説明

駐車場用の緑化パネル

【課題】駐車場を芝生等で緑化するために用いられ、運搬や施工が容易な緑化パネルを提供する。
【解決手段】緑化パネル1を保護枠2と保護枠内に敷設される芝生等のシートと、保護枠2に縦横に連設して設置されるグレーチング4a、4bとを駐車場の設置面で組付けることによって構成し、保護枠2も矩形枠11を設置面に並べ、互いに連結することによって構成する。緑化パネル1の施工は、矩形枠9を設置面に並べて連結したのち芝生等のシートを矩形枠内に装着し、ついでグレーチング4a、4bを矩形枠9上に配設してボルトとナットにより矩形枠9に固定することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場を芝生その他の植物(以下、単に芝生等という)で緑化するのに用いる駐車場用の緑化パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド軽減対策のため駐車場に芝生等を植生して駐車場を緑化する試みがなされ、更には芝生等を保護するために芝生等に網状若しくはハニカム状のシートや構造材を設置して車両による芝生への荷重を分散する試みもなされている。その一つとして下記特許文献1には、主部材と補助部材を格子状に組合わせたグレーチングを芝生等の上に設置した駐車場が開示されている。
【特許文献1】特開2006−138147号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、駐車場を芝生等で緑化するために用いられ、運搬や施工が容易な緑化パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、矩形枠と、該矩形枠を複数、第1の取付手段により連結して縦及び若しくは横方向に連設することにより構成され、少なくとも車両一台分が駐車可能なスペースを有する保護枠と、該保護枠内に敷設される芝生等のシート又は土及び芝生等と、保護枠内に縦及び若しくは横方向に連設して設置されるグレーチングよりなることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、複数の縦材と横材を第2の取付手段により連結して構成してなる矩形枠を縦及び若しくは横方向に連設することにより構成され、少なくとも車両一台分が駐車可能なスペースを有する保護枠と、該保護枠内に敷設される芝生等のシート又は土及び芝生等と、保護枠に縦及び若しくは横方向に連設して設置されるグレーチングよりなることを特徴とする。
【0005】
上記各発明の保護枠は、全体がグレーチングと同様、例えば亜鉛メッキされた銅材で構成されるが、車両を搭載しても支障を生じないだけの強度を有すれば、アルミ、その他の金属で構成してもよいし、FRP等の樹脂で構成してもよい。
【0006】
矩形枠を連結する第1の取付手段及び縦材と横材を連結する第2の取付手段としては、矩形枠や縦材、横材が鋼製である場合、溶接であってもよいが、好ましくは作業が容易で、取外しも容易なボルトおよびナットよりなる止着具が用いられる。
【0007】
グレーチングは、溝蓋に見られるように、縦桟と横桟を格子状に組付けた基本形態をなすもので、保護枠に単に並べて敷設するだけでもよいが、好ましくは保護枠を構成する部材又は隣接するグレーチングにボルト及びナットよりなる止着具により連結される。
【0008】
グレーチングはまた、芝生等上に直接設置してもよいが、好ましくは芝生等を保護するため保護枠上に設置され、芝生等にグレーチングの荷重がかからないようにされる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、保護枠には少なくともその四周枠の下面にゴム又は樹脂よりなる一定長さのテープ状弾性材が断続して接着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び2に係る発明の緑化パネルによると、タイヤが土壌と直接接触することがないため、土壌を圧縮して硬化し、芝生等の育成を阻害する、といった問題を生じないこと、車両が頻繁に駐車し、タイヤが通る箇所であってもグレーチングの格子間内の芝生等は少なくともグレーチングの厚み分は生育を阻害されることがないこと、芝生等のシート又は土及び芝生等は周りを矩形枠ないし保護枠で囲まれていることにより、土が保護枠から流出するのを防ぐことができること等の効果を奏するほか、請求項1に係る緑化パネルにおいては更に矩形枠と、芝生等のシート、又は土及び芝生等とグレーチングを組付けることにより構成され、個々の構成材はそれぞれ緑化パネル全体に比べ軽量であるから、人力で持ち運びして施工することが容易にでき、また請求項2に係る発明の緑化パネルにおいては、縦材と横材とを組付けて保護枠を構成し、更にこの保護枠に芝生等のシート、又は土及び芝生等、ついでグレーチングを組付けることによって構成され、個々の構成材は軽量であるから、人力により持ち運びして施工することが容易にできる。
【0011】
請求項3に係る発明の緑化パネルにおいては更に、保護枠下面に設けた弾性材により緑化パネルの設置面に凹凸があってもある程度追従することができること、断続的に取付けれる弾性材の切れ目から設置面を流れる雨水を排水することができ、緑化パネル内に雨水が滞留することによる芝生等の根腐れを防止できること、等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の緑化パネルについて図面により説明する。
図1は、車両一台が駐車可能なスペースを有する緑化パネル1を示すもので、この緑化パネル1は図2に示すような保護枠2と、該保護枠内に敷設される芝生等のシート3(図3参照)と、保護枠に縦及び横方向に連設して設置されるグレーチング4a、4bと、保護枠2の前端に連結されるスロープ5よりなり、以下これらについて順に詳述する。
【0013】
保護枠2は、角パイプよりなる横材7を縦方向に一定間隔を存して横向きに並べ、各両端を同じ角パイプよりなる縦向きの縦材8で連結した矩形枠9を複数(図においては三個)、縦向きに連結してなるもので、各矩形枠9は、該矩形枠9を構成する横材7及び縦材8の下面にテープ状をなす一定長さのゴムよりなる弾性材11が接着剤により断続的に接着して取付けられている。そして隣接する矩形枠9は図3に示すように横材同士が第1の取付手段を構成するボルト12とナット13により一定間隔で連結されている。図中、14は図4に示されるように横材7に固着され、ボルト通し孔15を備えたアングル材よりなる取付金具である。
【0014】
芝生等のシート3は、施工される設置面に上述する矩形枠9を組付けて保護枠2を設置したのち、矩形枠9の横材9と縦材8で構成される区画16(この区画16は図2に例示するものにおいては各矩形体9に三区画ずつ設けられている)内にそれぞれ装着されるようになっており、装着状態で土壌3aは図示するように矩形枠9を越えない厚みを有している。
【0015】
グレーチング4a及び4bは、例えば鋼又はFRP製で、縦桟と横桟を格子状に組付けた形態をなしており、各矩形枠9上に三個ずつ横向きに配設され、両側のグレーチング4aは縦桟と横桟が密に、中央のグレーチング4bは粗に配置されている(図5)。そして各グレーチング4a及び4bの四隅には、それぞれ図6に示すようにボルト通し孔を備えた取付金具19が固着されている。矩形枠9に配設されたグレーチング4a及び4bは、図7に示すように上記取付金具19ボルト通し孔及び取付金具14のボルト通し孔15にボルト21を通し、ナット22で締着することにより矩形枠9に固定されるようになっている。図1における24は、グレーチング4a上に固定される車止めである。
【0016】
スロープ5は、図示していないがボルト及びナットよりなる止着具により手前側の矩形枠9前端に連結される。なおスロープ5の連結は、グレーチング4a、4bの取付後であっても取付前であってもよく、また芝生等のシート3を装着する前であってもよい。
【0017】
図8は、施工面である路面に上述の緑化パネル1を設置した例を示すものであり、図9は、掘り下げた路面に上述の緑化パネル1を設置し、緑化パネル1が路面より突出しないようにした礼を示すものである。
【0018】
本実施形態の緑化パネル1は以上のように、矩形枠9、芝生等のシート3、グレーチング4a、4b、スロープ5を組付けることによって構成されるが、個々の構成材は、緑化パネル1全体に比べ軽量で、人力でも持ち運びして組付けることができ、運搬や施工が容易であること、矩形枠9の下面に取付けられる弾性材11により設置面に多少の凹凸があっても、これに追従して緑化パネル1を設置できること、断続的に取付けられる弾性材11の切れ目から設置面を流れる雨水を排水することができ、緑化パネル内に雨水が滞留することによる芝生等の根腐れを防止できること、グレーチング上のタイヤは土壌3aと直接接触することがないため、土壌を圧縮して硬化し、植物等の育成を阻害することがないこと、グレーチング4a、4bの格子間内の芝生等はタイヤや人が頻繁に通るようなことがあっても、少なくともグレーチング4a、4bの厚み分は踏み潰されて生育を阻害されることがないこと、グレーチングは車両に乗り降りする両側のグレーチング4aでは、縦桟と横桟が密に配置されているため、履物のヒールがグレーチング4aに挟まったり、履物が引掛かったりしてグレーチング4a上を歩行するのに支障を来たすことがないこと、芝生等のシート3は矩形枠9の区画16内に装着され、下面に弾性材11を取付けた横材7と縦材8が周りに配置されていることにより土壌3aの土の流出を防ぐことができること等の効果を奏する。
【0019】
上記実施形態の矩形枠9は横材7と縦材8を予め組付けた状態で持ち運びし施工されるが、別の実施形態では、横材7と縦材8が設置面で組付けられ、矩形枠9が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】緑化パネルの平面図。
【図2】保護枠の平面図。
【図3】芝生等のシートを配置した矩形枠の連結部分の断面図。
【図4】図2のA部の詳細図。
【図5】図1のB部の詳細図。
【図6】図1のC部の詳細図。
【図7】グレーチングの取付け構造を示す詳細図。
【図8】路面上に設置した緑化パネルの一部断面図。
【図9】掘り下げた路面に設置した緑化パネルの一部断面図。
【符号の説明】
【0021】
1・・緑化パネル
2・・保護枠
3・・芝生等のシート
4a、4b・・グレーチング
5・・スロープ
7・・横材
8・・縦材
9・・矩形枠
11・・弾性材
12、21・・ボルト
13、22・・ナット
14、19・・取付金具
15・・ボルト通し孔
16・・区画
24・・車止め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形枠と、該矩形枠を複数、第1の取付手段により連結して縦及び若しくは横方向に連設することにより構成され、少なくとも車両一台分が駐車可能なスペースを有する保護枠と、該保護枠内に敷設される芝生等のシート又は土及び芝生等と、保護枠内に縦及び若しくは横方向に連設して設置されるグレーチングよりなることを特徴とする駐車場用の緑化パネル。
【請求項2】
複数の縦材と横材を第2の取付手段により連結して構成してなる矩形枠を縦及び若しくは横方向に連設することにより構成され、少なくとも車両一台分が駐車可能なスペースを有する保護枠と、該保護枠内に敷設される芝生等のシート又は土及び芝生等と、保護枠に縦及び若しくは横方向に連設して設置されるグレーチングよりなることを特徴とする駐車場用の緑化パネル。
【請求項3】
保護枠には少なくともその四周枠の下面にゴム又は樹脂よりなる一定長さのテープ状弾性材が断続して接着されることを特徴とする請求項1又は2記載の駐車場用の緑化パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−255686(P2008−255686A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99650(P2007−99650)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】