザース化すると共に、増速回転しているため、感光体ギア30の加減速によってスラスト方向に作用する力の向きがその都度変化すると共に、この力が大きくなる。したがって、単純にシザース化するだけでは、アイドラギア31を構成するギア31a、31bがスラスト方向に移動してしまい、前述したとおりスラスト方向に移動すると両ギア31a、31bの回転方向の位相も互いに変化する。この結果、ギア31aと共に回転するフラグ32aにより回転検知を行っても、このような位相の変化により、検知誤差を招いてしまう。これに対して本実施形態では、上述のようにギア31a、31bのスラスト方向の移動を規制しているため、このような検知誤差を生じる事を防止して、検知精度を向上させることができる。
【0030】
また、画像形成装置全体を制御する制御装置内に組み込まれた、或は、この制御装置とは別に設けた制御部Cに、演算手段33、記録手段33a、駆動源制御手段34を設けている。このうちの演算手段33は、上述のような構成により、検知部32bで検知される感光体ギア30の回転に基づく信号から、後述するように、この感光体ギア30の回転変動を演算する。また、記録手段33aは、このような演算を行うために、検知部32bにより検知したデータを記録する。但し、この記録手段33aは、演算手段33による演算方法によっては省略しても良い。また、駆動源制御手段34は、この演算手段33の演算結果に基づきモータ28を制御する。
【0031】
このような検知部32bで検知したデータに基づいて行う制御について詳しく説明する。まず、本実施形態では、アイドラギア31を感光体ギア30に対して増速回転させているため、感光体ギア30が一周するのに対して増速比分の測定点数(フラグ32aの通過回数)を得ることができる。なお、本実施形態では、増速比が非整数であるため、後述するようにデータ量を多くできるが、回転速度ムラ抽出に必要な測定点数を確保できれば良い。また、アイドラギア31の駆動ギア29に対する歯数比を整数にしているため、駆動ギア29に偏芯が生じた場合でも、この偏心を常に同じ位相にて検知部32bにより検知可能である。このため、駆動ギア29の偏心が検知するデータに与える影響をなくすことができる。
【0032】
一方、検知部32bで検知されるデータは、実際の感光体ギア30の回転速度ムラではなく、感光体ギア30の回転速度ムラと、感光体ギア30を中心として駆動ギア29とアイドラギア31とのなす角θ分の位相差ズレ成分との合成波となる。この点について、図5、6を用いて説明する。まず、感光体ギア30がある偏芯量を持っており、駆動ギア29が理想的な回転をしている場合を想定する。この場合、感光体ギア30の角速度ωdは、駆動ギア29との噛合い部における周速vが一定のため、感光体ギア30の半径r(x)によって変動する{図6(a)参照}。この結果、感光体ギア30の回転速度ムラは、図5に示すような正弦波状のものとなる。なお、図5の鎖線は、感光体ギア30に回転速度ムラが生じていないと仮定した場合の角速度(目標値)である。一方、アイドラギア31は、取付け位置での、感光体ギア30の半径r(x+θ)とそのときの角速度ωdに影響された周速Viで回転することになる。この結果、検知部32bで検知されるデータは、図6(b)に示すように、感光体ギア30の回転速度ムラ(α)と、感光体ギア30を中心として駆動ギア29とアイドラギア31とのなす角θ分の位相差ズレ成分(β)との合成波(γ)となる。
【0033】
このように、検知部32bで検知されるデータは合成波(γ)となるため、このデータから実際の感光体ギア30の回転速度ムラを抽出する必要がある。この抽出方法は、いくつか考えられるが、本実施形態では、フーリエ級数を用いた多変量解析での抽出方法を使用する。まず、一般的に、フーリエ級数を使って任意の波形を表現することが可能で、一般式としては、式(1)に示すものとなる。
【0034】
【数1】
【0035】
また、検知部32bで検知される波形(合成波γ)をV(x)とし、実際の感光体ギア30の回転速度ムラ(α)をF(x)とすると、式(2)に示すとおりとなる。ここで、θは駆動ギア29とアイドラギア31との取付け位置によって決まるものであるため、V(x)を求めることができれば、感光体ギア30の回転速度ムラであるF(x)を式(2)により求めることが可能となる。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、感光体ギア30の回転速度ムラは、偏芯によるものや、組み付けの際の面倒れが原因であり、1次の正弦波にほぼ近い波形となる。このため、式(1)は式(3)で示されるため、係数A,Bを求めることでV(x)を導くことができる。
【0038】
【数3】
【0039】
具体的に係数A,Bを求める方法を以下に述べる。感光体ギア30が一周回転したときに検知部32bにより得られる角速度データをn個とする。ここで、n個の角速度データは、アイドラギア31の感光体ギア30に対する増速比が整数の場合、nの値は増速比が最大値となり、感光体ギア30の一回転分の測定データしか得ることができない。これに対して本実施形態では、増速比が非整数である場合、感光体ギア3の回転回数によってnの値の最大値は、「増速比×感光体ギア30の回転回数」が整数になったときの値が最大値となる。そして、このとき、得られたそれぞれの角速度V(x)は以下のように表される。
【0040】
【数4】
【0041】
また、式(4)は以下のように行列にまとめることができる。
【0042】
【数5】
【0043】
式(5)より、三角関数の行列部分を正規化し、逆行列をかけることで係数A,Bを求めることができる。係数A,Bが求まれば、前述したように、式(3)よりV(x)が求まる。V(x)が求まれば、F(x)を任意の1次の三角関数と仮定することで、式(2)は恒等式となり、F(x)が求まる。本実施形態では、上述のn個のデータを記録手段33aに記録し、この記録したデータに基づいて演算手段33により、上述したような演算を行う。なお、駆動ギア29とアイドラギア31との位相差θを180度(π)とすると、演算手段33での負荷を減らすことができるため好ましい。即ち、駆動ギア29とアイドラギア31とが感光体ギア30の中心軸を挟んで対向する位置に配置することが好ましい。これにより、F(x)はV(x)の半分となる{F(x)=2V(x)、これは、式(2)のθにπを代入することにより求められる}ため、演算手段33での負荷を減らせる。更に、回転速度ムラを検知する際に変化を捉え易くなる。これらの計算を演算手段33で行い、演算結果としてF(x)を求める。このF(x)は、感光体ギア30の回転速度ムラであるため、このF(x)を打ち消すように駆動源制御手段34でモータ28を制御すれば、感光体ギア30、延いては感光ドラム4の回転速度ムラを低減できる。
【0044】
以上の流れを図7により説明する。図7に示すブロック図のうち、(a)は感光体ギア30の回転速度ムラに対する制御を行わない場合を示している。これに対して、(b)、(c)は、上述のように感光体ギア30の回転速度ムラをアイドラギア31を介して回転検知手段32により検知し、この検知結果に基づいて感光体ギア30をフィードフォワード制御した場合を示している。まず、(b)で、感光体ギア30の回転速度ムラを回転速度検知手段32により検知し、このデータに基づいて演算手段33で演算を行う。そして、(c)で、この演算結果に基づいてモータ28を制御し、感光体ギア30を駆動している。なお、(c)のフィードフォワード制御は1例であって、これに縛られるものではなく、例えばフィードバック制御の形態を取り得ることも可能である。このような制御は、任意のタイミングで行うが、例えば、画像形成装置1の電源立ち上げ時、スリープ状態からの立ち上がり時、ジョブの開始時、予め決められた期間毎などに行う。
【0045】
次に、本実施形態による効果を確認するために行った実験について説明する。この実験では、測定データ数を10点とした。また、実験条件は、駆動ギア29の歯数を18枚、感光体ギア30の歯数を180枚、アイドラギア31(ギア31aと31bとのそれぞれ)の歯数を18枚とした。何れのギアもはすば歯車を用いた。そして、ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化した。また、感光体ギア30の回転数の目標値を実用的な範囲である200rpmとした。
【0046】
上述したように、検知部32bで得られたデータから演算手段33により感光体ギア30の回転速度ムラを求めた後、図7(c)に従い、その回転速度ムラの逆位相になる信号を目標値に足し合わせるように、モータ28を駆動制御する。そして、このような制御を行った場合と行わなかった場合とで、感光ドラム4の表面で発生する位置ずれ量をそれぞれ測定した結果を図8に示す。図8の破線Mが制御を行わなかった場合を、実線Nが上述の制御を行った場合を示している。この結果、本実施形態の構成を採用することにより、感光ドラム4の表面の位置ズレ量が約1/5に低減されることがわかった。
【0047】
本実施形態によれば、アイドラギア31を1対のギア31a、31bとして、これら両ギア31a、31bの歯により感光体ギア30の歯を挟持できるため、バックラッシを十分に防止でき、正確な回転検知を行える。また、本実施形態の場合、アイドラギア31と共に感光体ギア30に対して増速回転する1個のフラグ32aの通過を、検知部32bによる検知する構造としている。このため、フラグ32aの取り付け精度や加工精度に拘らずアイドラギア31の回転、延いては感光ドラム4の回転を低コストで正確に検知できる。即ち、複数のフラグやロータリーエンコーダで感光ドラム4の回転を検知する場合、各フラグやロータリーエンコーダの取り付け精度や加工精度を向上させなければ、正確な回転検知を行えない。これに対して、フラグ32aが1個であれば、取り付け精度などに関係なく低コストで正確な回転検知を行える。また、このように取り付け精度などに拘らず正確な回転検知を行えるため、各部品の経時的な変化により各ギアの偏心の影響が変化しても、この変化に応じた制御が可能である。この結果、経時的な変化に依らず、各ギアの偏心をキャンセルでき、感光体ギア30、延いては感光ドラム4の回転速度ムラを低減する制御を高精度に行える。そして、このように感光ドラム4の回転速度ムラを低減できれば、カラー画像形成装置の色ズレを低減する効果が得られる。
【0048】
なお、上述の説明では、アイドラギア31のギア31aにフラグ32aを固定又は一体に設けて、回転検知を行っていたが、このフラグ32aは、必ずしもギア31aに設ける必要はない。例えば図9に示すように、ギア31aが回転軸31cに固定され、この回転軸31cがギア31aに対して回転不能である構造の場合、この回転軸31cにフラグ32aを別途設けても良い。この場合、勿論、検知部32bをこのフラグ32aに対応した位置に配置する。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図10ないし図12を用いて説明する。本実施形態では、アイドラギア31の回転軸31cに慣性体であるフライホイール44を固定している。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明は省略する。一般に同じ質量で、かつ同じ半径を持つ慣性体の慣性効果は、回転速度の比の2乗で効果が現れることが知られている。このため、本実施形態のように、感光体ギア30に対して増速回転しているアイドラギア31にフライホイール44を取り付けることで、このフライホイール44が小径であっても、十分な慣性効果を得られる。
【0050】
また、本実施形態では、アイドラギア31を感光体ギア30に対してシザース化することにより、金属製のギアを用いることなく、樹脂製であってもアイドラギア31と感光体ギア30との噛合部の剛性が向上させられる。このため、アイドラギア31と感光体ギア30との共振周波数を図11のBに示すように、高周波側へと移すことができ、バンディングの防止効果が得られる。即ち、図11に示す「問題となる領域」とは、バンディングが生じ易い周波数帯域である。したがって、バンディングを防止するためには、この領域の周波数から共振周波数が外れるように各部の構成を工夫する必要がある。共振周波数を決定する要因のひとつとして、噛合部の剛性が挙げられる。このため、この噛合部の剛性を上述したようなシザース化により向上させ、共振周波数を問題となる領域から高周波側に外すことができる。また、感光体ギア30と駆動ギア29との共振周波数は、フライホイール44を設けることにより、図11のAに示すように、問題となる領域よりも低周波側に移すことができる。
【0051】
このような本実施形態の効果を確認するために行った実験の結果を図12に示す。図12は、感光ドラム4の表面の速度変動を周波数との関係で示している。図12(a)は、アイドラギアを感光体ギアに対してシザース化せず、アイドラギアの回転軸にフライホイールを設けていない構造(比較例)について行った実験結果を示している。また、図12(b)は、本実施形態(実施例)で行った実験結果を示している。なお、実験条件は、実施例と比較例との何れも、駆動ギア29の歯数を18枚、感光体ギア30の歯数を180枚、アイドラギア31(ギア31aと31bとのそれぞれ)の歯数を18枚とした。なお、比較例では、アイドラギアは1個だけであるが、歯数は実施例と同じである。また、何れのギアもはすば歯車を用いた。また、感光体ギア30の回転数の目標値を実用的な範囲である200rpmとした。更に、実施例で採用したフライホイール44は、直径50mm、重さ25g、慣性9000gmm2のものを使用した。図12から明らかなように、比較例{図12(a)}では、バンディングが約450Hz付近に見られた。これに対して、実施例{図12(b)}では、バンディングが約1/5にまで低減された。
【0052】
本実施形態によれば、第1の実施形態で述べた色ズレの低減効果に加え、大型のフライホイールを用いることなく、小型のフライホイールで同等の慣性効果が得られる。また、アイドラギア31を感光体ギア30に対しシザース化することにより、これらギア31、30の噛合部の剛性を高め、共振点を移動させることができる。この結果、バンディングの低減を安価な構成で図れる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・画像形成装置、3・・・中間転写ベルト(像担持体)、4・・・感光ドラム(被回転体、像担持体)、4a・・・回転軸、10・・・駆動ローラ(被回転体)、27・・・駆動装置、28・・・モータ(駆動源)、29・・・駆動ギア、30・・・感光体ギア(被回転体ギア)、31・・・アイドラギア、31a、31b・・・ギア、31c・・・回転軸、32・・・回転検知手段、32a・・・フラグ、32b・・・検知部、33・・・演算手段、33a・・・記録手段、34・・・駆動源制御手段、35・・・付勢手段、44・・・フライホイール(慣性体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアを使用した駆動装置と、このような駆動装置を備えた、例えば、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ、複合機、印刷機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を採用した画像形成装置においては、次のように画像形成を行う。まず、像担持体である感光体を帯電器によって帯電し、この感光体に画像情報に応じた光照射を行って潜像を形成する。そして、この潜像を現像器によって現像して得た現像像(トナー像)を記録材に転写して画像を形成する。なお、感光体上に形成したトナー像を像担持体である中間転写ベルト上に一次転写してから、記録材に二次転写する構造もある。このような画像形成装置では、像担持体である感光体や中間転写ベルトの回転速度ムラが、画像伸縮等の画像不良を生じさせる。特に、カラーの画像形成装置の場合、各色間での画像伸縮のズレが色ズレとして現れるため、画質の劣化は大きなものとなる。したがって、画質を向上させるためには、感光体や中間転写ベルトの回転速度ムラを極力抑えることが必要となる。
【0003】
このような感光体や中間転写ベルトを駆動する駆動ローラは、一般的に、駆動源であるモータの駆動力が減速ギア列を介して伝達されることにより駆動する。このため、上述のような回転速度ムラの発生の主な原因としては、このようなギア列を構成する各ギアの偏芯や組み付けの際の面倒れが原因となっている。このような回転速度ムラを防止するために、例えば感光体の回転速度を検知して、この感光体の回転速度を制御することが従来から知られている。このような構造として、例えば、被回転体である感光体の回転軸に固定された、被回転体ギアである感光体ギアに従動して増速回転するアイドラギアの回転速度を検知する構造が知られている。この構造の場合、増速回転したアイドラギアの回転速度を検知するため、低分解能のロータリーエンコーダを使用しても回転精度の向上を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
但し、このようにアイドラギアの回転速度を検知する場合、感光体ギアとアイドラギアとの間に存在するバックラッシにより、回転速度の検知を正確に行えない場合がある。そこで、このようなバックラッシをなくすために、感光体ギアに対し回転方向に付勢される圧接ギアを設け、これら両ギアをアイドラギアに噛合させる構造が知られている。この構造の場合、感光体ギアの歯と圧接ギアの歯とでアイドラギアの歯を挟持することにより、バックラッシを抑えている(例えば、特許文献2参照)。なお、感光体などの回転速度ムラを防止するために、回転体を駆動するプーリやギアにフライホイールを設ける構造も従来から知られている(例えば、特許文献3ないし5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−91609号公報
【特許文献2】特開2005−180560号公報
【特許文献3】特開平6−308784号公報
【特許文献4】特開2000−249190号公報
【特許文献5】特開2000−231301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載された構造のように、感光体ギアとアイドラギアとを設けた場合、これら両ギア、更には、モータの回転軸に固定され感光体ギアを駆動する駆動ギアの偏心が回転速度の検知に影響する。このような偏心の影響をなくすために、予め、各ギアの偏心による影響を測定し、この測定結果を記憶して回転検知の際に偏心の影響をキャンセルすることが考えられる。但し、この場合、事前に機器ごとに偏心の影響をキャンセルするための測定を行う必要がある。特に、回転速度の検知にロータリーエンコーダを使用する場合、このロータリーエンコーダの加工精度や取り付け精度の影響を考慮しなければならないため、事前に偏心の影響をキャンセルするための測定が必須となる。このため、各部品の消耗などの経時的な変化により、偏心の影響が事前に測定した状態から変化した場合には、対応できない。
【0007】
また、特許文献3ないし5に記載された構造の場合、フライホイールを設けることにより回転速度ムラの低減を図ることができるが、上述したようなギアの偏心やバックラッシを考慮すると、十分に回転速度ムラの低減を図ることはできない。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、各ギアの偏心やバックラッシの影響をなくして、被回転体の回転速度ムラを低減する制御を低コストで高精度に行える構造を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、駆動源と、駆動源の回転軸に固定された駆動ギアと、被回転体の回転軸に固定され、該駆動ギアと噛合する被回転体ギアと、該被回転体ギアと噛合するアイドラギアと、該アイドラギアの回転を検知する回転検知手段とを備えた駆動装置において、前記アイドラギアは、互いに同軸上に配置され、前記被回転体ギアに従動して同じ回転速度で回転する1対のギアと、これら両ギアを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段とを有し、該被回転体ギアに対して増速回転し、前記回転検知手段は、前記アイドラギアと共に回転する1個のフラグと、該フラグの通過を検知する検知部とを有し、該検知部の信号から前記被回転体ギアの回転変動を演算する演算手段と、該演算手段の演算結果に基づき前記駆動源を制御する駆動源制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アイドラギアと被回転体ギアとのバックラッシを十分に防止でき、正確な回転検知を行える。また、アイドラギアと共に被回転体ギアに対して増速回転する1個のフラグの通過を検知しているため、フラグの取り付け精度や加工精度に拘らず被回転体の回転を検知でき、低コストで正確な回転検知を行える。また、このように取り付け精度などに拘らず正確な回転検知を行えるため、各部品の経時的な変化により各ギアの偏心の影響が変化しても、この変化に応じた制御が可能である。この結果、経時的な変化に依らず、各ギアの偏心をキャンセルでき、被回転体の回転速度ムラを低減する制御を高精度に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1の実施形態に係る駆動装置の模式図。
【図3】同じく一部を切断して図2の側方から見た図に相当する概略図。
【図4】アイドラギアを構成する1対のギアの感光体ギアに対する噛合状態を説明するために、両ギアを別々に示した図。
【図5】感光体ギアの偏心による角速度の変化を示す図。
【図6】(a)は駆動ギアとアイドラギアとの位相差と、それぞれの位置での被回転体ギアの周速との関係を示す模式図、(b)はこれら周速のそれぞれの変化と回転検知手段により検知される周速の変化とを示す図。
【図7】(a)は回転速度ムラに対する制御を行わない場合を、(b)は回転速度ムラの制御を行うための演算を行う場合を、(c)はこの演算結果に基づいて感光体ギアに対しフィードフォワード制御を行う場合を、それぞれ示すブロック図。
【図8】本実施形態の制御を行った場合と行わなかった場合との感光ドラム表面の位置ずれ量を測定した結果を示す図。
【図9】フラグを取り付け位置を変えた構造の1例を示す図。
【図10】第3の実施形態に係る駆動装置の模式図。
【図11】感光ドラムを駆動する際に発生する共振周波数を示す図。
【図12】本実施形態を適用していない構造(a)と適用した構造(b)とでバンディングの大きさを測定した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図8を用いて説明する。まず、第1の実施形態に係る画像形成装置について図1により説明する。なお、本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式以外に、例えばオフセット印刷方式、インクジェット方式等複数の方式が挙げられるが、図1に示した画像形成装置1は、このうちの電子写真方式を用いたカラーの画像形成装置である。また、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の画像形成部2を、像担持体である中間転写ベルト3上に並べて配置した、所謂中間転写タンデム方式の画像形成装置である。このような画像形成装置1は、厚紙対応力や生産性に優れる点から近年主流になっている。なお、画像形成部2は、上述の4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0013】
各画像形成部2は、被回転体及び像担持体である感光ドラム(感光体)4、露光装置5、現像装置6、一次転写装置7、ドラムクリーナ8等から構成される。このような画像形成部2での画像形成プロセスは、まず、図示を省略したコロナ帯電器などの帯電手段により、感光ドラム4の表面を一様に帯電する。次に、図中矢印m方向に回転する感光ドラム4に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置5が駆動され、回折手段9等を適宜経由して、感光ドラム4の表面に静電潜像が形成される。このように感光ドラム4上に形成された静電潜像は、現像装置6により現像され、トナー像として顕在化する。その後、一次転写装置7(転写ローラ)により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト3上にトナー像が、順次転写され、フルカラーのトナー像が形成される。この転写後に感光ドラム4上に僅かに残った転写残トナーは、ドラムクリーナ8により回収され、再び次の画像形成に備える。中間転写ベルト3上に形成されたトナー像は、二次転写部Tで記録材Sに転写される。
【0014】
中間転写ベルト3は、被回転体である駆動ローラ10、従動張架ローラ11および二次転写内ローラ12によって張架され、図中矢印nの方向へと搬送駆動される無端ベルトである。また、従動張架ローラ11は、中間転写ベルト3に所定の張力を付与するテンションローラの機能と中間転写ベルト3の寄りを制御するステアリングローラの機能を兼ね備える。上述のように各画像形成部2により並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト3上に一次転写されたトナー像上に、上流から順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト3上に形成され、二次転写部Tへと送られる。そして、上述のように、この中間転写ベルト3上のトナー像が、次述する搬送プロセスにより二次転写部Tに搬送された記録材Sに転写される。
【0015】
記録材Sの搬送プロセスは、次のように行う。記録材Sは収納庫13内のリフトアップ装置14上に積載される形で収納されており、給紙手段15により画像形成タイミングに合わせて給紙される。ここで、給紙手段15は給紙ローラ等による摩擦分離を利用する方式と、エアによる分離吸着を利用する方式が挙げられるが、図示の例ではエアによる構造を用いている。給紙手段15により送り出された記録材Sは、搬送ユニット16が有する搬送パス16aを通過し、レジストレーション装置17へと搬送される。そして、このレジストレーション装置17において斜行補正やタイミング補正を行った後、記録材Sは二次転写部Tへと送られる。この二次転写部Tは、対向する二次転写内ローラ12と二次転写外ローラ18により形成される記録材Sへのトナー像転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで、上述のように記録材S上にトナー像を吸着させる。
【0016】
このように二次転写部Tで、記録材S上にフルカラーのトナー像が転写された後、記録材Sは、定着前搬送部19により定着装置20へと搬送される。この定着装置20としてローラ同士やベルト同士を組み合わせたものやローラとベルトとを組み合わせたもの、熱源としてハロゲンヒータを使用したものやIH(電磁誘導加熱)を使用したものなど、様々な構成および方式がある。図示の例では、対向する定着ローラ21と加圧ローラ22とが形成する定着ニップ内で、所定の加圧力と熱量を与えて記録材S上にトナー像を溶融固着させるものである。このようにして得られた定着画像を有する記録材Sは、分岐搬送装置23により、そのまま排紙トレイ24上に排出されるか、もしくは両面画像形成を要する場合には反転搬送装置25へと搬送されるかの経路選択が行われる。両面画像形成を要する場合、反転搬送装置25へと送られた記録材Sはスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送装置26へと搬送される。その後、この記録材Sは、収納庫13より搬送されてくる後続ジョブの記録材とのタイミングを合わせて、搬送ユニット16が有する再給紙パス16bから合流し、同様に二次転写部Tへと送られる。裏面(2面目)の画像形成プロセスに関しては、上述の表面(1面目)の場合と同様である。
【0017】
上述の感光ドラム4又は中間転写ベルト3の駆動ローラ10は、図2、3に示すような駆動装置27により駆動される。以下の説明では、代表して感光ドラム4の駆動装置27について説明するが、駆動ローラ10を駆動する装置も同様である。駆動装置27は、駆動源であるモータ28と、駆動ギア29と、被回転体ギアである感光体ギア30と、アイドラギア31と、回転検知手段32と、演算手段33と、記録手段33aと、駆動源制御手段34とを備える。このうちの駆動ギア29は、モータ28の回転軸に固定される。また、感光体ギア30は、感光ドラム4の回転軸4aに固定され、駆動ギア29と噛合する。この感光体ギア30は、駆動ギア29よりも歯数が多く、この駆動ギア29に対し減速回転する。また、駆動ギア29及び感光体ギア30は、それぞれ合成樹脂製のはすば歯車としている。なお、これら両ギア29、30を、合成樹脂よりも剛性が高いステンレス鋼などの金属製としても良いし、平歯車としても良い。但し、はすば歯車を使用すれば、平歯車よりも噛合い率を高くでき、伝達誤差を低減できる。
【0018】
また、アイドラギア31は、互いに同軸上に配置される1対のギア31a、31bと、これら両ギア31a、31b同士の間に配置される付勢手段35とを有する。これら両ギア31a、31bは、駆動ギア29及び感光体ギア30と同様に合成樹脂製のはすば歯車で、直径及び歯数が同じなど互いに同一の諸元を有し、歯数が感光体ギア30よりも少ない。なお、両ギア31a、31bも金属製としても良いし、平歯車としても良い。なお、図3及び後述する図4、9の各ギア内に記載した斜線は、ギアの歯を簡略的に表したもので、この斜線の向きが各ギアの歯の向きである。
【0019】
また、両ギア31a、31bと感光体ギア30との歯数比(増速比)は、非整数としている。即ち、感光体ギア30の歯数は、アイドラギア31(両ギア31a、31b)の歯数の非整数倍である。この歯数比は整数としても良いが、後述するように、データ量の観点から非整数倍とすることが好ましい。一方、アイドラギア31の駆動ギア29に対する歯数比は、整数としている。この理由についても後述する。このような両ギア31a、31bは、それぞれ感光体ギア30と噛合し、この感光体ギア30に従動してほぼ同じ回転速度で、且つ、この感光体ギア30に対して増速回転する。また、付勢手段35は、ねじりコイルバネにより形成され、このバネの両端部をそれぞれギア31a、31bに係止して、これら両ギア31a、31bを互いに反対の回転方向に付勢する。
【0020】
また、回転検知手段32は、アイドラギア31の回転を検知するもので、アイドラギア31と共に回転する1個のフラグ32aと、このフラグ32aの通過を検知する検知部32bとを有する。このフラグ32aは、片側(図3の左側)のギア31aに接着などにより回転不能に固定しており、このギア31aから径方向に突出する突起を有する。なお、フラグ32aは、片側のギア31aと一体に形成しても良い。また、検知部32bは、例えば、フォトインタラプタのように、発光素子と受光素子とを有し、これら両素子の間をフラグ32aが通過した際の光の遮断を検知するものである。このような検知部32bは、装置内に固定したフレームなどの固定の部分に支持され、例えば、発光素子と受光素子との間をフラグ32aが通過可能に配置される。
【0021】
また、アイドラギア31を構成する1対のギア31a、31bは、回転軸31cの軸方向中間部に形成した雄ねじ部に螺合することにより、それぞれこの回転軸31cに支持されている。このために、ギア31a、31bの内周面には雌ねじ部が形成されている。また、回転軸31cの雄ねじ部を形成する部分は、回転軸31cの軸方向片端部(図3の左端部)に形成した段差40から、他側(図3の右側)のギア31bを配置すべき部分までとしている。両ギア31a、31bを回転軸31cに配置する場合には、これら両ギア31a、31bを軸方向片側(図3の左側)から螺合して、ギア31bを雄ねじ部の端部に位置させる。そして、このギア31bがそれ以上、軸方向他側(図3の右側)に移動することを阻止する。なお、このギア31bの軸方向位置の規制は、例えば、回転軸31cの上述の雄ねじ部がなくなる部分に相当する位置に突条などを設けることにより図っても良い。
【0022】
また、両ギア31a、31bを回転軸31cに螺合させる回転方向は、感光体ギア30の回転によりこれら両ギア31a、31bが従動回転する方向と同じとしている。また、感光体ギア30との噛合により両ギア31a、31bに作用するスラスト方向の力が軸方向他側に作用するように、各歯の傾斜方向を規制している。これにより、感光体ギア30からの回転伝達で、他側のギア31bが回転軸31cに対してがたつきを阻止される方向に力が作用することになる。
【0023】
一方、片側のギア31aは、このギア31aに固定又は一体のボス部36をビス37により回転軸31cに固定することにより、回転軸31cに対し回転不能に且つ軸方向変位を規制した状態で固定されている。なお、他側のギア31bは、回転軸31cに対し軸方向片側(図3の左側)に向かう方向には回転可能である。したがって、両ギア31a、31bに対し回転方向の付勢力を付与する付勢手段35は、ギア31bに対して軸方向片側に向かうように回転する方向に、ギア31aに対して軸方向他側(図3の右側)に向かうように回転する方向に、それぞれ付勢力を付与している。即ち、両ギア31a、31bが回転軸31cとの螺合に基づき互いに近づく方向に回転するように、付勢手段35により付勢している。このように、両ギア31a、31bが互いに逆方向に回転する方向に付勢して、これら両ギア31a、31bの歯同士で感光体ギア30の歯を挟持(シザース化)し、これら感光体ギア30と両ギア31a、31bとのバックラッシをなくしている。
【0024】
このように両ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化する理由について説明する。まず、アイドラギア31を感光体ギア30に対して単純に従動させるだけでは、このアイドラギア31が無負荷の状態で回転することになる。伝達機構として単純にギアを噛み合わせる構造の場合、必ずバックラッシが存在する。ここで、回転伝達方向が一定の場合、ある程度の負荷が存在すれば回転方向にしたがって一方の歯面同士が当たって回転駆動力を伝達する。但し、アイドラギア31が無負荷である場合、回転方向が一定でもバックラッシの範囲でギアが振動することになる。更に、各ギアが樹脂等で成形されたものであれば、歯面の状態のばらつきによってより振動を引き起こす可能性がある。したがって、このような構造で、アイドラギア31の回転を検知した場合、その回転検知誤差を含んだものとなる。この問題を回避するために、例えば、アイドラギア31にブレーキ等のある程度の負荷を与える方法があるが、根本的にバックラッシ自体をなくすわけではない。また、この方法では駆動に必要となるトルクが増加し、駆動源であるモータが大きくなってしまう。更に、アイドラギア31の負荷による接線方向の力が、感光体ギア30に加わるが、感光体ギア30のリブ形状などにより、アイドラギア31と噛合している歯の撓み量にばらつきがあると、アイドラギア31の角速度が変化し、検知の精度に誤差を与えてしまう。
【0025】
これに対して本実施形態では、上述のようにアイドラギア31を構成する両ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化しているため、上述のような問題が生じることを防止できる。即ち、両ギア31a、31bに対し付勢手段35により互いに逆回転方向に付勢することにより、これら両ギア31a、31bの歯が感光体ギア30の歯を挟み込むため、バックラッシをなくすことができる。また、各ギアが樹脂等で成形されたものであっても、歯面のばらつきを矯正できる。更に、ブレーキなどを設けた場合に感光体ギア30に作用する不要な接線方向の力が作用することはない。この結果、感光体ギア30とアイドラギア31との間の伝達誤差のみを低減することが可能となる。
【0026】
また、回転軸31cは、装置内に固定したフレーム38に、転がり軸受や滑り軸受などの軸受39a、39bにより回転自在に支持されている。また、回転軸31cの片端部に設けた段差40を軸受39aに突き当てることにより、この回転軸31cの片側への軸方向変位を規制している。一方、回転軸31cの他端(図3の右端)寄り部分には、突き当て円筒部41を固定或は一体に形成し、この突き当て円筒部41と軸受39bとの間にワッシャー42を介してバネ43を配置している。そして、このバネ43により円筒部41を介して回転軸31cを軸方向片側に付勢し、この回転軸31cの軸方向のガタを防止している。また、バネ43は、感光体ギア30との噛合によりギア31a、31bに作用するスラスト方向の力以上の付勢力により回転軸31cを付勢し、これら両ギア31a、31bの感光体ギア30に対する軸方向の変位を規制している。また、このように回転軸31cを軸方向片側に付勢することにより、両ギア31a、31bの各歯と感光体ギア30の各歯とのがたつきを抑えることができる。これにより、上述の付勢手段35によるバックラッシをなくす効果(シザース化による効果)と相俟って、感光体ギア30と両ギア31a、31b(アイドラギア31)とのがたつきを確実に防止できる。なお、各部品の加工精度や取り付け精度を高くする必要があるが、このようにバネ43を用いずに、回転軸31cをフレーム38の軸方向変位を規制した状態で支持しても良い。
【0027】
このように両ギア31a、31bの軸方向変位を規制する理由について、より詳しく説明する。まず、アイドラギア31を構成する1対のギア31a、31bをはすば歯車としているが、これら両ギア31a、31bには、このはすば歯車にねじれ角が存在することによって発生する2つの特徴がある。1つ目は、感光体ギア30と噛合っているギア31a、31bがこの感光体ギア30に対してスラスト方向に異なる位置に配置されると、回転方向の位相も互いに異なってしまうことである。即ち、図4に示すように、感光体ギア30が同位相つまり固定していると仮定すると、(a)の状態のギア31bと(b)の状態のギア31aとでは、互いに回転方向の位相が異なる。
【0028】
2つ目は、上述したように、ギア31a、31bが感光体ギア30から受ける力は、回転方向だけではなく、正弦成分に分解され、ねじり角の方向にしたがってスラスト方向(軸方向)にも作用することである。例えば、ギア31a、31bの回転に対してブレーキ等の負荷を掛けつつ回転伝達を行って、伝達誤差を低減する場合、歯面に加わる力は一定方向となり、スラスト方向の力も一定方向となるため、スラスト方向の規制は容易に行える。これに対して、本実施形態は、ブレーキ等を用いず、シザース化によって伝達誤差を低減する構成であるため、感光体ギア30の加減速によってスラスト方向に作用する力の向きが変化する。更に、本実施形態の場合、アイドラギア31が感光体ギア30に対して増速されているため、一般的に感光体ギア30に対しアイドラギア31の回転慣性は増速比の2乗の効果があることから、アイドラギア31はある程度の回転慣性を有することになる。この結果、スラスト方向に作用する力が大きくなる。
【0029】
このように、本実施形態の場合、アイドラギア31を感光体ギア30に対してシザース化すると共に、増速回転しているため、感光体ギア30の加減速によってスラスト方向に作用する力の向きがその都度変化すると共に、この力が大きくなる。したがって、単純にシザース化するだけでは、アイドラギア31を構成するギア31a、31bがスラスト方向に移動してしまい、前述したとおりスラスト方向に移動すると両ギア31a、31bの回転方向の位相も互いに変化する。この結果、ギア31aと共に回転するフラグ32aにより回転検知を行っても、このような位相の変化により、検知誤差を招いてしまう。これに対して本実施形態では、上述のようにギア31a、31bのスラスト方向の移動を規制しているため、このような検知誤差を生じる事を防止して、検知精度を向上させることができる。
【0030】
また、画像形成装置全体を制御する制御装置内に組み込まれた、或は、この制御装置とは別に設けた制御部Cに、演算手段33、記録手段33a、駆動源制御手段34を設けている。このうちの演算手段33は、上述のような構成により、検知部32bで検知される感光体ギア30の回転に基づく信号から、後述するように、この感光体ギア30の回転変動を演算する。また、記録手段33aは、このような演算を行うために、検知部32bにより検知したデータを記録する。但し、この記録手段33aは、演算手段33による演算方法によっては省略しても良い。また、駆動源制御手段34は、この演算手段33の演算結果に基づきモータ28を制御する。
【0031】
このような検知部32bで検知したデータに基づいて行う制御について詳しく説明する。まず、本実施形態では、アイドラギア31を感光体ギア30に対して増速回転させているため、感光体ギア30が一周するのに対して増速比分の測定点数(フラグ32aの通過回数)を得ることができる。なお、本実施形態では、増速比が非整数であるため、後述するようにデータ量を多くできるが、回転速度ムラ抽出に必要な測定点数を確保できれば良い。また、アイドラギア31の駆動ギア29に対する歯数比を整数にしているため、駆動ギア29に偏芯が生じた場合でも、この偏心を常に同じ位相にて検知部32bにより検知可能である。このため、駆動ギア29の偏心が検知するデータに与える影響をなくすことができる。
【0032】
一方、検知部32bで検知されるデータは、実際の感光体ギア30の回転速度ムラではなく、感光体ギア30の回転速度ムラと、感光体ギア30を中心として駆動ギア29とアイドラギア31とのなす角θ分の位相差ズレ成分との合成波となる。この点について、図5、6を用いて説明する。まず、感光体ギア30がある偏芯量を持っており、駆動ギア29が理想的な回転をしている場合を想定する。この場合、感光体ギア30の角速度ωdは、駆動ギア29との噛合い部における周速vが一定のため、感光体ギア30の半径r(x)によって変動する{図6(a)参照}。この結果、感光体ギア30の回転速度ムラは、図5に示すような正弦波状のものとなる。なお、図5の鎖線は、感光体ギア30に回転速度ムラが生じていないと仮定した場合の角速度(目標値)である。一方、アイドラギア31は、取付け位置での、感光体ギア30の半径r(x+θ)とそのときの角速度ωdに影響された周速Viで回転することになる。この結果、検知部32bで検知されるデータは、図6(b)に示すように、感光体ギア30の回転速度ムラ(α)と、感光体ギア30を中心として駆動ギア29とアイドラギア31とのなす角θ分の位相差ズレ成分(β)との合成波(γ)となる。
【0033】
このように、検知部32bで検知されるデータは合成波(γ)となるため、このデータから実際の感光体ギア30の回転速度ムラを抽出する必要がある。この抽出方法は、いくつか考えられるが、本実施形態では、フーリエ級数を用いた多変量解析での抽出方法を使用する。まず、一般的に、フーリエ級数を使って任意の波形を表現することが可能で、一般式としては、式(1)に示すものとなる。
【0034】
【数1】
【0035】
また、検知部32bで検知される波形(合成波γ)をV(x)とし、実際の感光体ギア30の回転速度ムラ(α)をF(x)とすると、式(2)に示すとおりとなる。ここで、θは駆動ギア29とアイドラギア31との取付け位置によって決まるものであるため、V(x)を求めることができれば、感光体ギア30の回転速度ムラであるF(x)を式(2)により求めることが可能となる。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、感光体ギア30の回転速度ムラは、偏芯によるものや、組み付けの際の面倒れが原因であり、1次の正弦波にほぼ近い波形となる。このため、式(1)は式(3)で示されるため、係数A,Bを求めることでV(x)を導くことができる。
【0038】
【数3】
【0039】
具体的に係数A,Bを求める方法を以下に述べる。感光体ギア30が一周回転したときに検知部32bにより得られる角速度データをn個とする。ここで、n個の角速度データは、アイドラギア31の感光体ギア30に対する増速比が整数の場合、nの値は増速比が最大値となり、感光体ギア30の一回転分の測定データしか得ることができない。これに対して本実施形態では、増速比が非整数である場合、感光体ギア3の回転回数によってnの値の最大値は、「増速比×感光体ギア30の回転回数」が整数になったときの値が最大値となる。そして、このとき、得られたそれぞれの角速度V(x)は以下のように表される。
【0040】
【数4】
【0041】
また、式(4)は以下のように行列にまとめることができる。
【0042】
【数5】
【0043】
式(5)より、三角関数の行列部分を正規化し、逆行列をかけることで係数A,Bを求めることができる。係数A,Bが求まれば、前述したように、式(3)よりV(x)が求まる。V(x)が求まれば、F(x)を任意の1次の三角関数と仮定することで、式(2)は恒等式となり、F(x)が求まる。本実施形態では、上述のn個のデータを記録手段33aに記録し、この記録したデータに基づいて演算手段33により、上述したような演算を行う。なお、駆動ギア29とアイドラギア31との位相差θを180度(π)とすると、演算手段33での負荷を減らすことができるため好ましい。即ち、駆動ギア29とアイドラギア31とが感光体ギア30の中心軸を挟んで対向する位置に配置することが好ましい。これにより、F(x)はV(x)の半分となる{F(x)=2V(x)、これは、式(2)のθにπを代入することにより求められる}ため、演算手段33での負荷を減らせる。更に、回転速度ムラを検知する際に変化を捉え易くなる。これらの計算を演算手段33で行い、演算結果としてF(x)を求める。このF(x)は、感光体ギア30の回転速度ムラであるため、このF(x)を打ち消すように駆動源制御手段34でモータ28を制御すれば、感光体ギア30、延いては感光ドラム4の回転速度ムラを低減できる。
【0044】
以上の流れを図7により説明する。図7に示すブロック図のうち、(a)は感光体ギア30の回転速度ムラに対する制御を行わない場合を示している。これに対して、(b)、(c)は、上述のように感光体ギア30の回転速度ムラをアイドラギア31を介して回転検知手段32により検知し、この検知結果に基づいて感光体ギア30をフィードフォワード制御した場合を示している。まず、(b)で、感光体ギア30の回転速度ムラを回転速度検知手段32により検知し、このデータに基づいて演算手段33で演算を行う。そして、(c)で、この演算結果に基づいてモータ28を制御し、感光体ギア30を駆動している。なお、(c)のフィードフォワード制御は1例であって、これに縛られるものではなく、例えばフィードバック制御の形態を取り得ることも可能である。このような制御は、任意のタイミングで行うが、例えば、画像形成装置1の電源立ち上げ時、スリープ状態からの立ち上がり時、ジョブの開始時、予め決められた期間毎などに行う。
【0045】
次に、本実施形態による効果を確認するために行った実験について説明する。この実験では、測定データ数を10点とした。また、実験条件は、駆動ギア29の歯数を18枚、感光体ギア30の歯数を180枚、アイドラギア31(ギア31aと31bとのそれぞれ)の歯数を18枚とした。何れのギアもはすば歯車を用いた。そして、ギア31a、31bにより感光体ギア30をシザース化した。また、感光体ギア30の回転数の目標値を実用的な範囲である200rpmとした。
【0046】
上述したように、検知部32bで得られたデータから演算手段33により感光体ギア30の回転速度ムラを求めた後、図7(c)に従い、その回転速度ムラの逆位相になる信号を目標値に足し合わせるように、モータ28を駆動制御する。そして、このような制御を行った場合と行わなかった場合とで、感光ドラム4の表面で発生する位置ずれ量をそれぞれ測定した結果を図8に示す。図8の破線Mが制御を行わなかった場合を、実線Nが上述の制御を行った場合を示している。この結果、本実施形態の構成を採用することにより、感光ドラム4の表面の位置ズレ量が約1/5に低減されることがわかった。
【0047】
本実施形態によれば、アイドラギア31を1対のギア31a、31bとして、これら両ギア31a、31bの歯により感光体ギア30の歯を挟持できるため、バックラッシを十分に防止でき、正確な回転検知を行える。また、本実施形態の場合、アイドラギア31と共に感光体ギア30に対して増速回転する1個のフラグ32aの通過を、検知部32bによる検知する構造としている。このため、フラグ32aの取り付け精度や加工精度に拘らずアイドラギア31の回転、延いては感光ドラム4の回転を低コストで正確に検知できる。即ち、複数のフラグやロータリーエンコーダで感光ドラム4の回転を検知する場合、各フラグやロータリーエンコーダの取り付け精度や加工精度を向上させなければ、正確な回転検知を行えない。これに対して、フラグ32aが1個であれば、取り付け精度などに関係なく低コストで正確な回転検知を行える。また、このように取り付け精度などに拘らず正確な回転検知を行えるため、各部品の経時的な変化により各ギアの偏心の影響が変化しても、この変化に応じた制御が可能である。この結果、経時的な変化に依らず、各ギアの偏心をキャンセルでき、感光体ギア30、延いては感光ドラム4の回転速度ムラを低減する制御を高精度に行える。そして、このように感光ドラム4の回転速度ムラを低減できれば、カラー画像形成装置の色ズレを低減する効果が得られる。
【0048】
なお、上述の説明では、アイドラギア31のギア31aにフラグ32aを固定又は一体に設けて、回転検知を行っていたが、このフラグ32aは、必ずしもギア31aに設ける必要はない。例えば図9に示すように、ギア31aが回転軸31cに固定され、この回転軸31cがギア31aに対して回転不能である構造の場合、この回転軸31cにフラグ32aを別途設けても良い。この場合、勿論、検知部32bをこのフラグ32aに対応した位置に配置する。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図10ないし図12を用いて説明する。本実施形態では、アイドラギア31の回転軸31cに慣性体であるフライホイール44を固定している。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明は省略する。一般に同じ質量で、かつ同じ半径を持つ慣性体の慣性効果は、回転速度の比の2乗で効果が現れることが知られている。このため、本実施形態のように、感光体ギア30に対して増速回転しているアイドラギア31にフライホイール44を取り付けることで、このフライホイール44が小径であっても、十分な慣性効果を得られる。
【0050】
また、本実施形態では、アイドラギア31を感光体ギア30に対してシザース化することにより、金属製のギアを用いることなく、樹脂製であってもアイドラギア31と感光体ギア30との噛合部の剛性が向上させられる。このため、アイドラギア31と感光体ギア30との共振周波数を図11のBに示すように、高周波側へと移すことができ、バンディングの防止効果が得られる。即ち、図11に示す「問題となる領域」とは、バンディングが生じ易い周波数帯域である。したがって、バンディングを防止するためには、この領域の周波数から共振周波数が外れるように各部の構成を工夫する必要がある。共振周波数を決定する要因のひとつとして、噛合部の剛性が挙げられる。このため、この噛合部の剛性を上述したようなシザース化により向上させ、共振周波数を問題となる領域から高周波側に外すことができる。また、感光体ギア30と駆動ギア29との共振周波数は、フライホイール44を設けることにより、図11のAに示すように、問題となる領域よりも低周波側に移すことができる。
【0051】
このような本実施形態の効果を確認するために行った実験の結果を図12に示す。図12は、感光ドラム4の表面の速度変動を周波数との関係で示している。図12(a)は、アイドラギアを感光体ギアに対してシザース化せず、アイドラギアの回転軸にフライホイールを設けていない構造(比較例)について行った実験結果を示している。また、図12(b)は、本実施形態(実施例)で行った実験結果を示している。なお、実験条件は、実施例と比較例との何れも、駆動ギア29の歯数を18枚、感光体ギア30の歯数を180枚、アイドラギア31(ギア31aと31bとのそれぞれ)の歯数を18枚とした。なお、比較例では、アイドラギアは1個だけであるが、歯数は実施例と同じである。また、何れのギアもはすば歯車を用いた。また、感光体ギア30の回転数の目標値を実用的な範囲である200rpmとした。更に、実施例で採用したフライホイール44は、直径50mm、重さ25g、慣性9000gmm2のものを使用した。図12から明らかなように、比較例{図12(a)}では、バンディングが約450Hz付近に見られた。これに対して、実施例{図12(b)}では、バンディングが約1/5にまで低減された。
【0052】
本実施形態によれば、第1の実施形態で述べた色ズレの低減効果に加え、大型のフライホイールを用いることなく、小型のフライホイールで同等の慣性効果が得られる。また、アイドラギア31を感光体ギア30に対しシザース化することにより、これらギア31、30の噛合部の剛性を高め、共振点を移動させることができる。この結果、バンディングの低減を安価な構成で図れる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・画像形成装置、3・・・中間転写ベルト(像担持体)、4・・・感光ドラム(被回転体、像担持体)、4a・・・回転軸、10・・・駆動ローラ(被回転体)、27・・・駆動装置、28・・・モータ(駆動源)、29・・・駆動ギア、30・・・感光体ギア(被回転体ギア)、31・・・アイドラギア、31a、31b・・・ギア、31c・・・回転軸、32・・・回転検知手段、32a・・・フラグ、32b・・・検知部、33・・・演算手段、33a・・・記録手段、34・・・駆動源制御手段、35・・・付勢手段、44・・・フライホイール(慣性体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、駆動源の回転軸に固定された駆動ギアと、被回転体の回転軸に固定され、該駆動ギアと噛合する被回転体ギアと、該被回転体ギアと噛合するアイドラギアと、該アイドラギアの回転を検知する回転検知手段とを備えた駆動装置において、
前記アイドラギアは、互いに同軸上に配置され、前記被回転体ギアに従動して同じ回転速度で回転する1対のギアと、これら両ギアを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段とを有し、該被回転体ギアに対して増速回転し、
前記回転検知手段は、前記アイドラギアと共に回転する1個のフラグと、該フラグの通過を検知する検知部とを有し、
該検知部の信号から前記被回転体ギアの回転変動を演算する演算手段と、
該演算手段の演算結果に基づき前記駆動源を制御する駆動源制御手段と、を備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記各ギアがそれぞれはすば歯車であり、前記1対のギアは、前記被回転体ギアに対する軸方向の変位が規制されていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記被回転体ギアの歯数は、前記アイドラギアの歯数の非整数倍であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動ギアと前記アイドラギアとは、前記被回転体ギアの中心軸を挟んで対向する位置に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記アイドラギアの回転軸に慣性体を固定したことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体を駆動する駆動装置とを備えた画像形成装置において、該像担持体が前記被回転体であり、該駆動装置が請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の駆動装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
駆動源と、駆動源の回転軸に固定された駆動ギアと、被回転体の回転軸に固定され、該駆動ギアと噛合する被回転体ギアと、該被回転体ギアと噛合するアイドラギアと、該アイドラギアの回転を検知する回転検知手段とを備えた駆動装置において、
前記アイドラギアは、互いに同軸上に配置され、前記被回転体ギアに従動して同じ回転速度で回転する1対のギアと、これら両ギアを互いに反対の回転方向に付勢する付勢手段とを有し、該被回転体ギアに対して増速回転し、
前記回転検知手段は、前記アイドラギアと共に回転する1個のフラグと、該フラグの通過を検知する検知部とを有し、
該検知部の信号から前記被回転体ギアの回転変動を演算する演算手段と、
該演算手段の演算結果に基づき前記駆動源を制御する駆動源制御手段と、を備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記各ギアがそれぞれはすば歯車であり、前記1対のギアは、前記被回転体ギアに対する軸方向の変位が規制されていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記被回転体ギアの歯数は、前記アイドラギアの歯数の非整数倍であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動ギアと前記アイドラギアとは、前記被回転体ギアの中心軸を挟んで対向する位置に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記アイドラギアの回転軸に慣性体を固定したことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体を駆動する駆動装置とを備えた画像形成装置において、該像担持体が前記被回転体であり、該駆動装置が請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の駆動装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−27933(P2011−27933A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172472(P2009−172472)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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