高アスペクト比のホールを有する加工品の電気めっき方法
高アスペクト比のホールを備えて成る加工品を電気めっきするために、加工品及び少なくとも一つの陽極と金属めっき電解液とが接触する工程と、加工品と陽極間に電圧を印加することで、その結果、電流の流れが加工品に生じる工程とを備えて成る方法を明らかにする。電流の流れは、多くとも約6Hzの周波数を有するパルス逆電流の流れである。周波数に従って、それぞれの周期時間は少なくとも一つの順電流パルスと少なくとも一つの逆電流パルスを備えて成る。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
【特許文献1】DE 42 25 961 C2
【特許文献2】DE 27 39 427 A1
【特許文献3】US 2003/0019755 A1
【非特許文献1】Galvanotechnik(3/2002、680頁)
【非特許文献2】Reents, B., Thies, A., Langheinrich, P.、「Online measurement of flow and mass transfer in micro-holes with PIV and an electrochemical sensor array」、Proc.ISE Symp.、2002、デュッセルドルフ、ドイツ
【非特許文献3】Reents, B., Kenny, S「The influence of fluid dynamics on plating electrolyte for the successful production of blind micro-vias」、IPC EXPO 2002 Proc. of the Techn. Conf. IPC、Northbrook,III.、米国(2002)
【0002】
高アスペクト比のプリント回路基板、例えば、いわゆるバックパネルの製造は、良質の電解銅の金属被覆法にとって、よく知られた問題点を有している。パネルは、概してアスペクト比10:1で3mmから10mmまでの厚みである。しかしながら、なお一層厚いパネルが求められ、しかも15:1までのアスペクト比を備えることが、最近の傾向である。自らの重量のために取り扱いにおいて更なる問題点を与える「通常の」製造パネルよりも、そのようなパネルは概して大きくすることができる。銅析出・蒸着における制限要因の一つは、高アスペクト比のホールへのイオンの物質移動である。パターンプレートでレジストにオーバーめっきを引き起こす表面オーバーめっきなしに、あるいはパネルプレートでライン画定を乏しくせずにホールにおいて所望の銅厚さを達成することが、高アスペクト比のパネル製造における主要な問題点である。バックパネルでの別要因は、銅の蒸着分布がうまくいかない時に、圧入技術を用いる部品実装の難しさである。均一電着性問題を克服するために、明らかに生産性に否定的な影響を与える低い電気めっき電流密度が用いられてきた。これらの問題の解決法として、特許文献1や特許文献2に記述されるように、逆パルスめっきは、より高い電流密度の使用を許容可能として、スルーホール中の表面分布及び均一電着性を向上させる。
【0003】
プリント回路基板の水平処理において、Uniplate(登録商標:Atotech Deutschland GmbH)システムにおける高アスペクト比の均一電着性が、より厚いパネルの製造には、その使用を制限することが明らかになった。1.6mmよりも厚いパネルでさえ、銅の均一電着性はアスペクト比しだいでは十分に満足できるものではなかった。この理由は、ブラインドマイクロビアでのより高い電流密度で、より薄い材料の製造を重要視したためである。平均10A/dm2程度の高電流密度及びそのような条件下でブラインドマイクロビアを生成することは、35g/リットル以上の比較的高い銅濃度の使用を必要とした。これら双方の要因が、高アスペクト比のパネルに最良の均一電着性を不可能にしていた。標準的なInpulse(登録商標:Atotech Deutschland GmbH)装置で、均一電着性を改良するために実験が行われた。しかし、これらは、わずかな改善しか与えられなかった。これらの実験では、標準のInpulse(登録商標)システム(不活性アノードを有した銅メッキシステム、鉄(II)/鉄(III)の酸化還元システムと垂直及び水平メッキ装置における逆パルス電流技術を用いる)で使用可能なパルスパラメーターによって限定された。
【0004】
Kruseは、非特許文献1で、例えばプリント回路基板の逆パルスめっき法を記述しており、その方法では、オフパルスによって断続・間欠する二つの順パルスの合計持続時間が5〜250msに設定され、逆パルスの持続時間が0〜5msに設定される。
【0005】
特許文献3では、サブストレート(基板)上に金属をパルス電気めっきする方法が記述され、電着(陰極の)パルスが約500〜3000msの範囲にわたり、一方で、電気溶解(陽極の)パルスが約1〜300msにわたる。
【0006】
プリント回路基板の逆パルスめっきにおいて、順パルスの持続時間は、しばしば10〜80msに設定され、逆パルスの持続時間は、0.5〜6msに設定される。これは、約12から約95Hzの周波数範囲となる。仮に、2mm厚でアスペクト比10:1のスルーホールを含んだプリント回路基板が製造されるとすると、スルーホール中の銅蒸着の許容可能な均一電着性は、順パルスでは1〜10A/dm2の範囲の電流密度で、逆パルスでは10〜40A/dm2の範囲の電流密度で実現された。仮に2mmよりも大きな厚さのプリント回路基板が製造されるとすると、電流密度は、許容しうる均一電着性を達成するために減らされなければならない。
【0007】
ドイツのKurt-Schwabe-Institut fuer Mess- und Sensortechnik e.V.との共同プロジェクトにおいて、銅蒸着の流体力学が、研究された。本研究の成果は、非特許文献2に公表されている。ブラインドマイクロビアにおける銅蒸着の影響は、これら実験の一部として文書化され、非特許文献3に公表されている。
【0008】
上記から、高アスペクト比のスルーホールを有するプリント回路基板を電気めっきするうえで主要な問題点は、ホール中に十分な金属めっき厚さを達成することであることは明らかである。同時に、処理量、それ故に電気めっき電流密度が十分に高ければ単純に保証され得るプロセスの適切な効率を確保するために、プリント回路基板において最小の平均電流密度で電気めっきすることが強制される。最終的に、良質な表面も確保しなければならず、これは、生成される金属蒸着を可能な限り滑らかで且つ光沢あるものにしなければならないことを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、本発明の目的は、上記要件を満たすことにあり、具体的には、高アスペクト比のプリント回路基板において、十分な金属めっき厚さを達成することにある。本発明の他の目的は、プリント回路基板において金属めっきの電流密度をできる限り高くしなければならないことを意味する電気めっき効率をできる限り高くすることをも確保することである。適当な平均めっき電流密度は、少なくとも1.7A/dm2、より好ましくは少なくとも2A/dm2、最も好ましくは少なくとも3A/dm2に保たれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的の解決は、請求項1に記載の高アスペクト比のホールを備えて成る加工品を電気めっきする方法により成し遂げられる。本発明の好適な実施形態は、従属請求項に略述されている。
【0011】
本発明に係る方法は、プリント回路基板のような好ましくはプレートに成形され、高アスペクト比のホールを有している加工品を電気めっきすることに利用される。本方法は、以下の方法ステップを備えて成る。
a.加工品は、金属めっき電解液と少なくとも一つの陽極に接触させられる。
b.電圧は加工品と陽極の間に印加され、その結果、電流の流れが加工品に生じる。発生した電流の流れは、パルス逆電流となる。パルス逆電流は、多くとも約6ヘルツ、好ましくは多くとも4ヘルツ、更に好ましいのは多くとも2.5ヘルツの周波数を有する。パルス逆電流の各周期時間には、少なくとも一つの順電流パルスと少なくとも一つの逆電流パルスが生じる。
【0012】
好ましくは、パルス逆電流の一周期時間には、一つの順電流パルスと一つの逆電流パルスが生じる。
【0013】
好適な実施形態において、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率は、少なくとも5、より好ましくは少なくとも15、よりいっそう好ましくは少なくとも18に設定される。この比率は、最大でも75、より好ましくは最大でも50に設定され得る。比率が約20に設定されるのが、もっとも好ましいであろう。
【0014】
一周期の順電流パルスの持続時間は、好ましくは少なくとも100ms、より好ましくは少なくとも160ms、最も好ましくは少なくとも240msに設定される。
【0015】
一周期の逆電流パルスの持続時間は、好ましくは少なくとも0.5ms、より好ましくは少なくとも8ms、最も好ましくは少なくとも12msに設定される。
【0016】
順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、少なくとも3A/dm2に設定される。順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、最大でも15A/dm2に設定される。最も好ましい順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、約5.5A/dm2であろう。
【0017】
逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、特に、少なくとも10A/dm2に設定される。逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、最大でも60A/dm2に設定される。最も好ましい逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、約16から約20A/dm2の範囲であろう。
【0018】
好適な実施形態において、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率は、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、よりいっそう好ましくは少なくとも3に設定される。この比率は、最大でも15、より好ましくは最大でも4に設定され得る。比率が約3に設定されるのが最も好ましいであろう。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、順及び逆電流パルスの立ち上がり時間は、各々、追求される技術目的によって調整される。
【0020】
加工品は、好ましくはプレート状に成形される。より好ましいのは、半導体ウエハ(集積回路)やマルチチップモジュールのような様々なハイブリッド(IC−)チップ担体のような、プリント回路基板や様々な他のプレート状電気回路担体であろう。
【0021】
本発明の好適な実施形態において、本方法は以下の方法ステップを有している。
a.第一電圧が加工品の第一側面と少なくとも一つの第一陽極の間に印加され、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第一順電流パルスと少なくとも一つの第一逆電流パルスの流れを有する第一パルス逆電流の流れが加工品の第一側面に生じる。
b.第二電圧が加工品の第二側面と少なくとも一つの第二陽極の間に印加され、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第二順電流パルスと少なくとも一つの第二逆電流パルスの流れを有する第二パルス逆電流の流れが加工品の第二側面に生じる。
【0022】
この実施形態として、一周期の第一順及び逆電流パルスは、一周期の第二順及び逆電流パルスと相対的にそれぞれ相殺される。本発明のより好ましい実施形態では、第一電流パルスと第二電流パルスの間でのこの相殺は、およそ180度である。
【0023】
更に均一電着性を向上させるために、電流の流れは、各周期時間に、二つの順電流パルスを備えており、これら二つの順電流パルスと一つの逆電流パルスの間に一つのゼロ電流遮断を伴っている。
【0024】
均一電着性を向上させる他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つの逆電流パルスと、その連続後の一つのゼロ電流遮断を備えて成っている。
【0025】
均一電着性を向上させる他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、この周期中にいかなるゼロ電流遮断を伴わずに、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つの逆電流パルスを備えて成っている。
【0026】
均一電着性を向上させる更に他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つのゼロ電流遮断と、その連続後の一つの逆電流パルスを備えて成っている。
【0027】
当然ながら、異種のパルスとゼロ電流遮断の順序もしくは発生にしたがって更に多くの組合せが可能である。更に異なる周期を組み合わせることが可能である。
【0028】
異種の電流パルスの持続時間とゼロ電流遮断の要求しだいで、平均電流密度Iavは周期時間との関係で特定することが出来る。平均電流密度は、以下の式により算出することが出来る。
【数1】
式中で;
Ifw=順電流密度、
Irv=逆電流密度、
tfw=順パルス持続時間、
trv=逆パルス持続時間、ここで、i,j=整数≧1(1以上の整数)であり、各パルス周期中の個別の順及び逆パルスを別々に表す。
tct=周期時間、ここで、周期時間には、ゼロ電流遮断パルスが用いられるときは、そのようなゼロ電流遮断パルスの時間を付加可能である。
【0029】
好ましい平均電流密度は、1から10A/dm2の範囲に、より好ましいのは2から6A/dm2の範囲に、最も好ましくは3から5A/dm2の範囲に設定される。好ましくは約4A/dm2の値に平均電流密度が設定される。
【0030】
さらに、加工品を金属めっきしているうちに、パルス逆電流の流れの少なくとも一つのパラメーターであって、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率と、一周期の逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を備えて成るグループから選択されたパラメーターは、変わることがある。具体的には、加工品を金属めっきしているうちに、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を増加させること、及び/又は逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を減少させることが有利な結果となる。
【0031】
本発明の他の改良は、加工品の表面に対する電解液流速で金属めっき電解液を加工品の表面に向かって送ることで、加工品と金属めっき電解液を接触させることを含んでいる。望ましくは、金属めっき電解液は、攪拌しながら加工品の方へ送られる。より好ましくは、加工品の表面での電解液流速は、加工品の表面に垂直な速度成分で少なくとも1m/secを有している。
【0032】
好ましくは、速度は少なくとも約1.4m/sec、より好ましくは少なくとも約7.2m/secに設定される。速度は、最大でも約11.5m/secに設定される。
【0033】
本発明の更なる改良点において、本方法は、不活性で且つ寸法安定な少なくとも一つの陽極を備えることを有する。
【0034】
基材としてチタンあるいはタンタルを含有し、好ましくは貴金属又は貴金属酸化物で被覆される陽極が好ましくは用いられる。これら金属の酸化物又は混合酸化物と同様に、例えば、プラチナ、イリジウムあるいはルテニウムは被覆剤として使用される。プラチナ、イリジウム及びルテニウムと同等に、ロジウム、パラジウム、オスミウム、銀及び金、あるいはそれぞれの酸化物及びそれらの混合酸化物も基本的に被覆剤として用いられる。電解条件に対するとりわけ高い耐性は、例えば、酸化イリジウムの表面を有し、微小粒子、例えば球状体を放射し、そのために孔のない状態に締められるチタン陽極において観察することができた。さらに、貴金属、例えばプラチナ、金あるいはロジウム、あるいはこれら金属の合金から形成された陽極も、当然に使用され得る。炭素(グラファイト)のような、他の不活性で導電性の物質も、基本的に用いられる。これらの陽極は、過度の分極電圧を減少するため及び電極を導電性に維持するため及び、同時に電気分解のスパッタリングから陽極を保護するためにも設けられる。
【0035】
実際の使用において、不溶性の陽極は、貴金属(例えばプラチナ)で活性化されたチタンのエキスパンドメタルシートから作ることが出来る。
【0036】
他の使用において、棒状の陽極は、管状の陰極まで延在させることができる。陽極の有効表面を拡大するために、陰極は、同時に格子構造の結果として電解液の非常に良好な交換を可能にさせる管状のエキスパンドメタルから形成される。
【0037】
不活性で且つ寸法安定性のある陽極を、従来の直流またはパルスめっき法を実施するために使用するときに、いくらかの使用時間の後に陽極に腐食が起こること及び浴槽に加えられる有機添加物がますます消費されることが判明した。現在では、これは、加工品と陽極の両方で発生したガスの放出に起因すると考えられている。例えば6Hz以下の低周波数パルスめっき法を用いることによって、及び特に順又は逆電流パルスのどちらか一方もしくはその両方を可能な限り長い持続時間に設定することによって、そのような有害な効果は回避することが出来る。
【0038】
本発明の一つの具体的な実施形態によれば、金属めっき電解液は銅めっき電解液である。
【0039】
後者の場合において、特に、仮に少なくとも一つの陽極が不活性で寸法安定性があると、銅イオンは、金属銅を溶解することによって電解液へ補給される。この目的のために、銅めっき電解液は、金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る少なくとも一種の化合物を含有する。そのような酸化化合物は、例えば三価鉄イオンのような鉄化合物、より具体的には硫酸鉄(II)である。例えば硫酸鉄(II)・7水和物を電解液に添加後、わずかな時間の後に、効果的な鉄(II)/鉄(III)の酸化還元システムが形成され、その中で、硫酸鉄(II)・7水和物は銅の酸性水溶液に優れて適合する。例えば塩化物や硝酸塩のような望ましくない二次反応を銅電解液にもたらす陰イオンを有する鉄化合物はまた、用いられない。
【0040】
銅イオンを再生するために、銅の部品を含有するイオン発生器が用いられる。当該発生器は、陽極を含有する電気めっきチャンバーから分離されている。銅イオンの消費により弱められ、例えば硫酸鉄(II)として化合物を含有している電解液は、陽極を通過して案内され、それによって鉄(III)化合物は鉄(II)化合物から形成される。電解液は引き続いて銅イオン発生器を通じて導かれ、それによって、銅の部品と接触させられる。それによって、鉄(III)化合物は銅の部品と反応して、銅イオンを形成する。すなわち銅部品が溶解する。鉄(III)化合物は、同時に鉄(II)化合物に変化させられる。銅イオンの形成のために、電解液に含有される銅イオンの総濃度は、一定に保たれる。電解液は、銅イオン発生器から電気めっきチャンバー中に再び戻って、加工品と陽極に接触する。
【0041】
好ましくは、鉄(II)と鉄(III)の化合物は、電気化学的に可逆の酸化還元システムとして用いられる。同様に、以下の元素、チタン、セリウム、バナジウム、マンガン及びクロムの酸化還元システムは適合している。それらは、例えば硫酸チタニル(titanyl sulphuric acid)、硫酸セリウム(IV)(cerium(IV) sulphate)、メタバナジン酸ナトリウム(sodium metavanadate)、硫酸マンガン(III)(manganese(III) sulphate)もしくはクロム酸ナトリウム(sodium chromate)の形で銅蒸着溶液に加えられる。特定の用途にとっては混合システムが有利である。
【0042】
酸化還元システムの化合物濃度は、金属部品の分解を通じて蒸着溶液中で金属イオンの濃度を一定に維持できるように設定されなければならない。これは、貴金属もしくは貴金属酸化物で被覆された不溶性の陽極が傷まないことを保証する。
【0043】
代替として、酸素も酸化化合物となり得る。空気中に含有される酸素は、電解液が動くことによって絶えず電解流体に添加され、酸素は当該流体に溶解する。この酸素も、酸素イオンを形成するイオン発生器中の銅部品を酸化することによって銅を溶解することができる。
【0044】
現在、上述した研究を参照して、さらなる実験がスルーホールめっき、特に高アスペクト比のホールにおける影響を研究するために実施された。表1に、検討された電解液交換機構と影響を与える要因の一覧を示す。
【0045】
影響を与えるパラメーターは、可能な限り一定に保持され、強制的なあふれ(flooding)による人為的な対流が研究された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
電気化学的な流れセンサーを有する特別に設計された多層プリント回路基板が、これらの研究の一部として用いられた。試験基板上の一つの試験ホールの図解を図1に示す。この試験基板は微小な電極配列を含んでいる。
【0047】
試験基板は、以下のような重要なパラメーターの変化を与える試験チャンバー内に設置された。
・ノズルの直径
・流体ビームと加工品表面の間の角度α
・ノズル口と加工品表面の間の距離
・加工品の表面に平行した横方向の流れ
・圧力/流れ
・電解液の密度
・パルスポンピング(pulse pumping)
【0048】
試験チャンバーを図2に示す。この試験チャンバーは、流体力学の研究に用いられている。試験チャンバーは、調整可能なディスク2を包み込むケース1を備えて成る。このディスク2の上に試験プリント回路基板3は、垂直な配列に整列させられる。数字4が付されるアイテムはストッパーである。電気化学的セル(cell)はまた対向電極5と基準電極6を備えて成り、両者共に概略的に図1に表示されている。ノズル7は、この図に示したように、ノズル7と試験プリント回路基板3の上部右側部分との間の角度として規定される角度αで、プリント回路基板5(3)の表面に金属めっき電解液を作用させるために用いられる。最後に、試験プリント回路基板に、金属めっき電解液の作用点(衝突点)の精密な調整を許容する横方向のノズル調整手段8がある。
【0049】
図3に内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片を示し、この試験片の実験結果を図4に示す。この図に、個々の内層電極における電流Iの相関要素である流体の速度と噴射角αの研究結果を図解する。実験は以下の条件下で実施された。
リング電極は、試験片の内層にd=200μmでホールに対して環状に形成され、
試験片に含有されるホールのアスペクト比は、
図4.A:1.3(上流側)
図4.B:2.8(中央)
図4.C:4.4(下流側)
アスペクト比は、それぞれ個々の場合に、ホール入口から、ホール中央から上流側、ホールの中央、ホール中央から下流側に位置したそれぞれの内層までの距離の、ホール直径Lx=−0.2mmに対する比として計算された。
流体の流速Vj(y)は、以下の通りであった。
1)0.66m/s
2)1.46m/s
3)3.7m/s
4)7.2m/s
5)11.5m/s
【0050】
図4におけるグラフ中の曲線は、1,2,3,4,5の数字で、上記流体の流速Vj(y)に対応するよう、示されている。その結果は、最大拡散電流が90°の流れ角度と、当然ながら最も高い衝突速度で達成されることを示している。
【0051】
より大規模の試験において、高アスペクト比のパネルを通過する電解液の流れを描写するために粒子画像速度測定法(PIV)が用いられた。図5に試験を実施するために用いた実験装置(粒子画像速度測定法装置)を示す。この中で、動的なシステムは二つのレーザービームによって照らされ、干渉稿情報の結果がカメラに記録される。
【0052】
高アスペクト比のパネルを通過する流れ実験の一つから得られたデータを図6に示す。それは、高アスペクト比のパネルを通過する垂直な溶液の流れの図解となる。個々の矢印は、調査範囲中のそれぞれの位置における速度ベクトルの方向と大きさを示す。
【0053】
したがって、加工品表面に対して垂直な速度成分が、少なくとも1m/s、好ましくは少なくとも5m/s、最も好ましいのは10m/sになるように、電解溶液の流体の流れ速度が選択されることを、一般的に結論付けることが出来る。
【0054】
実験結果は、Uniplate(登録商標)Inpulse(登録商標)システムに、報告されたようなブラインドマイクロビアの生成を向上させる改造を可能とした。
【0055】
水平適用
プリント回路基板の水平処理のための標準的なInpulse(登録商標)モジュール(基板はこれを処理するための水平搬送面と水平経路において搬送されるが、垂直搬送面もしくは他の搬送面で搬送させてもよい)は、陰極(加工品)に対して95mm離れたスプレーバーと、陰極に対して75mm離れた陽極を有する。Inpulse(登録商標)2システムにおいては、スプレーバーと陽極の双方は、陰極に対して15mmと8mmと非常に近くに設置されている。これは、パネルの方へ、電解液をより強烈に流すことを可能とし、優れた表面分布を維持しながら、陽極遮蔽の使用を不要とする追加利点も有する。スプレーシステム自体も、パネルに向かってより指向性のある攪拌を与えるべく改変された。これらの変更は、主にブラインドマイクロビアのより効率的なあふれを可能にするためになさせた。このシステムを用いて、最適な電解液組成及びアスペクト比10:1を有する3.2mm厚のパネルにおいて最善の均一電着性を達成するためのパルスめっきパラメーターを研究するために、実験が行われた。主にパルス波形構成と電解液の調整が、均一電着性の向上を与えるうえで個々に重要であろうという結果が示された。最適な電解液組成は以下のようになると見出された。
銅:20g/リットル
硫酸:270g/リットル
塩化物イオン:40mg/リットル
鉄(II):7g/リットル
鉄(III):1g/リットル
レベラーInplse(登録商標)H6:1.7〜2.0ミリリットル/リットル
ブライトナーInplse(登録商標):4.0〜5.5ミリリットル/リットル
【0056】
当然ながら、金属めっき電解液は、ある程度変更され得る。仮に金属めっき電解液の導電率を増加すると、均一電着性は効果的に向上する。これは、例えば酸濃度を増加することによって影響され得る。添加剤濃度は、高アスペクト比のパネルを生産するために、調整される電解液に、より特徴的なものである。特に、銅濃度は標準的なInpulse(登録商標)電解液よりも15〜20g/リットル低い。
【0057】
パルスめっきパラメーターは、4A/dm2の直流めっき条件から順パルス持続時間250ms及び逆パルス持続時間25msのパルスめっきに変更された。達成された均一電着性と共に、用いられたパラメーターの選択を表2に示す。
【0058】
高い逆電流密度の条件と表面粗さによる角平滑化(corner flattening)の弱さのために、最適均一電着性は、4A/dm2の平均電流密度で順パルス持続時間240msと16A/dm2の逆電流密度で逆パルス持続時間12msとによって達成され、逆時間での25msを伴わなかった。より低い周波数で均一電着性を増加させる一般的な傾向が、表3にはっきりと図解されているように、見て取ることが出来る。
【0059】
すべての試験において、180度のパルスパラメーターの位相シフトが用いられた。これは、逆パルスが試験パネルの片側で陽極に適用されたと同時に、順パルスが反対側で陽極に適用されたことを意味する。図7におけるパルス波形の図解(時間の相関要素である電流)は、上側陽極と下側陽極の間の位相シフトを示すこの設定を図解している(上側曲線:陰極の上側での電流、下側曲線:陰極の下側での電流)。
【0060】
表2中に略述されている試験6で生産されたパネルの検鏡用薄切片の写真を、図8に示す。この事例では、3.0mm厚及び0.3mmのホール直径を有する10:1のアスペクト比のパネルが電気めっきされた。ホール中央で見ることが出来るように、達成された厚みは非常に少なく、Inpulse(登録商標)2システムでのパネルプレートは、およそ70%の均一電着性を有する。
【0061】
類似したパネルと比較すると、わずか30%の均一電着性が、水平直流の3A/dm2で達成されるだろう。55%の均一電着性は直流の垂直条件下で、2A/dm2で達成される。空気攪拌を伴った標準的な垂直条件下でのパルスめっきだけで、90%の均一電着性が達成されるが、これは、2A/dm2の平均電流密度である。強制的な攪拌を用いて、均一電着性の向上は、以下に論じるように可能である。しかし、これでさえ、それほど高い電流密度でない。
【0062】
垂直適用
加工品の垂直めっきにおいて、上述の水平処理で述べた金属めっき電解液と同様の組成を持った金属めっき電解液が利用され得る。さらに、垂直めっきにおいて、パルスめっきは水平処理と同じ条件下で実施され得る。したがって、垂直めっきにおけるこれらのめっき条件に関しては、上述の説明が参照される。
【0063】
垂直システムにおいて、電解液の攪拌は、通常、電解液自体における空気攪拌とめっきされる回路基板の機械的な攪拌の組合せでなされる。この機械的な攪拌は、パネルが一定に動かされ、且つ電解液中で垂直に保たれることを確実にしなければならない。さもなければ、溶液の流れは、パネル中の全てのホールを通って均一にならないであろう。この陰極の動作を確実にするために、パネルをしっかりと固定し、パネルに電流を供給するためにも使用されるシステムが用いられる。これらの攪拌システム、すなわち電解液中の空気及びパネルの動きは、明確でない(non-defined)空気攪拌のために、及び攪拌気泡を通るパネルの動作のために、不規則な流体搬送を引き起こし得る。
【0064】
これらの問題を克服するために、エゼクター(エダクタ:ベンチュリーの原理を用いるスプレーノズル、すなわち、作り出されたスプレーによって、ノズルを通過する追加的な流体の引き寄せが作用され、大容量流れが達成される)の使用がより一般的になっていく。ベンチュリーの原理を用いるエゼクターは、小さなポンプでより大容量の液体を循環する。或る溶液の運動エネルギーは、別の溶液の流れの原因となる。概して、エゼクターの使用は、ポンプ作用容量と比較したとき、溶液運動の容量において4〜6倍の増加を与えることが出来る。しかしながら、この増加容量は、直接にポンプ作用される溶液よりも低い圧力である。図9は、電気分解銅めっきシステムにおいて、一般的に用いられるエゼクターの二つの大きさを示している。示されている小さい方のエゼクターは、より少ない容量を送るが、より多くのエゼクターを一つの配管に設置することを許容し、よりむらのない電解液流れを与える。
【0065】
現在、垂直めっきタンク内のエゼクターの設置方法は、図10に示すように、陰極の下の床上にある。図10は、上側から下側までの眺めで垂直Inpulse(登録商標)ライン中のエゼクターの設備を示している。底部で、エゼクター9は供給配管10に配置される。
【0066】
この設備は、陰極の下方で両側に一つずつおかれた二つの配管を有し、エゼクターが上向きに陰極の方を指し、もしくは陰極から離れるように向いて調整可能である。陰極のすぐ下で陰極に対して実質的に平行に伸びる単一配管に据えられたエゼクターを備える類似の設備、パネルから離れるように交互に向いた固定角で据えられたエゼクターを備える類似の設備がある。この設定に関する欠点は、電解液流れの均一性が、エゼクターの位置取り及びノズルとパネル間の距離の位置取りにも依存することである。
【0067】
より均一な流れを与えるために、エゼクターは、めっきセル中で陰極の方へ真っ直ぐ向いている陽極の間に配置させることができる。この設定は、パネルに向かう電解液のより直進的な流れを与える利点を有し、設備の上側からその側方までの眺めとして図11に示されている。エゼクター9は、陽極11の前でタンクのそばに設置されているのが示されている。全てのエゼクター設備の欠点は、溶液の流れがパネル表面上で、決して完全に均一に出来ないことである。設置されるエゼクターの数と流れの均一性の間で、妥協させなければならない。
【0068】
エゼクターの使用による流れの均一性の制約を克服するために、移動スプレーシステムが開発され、実験室条件において試験タンク内で試験されている。本システムは、陰極表面の上を規則的に移動し、且つスプレーするときにパネルとスルーホールの強烈な強制されたあふれを生じさせるスプレーヘッドで構成される。ヘッドは、陽極と陰極の間を平面で移動し、パネルへ向いた方向で電解液を放出する。ヘッドは電着プロセスを妨げないような大きさで作られている。高アスペクト比のパネルを用いた結果では、標準的な空気攪拌と比較して、均一電着性において著しい改善が示され、同一規模でエゼクター攪拌装置と比べて、より均一な蒸着を示した。図12に、可動スプレーシステムを用いて、0.3mmのホールを有する3.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果を示す。電気めっきのための平均電流密度は、2A/dm2であった。均一電着性は、90〜95%になることが見出された。強化めっき(reinforcement plating)が、5A/dm2の電流密度で水平めっき装置において、直流めっきにより実施された。
【0069】
研究は、特に、5mmよりも厚いパネルにおいて、均一電着性を向上させるために、いわゆるバッチめっきパラメーターを使用して続けられている。めっき周期中に、パルスパラメーターは変化させられる。通常、周期の開始に強力な逆チャージが良好な均一電着性を与えるために用いられ、続いて、めっき周期の終了時に良好な表面仕上げを与えるためにより低い逆チャージが用いられる。そのような一連のめっきの例を、表4に示す。
【0070】
最適な電解液交換をもたらすための可動スプレーシステムと共に、改変されたパルスめっきシーケンスを用いた、0.5mmのホールを有する5.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果を図13に示す。使われた平均電流密度は、1.7A/dm2である。均一電着性は、95〜100%になることが見出された。
【0071】
電解液攪拌と最適化されたパルスパラメーターの両方の使用は、試験ライン実験において、均一電着性における著しい改善をもたらす。
【0072】
したがって、基礎電気化学における実験は、銅電気めっき特性において電解液攪拌の強力な影響を示す。最適化されためっきパラメーターと共に水平Inpulse(登録商標)装置に対する改変は、実験条件下で改良された均一電着性を示す。
【0073】
垂直装置において、攪拌を改善するためのエゼクターの使用は、新しい装置にとって標準になっている。移動スプレーあふれシステム(moving spray flood system)の使用は、垂直システムにとって試験ライン規模において利点を示す。
【0074】
銅蒸着時間の間中、変化するパルスパラメーターの使用は、処理時間(周期時間)の終了時に、より穏やかなパルスパラメーターを用いて最適な表面仕上げを保持しながら、積極的なパラメーターで均一電着性を改善する可能性を提供する。
【0075】
技術手段による様々な改変と代替が、特許請求の範囲により規定されるような発明の範囲から逸脱することなく、上述の例と図により記載された内容に当て嵌められ得ることが理解されなければならない。さらに、本願に記載された特徴の様々な組合せが、当業者によって提案され、この発明の範囲内で且つ特許請求の範囲内に含まれることが理解されなければならない。この文書中に引用された全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照することにより、結果として組み込まれる。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】試験基板上の一つの試験ホールの図解である。
【図2】試験チャンバーである。
【図3】内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片である。
【図4】内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片の実験結果である。
【図5】試験を実施するために用いた実験装置(粒子画像速度測定法装置)である。
【図6】高アスペクト比のパネルを通過する流れ実験の一つから得られたデータである。
【図7】パルス波形の図解(時間の相関要素である電流)である。
【図8】表2中に略述されている試験6で生産されたパネルの検鏡用薄切片である。
【図9】電気分解銅めっきシステムにおいて、一般的に用いられるエゼクターの二つの大きさである。
【図10】上側から下側までの眺めで垂直Inpulse(登録商標)ライン中のエゼクターの設備である。
【図11】より均一な流れを与えるために、エゼクターをめっきセル中で陰極の方へ真っ直ぐ向いている陽極の間に配置させた設備の上側からその側方までの眺めである。
【図12】可動スプレーシステムを用いた、0.3mmのホールを有する3.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果である。
【図13】可動スプレーシステムと共に、改変されたパルスめっきシーケンスを用いた、0.5mmのホールを有する5.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果である。
【背景技術】
【0001】
【特許文献1】DE 42 25 961 C2
【特許文献2】DE 27 39 427 A1
【特許文献3】US 2003/0019755 A1
【非特許文献1】Galvanotechnik(3/2002、680頁)
【非特許文献2】Reents, B., Thies, A., Langheinrich, P.、「Online measurement of flow and mass transfer in micro-holes with PIV and an electrochemical sensor array」、Proc.ISE Symp.、2002、デュッセルドルフ、ドイツ
【非特許文献3】Reents, B., Kenny, S「The influence of fluid dynamics on plating electrolyte for the successful production of blind micro-vias」、IPC EXPO 2002 Proc. of the Techn. Conf. IPC、Northbrook,III.、米国(2002)
【0002】
高アスペクト比のプリント回路基板、例えば、いわゆるバックパネルの製造は、良質の電解銅の金属被覆法にとって、よく知られた問題点を有している。パネルは、概してアスペクト比10:1で3mmから10mmまでの厚みである。しかしながら、なお一層厚いパネルが求められ、しかも15:1までのアスペクト比を備えることが、最近の傾向である。自らの重量のために取り扱いにおいて更なる問題点を与える「通常の」製造パネルよりも、そのようなパネルは概して大きくすることができる。銅析出・蒸着における制限要因の一つは、高アスペクト比のホールへのイオンの物質移動である。パターンプレートでレジストにオーバーめっきを引き起こす表面オーバーめっきなしに、あるいはパネルプレートでライン画定を乏しくせずにホールにおいて所望の銅厚さを達成することが、高アスペクト比のパネル製造における主要な問題点である。バックパネルでの別要因は、銅の蒸着分布がうまくいかない時に、圧入技術を用いる部品実装の難しさである。均一電着性問題を克服するために、明らかに生産性に否定的な影響を与える低い電気めっき電流密度が用いられてきた。これらの問題の解決法として、特許文献1や特許文献2に記述されるように、逆パルスめっきは、より高い電流密度の使用を許容可能として、スルーホール中の表面分布及び均一電着性を向上させる。
【0003】
プリント回路基板の水平処理において、Uniplate(登録商標:Atotech Deutschland GmbH)システムにおける高アスペクト比の均一電着性が、より厚いパネルの製造には、その使用を制限することが明らかになった。1.6mmよりも厚いパネルでさえ、銅の均一電着性はアスペクト比しだいでは十分に満足できるものではなかった。この理由は、ブラインドマイクロビアでのより高い電流密度で、より薄い材料の製造を重要視したためである。平均10A/dm2程度の高電流密度及びそのような条件下でブラインドマイクロビアを生成することは、35g/リットル以上の比較的高い銅濃度の使用を必要とした。これら双方の要因が、高アスペクト比のパネルに最良の均一電着性を不可能にしていた。標準的なInpulse(登録商標:Atotech Deutschland GmbH)装置で、均一電着性を改良するために実験が行われた。しかし、これらは、わずかな改善しか与えられなかった。これらの実験では、標準のInpulse(登録商標)システム(不活性アノードを有した銅メッキシステム、鉄(II)/鉄(III)の酸化還元システムと垂直及び水平メッキ装置における逆パルス電流技術を用いる)で使用可能なパルスパラメーターによって限定された。
【0004】
Kruseは、非特許文献1で、例えばプリント回路基板の逆パルスめっき法を記述しており、その方法では、オフパルスによって断続・間欠する二つの順パルスの合計持続時間が5〜250msに設定され、逆パルスの持続時間が0〜5msに設定される。
【0005】
特許文献3では、サブストレート(基板)上に金属をパルス電気めっきする方法が記述され、電着(陰極の)パルスが約500〜3000msの範囲にわたり、一方で、電気溶解(陽極の)パルスが約1〜300msにわたる。
【0006】
プリント回路基板の逆パルスめっきにおいて、順パルスの持続時間は、しばしば10〜80msに設定され、逆パルスの持続時間は、0.5〜6msに設定される。これは、約12から約95Hzの周波数範囲となる。仮に、2mm厚でアスペクト比10:1のスルーホールを含んだプリント回路基板が製造されるとすると、スルーホール中の銅蒸着の許容可能な均一電着性は、順パルスでは1〜10A/dm2の範囲の電流密度で、逆パルスでは10〜40A/dm2の範囲の電流密度で実現された。仮に2mmよりも大きな厚さのプリント回路基板が製造されるとすると、電流密度は、許容しうる均一電着性を達成するために減らされなければならない。
【0007】
ドイツのKurt-Schwabe-Institut fuer Mess- und Sensortechnik e.V.との共同プロジェクトにおいて、銅蒸着の流体力学が、研究された。本研究の成果は、非特許文献2に公表されている。ブラインドマイクロビアにおける銅蒸着の影響は、これら実験の一部として文書化され、非特許文献3に公表されている。
【0008】
上記から、高アスペクト比のスルーホールを有するプリント回路基板を電気めっきするうえで主要な問題点は、ホール中に十分な金属めっき厚さを達成することであることは明らかである。同時に、処理量、それ故に電気めっき電流密度が十分に高ければ単純に保証され得るプロセスの適切な効率を確保するために、プリント回路基板において最小の平均電流密度で電気めっきすることが強制される。最終的に、良質な表面も確保しなければならず、これは、生成される金属蒸着を可能な限り滑らかで且つ光沢あるものにしなければならないことを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、本発明の目的は、上記要件を満たすことにあり、具体的には、高アスペクト比のプリント回路基板において、十分な金属めっき厚さを達成することにある。本発明の他の目的は、プリント回路基板において金属めっきの電流密度をできる限り高くしなければならないことを意味する電気めっき効率をできる限り高くすることをも確保することである。適当な平均めっき電流密度は、少なくとも1.7A/dm2、より好ましくは少なくとも2A/dm2、最も好ましくは少なくとも3A/dm2に保たれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的の解決は、請求項1に記載の高アスペクト比のホールを備えて成る加工品を電気めっきする方法により成し遂げられる。本発明の好適な実施形態は、従属請求項に略述されている。
【0011】
本発明に係る方法は、プリント回路基板のような好ましくはプレートに成形され、高アスペクト比のホールを有している加工品を電気めっきすることに利用される。本方法は、以下の方法ステップを備えて成る。
a.加工品は、金属めっき電解液と少なくとも一つの陽極に接触させられる。
b.電圧は加工品と陽極の間に印加され、その結果、電流の流れが加工品に生じる。発生した電流の流れは、パルス逆電流となる。パルス逆電流は、多くとも約6ヘルツ、好ましくは多くとも4ヘルツ、更に好ましいのは多くとも2.5ヘルツの周波数を有する。パルス逆電流の各周期時間には、少なくとも一つの順電流パルスと少なくとも一つの逆電流パルスが生じる。
【0012】
好ましくは、パルス逆電流の一周期時間には、一つの順電流パルスと一つの逆電流パルスが生じる。
【0013】
好適な実施形態において、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率は、少なくとも5、より好ましくは少なくとも15、よりいっそう好ましくは少なくとも18に設定される。この比率は、最大でも75、より好ましくは最大でも50に設定され得る。比率が約20に設定されるのが、もっとも好ましいであろう。
【0014】
一周期の順電流パルスの持続時間は、好ましくは少なくとも100ms、より好ましくは少なくとも160ms、最も好ましくは少なくとも240msに設定される。
【0015】
一周期の逆電流パルスの持続時間は、好ましくは少なくとも0.5ms、より好ましくは少なくとも8ms、最も好ましくは少なくとも12msに設定される。
【0016】
順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、少なくとも3A/dm2に設定される。順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、最大でも15A/dm2に設定される。最も好ましい順電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、約5.5A/dm2であろう。
【0017】
逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、特に、少なくとも10A/dm2に設定される。逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、最大でも60A/dm2に設定される。最も好ましい逆電流パルスの加工品へのピーク電流密度は、約16から約20A/dm2の範囲であろう。
【0018】
好適な実施形態において、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率は、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、よりいっそう好ましくは少なくとも3に設定される。この比率は、最大でも15、より好ましくは最大でも4に設定され得る。比率が約3に設定されるのが最も好ましいであろう。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、順及び逆電流パルスの立ち上がり時間は、各々、追求される技術目的によって調整される。
【0020】
加工品は、好ましくはプレート状に成形される。より好ましいのは、半導体ウエハ(集積回路)やマルチチップモジュールのような様々なハイブリッド(IC−)チップ担体のような、プリント回路基板や様々な他のプレート状電気回路担体であろう。
【0021】
本発明の好適な実施形態において、本方法は以下の方法ステップを有している。
a.第一電圧が加工品の第一側面と少なくとも一つの第一陽極の間に印加され、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第一順電流パルスと少なくとも一つの第一逆電流パルスの流れを有する第一パルス逆電流の流れが加工品の第一側面に生じる。
b.第二電圧が加工品の第二側面と少なくとも一つの第二陽極の間に印加され、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第二順電流パルスと少なくとも一つの第二逆電流パルスの流れを有する第二パルス逆電流の流れが加工品の第二側面に生じる。
【0022】
この実施形態として、一周期の第一順及び逆電流パルスは、一周期の第二順及び逆電流パルスと相対的にそれぞれ相殺される。本発明のより好ましい実施形態では、第一電流パルスと第二電流パルスの間でのこの相殺は、およそ180度である。
【0023】
更に均一電着性を向上させるために、電流の流れは、各周期時間に、二つの順電流パルスを備えており、これら二つの順電流パルスと一つの逆電流パルスの間に一つのゼロ電流遮断を伴っている。
【0024】
均一電着性を向上させる他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つの逆電流パルスと、その連続後の一つのゼロ電流遮断を備えて成っている。
【0025】
均一電着性を向上させる他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、この周期中にいかなるゼロ電流遮断を伴わずに、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つの逆電流パルスを備えて成っている。
【0026】
均一電着性を向上させる更に他の実施形態では、電流の流れは、各周期時間に、一つの順電流パルスと、これに続いて起こる一つのゼロ電流遮断と、その連続後の一つの逆電流パルスを備えて成っている。
【0027】
当然ながら、異種のパルスとゼロ電流遮断の順序もしくは発生にしたがって更に多くの組合せが可能である。更に異なる周期を組み合わせることが可能である。
【0028】
異種の電流パルスの持続時間とゼロ電流遮断の要求しだいで、平均電流密度Iavは周期時間との関係で特定することが出来る。平均電流密度は、以下の式により算出することが出来る。
【数1】
式中で;
Ifw=順電流密度、
Irv=逆電流密度、
tfw=順パルス持続時間、
trv=逆パルス持続時間、ここで、i,j=整数≧1(1以上の整数)であり、各パルス周期中の個別の順及び逆パルスを別々に表す。
tct=周期時間、ここで、周期時間には、ゼロ電流遮断パルスが用いられるときは、そのようなゼロ電流遮断パルスの時間を付加可能である。
【0029】
好ましい平均電流密度は、1から10A/dm2の範囲に、より好ましいのは2から6A/dm2の範囲に、最も好ましくは3から5A/dm2の範囲に設定される。好ましくは約4A/dm2の値に平均電流密度が設定される。
【0030】
さらに、加工品を金属めっきしているうちに、パルス逆電流の流れの少なくとも一つのパラメーターであって、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率と、一周期の逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を備えて成るグループから選択されたパラメーターは、変わることがある。具体的には、加工品を金属めっきしているうちに、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を増加させること、及び/又は逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を減少させることが有利な結果となる。
【0031】
本発明の他の改良は、加工品の表面に対する電解液流速で金属めっき電解液を加工品の表面に向かって送ることで、加工品と金属めっき電解液を接触させることを含んでいる。望ましくは、金属めっき電解液は、攪拌しながら加工品の方へ送られる。より好ましくは、加工品の表面での電解液流速は、加工品の表面に垂直な速度成分で少なくとも1m/secを有している。
【0032】
好ましくは、速度は少なくとも約1.4m/sec、より好ましくは少なくとも約7.2m/secに設定される。速度は、最大でも約11.5m/secに設定される。
【0033】
本発明の更なる改良点において、本方法は、不活性で且つ寸法安定な少なくとも一つの陽極を備えることを有する。
【0034】
基材としてチタンあるいはタンタルを含有し、好ましくは貴金属又は貴金属酸化物で被覆される陽極が好ましくは用いられる。これら金属の酸化物又は混合酸化物と同様に、例えば、プラチナ、イリジウムあるいはルテニウムは被覆剤として使用される。プラチナ、イリジウム及びルテニウムと同等に、ロジウム、パラジウム、オスミウム、銀及び金、あるいはそれぞれの酸化物及びそれらの混合酸化物も基本的に被覆剤として用いられる。電解条件に対するとりわけ高い耐性は、例えば、酸化イリジウムの表面を有し、微小粒子、例えば球状体を放射し、そのために孔のない状態に締められるチタン陽極において観察することができた。さらに、貴金属、例えばプラチナ、金あるいはロジウム、あるいはこれら金属の合金から形成された陽極も、当然に使用され得る。炭素(グラファイト)のような、他の不活性で導電性の物質も、基本的に用いられる。これらの陽極は、過度の分極電圧を減少するため及び電極を導電性に維持するため及び、同時に電気分解のスパッタリングから陽極を保護するためにも設けられる。
【0035】
実際の使用において、不溶性の陽極は、貴金属(例えばプラチナ)で活性化されたチタンのエキスパンドメタルシートから作ることが出来る。
【0036】
他の使用において、棒状の陽極は、管状の陰極まで延在させることができる。陽極の有効表面を拡大するために、陰極は、同時に格子構造の結果として電解液の非常に良好な交換を可能にさせる管状のエキスパンドメタルから形成される。
【0037】
不活性で且つ寸法安定性のある陽極を、従来の直流またはパルスめっき法を実施するために使用するときに、いくらかの使用時間の後に陽極に腐食が起こること及び浴槽に加えられる有機添加物がますます消費されることが判明した。現在では、これは、加工品と陽極の両方で発生したガスの放出に起因すると考えられている。例えば6Hz以下の低周波数パルスめっき法を用いることによって、及び特に順又は逆電流パルスのどちらか一方もしくはその両方を可能な限り長い持続時間に設定することによって、そのような有害な効果は回避することが出来る。
【0038】
本発明の一つの具体的な実施形態によれば、金属めっき電解液は銅めっき電解液である。
【0039】
後者の場合において、特に、仮に少なくとも一つの陽極が不活性で寸法安定性があると、銅イオンは、金属銅を溶解することによって電解液へ補給される。この目的のために、銅めっき電解液は、金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る少なくとも一種の化合物を含有する。そのような酸化化合物は、例えば三価鉄イオンのような鉄化合物、より具体的には硫酸鉄(II)である。例えば硫酸鉄(II)・7水和物を電解液に添加後、わずかな時間の後に、効果的な鉄(II)/鉄(III)の酸化還元システムが形成され、その中で、硫酸鉄(II)・7水和物は銅の酸性水溶液に優れて適合する。例えば塩化物や硝酸塩のような望ましくない二次反応を銅電解液にもたらす陰イオンを有する鉄化合物はまた、用いられない。
【0040】
銅イオンを再生するために、銅の部品を含有するイオン発生器が用いられる。当該発生器は、陽極を含有する電気めっきチャンバーから分離されている。銅イオンの消費により弱められ、例えば硫酸鉄(II)として化合物を含有している電解液は、陽極を通過して案内され、それによって鉄(III)化合物は鉄(II)化合物から形成される。電解液は引き続いて銅イオン発生器を通じて導かれ、それによって、銅の部品と接触させられる。それによって、鉄(III)化合物は銅の部品と反応して、銅イオンを形成する。すなわち銅部品が溶解する。鉄(III)化合物は、同時に鉄(II)化合物に変化させられる。銅イオンの形成のために、電解液に含有される銅イオンの総濃度は、一定に保たれる。電解液は、銅イオン発生器から電気めっきチャンバー中に再び戻って、加工品と陽極に接触する。
【0041】
好ましくは、鉄(II)と鉄(III)の化合物は、電気化学的に可逆の酸化還元システムとして用いられる。同様に、以下の元素、チタン、セリウム、バナジウム、マンガン及びクロムの酸化還元システムは適合している。それらは、例えば硫酸チタニル(titanyl sulphuric acid)、硫酸セリウム(IV)(cerium(IV) sulphate)、メタバナジン酸ナトリウム(sodium metavanadate)、硫酸マンガン(III)(manganese(III) sulphate)もしくはクロム酸ナトリウム(sodium chromate)の形で銅蒸着溶液に加えられる。特定の用途にとっては混合システムが有利である。
【0042】
酸化還元システムの化合物濃度は、金属部品の分解を通じて蒸着溶液中で金属イオンの濃度を一定に維持できるように設定されなければならない。これは、貴金属もしくは貴金属酸化物で被覆された不溶性の陽極が傷まないことを保証する。
【0043】
代替として、酸素も酸化化合物となり得る。空気中に含有される酸素は、電解液が動くことによって絶えず電解流体に添加され、酸素は当該流体に溶解する。この酸素も、酸素イオンを形成するイオン発生器中の銅部品を酸化することによって銅を溶解することができる。
【0044】
現在、上述した研究を参照して、さらなる実験がスルーホールめっき、特に高アスペクト比のホールにおける影響を研究するために実施された。表1に、検討された電解液交換機構と影響を与える要因の一覧を示す。
【0045】
影響を与えるパラメーターは、可能な限り一定に保持され、強制的なあふれ(flooding)による人為的な対流が研究された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
電気化学的な流れセンサーを有する特別に設計された多層プリント回路基板が、これらの研究の一部として用いられた。試験基板上の一つの試験ホールの図解を図1に示す。この試験基板は微小な電極配列を含んでいる。
【0047】
試験基板は、以下のような重要なパラメーターの変化を与える試験チャンバー内に設置された。
・ノズルの直径
・流体ビームと加工品表面の間の角度α
・ノズル口と加工品表面の間の距離
・加工品の表面に平行した横方向の流れ
・圧力/流れ
・電解液の密度
・パルスポンピング(pulse pumping)
【0048】
試験チャンバーを図2に示す。この試験チャンバーは、流体力学の研究に用いられている。試験チャンバーは、調整可能なディスク2を包み込むケース1を備えて成る。このディスク2の上に試験プリント回路基板3は、垂直な配列に整列させられる。数字4が付されるアイテムはストッパーである。電気化学的セル(cell)はまた対向電極5と基準電極6を備えて成り、両者共に概略的に図1に表示されている。ノズル7は、この図に示したように、ノズル7と試験プリント回路基板3の上部右側部分との間の角度として規定される角度αで、プリント回路基板5(3)の表面に金属めっき電解液を作用させるために用いられる。最後に、試験プリント回路基板に、金属めっき電解液の作用点(衝突点)の精密な調整を許容する横方向のノズル調整手段8がある。
【0049】
図3に内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片を示し、この試験片の実験結果を図4に示す。この図に、個々の内層電極における電流Iの相関要素である流体の速度と噴射角αの研究結果を図解する。実験は以下の条件下で実施された。
リング電極は、試験片の内層にd=200μmでホールに対して環状に形成され、
試験片に含有されるホールのアスペクト比は、
図4.A:1.3(上流側)
図4.B:2.8(中央)
図4.C:4.4(下流側)
アスペクト比は、それぞれ個々の場合に、ホール入口から、ホール中央から上流側、ホールの中央、ホール中央から下流側に位置したそれぞれの内層までの距離の、ホール直径Lx=−0.2mmに対する比として計算された。
流体の流速Vj(y)は、以下の通りであった。
1)0.66m/s
2)1.46m/s
3)3.7m/s
4)7.2m/s
5)11.5m/s
【0050】
図4におけるグラフ中の曲線は、1,2,3,4,5の数字で、上記流体の流速Vj(y)に対応するよう、示されている。その結果は、最大拡散電流が90°の流れ角度と、当然ながら最も高い衝突速度で達成されることを示している。
【0051】
より大規模の試験において、高アスペクト比のパネルを通過する電解液の流れを描写するために粒子画像速度測定法(PIV)が用いられた。図5に試験を実施するために用いた実験装置(粒子画像速度測定法装置)を示す。この中で、動的なシステムは二つのレーザービームによって照らされ、干渉稿情報の結果がカメラに記録される。
【0052】
高アスペクト比のパネルを通過する流れ実験の一つから得られたデータを図6に示す。それは、高アスペクト比のパネルを通過する垂直な溶液の流れの図解となる。個々の矢印は、調査範囲中のそれぞれの位置における速度ベクトルの方向と大きさを示す。
【0053】
したがって、加工品表面に対して垂直な速度成分が、少なくとも1m/s、好ましくは少なくとも5m/s、最も好ましいのは10m/sになるように、電解溶液の流体の流れ速度が選択されることを、一般的に結論付けることが出来る。
【0054】
実験結果は、Uniplate(登録商標)Inpulse(登録商標)システムに、報告されたようなブラインドマイクロビアの生成を向上させる改造を可能とした。
【0055】
水平適用
プリント回路基板の水平処理のための標準的なInpulse(登録商標)モジュール(基板はこれを処理するための水平搬送面と水平経路において搬送されるが、垂直搬送面もしくは他の搬送面で搬送させてもよい)は、陰極(加工品)に対して95mm離れたスプレーバーと、陰極に対して75mm離れた陽極を有する。Inpulse(登録商標)2システムにおいては、スプレーバーと陽極の双方は、陰極に対して15mmと8mmと非常に近くに設置されている。これは、パネルの方へ、電解液をより強烈に流すことを可能とし、優れた表面分布を維持しながら、陽極遮蔽の使用を不要とする追加利点も有する。スプレーシステム自体も、パネルに向かってより指向性のある攪拌を与えるべく改変された。これらの変更は、主にブラインドマイクロビアのより効率的なあふれを可能にするためになさせた。このシステムを用いて、最適な電解液組成及びアスペクト比10:1を有する3.2mm厚のパネルにおいて最善の均一電着性を達成するためのパルスめっきパラメーターを研究するために、実験が行われた。主にパルス波形構成と電解液の調整が、均一電着性の向上を与えるうえで個々に重要であろうという結果が示された。最適な電解液組成は以下のようになると見出された。
銅:20g/リットル
硫酸:270g/リットル
塩化物イオン:40mg/リットル
鉄(II):7g/リットル
鉄(III):1g/リットル
レベラーInplse(登録商標)H6:1.7〜2.0ミリリットル/リットル
ブライトナーInplse(登録商標):4.0〜5.5ミリリットル/リットル
【0056】
当然ながら、金属めっき電解液は、ある程度変更され得る。仮に金属めっき電解液の導電率を増加すると、均一電着性は効果的に向上する。これは、例えば酸濃度を増加することによって影響され得る。添加剤濃度は、高アスペクト比のパネルを生産するために、調整される電解液に、より特徴的なものである。特に、銅濃度は標準的なInpulse(登録商標)電解液よりも15〜20g/リットル低い。
【0057】
パルスめっきパラメーターは、4A/dm2の直流めっき条件から順パルス持続時間250ms及び逆パルス持続時間25msのパルスめっきに変更された。達成された均一電着性と共に、用いられたパラメーターの選択を表2に示す。
【0058】
高い逆電流密度の条件と表面粗さによる角平滑化(corner flattening)の弱さのために、最適均一電着性は、4A/dm2の平均電流密度で順パルス持続時間240msと16A/dm2の逆電流密度で逆パルス持続時間12msとによって達成され、逆時間での25msを伴わなかった。より低い周波数で均一電着性を増加させる一般的な傾向が、表3にはっきりと図解されているように、見て取ることが出来る。
【0059】
すべての試験において、180度のパルスパラメーターの位相シフトが用いられた。これは、逆パルスが試験パネルの片側で陽極に適用されたと同時に、順パルスが反対側で陽極に適用されたことを意味する。図7におけるパルス波形の図解(時間の相関要素である電流)は、上側陽極と下側陽極の間の位相シフトを示すこの設定を図解している(上側曲線:陰極の上側での電流、下側曲線:陰極の下側での電流)。
【0060】
表2中に略述されている試験6で生産されたパネルの検鏡用薄切片の写真を、図8に示す。この事例では、3.0mm厚及び0.3mmのホール直径を有する10:1のアスペクト比のパネルが電気めっきされた。ホール中央で見ることが出来るように、達成された厚みは非常に少なく、Inpulse(登録商標)2システムでのパネルプレートは、およそ70%の均一電着性を有する。
【0061】
類似したパネルと比較すると、わずか30%の均一電着性が、水平直流の3A/dm2で達成されるだろう。55%の均一電着性は直流の垂直条件下で、2A/dm2で達成される。空気攪拌を伴った標準的な垂直条件下でのパルスめっきだけで、90%の均一電着性が達成されるが、これは、2A/dm2の平均電流密度である。強制的な攪拌を用いて、均一電着性の向上は、以下に論じるように可能である。しかし、これでさえ、それほど高い電流密度でない。
【0062】
垂直適用
加工品の垂直めっきにおいて、上述の水平処理で述べた金属めっき電解液と同様の組成を持った金属めっき電解液が利用され得る。さらに、垂直めっきにおいて、パルスめっきは水平処理と同じ条件下で実施され得る。したがって、垂直めっきにおけるこれらのめっき条件に関しては、上述の説明が参照される。
【0063】
垂直システムにおいて、電解液の攪拌は、通常、電解液自体における空気攪拌とめっきされる回路基板の機械的な攪拌の組合せでなされる。この機械的な攪拌は、パネルが一定に動かされ、且つ電解液中で垂直に保たれることを確実にしなければならない。さもなければ、溶液の流れは、パネル中の全てのホールを通って均一にならないであろう。この陰極の動作を確実にするために、パネルをしっかりと固定し、パネルに電流を供給するためにも使用されるシステムが用いられる。これらの攪拌システム、すなわち電解液中の空気及びパネルの動きは、明確でない(non-defined)空気攪拌のために、及び攪拌気泡を通るパネルの動作のために、不規則な流体搬送を引き起こし得る。
【0064】
これらの問題を克服するために、エゼクター(エダクタ:ベンチュリーの原理を用いるスプレーノズル、すなわち、作り出されたスプレーによって、ノズルを通過する追加的な流体の引き寄せが作用され、大容量流れが達成される)の使用がより一般的になっていく。ベンチュリーの原理を用いるエゼクターは、小さなポンプでより大容量の液体を循環する。或る溶液の運動エネルギーは、別の溶液の流れの原因となる。概して、エゼクターの使用は、ポンプ作用容量と比較したとき、溶液運動の容量において4〜6倍の増加を与えることが出来る。しかしながら、この増加容量は、直接にポンプ作用される溶液よりも低い圧力である。図9は、電気分解銅めっきシステムにおいて、一般的に用いられるエゼクターの二つの大きさを示している。示されている小さい方のエゼクターは、より少ない容量を送るが、より多くのエゼクターを一つの配管に設置することを許容し、よりむらのない電解液流れを与える。
【0065】
現在、垂直めっきタンク内のエゼクターの設置方法は、図10に示すように、陰極の下の床上にある。図10は、上側から下側までの眺めで垂直Inpulse(登録商標)ライン中のエゼクターの設備を示している。底部で、エゼクター9は供給配管10に配置される。
【0066】
この設備は、陰極の下方で両側に一つずつおかれた二つの配管を有し、エゼクターが上向きに陰極の方を指し、もしくは陰極から離れるように向いて調整可能である。陰極のすぐ下で陰極に対して実質的に平行に伸びる単一配管に据えられたエゼクターを備える類似の設備、パネルから離れるように交互に向いた固定角で据えられたエゼクターを備える類似の設備がある。この設定に関する欠点は、電解液流れの均一性が、エゼクターの位置取り及びノズルとパネル間の距離の位置取りにも依存することである。
【0067】
より均一な流れを与えるために、エゼクターは、めっきセル中で陰極の方へ真っ直ぐ向いている陽極の間に配置させることができる。この設定は、パネルに向かう電解液のより直進的な流れを与える利点を有し、設備の上側からその側方までの眺めとして図11に示されている。エゼクター9は、陽極11の前でタンクのそばに設置されているのが示されている。全てのエゼクター設備の欠点は、溶液の流れがパネル表面上で、決して完全に均一に出来ないことである。設置されるエゼクターの数と流れの均一性の間で、妥協させなければならない。
【0068】
エゼクターの使用による流れの均一性の制約を克服するために、移動スプレーシステムが開発され、実験室条件において試験タンク内で試験されている。本システムは、陰極表面の上を規則的に移動し、且つスプレーするときにパネルとスルーホールの強烈な強制されたあふれを生じさせるスプレーヘッドで構成される。ヘッドは、陽極と陰極の間を平面で移動し、パネルへ向いた方向で電解液を放出する。ヘッドは電着プロセスを妨げないような大きさで作られている。高アスペクト比のパネルを用いた結果では、標準的な空気攪拌と比較して、均一電着性において著しい改善が示され、同一規模でエゼクター攪拌装置と比べて、より均一な蒸着を示した。図12に、可動スプレーシステムを用いて、0.3mmのホールを有する3.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果を示す。電気めっきのための平均電流密度は、2A/dm2であった。均一電着性は、90〜95%になることが見出された。強化めっき(reinforcement plating)が、5A/dm2の電流密度で水平めっき装置において、直流めっきにより実施された。
【0069】
研究は、特に、5mmよりも厚いパネルにおいて、均一電着性を向上させるために、いわゆるバッチめっきパラメーターを使用して続けられている。めっき周期中に、パルスパラメーターは変化させられる。通常、周期の開始に強力な逆チャージが良好な均一電着性を与えるために用いられ、続いて、めっき周期の終了時に良好な表面仕上げを与えるためにより低い逆チャージが用いられる。そのような一連のめっきの例を、表4に示す。
【0070】
最適な電解液交換をもたらすための可動スプレーシステムと共に、改変されたパルスめっきシーケンスを用いた、0.5mmのホールを有する5.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果を図13に示す。使われた平均電流密度は、1.7A/dm2である。均一電着性は、95〜100%になることが見出された。
【0071】
電解液攪拌と最適化されたパルスパラメーターの両方の使用は、試験ライン実験において、均一電着性における著しい改善をもたらす。
【0072】
したがって、基礎電気化学における実験は、銅電気めっき特性において電解液攪拌の強力な影響を示す。最適化されためっきパラメーターと共に水平Inpulse(登録商標)装置に対する改変は、実験条件下で改良された均一電着性を示す。
【0073】
垂直装置において、攪拌を改善するためのエゼクターの使用は、新しい装置にとって標準になっている。移動スプレーあふれシステム(moving spray flood system)の使用は、垂直システムにとって試験ライン規模において利点を示す。
【0074】
銅蒸着時間の間中、変化するパルスパラメーターの使用は、処理時間(周期時間)の終了時に、より穏やかなパルスパラメーターを用いて最適な表面仕上げを保持しながら、積極的なパラメーターで均一電着性を改善する可能性を提供する。
【0075】
技術手段による様々な改変と代替が、特許請求の範囲により規定されるような発明の範囲から逸脱することなく、上述の例と図により記載された内容に当て嵌められ得ることが理解されなければならない。さらに、本願に記載された特徴の様々な組合せが、当業者によって提案され、この発明の範囲内で且つ特許請求の範囲内に含まれることが理解されなければならない。この文書中に引用された全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照することにより、結果として組み込まれる。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】試験基板上の一つの試験ホールの図解である。
【図2】試験チャンバーである。
【図3】内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片である。
【図4】内層電極の結合部を示す直径0.2mmのホールを有する試験片の検鏡用薄切片の実験結果である。
【図5】試験を実施するために用いた実験装置(粒子画像速度測定法装置)である。
【図6】高アスペクト比のパネルを通過する流れ実験の一つから得られたデータである。
【図7】パルス波形の図解(時間の相関要素である電流)である。
【図8】表2中に略述されている試験6で生産されたパネルの検鏡用薄切片である。
【図9】電気分解銅めっきシステムにおいて、一般的に用いられるエゼクターの二つの大きさである。
【図10】上側から下側までの眺めで垂直Inpulse(登録商標)ライン中のエゼクターの設備である。
【図11】より均一な流れを与えるために、エゼクターをめっきセル中で陰極の方へ真っ直ぐ向いている陽極の間に配置させた設備の上側からその側方までの眺めである。
【図12】可動スプレーシステムを用いた、0.3mmのホールを有する3.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果である。
【図13】可動スプレーシステムと共に、改変されたパルスめっきシーケンスを用いた、0.5mmのホールを有する5.0mmのパネル(アスペクト比10:1)のめっき結果である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アスペクト比のホールを備えて成る加工品を電気めっきする方法であって、
a.加工品及び少なくとも一つの陽極と金属めっき電解液を接触させることと、
b.加工品と陽極の間に電圧を印加することで、その結果、電流の流れが加工品に生じ、そこで、電流の流れが、それぞれの周期時間中に、少なくとも一つの順電流パルスと少なくとも一つの逆電流パルスを有する最大でも約6Hzの周波数を有したパルス逆電流流れとなることを、備えて成る方法。
【請求項2】
一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を約5から約75までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一周期の順電流パルスの持続時間を少なくとも約100msに設定することを備えて成る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一周期の逆電流パルスの持続時間を少なくとも約0.5msに設定することを備えて成る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加工品において順電流パルスのピーク電流密度を約3A/dm2から約15A/dm2までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加工品において逆電流パルスのピーク電流密度を約10A/dm2から約60A/dm2までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
a.第一電圧を加工品の第一側面と少なくとも一つの第一陽極の間に印加し、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第一順電流パルスと少なくとも一つの第一逆電流パルスの流れを有する第一パルス逆電流の流れが加工品の第一側面に生じることと、
b.第二電圧を加工品の第二側面と少なくとも一つの第二陽極の間に印加し、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第二順電流パルスと少なくとも一つの第二逆電流パルスの流れを有する第二パルス逆電流の流れが加工品の第二側面に生じることを備えて成る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第二順及び逆電流パルスに対して第一順及び逆電流パルスをそれぞれ相殺することを備えて成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
およそ180度で第二電流パルスに対して第一電流パルスを相殺することを備えて成る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各周期時間に、二つの順電流パルス及び、これら二つの順電流パルス間に一つのゼロ電流遮断を伴う一つの逆電流パルスを有する電流の流れが生じることを備えて成る、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加工品を金属めっきしているうちに、パルス逆電流の流れの少なくとも一つのパラメーターであって、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率と、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を備えるグループから選択されたパラメーターが変化することを備えて成る、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
加工品を金属めっきしているうちに、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を増加させること、及び/又は加工品を金属めっきしているうちに、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を減少させることを備えて成る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加工品の表面に対する電解液流速で金属めっき電解液を加工品の表面に向かって送ることで、加工品と金属めっき電解液を接触させることを備えて成る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
金属めっき電解液を攪拌しながら加工品の方へ送ることを備えて成る請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加工品の表面での電解液流速が、加工品の表面に垂直な速度成分で少なくとも約1m/sを有していることを備える、請求項13と14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
陽極が不活性で且つ寸法安定である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
金属めっき電解液が銅めっき電解液である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
銅めっき電解液が、金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る少なくとも一種の化合物を含有し、付加された金属銅片が銅めっき電解液と接触させられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る化合物が鉄化合物である、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
高アスペクト比のホールを備えて成る加工品を電気めっきする方法であって、
a.加工品及び少なくとも一つの陽極と金属めっき電解液を接触させることと、
b.加工品と陽極の間に電圧を印加することで、その結果、電流の流れが加工品に生じ、そこで、電流の流れが、それぞれの周期時間中に、少なくとも一つの順電流パルスと少なくとも一つの逆電流パルスを有する最大でも約6Hzの周波数を有したパルス逆電流流れとなることを、備えて成る方法。
【請求項2】
一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を約5から約75までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一周期の順電流パルスの持続時間を少なくとも約100msに設定することを備えて成る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一周期の逆電流パルスの持続時間を少なくとも約0.5msに設定することを備えて成る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加工品において順電流パルスのピーク電流密度を約3A/dm2から約15A/dm2までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加工品において逆電流パルスのピーク電流密度を約10A/dm2から約60A/dm2までの範囲に設定することを備えて成る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
a.第一電圧を加工品の第一側面と少なくとも一つの第一陽極の間に印加し、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第一順電流パルスと少なくとも一つの第一逆電流パルスの流れを有する第一パルス逆電流の流れが加工品の第一側面に生じることと、
b.第二電圧を加工品の第二側面と少なくとも一つの第二陽極の間に印加し、その結果、各周期時間に少なくとも一つの第二順電流パルスと少なくとも一つの第二逆電流パルスの流れを有する第二パルス逆電流の流れが加工品の第二側面に生じることを備えて成る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第二順及び逆電流パルスに対して第一順及び逆電流パルスをそれぞれ相殺することを備えて成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
およそ180度で第二電流パルスに対して第一電流パルスを相殺することを備えて成る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各周期時間に、二つの順電流パルス及び、これら二つの順電流パルス間に一つのゼロ電流遮断を伴う一つの逆電流パルスを有する電流の流れが生じることを備えて成る、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加工品を金属めっきしているうちに、パルス逆電流の流れの少なくとも一つのパラメーターであって、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率と、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を備えるグループから選択されたパラメーターが変化することを備えて成る、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
加工品を金属めっきしているうちに、逆電流パルスのピーク電流密度に対する順電流パルスのピーク電流密度の比率を増加させること、及び/又は加工品を金属めっきしているうちに、一周期の逆電流パルスの持続時間に対する順電流パルスの持続時間の比率を減少させることを備えて成る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加工品の表面に対する電解液流速で金属めっき電解液を加工品の表面に向かって送ることで、加工品と金属めっき電解液を接触させることを備えて成る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
金属めっき電解液を攪拌しながら加工品の方へ送ることを備えて成る請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加工品の表面での電解液流速が、加工品の表面に垂直な速度成分で少なくとも約1m/sを有していることを備える、請求項13と14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
陽極が不活性で且つ寸法安定である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
金属めっき電解液が銅めっき電解液である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
銅めっき電解液が、金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る少なくとも一種の化合物を含有し、付加された金属銅片が銅めっき電解液と接触させられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
金属銅を銅イオンへ酸化させることの出来る化合物が鉄化合物である、請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−519931(P2006−519931A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504539(P2006−504539)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002208
【国際公開番号】WO2004/081262
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(597075328)アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002208
【国際公開番号】WO2004/081262
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(597075328)アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (33)
【Fターム(参考)】
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