説明

骨髄異形成症候群(MDS)に関連する増殖性疾患の治療および診断のためのSALL4の標的化

本発明は、ジンクフィンガー型転写因子であるSALL4(アイソフォームSALL4A、SALL4B、およびSALL4Cを含む)の核酸、タンパク質、および抗体を開示する。さらに、SALL4の構成的発現がモデル動物系の細胞における白血病誘発の可能性を増加させることを実証する方法を開示する。さらに、トランスジェニックマウスにおける選定アイソフォーム(例、SALL4B)の構成的発現は、これらの動物が、移植可能な続発性の急性骨髄性白血病(AML)を含む、骨髄異形成症候群(MDS)のような兆候および症状を発現することを実証する。また本開示は、白血病幹細胞を含む、胚幹細胞、成体幹細胞、癌幹細胞を識別し精製するための方法と、SALL4に結合する、および/またはSALL4を調整する物質を識別するための方法と、被検体においてMDSを診断するための方法と、MDSを示す被検体を治療する方法とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する分野
本発明は、概して、Wnt/βカテニンシグナル伝達経路に関連する因子に関連し、さらに具体的には、SALLタンパク質ファミリーおよびOCT4を含む、その経路の転写構成要素間の相互作用に関連し、それらはそのような相互作用の標的化により増殖性疾患を診断および治療する方法を含む、胚細胞および癌幹細胞の調整に関する。
【0002】
本発明は、一部において政府の支援により、アメリカ国立衛生研究所(NIH)によって与えられた許可番号第K08CA097185号に基づいて作成された。当政府は本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
胚盤胞の内細胞塊(ICM)に由来するES細胞は、自己複製細胞分裂を行いそれらの多分化能を不定の期間維持することが可能である。ES細胞はまた、体外培養される時に様々な異なる細胞タイプへ分化することも出来る。Wnt/βカテニンシグナル伝達経路は、正常なヒト幹細胞(HSC)および慢性骨髄性白血病(CML)の顆粒球−マクロファージ前駆細胞(GMP)の自己複製に関連している。さらに、転写因子OCT4は着床前発生においてICMの形成のための主要調節因子として同定される。さらには、OCT4タンパク質は多様な遺伝子を調整することによって胚性幹(ES)細胞の多分化能の維持において中心的な役割を行っているようである。
【0004】
幹細胞の役割は、癌の病因において考えられてきた。腫瘍がそのような癌幹細胞、すなわち、腫瘍の成長の原因となるまれな細胞を含む可能性があるという証拠が増えつつある。これらの無限増殖能を伴うまれな細胞は、従来の治療方法に対応する、癌細胞に見られる抵抗力の原因である可能性がある。幹細胞が、そのような細胞が、例えば造血性細胞等の特定の組織から生じる生体組織で同定されることは既知である。幹細胞自己複製特性は正常な器官形成でしっかりと制御されるため、自己複製の脱制御は発ガンをもたらす可能性がある。
【0005】
例えば、骨髄異形成症候群(MDS)は、汎血球減少症、多分化機能障害、および骨髄アポトーシスを引き起こす、造血幹細胞(HSC)レベルでのゲノム異常の蓄積を特徴とする血液病である。
【0006】
本疾病による死亡は、汎血球減少症または急性骨髄性白血病(AML)への変換を原因とする。AMLは、骨髄および末梢血においての未熟骨髄系前駆細胞の蓄積を特徴とする血液癌である。
【0007】
AML患者からの骨髄サンプルでの遺伝的転座の分析からは、造血にとって重要である転写因子が、白血病誘発において重要な役割を果たすことが明らかである。AMLの病因は多段階遺伝子変化に関与すると考えられる。HSCのみが自己複製の能力を有すると考えられるため、それらが多段階性、前白血病遺伝子変化の蓄積および、それらをいわゆる「白血病幹細胞」(LSC)へ変換させる最良候補である。
【0008】
また、下流前駆細胞は自己複製能力を得て、白血病を引き起こす可能性がある。LSCは特に現在の化学療法レジメンによっては標的化されないが、そのような細胞は薬物耐性および白血病再発の原因であることが発見されている。
【0009】
SALL遺伝子ファミリー、SALL1、SALL2、SALL3、およびSALL4は、本来、ショウジョウバエspalt(sal)に対してそれらのDNA配列相同性に基づいてクローン化された。ショウジョウバエにおいて、spaltは後頭部および前尾部の断片の発達に必要不可欠であるホメオティック遺伝子である。それは、気管の発生、光受容体の最終分化、および翅脈の配置において重要な役割を果たす。ヒトにおいて、SALL遺伝子ファミリーは腫瘍形成のみならず正常な発達にも関連する。SALLタンパク質は、全タンパク質に分布されたマルチフィンガー領域を特徴とするCジンクフィンガー転写因子の群に属する。ショウジョウバエの気管発生の間、spaltはウィングレスの活性下流標的、Wntオーソログである。SALL1は、コアクチベーターとして機能し、SALLとWnt/βカテニン経路間の相互作用は両方向性であることを示唆することにより、βカテニンと相互作用することが実証されてきた。
【発明の開示】
【0010】
発明の開示
本発明は、発達に不可欠なジンクフィンガー型転写因子である、SALL4、ショウジョウバエspaltへのヒトホモログに関連する。SALL4およびそのアイソフォーム(SALL4A、SALL4B、およびSALL4C)は、クローン化され配列決定される。本開示は、SALL4がヒト原発性AMLにおいて遮断(turn off)されることが出来なかったことを実証する。さらに、マウスモデルにおいて、SALL4の構成的発現の白血病誘発可能性が実証される。さらに、骨髄異形成症候群(MDS)のような兆候と症状および続発性可移植AMLを発症するSALL4B−トランスジェニックマウスを開示する。
【0011】
髄鞘形成に関連するアポトーシスの増加は、トランスジェニックマウスの骨髄、およびコロニー形成(CFU)分析において明らかである。両アイソフォームは、βカテニンに結合することが可能であり、相乗的にWnt/βカテニンシグナル伝達経路を強化することが可能である。これはSALL4の構成的発現がMDS/AMLを引き起こすこと、およびそのような発現がWnt/βカテニン経路に影響を与えることを実証する。関連する態様では、開示されるマウスモデルは、ヒトMDS/AML変換と白血病幹細胞の病因におけるWnt/βカテニン経路の役割を調査するプラットフォームを提供する。
【0012】
一実施形態では、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合される抗体または抗体フラグメントを開示する。
【0013】
他の実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)の治療の方法が開示され、該方法は、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体の治療的に有効な量を被検体に投与する段階を含む。
【0014】
他の実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)の治療の方法が示され、該方法は、配列番号:1に示される配列、配列番号:3に示される配列、配列番号:5に示される配列、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、配列番号:5の相補体、およびそれらのフラグメントを有するポリヌクレオチドの組成物を被検体へ投与する段階を含み、前記フラグメントは、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む。
【0015】
一実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)の治療の方法が開示され、該方法は、配列番号:2、配列番号:4および/または配列番号:6に示される配列を有するポリペプチド組成物を被検体へ投与する段階を含む。
【0016】
関連する態様では、MDSは急性骨髄性白血病(AML)である。
【0017】
一実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を診断する方法が開示され、該方法は、被検体からの生体サンプルを提供する段階と、その生体サンプルに、ハイブリダイゼーション条件下で、配列番号:1に示される配列、配列番号:3に示される配列、配列番号:5に示される配列、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、または配列番号:5の相補体を有するポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドのフラグメントを含むプローブを接触させる段階と、プローブと生体サンプルのハイブリダイゼーションを検出する段階とを含み、ハイブリダイゼーションの検出はMDSに相関する。
【0018】
他の実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を診断する方法が開示され、該方法は、被検体からの生体サンプルを提供する段階と、生体サンプルを配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体に接触させる段階と、サンプルへの抗体の結合を検出する段階とを含み、検出結合はMDSに相関する。
【0019】
一実施形態では、白血病幹細胞を単離する方法が示され、該方法は、被検体からの細胞のサンプルを採取する段階と、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細胞をそのアミノ酸配列を発現しない細胞から選別する段階と、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細胞のサンプルから、骨髄表面マーカーによって白血病幹細胞選び出す段階とを含む。
【0020】
他の実施形態では、ヒトSALL4遺伝子を有する遺伝子導入動物が示され、動物は配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子の配列を発現するように改変される。関連する態様では、動物はその挿入されたSALL4遺伝子を構成的に発現する。
【0021】
一実施形態では、ヒトSALL4遺伝子を含む遺伝子導入動物を作成する方法が開示され、該動物は、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子の配列を構成的に発現するように改変され、該方法は、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子のコンストラクトを含む核酸分子を胚細胞へ導入する段階と、コンストラクトの導入の段階から生じる細胞から遺伝子導入動物を作成する段階と、遺伝子導入動物を繁殖してヒトSALL4遺伝子の遺伝子導入動物の同型接合体を得る段階と、遺伝子導入動物由来の組織からヒトSALL4転写物を検出する段階とを含む。
【0022】
一実施形態では、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの細胞発現を調整する方法が開示され、該方法は、ポリヌクレオチドへハイブリッドする二本鎖RNA(dsRNA)、またはポリヌクレオチドへハイブリッドするアンチセンスRNA、またはそれらのフラグメントを細胞へ導入する段階を含む。
【0023】
一実施形態では、内細胞塊(ICM)、腫瘍性組織、または腫瘍から単離された細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤に接触させる段階と、SALLファミリーメンバータンパク質が、細胞において発現するかどうかを判断する段階とを含む、潜在的多能性を有する細胞を同定する方法が開示され、SALLファミリーメンバータンパク質の発現の判断は、細胞における自己複製の誘発に正に相関し、それによって、そのような発現が多分化能を示す。
【0024】
一形態において、そのSALLファミリーメンバーはSALL1、SALL3、およびSALL4を含む。関連する態様では、SALL4はSALL4AまたはSALL4Bである。
【0025】
他の態様では、薬剤はSALLファミリーメンバータンパク質またはSALLファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAに相補的な核酸に対する抗体である。関連する態様では、SALLファミリーメンバータンパク質配列は配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:22、および配列番号:24を含む。その他の関連する態様では、核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5;配列番号:21、および配列番号:23を含む核酸配列のセンス鎖に相補的である。
【0026】
一形態において、細胞は、胚性幹(ES)細胞、胚性癌腫(EC)細胞、成体幹細胞、または癌幹細胞である。関連する態様では、組織は被検体からの血漿サンプルまたは生検サンプルである。さらに関連する態様では、被検体はヒトである。
【0027】
一実施形態では、OCT4発現に対するSALLファミリーメンバータンパク質の影響を調整する薬剤を識別する方法が開示され、該方法は、機能的に連結されたOCT4プロモーターと遺伝子発現レポータータンパク質をコードする核酸とを含むプロモーターレポーターコンストラクトを含むベクターと、SALLファミリーメンバータンパク質をコードする核酸を含むベクターとを細胞へ同時導入する段階、細胞を薬剤に接触させる段階、ならびに薬剤の存在および非存在におけるプロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階を含み、プロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階はSALLファミリーメンバータンパク質/OCT4相互作用に対する薬剤の影響に相関する。
【0028】
関連する態様では、プロモーター領域は配列番号:26に示される核酸配列を含み、発現レポータータンパク質はルシフェラーゼである。
【0029】
他の実施形態では、被検体の細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤に接触させる段階と、SALLファミリーメンバータンパク質が、細胞において発現されるかどうかを判断する段階とを含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患を診断する方法が開示され、SALLファミリーメンバータンパク質の発現の判断は、細胞における自己複製の誘発に正に相関し、それによって、そのような発現が腫瘍形成または増殖を示す。
【0030】
一形態において、薬剤は標識化され、判断する段階は、薬剤の位置を画像化する装置に被検体をさらすことによる薬剤の検出を含む。関連する態様では、画像は磁気共鳴、X線、または放射性核種放出によって作成される。
【0031】
一実施形態では、SALL4の発現を抑制する薬剤を含む医薬組成物を被検体へ投与する段階を含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患の治療方法が開示され、ここで被検体の細胞は、自己複製の脱制御を示す。
【0032】
他の実施形態では、薬剤−細胞相互作用および薬剤の標識化に十分な状態を提供するための1つ以上のSALLファミリーメンバータンパク質と、試薬および緩衝剤を検出するための薬剤と、検出試薬の標識化および薬剤の細胞への接触についての説明書と、構成要素を含む容器とを含む、潜在的多能性を有する細胞を識別するためのキットが開示される。
【0033】
細胞を、SALL4に対する抗体に接触させる段階と、抗体に接合された細胞を、流体および細胞の進入および放出のための少なくとも2つの開口部を備える表面境界キャビティへ適用する段階と、細胞および流体がキャビティを通過することを可能にする段階とを含む、増殖性疾患または腫瘍性細胞形成の進行に関連する細胞を検出する方法が開示され、混合流体における抗体結合細胞は光学検出器によって検出され、電圧は流体に加えられ、それによって、その電圧が1つ以上のコレクタにおいて結合細胞を類別する。
【0034】
本発明の例示的な方法および組成物は、以下にさらに詳しく説明される。
【0035】
発明の詳細な説明
本発明の組成、方法および培養方法の説明に先立って、本発明は特定の組成、方法、および実験方法に限定されず、そのような組成、方法および状態は変化してもよいことを理解されたい。また本願において使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲でのみで限定されるため、限定することを意図しないということも理解されたい。
【0036】
本願および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの」および「その」は、その文脈が明記しない限り、複数照応的指示を含む。つまり、例えば、「核酸」の言及は、1つ以上の核酸、および/または本開示などを読む際に、当業者には明らかである、本願に記載の種類の組成物を含む。
【0037】
別途定めのない限り、本願で使用される全ての技術用語および専門用語は、本発明の属する技術分野において通常の技術を有する者にはよく知られているような意味を有する。本願に説明されるものと類似のまたは同じである全ての方法および物質は、本発明の実施または試験において使用されるが、修正および変更が本開示の趣旨と範囲内に含まれるということが理解されるだろう。本願に記載されるすべての刊行物はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0038】
ホメオボックスおよびホメオティック遺伝子は正常な発達において重要な役割を果たす。ホックスやパックスのような、一部のホメオボックス遺伝子は腫瘍遺伝子としてまたは腫瘍形成または白血病誘発における腫瘍抑制因子としても機能する。SALL4、ホメオティック遺伝子および転写因子の重要な役割が、異形接合SALL4変異がデュアン放射線症候群を引き起こすことにより、ヒトの発達において認められた。関連する態様では、白血病誘発におけるSALL4の発癌性の役割が本願で説明される。
【0039】
一実施形態では、本開示は2つのSALL4アイソフォーム、SALL4AおよびSALL4Bを識別する。関連する態様では、本開示は、SALL4の核酸およびタンパク質の構成的発現に関連する血液悪性腫瘍およびその他の腫瘍等の増殖障害を有する患者を診断および治療するための手段としてのSALL4の核酸およびタンパク質の分析を提供する。関連する態様では、SALL4は、癌の診断および治療のための悪性幹細胞マーカーをして機能する。
【0040】
例えば、正常な造血中に、SALL4アイソフォームはCD34+HSC/HPC集団において発現され、正常なヒトの骨髄および末梢血において急速に遮断(SALL4B)または下方制御される(SALL4A)。その一方、SALL4は検査されたすべてのAMLサンプル(N=81)においては構成的に発現され、ヒト原発性AMLおよび骨髄性白血病細胞株においては停止することが出来なかった。関連する態様では、体内でのSALL4の構成的発現の白血病誘発可能性がSALL4Bトランスジェニックマウスの作製を通じて直接検査された。そのようなトランスジェニックマウスは、ヒトMDSに酷似した、調節不全な造血を示し、移植可能なAMLを示した。これらのSALL4BトランスジェニックマウスにおけるMDSのような特性は、協同突然変異を必要とせず、早くて2ヶ月齢で見られる。これらのマウスで見られた無効造血は、ヒトMDSにおいてのように、骨髄において顕著であるアポトーシスの増加に高い確率で続発する、過形成骨髄および奇異性末梢血血球減少(好中球減少および貧血)および形成不全症を特徴とする。学説にとらわれないが、これらのトランスジェニックマウスにおける白血病発達の遅い発現の理由は?8ヶ月の複製ストレスの間の追加的な遺伝子損傷の蓄積であるかもしれない。疾患の後期発症はSALL4導入ゲノム不安定性の結果でもあるかもしれない。
【0041】
さらに、特定の、再発性の染色体転座は多くの白血病を特徴付け、それらは免疫グロブリンまたはT細胞受容体の遺伝子伝子再配列の正常過程における分解に起因するが、正常な染色体内再配列よりも染色体内転座を引き起こす。染色体転座切断点でのタンパク質への遺伝子からの遺伝子情報の流れは、治療用薬剤が抑制することの出来るいくつかの点を有する。ジンクフィンガー結合タンパク質領域を有効利用する配列特異的結合因子は、異常遺伝子の融合産物の発現を停止させる染色体融合結合を標的化することの出来る遺伝子スイッチとして作用する、デノボ配列特異的結合因子を作り出すために使用されることが出来る。
【0042】
一実施形態では、SALL4は、遺伝子融合産物の発現を調節する遺伝子スイッチとして染色体融合結合を標的化する融合タンパク質構成として使用されることが出来る。組み換え融合タンパク質の生成は問う技術分野で既知である(例、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd Ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)を参照)。
【0043】
一実施形態では、SALL4のタンパク質および/または核酸は、リンパ腫の亜集団および白血病またはその他のタイプの癌を診断するために検出される。他の実施形態では、SALL4のタンパク質および核酸の検出は、増殖性疾患を発達させる/得る危険性のあるヒト被検体を含むがそれらに限定されない被検体を識別するために使用されることが出来る。
【0044】
さらなる実施形態では、SALL4のタンパク質レベルおよび核酸レベルを変化させる組成を識別する方法が開示される。関連する態様では、SALL4は、SALL4の阻害機能が、腫瘍の発達と進行を抑制する、治療標的として機能することが出来る。
【0045】
他の態様では、白血病誘発へ関与するSALL4の潜在的機序の検査は、SALL4AとSALL4Bの両方が、HSCの自己複製を含む、Wntシグナル伝達経路に不可欠な構成要素であるβカテニンと相互作用することを示す。さらに、両方ともが、ショウジョウバエおよびヒトにおけるSALLファミリー機能に一致するレポーター遺伝子アッセイでのWnt/βカテニン経路を活性化することが出来る。さらには、βカテニンの状況と同様に、CMLにおけるSALL4発現は疾患の様々な段階で変化し、慢性期にないSALL4発現は未熟な芽球の加速期でのみ検出可能になり、芽球期において強く陽性である。
【0046】
これらの研究に基づいて、作業仮説が開示される(例、図4d参照)。学説にとらわれないが、AMLにおけるSALL4の構成的発現は、白血病性芽球に自己複製および/または脱分化等の幹細胞特性を得ることが出来るようにさせることが出来、こうして、LSCになることが出来る。本仮説モデルはβカテニンの場合に見られるものに匹敵するであろう。例えば、正常な骨髄造血において、βカテニンは、自己複製特性を示すHSCにおいてのみ活性化される。CMLの芽球期において、βカテニンは、GMPにおいて活性化されることによって機能し、白血病性形質転換をもたらす。
【0047】
他の態様では、癌遺伝子SALL4は、正常な造血および白血病誘発において重要な役割を果たす。SALL4BトランスジェニックマウスはMDSのような、移植可能である、続発性のAML変換を伴う表現型を示す。ヒトMDSの研究に利用可能な動物モデルは、現在ほとんどない。本願に説明される方法によって作成されたSALL4Bトランスジェニックマウスは、モデルヒトMDSおよびそのAMLへの続発性の変換の理解と治療のための適した動物を提供する。SALL4とWnt/βカテニンシグナル伝達経路の相互作用は、白血病誘発におけるSALL4の関与のもっともらしいメカニズムを提供するのみだけでなく、CML芽球化転換におけるWnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化の理解を提供する。
【0048】
本願に開示されるように、すべてのヒトAMLにおけるSALL4アイソフォームの識別とそれらの構成的発現が検査された。AMLにおけるSALL4発現の直接の影響が生体内で検査された。本開示は、マウスにおけるSALL4の構成的発現が、MDSのような症状や移植可能なAMLへの変換を誘発するのに十分であることを実証する。本開示は、さらにSALL4はβカテニンを結合しWnt/βカテニンシグナル伝達経路を活性化することが出来ることを実証する。SALL4およびβカテニンは、CMLの様々な段階において類似の発現パターンを共有する。
【0049】
一実施形態では、配列番号:2(GenBank登録番号AAO44950)、配列番号:4(GenBank登録番号AAO16566)、または配列番号:6(GenBank登録番号AAO16567)に示されるアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離ポリヌクレオチドが提供される。関連する態様では、そのような配列は、配列番号:1(GenBank登録番号AYl72738)、配列番号:3(GenBank登録番号AY170621)、配列番号:5(GenBank登録番号AY170622)、またはそれらの補体に示される核酸配列を含む。もう1つの関連する態様においても、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターが開示され、それらは、ホスト細胞においてポリヌクレオチドの発現を導く調節配列に操作可能に関連する発現ベクターを含むが、それらに限定されるものではない。
【0050】
他の実施形態では、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。一形態において、そのようなポリペプチドを投与する段階を含む、個々における骨髄異形成症候群(MDS)の治療の方法が提供される。他の態様では、そのようなポリペプチドに結合する抗体またはそれらの結合フラグメントも開示される。
【0051】
開示される方法に使用される抗体は、SALL4または、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるそれらのアイソフォームを含むポリペプチドを特異的に結合する抗体を含む。一形態においては、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6のフラグメントが使用されそのような抗体を生成する。関連する態様では、そのようなフラグメントは配列番号:13から基本的に構成される。
【0052】
一実施形態では、潜在的多能性を有する細胞を識別する方法が開示され、該方法は内細胞塊(ICM)から単離された細胞、腫瘍性組織からの細胞、または腫瘍からの細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤に接触させる段階と、SALLファミリーメンバータンパク質が、細胞において発現するかどうかを判断する段階とを含み、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を判断する段階は、細胞における自己複製の誘導に正に相関し、それによって、そのような発現は多分化能を示す。
【0053】
一形態において、SALLファミリーメンバーはSALL1、SALL3、およびSALL4を含む。関連する態様では、SALL4はSALL4AまたはSALL4Bである。
【0054】
他の態様では、薬剤はSALLファミリーメンバータンパク質に対するまたはSALLファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAに相補的な核酸に対する抗体である。関連する態様では、そのSALLファミリーメンバータンパク質配列は配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:22、および配列番号:24を含む。もう1つの関連する態様において、核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:21および配列番号:23を含む核酸配列のセンス鎖に相補的である。
【0055】
一形態において、細胞は、胚性幹(ES)細胞、または胚性癌腫(EC)細胞、成体幹細胞、癌幹細胞である。関連する態様では、その組織は被検体からの血漿サンプルまたは生検サンプルである。さらなる関連する態様では、被験者はヒトである。
【0056】
本願に使用される、「潜在的多能性」とは有糸分裂によって自己複製する細胞の能力を意味する。
【0057】
本願に使用される「正に相関する」とは、認められた現象に肯定的に関連することを意味する。例えば、SALL4AまたはSALL4B導入は細胞の自己複製力の増大に関連する。
【0058】
本願に使用される、「新生物」とは、その文法的な変化を含むが、良性または癌性であるかもしれない組織の新しい異常な成長を意味する。
【0059】
本願に使用される、「基本的に構成される」とは特異的な分子実体(例えば、特異的な配列識別子などを含むがそれらに限定されない)および、特異的な分子実体に関連する特性に物質的には影響しないその他の分子実体を含む。例えば、配列番号:13を含む融合タンパク質およびアジュバントは、配列番号:2、配列番号:4、および/または配列番号:6に対する免疫原性反応を生成するため、配列番号:13から基本的に構成される。
【0060】
抗体は当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第6,391,589号で論じられる。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント抗体、F(ab’)フラグメント抗体、Fab発現ライブラリによって生成されたフラグメント、抗イディオタイプ(anti−Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗イディオ抗体などを含む)、および上記すべてのエピトープ結合フラグメントを含むが、それらに限定されるものではない。本願に使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原を結合する抗原結合部位を含む分子を示す。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の全てのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、またはクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスであることが出来る。
【0061】
本発明の抗体は、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド架橋Fvs(sdFv)および、VLまたはVH領域のいずれかを含むフラグメントを含む、抗体フラグメントを含むが、それらに限定されるものではない。抗原結合抗体フラグメントは、一本鎖抗体を含むが、可変領域単独または以下のもの、ヒンジ領域、CHl領域、CH2領域、およびCH3領域の全体もしくは一部との組合せであることが出来る。また、本発明において、ヒンジ領域、CHl領域、CH2領域、およびCH3領域との可変領域の組合せを含む、抗原結合フラグメントが含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳類を含むいかなる動物起源であってもよい。一形態において、抗体はヒト抗体、マウス抗体(例えば、マウスおよびラットなど)、ロバ抗体、羊抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、テンジクネズミ抗体、ラクダ抗体、ウマ、または鶏である。さらに、そのような抗体は、動物抗体のヒト化型である(例、米国特許第6,949,245号などを参照)。本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはそれ以上の多特異性である。
【0062】
本発明の抗体は、当技術分野において既知であるすべての適切な方法によって生成されることができる。関心の抗原に対するポリクローナル抗体は当技術分野において既知の様々な過程によって生成されることができる。例えば、本発明のポリペプチドは、ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、それらに限定されず、様々なホスト動物に投与され、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の生成させる。ホスト動物種によって、免疫反応を高めるための様々なアジュバントが使用され、それらは、フロインド(完全または不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール類、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノールならびに、BCG(カルメットゲラン桿菌)またはコリネバクテリウムパルブムのような潜在的に役立つヒトアジュバントを含むが、それらに限定されない。そのようなアジュバントも当技術分野において既知である。さらに、抗体およびタンパク質を結合する抗体のようなものはファージ提示法によって作られる(例、Smith and Petrenko、Chem Rev(1997)97(2):391−410などを参照)。
【0063】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換え、ならびにファージ提示技術、またはそれらの組合せを使用することを含む、当技術分野において既知の様々な技術を使用して、調合されることが出来る。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2nd ed.1988)、Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−CeIl Hybridomas 563−681(Elsevier、N.Y.、1981)(参考文献は、参照によって全体が組み入れられる)に教示の方法を含む、ハイブリドーマ技術を用いて生成されることが出来る。本願に使用される「モノクローナル抗体」という用語はハイブリドーマ技術を通じて生成される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」は単一クローンから起因する抗体を示し、全ての真核性、原核生物、またはファージクローンを含み、それが生成される方法を含まない。
【0064】
一実施形態では、そのような抗体を用いての白血病幹細胞を単離する方法が提供され、該方法は、被検体から細胞のサンプルを得る段階と、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を発現する細胞を、そのアミノ酸配列を発現しない細胞から選別する段階と、配列番号:13に示されるアミノ酸配列を発現する細胞のサンプルから、骨髄表面マーカーによって白血病幹細胞を選び出す段階とを含む。関連する態様では、選別の段階は、蛍光励起細胞選別および/または磁性粒子選別による選別を含む。
【0065】
他の関連する態様では、マーカーはCD34、c−kit、Gr−1、Mac−1、MPO、および/または非特異的エステラーゼである。さらなる関連態様では、白血病幹細胞はB細胞(B220およびCD19)、T細胞(CD4、CD8、CD3、およびCD5)、巨核球(CD41)、および赤血球(Ter119)マーカーに対して陰性である。
【0066】
一実施形態では、潜在的多能性を有する細胞を識別するためのキットが開示され、そのキットは1つ以上のSALLファミリーメンバータンパク質マーカーを検出する薬剤、薬剤細胞相互作用および薬剤の標識化のための十分な状態を提供する試薬および緩衝剤、検出薬剤の標識化と薬剤の細胞への接触のための説明書、および構成要素を含む容器を含む。
【0067】
該開示の方法により、細胞集団から、配列番号:13を含むマーカーの発現に陽性である細胞から、そうでない細胞を最初に選別することによって幹細胞を識別する。その後、関心幹細胞を陽性マーカーの細胞から選択し、これは既知の細胞マーカーの発現で細胞を選別することにより実行される。関心幹細胞に関連することで知られるすべてのマーカーを使用することが出来る。
【0068】
幹細胞が発見される疑いのあるすべての細胞集団は、開示される方法によって選別されることが出来る。一形態において、細胞は非胎児動物の骨髄から得られ、それらはヒト細胞を含むがそれらに限定されるものではない。胎児細胞も使用することができる。
【0069】
細胞選別は、蛍光励起細胞選別(FACS)(例えば、Baumgarth and Roederer、J Immunol Methods(2000)243:77−97などを参照)および磁性粒子細胞選別(MACS)による選別を含む、当技術分野において既知の細胞を選別するためのいかなる方法によるものであることが出来る。従来のMACSの過程はMiltenyiら、「High Gradient Magnetic Cell Separation with MACS」、Cytometry11:231−238(1990)によって説明される。MACSによって細胞を選別するには、細胞を磁性粒子で標識化し、その細胞常磁性分離柱から通過させる。分離柱は協力永久磁石で配置され、柱内に磁場を作り出す。磁気的に標識化された細胞は、柱に捕捉され、そうでない細胞は、通過する。その後、捕捉細胞を柱から溶出する。一実施形態では、SALL4に対して誘導される抗体が胚幹細胞、成体幹細胞および/または癌幹細胞を単離する細胞選別において使用される。他の実施形態では、SALL4に対して誘導される抗体はフローサイトメトリー分析で使用され、SALL4を発現する細胞を検出し、そのような細胞は、増殖性疾患の進行または腫瘍性細胞形成に関連する。関連する態様では、SALL4はSALL4AまたはSALL4Bである。
【0070】
一実施形態では、生体サンプルにおいて配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドの有無を検出する方法が開示され、該方法は、ハイブリダイゼーション条件下で、生体サンプルに配列番号:1、配列番号:3、もしくは配列番号:5に示される配列、または配列番号:1、配列番号:3、もしくは配列番号:5の相補体を有するポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドのフラグメントを含むプローブを接触させる段階と、ハイブリダイゼーションがポリヌクレオチドの存在を示す、プローブとサンプルのハイブリダイゼーションを検出する段階とを含むがそれらに限定されるものではない。
【0071】
他の実施形態では、生体サンプルに存在する、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを検出する方法が開示され、該方法は、ポリペプチドに結合する抗体を提供する段階と、生体サンプルを抗体に接触させる段階と、結合がポリペプチドの存在を示す、抗体の生体サンプルへの結合を判断する段階とを含むが、それらに限定されるものではない。
【0072】
一実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)の治療方法が説明され、該方法は、配列番号:1に示される核酸配列、配列番号:3に示される核酸配列、配列番号:5に示される核酸配列、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、配列番号:5の相補体、またはそれらのフラグメントを有するポリヌクレオチドを、被検体へ投与する段階を含み、前記フラグメントは、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む。関連する態様では、該方法は配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:5に示されるポリヌクレオチドを投与する段階を含む。一形態において、MDSは急性骨髄性白血病(AML)である。
【0073】
一実施形態では、OCT4発現に対するSALLファミリーメンバータンパク質の影響を調節する薬剤を識別する方法が開示され、該方法は、操作可能に連結されたOCT4プロモーターと遺伝子発現レポータータンパク質をコードする核酸とを含むプロモーターレポーターコンストラクトを含むベクターと、SALLファミリーメンバータンパク質コードする核酸を含むベクターとを、細胞に同時導入する段階と、細胞に薬剤を接触させる段階と、薬剤の存在および非存在におけるプロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階とを含み、プロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階は、SALLファミリーメンバータンパク質/OCT4相互作用に対する薬剤の影響に相関する。
【0074】
関連する態様では、プロモーター領域は、配列番号:26を含む核酸配列を含むが、それらに限定されず、発現レポータータンパク質はルシフェラーゼである。
【0075】
他の実施形態では、SALL4の発現を抑制する薬剤を含む医薬組成物を、被検体へ投与する段階を含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患を治療する方法が開示され、被検体の細胞は自己複製の脱制御を示す。
【0076】
他の実施形態では、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する物質を識別する方法が提供され、該方法は、ポリペプチドを候補物質に接触させる段階とポリペプチドへの物質の結合を検出する段階とを含む。
【0077】
一実施形態では、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの機能を調節する物質を識別する方法が開示され、該方法は、ポリペプチドを候補物質に接触させる段階とポリペプチドの活性を判断する段階とを含み、その候補物質の存在下での活性における変化は、物質がポリペプチドの機能を調節していることを示す。
【0078】
他の実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を治療する方法が開示され、被検体からの生体サンプルを提供する段階と、生体サンプルをハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1に示されるポリヌクレオチド配列、配列番号:3に示されるポリヌクレオチド配列、配列番号:5に示されるポリヌクレオチド配列、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、または配列番号:5の相補体のうちの少なくとも15個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するプローブに接触させる段階と、ハイブリダイゼーションを検出する段階がMDSと相関する、プローブと生体サンプル間のハイブリダイゼーションを検出する段階とを含むが、それらに限定されない。一形態において、MDSは急性骨髄性白血病(AML)である。
【0079】
他の実施形態では、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を診断する方法が開示され、該方法は、被検体からの生体サンプルを提供する段階と、生体サンプルを配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体に接触させる段階と、検出結合がMDSに相関する、サンプルへの抗体の結合を検出する段階とを含むが、それらに限定されない。一形態において、MDSは急性骨髄性白血病(AML)である。
【0080】
一実施形態では、被検体の細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤へ接触させる段階と、SALLファミリーメンバータンパク質が、細胞において発現されるかどうかを判断する段階とを含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患を診断する方法が開示され、SALLファミリーメンバータンパク質の発現の判断は、細胞においての自己複製の誘発と正に相関し、それによって、そのような発現が腫瘍の形成または増殖を示す。
【0081】
一形態において、薬剤は標識化され、判断段階は、薬剤の位置を画像化する装置に被検体をさらすことによる検出を含む。関連する態様では、画像は磁気共鳴、またはX線、または放射性核種放出によって生成される。
【0082】
一実施形態では、急性原発性骨髄性白血病細胞に構成的に発現されるジンクフィンガー型転写因子をコードするポリヌクレオチドの細胞発現を調節する方法を含み、該方法は、ポリヌクレオチドへハイブリッドする二本鎖RNA(dsRNA)、またはポリヌクレオチドへハイブリッドするアンチセンスRNA、またはそれらのフラグメントを細胞へ導入する段階を含む。関連する態様では、調節は下方制御である。
【0083】
一実施形態では、遺伝子導入動物が開示される。一般的な態様において、遺伝子導入動物は、その導入遺伝子の発現を許可する方法で外来遺伝子を導入することにより作成される。遺伝子導入動物の作成の方法は、概して、WagnerとHoppe(参照として本願に取り込まれる米国特許第4,873,191号)、全体が参照として本願に組み入れられる、Brinsterら(1985)、および全体が参照として本願に組み入れられる「Manipulating the Mouse Embryo;A Laboratory Manual」2nd edition、(eds.,Hogan、Beddington、Costantimi and Long、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1994))で説明される。
【0084】
一般的に、遺伝子はマイクロインジェクションによって受精卵へ移入される。微量注入された卵は、ホストの雌へ移植され、その子孫は、導入遺伝子の発現を検査される。遺伝子導入動物は、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類、魚類を含むが、それらに限定されない多くの動物からの受精卵から作成されてもよい。
【0085】
マイクロインジェクションのためのDNAクローンは当技術分野で既知のすべての方法によって作成することが出来る。例えば、マイクロインジェクションのためのDNAクローンは細菌プラスミドの配列を除去するのに適した酵素、およびTBE緩衝剤で1%アガロースゲルで電気泳動させられたDNAのフラグメントで、標準技術を用いて分割することができる。DNAバンドはエチジウムブロマイドで染色することによって可視化され、発現配列を含むバンドが除去される。除去されたバンドは、その後0.3M酢酸ナトリウム、pH7.0を有する透析袋に置かれる。DNAは透析袋へ電気溶出され、1:1のフェノール:クロロフォルム溶液で抽出され、2ボリュームのエタノールによって沈殿される。DNAは1mlの低塩緩衝液(0.2M NaCl、20mMトリス、pH7.4、および1mM EDTA)で再び溶かされ、Elutip−D(商標)カラムで精製される。カラムは、最初に3mlの高塩緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH7.4、および1mM EDTA)で感作され、続いて5mlの低塩緩衝液で洗浄される。DNA溶液はカラムを3回通過し、DNAをカラム担体へ結合する。3mlの低塩緩衝液で1回洗浄した後、DNAは0.4mlの高塩緩衝液で溶出され、2ボリュームのエタノールによって沈殿される。DNA濃度は紫外分光光度計において260nmでの吸収によって測定される。
【0086】
本発明はさらに、少なくとも1つの、その有効量で疾患を治療することの出来る組成物と、薬学的に許容される賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。本発明の組成物は、記載の通りのその他の治療薬を含むことができ、例えば、従来の個体または液体の賦形剤もしくは希釈剤を採用することにより、製剤処方の技術において既知である技術に従って、望ましい投与のモードへ適した種類の医薬品添加物(例えば、添加剤、結合剤、保存料、安定剤、香料など)に加えて、採用することにより処方されてもよい。
【0087】
発明の製造品の組成物として採用される医薬組成物は、個体、溶液、乳剤、分散、ミセル、リポソームおよび同様のものなどの形態で使用されることができ、結果の組成物は、腸内または非経口の使用に適した有機または無機のキャリアもしくは添加剤の混合剤で、活性材料としての上記の組成物を1つ以上含む。発明の製造品の組成物として使用されるために採用される組成物は、例えば、通常の非毒性で、薬学的に許容される、タブレット、ペレット、カプセル、坐薬、溶液、乳剤、懸濁液、およびその他の使用に適した形態のためのキャリアと組み合わせられてもよい。使用されるキャリアは、グルコース、ラクト−ス、アカシアガム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトスターチ、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、および製造調合剤の使用に適したその他のキャリアを個体、半個体、または液体の形態で含む。さらに、補助剤、安定剤、濃厚剤、そして着色剤と香料が使用されてもよい。
【0088】
発明医薬組成物は、例えば、タブレット、カプセル、顆粒または粉などの形態での経口投与、舌下投与、口腔投与、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、嚢内注射もしくは注入技術などによる非経口投与(例えば、無菌注射剤の水性または非水性の溶液もしくは懸濁液として)、吸入噴霧などによる経鼻投与、クリームまたは軟膏などの形態での局所的投与、または坐薬などの形態での経直腸的投与により、非毒性の、薬学的に許容される賦形剤または希釈剤を含む投与量ユニット形態ですべての適切な方法によって投与されることが出来る。本組成物は、例えば、短時間作用型または持続放出型に適した形態で投与されることが出来る。短時間作用型または持続放出型は、本組成物を含む適した医薬組成物の使用によって、または、特に持続放出型の場合は、皮下移植または浸透圧ポンプなどの装置を使用することにより、達成されることが出来る。本組成物はリポソームで投与されることも出来る。
【0089】
霊長類に加えて、ヒトなど、様々なその他の哺乳類が本発明の方法によって治療されることができる。例えば、ウシ、羊、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、テンジクネズミ、ラットまたはその他のウシ亜科の動物、ヒツジ科動物、ウマ科動物、イヌ科動物、ネコ科動物、齧歯動物またはネズミ科に属する種を含むが、それらに限定されない哺乳類が治療されることが出来る。しかし、該方法は、鳥類のような(例えば、鶏など)、他の種においても実践されることが出来る。
【0090】
細胞が調整のため標的化されることが望ましい、上述の方法で治療された被検体はウシ、羊、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、テンジクネズミ、ラットまたはその他のウシ亜科の動物、ヒツジ科動物、ウマ科動物、イヌ科動物、ネコ科動物、齧歯動物またはネズミ科に属する種を含むが、それらに限定されない哺乳類であり、好ましくは、ヒトで、男性または女性である。
【0091】
「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師あるいはその他の臨床医によって探られている組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医学的な反応を引き起こすであろう対象組成物の量を意味する。
【0092】
本願に使用される、「組成物」という用語は、特定の量で特定の材料を含む製品を、直接的にまたは間接的に、特定の量で特定の材料の組合せから出来るすべての製品と同様に含むことを意図する。「薬学的に許容される」ことを意味するキャリアにおいて、希釈剤または添加剤は処方のその他の材料と適合しなくてはならず、それらの受容体に対して毒性であってはならない。
【0093】
組成物「の投与」およびまたは組成物「を投与する」という用語は、本発明の組成物を治療が必要な個体に提供することを意味すると理解されるべきである。
【0094】
本発明の組成物の投与のための医薬組成物は投与量ユニットで小分けに提示されることができ、製薬額の技術において既知であるすべての方法によって調合されることが出来る。すべての方法は、活性材料を1つ以上の副成分を含むキャリアに結合させる段階を含む。一般的に、医薬組成物は、均一に、密接に、活性材料を液体キャリアまたは微紛化された個体キャリアまたはその両方と結合させ、その後、必要に応じて、製品を望ましい形態に成形することによって調合される。医薬組成物において、活性対象組成物は疾患の進行または状態に対して望ましい効果を作り出すのに十分な量で含まれる。
【0095】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、分散剤もしくは顆粒、乳剤、硬性または軟性のカプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤などとして、経口使用に適した形態であることが出来る。
【0096】
経口使用を目的とした組成物は、医薬組成物の製造の技術で知られているすべての方法によって調合されることが出来、そのような組成物は、薬学上の優れた、口に合う調合を提供するために、甘味剤、香料剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される薬剤を1つ以上含むことができる。タブレットは、タブレットの製造に適した非毒性の、薬学的に許容される添加剤の混合剤で活性材料を含むことが出来る。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ソーダ、ラクト−ス、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような、不活性希釈剤、例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤、例えばスターチ、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤、そして例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤であることが出来る。タブレットはコーティングされなくてもよく、または胃腸管での分解および吸収を遅らせ、それにより、より長い期間の持続作用を提供することの出来る既知の技術によってコーティングされても良い。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料が採用されてもよい。また、それらは放出を制御するための浸透圧治療タブレットを形成するようコーティングされてもよい。
【0097】
経口使用のための処方は、活性材料が例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性個体希釈剤と混合される硬性ゼラチンカプセルとして、または、活性材料が、水もしくは、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、あるいはオリーブ油などの油媒体と混合される軟性ゼラチンカプセルとして示されてもよい。
【0098】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した添加剤での混合剤で活性物質を含む。そのような添加剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁化剤であり、分散剤または湿潤剤は、例えばレシチンなどの天然フォスファチド、または例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどのアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合物、または例えばへプタデカエチレンオキセタノールなどのエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、またはエチレンオキシドのポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸およびへキシトール由来の部分エステルとの縮合物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどの、エチレンオキシドの脂肪酸およびへキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合物であってもよい。水性懸濁液は、さらに例えばエチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸などの1つ以上の保存料、1つ以上の着色剤、1つ以上の香料剤、さらにスクロースまたはサッカリンなどの1つ以上の甘味剤を含んでもよい。
【0099】
油性懸濁液は活性材料を例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油などの植物油、または流動パラフィンなどの鉱油で懸濁することにより処方されることができる。油性懸濁液は例えば蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの濃厚剤を含んでもよい。上述のような甘味剤、および香料剤が口当たりのいい経口剤を提供するために加えられてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化物質の追加によって保存されてもよい。
【0100】
水の追加による水性懸濁液の調合に適した分散パウダーおよび顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の保存料との混合剤での活性材料を提供する。適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は上述によって例示される。例えば、甘味剤、香料剤および着色剤などの追加の添加剤が存在してもよい。
【0101】
シロップおよびエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤で処方されることが出来る。そのような処方は、鎮痛薬、保存料および香料剤と着色剤を含むことが出来る。
【0102】
医薬組成物は無菌注射剤の水性または油性の懸濁液の形態であることができる。本懸濁液は、既知の技術に従い、上述の適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調合されることができる。無菌注射剤の調合は、例えば1,3−ブタンジオールの溶液として、非毒性の薬学的に許容される希釈剤もしくは溶剤における無菌注射剤の溶液または懸濁液であることができる。許容される賦形剤および溶剤において、水、リンガー溶液および等張食塩水溶液が採用される。さらに、滅菌の固定油は、溶剤または懸濁溶媒として通常に採用される。本目的のため、合成モノまたはジグリセリドを含む、すべての無菌性の固定油が採用されてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注入剤の調合において使用される。
【0103】
本発明の組成物は、薬剤の直腸投与のための坐薬の形態で投与されてもよい。これらの組成物はその薬剤を、通常の温度では個体であり直腸温では液体になり、それゆえ直腸で解けて薬剤を放出する、適した非毒性の添加剤と混合することにより調合されることが出来る。そのような物質はココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0104】
局所使用には、本発明の組成物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが採用される(本使用の目的のため、局所使用は洗口剤およびうがい薬を含む)。
【0105】
本開示に基づく、SALL4を抑制するポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸は、例えば、癌などの腫瘍、または細胞周期および/または細胞成長の適切な調節の損失を含む障害、または特異的細胞死が望ましいその他の障害の予防または治療(全体的または部分的)を目的とする個々の治療において遺伝子治療法に使用されることができる。
【0106】
ウィルスベクターなどのベクターが、当技術において、核酸を様々な種類の標的細胞に導入するために使用されてきた。一般的に、ベクターは標的細胞にさらされ、トランスフェクションが細胞の十分な部分で行われることができ、望ましいポリペプチドの発現からの有用な治療効果または予防的効果を提供する。トランスフェクションされた核酸は永久に各標的化された腫瘍細胞のゲノムへ組みこまれ、長期持続効果を提供し、または代わりに治療は定期的に繰り返される必要がある場合がある。
【0107】
様々なベクター、ウィルスベクターとプラスミドベクターの両方は、米国特許第5,252,479号およびWO93/07282に参照される、当技術分野において既知である。具体的には、SV40のようなパポバウィルス、ワクシニアウイルス、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス、またレトロウイルスを含む多くのウィルスが、遺伝子移入ベクターとして使用されてきた。当技術分野における多くの遺伝子治療プロトコルが、無能力のマウスレトロウイルスを使用してきた。
【0108】
ウィルスベクターの使用の代わりとして、核酸を細胞へ導入するためのその他の既知の方法としては、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム同時沈殿法、マイクロインジェクション法、弾道法、リポソームで媒介される導入法、DNA取り込み法などの機械的技術法、および受容体介在DNA導入法が挙げられる。
【0109】
受容体介在遺伝子導入は、核酸がタンパク質リガンドにポリリシンを介して連結され、標的細胞の界面に存在する受容体に対して特異的であるリガンドを伴う、核酸を特定の細胞へ特異的に標的化するための技術の例である。
【0110】
細胞が調整のため標的化される被検体の治療において、適切な投与レベルは、一般的に、単回投与または反復投与で投与される、1日あたりの患者の体重1kgあたりの約0.01mgから500mgである。好ましくは、投与レベルは1日当たり約0.1mg/kgから約250mg/kgであり、さらに好ましくは1日当たり約0.5mg/kgから約100mg/kgである。適した投与レベルは、1日当たり約0.01mg/kgから250mg/kg、1日当たり約0.05mg/kgから約100mg/kg、または1日当たり約0.1mg/kgから約50mg/kgであることができる。この範囲内で投与量は、1日当たり、約0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgであることができる。経口投与には、組成物は、治療される患者への投与量の症候性調節のため、好ましくは1.0から1000ミリグラムの活性材料、具体的には、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性材料を含む、タブレットの形態で提供される。組成物は1日あたり1回から4回のレジメンで投与されることができ、好ましくは1日あたり1回または2回である。
【0111】
しかしながら、いかなる特定の患者に対する特定の投与レベルならびに投与の回数は変えることができ、採用される特異的組成物の活性、組成物の代謝的安定性および活性の長さ、年齢、体重、通常の健康状態、性別、食事、投与の方法と時間、排せつの割合、薬剤の組合せ、特定の状態の重症度、および治療中のホストなどを含む様々な要因によって変わるということが理解されるだろう。
【0112】
以下の実施例は発明を説明することを目的とするが、それを限定するものではない。
【0113】
実施例1
方法
分子クローニング
プラスミドコンストラクションおよびDNAシークエンシングが標準の方法に従って実施された。SALL4アイソフォームのクローニングのため、PCRプライマーが、ゲノムクローンRP5−1112Fl9(配列番号:25)(GenBank登録番号AL034420)に基づき、指定された。SALL4アイソフォームは、ヒトの胎児の腎臓に由来するマラソン−レディcDNAライブラリ(BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA)を使用して、サプライヤープロトコルに従いクローン化された。増幅されたPCR産物はTAクローニングベクター(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)へクローン化され、ヌクレオチド配列はDNAシークエンシングにより決定された。GAL4−SALL4Bコンストラクトは、PCRにより、各端部で、制限酵素部位、BamHIを伴う5’プライマーおよび3’プライマーを使用し、生成された:
5’プライマー:

;および3’プライマー:


【0114】
GAL4−SALL4Bコンストラクトは、第1アミノ酸のメチオニンを除く、最小GAL4 DNA結合領域および完全長のSALL4Bの93アミノ酸をコードするものとされる。
【0115】
異なる組織における選択的スプライシングパターンの決定
逆転写(RT)−PCRが使用され、成人組織におけるSALL4のmRNA発現パターンを評価した。8つの正常化第1ストランドcDNA調合液のパネルは、異なる成人組織から由来し、BD Biosciences Clontechから購入された。PCR増幅が、5μlのcDNA、10mMトリスHCl(pH8.3)、50mMのKCl、2mMのMgCl、0.2mMのdNTPs、1.25UのTaqDNAポリメラーゼ(PerkinElmer Life Sciences、Boston、MA)を含む50−μl反応体積で実施された。94℃で10分間の初期変性の後、増幅が30サイクルで以下の条件の下実施された:94℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で30秒間の伸長。続いて最後のサイクルは、72℃での最終の7分間の伸長であった。
【0116】
グリセロアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAの増幅は鋳型濃度ローディングの対照に使用された。SALL4アイソフォームに対して特異的に選択されたプライマーのペアは以下である。
【0117】
1)SALL4Aプライマー(センスプライマー:

;アンチセンスプライマー:

)。
【0118】
2)SALL4Bプライマー(センスプライマー:

;アンチセンスプライマー:

)。
【0119】
PCR産物は電気泳動的に1%アガロースゲルで分離された。DNAシークエンシングはまた増幅産物を確認するために使用された。
【0120】
抗体生成
ヒトSALL4のペプチドMSRRKQAKPQHIN(配列番号:13)は、その潜在的抗原性(アミノ酸1〜13)に対して選ばれ、抗ペプチド抗体を生成するために使用された。本領域はマウスSALL4の領域とも同一であり、生成された抗体がマウスSALL4と交差反応することを可能にする。SALL4抗ペプチド抗体はウサギにおいて、Lampire Biological Laboratories Inc.(Pipersville、PA)との協力において作成された。
【0121】
ゲル電気泳動ならびにウエスタンブロット分析
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)が、ラエムリ法に従いSDS10%w/vポリアクリルアミドスラブゲルにおいて実施され、タンパク質はその後、ニトロセルロース膜へ移された。SALL4抗ペプチド抗体(1:100)を伴うウサギ免疫血清の免疫ブロット法は、説明されるように、電気化学発光検出システムで製造会社(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)によって実施された。
【0122】
白血病と正常組織
白血病サンプルと正常なサンプルは、パラフィンブロックまたはジメチルスルホキシド(DMSO)での凍結のいずれかで、テキサス州立大学MDのファイルから採取された。Anderson Cancer Center、Houston、TX、およびDana−Farber Cancer Institute、Boston、MA、1998から2004年の間、Institutional Review Boardプロトコル認可。すべての腫瘍の診断は、造血形新生物のFAB分類に従い、形態学的および免疫表現型的基準に基づく。CD34+新鮮細胞がCambrexから購入された。
【0123】
リアルタイム定量的RT−PCR法
TaqMan5’ヌクレアーゼ分析が(Applied Biosystems、Foster City、CA)これらの研究で使用された。正常骨髄および末梢血からの精製CD34+HSC/HPCからの全RNA、15AMLサンプル、および3つの白血病細胞系がRNeasy Mini Kitで単離され、DNase I(Qiagen)で消化された。RNA(1μg)が20μLでSuperscript II逆転写酵素およびポリ(dT)12〜18プライマー(Invitrogen)を使用して逆転写された。80μLの水および混合液を追加した後、5−μLのアリコートが各TaqMan反応に使用された。TaqManプライマーおよびプローブは、Primer Expressソフトウェアバーション1.5(Applied Biosystems)の使用するように設定されている。SALL4およびGAPDHのリアルタイムPCRがTaqMan PCR core reagent kit (Applied Biosystems)およびABI Prism7700Sequence Detection System(PE Applied Biosystems)で実行された。PCR反応混合液は3.5mMのMgCl;各0.2mMのデオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP);0.4mMのデオキシウリジン三リン酸(dUTP);0.5μMフォワードプライマー;0.5μMリバースプライマー;0.1μM TaqManプローブ;0.25UウラシルDNAグリコシラーゼ;および0.625U AmpliTaq Goldポリメラーゼを、1×TaqManPCR緩衝液に含んだ。cDNA(5μL)がPCR混合液に加えられ、PCR反応の最終体積は25μLであった。すべてのサンプルは二重で実行された。GAPDHは内因性対照として使用された。熱循環の状態は50℃で2分間、95℃で10分間であり、および95℃で0.30分間、そして60℃で1分間の45サイクルであった。データはSequence Detection Systemソフトウェアバージョン1.6.3(Applied Biosystems)を用いて分析された。結果はサイクル閾値(Ct)の値である。ソフトウェアは、基準蛍光信号に基づき閾値ラインを測定し、閾値に合うデータポイントはCt値として与えられる。Ct値は鋳型の複製の最初の数に反比例する。すべての測定はニ重して実施された。TaqMan配列は以下を含む。
【0124】
GAPDHフォワードプライマー:

およびリバースプライマー:

、TaqManプローブ:

、およびSALL4フォワードプライマー:

およびリバースプライマー:


【0125】
組織配列の設計および構成
白血病標本からの3部腫瘍核を含んだ組織配列を切断した(厚さ5μm)。手動組織配列器(Beecher Instruments、Silver Spring、MD)を使用して、組織配列を構成した。
【0126】
免疫組織化学
免疫組織化学的染色を標準技術によって実施した。手短に言えば、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した厚さ4μmの組織切片を脱パラフィン化して水和した。加熱誘導(heat−induced)エピトープをトリス緩衝液(pH9.9;Dako Corp.、Carpinteria、CA)および高速マイクロ波ヒストプロセッサで回収した。100度での10分間のインキュベーションの後、スライドを水道の流水で5分間、そしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.2)で5分間洗浄した。そして組織切片は、室温の加湿室内で5時間、抗SALL4抗体(1:200)によりインキュベートした。PBSによる3回の洗浄後、組織切片は室温で30分間、抗マウス免疫グロブリンGおよびペルオキシダーゼによりインキュベートした。
【0127】
PBSによる3回の洗浄後、組織切片は着色のために3,3’−ジアノベンジジン/H(Dako)によりインキュベートし、ヘマトキシリンを使用して切片を対比染色した。腫瘍性細胞は、明確な核染色を示した時にSALL4に対して陽性であると考えられた。
【0128】
トランスジェニックマウスの生成
コーディング領域全体に対応するSALL4B cDNAは、pCEP4ベクター(IntroGene;now Crucell、Leiden、The Netherlands)にサブクローン化し、遺伝子導入実験のためのCMV/SALL4Bコンストラクトを作成した。SALL4B cDNA内を切り取らないSalIによる後の消化は、CMVプロモーター、SALL4 cDNAコーディング領域、SV40イントロン、および追加ベクター配列のないポリアデニル化信号のみを含む線形断片を放出した。
【0129】
トランスジェニックマウスは、エール大学のトランスジェニックマウス施設で、前核注入を介して生成した。SALL4B初代(founder)マウスの識別および導入遺伝子の伝達はPCR分析によって判定した。遺伝子型に使用されるPCRプライマーは、CMVプロモーター(センスプライマー:

への5’SALL4B cDNAの注入に及び、アンチセンスプライマーは

)である。
【0130】
血液学的分析
自動差異を伴う全血球計算値は、Mascot Hemavet細胞カウンタ(CDC Technologies、Oxford、CT)により判定した。前駆細胞検定に対して、1.5×10骨髄細胞を、組み換えマウスインターロイキン−3(IL−3)(10ng/ml)、IL−6(10ng/ml)、幹細胞因子(SCF)(50ng/ml)、およびエリスロポエチン(3U/ml)(M3434、StemCell Technologies、Vancouver、British Columbia、Canada)で補充された二つ組の1.25mlメチルセルロース培養に載せた。コロニーは7から14日の間に記録した(CFU−G、CFU−GM、CFU−M、CFU−GEMM、およびBFU−E)。末梢血、骨髄塗抹標本、およびプールCFU細胞からのサイトスピンは、ライトギムザ染色で染色した。
【0131】
フローサイトメトリー分析
細胞は、Gr−1、Mac−1、B220、Ter119、c−kit、CD34、CD45、CD41、CD19、CD5、CD3、CD4、CD8、プロピジウムヨウ化物(PI)またはAnnexin V(BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA)に対して、直接共役抗体により染色した。1万個の散在ゲート赤血球は、FACScan上で獲得し、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences Clontech)で分析した。
【0132】
統計分析
通常の両側分布および不等分散を想定して、スチューデントt−検定を全ての統計分析に使用した。
【0133】
細胞培養
HEK−293細胞(ヒト胚腎臓由来)および細胞系KG.1、Kasumi−1、およびTHP−1は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)より購入した。細胞は、5%二酸化炭素および10%胎児血清を伴う加湿環境内で37℃に維持した。
【0134】
トランスフェクション
トランスフェクションは、メーカーの指示に従って、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)により実施した。細胞は、〜1×10細胞/ウェルまでの濃度で24ウェルプレートに載せた。細胞は、トランスフェクションの24時間後に収穫した。一時的トランスフェクション用のプラスミドDNAは、Qiagen Plasmid Midi Kit(Valencia、CA)で調製した。
【0135】
β−ガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼ検定
細胞は、トランスフェクションの24時間後に、100μlのルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega Corp.、Madison Wi)で抽出した。10μlの細胞抽出物により実施したβガラクトシダーゼ検定は、β−Galactosidase Enzyme Assay System(Promega)およびメーカー提供の標準検定プロトコル(炭酸ソーダの代わりに、停止緩衝液として1Mトリス基剤を使用したことを除く)を使用した。ルシフェラーゼ検定(Promega)に対しては、5μlの抽出物をメーカーの指示に従って使用した。バックグラウンドの減算後、ルシフェラーゼ活性(任意の単位)を、各サンプルに対してβ−ガラクトシダーゼ活性(任意の単位)に対して正常化した。
【0136】
プロモーターレポーター検定
一般的に、OCT4プロモーター(配列番号:26)を含む0.25〜0.3μgのOCT4−Lucコンストラクト(PMOct4)、またはSALLファミリータンパク質(つまり、SALL1、SALL3、SALL4A、またはSALL4B)プロモーター(つまり、それぞれ配列番号:27、配列番号:28、および配列番号:29であり、SALL4AおよびSALL4Bはプロモーターを共有する)を含むSALL−Lucコンストラクトは、0.1μgから0.12μgのレニラプラスミドおよび/または、HEK−293またはCOS−7細胞中でSALLファミリータンパク質またはOCT4タンパク質を発現する様々な量(0〜1.0μg)のプラスミドに同時導入される。典型的に、pcDNA3ベクターは対照として使用した。そしてトランスフェクト細胞は、トランスフェクション後の24時間のルシフェラーゼ活性について監視した。
【0137】
結果
ヒトSALL4の2つの選択的スプライシングアイソフォームの分子クローニング
SALL4の2つの全長転写物は、ヒト胎児腎臓Marathon−Ready cDNA(BD Biosciences Clontech)をテンプレートとして使用し、5’および3’RACE−PCR(5’および3’cDNA端ポリメラーゼ連鎖反応の高速増幅)によって単離した。
【0138】
単離されたより大きいcDNA断片の配列分析は、強いコンセンサスインターフェロン配列から始まり、1,053のアミノ酸をコードすることが予期された、SALL4Aと指定される単一の大型オープンリーディングフレームを明らかにした。SALL4Bに指定されるSALL4の他のスプライシング変異体は、全長SALL4Aのアミノ酸385〜820に対応する領域が欠けていた(図1a)。SALL4B cDNAによってコードされる推定タンパク質は、617のアミノ酸から成ることが予期された。
【0139】
これら2つの明白なスプライシング変異体が人工物に起因するかもしれないという可能性を除外するため、ヒトゲノムの対応配列を伴う両方の変異型mRNA配列を比較した。SALL4Aは全エクソン(1〜4)を含んだが(図1a)、SALL4Bはエクソン2の3’大部分が欠けていた。両方のエクソン−イントロンスプライス部位は、G−T−A−G規則を満たした。両方のスプライシング変異体には同じ翻訳リーディングフレームがあったが、SALL4B mRNAは内部欠損のあるタンパク質をコードした。SALL4Aは8つのジンクフィンガー領域を含んだ一方で、SALL4Bには3つのジンクフィンガー領域があった。
【0140】
ヒト組織におけるSALL4アイソフォームの発現パターン
SALL4の選択的スプライシングパターンは、種々のヒト組織における逆転写(RT)−PCRによって描かれた。遍在GAPDH遺伝子cDNAの断片は、対照として増幅した(図1b)。より長いスプライス変異体を表す315−bp断片であるSALL4Aは、一部組織中で増幅し、様々な発現レベルを達成した。SALL4B変異体は、発現の様々なレベルにおいてあらゆる組織中に存在した。造血組織におけるSALL4発現についての詳細な研究は、次の結果で説明される。
【0141】
SALL4抗体の生成ならびにSALL4タンパク質産物の識別
SALL4遺伝子産物を識別し、SALL4変異体の存在を確認するため、SALL4の合成ペプチド(アミノ酸1〜13)に対するポリクローナル抗体を開発した。両方のSALL4変異体に共通であるため、本領域を選んだ。アフィニティ精製したSALL4ペプチド抗体は、ヒト腎臓全溶解液中の2つの内因性タンパク質を特異的に認識した。2つのタンパク質は約165kDaと95kDaであり、それぞれCos−7細胞において過剰発現されたSALL4AおよびSALL4Bの分子量と同一であった(図1c)。本抗体によるウエスタンブロット法は、SALL4アイソフォームにはmRNAレベルで認められるものと同様であった異なる組織分布があったことを確認した(図1b−B)。
【0142】
ヒト原発性AMLおよび骨髄性白血病細胞株におけるSALL4の非遮断
SALL4が位置する染色体領域20q13は、腫瘍に頻繁に関与するため、AMLにおけるSALL4のmRNA発現を調べた。SALL4の発現は、AMLサンプル由来の骨髄細胞(N=15)、骨髄性白血病細胞株(N=3)においてリアルタイムRT−PCRによって定量的に調査し、精製CD34+幹細胞/前駆細胞プール(Cambrexより購入したHSC/HPC)からの非腫瘍性造血性細胞、正常骨髄(N=3)、および正常末梢血(N=3)と比較した。アイソフォーム特異的プライマー(図2a参照)を使用すると、SALL4Bおよび/またはSALL4Aのいずれかまたは両方は、AMLサンプルまたは骨髄性白血病細胞株中で遮断(SALL4B)または下方制御(SALL4A)されなかった。データは、GAPDHの内因性発現に対して正常化し、精製CD34+細胞中のSALL4AまたはSALL4B発現のレベルに対して調整した。正常骨髄におけるSALL4B完全欠損とは対照的に、原発性AMLにおけるその発現は、15のAMLサンプル中13で、かつ3つ全ての骨髄性白血病細胞株で遮断されなかった。原発性AMLサンプルにおけるSALL4Aの中央正常化レベルは正常骨髄よりも40倍高かった。骨髄性白血病細胞株KG.1、Kasumi−1およびTHP−1におけるSALL4A発現は、正常骨髄よりもそれぞれ、8倍、25倍、および240倍高かった。興味深いことに、SALL4AおよびSALL4B発現レベルは両方とも、正常骨髄と比べて、AMLサンプルの60%および3つ全ての細胞株において増加した。AMLサンプルの残りの40%では、SALL4AまたはSALL4Bのいずれかが下方制御しなかった。
【0143】
ヒト原発性AMLにおけるSALL4タンパク質の構成的発現
認められた異常SALL4発現がタンパク質レベルでも存在するかどうかを調査するため、AMLクラスM1からM5(FAB分類)に及ぶ81のAMLサンプルを調べた:Ml(N=20)、M2(N=27)、M3(N=8)、M4(N=16)、M5(N=3)、およびAML非特定(N=7)で、正常骨髄、胸腺および脾臓の一部のサンプル、ならびに正常CD34+HSC/HPCであった。
【0144】
正常骨髄、脾臓および胸腺は、検出可能なSALL4タンパク質発現を示さず、正常CD34+HSC/HPCは、陽性であるがより弱いSALL4タンパク質染色を呈したが、より強いSALL4発現が白血病細胞の核において検出された(図2b−F)。全81AMLサンプルは異常SALL4発現を示し、最も強い染色はAML−M1および−M2で見られた。これらの所見は、リアルタイムRT−PCRによって実証されたSALL4のmRNA発現レベルと一致した(図2a)。データは、SALL4がCD34+HSC/HPCにおいて存在し、成熟顆粒球およびリンパ球において下方制御されたことを示唆した。結果として、白血病におけるSALL4の構成的発現は、白血病性芽球が通常HSCで見られる特性を鑑別および/または獲得することを防いだのかもしれない。
【0145】
全長ヒトSALL4Bを構成的に発現するトランスジェニックマウスの生成
SALL4の構成的発現がAMLを誘発するのに十分であるかを直接的に試験するため、SALL4トランスジェニックマウスモデルを生成した。CMVプロモーターはヒトSALL4Bの617のアミノ酸をコードするcDNAに融合し(図3a−A)それは以前に調べたあらゆる組織中で発現されたため選ばれた(図1b−B)。CMVプロモーターは、ほとんどのネズミ臓器においてヒト遺伝子を異所的に発現させるために以前に使用した。RT−PCR増幅を行い、トランスジェニックマウスにおける野生型(WT)全長SALL4Bの過剰発現を調べた。
【0146】
SALL4B転写物は、脳、腎臓、肝臓、脾臓、末梢血、リンパ節、および骨髄を含む、トランスジェニックマウスからの種々の組織において検出された(図3a−B)。生後3週間の異常歩行および関連水頭症が、複数系統からのトランスジェニックマウスの20%において認められ、60%に多嚢胞腎臓を認めた。これらの所見は、SALL4Bが神経および腎臓発生において重要な役割を果たすことを示唆する。
【0147】
SALL4BトランスジェニックマウスにおけるMDS様症状およびAML
6つ全ての系統からの14匹のトランスジェニックマウスのコホートにおける血液学的異常の監視は、6〜8月齢で全マウスに明白なMDS様特徴があったことを明らかにした。過分葉好中球および偽ペルゲル・フェット様細胞を含む、増加した数の未熟芽球および多くの異型および異形成白血球が、末梢血塗抹標本上で見られた(図3b)。有核赤血球および巨大血小板、ならびに二核赤血球前駆細胞および低分葉巨核球などの赤血球および巨核球異形成の特徴も存在した。
【0148】
これら14匹のマウスのうち6匹(43%)が最終的に急性白血病に達した(表1)。
【0149】
(表1)SALL4BトランスジェニックマウスにおけるMDS様/AMLの概要

【0150】
肺、腎臓、肝臓、脾臓、およびリンパ節を含む、多くの臓器の白血病の浸潤は、疾患の悪性度を強調した(図3c)。白血病芽細胞は、CD34、c−kit、Gr−1、Mac−1、MPO、および非特異的エステラーゼが陽性であったため、元来は骨髄性と考えられ、B細胞(B220およびCD19)、T細胞(CD4、CD8、CD3、およびCD5)、巨核球(CD41)、および赤血球(Ter119)マーカーで陰性であった(図3d)。
【0151】
SALL4B誘発性AMLは移植可能であった
発症が約6週間である侵攻性致命的AMLは、皮下注射によるSALL4B誘発性AML細胞の連続移植後に、免疫不全NOD/SCIDマウスに発生させた。移植疾患は、多臓器への播種によって特徴付けられ、顕著な脾腫および肝腫脹を伴った(図3e)。
【0152】
SALL4Bトランスジェニックマウスにおける無効造血および過剰アポトーシス
若年SALL4Bトランスジェニックマウス(2〜6月齢)における血液学的異常の調査は、それらの末梢血が最低限の骨髄異形成特徴だが、統計学的有意な白血球減少および好中球減少、ならびに軽度の貧血を示したことを明らかにした(表2)。
【0153】
(表2)SALL4Bトランスジェニックマウスおよび野生型対照からのCBC

【0154】
これらのトランスジェニックマウスにおける血球減少の原因が産出の問題に関連したかどうかを判定するため、それらの骨髄を検討した。骨髄サンプルは、WT対照と比較して、細胞充実度の増加および骨髄性細胞集団の増加を示した(図3f)(SALL4BトランスジェニックマウスにおけるGr−1/Mac−1二重陽性集団:67±16%、N=10に対して、WT:55.3±4%、N=11;P=0.048)。
【0155】
過剰アポトーシスがヒトMDSにおける無効造血で中心的役割を果たすため、インビボおよびインビトロのSALL4トランスジェニックマウスにおけるアポトーシスを次に調べた。アポトーシスの増加が、一次骨髄(トランスジェニックマウスにおけるAnnexin V陽性、PI陰性集団:4.4±2.4%、N=10に対して、WT:1.86±1.55%、N=7;P=0.03)および7日CFU(トランスジェニックマウスにおけるAnnexin V陽性、PI陰性集団:20.1±6%、N=10に対して、WT:10.9±4%、N=7;P=0.002)上の両方でSALL4Bトランスジェニックマウスにおいて認められた(図3fおよびg)。これらの所見は、骨髄中の脊髄性細胞集団の増加にもかかわらず、これらのトランスジェニックマウスには、その骨髄中の進行中の無効骨髄造血に続発する、末梢血中の統計学的有意な低い好中球数があるという事実を説明することができる。未熟細胞の集団の増加も、一次骨髄(SALL4Bトランスジェニックマウスにおけるc−kit陽性集団:10.2±1.3%、N=14に対して、WT:6.5±2.5%、N=10;P=0.008)(図3f)および7日CFU(SALL4BトランスジェニックマウスにおけるCD34陽性集団:11±2.2%、N=8に対して、WT:6.3±2.4%、N=7;P=0.002)上の両方でSALL4Bトランスジェニックマウスにおいて注目された(図3g)。同様数の総コロニーがSALL4Bトランスジェニックマウス(平均=51、N=10)およびWT対照(平均=40、N=6)において認められた。しかし、ヒトMDS患者およびその他のMDSマウスモデルで報告されているように、増加した脊髄性細胞および減少した赤血球コロニー集団(図3h)が、WT対照と比較してSALL4BトランスジェニックマウスCFUにおいて見られた。これらの結果は、SALL4Bトランスジェニックマウスにおける欠陥は、造血分化に影響する幹細胞/前駆細胞レベルにあることを示唆する。
【0156】
インビトロでのβ−カテニンへのSALL4AおよびSALL4Bの結合
SALL4が白血病誘発において影響を及ぼす場合のある潜在的シグナル伝達経路を次に探索した。ショウジョウバエにおいて、spalt(sal)は、Wntシグナル伝達の下流ターゲットである。SALL遺伝子ファミリーのもう1つのメンバーであるALL1は、β−カテニンと相互作用することが可能である。本相互作用に対する高親和性部位は、C末端二重ジンクフィンガー領域に位置する。SALL1の本領域は、SALL4のもとのほぼまさに同一であることが分かった。本所見は、SALL4もβ−12カテニンに結合できたかどうかの調査を促進した。血球凝集素(HA)に付いたSALL4AおよびSALL4Bの発現コンストラクトが生成された。図4aに示されるように、内因性β−カテニンは、HA単独ではなく、HA−SALL4AおよびHA−SALL4Bによってプルダウンされた。
【0157】
SALL4AおよびSALL4B両方によるWnt/β−カテニンシグナル伝達経路の活性化
β−カテニンとのSALL4アイソフォームの相互作用の機能的効果を調査するため、例示的なWntシグナル伝達経路を活性化するSALL4AおよびSALL4Bの潜在能力を判定するためのWnt応答要素の複数の複写を含むルシフェラーゼレポーター(TOPflash;Upstate USA)を使用した。本レポーターコンストラクトは、種々の細胞系においてWnt1によって能率的に刺激されることが示されている。TOPflashレポータープラスミドは、WntおよびそのWnt/β−カテニンシグナル経路の両方が存在したHEK−293細胞系に一過性に遺伝子導入した。TOPflashレポータープラスミドは、SALL4AまたはSALL4Bにも同時導入した。SALL4AおよびSALL4Bの両方によるWnt/β−カテニンシグナル伝達経路の有意な活性化は、ルシフェラーゼ活性の増加によって示された(図4b)。
【0158】
CMLの異なる段階におけるβ−カテニンおよびSALL4の同様な発現パターン
調節不全なWnt/β−カテニンシグナル伝達は、LSCの発生に関与することが知られている。β−カテニンのLSC自己複製への関与の最もよい証拠は、CML芽球化現象の研究によってもたらされる。Wntシグナル伝達は慢性期ではなく、CMLの芽球期に活性化され、その時にβ−カテニンの活性化などの調節不全なWntシグナル伝達は、CMLのGMPにで自己複製の特性を与えて芽球化転換に繋がった可能性があるという結論が下されたことが実証されている。
【0159】
SALL4とβ−カテニンとの間の潜在的な相互作用、およびショウジョウバエにおけるWntシグナル伝達の下流ターゲットとしてのspaltの位置を所与として、異なる段階でのCMLにおけるSALL4タンパク質発現を調べた。SALL4発現は、芽球期CMLに存在したが(N=12,75%)、慢性期には存在しなかった(N=11,100%)(図4c)。芽球が増加する加速期(N=6,10%)では、SALL4を発現する未熟芽球が、好中球などの非染色性成熟骨髄性細胞のバックグラウンド上に認められた。
【0160】
OCT4プロモーターに対するSALL4の効果
OCT4に対するSALL4の効果を識別するため、細胞、OCT4−Lucコンストラクトをレニラプラスミドおよび増加する濃度のSALL4Bに同時導入した(図5)。図が示すように、増加するSALL4Bは、OCT4プロモーター活性を8倍以上増加させた。
【0161】
OCT4がSALL遺伝子メンバープロモーターの活性を刺激するかどうかを判定するため、プロモーターコンストラクト(pSALL1、pSALL3、およびpSALL4)をHEK−293細胞中のOCT4に同時導入した。データ(図6)に図示されるように、24時間のトランスフェクション後の後に、OCT4の過剰発現は、pcDNA3ベクター対照と比較すると、SALL遺伝子メンバーSALL1、SALL3、およびSALL4のプロモーター活性を際立って刺激した。また、この活性化は少量の過剰SALL4の存在により完全に阻止された(図10)。
【0162】
SALLファミリーメンバータンパク質によるSALLプロモーターの自己調整があったかどうかを判定するため、SALL4−Lucはレニラレポーターに同時導入し、SALL4AまたはSALL4B発現プラスミドのいずれかがHEK−293およびCOS−7細胞である(図7)。図に示されるように、SALL4(AおよびBアイソフォームの両方)は、異なる細胞系においてそれ自身のプロモーター活性を抑制する。さらに、本自己抑制は用量依存性である(図8参照)。SALL4プロモーターとのSALL4の比率が6:1に達した時、プロモーター活性は、基礎レベルと比較して約3.5倍低下した。本データは、SALL4が自己抑制機能を持つことを示す。このことは全てのSALLメンバーに該当するわけではなく、例えば、SALL1はそのプロモーターの自己抑制を明示しない(図12)。
【0163】
データは、SALL1およびSALL3プロモーターが外から加えられたSALL4によって際立って活性されたことも示し(図9参照)、SALL4が胚幹細胞機能を伴うSALL遺伝子ファミリーの他のメンバーを調整することができることを示す。
【0164】
SALL4プロモーターに対するOCT4の刺激はSALL4によって完全に阻止することが可能であるため(図10)、SALL4を調べて、その他のSALLメンバープロモーターに対するOCT4の活性化を抑えるかどうかを判定した。図11に示されるように、SALL4は、その他のSALLメンバープロモーターのOCT4活性化も阻止した。
【0165】
成体幹細胞および胚性癌腫におけるSALL4
幹細胞とその分化子孫との間で区別することが可能であるマーカーの欠如のため、組織幹細胞集団の特徴は困難なままである。多くの組織にとって、分子マーカーの一団は、幹細胞コンパートメントを画定するように開発されている。
【0166】
本データは、SALL4が多分化能および自己複製における胚幹細胞の主要調節因子であることを示す。例えば、胚性癌腫は、初期胚幹細胞の表現型を示し、潜在的多能性を持つ。したがって、免疫組織化学による、この種類の腫瘍におけるSALL4タンパク質の発現を調べた。免疫組織化学データは、胚性癌腫の全腫瘍細胞が核染色を示したが、全ての非腫瘍細胞が陰性だったことを決定的に示した。これらの結果は、SALL4は、正常および悪性胚生殖細胞および胚幹細胞に対する特異的マーカーとして使用することが可能であることを示唆する。
【0167】
SALL4がきわめて初期の胚幹細胞において発現され、胚性癌腫がこれらの細胞の変換より生じることが報告されていることを考えると、免疫組織化学は、a)正常乳腺小葉中のSALL4陽性細胞が上皮の2%未満を占め、b)乳癌サンプルにおいて、細胞の集団または散在性細胞におけるSALL4タンパク質発現が認められたことも示す。さらに、SALL4タンパク質は、正常乳房上皮細胞および乳癌細胞の核において発現された。また、この多能性の遺伝子発現は、前立腺および肺などのその他の正常成人組織、およびSALL4抗体を伴うこれらの組織から生じる癌腫において認められた。気管支上皮および前立腺房、およびそれらの間質細胞における少数のSALL4発現細胞の存在、ならびにSALL4が胸の小葉性上皮細胞と同様の頻度で、正常前立腺および肺において発現したという所見が認められた。また、前立腺癌における散在性腫瘍細胞は、SALL4抗体による免疫組織化学研究によってSALL4タンパク質を発現した。
【0168】
結論として、本実施例は、(1)抗SALL4抗体による免疫染色は、胚性癌腫の識別において有用な診断ツールである、(2)SALL4の発現は、一部のヒト幹細胞および癌細胞において見られる、(3)ヒト組織中のSALL4発現細胞の識別は、幹細胞、その前癌状態クローン、および悪性T細胞を識別するために使用することが可能である、(4)SALL4は、胚幹細胞、成体幹細胞および癌幹細胞に対する理想的なマーカーを代表する、ということを解明する。
【0169】
参考文献



【0170】
本発明は上記の実施例を参照して説明したが、本発明の精神および範囲内に変更および変化が包含されることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1(a〜c)は、3つのSALL4アイソフォーム(SALL4A、配列番号:l[GenBank登録番号:AYl72738]、SALL4B、配列番号:3[GenBank登録番号:AY170621]、およびSALL4C、配列番号:5[GenBank登録番号:AY170622])の領域を示す。選択的スプライシングはSALL4mRNAの2つの異形を生成する。図1(a)SALL4AおよびSALL4Bはタンパク質の長さおよび特性sal様ジンクフィンガー領域の異なる数の存在において異なる。SALL4A(1,067アミノ酸をコード)は、8つのジンクフィンガー領域を含み、一方SALL4B(623アミノ酸をコード)は、3つのジンクフィンガー領域を有する。SALL4Cは276アミノ酸を含み、アミノ酸43から820の完全長SALL4Aに一致する領域を欠く。両方の変異体は1、3、および4のエクソンを有し、SALL4Aは1から4のすべてのエクソンを含む。しかしながら、SALL4Bは、エクソン2の大きな3’の部分の欠失に繋がる選択的スプライス受容部を使用する。図1(b)は、異なる組織におけるSALL4の変異のRT−PCR分析を示す。SALL4の4つのエクソンとそれらの潜在性コーディング構造が、SALL4転写物(A)のPCR増幅に使用されるプライマーを示す矢印で示さる。RT−PCR(B)によるSALL4転写物の組織依存的な発現。プライマーA1(エクソン2)およびB1(エクソン4)を伴う、SALL4Aに対して特異的な315−bp期待産物はcDNAの様々な組織で増幅される。プライマーD1(エクソン4)およびC1(エクソン1)は、SALL4Bの1,851−bp期待産物を増幅するために使用された。同等の量のcDNAがGAPDHによって測定された。図1(c)は、SALL4ペプチド抗体によって識別されたSALL4タンパク質産物、SALL4A、およびSALL4Bを示す。His−SALL4B(レーン1)、His−SALL4A(レーン2)、または対照ベクター(レーン8)を一時的に発現するCos−7細胞からの溶解液、または異なるヒト組織からの溶解液は10%SDS−PAGEゲルで分解され、ニトロセルロース膜へ移され、N末端SALL4ペプチド抗体で検査された。
【図2】図2(a〜b)は、ヒト原発性AMLおよび骨髄性白血病細胞株におけるSALL4の発現を示す。図2(a)は、SALL4がAMLにおいて遮断されないことを実証する。GAPDHに正規化されたSALL4AおよびSALL4BのリアルタイムPCR定量化は、SALL4AとSALL4Bの両方が精製CD34+細胞において発現されたが、SALL4Aは急速に下方制御され、SALL4Bは正常な骨髄(N=3)細胞および正常な末梢血(N=3)細胞で遮断されたことを示した。その一方、15の原発性AMLサンプルおよび3つの骨髄性白血病細胞株(Kasumi−1、THP−1、およびKG.1)において、SALL4AまたはSALL4B、あるいはその両方の発現は、下方制御されることが出来なかった。その結果は、精製CD34+細胞におけるSALL4AまたはSALL4Bの発現に対し調整された。図2(b)は、免疫組織化学的染色によって示されるように、ヒトAML(FAB M1−M5、N=81)におけるSALL4タンパク質の構成的発現を示す。正常骨髄(A)、正常脾臓(B)、または正常胸腺(C)においてSALL4発現は検出されなかった。すべての細胞核が青く染色された。CD34+HSC/HPCの核はSALL4発現(D)を示す茶色い染色を示し、急性骨髄性白血病芽球はマイクロアレイ白血病組織サンプルと同様の染色(E、低力[×4])を示した。それぞれの丸は1つの白血病サンプルを表す。(F)1つの白血病サンプルの高倍率(×100)の図がパートFに示される。赤い矢印は陽性の核染色を示す。
【図3】図3(a〜h)は、SALL4BトランスジェニックマウスがMDSのような/AML表現型を有することを示す。図3(a)は、SALL4Bトランスジェニックマウスの生成を表し、CMV/SALL4Bトランスジェニックコンストラクトおよびトランスジェニック系統のPCR分析507を表す。(A)トランスジェニックコンストラクトの系統図。約1.8−kbのSALL4BのcDNAがpCEP4ベクターへサブクローン化され、CMV/SALL4コンストラクトはSalIでの消化によって励起された。(B)トランスジェニックマウスにおけるSALL4Bの組織分布。RT−PCR増幅に使用されるプライマーの位置は、パートAの矢印によって示される。C末端でヒトSALL4Bに対して特異的なプライマーは5’プライマーとして使用され、様々な組織のRT−PCRのためのSV40−非コード配列特異的プライマーと組み合わされる。図3(b)は、SALL4BトランスジェニックマウスにおけるMDSのような変化を実証する。正常で、年齢の一致する同じWT同腹子からの末梢血のギムザ染色は、好中球正常(A)、および正常赤血球と血小板(B、黒矢印)を示した。トランスジェニックマウスにおいて、好中球は過分葉であり(E)、偽ペルゲルフェット様異常白細胞が表れ、(F−H)、未熟細胞(I−K)の数の増加を伴う。有核赤細胞(L、赤矢印)、巨大血小板(M、赤矢印)、および多染性(N)もトランスジェニックマウスにおいて認められる。二核異形成赤血球(O、赤矢印)および次小葉中核を伴う異形成巨核球(P、赤矢印)がトランスジェニックマウス骨髄からのサイトスピンで発見された。WT対照動物からの赤血球前駆細胞(C)および巨核球(D)が比較のために示される。図3(c)は、AMLがSALL4Bトランスジェニックマウスで見られることを示す。芽球は末梢血(A、×600)、骨髄生検標本(B、×100;C、×400)、骨髄標本(D、×600)、肝臓(E、×100)、リンパ節(F、×400)、および脾臓(GとH、総体図;I、×100;差し込み図×400)で見られた。図3(d)は、SALL4BトランスジェニックマウスにおけるAMLのフローサイメトリ分析を示す。AML細胞はCD45、c−kit、Gr−1、およびMac−1に対して陽性であり、B220、CD3、およびTer119に対して陰性であった。図3(e)は、NOD/SCIDマウスへのSALL4B導入AMLの連続移植を実証する。白血病移植の6週間後のNOD/SCIDマウスにおいて白血病浸潤により引き起こされる、脾腫(3e−A黒矢印、3e−C)、肝腫大(3e−A二重黒矢印、3e−D)、リンパ節増大(3e−B黒矢印、3e−E)および弱い腎臓(3e−B二重黒矢印、3e−F)に関する総体図(A&B)および組織学(B、C、D、E、×200)。図3(f)は、SALL4Bトランスジェニックマウスと対照マウスの骨髄の比較を示す。SALL4Bトランスジェニックマウスの骨髄は、対照WTマウスに比べ、増加した細胞質、骨髄集団(Gr−1/Mac−1二重陽性)、未熟集団(c−kit陽性)、およびアポトーシス(アネキシンV陽性、PI陰性)を示した。図3(g)は、SALL4BトランスジェニックマウスからのCFUにおいて未熟細胞およびアポトーシスの増加があることを示す。培養の7日目に、対照CFUにおいてよりも、より多くの数の未熟細胞(B、C、およびD、赤矢印)とアポトーシスを起こした細胞(B、C、およびD、二重赤矢印)がトランスジェニックマウスCFUにおいて、認められた(A)。形態学的観察に一致し、アポトーシス(アネキシンV陽性、PI陰性、E)およびより多くのCD34+未熟細胞の増加があった(F)。図3(h)は、SALL4Bトランスジェニックマウスと対照マウスの骨髄CFUの比較を示す。SALL4Bトランスジェニックマウスと対照マウスのCFU分析において発見された異なる種類のコロニーの割合(A)。SALL4BトランスジェニックマウスからのCFUは、対照マウスに比べ、統計的に、CFU−GMでの顕著な増大(B)(トランスジェニック:53.6±10.3、N=13vs.WT:38.1±3.1、N=8;P=0.002)を示し、BFU−Eでの減少(トランスジェニック:7.8±3.8、N=13vs.WT:14.1±2.7、N=8;P=0.001)を示した。
【図4】図4(a〜d)は、SALL4とWnt/βカテニンシグナル伝達経路の相互作用を実証する。図4(a)は、SALL4AとSALL4Bの両方がβカテニンと相互作用することを示す。Cos−7細胞から作られた核抽出物(溶解液)は、一時的にHA−SALL4AまたはHA−SALL4Bでトランスフェクトされた。(A)抗HA抗体SALL4A(165kDa)とSALL4B(95kDa)の両方を認識した。(B)βカテニンは溶解液で検出された。(C)免疫沈降がHA親和性樹脂を使用して実施され、抗βカテニン抗体で検出された。βカテニンはすぐにHA−SALL4AとHA−SALL4Bプルダウンの両方で検出された。図4(b)は、SALL4AとSALL4Bの両方によるWnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性を示す。NIH3T3細胞は1.0μgのSALL4AプラスミドまたはSALL4Bプラスミドのいずれか、およびトップフラッシュレポータープラスミドでトランスフェクトされた(Upstate USA、Chicago、IL)。Wnt1またはmockでの24時間の刺激後、ルシフェラーゼ活性が測定された。図4(c)は、免疫組織化学的染色によって実証されるように芽球期(N=12)でSALL4タンパク質発現が存在するが、CMLの慢性期(N=11)では存在しないことを実証する。(A)は、異なる段階でのCML採取の組織配列の低倍率図を示す。SALL4発現は、すべての細胞の核は青いままで(B、×4;D、×400)、慢性期CML(B)において見られなかった。SALL4発現は、しかしながら、SALL4の茶色い核染色(C、×4;E、×400)で示されるように、急性転化期CMLで現れた。芽球数は増加するがまだ15%未満である、CML加速期(N=6)において、未熟芽球のみが認められ、SALL4発現に対し陽性に染色し(F、赤矢印)、成熟好中球は染色しなかった(F、黒矢印、×600)。図4(d)は、作業仮説を示す。SALL4はヒト幹細胞/前駆細胞に発現するが、正常な造血中、成熟造血性細胞においては発現しない。SALL4アイソフォームの構成的発現(SALL4の非遮断)は、幹細胞プールの異常拡大で、白血病性形質転換(+、SALL4発現有り;−、SALL4発現無し)を引き起こす、分化の阻害および構成的再生をもたらす。
【図5】図5は、SALL4BのOCT4プロモーターへの用量依存効果を示す。0.3μgのOCT4−Lucコンストラクト(PMOct4)を、0.1μgのレニラプラスミドと同時導入し、SALL4BまたはpcDNA3ベクター対照の量を増加した(0〜1.0μg)。
【図6】図6はOCT4のSALL遺伝子ファミリーメンバープロモーターへの効果を実証する。各(0.3μg)SALL−Lucプロモーターコンストラクト(すなわち、pSALL1、pSALL3、およびpSALL4)は、0.9μgのOCT4またはpcDNA3ベクター対照を、HEK−293細胞において同時導入された。24時間のトランスフェクション後、ルシフェラーゼ活性を各群で評価した。
【図7】図7はSALL4アイソフォームAおよびBのSALL4プロモーター活性への効果を示す。0.3μgのSALL4−Lucが、0.1μgの異なるT細胞系統においてプラスミドを発現する(HEK−293またはCOS−7)SALL4AまたはSALL4Bと同時導入され、pcDNA3ベクターは対照として使用された。ルシフェラーゼ活性は、レニラレポーター活性に対して正常化された。その値は、3つの実験の±s.e.平均値を表す。
【図8】図8はSALL4プロモーター活性へのSALL4Aの用量依存効果を実証する。HEK−293細胞において、0.3μgのSALL4−Lucを、0.1μgのレニラプラスミドと同時導入し、SALL4Aコンストラクトおよび対照pcDNA3ベクターの割合を増加した。ルシフェラーゼ活性は、レニラレポーター活性に対して正常化された。
【図9】図9は、SALL4のSALL1およびSALL3プロモーター活性への効果を示す。各(0.3μg)SALL−Lucプロモーターコンストラクトは、HEK−293細胞に、一過的に0.9μgのSALL4AプラスミドまたはpcDNA3ベクター(対照)と同時導入された。
【図10】図10は、過剰SALL4Aの存在下の、OCT4のSALL4プロモーターへの効果を示す。0.25μgのSALL4−Lucコンストラクト(pSALL4)を、HEK−293細胞に、一時的に同量(0.5μg)のSALL4AおよびOCT4プラスミドと同時導入した。pcDNA3は対照として使用された。
【図11】図11は、SALL4の存在下での他のSALLメンバープロモーターに対するOCT4の効果を示す。24ウェルプレートに播種されたHEK−293細胞を、一過性に異なるSALLメンバーレポーター(pSALL1またはpSALL3)ならびにOCT4プラスミドおよび/またはSALL4Aコンストラクトと同時導入した。pcDNA3は対照として使用された。
【図12】図12は、その他のSALLタンパク質ファミリーメンバーについてのプロモーター活性に対する自己プロモーター相互作用の効果を示す。HEK−293細胞を24ウェルプレートに播種し、これまでにSALL1プロモーターを活性化させることが認められた、様々な量のSALL1プラスミド(0.45および0.9μg)SIX1を伴う、0.3μgのSALL1−Lucレポーターコンストラクトを、一時的に導入または同時導入し、陽性対照として使用した。ルシフェラーゼ活性は、レニラレポーター活性に対して正常化された。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図3F】

【図3G】

【図3H】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:13に示されるアミノ酸配列から本質的に成るポリペプチドに結合する抗体または抗体フラグメント。
【請求項2】
請求項1記載の抗体の治療的有効量を被検体に投与する段階を含む、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を治療する方法。
【請求項3】
前記MDSが急性骨髄性白血病(AML)である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、配列番号:5の相補体、およびそれらのフラグメントからなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む組成物を被検体に投与する段階を含む、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を治療する方法であって、前記フラグメントが、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む、方法。
【請求項5】
前記MDSが急性骨髄性白血病(AML)である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群より選択されるポリペプチドを含む組成物を被検体に投与する段階を含む、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を治療する方法。
【請求項7】
前記MDSが急性骨髄性白血病(AML)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
(a)被検体からの生体サンプルを提供する段階と、
(b)前記生体サンプルをハイブリダイゼーション条件下で、配列番号:1に示される配列、配列番号:3に示される配列、配列番号:5に示される配列、配列番号:1の相補体、配列番号:3の相補体、または配列番号:5の相補体を有するポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続したヌクレオチドのフラグメントを含むプローブに接触させる段階と、
(c)前記プローブと前記生体サンプルとの間のハイブリダイゼーションを検出する段階とを含む、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を診断する方法であって、
ハイブリダイゼーションの検出がMDSと相関する、方法。
【請求項9】
前記MDSが急性骨髄性白血病(AML)である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
(a)被検体からの生体サンプルを提供する段階と、
(b)生体サンプルを、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体に接触させる段階と、
(c)前記サンプルへの前記抗体の前記結合を検出する段階とを含む、被検体における骨髄異形成症候群(MDS)を診断する方法であって、
結合の検出がMDSに相関する、方法。
【請求項11】
前記MDSが急性骨髄性白血病(AML)である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
被検体からの細胞のサンプルを採取する段階と、
配列番号:13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細胞を、前記アミノ酸配列を発現しない細胞から選別する段階と、
配列番号:13に示される前記アミノ酸配列を含む前記ポリペプチドを発現する細胞の前記サンプルから、骨髄表面マーカーによって白血病幹細胞を選択する段階とを含む、白血病幹細胞を単離するための方法。
【請求項13】
前記選別する段階が、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって選別する段階を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記選別する段階が、磁性粒子選別(MACS)によって選別する段階を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記マーカーがCD34、c−kit、Gr−1、Mac−1、MPO、および/または非特異的エステラーゼである、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記白血病幹細胞が、B細胞、T細胞、巨核球、および赤血球マーカーに対して陰性である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ヒトSALL4遺伝子を含む遺伝子導入動物であって、前記動物が、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子の配列を発現するように改変される、遺伝子導入動物。
【請求項18】
前記動物が、前記挿入されたSALL4遺伝子を構成的に発現する、請求項17記載の遺伝子導入動物。
【請求項19】
前記SALL4遺伝子が、配列番号:4に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチドを含む、請求項18記載の遺伝子導入動物。
【請求項20】
a)配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子のコンストラクトを含む核酸分子を胚細胞に導入する段階と、
b)段階a)から生じる前記細胞から遺伝子導入動物を作製する段階と、
c)前記遺伝子導入動物を繁殖させて前記ヒトSALL4遺伝子のための遺伝子導入動物同型接合体を得る段階と、
d)前記遺伝子導入動物由来の組織からヒトSALL4転写物を検出する段階とを含む、ヒトSALL4遺伝子を含む遺伝子導入動物を作成する方法であって、
前記動物が、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトSALL4遺伝子の配列を構成的に発現するように改変される、方法。
【請求項21】
前記ヒトSALL4遺伝子のコンストラクトが、配列番号:4に示されるアミノ酸をコードするヌクレオチドを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
a)内細胞塊(ICM)、腫瘍性組織、または腫瘍から単離された細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤に接触させる段階と、
b)SALLファミリーメンバータンパク質が段階(a)の細胞で発現されるかどうかを判断する段階とを含む、潜在的多能性を有する細胞を識別する方法であって、
前記SALLファミリーメンバータンパク質の前記発現を判断する段階が、前記細胞における自己複製の誘発に正に相関し、それによって、そのような発現が多分化能を示す、方法。
【請求項23】
前記SALLファミリーメンバーが、SALL1、SALL3、およびSALL4からなる群より選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記SALLファミリーメンバーがSALL4である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
SALL4がSALL4AまたはSALL4Bである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤が、前記SALLファミリーメンバータンパク質に対するまたは前記SALLファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAに相補的な核酸に対する抗体である、請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記核酸が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:22、および配列番号:24からなる群より選択されるSALLファミリーメンバータンパク質配列をコードする核酸に相補的である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記核酸が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5;配列番号:21、および配列番号:23からなる群より選択される核酸配列のセンス鎖に相補的である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記細胞が、胚性幹(ES)細胞、胚性癌腫(EC)細胞、成体幹細胞、または癌幹細胞である、請求項22記載の方法。
【請求項30】
前記組織が、被検体からの血漿サンプルまたは生検サンプルである、請求項22記載の方法。
【請求項31】
前記被検体が哺乳動物である、請求項22記載の方法。
【請求項32】
前記被検体がヒトである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
a)細胞に
i)機能的に連結されたOCT4プロモーターと遺伝子発現レポータータンパク質をコードする核酸とを含むプロモーターレポーターコンストラクトを含むベクター、および
ii)SALLファミリーメンバータンパク質をコードする核酸を含むベクター
を同時導入する段階と、
b)段階(a)の細胞に薬剤を接触させる段階と、
c)段階(b)で、前記薬剤の存在および非存在における前記プロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階とを含む、OCT4発現に対するSALLファミリーメンバータンパク質の影響を調整する薬剤を識別する方法であって、
前記プロモーターレポーターコンストラクトの活性を判断する段階が、SALLファミリーメンバータンパク質/OCT4相互作用に対する前記薬剤の影響と相関する、方法。
【請求項34】
前記プロモーター領域が、配列番号:26に示される核酸配列を含む、請求項33の方法。
【請求項35】
段階(a)(ii)の前記核酸が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:22、および配列番号:24からなる群より選択されるタンパク質配列をコードする、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記発現レポータータンパク質がルシフェラーゼである、請求項33記載の方法。
【請求項37】
a)被検体の細胞を、SALLファミリーメンバータンパク質の発現を検出する薬剤に接触させる段階と、
b)SALLファミリーメンバータンパク質が段階(a)の細胞で発現されるかどうかを判断する段階とを含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患を診断する方法であって、
前記SALLファミリーメンバータンパク質の発現を判断する段階が、前記細胞における自己複製の誘発に正に相関し、それによって、そのような発現が腫瘍形成または増殖を示す、方法。
【請求項38】
前記薬剤が標識されている、請求項37記載の方法。
【請求項39】
判断する段階が、前記薬剤の検出を含み、前記薬剤の位置を画像化する装置に前記被検体をさらすことによって行われる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記画像が、磁気共鳴、X線、または放射性核種放出によって生成される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
SALL4の発現を抑制する薬剤を含む医薬組成物を被検体に投与する段階を含む、腫瘍性疾患または増殖性疾患を治療する方法であって、被検体の細胞が自己複製の脱制御を示す、方法。
【請求項42】
前記薬剤が核酸である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記薬剤がSALL4に対する抗体である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
a)1つ以上のSALLファミリーメンバータンパク質を検出するための薬剤と、
b)薬剤−細胞相互作用および前記薬剤の標識化に十分な状態を提供する試薬および緩衝剤と、
c)前記検出試薬の標識化および前記薬剤の前記細胞への接触についての説明書と、
d)(a)、(b)、および(c)の前記構成要素を含む容器とを含む、潜在的多能性を有する細胞を識別するためのキット。
【請求項45】
前記SALLファミリーメンバータンパク質が、SALL1、SALL3、およびSALL4からなる群より選択される、請求項44記載のキット。
【請求項46】
前記薬剤が、前記SALLファミリーメンバータンパク質に対するまたは前記SALLファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAに相補的な核酸に対する抗体である、請求項44記載のキット。
【請求項47】
a)細胞を、SALL4に対する抗体に接触させる段階と、
b)前記抗体に結合した細胞を、流体および細胞の進入および放出ための少なくとも2つの開口部を備える表面境界キャビティに適用する段階と、
c)細胞および流体が前記キャビティを通過することを可能にする段階とを含む、細胞を単離する方法であって、
混合流体中の抗体結合細胞が、光学検出器または磁気検出器によって検出され、電圧または磁束が前記流体に加えられ、それによって、前記電圧または磁束が、1つ以上のコレクタまたは前記キャビティ内で前記結合細胞を類別する、方法。
【請求項48】
前記方法が蛍光活性化細胞選別(FACS)である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記方法が磁性粒子細胞選別(MACS)である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が胚幹細胞、成体幹細胞、または癌幹細胞である、請求項47記載の方法。
【請求項51】
SALL4がSALL4AまたはSALL4Bである、請求項47記載の方法。
【請求項52】
a)細胞を、SALL4に対する抗体に接触させる段階と、
b)前記抗体に結合した細胞を、流体および細胞の進入および放出のための少なくとも2つの開口部を備える表面境界キャビティに適用する段階と、
c)細胞および流体が前記キャビティを通過することを可能にする段階とを含む、増殖性疾患または腫瘍性細胞形成の進行に関連する細胞を検出する方法であって、
混合流体中の抗体結合細胞が、光学検出器によって検出され、電圧が前記流体に加えられ、それによって、前記電圧が、1つ以上のコレクタにおいて前記結合細胞を類別する、方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−517479(P2009−517479A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543417(P2008−543417)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045672
【国際公開番号】WO2007/064696
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508158894)ネバダ キャンサー インスティテュート (2)
【Fターム(参考)】