説明

駐車支援装置

【課題】この発明は、駐車支援装置の動作不良の原因を作業者の熟練や特別な設備や施設等を必要とせずに検査でき、動作が正常であることを確認できる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】この発明は、駐車支援装置において、駐車枠線が映された画像を予め記憶しておく記憶手段と、撮像手段により撮像された画像と記憶手段により記憶された画像とのいずれかを選択する選択手段とを設け、選択手段により記憶手段に記憶された画像が選択された時に、記憶された画像を用いて、駐車枠線検出手段、端点検出手段及び判定手段の動作が検査されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駐車支援装置に係り、特に、駐車動作時に駐車枠と自車との位置関係を検出し、俯瞰画像へ自動で切り換えを行う駐車支援の動作を検査することができる駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を後退させて駐車枠に入れるときに、撮像手段により撮像した車両後方の画像を画像処理技術により、歪みを補正した画像及び真上から見下ろしたような俯瞰画像に変換して、運転者に提示する駐車支援装置が実用化されている。駐車支援装置による歪み補正画像は、周囲の視野を確保しつつ駐車枠の線が直線として見えるため、車両が駐車枠に接近するときに運転者にとって有効な画像である。一方、駐車支援装置による俯瞰画像は、車両に近接するエリアの距離感が掴みやすいこと、駐車枠の線と車両との関係が直感的にわかりやすいことから、駐車位置に近づいたときに有効な画像である。
このように、車両の後方の安全確認のために車両に取り付けたカメラ等の撮像手段からの映像を基に、画像処理をおこない、駐車枠線の検出や輪止の検出、駐車枠線の前端、後端などを検出し、自動的に画面を俯瞰画像に切り換えるなどの処理を行う駐車支援装置としては、例えば、特願2009−215154号、特開2010−123012号に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−215154号公報
【特許文献2】特開2010−123012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両へ組み付けた前記駐車支援装置の正常な動作を確認するためには、駐車支援装置の想定する駐車枠線の線幅、線間隔や、輪止の大きさ、配置などを用意し、実際に車両を走らせて確認する必要がある。
また、駐車支援装置では、処理が複雑になると装置内の演算装置が複数のマイコン(マイクロコンピュータ)等で構成されるようになる。上記例などでは、正常な動作の結果はあくまで出力画像の変化であるため、出力画像の変化が起こらなかった場合に予想される原因は、
(1)カメラの取り付け(方向等)不良
(2)装置内のいずれかの処理(デバイスなど)が不良
(3)駐車枠線などがシステムの仕様と異なる
(4)照明条件の違いによる画像の劣化など
など複数が考えられる。
【0005】
また、撮像手段のカメラについては、現在高価格帯の車両には工場の生産ラインで取り付けているが、軽自動車など低価格の車両では販売店にて車体に追加工したうえで取り付ける方法がとられている。
前者では、規定された検査ラインなどを設けることで、上記(1)、(3)、(4)の問題も解消でき、動作不良の場合は(2)が原因であると特定することが可能であるが、後者の場合は、(1)、(2)、(3)、(4)についてどれが原因か、特に(3)や(4)が原因か、それ以外が原因かを、特定することは困難な場合が多い。
工場の検査ラインなどでは、事前に撮影した規定の駐車枠線を用いた実車での駐車動作のビデオ映像を撮影しておき、カメラ画像の代わりに装置に入力することで、検査が可能である。しかし、各販売店に動画再生機器を設置するのは、コストなどの面からも非現実的である。
【0006】
この発明は、駐車支援装置の動作不良の原因を作業者の熟練や特別な設備や施設等を必要とせずに検査でき、動作が正常であることを確認できる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両後方を撮像する撮像手段と、画像を表示する表示手段とを備え、前記撮像手段により撮像された後方画像から駐車枠線を検出する駐車枠線検出手段と、前記駐車枠線検出手段により検出された駐車枠線の端を検出する端点検出手段と、前記撮像手段により撮像された後方画像から輪止を検出する輪止検出手段との少なくともいずれか一つを備え、前記端点検出手段により検出された駐車枠線の端または前記輪止検出手段により検出された輪止と前記車両との距離が予め設定されたしきい値以下か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により駐車枠線の端または輪止と前記車両との距離がしきい値以下と判定された時に前記表示手段に表示する画像を切り換える表示切換制御手段とを備えた駐車支援装置において、駐車枠線が映された画像を予め記憶しておく記憶手段と、前記撮像手段により撮像された画像と前記記憶手段により記憶された画像とのいずれかを選択する選択手段とを設け、前記選択手段により前記記憶手段に記憶された画像が選択された時に、記憶された画像を用いて、前記駐車枠線検出手段、前記端点検出手段及び前記判定手段の動作が検査されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の駐車支援装置は、駐車枠線が映された画像を予め記憶手段に記憶しておき、この記憶された画像を用いて、駐車枠線検出手段、端点検出手段及び判定手段の動作を検査するので、検査機器や駐車枠線が引かれた設備等を必要とせず、また、作業者の熟練を必要とせずに駐車支援装置の動作を検査でき、駐車支援装置が正常であることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は駐車支援装置のシステム構成図である。(実施例)
【図2】図2は駐車支援装置の検査フローチャートである。(実施例)
【図3】図3は歪みを補正した車両後方の画像(画像1)から真上から見下ろした俯瞰画像(画像2)への切り換えを示す図である。(実施例)
【図4】図4は疑似駐車枠線の画像を示す図である。(実施例)
【図5】図5は正常動作時の画像を示す図である。(実施例)
【図6】図6は動作異常時の画像を示す図である。(実施例)
【図7】図7はメニュー画面の画像を示す図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1〜図7は、この発明の実施例を示すものである。
車両を後退させて駐車枠に入れるときに画像を表示して運転者に提示する駐車支援装置は、図3に示すように、歪みを補正した車両後方の画像(画像1)から駐車場1の駐車枠2の左右の駐車枠線3・3を検出し、駐車枠線3・3の端4・4または輪止5と車両との距離がしきい値以下と判定された時に、車両後方の画像(画像1)を図3の真上から見下ろした俯瞰画像(画像2)に切り換えて表示するものである。
この駐車支援装置において、出力画像の変化が起こらなかった場合に予想される原因としては、
(1)カメラの取り付け(方向等)不良
(2)装置内のいずれかの処理(デバイスなど)が不良
(3)駐車枠線などが装置の仕様と異なる
(4)照明条件の違いによる画像の劣化など
のいずれかが考えられる。
この発明の駐車支援装置は、これらのいずれかが動作不良の原因かを、熟練や特別な設備や施設を必要とせずに確認することを可能にするものである。
前記(3)、(4)が動作不良の原因でないことを確認する場合には、画像の切り換えなどの動作の起こる条件を装置に対して簡易に与えることで実現する。
前記特許文献1および特許文献2などの画像の視点変換や表示の切り換えを行う駐車支援装置は、画像の変換のためのレックアップテーブル(Look Up Table:LUT)を持っている。また、表示手段にガイド線を表示するため、ガイド線表示位置および色の情報も、同一ルックアップテーブル中に持たせてある。
そこで、この発明の駐車支援装置は、ルックアップテーブルを別途にもう一枚用意し、画像の切り換えが起こる条件の画像をルックアップテーブルに記録しておく。この画像の切り換えが起こる条件の画像を装置の入力として処理することで、動作不良が生じた際など、正常な画像が入力された場合の動作を確認できるため、上記(1)〜(4)の原因のうち、(3)、(4)が原因であるか否かの確認が可能となる。
【0012】
図1に示すように、車両を後退させて駐車場1の駐車枠2に入れるときに画像を表示して運転者に提示する駐車支援装置6は、車両後方を撮像する撮像手段のカメラ7と、画像を表示する表示手段のモニタ8とを備え、カメラ7により撮像された車両後方の画像を処理してモニタ8に表示させる支援制御手段9を備えている。支援制御手段9は、入力画像を処理する画像処理手段10と、入力画像を一時記憶する一時記憶手段11と、機種ごとのデータ、画像変換ルックアップテーブルを記憶する記憶手段12と、入力画像から駐車場1を構成する要素を検出する駐車場要素検出手段13と、デコーダ14と、エンコーダ15とを備えている。
前記画像処理手段10は、FPGA(Field Programmable Gate Array)からなり、画像変換処理部16と、エッジ画像生成処理部17と、出力画像生成処理部18とを備えている。
前記一時記憶手段11は、RAM(Random Access Memory)からなり、画像変換処理部16の処理するデータを一時記憶する。前記記憶手段12は、ROM(Read Only Memory )からなり、機種ごとのデータ、画像変換ルックアップテーブル、後述する駐車枠線3・3が映された画像を予め記憶する。
前記画像処理手段10は、カメラ7からデコーダ14を介して車両後方の画像を画像変換処理部16に入力し、入力した画像を一時記憶手段11に記憶し、記憶手段12に記録した画像変換ルックアップテーブルに応じて、一時記憶手段11の画像データを参照することにより、画像中の画素の並べ換え、重複による拡大処理を行い、画像の変換処理を行う。変換処理された画像は、出力画像生成処理部18に出力される。
また、画像処理手段10は、カメラ7から車両後方の画像をエッジ画像生成処理部17に入力し、エッジ画像生成処理部17により入力した画像からエッジ抽出などの処理を行い、処理結果のエッジ画像を前記駐車場要素検出手段13に出力する。
【0013】
前記駐車場要素検出手段13は、マイコン(マイクロコンピュータ)からなり、エッジ画像生成処理部17から入力するエッジ画像から駐車枠線3・3を検出する駐車枠線検出手段19と、駐車枠線検出手段19により検出された駐車枠線3・3の端4・4を検出する端点検出手段20と、前記エッジ画像から輪止5を検出する輪止検出手段21と、検出した駐車枠線3・3の端4・4または輪止5と車両との距離がしきい値以下か否かを判定する判定手段22と、判定手段22により駐車枠線3・3の端4・4または輪止5と車両との距離がしきい値以下と判定された時にモニタ8に表示する画像を切り換える表示切換制御手段23とを備えている。
前記駐車場要素検出手段13は、各検出手段19〜21が検出した駐車枠線3・3、端4・4、輪止5、距離の各情報と、判定手段22による距離の判定結果から表示切換制御手段23が出力する画像の切換トリガ信号とを、画像処理手段10の出力画像生成処理部18へ向け出力する。
画像処理手段10の出力画像生成処理部18は、画像変換処理部16から入力する画像と、駐車場要素検出手段13から入力する駐車枠線3・3、端4・4、輪止5の駐車場要素の情報とを基に出力画像を生成し、生成した出力画像を駐車場要素検出手段13から入力する切換トリガ信号により切り換えてエンコーダ15に出力し、モニタ8に表示する画像を自動的に切り換える。
これにより、駐車支援装置6は、図3に示すように、車両を後退させて駐車場1に入れるときに、車両後方の画像(画像1)から駐車枠2の左右の駐車枠線3・3を検出し、駐車枠線3・3の端4・4または輪止5と車両との距離がしきい値以下と判定された時に、車両後方の画像(画像1)を俯瞰画像(画像2)に切り換えて表示し、運転者に提示する。
【0014】
このように、車両を後退させて駐車場1に入れるときに、画像を切り換えて表示する駐車支援装置6においては、複数の条件が成立した場合に、画像1中の白線が駐車枠2であると認識される。
駐車枠2であると認識される条件は、例えば、
・平行な2本の直線
・2本の白線の間隔が規定された範囲
・白線自体の幅が規定された範囲 などである。
また、白線を検出するために画像のエッジ情報を使用する場合には、白線と路面の輝度差が十分にあることが必要となる。工場で、カメラを車体に組込む場合は、上記条件にあった駐車枠を検査ライン上に用意することなどで、動作の確認が可能となる。
しかし、軽自動車などでは現状バックカメラの生産ラインでの組み込み率は低く、車両販売時に用品として各販売店で後日取り付ける例が多い。
組み付け後の車両支援装置6の動作確認をする場合の手順としては、
(1).画像1のように映像が映るか?
(2).ガイドラインの自車に対する位置ずれが大きくないか?
(3).手動にて画像2の画像に切り換えられるか?
を確認した後、
(4).駐車枠線3・3を認識し、自動で画像が切り換わるか?
の確認を行う。
【0015】
ここで、(4).の自動で画像が切り換わるかの確認のためには、規定にあった駐車枠を用意する必要があり、また天候や時間帯による照明条件の変化も考慮に入れる必要がある。
動作確認の際、販売店の敷地内の駐車枠線で確認したところ、条件によっては(4).の自動切換えが起こらない場合も考えられる。このとき、装置内の駐車場要素検出手段13にICE(In−Circuit Emulator:インサーキットエミュレータ)などを接続し、処理結果を確認できれば、駐車枠線が規定から外れていることなどの確認が可能であるが、そのためには各販売店にICEなどを配布し、また使用方法についてサービスマンを教育する必要が生じる。
そこで、この発明の駐車支援装置6は、上記駐車枠線としての規定に合致した擬似的な駐車枠線の画像を作成し、駐車支援装置6内の記憶装置に記録しておき、上記(4).の検査時にこの擬似駐車枠線画像を駐車支援装置6の入力画像として処理を行うことで、駐車枠線の認識から画像の自動切換えの処理についての動作確認を可能とする。これにより、この駐車支援装置6は、作業者の熟練度によらず、また適当な駐車枠線を用意できない場合についても、駐車支援装置6の動作確認を行うことが可能となる。
【0016】
ところで、この駐車支援装置6では、カメラ7から入力した画像より、図3の画像1、画像2の画像を作成するために、ルックアップテーブルを持っている。画像に車両走行軌跡を指示するガイドラインを引くための情報(画素位置、色)も、このルックアップテーブル内に記録されている。そこで、ガイドラインを引くための情報を画像全域に適用し、例えば背景を黒、白線を白として、白線の位置は規定の駐車枠線において画像1から画像2への切換えが生じるときの実際の画像と合致させる。この画像を、擬似駐車枠線画像と定義する(図4の画像3)。
この駐車支援装置6は、図1に示すように、駐車枠線が映された画像である前記疑似駐車枠線画像を予め記憶しておく前記記憶手段12と、カメラ7により撮像された画像と記憶手段12により記憶された画像とのいずれかを選択する選択手段24とを設け、選択手段24により記憶手段12に記憶された疑似駐車枠線画像が選択された時(自己診断モードに移行した時)に、記憶手段12に予め記憶された疑似駐車枠線画像を用いて、駐車場要素検出手段13の駐車枠線検出手段19、端点検出手段20及び判定手段22の動作を検査する。
駐車支援装置6は、動作の検査を行う自己診断モードにおいて、図4に示す画像3の擬似駐車枠線画像を、駐車場要素検出手段13の入力映像として駐車枠線3・3の検出、端4・4の検出を行い、駐車枠線検出手段19、端点検出手段20及び判定手段22の動作を検査する。正常動作と診断された時は、図5に示すように、画面全体に緑色を混ぜて、「P」のアイコン表示した画像4を表示する。動作異常と診断された時は、図6に示すように、画面全体に赤色を混ぜた画像5を表示する。
駐車支援装置6は、擬似駐車枠線画像を用いることにより、画像4、画像5のような結果を得ることができ、駐車枠線3・3を認識できたら「P」のアイコン表示、駐車枠線3・3の端4・4を検出し、車両から端4・4までの距離がしきい値以下となっていることを確認できたら画像を緑色の画像4とすることで、容易に駐車場要素検出手段13での処理結果および故障を確認することができる。
もちろん、画像4、画像5の結果表示は、緑色や赤色の色表示だけでなく、アイコンの表示や、結果を文字などで表示しても良い。実施例では、画像処理手段10と駐車場要素検出手段13を組み合わせた駐車支援装置6を想定しており、画像の変換表示を画像処理手段10、駐車枠線の認識処理を駐車場要素検出手段13で行うため、画像処理手段10のリソースの関係から色の変更が最も容易なため、色の変更を採用している。
また、駐車支援装置6は、動作の検査を行う自己診断モードヘ移行するための手動スイッチ25を画像処理手段10に設けている。自己診断モードヘの移行は、図7に示す画像6のように、画像処理手段10内の処理として作成したメニュー画面を手動スイッチ25のスイッチ操作で呼び出し、メニュー画面より選択することで行う。
画像6の例では、「MENU」の文字を選択することで、自己診断モードヘ移行する。自己診断モードにおいては、選択手段24により記憶手段12に記憶された疑似駐車枠線画像が選択され、記憶された疑似駐車枠線画像を用いて、駐車場要素検出手段13の駐車枠線検出手段19、端点検出手段20及び判定手段22の動作を検査する。
【0017】
なお、上述メニュー画面への移行の具体例としては、手動スイッチ25を短く押す操作と、長く押す操作とを用いて、行うことができる。
例えば、
・通常の画面変更(図3の画像1から画像2、画像2から画像1への変更)は手動スイッチ25を短く押すことで切り換える。
・俯瞰画像(図3の画像2)の表示で手動スイッチ25を長く押す操作を行うと、メニューモードヘ移行し、メニュー画面(図7の画像6)が表示される。
・メニュー画面にて、手動スイッチ25を短く押す操作でメニューの項目を選択し、手動スイッチ25を長く押す操作により、メニューの項目のON/OFFなどの選択を行う。
・画像6の例では、メニュー画面にて手動スイッチ25を短く押す操作で「MENU」の文字が選択されており、この状態で長く押す操作を行うと自己診断モードに移行する。
とすることができる。
ただし、前述自己診断モードヘの移行方法については一例であり、別途「自己診断」などのメニュー項目を設定しても良い。また、擬似駐車枠線画像中に機種番号等を入れておくことにより、他の機種用の製品を間違ってつけてしまった場合などにも確認が可能である(図6の画像5上部の「01」の表示など)。
【0018】
この駐車支援装置6は、カメラ7から画像処理手段10への画像入力を、一時記憶手段11に一時記録し、記憶手段12に記録したルックアップテーブルに応じて、一時記憶手段11のデータを参照することにより、画像中の画素の並べ換え、重複による拡大処理を行い、画像の変換処理を行う。
駐車支援装置6は、カメラ7から入力された画像からエッジ抽出などの処理(エッジ画像生成処理部17)を行い、処理結果の画像を駐車場要素検出手段13に転送する。駐車場要素検出手段13は、駐車枠線3・3の認識や、車両から駐車枠線3・3の端4・4までの距離を検出し、駐車枠線3・3の検出状況と画像の切換トリガ信号を画像処理手段10の出力画像生成部18へ出力する。出力画像生成部18は、画像の自動切換えを行う。
前記駐車支援装置6は、図7に示す画像6のように、メニュー画面で自己診断モードが選択(「MENU」の文字の選択)された場合、参照する記憶手段12のルックアップテーブルの中から擬似駐車枠線画像生成用のルックアップテーブルを選択し、選択手段24によりエッジ画像生成処理部17に渡す画像を、カメラ7が撮像した画像(図1の(1))から、擬似駐車枠線画像(図1の(2))に切り換える。
駐車支援装置6は、擬似駐車枠線画像を駐車場要素検出手段13に転送し、駐車場要素検出手段13において擬似駐車枠線画像より駐車枠線3・3の認識を行う。擬似駐車枠線画像では、駐車枠線3・3は、車両が規定どおりの駐車枠2の中央に進入した際の駐車枠線3・3を模しているため、駐車場要素検出手段13は直ちに駐車枠線3・3の認識を完了する(図5の画像4、「P」アイコン表示)。
また、擬似駐車枠線画像は、駐車枠線の端位置が、車両との距離のしきい値以下に設定されているため、駐車場要素検出手段13は、駐車枠線3・3の認識処理に続き、駐車枠線3・3の端4・4の検出および車両から端4・4までの距離がしきい値以下であることの判定を判定手段22で行い、判定結果を出力画像生成部18に向け送信する(図5の画像4、緑色の画面)。
また、駐車支援装置6は、手動により図3に示す画像1(通常画像)と画像2(俯瞰画像)を切り換える機能(手動スイッチ25)を有しているため、画像処理手段10の処理については、モニタ8の表示を確認しながら、手動スイッチ25を操作することで確認できる。
前述のとおり、従来の駐車場要素検出手段の処理は、規定の駐車枠線を用いて車両で駐車動作を行った場合にしか確認できない問題があったが、この発明の駐車支援装置6は擬似駐車枠線画像を用いることにより、駐車場要素検出手段13の動作状態(故障などの有無)を容易に確認することが可能となる。
なお、駐車支援装置6によるモード遷移は、通常モード→(メニュー選択)→自己診断モード→結果出力→手動スイッチ操作→通常モードヘ復帰、となっている。
【0019】
次に、図2の検査フローチャートに従って、検査時の動作を説明する。
駐車支援装置6は、検査がスタートすると(S01)、自己診断モードであるかを判断する(S02)。この判断(S02)がNOの場合は、通常モードの動作(S09)に移行し、検査をエンドにする(S10)。
この判断(S02)がYESの場合は、ルックアップテーブルの疑似駐車枠線画像の選択、駐車場要素検出手段13への転送画像の切り換え(カメラ7の撮像した画像から疑似駐車枠線画像への切り換え)を行い(S03)、駐車場要素検出手段13より駐車枠線が認識されたことが出力されたかを判断する(S04)。
この判断(S04)がYESの場合は、画像に「P」アイコンを表示し(S05)、駐車場要素検出手段13より駐車枠線3・3の端4・4と車両との距離がしきい値以下であることを示す切換トリガ信号が出力されたかを判断する(S06)。
この判断(S06)がYESの場合は、図5に示す緑色の画像4を表示し(S07)、結果確認後に手動スイッチ25を操作し(S08)、通常モードの動作(S09)に移行し、検査をエンドにする(S10)。
前記駐車場要素検出手段13より駐車枠線3・3が認識されたことが出力されたかの判断(S04)がNOの場合、また、前記駐車場要素検出手段13より駐車枠線3・3の端4・4と車両との距離がしきい値以下であることが出力されたかの判断(S06)がNOの場合は、図6に示す赤色の画像5を表示し(S11)、手動スイッチ25が操作されるまでは判断(S04)に戻り、結果確認後に手動スイッチ25が操作(S08)されると、通常モードの動作(S09)に移行し、検査をエンドにする(S10)。
【0020】
このように、駐車支援装置6は、駐車枠線3・3が映された疑似駐車枠線画像を予めルックアップテーブルとして記憶しておく記憶手段12と、カメラ7により撮像された画像と記憶手段12により記憶された疑似駐車枠線画像とのいずれかを選択する選択手段24とを設け、選択手段24により記憶手段12に記憶された疑似駐車枠線画像が選択された時に、記憶された疑似駐車枠線画像を用いて、駐車枠線検出手段19、端点検出手段20及び判定手段22の動作が検査される。
これにより、この駐車支援装置6は、検査機器や駐車枠線が引かれた設備等を必要とせず、また、作業者の熟練を必要とせずに駐車支援装置6の動作を検査でき、駐車支援装置6が正常であることを確認することができる。
また、この駐車支援装置6は、記憶手段12に駐車枠線3・3が映された疑似駐車枠線画像をルックアップテーブルに記憶したが、疑似駐車枠線画像をそのまま記憶しておくのではなく、画像上に疑似駐車枠線を描画するためのデータを装置内のルックアップテーブルに記憶しておくこともできる。
これにより、この駐車支援装置6は、記憶手段12に、画像上に疑似駐車枠線を描画するためのデータをルックアップテーブルに記憶しておくことで、画像中の駐車枠線の座標データのみでよいので、装置内の使用していないリソースを利用することができる。
さらに、この駐車支援装置6は、記憶手段12に駐車枠線3・3の位置が異なる複数の疑似駐車枠線画像が記憶され、複数の疑似駐車枠線画像を順次使用し擬似的に動画として利用することができる。
これにより、この駐車支援装置6は、駐車枠線3・3と車両との距離が予め設定されたしきい値を超える場合と、しきい値以下の場合との両方の状態での動作を確認することができる。
【0021】
この発明は、上述実施例に限定されることなく、種々応用改変が可能である。例えば、上述実施例においては、記憶手段12に駐車枠線3・3が映された疑似駐車枠線画像を予め記憶したが、輪止5が映された疑似輪止画像を記憶手段12に記憶しておくこともできる。
この変形例の駐車支援装置6は、輪止5が映された疑似輪止画像を予めルックアップテーブルとして記憶しておく記憶手段12と、カメラ7により撮像された画像と記憶手段12により記憶された疑似輪止画像とのいずれかを選択する選択手段24とを設け、選択手段24により記憶手段12に記憶された疑似輪止画像が選択された時に、記憶された疑似輪止画像を用いて、輪止検出手段21及び判定手段22の動作が検査されるようにする。
これにより、この駐車支援装置6は、輪止5に対しても、駐車枠線3・3と同様に駐車支援装置6の動作を検査することができ、駐車支援装置6が正常であることを確認することができる。
また、この駐車支援装置6は、記憶手段12に輪止5が映された疑似輪止画像をそのまま記憶しておくのではなく、画像上に疑似輪止を描画するためのデータを装置内のルックアップテーブルに記憶しておくこともできる。
これにより、この駐車支援装置6は、記憶手段12に、画像上に疑似輪止を描画するためのデータをルックアップテーブルに記憶しておくことで、画像中の輪止の座標データのみでよいので、装置内の使用していないリソースを利用することができる。
さらに、この駐車支援装置6は、記憶手段12に輪止5の位置が異なる複数の疑似輪止画像が記憶され、複数の疑似輪止画像を順次使用し擬似的に動画として利用することができる。
これにより、この駐車支援装置6は、輪止5と車両との距離が予め設定されたしきい値を超える場合と、しきい値以下の場合との両方の状態での動作を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、検査機器や駐車枠線が引かれた設備等を必要とせず、また、作業者の熟練を必要とせずに、駐車支援装置が正常であることを確認することができるものであり、車両に搭載された画像処理を行う電子機器の診断に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 駐車場
2 駐車枠
左の駐車枠線
右の駐車枠線
左の駐車枠線の端
右の駐車枠線の端
5 輪止
6 駐車支援装置
7 カメラ
8 モニタ
9 支援制御手段
10 画像処理手段
11 一時記憶手段
12 記憶手段
13 駐車場要素検出手段
14 デコーダ
15 エンコーダ
16 画像変換処理部
17 エッジ画像生成処理部
18 出力画像生成処理部
19 駐車枠線検出手段
20 端点検出手段
21 輪止検出手段
22 判定手段
23 表示切換制御手段
24 選択手段
25 手動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を撮像する撮像手段と、画像を表示する表示手段とを備え、
前記撮像手段により撮像された後方画像から駐車枠線を検出する駐車枠線検出手段と、前記駐車枠線検出手段により検出された駐車枠線の端を検出する端点検出手段と、前記撮像手段により撮像された後方画像から輪止を検出する輪止検出手段との少なくともいずれか一つを備え、
前記端点検出手段により検出された駐車枠線の端または前記輪止検出手段により検出された輪止と前記車両との距離が予め設定されたしきい値以下か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により駐車枠線の端または輪止と前記車両との距離がしきい値以下と判定された時に前記表示手段に表示する画像を切り換える表示切換制御手段とを備えた駐車支援装置において、
駐車枠線が映された画像を予め記憶しておく記憶手段と、前記撮像手段により撮像された画像と前記記憶手段により記憶された画像とのいずれかを選択する選択手段とを設け、
前記選択手段により前記記憶手段に記憶された画像が選択された時に、記憶された画像を用いて、前記駐車枠線検出手段、前記端点検出手段及び前記判定手段の動作が検査されることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
車両後方を撮像する撮像手段と、画像を表示する表示手段とを備え、
前記撮像手段により撮像された後方画像から駐車枠線を検出する駐車枠線検出手段と、前記駐車枠線検出手段により検出された駐車枠線の端を検出する端点検出手段と、前記撮像手段により撮像された後方画像から輪止を検出する輪止検出手段との少なくともいずれか一つを備え、
前記端点検出手段により検出された駐車枠線の端または前記輪止検出手段により検出された輪止と前記車両との距離が予め設定されたしきい値以下か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により駐車枠線の端または輪止と前記車両との距離がしきい値以下と判定された時に前記表示手段に表示する画像を切り換える表示切換制御手段とを備えた駐車支援装置において、
輪止が映された画像を記憶しておく記憶手段と、前記撮像手段により撮像された画像と前記記憶手段により記憶された画像とのいずれかを選択する選択手段とを設け、
前記選択手段により前記記憶手段に記憶された画像が選択された時に、記憶された画像を用いて、前記輪止検出手段及び前記判定手段の動作が検査されることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
前記記憶手段には、駐車枠線または輪止が映された画像をそのまま記憶しておくのではなく、画像上に疑似駐車枠線または疑似輪止を描画するためのデータを装置内のルックアップテーブルに記憶しておくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記記憶手段には、駐車枠線または輪止の位置が異なる複数の画像が記憶され、複数の画像を順次使用し擬似的に動画として利用することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−105033(P2012−105033A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251443(P2010−251443)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】